要介護認定とは|申請方法・認定調査・区分ごとの目安をわかりやすく解説

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目次

要介護認定は、介護保険サービスを利用するために必ず必要となる手続きです。市区町村への申請後、認定調査員による聞き取りと主治医の意見書をもとに、一次判定・二次判定を経て要支援1〜要介護5までの区分が決まります。この記事では、申請方法から結果が出るまでの流れ、認定に納得できない場合の対応まで、厚生労働省の制度情報にもとづいて解説します。

要介護認定とは何か

要介護認定とは、介護保険サービスを利用しようとする方について、どの程度の介護や支援が必要かを全国一律の基準で客観的に判定する仕組みです。市区町村が実施主体となり、認定調査の結果と主治医の意見をもとに、介護認定審査会という専門家の合議体が最終的な区分を決定します。介護保険は40歳になった時点で自動的に加入する社会保険制度ですが、保険料を納めているだけではサービスを利用できず、この要介護認定を受けて初めて給付の対象になるという点は誤解されやすいポイントです。

介護保険サービスを利用するための入り口

特別養護老人ホームへの入所や訪問介護、デイサービスなど、介護保険を使ったサービスを利用するには、必ずこの要介護認定を受けている必要があります。認定を受けていない状態では、原則として介護保険サービスを1割〜3割負担で利用することはできません。介護に関する相談や手続きの最初のステップと考えてよいでしょう。実際には、親の様子がおかしいと感じてから何をすればよいか分からず数か月が過ぎてしまうケースも少なくないため、「まず要介護認定の申請」という順番を知っておくだけでも、その後の動きが大きく変わります。なお、40〜64歳の第2号被保険者は、末期がんや初老期認知症など介護保険が定める特定疾病が原因で介護が必要になった場合に限り認定の対象となり、交通事故など特定疾病以外の原因による場合は対象外になる点も、40代・50代で親ではなく自身や配偶者の介護に直面したときに知っておきたい違いです。

要支援1・2と要介護1〜5の8区分

認定結果は、軽い順に「要支援1」「要支援2」「要介護1」「要介護2」「要介護3」「要介護4」「要介護5」の7区分と、自立(非該当)を合わせた8つの状態に分かれます。要支援は主に介護予防サービスの対象、要介護は訪問介護や施設サービスなど幅広い介護サービスの対象になります。区分が上がるほど、1か月あたりに介護保険から給付される上限額(支給限度額)も大きくなる仕組みです。要介護3以上になると、特別養護老人ホームの入所対象にもなります。要支援・要介護のいずれとも認定されない「非該当(自立)」という結果になることもあり、この場合は介護保険の給付対象にはなりませんが、多くの市区町村では介護予防のための一般向け事業を独自に用意しています。

要介護度別の状態像の目安

要支援1から要介護5までの区分は、数字が大きくなるほど重いというだけでなく、日常生活でどこまで自分でできるかの目安がある程度対応しています。ここでは、自治体が案内している目安をもとに、区分ごとのおおまかな状態像を紹介します。ただし実際の認定は、認定調査の結果と主治医意見書にもとづいて総合的に判断されるものであり、下記はあくまで一般的な傾向である点に留意してください。前述のとおり、要介護3以上になると特別養護老人ホームなど施設サービスの選択肢が広がるため、状態像の目安を知っておくことは、在宅介護を続けるか施設介護を検討するかを考えるタイミングを見極めるうえでも役立ちます。

区分状態像の目安
要支援1立ち上がりや歩行などの動作に部分的な支えを必要とすることがあるが、排泄や食事はほぼ自分で行える
要支援2立ち上がりや歩行が不安定になり、入浴や排泄の一部に介助を要することが増える
要介護1立ち上がりや歩行が不安定で、排泄や入浴の一部に介助が必要になる
要介護2立ち上がりや歩行を自力で行うことが難しい場面が増え、排泄や入浴に一部から全介助を要する
要介護3立ち上がりや歩行が自力ではできず、排泄・入浴・衣服の着脱など身の回りの動作の多くに全介助を要する
要介護4日常生活のほとんどの場面で介助が必要になり、いわゆる寝たきりに近い状態を含む
要介護5食事・排泄・衣服の着脱など生活全般にわたって全面的な介助を必要とする、最も重い区分

