退院支援とは、入院した患者が退院後も安心して暮らせるよう、病院の看護師やMSW(医療ソーシャルワーカー)が早い段階から行う調整のことです。要介護認定は、申請から認定までに保険者ごとの平均日数の中央値で39.3日(令和5年度)かかっています。福岡市の手引きでは入院から1週間を目途に退院支援計画書の作成に着手するとされており、家族の準備も入院直後から始めるのが現実的です。この記事では、退院から在宅介護までの流れと相談先を整理します。
まず今日やること3つ
退院の話が出たら、次の3つから始めてください。詳しい理由は、このあとの各章で説明します。
- 病棟の看護師に、退院後の相談窓口(地域連携室・医療相談室など)と担当者を聞く
- 担当のケアマネジャーがいれば、入院したことを連絡する。いなければ地域包括支援センターに相談する
- 要介護認定が未申請、または入院で状態が大きく変わったときは、市区町村の窓口で申請や区分変更の時期を聞く
退院支援とは|入院から在宅介護へつなぐ仕組み
退院支援の定義と目的
退院支援とは、入院している患者が退院したあとも安心して暮らせるよう、入院の早い段階から退院後の生活を見すえて、病院が行う調整や支援のことです。診療報酬の上では「入退院支援」と呼ばれ、入退院支援・地域連携の業務を担う部門を病院に置くことが、加算を算定するための体制として定められています。
退院後に介護が必要になりそうなとき、この仕組みの中心になるのは、病院の看護師やMSWです。家族は、病状の説明を受けるだけの立場ではなく、退院後の生活の場や介護の担い手を一緒に考える当事者として関わることになります。
この記事では、入院から退院後の在宅介護までの流れ、要介護認定の申請、ケアマネジャーとの連携、退院前に確認したい事項、費用と相談先を、厚生労働省や自治体の資料にもとづいて整理します。診療報酬・介護報酬の点数は、家族の自己負担ではなく病院や事業所が受け取るものです。病院が退院支援に取り組む根拠として、必要な範囲だけ触れます。
病院側の体制と窓口の呼び名
診療報酬の施設基準として公開されている資料では、入退院支援・地域連携業務を担う部門を設置し、専従の看護師または社会福祉士を配置すること、病棟に入退院支援の担当者を掲示することが求められています(北海道厚生局、中国四国厚生局の公開資料より。基準の内容は改定で変わることがあります)。
一方、窓口の名称は病院によってさまざまです。「地域連携室」「医療相談室」など、呼び方が違っても、診療報酬の上では入退院支援の部門として位置づけられます。まずは病棟の看護師に「退院後の相談はどこでできますか」と尋ねると、案内してもらいやすくなります。
よくある誤解
退院支援について、次のような誤解がよく見られます。
| よくある誤解 | 実際の考え方 |
|---|---|
| 病気が完全に治ってから退院する | 退院後も介護や通院が続く前提で、入院中から準備を進める |
| 病院が退院後の暮らしをすべて決めてくれる | 病院の担当者は調整を支援する役割。退院後の生活の場やサービスについては、本人・家族の意向を担当者に伝える |
| 退院が決まってから介護の準備を始めればよい | 福岡市の手引きでは入院後できるだけ早期にスクリーニングを行うとされる。家族側も早めに動くと選択肢を整理しやすい |
入院から退院後の在宅介護までの流れ
入院直後のスクリーニングと情報の共有
退院支援は入院してすぐに始まります。入院後できるだけ早期に、退院後の生活で困りごとが生じそうかを確認する「スクリーニング」(支援が必要な人を早めに見つけるための聞き取り)が行われます(福岡市の手引き)。病棟の看護師から、入院前の暮らしぶり、同居の家族、介護サービスの利用状況などを尋ねられるのは、このためです。
家族ができる準備として、次のものを手元にそろえておくと、話が進みやすくなります。
- 介護保険の被保険者証(すでに要介護認定を受けている場合)と、担当ケアマネジャーの連絡先
- 普段飲んでいる薬の情報(お薬手帳)
- 入院前の生活の様子(食事、トイレ、入浴、歩行、物忘れの有無など)
- 家族の連絡先と、日中に連絡がとれる時間帯
すでにケアマネジャーが付いている場合は、入院したことを早めに伝えておくことが大切です。入院時の情報提供を評価する介護報酬の仕組みもあります(「ケアマネジャーとの連携と介護報酬の仕組み」で解説します)。
