高額介護サービス費とは、1か月に支払った介護サービスの利用者負担(1〜3割)の合計額が、所得区分ごとに定められた上限額を超えたとき、申請によって超えた分が払い戻される制度です。上限額は世帯の所得によって24,600円から140,100円まで区分されており、令和3年8月利用分から一部の区分が見直されました[1]。この記事では、所得区分別の上限額、対象になる費用とならない費用、申請方法や支給までの期間について、厚生労働省・自治体の一次情報にもとづいて解説します。
高額介護サービス費とは|区分支給限度基準額との違い
高額介護サービス費は、介護保険の医療版にあたる「高額療養費制度」の介護保険バージョンにあたる仕組みです。訪問介護やデイサービス、施設サービスなどを利用したときに支払う1〜3割の利用者負担額を1か月単位で合計し、その合計額が所得区分ごとの上限額(自己負担限度額)を超えた場合、超えた分が申請にもとづいて払い戻されます[1]。
制度の定義と目的
介護サービスは要介護度が重くなるほど利用回数や利用時間が増え、それに伴って利用者負担額も増加します。高額介護サービス費は、こうした負担が過度に重くならないよう、月ごとの自己負担額に上限を設けて家計への影響を抑えるための制度です。全国の市区町村(保険者)が運営する介護保険制度の一部として、全国共通の枠組みで実施されています[1]。
この制度は各市区町村が保険者となって運営していますが、上限額の水準や区分は全国共通の基準にもとづいて定められています。そのため、住んでいる自治体によって上限額そのものが異なるということはなく、所得区分に応じて全国一律の金額が適用されます[1]。介護サービスを長期間・複数種類にわたって利用する家庭ほど、この制度の恩恵を受けやすくなります。
区分支給限度基準額との違い
混同されやすい制度に「区分支給限度基準額」があります。これは要介護度ごとに介護保険から給付される1か月あたりの上限(単位数)を定めたもので、在宅サービスをどこまで保険給付の対象として利用できるかを決める仕組みです[4]。これに対し高額介護サービス費は、実際に発生した利用者負担額(1〜3割部分)の合計に対する上限であり、両者は別の制度です。区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になった部分は、高額介護サービス費の対象には含まれません[4]。区分支給限度基準額そのものについては、区分支給限度基準額を解説した記事で詳しく説明しています。
言い換えると、区分支給限度基準額は「保険給付としてどこまで使えるか」という利用の枠を決める仕組みであり、高額介護サービス費は「実際に発生した自己負担がどこまで軽減されるか」という負担の上限を決める仕組みです。この2つは判定の基準となる金額も、申請の要否も異なるため、それぞれ別のタイミングで確認しておくとよいでしょう。
所得区分別の自己負担上限額
高額介護サービス費の上限額は、世帯の所得水準に応じて6段階に区分されています。令和3年8月利用分から適用されている上限額は次のとおりです[1]。
6段階の上限額一覧
- 課税所得690万円(年収約1,160万円)以上:140,100円(世帯)
- 課税所得380万円以上690万円未満(年収約770万〜1,160万円未満):93,000円(世帯)
- 市町村民税課税〜課税所得380万円未満:44,400円(世帯)
- 世帯全員が市町村民税非課税:24,600円(世帯)
- 前年の公的年金等収入とその他の合計所得金額の合計が80万円以下等:24,600円(世帯)/15,000円(個人)
- 生活保護を受給している方等:15,000円(世帯)
「世帯」区分は同一世帯にいる介護保険サービス利用者全員の負担額を合算した金額に対する上限、「個人」区分は利用者本人1人分の負担額に対する上限です[1]。
上記の区分は、前年の所得にもとづく市町村民税の課税状況と、公的年金等の収入額によって判定されます。同じ「非課税世帯」であっても、年金収入等の金額によって上限額が24,600円になるか、個人単位の15,000円まで適用されるかが変わってくる点は見落とされやすいポイントです[1]。
世帯単位と個人単位の判定
市町村民税課税世帯(上位3区分)は、世帯内の利用者の負担額をすべて合算して上限額を判定します。一方、年金収入等が一定以下の非課税世帯や生活保護受給者等の区分では、個人ごとの上限額も設定されており、世帯合算と個人単位のどちらか一方だけで判断できない点に注意が必要です[1]。所得区分は前年の所得や課税状況にもとづいて毎年見直されるため、収入が変わった場合は自分の区分を市区町村の窓口や通知で確認することが大切です[3]。