要支援1・2の状態像の目安

要支援1・2は、要介護状態になることを予防し、状態を維持・改善していくことを目的とした区分です。要支援1は立ち上がりや歩行の一部に支えが必要になることはあっても、排泄や食事といった生活の基本動作は自分で行える段階が目安とされています。要支援2は、要支援1に比べて立ち上がりや歩行がより不安定になり、入浴や排泄の一部で介助を要する場面が出てくる段階です。この区分では、訪問型・通所型の介護予防サービスを活用しながら、今の状態をできるだけ長く保つことが支援の中心になります。要支援と判定された段階では、要介護に比べて利用できるサービスの種類や量は限られますが、早めに介護予防サービスを取り入れることで、状態の悪化を遅らせられる場合があります。

要介護1〜3の状態像の目安

要介護1は、立ち上がりや歩行が不安定になり、排泄や入浴の一部に介助が必要になる段階が目安です。要介護2になると、立ち上がりや歩行を自力で行うことが難しい場面が増え、排泄や入浴に一部から全介助を要することがあります。要介護3では、立ち上がりや歩行が自力ではできなくなり、排泄・入浴・衣服の着脱など、身の回りの動作の多くに全介助が必要になる状態が目安とされています。要介護3以上になると特別養護老人ホームの入所対象にもなるため、在宅介護を続けるか施設介護に切り替えるかを具体的に検討し始める分かれ目になりやすい段階でもあります。要介護1・2の段階では在宅での訪問介護やデイサービスを中心に組み立てるケースが多い一方、要介護3になると、家族だけで身の回りの介助をすべて担うことが難しくなる場面が増え、施設サービスや複数のサービスを組み合わせた在宅介護の検討が現実的な選択肢として浮上してきます。どの段階でどのサービスを組み合わせるかは一律に決まるものではなく、本人の希望や家族の介護力、住環境などを踏まえてケアマネジャーと相談しながら決めていくことになります。

要介護4・5の状態像の目安

要介護4は、排泄・入浴・衣服の着脱など日常生活のほとんどの場面で介助が必要となり、いわゆる寝たきりに近い状態が含まれる段階です。要介護5は最も重い区分で、食事・排泄・衣服の着脱など生活全般にわたって全面的な介助を必要とする状態が目安とされています。区分が上がるほど、1か月あたりに介護保険から給付される区分支給限度基準額も高く設定されており、利用できるサービスの量の目安も合わせて大きくなっていきます。要介護4・5では、訪問介護や短期入所(ショートステイ)を頻繁に組み合わせても在宅での介護が難しくなる場面が多く、特別養護老人ホームや介護老人保健施設など施設サービスの利用を具体的に検討する家庭が増える段階です。

状態像はあくまで目安である理由

ここで紹介した状態像は、多くの申請者に共通する傾向を示したものであり、「この状態なら必ずこの区分になる」という一対一の基準ではありません。同じような身体状況であっても、認知症の周辺症状の有無や、介護してくれる家族の状況、住環境などによって、実際に必要とされる介護の量(要介護認定等基準時間)は変わってきます。最終的な区分は、この後で説明する認定調査の74項目の結果と主治医意見書を突き合わせ、一次判定・二次判定という2段階の審査を経て決まるものです。この記事で紹介した目安は、あくまで申請前にどの程度の支援が必要になりそうかをイメージするための参考として活用してください。実際の申請から結果通知までの流れは、次の章から順を追って説明します。

申請の方法

要介護認定は自動的に行われるものではなく、本人または家族等による申請が必要です。「そろそろ介護が必要かもしれない」と感じた時点で早めに申請しておくと、実際にサービスが必要になったときにスムーズに利用を開始できます。介護が必要になってから急いで申請すると、結果が出るまでの期間、家族だけで対応せざるを得ない状況が続いてしまうことがあります。

申請先と申請できる人

申請先は、本人が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口です。本人が申請するのが原則ですが、家族が代理で申請することもでき、遠方に住む家族が代わりに手続きすることも可能です。また、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネジャーの事業所)、指定の介護保険施設に申請の代行を依頼することもできます。特に、遠方に住む家族が実家の親の異変に気づいた場合、まずは親が住む市区町村の地域包括支援センターに電話で相談するところから始めると、申請の代行を含めて具体的な進め方を案内してもらえます。