退院支援計画の作成と1週間の目安
福岡市の手引きでは、入院から1週間を目途に退院支援計画書の作成に着手するとされています。時期は自治体や病院によって異なりますが、計画書には、退院後に想定される生活の場、必要な医療処置、利用を検討する介護サービスなどが整理されます。
状態が変わりやすい時期には、計画も見直されます。リハビリの進み具合や医療処置の要否によって、退院後の暮らしの見通しが変わるためです。家族は「見通しが変わったら教えてほしい」と担当者に伝えておくとよいでしょう。
退院までの流れの一覧
ここまでの流れを、時期ごとに整理します(目安であり、自治体・病院や状態によって前後します)。
- 入院直後:スクリーニング。退院後の生活で困りごとが生じそうかを確認する
- 入院から1週間ほど:退院支援計画書の作成に着手する。要介護認定が未申請なら申請を検討する
- 入院中:医療処置の手技や介護方法の指導、リハビリ、必要に応じた家屋調査や退院前訪問
- 退院の約1週間前:退院時カンファレンス(本人・家族、病院、在宅側の関係者)
- 退院当日:福祉用具や薬の準備、訪問看護の初回訪問など
- 退院後:サービスの利用状況を見て、ケアプランやサービス内容を見直す
退院当日と退院後の最初の期間
介護報酬では、訪問看護で退院当日の初回訪問を評価する初回加算が設けられており、退院当日から在宅側の支援が動き出すことが想定されています。
退院後の最初の数週間は、本人も家族も生活のリズムをつくる期間です。想定していなかった困りごとが出てきたら、ケアマネジャーや訪問看護師に早めに伝え、サービスの内容や回数を見直してもらいます。
病院の担当者と退院が難しくなる要因
看護師とMSWの役割分担
病院内の役割分担の例として、医療処置の調整や家族への教育は看護師、生活支援はMSWが担う形が示されています(福岡市の手引き)。
| 担当 | 主な相談内容 |
|---|---|
| 看護師 | 退院後も続く医療処置の調整、家族へのやり方の指導、体調の変化への対応 |
| MSW | 介護保険などの制度の案内、退院後の生活の場の検討、費用や手続きの不安 |
どちらに何を聞けばよいか迷うときは、「退院後の生活で心配なこと」をそのまま伝えてみてください。病棟の看護師、退院支援を担当する看護師、MSWに同じ内容を何度も説明しなくて済むよう、メモにまとめて渡すと負担が減ります。
退院が難しくなりやすい要因の例
退院後の生活に課題が生じやすい「退院困難要因」の例として、次のものが挙げられています(福岡市の手引き)。内容別に3つに分けて整理します。
| グループ | 要因の例 |
|---|---|
| 病気・医療に関すること | 再入院を繰り返している/医療処置が退院後も続く/認知症や誤嚥性肺炎がある/緊急入院だった |
| 身体の状態・介護に関すること | ADL(食事・移動・排泄など日常生活の動作)の低下、排泄に介助が必要/要介護状態だが、介護保険を申請していない |
| 暮らし・家族の状況に関すること | 独居/生活に困窮している/虐待の疑いがある |
これらに当てはまると、病院は早めに調整を進めます。当てはまること自体が悪いのではなく、支援が必要な点を早く見つけるための目印です。家族としては、思い当たる点があれば、遠慮せず担当者に伝えてください。
令和8年度改定で加わった退院困難要因
令和8年度診療報酬改定では、退院困難要因に次の2点が追加されました(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」)。
- 家族や親族との連絡が困難であること
- 要介護認定を受けているが、現在の区分以外の疑いがあるのに変更申請されていないこと
2点目の「区分変更」とは、すでに受けている要介護度が今の状態に合わなくなったときに、認定をやり直す申請のことです。家族と連絡がとれないことも要因とされているため、病院から連絡があったときは、早めに折り返すことが望まれます。
病院・事業所の報酬の仕組み|家族に関わる点だけ
報酬は誰のものか