なお、生活保護を受給している方については、そもそも介護保険サービスの利用者負担分が生活保護の介護扶助でカバーされるケースが多く、実際に高額介護サービス費の対象になる場面は限定的です。それでも制度上は15,000円という上限額が設定されており、生活保護受給者以外でこの区分に該当するケースもあるため、区分の内容として押さえておく必要があります[1]。
令和3年8月の負担限度額見直しの内容
高額介護サービス費の上限額は、令和3年8月利用分から一部区分が見直されました。従来は課税所得380万円以上の世帯も一律44,400円が上限でしたが、見直しにより新たに「課税所得380万円以上690万円未満:93,000円」「課税所得690万円以上:140,100円」の2区分が新設されました[1]。
見直しの背景
この見直しは、負担能力に応じた負担を求める観点から、高額療養費制度(医療保険)の上限額区分との均衡を図る形で行われたものです[1][7]。世帯全員が市町村民税非課税の区分(24,600円)や生活保護受給者等の区分(15,000円)については見直しの対象外で、従来の上限額が維持されています[1]。
高額療養費制度(医療保険)では、所得水準に応じてより細かい区分と上限額が設定されており、高所得層ほど上限額が高くなる仕組みになっています。介護保険の高額介護サービス費についても、同様の考え方を取り入れる形で区分が細分化されました[1][7]。
見直しによる影響を受ける世帯
今回の見直しで上限額が引き上げられたのは、比較的所得の高い世帯に限られます。多くの世帯が該当する「市町村民税課税〜課税所得380万円未満」の上限額44,400円は変更されていません[1]。介護保険制度は定期的に見直される仕組みになっているため、今後の制度改正で上限額や区分がさらに変わる可能性がある点は念頭に置いておく必要があります。
厚生労働省の資料では、この見直しにより上限額が引き上げられる対象は、課税所得が380万円以上(年収の目安でおよそ770万円以上)の一定以上の所得がある世帯に限られるとされています[7]。多くの家庭が該当する非課税世帯や一般的な課税世帯の上限額は変わっていないため、見直しの影響を受けるかどうかは自身の所得区分を確認することが重要です。
対象になる費用・対象外の費用
高額介護サービス費の対象になるのは、介護保険サービスを利用した際の1〜3割の利用者負担額です。ただし、介護サービスに関する支出であればすべてが対象になるわけではありません。
対象になる費用
訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)、施設サービス(特別養護老人ホームや介護老人保健施設など)の介護費用にかかる1〜3割の利用者負担が対象です[3][4]。同一世帯で複数のサービスを利用している場合は、それらの負担額を合算して判定します。
短期入所生活介護(ショートステイ)や小規模多機能型居宅介護、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)といった地域密着型サービスの利用者負担も、原則として高額介護サービス費の対象に含まれます[3][4]。介護保険で1〜3割の利用者負担として扱われる費用かどうかが、対象になるかどうかの基本的な判断基準になります。
対象外になる費用
次のような費用は高額介護サービス費の対象になりません[1][4]。
- 施設サービスや短期入所における食費・居住費(滞在費)
- 福祉用具の購入費(特定福祉用具購入費)
- 住宅改修費
- 区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になった介護サービス費用
- 施設サービスにおける理美容代や日常生活費などの実費負担
また、介護保険が適用されない全額自己負担のサービス(保険外サービス)や、市区町村独自の横出しサービスの一部についても、原則として高額介護サービス費の対象外です。何が対象になるか判断に迷う場合は、支給申請の案内通知や、住所地の市区町村の窓口で個別に確認するのが確実です[4]。
食費・居住費については、所得の低い方向けに別枠の「負担限度額認定証(補足給付)」という軽減制度があります。両制度の違いは後述します。福祉用具購入費や住宅改修費は、それぞれ別の上限額・支給要件が定められた制度のため、高額介護サービス費の計算には含まれません[4]。
申請方法・必要書類・申請先