申請に必要な書類

一般的に、要介護・要支援認定申請書、介護保険被保険者証(65歳以上の第1号被保険者の場合)、40〜64歳の第2号被保険者の場合は医療保険被保険者証が必要です。マイナンバーの記載を求められる自治体もあります。申請書には主治医の氏名・医療機関名を記入する欄があるため、事前にかかりつけ医を確認しておくとスムーズです。様式や必要書類は自治体ごとに細部が異なるため、事前に窓口やホームページで確認しておくことが望ましいでしょう。

認定調査とは

申請を受けた市区町村は、認定調査員を自宅や入院・入所先に派遣し、本人の心身の状態を確認する認定調査を行います。

74項目の聞き取り・動作確認

認定調査では、身体機能・起居動作、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応など、全国共通の74項目について、聞き取りと実際の動作確認(立ち上がる、歩くなど)を組み合わせて評価します。ふだんできていないことを「できる」と答えてしまうと、実際の状態より軽い認定結果につながる可能性があるため、家族が同席し、日頃の様子を具体的に伝えることが重要です。調査は30分から1時間程度かかることが多く、本人が緊張して普段より「しっかり」振る舞ってしまうことも珍しくありません。

主治医意見書の役割

認定調査とあわせて、市区町村がかかりつけ医(主治医)に依頼して作成される「主治医意見書」も判定の重要な材料になります。持病の状態や治療内容、認知症の有無などが記載され、認定調査の結果と合わせて審査されます。主治医がいない場合は、市区町村が指定する医師の診察を受ける必要があります。ふだんから受診している医師がいる場合は、申請前に「要介護認定の申請をする予定であること」を伝えておくと、意見書の作成がスムーズに進みやすくなります。

主治医意見書の記載内容と入手方法

主治医意見書には、認定調査だけでは分からない病状や治療の経過、心身の状態に関する医学的な情報が記載されます。二次判定を行う介護認定審査会にとって、認定調査の結果と主治医意見書を突き合わせることが、実態に即した判定を行ううえで欠かせない材料になります。ここでは、厚生労働省が示す記入の手引きにもとづき、意見書に具体的にどのような項目が記載されるかを紹介します。認定調査が申請者本人や家族への聞き取りを通じて行われるのに対し、主治医意見書は医師が作成する書類であるという違いも、内容を理解するうえでの前提になります。

傷病に関する意見

傷病に関する意見の欄には、生活機能低下の直接の原因となっている傷病名と発症時期、症状が安定しているか不安定かの見立て、投薬内容を含む治療の経過が記載されます。持病が複数ある場合は、介護の必要性に直接関わる傷病を優先して記載する仕組みになっており、単に「持病がある・ない」ではなく、その傷病が生活にどう影響しているかという観点で整理される点が特徴です。糖尿病や高血圧のように長期の管理を要する持病がある場合でも、それ自体が直ちに介護の必要性を示すわけではなく、あくまで生活機能の低下との関連性が重視されます。

心身の状態に関する意見

心身の状態に関する意見の欄には、寝たきり度の目安となる「障害高齢者の日常生活自立度」や「認知症高齢者の日常生活自立度」、短期記憶や意思決定能力といった認知症の中核症状、幻視・幻聴や徘徊といった周辺症状の有無、麻痺・褥瘡(じょくそう)・筋力低下などの身体の状態が記載されます。これらは認定調査の結果とあわせて、介護認定審査会が総合的に要介護度を判断するための重要な材料になります。特に認知症の周辺症状は、身体機能の面で大きな支障がなくても介護の負担を大きくする要因になりやすいため、主治医意見書に記載された内容が二次判定で重視される場面が少なくありません。

意見書を書いてもらうための準備

主治医意見書は、市区町村がかかりつけ医に直接依頼して作成してもらうものであり、本人や家族が記入するものではありません。ただし、申請前にかかりつけ医へ「要介護認定の申請をする予定であること」を伝えておくと、日頃の診療の中で心身の状態を意識して記録してもらいやすくなります。持病の治療で複数の医療機関にかかっている場合は、生活機能の低下に最も関わりの深い医師を主治医として申請書に記載するのが基本的な考え方です。また、意見書の作成には一定の日数がかかることが一般的であるため、申請後すぐに受診予定がない場合は、申請時点でその旨を市区町村の窓口に伝えておくと、日程調整がスムーズに進みやすくなります。