ここで出てくる点数や単位は、病院や介護事業所が受け取る報酬で、家族の自己負担額ではありません。病院が退院支援に取り組むのは、こうした報酬の仕組みが背景にあるためです。家族にとって大切なのは、仕組みの細かい数字よりも、「入院から7日以内のケアマネジャーへの連絡」など、自分が動くきっかけになる点です。
診療報酬や介護報酬の点数・単位、運用の細かい取扱いは、制度改定で変わることがあります。この記事の数字は記載時点のものです。最新の内容は、厚生労働省の資料や、病院・お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
入退院支援加算1(令和8年度改定後)
入退院支援加算1は、病院が退院支援の体制を整え、実際に支援を行った場合の診療報酬です。令和8年6月施行の改定後は、入院している病棟の種類に応じて点数が分かれています(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」)。入院費用の内訳や自己負担を知りたいときは、病院の会計や医療相談の窓口に尋ねてください。
介護支援等連携指導料2|入院7日以内にケアマネジャーへ連絡
令和8年度改定では、入院日から7日以内にケアマネジャーへ連絡するなど、病院がケアマネジャーと早い段階で連携することを評価する介護支援等連携指導料2(500点)が新設されました(厚生労働省「令和8年度診療報酬改定の概要」)。
家族ができるのは、入院したらすぐに担当のケアマネジャーへ連絡しておくことです。そうすれば、病院から連絡があったときに受ける側の準備も整いやすくなります。連絡先が分からないときは、介護保険の被保険者証や、サービス利用票・事業所からの書類を探してみてください。見つからなければ、市区町村の介護保険窓口や地域包括支援センターに問い合わせる方法があります。
家族に関わる施設基準の追加
令和8年度改定では、家族との関わりに関する次の要件も施設基準に加わりました。
- 家族の面会を、正当な理由なく妨げないこと
- 退院先の施設へ誘導して、金品を受け取らないこと
ケアマネジャーとの連携と介護報酬の仕組み
ケアマネジャーが決まっていない場合
すでにケアマネジャーが付いている場合は、入院したことを早めに連絡します。まだ決まっていない場合は、病院が選定を支援したり、地域包括支援センターに支援を依頼したりする方法があります(福岡市の手引き)。
ケアマネジャーの仕事内容は、ケアマネジャーとは何かを解説した記事で整理しています。退院後のサービスを組み立てる役割を担う人なので、退院前から顔を合わせて、退院後の生活の希望を共有しておくと、在宅生活を始めやすくなります。
入院時情報連携加算と退院・退所加算
居宅介護支援の介護報酬には、入院と退院に関わる次の加算があります。ケアマネジャーが病院と情報をやりとりすることが、報酬の上でも想定されていると分かります。
| 加算 | 内容 |
|---|---|
| 入院時情報連携加算(令和6年度改定) | (Ⅰ)250単位/月は、入院した日のうちに病院へ情報提供した場合。(Ⅱ)200単位/月は、入院した日の翌日または翌々日(営業時間外や休業日の入院は翌日まで)に情報提供した場合。いずれも月1回限度 |
| 退院・退所加算 | 病院の職員から利用者の情報提供を受け、ケアプランの作成や調整を行った場合。入院・入所期間中に1回が限度。単位数は区分により450〜900単位で、細かい区分の要件は算定基準を参照 |
家族にとっては、入院したらすぐにケアマネジャーに連絡することが、病院への情報提供を早めることにつながります。
ケアマネジャーに伝えておきたいこと
退院後の在宅サービスを組み立てるとき、ケアマネジャーは病院から、たとえば診断名や医療処置の内容、リハビリの進み具合、本人の希望などの情報を受け取ることがあります(例)。家族からも、次の点を伝えておくと、プランが実際の生活に合いやすくなります。
- 同居の有無と、家族が介助に関われる曜日・時間帯
- 自宅の間取り(段差、トイレや浴室の位置、寝室の階数)
- 本人が大切にしてきた習慣や、続けたい暮らし方
- 費用面で心配なこと
サービスの具体的な種類や回数は、退院前のカンファレンスで話し合われることがあります。ケアプランに盛り込む内容を、家族の側でも整理しておくと話し合いが進みます。
訪問看護・リハビリテーションの退院時の加算