高額介護サービス費は自動的に支給されるわけではなく、初回は申請が必要です。申請先は利用者の住所地の市区町村(介護保険の窓口)です[3][5][6]。
必要書類
自治体によって多少異なりますが、一般的に次の書類が必要とされています[3][5][6]。
申請書の様式は自治体ごとに多少異なりますが、記載する内容はおおむね共通しています。大阪市の申請書のように、被保険者番号、利用者負担額、振込先口座などを記入する形式が一般的です[5]。記入内容に不明点がある場合は、窓口の担当者に確認しながら記入すると手続きがスムーズです。
- 介護保険高額介護サービス費等支給申請書
- 介護保険被保険者証
- 振込先口座が確認できる書類(預金通帳等)
- マイナンバー(個人番号)が確認できる書類
- 申請者の本人確認書類
- 利用者本人が死亡している場合は、相続人であることが分かる戸籍謄本等
申請先と申請時期
申請書は住所地の市区町村の高齢福祉課・介護保険課などの窓口で入手できるほか、多くの自治体がホームページから様式をダウンロードできるようにしています[5][6]。上限額を超えた月がある場合、後日、市区町村から申請案内の通知が送付されるのが一般的です。通知が届いてから申請する形になるため、通知を見落とさないよう注意が必要です[3]。
さいたま市の案内のように、通知が届く前に自分で概算を確認したい場合は、介護保険負担割合証や利用明細(サービス利用票の実績)を確認し、1か月分の利用者負担額を合計してみるとよいでしょう[6]。合計額が自分の所得区分の上限額を超えていそうな場合は、通知を待つ間に住所地の窓口へ相談してみるのも一つの方法です。
2回目以降は自動振込になる自治体が多い
初回の申請で振込先口座を登録すると、2回目以降は改めて申請しなくても自動的に振り込まれる取り扱いにしている自治体が多く見られます[3]。ただし運用は自治体ごとに異なるため、詳細は住所地の窓口に確認してください。
ただし、口座情報の変更や、世帯構成が変わった場合などは、改めて手続きが必要になることがあります。自動振込の対象になっているかどうかや、最新の登録口座については、通知や窓口で定期的に確認しておくと安心です[3]。
支給までの期間と受け取り方
支給までのおおよその期間
支給までの期間は自治体によって差がありますが、藤沢市の案内では、申請書を提出してから概ね2〜3か月後に指定口座へ振り込まれるとされています[3]。上限額を超えたサービス利用月から支給までにはさらに時間がかかるため、実際に手元にお金が戻るまでには数か月単位のタイムラグがあることを想定しておく必要があります。
この期間には、市区町村が介護保険の給付実績データを集計し、対象者を抽出したうえで通知を発送し、申請を受け付けてから審査・支払処理を行うまでの一連の事務手続きが含まれています。サービスを利用した月からかなり時間が経ってから通知が届くこともあるため、慌てず案内を待つことが大切です[3]。
受け取り方
支給は現金の窓口受け取りではなく、申請時に指定した口座への振込によって行われます[3][5]。振込先口座は申請者本人(または代理人)名義の口座を登録するのが一般的です。
口座情報に誤りがあったり、口座が解約されていたりすると、振込が遅れる原因になります。申請書を提出する際は、口座情報に誤りがないか、通帳のコピーなどと照らし合わせて確認しておくとよいでしょう[5]。
世帯合算の仕組み
市町村民税課税世帯(課税所得690万円以上・380万円以上690万円未満・一般の3区分)では、同一世帯内で介護保険サービスを利用している人が複数いる場合、全員の利用者負担額を合算した金額に対して上限額を適用します[1]。
合算の対象になる範囲
合算の対象になるのは、同一世帯で介護保険の被保険者証を持ち、実際に介護サービスを利用している人全員の負担額です[1]。世帯の中に利用者が1人しかいない場合は、その人の負担額のみで判定します。
例えば、夫婦それぞれが要介護認定を受けて別々の介護サービスを利用している場合、2人分の利用者負担額を合計した金額が世帯の上限額と比較されます。片方だけの負担額では上限額を超えていなくても、合算した結果として超過分が発生し、高額介護サービス費の対象になることがあります[1]。
個人単位の上限額が設定される区分
一方、非課税世帯のうち年金収入等が一定以下の区分では、世帯全体の上限額(24,600円)に加えて、個人ごとの上限額(15,000円)も設定されています[1]。これは、同じ非課税世帯であっても、収入が少ない個人の負担が過度に重くならないよう配慮した仕組みです。