認定調査との違い

認定調査が「日常生活の中で実際に何ができて何ができないか」という生活実態を確認するのに対し、主治医意見書は「病状や治療の見通しといった医学的な視点」から心身の状態を評価するものです。この2つは互いを補い合う関係にあり、たとえば認定調査では大きな支障がないように見えても、主治医意見書に不安定な病状や今後悪化する可能性が記載されていれば、介護認定審査会はその情報も踏まえて総合的に判断します。逆に、持病があっても日常生活への影響が小さいと認定調査で確認できれば、それも判定に反映されます。どちらか一方だけでなく、生活実態と医学的な情報の両方がそろって初めて、実態に近い判定につながる仕組みになっています。

一次判定・二次判定の仕組み

認定調査と主治医意見書がそろうと、コンピュータによる一次判定と、専門家による二次判定という2段階の審査に進みます。

コンピュータによる一次判定

一次判定は、認定調査の74項目の結果を全国共通のロジックにもとづいてコンピュータで処理し、介護に必要な時間(要介護認定等基準時間)を推計して行われる機械的な判定です。全国どこで申請しても同じ基準で処理されるため、判定の客観性・公平性が担保される仕組みになっています。この一次判定はあくまで暫定的な結果であり、最終的な要介護度ではない点に注意してください。

介護認定審査会による二次判定

一次判定の結果、主治医意見書、認定調査の特記事項をもとに、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が最終的な要介護度を決定します。一次判定の結果がそのまま確定するわけではなく、認知症の周辺症状や特記事項の内容によって、一次判定より重い区分に変更されることもあります。逆に、一次判定より軽く判定されることもあり、あくまで総合的な判断が最終結果になります。介護認定審査会は市区町村ごとに複数の合議体を設置して定期的に開催されており、1回の審査会で数十件の案件をまとめて審査するのが一般的です。個別のケースについて審査会が直接家族から話を聞くことはなく、あくまで書面(認定調査票と主治医意見書)にもとづいて判定するため、認定調査の際にどれだけ具体的な情報を伝えられるかが結果を左右します。

認定結果が出るまでの期間と通知

申請から結果が通知されるまでには、一定の期間がかかります。

原則30日以内という目安

介護保険法上、認定は申請日から原則30日以内に行うこととされています。ただし、認定調査の日程調整や主治医意見書の取得に時間がかかる場合など、実際には30日を超えることも珍しくありません。特に申請が集中する時期や、主治医が多忙で意見書の作成に時間がかかる場合は、1か月以上待つこともあります。結果通知が届く前でも、暫定的なケアプランにもとづいてサービスを利用開始できる場合があるため、急ぎの場合はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談してください。

認定の有効期間と更新

認定には有効期間があり、新規申請の場合は原則6か月(状態に応じて3〜12か月の範囲で設定)、更新の場合は原則12か月(状態に応じて3〜48か月の範囲)です。有効期間が切れる前に更新申請を行う必要があり、市区町村から更新時期の案内が送付されるのが一般的です。心身の状態が変化した場合は、有効期間の途中でも区分変更申請ができます。案内が届いても手続きを後回しにしてしまい、有効期間が切れてサービスが一時的に使えなくなるケースもあるため、更新の案内が届いたら早めに手続きすることが大切です。

認定結果に納得できない場合

認定結果が実際の状態より軽い、あるいは重いと感じた場合には、いくつかの対応方法があります。

区分変更申請

心身の状態が認定時から大きく変化した場合は、有効期間の途中でも「区分変更申請」を行うことができます。通常の更新申請と同様、認定調査と主治医意見書にもとづいて再度審査されます。骨折による入院や、認知症の急速な進行など、明確な状態変化があった場合に活用される制度です。

不服申立て(審査請求)

認定の手続きや判定内容そのものに不服がある場合は、都道府県に設置されている介護保険審査会に対して審査請求(不服申立て)を行うことができます。審査請求には、原則として処分を知った日の翌日から3か月以内という期限があるため、疑問がある場合は早めに市区町村の窓口に相談することが望ましいでしょう。実務上は、まず区分変更申請で対応できないかを検討し、それでも解決しない手続き上の問題がある場合に審査請求を検討するという順序で進めることが多いです。