令和6年度介護報酬改定では、退院当日の支援に関しても、次の加算が示されています。
- 訪問看護:初回加算(Ⅰ)350単位/月は、退院当日の初回訪問を評価するもの
- 訪問リハビリテーション・通所リハビリテーション:退院時共同指導加算 600単位/回
医療的なケアが退院後も続く場合は、訪問看護の初回訪問の時期を、病院側とケアマネジャーに早めに相談しておきましょう。退院日の予定が決まったら、あわせて共有します。
入院中の要介護認定の申請
申請先と申請のタイミング
要介護認定の申請先は、市区町村の介護保険の窓口、または地域包括支援センターです(中野区のQ&A)。東京都の資料でも、退院調整の窓口と相談しながら、区市町村の窓口で要介護認定を申請し、あわせてケアマネジャーを探す流れが示されています。
申請の方法や必要書類の詳細は、要介護認定の申請方法と認定調査を解説した記事にまとめています。入院中の申請や認定調査の時期については、窓口に相談できます。状態が不安定な時期は調査ができない場合があるため、早めに聞いておくと安心です。
認定は申請日にさかのぼる|暫定ケアプラン
認定の効力は、結果が出た時点ではなく申請日にさかのぼって生じます。そのため、認定結果が出る前でも、退院後に必要なサービスを使い始める準備ができます。
認定が出る前にサービスを使うときは、暫定ケアプランを作成します。暫定ケアプランは、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所で作成してもらえます。暫定でサービスを使った場合の扱いは、窓口やケアマネジャーに確認してください。詳しくは暫定ケアプランを解説した記事もあわせてご覧ください。
調査ができない時期がある
認定調査は、本人の心身の状態を確認するものです。そのため、状態が不安定な時期、たとえば手術の前後、急性期のリハビリの最中、退院時期が決まっていない時期には、調査ができない場合があります(中野区のQ&A)。
調査の日程は、病院の担当者と相談して決めるのが現実的です。「いつ頃なら状態が落ち着くか」を、医師や看護師に聞いておくと、申請の時期を決めやすくなります。
すでに認定を受けている場合の区分変更
すでに要介護認定を受けている人が入院した場合、入院前の要介護度が、退院後の状態に合わなくなることがあります。令和8年度診療報酬改定では、退院困難要因に「要介護認定を受けているが現区分以外の疑いがあり、変更申請されていない」ことが加わりました。
区分変更の申請は、市区町村の窓口やケアマネジャーに相談して進めます。変更するかどうかは、入院前後の生活の変化、リハビリの見通し、退院後に必要なサービスの量などを見て判断することになります。病院のリハビリ職や看護師から、入院中の状態の変化を聞いておくと、相談がしやすくなります。手続きの進め方は、窓口で確認してください。
認定までの日数と有効期間
認定の審査は、法律上は申請から30日以内に行うこととされています。一方、実際の日数は、保険者(市区町村など)ごとに差があります。厚生労働省の第117回介護保険部会資料では、令和5年度の申請から認定までの日数の実績について、保険者ごとの平均日数の中央値が39.3日でした。多くの地域で1か月前後、遅い所では2か月を超えています。
数値の内訳は、最小20.3日、第1四分位(短い方から4分の1の位置)35.1日、中央値39.3日、第3四分位(長い方から4分の1の位置)43.5日、最大80.6日です。保険者によって20日台から80日台まで差があるため、退院が近いときは、申請時に「認定結果が出るまでどのくらいかかるか」を窓口で確認しておくとよいでしょう。また、新規認定の有効期間は原則6か月で、市町村が3〜12か月の範囲で定められる場合があります(厚生労働省)。
退院時カンファレンスと家屋調査
退院時カンファレンスとは
退院時カンファレンスは、退院後の生活を支える関係者が集まり、本人・家族の意向を確認しながら、退院後の支援方針を共有する話し合いの場です。福岡市の手引きでは、退院日の約1週間前が理想とされ、所要時間は30分程度(病院により15〜20分)です。実施の時期や方法は、自治体や病院によって異なります。
退院日が日曜日だと、事業所の対応が少なく、調整が難しくなる傾向があると手引きに記されています。退院日の希望がある場合は、早めに病院へ伝えましょう。
