訪問介護とは|身体介護と生活援助の違いと1回あたりの利用料金を解説

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目次

訪問介護は、ホームヘルパーが自宅を訪問し、食事や入浴などの介助(身体介護)、掃除や調理などの家事支援(生活援助)を行う在宅介護の中心的なサービスです。この記事では、サービス内容の区分や利用料金の目安、利用の流れを厚生労働省の資料にもとづいて解説します。

訪問介護とは何か

訪問介護とは、訪問介護員(ホームヘルパー)が利用者の自宅を訪れ、入浴・排せつ・食事等の介護や、調理・洗濯・掃除等の家事を提供する介護保険サービスです。「身体介護」と「生活援助」の2つに大きく分かれており、利用者の状態やケアプランに応じて組み合わせて利用します。在宅介護を続けるうえで最も利用頻度の高いサービスの一つであり、「施設に入るほどではないが、一人で生活するのは難しい」という状態にある高齢者の生活を、自宅にいながら支える中心的な役割を担っています。1回あたりの訪問時間は20分程度の短いものから、1時間を超えるものまで、依頼する内容に応じて設定されます。「訪問介護に何ができて何ができないのか」が曖昧なまま利用を始めると、依頼したい内容が対象外だったり、逆に使えるサービスを知らずに家族だけで抱え込んでしまったりすることがあります。制度の枠組みを理解しておくことが、無理のない在宅介護を続けるための第一歩になります。

提供する事業所とホームヘルパー

サービスは、都道府県等から指定を受けた訪問介護事業所に所属するホームヘルパーが提供します。ホームヘルパーとして働くには、介護職員初任者研修や実務者研修の修了、あるいは介護福祉士などの資格が必要です。事業所には、利用者ごとの訪問スケジュールを調整し、ケアマネジャーとの連絡窓口となる「サービス提供責任者」が配置されており、担当ヘルパーとは別に、サービス内容の見直しや不安・要望の相談先として機能しています。

利用できる人

要介護認定で要介護1以上と認定された方が対象です。要支援1・2の方は、訪問介護に相当する支援を介護予防・日常生活支援総合事業(市区町村が運営する事業)で利用する形になり、制度上の枠組みがやや異なります。

身体介護の内容

身体介護は、利用者の身体に直接触れて行う介助が中心です。

食事・入浴・排せつなどの介助

食事介助、入浴介助、排せつ介助、体位変換、更衣介助、移乗・移動の介助など、利用者のADL(日常生活動作)の維持・向上を目的とした介助全般が含まれます。単に「代わりにやってあげる」のではなく、本人の自立支援や重度化防止を意識しながら、一緒に行う形で提供されるのが基本的な考え方です。例えば着替えの介助であれば、ヘルパーがすべて着せてしまうのではなく、本人が自分でできる部分(腕を通す、ボタンを留める等)は本人に行ってもらい、難しい部分だけを手伝うといった関わり方が基本になります。こうした関わりの積み重ねが、身体機能の低下を緩やかにすることにつながります。

通院等乗降介助

通院やその他の外出のために、訪問介護員が運転する車両への乗降介助、受診の手続き等を行う「通院等乗降介助」も身体介護の一区分として提供されます。いわゆる介護タクシーの利用がこれに該当します。対象となるのは、乗車前・降車後の移動介助や受診の手続きなど、移送に付随する介助が中心で、走行中の移動そのものは別途の運賃がかかる場合が多いため、費用の仕組みは事業所に個別に確認しておくと安心です。

生活援助の内容

生活援助は、身体に直接触れる介助を伴わない、日常生活を支援するサービスです。

できること(掃除・洗濯・調理など)

利用者本人の居室の掃除、衣類の洗濯、日常の買い物、調理・配膳・後片付けなどが該当します。単なる家事代行ではなく、利用者本人が自立した生活を送れるよう支援することを目的としたサービスです。一人暮らしの高齢者にとっては、食事作りや掃除が難しくなったことをきっかけに栄養状態や住環境が悪化するケースも多く、生活援助は在宅生活を継続するための土台を支える重要なサービスといえます。

できないこと(家族分の家事・大掃除など)