審査請求(不服申立て)の詳しい流れ

先に紹介した審査請求について、対象となる処分や請求先、期限、実際の手続きの流れをより詳しく確認しておきましょう。ここでは東京都の案内を例に紹介しますが、窓口の名称や電子申請の可否は自治体によって異なる場合があるため、お住まいの都道府県のホームページでも確認してください。審査請求は認定調査や主治医意見書の作成自体をやり直させる手続きではなく、あくまで既になされた処分の妥当性を審理してもらう制度である点も押さえておきましょう。

審査請求の対象となる処分

審査請求の対象になるのは、要介護・要支援認定の結果を含む「保険給付に関する処分」と、介護保険料の額の決定などの「保険料その他徴収金に関する処分」の2種類です。単に認定結果が想定より軽い・重いという不満だけでなく、認定に至る手続きそのものに誤りがあったと考えられる場合にも審査請求を行うことができます。たとえば、認定調査が実施されていない、あるいは主治医意見書が反映されないまま結果が出されたなど、手続き上の不備が疑われるケースが典型例として挙げられます。

請求先と期限

審査請求書の提出先は、都道府県に設置されている介護保険審査会(の事務局)ですが、処分を行った区市町村の介護保険担当課を経由して提出することもできます。期限は、処分があったことを知った日の翌日から起算して原則3か月以内と定められています。この期限を過ぎると審査請求ができなくなるため、認定結果に疑問がある場合は早めに市区町村の窓口へ相談することが望ましいでしょう。なお、審査請求の対象はあくまで市区町村が行った処分であり、認定調査を担当した調査員個人や、意見書を作成した医師個人の対応を問うための手続きではない点にも注意が必要です。

審査請求の手続きの流れ

審査請求書は、窓口への持参や郵送による書面提出のほか、自治体によっては電子申請にも対応しています。電子申請の場合はマイナンバーカードを用いた本人確認が必要になるなど、書面申請とは異なる準備が必要になることがあります。審査請求を行っても、それだけで直ちに要介護度が変わるわけではなく、介護保険審査会による審理を経て裁決が出るまでには一定の期間がかかります。実務上は、心身の状態が変化したことが理由であれば区分変更申請、認定の手続きそのものに問題があると考える場合は審査請求、というように使い分けて検討されることが多くあります。

審査請求と区分変更申請の使い分け

審査請求と区分変更申請は、どちらも認定結果に対応するための手段ですが、目的が異なります。区分変更申請は、骨折や病状の悪化など心身の状態そのものが変化した場合に、実態に合わせて要介護度を見直してもらうための手続きです。一方、審査請求は、心身の状態に変化がなくても、認定調査や審査の進め方といった手続きに誤りがあったと考えられる場合に、その手続きの適正さを問うための制度です。状態が変わったのであれば区分変更申請、手続きに疑問があるのであれば審査請求というように、目的に応じて手段を選ぶことが重要です。どちらが適切か判断に迷う場合は、まず市区町村の窓口やケアマネジャーに相談し、状況を整理したうえで進めるとよいでしょう。いずれの手続きも、認定結果に不満があるからといって自動的に開始されるものではなく、本人または家族が自ら申し出て初めて進む点は共通しています。

認定後にできること

要介護度が確定すると、実際にサービスを利用するための準備に進みます。

ケアプランの作成

要介護1以上の認定を受けた場合は、居宅介護支援事業所のケアマネジャーに依頼してケアプラン(居宅サービス計画)を作成してもらうのが一般的です。要支援1・2の場合は地域包括支援センターが介護予防ケアプランを作成します。ケアプランの作成費用は自己負担なく利用できます。ケアマネジャーは今後、施設探しや各種サービスの手配、家族の相談相手として長く付き合う存在になるため、相性の良い担当者に出会えるかどうかも重要なポイントです。

利用できるサービスの範囲

要介護度に応じて、1か月あたりに介護保険から給付される上限額(支給限度額)が定められています。上限内であれば自己負担割合(1〜3割)でサービスを利用でき、上限を超えた分は全額自己負担になります。訪問介護やデイサービスなど、具体的なサービス内容は訪問介護を解説した記事もあわせてご覧ください。利用できるサービスの種類は、訪問系(訪問介護・訪問看護・訪問入浴等)、通所系(デイサービス・デイケア)、短期入所(ショートステイ)、福祉用具貸与・購入、住宅改修費の支給など多岐にわたり、要介護度が上がるほど組み合わせられるサービスの選択肢も広がります。どのサービスをどの程度組み合わせるかは、本人の心身の状態、家族の介護力、費用負担のバランスを見ながらケアマネジャーと相談して決めていきます。