参加者と議題の例
手引きに示されている参加者の例は、次のとおりです。
- 本人・家族
- 病院側:医師、病棟看護師、退院支援看護師、MSW、リハビリ職、薬剤師、栄養士
- 在宅側:かかりつけ医、訪問看護師、ケアマネジャー、地域包括支援センター、歯科医、薬局薬剤師、介護事業者
議題の例としては、病状の説明、在宅療養の方針、服薬管理、家族の医療処置の習得状況、緊急時の体制、在宅の限界点などがあります。
「在宅の限界点」とは、どのような状態になったら在宅での生活を続けるのが難しくなるか、あらかじめ共有しておく考え方です。これを話し合うことで、状態が変わったときに慌てず、次の選択肢を考えやすくなります。
家屋調査・退院前訪問
入院中に、理学療法士などが自宅を訪れて、段差や廊下の幅、トイレや浴室の状況を確認する家屋調査を行うことがあります。担当のケアマネジャーが同行できるとされています。
家屋調査で確認した内容は、手すりの設置、ベッドの配置、福祉用具の選定に反映されます。家族も同席して、普段の生活動線を実際に歩きながら伝えると、調整が進めやすくなります。
家族が準備しておくこと
カンファレンスの前に、次の点を整理しておくと、限られた時間を有効に使えます。
- 退院後に家族として担える範囲(介助できる時間帯、仕事の都合など)
- 不安に感じている点(夜間の対応、医療処置、通院の付き添いなど)
- 本人が望む生活の希望
- 費用について聞きたいこと
分からない言葉があれば、その場で質問して構いません。専門用語は、いったん平易な言葉に言い換えてもらいましょう。
退院前に確認したいことのチェックリスト
生活の場と指導に関する確認
福岡市の手引きにある退院前チェックの項目を、家族が確認しやすい形に整理します。
- 退院後の生活の場はどこか、本人の意思はどう確認されたか
- 退院時カンファレンスや退院前訪問が必要か
- 医療処置の手技や介護方法の指導は受けたか(機器は病院で練習し、訪問看護師も立ち会えるとよい)
- 在宅医との連携は整っているか
- 家族の負担や不安への支援はあるか
医療処置ごとに必要な物品
退院後に医療処置が続く場合、処置ごとに必要な物品を、退院前に確認する項目として挙げられています。
- 人工呼吸器
- 気管切開
- 在宅酸素
- 膀胱カテーテル
- 人工肛門
- 胃ろう
必要な物品は処置や病院によって異なります。「何を・どこで・どれだけ準備するか」を、担当の看護師に書き出してもらうと、準備の漏れを防げます。
福祉用具の確認
手引きでは、退院前に確認する福祉用具として、次のものが挙げられています。
- ベッド
- 車いす
- 移動用リフト
- スロープ
- 歩行器
- 手すり
- ポータブルトイレ
- シャワーチェア
- 浴槽台
福祉用具の選定は、本人の状態や家の間取りで変わります。ケアマネジャーや理学療法士と相談しながら、退院日に使えるよう準備しましょう。
書類と緊急時の連絡先
退院時にそろえておきたい書類として、手引きでは次のものが挙げられています。
- 退院・退所情報記録書
- 看護サマリー
- 診療情報提供書
- 訪問看護指示書
あわせて、緊急時の連絡先カードを作っておくと安心です。夜間や休日に体調が変わったとき、どこへ連絡するかを、家族全員が分かる場所に貼っておきます。横浜市は、退院時の調整に使う情報共有ツールを公開しています。お住まいの自治体にも同様の様式があるか、窓口で確認してみましょう。
費用の目安と使える制度
退院前後は、入院費と介護サービスの自己負担の2つを考える必要があります。このページでは金額の目安は示さず、制度の入口だけを案内します。
- 入院費:関連する制度は高額療養費制度を解説した記事をご覧ください。
- 介護サービスの自己負担:負担割合は介護保険の自己負担割合を解説した記事、関連する制度は高額介護サービス費を解説した記事にまとめています。
自分のケースでいくらになるか、使える制度があるかは、病院の相談窓口や市区町村の窓口、ケアマネジャーに確認してください。
在宅での生活が難しい場合の選択肢
退院後に自宅で暮らすのが難しいと感じたときも、そのまま家族だけで抱える必要はありません。転院や施設への入所など、自宅以外の選択肢が検討されることがあります。どの方法が合うかは、病院のMSWや地域包括支援センターに相談してください。在宅介護の限界の考え方は、在宅介護の限界を解説した記事もあわせてご覧ください。