個人単位の上限額が設定されているのは、世帯全体では非課税であっても、世帯内の個々人の年金収入等に差があるケースを想定した仕組みです。同一世帯であっても、必ずしも全員が同じ金額を負担するとは限らない点に注意してください[1]。
施設サービス利用者の受領委任払い制度
特別養護老人ホームなどの施設サービスを利用している場合、一部の自治体では「受領委任払い制度」を利用できます(自治体により実施の有無・運用は異なります)。これは、利用者が施設へ支払う費用をあらかじめ上限額までにとどめ、上限を超える分は市区町村が施設に対して直接支払う仕組みです[3]。
受領委任払いの仕組み
通常、高額介護サービス費は「利用者がいったん全額(1〜3割相当)を支払い、後日申請して超過分の払い戻しを受ける」という流れになります。受領委任払い制度を利用すると、利用者は最初から上限額のみを施設に支払えばよく、超過分については施設が市区町村から直接受け取る形になるため、利用者が一時的に立て替える負担が軽減されます[3]。
受領委任払い制度が使えると、利用者や家族が一時的に高額な費用を立て替える必要がなくなるため、資金繰りの負担を軽減できます。特に長期入所が想定される特別養護老人ホームなどでは、毎月の支払いが発生するため、この制度の有無によって家計への影響が大きく変わってきます[3]。
利用にあたっての注意点
受領委任払い制度は、月の途中で施設に入所・退所した場合は対象外となることがあります[3]。また、この制度を利用するには施設と自治体との間で事前の手続きが必要になる場合があるため、利用を希望する場合は入所先の施設や住所地の市区町村に確認することをおすすめします。
制度の名称や運用方法、そもそも実施しているかどうかは自治体によって異なります。この記事で紹介した仕組みは藤沢市の案内にもとづくものであり、お住まいの自治体で同様の制度があるとは限りません。施設側がすでに受領委任払いの取り扱いに対応していることも多いため、入所の契約時に施設の相談員(生活相談員・ケアマネジャー等)や住所地の市区町村に確認してみるとよいでしょう。
高額医療・高額介護合算療養費制度との違い
名称が似ているため混同されやすい制度に「高額医療・高額介護合算療養費制度」があります。これは、医療保険と介護保険の両方を利用している世帯を対象に、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間の自己負担額を合算し、基準額を超えた分を払い戻す制度です[1][2]。
計算期間の違い
高額介護サービス費は1か月単位で判定するのに対し、高額医療・高額介護合算療養費制度は1年間(8月1日〜翌年7月31日)を単位として医療費と介護費用を合算する点が大きな違いです[1]。1か月では上限額を超えなくても、1年間の医療費・介護サービス費の合計でみると負担が大きくなっているケースを救済するための制度です[1]。
例えば、ある月は介護サービスの利用者負担が上限額を超えなかったものの、別の月に医療費がかさんだ場合、単月ごとの制度だけでは救済されません。高額医療・高額介護合算療養費制度は、こうした年間を通じた負担の波を平準化する役割を果たしています[1]。
申請窓口の違い
高額介護サービス費の申請先は住所地の市区町村(介護保険の窓口)ですが、高額医療・高額介護合算療養費制度は加入している医療保険者(健康保険組合や市区町村の国民健康保険担当課等)が窓口になります[2]。どちらの制度も自動的には支給されず、申請が必要という点は共通しています。
手続きの流れとしては、まず介護保険者(市区町村)から「自己負担額証明書」の交付を受け、それを医療保険者に提出して合算後の支給額を計算してもらう、という2段階の手続きになるのが一般的です[2]。手続きが複雑に感じられる場合は、まず加入している医療保険者に問い合わせることをおすすめします。
負担限度額認定証との違い
もう一つ混同されやすいのが「負担限度額認定証(特定入所者介護サービス費)」です。これは、特別養護老人ホームや介護老人保健施設、介護医療院、短期入所(ショートステイ)を利用する際の食費・居住費(滞在費)について、所得段階に応じて負担を軽減する制度です[4]。
対象費目の違い
高額介護サービス費は介護サービス利用にかかる1〜3割の利用者負担が対象であるのに対し、負担限度額認定証は施設サービスの食費・居住費が対象です。前述のとおり、食費・居住費は高額介護サービス費の対象外となるため、この2つの制度は対象費目が明確に分かれています[1][4]。負担限度額認定証の詳しい要件は負担限度額認定証を解説した記事で説明しています。