申請時の注意点

スムーズに、実態に即した認定を受けるために意識しておきたい点です。

調査当日はふだんの様子をそのまま伝える

認定調査の当日だけ「頑張ってできてしまう」ケースは少なくありません。調査員の前でうまくできたとしても、日頃は家族の介助が必要な場合は、その旨を具体的なエピソードとともに正確に伝えることが大切です。「先週も夜中に転倒した」「一人だと薬の飲み忘れが多い」など、具体的な出来事をメモにまとめて調査員に渡すと、認定調査の特記事項に反映されやすくなります。家族が同席することが望ましいでしょう。

入院中でも申請できる

入院中であっても要介護認定の申請は可能です。退院後の在宅介護や施設入所の準備を進めるために、退院前に申請しておくケースもよくあります。病院の医療相談員(医療ソーシャルワーカー)に相談すると、手続きの進め方について助言を受けられます。入院中は病状が不安定なこともあるため、退院後の生活を見据えた実態が反映されるよう、家族が普段(入院前)の様子もあわせて伝えることが望ましいでしょう。また、入院中の認定調査は病室で行われることが多く、点滴中や治療直後などタイミングによって本来の状態を評価しにくい場合もあるため、可能であれば病院側と調査日程を事前に調整しておくと安心です。

まとめ

  • 要介護認定は介護保険サービスを利用するための必須の手続きで、市区町村の窓口に申請する
  • 認定調査(74項目)と主治医意見書をもとに、一次判定(コンピュータ)と二次判定(介護認定審査会)を経て要支援1〜要介護5の区分が決まる
  • 結果通知までは原則30日以内が目安だが、実際には前後することがある
  • 認定には有効期間があり、更新や区分変更の申請が必要になる場合がある
  • 認定結果に納得できない場合は、区分変更申請や介護保険審査会への審査請求という手段がある

よくある質問

要介護認定はどこに申請しますか?

本人が住んでいる市区町村の介護保険担当窓口に申請します。本人のほか家族による代理申請や、地域包括支援センター・居宅介護支援事業所への申請代行の依頼も可能です。遠方に住む家族が手続きする場合は、まず本人が住む市区町村の地域包括支援センターに相談すると進め方を案内してもらえます。

認定調査ではどんなことを聞かれますか?

身体機能・起居動作、生活機能、認知機能、精神・行動障害、社会生活への適応など全国共通の74項目について、聞き取りと動作確認が行われます。ふだんの様子を具体的に伝えることが実態に即した認定につながります。

認定結果が出るまでどのくらいかかりますか?

介護保険法上は申請から原則30日以内とされていますが、認定調査の日程調整等により前後することがあります。急ぎの場合はケアマネジャーや地域包括支援センターに相談すると、暫定的なケアプランでサービスを先行利用できる場合があります。

要介護度の区分にはどんな種類がありますか?

軽い順に要支援1・要支援2・要介護1〜5の7区分と、自立(非該当)を合わせた8つの状態に分かれます。要介護3以上になると特別養護老人ホームの入所対象にもなります。

認定結果に納得できない場合はどうすればいいですか?

心身の状態が変化した場合は有効期間の途中でも区分変更申請ができます。判定手続きそのものに不服がある場合は、都道府県の介護保険審査会に審査請求を行うことができ、処分を知った日の翌日から3か月以内という期限があります。

主治医意見書にはどんなことが書かれますか?

生活機能低下の原因となる傷病名や治療の経過などの「傷病に関する意見」と、日常生活自立度や認知症の症状、麻痺・褥瘡などの「心身の状態に関する意見」が記載されます。生活実態を確認する認定調査に対して、主治医意見書は医学的な視点からの情報であり、両方をあわせて審査の材料になります。

参考・出典

  1. 要介護認定 (厚生労働省)
  2. 介護保険制度の概要 (厚生労働省)
  3. 介護サービス情報公表システムの解説 (厚生労働省)
  4. 介護保険の審査請求(不服申立て) (東京都福祉局)
  5. 要介護認定における「認定調査票記入の手引き」、「主治医意見書記入の手引き」及び「特定疾病にかかる診断基準」について (厚生労働省)
  6. 介護が必要な状態の目安 (印西市)