相談先と動き方
まず相談する病院の窓口
退院後の生活の相談は、まず入院している病院の窓口から始めます。窓口の名称は病院により異なり、診療報酬の上では入退院支援の部門です。入院した時点で、病棟の看護師に窓口を確認しておくと安心です。
地域包括支援センター
地域包括支援センターは、市町村が設置する、高齢者の暮らしの総合相談窓口です。厚生労働省の資料では、総合相談支援、権利擁護、包括的・継続的ケアマネジメント支援、介護予防ケアマネジメントなどが主な業務として示されています。
役割や探し方は地域包括支援センターを解説した記事に詳しくまとめています。ケアマネジャーが決まっていない場合や、要介護認定の申請の相談など、退院前後に頼りになる窓口です。
市区町村の介護保険窓口
要介護認定の申請は、市区町村の介護保険窓口で行います。窓口で、認定までの日数や、暫定ケアプランの扱いを聞いておきましょう。
在院日数から見る時間感覚
退院までの期間は、病棟の種類で大きく違います。厚生労働省の令和6年病院報告では、病院全体の平均在院日数は25.6日、一般病床は15.5日でした。長期の入院が中心になる療養病床や精神病床は、これより長くなります。
これは平均であり、個々の患者の入院期間を示すものではありません。ただ、一般病床の平均が約2週間であることから、退院後の介護の準備に使える時間が短い可能性があるといえます。入院したらすぐに、相談を始めることが大切です。
退院後の在宅介護で気をつけたい点
準備を後回しにしない
退院が決まってから介護保険を申請すると、認定が出るまでに時間がかかり、退院に間に合わない場合があります。認定までの日数は、令和5年度の保険者ごとの平均日数の中央値で39.3日でした。暫定ケアプランでサービスを使い始める方法もありますが、準備は入院の早い段階から始めるのが現実的です。
家族だけで抱え込まない
退院後の在宅介護は、家族だけで担うのが難しい場合があります。家族の負担や不安への支援は、退院前チェックの項目にもなっています。夜間の介助が負担になっているなど、困りごとは遠慮なくケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。サービスの種類や回数は、状況に合わせて見直せます。
仕事との両立が難しいときは、介護休業を解説した記事や介護休業給付金を解説した記事で制度を確認できます。
退院後にケアプランを見直す
退院直後は、病院で想定していた生活と実際の生活にずれが出やすい時期です。サービスの内容や回数が合わないと感じたら、ケアマネジャーに伝えて、ケアプランの見直しを相談します。
診療報酬や介護報酬の点数・単位、運用の細かい取扱いは、制度改定で変わることがあります。この記事の数字は記載時点のものです。最新の内容は、厚生労働省の資料や、病院・お住まいの市区町村の窓口で確認してください。
まとめ
- 退院支援は入院直後から始まります。福岡市の手引きでは入院から1週間を目途に退院支援計画書の作成に着手するとされますが、時期は自治体・病院により異なります。
- 要介護認定は申請日にさかのぼって有効です。認定前でも暫定ケアプランでサービスを準備できます。審査は法定30日以内で、令和5年度の保険者ごとの平均日数の中央値は39.3日でした。
- 退院時カンファレンスは、福岡市の手引きでは退院日の約1週間前が理想とされています。医療処置・福祉用具・書類・緊急時の連絡先を事前に確認します。
- 相談先は病院の窓口、地域包括支援センター、市区町村の介護保険窓口です。
- 診療報酬・介護報酬は改定で変わることがあるため、最新の内容は公的機関で確認してください。
次にすること
- 入院先の窓口(地域連携室・医療相談室など)の場所と担当者を、病棟の看護師に確認する
- すでに担当のケアマネジャーがいれば入院したことを連絡し、いなければ地域包括支援センターに相談する
- 要介護認定が未申請、または状態が大きく変わった場合は、市区町村の窓口で申請や区分変更の時期を聞く
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