負担限度額認定証の交付を受けるには、所得だけでなく預貯金等の資産要件も設けられており、高額介護サービス費とは審査の基準そのものが異なります[9]。施設入所を検討する際は、この2つの制度を混同しないよう、それぞれの対象費目と要件を分けて確認することが大切です。
両方を併用できるケース
施設サービスを利用している方の場合、介護サービス費については高額介護サービス費、食費・居住費については負担限度額認定証と、2つの制度をそれぞれの対象費目に応じて併用できるケースがあります。どちらも申請が必要な制度のため、施設入所を検討する際は両方の制度について住所地の市区町村に確認しておくとよいでしょう。
実際には、施設に支払う総額のうち、介護サービス費部分は高額介護サービス費の申請、食費・居住費部分は負担限度額認定証の申請というように、費目ごとに別々の手続きを踏むことになります。どちらも住所地の市区町村が窓口になっていることが多いため、まとめて相談できる場合があります。
申請忘れ・見落としがちな注意点
申請案内の通知を見落とさない
高額介護サービス費は自動的に支給される制度ではなく、上限額を超えた月がある場合に市区町村から送付される案内通知を確認したうえで、自分で申請する必要があります[3]。通知を見落とすと、本来受け取れるはずの払い戻しを受けられないままになってしまう可能性があります。
通知は普段あまり見慣れない書式で届くことが多く、他の郵便物に紛れて見落とされてしまうケースも少なくありません。特に高齢の利用者本人が一人暮らしをしている場合、家族が定期的に郵便物を確認する仕組みを作っておくと安心です。
要介護認定を受けていることが前提
高額介護サービス費は、要介護認定・要支援認定を受けて介護保険サービスを利用していることが前提の制度です。認定の申請方法や区分については要介護認定を解説した記事を参考にしてください。
要介護認定を受けていない場合や、認定の有効期間が切れている場合には、そもそも介護保険サービスの利用者負担という前提が成立しないため、高額介護サービス費の対象にもなりません。認定の更新時期を把握しておくことも、結果的に制度を正しく利用することにつながります。
申請には時効がある
高額介護サービス費の払い戻しを受ける権利には、サービスを利用した月の翌月1日から2年間という時効が定められている点にも注意が必要です。時効を過ぎると原則として払い戻しを受けられなくなるため、通知を受け取ったら早めに申請することが大切です。
時効の起算日や具体的な取り扱いは自治体によって案内が異なる場合があるため、心当たりのある過去の月について払い戻しを受けていないと感じた場合は、早めに住所地の市区町村の窓口に相談することをおすすめします。
制度改正の可能性
介護保険制度は定期的に見直しが行われる仕組みになっています。高額介護サービス費の上限額や区分についても、令和3年8月の見直しのように今後変更される可能性があるため、最新の情報は厚生労働省や住所地の市区町村の案内で確認するようにしてください[8][9]。
令和3年8月の見直しのように、上限額の区分や金額は今後の制度改正で変わる可能性があります。本記事の内容は執筆時点の情報であり、実際に申請を検討する際は、必ず住所地の市区町村やケアマネジャーを通じて最新の内容を確認してください[8][9]。
まとめ
高額介護サービス費についてのポイントを整理します。
- 1か月の介護サービス利用者負担が所得区分ごとの上限額(15,000円〜140,100円)を超えた場合、申請により超過分が払い戻される制度
- 令和3年8月利用分から、課税所得380万円以上の世帯に93,000円・140,100円の区分が新設された
- 食費・居住費・福祉用具購入費・住宅改修費・限度額超過分は対象外
- 初回は申請が必要で、住所地の市区町村が窓口。支給までには数か月かかることがある
- 高額医療・高額介護合算療養費制度、負担限度額認定証とは対象・期間・窓口が異なる別の制度
本記事で紹介した制度・金額は本記事執筆時点の情報にもとづいています。介護保険制度は定期的に見直されるため、実際に申請する際は住所地の市区町村の窓口で最新の内容を確認してください。当サイトの記事の位置づけについてはこのサイトについてで説明しています。
まず何をすればよいか迷う場合は、市区町村から高額介護サービス費の申請案内の通知が届いていれば、その案内に沿って早めに申請手続きを進めてください。まだ通知が届いていない場合は、直近1か月分の介護サービス利用者負担額の合計を介護保険負担割合証や利用明細で確認し、自分の所得区分の上限額を超えていないか確かめてみることから始めるとよいでしょう。