生活援助は利用者本人の生活維持に必要な範囲に限られるため、同居家族の食事作りや洗濯、大掃除、庭の草むしり、ペットの世話、正月やお盆等の特別な調理など、日常生活の援助に含まれない行為は原則として対象外です。事業所によって解釈の幅があるため、依頼したい内容がある場合は事前にケアマネジャーや事業所に確認しておくとよいでしょう。「これくらいなら頼めるだろう」と思っていた家事が実際には対象外だったというトラブルは多く、特に同居家族がいる世帯では線引きが曖昧になりがちです。ケアプランを作成する段階で、依頼したい家事の具体例をケアマネジャーに伝え、対象になるかどうかをリスト化しておくと後々の行き違いを防げます。

身体介護と生活援助の単位数・区分の違い

身体介護と生活援助は、提供する内容だけでなく、介護報酬(単位数)の考え方や行為ごとの区分の細かさも異なります。ここでは厚生労働省の資料にもとづいて、行為区分と時間区分ごとの単位数の仕組みを整理します。単位数は介護報酬改定のたびに見直されるため、実際の金額は事業所やケアマネジャーに確認してください。

老計10号による行為区分

身体介護と生活援助の具体的な行為は、平成12年3月17日付の厚生労働省老健局老人福祉計画課長通知(いわゆる「老計10号」)で細かく区分されています。身体介護には、排せつ・食事介助、清拭・入浴・身体整容、体位変換・移動介助、起床・就寝介助、服薬介助、自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助などが含まれます。一方の生活援助は、居室やトイレの掃除、洗濯、ベッドメイク、衣類の整理・補修、一般的な調理・配膳・後片付け、日常品の買い物や薬の受け取りなどに区分されています。同じ「掃除」でも身体に触れながら行うか触れずに行うかで扱いが変わる場合があるため、どちらに該当するかは事業所に確認するのが確実です。また、サービスの前後に行う健康チェック(顔色や体温などの確認)や換気・室温調整といった「サービス準備・記録等」も、身体介護・生活援助それぞれの一部として位置づけられています。身体介護には、利用者ができることは本人に行ってもらいながら安全を確保する「自立生活支援・重度化防止のための見守り的援助」も含まれており、単に手を貸すだけでなく、ADL(日常生活動作)やIADL(手段的日常生活動作)の維持・向上を意識した関わりが評価の対象になっている点が特徴です。

身体介護の時間区分

身体介護の介護報酬は、20分未満・20分以上30分未満・30分以上1時間未満・1時間以上(以降30分を増すごとに単位を加算)という時間区分ごとに基本の単位数が設定されています。訪問時間が長くなるほど単位数も増える一方、身体介護に引き続いて生活援助を行った場合は、その提供時間(20分以上、45分以上、70分以上といった段階)に応じた単位数が身体介護の単位数に上乗せされる仕組みになっており、身体介護と生活援助を同じ訪問の中で組み合わせて依頼することも可能です。

生活援助の時間区分

生活援助は、20分以上45分未満・45分以上という2つの時間区分で単位数が設定されており、身体介護に比べると区分がシンプルです。また、通院等乗降介助は時間ではなく1回(片道)ごとに定額の単位数が算定される仕組みになっている点が、身体介護・生活援助とは異なります。介護報酬は原則として3年に一度改定されるため、最新の単位数や自己負担額は、利用する時点の基準を事業所やケアマネジャーに確認しておくと安心です。

単位数の具体例(改定前の参考値)

社会保障審議会介護給付費分科会に提出された厚生労働省の資料(令和2年3月時点)では、指定訪問介護の基本サービス費の例として、身体介護は20分未満166単位、20分以上30分未満249単位、30分以上1時間未満395単位、1時間以上577単位(以降30分ごとに83単位を加算)、生活援助は20分以上45分未満182単位、45分以上224単位、通院等乗降介助は1回(片道)につき98単位という水準が示されていました。この例からも、身体介護は時間の刻みが細かく単位数の伸び幅が大きいのに対し、生活援助は区分が2段階とシンプルで単位数の差も小さいことが分かります。ただし介護報酬は改定のたびに見直されるため、この数値はあくまで制度の仕組みを理解するための参考値としてご覧ください。基本サービス費に加えて、夜間・早朝や深夜の時間帯にサービスを提供した場合の加算、事業所が新規に利用を開始した際にサービス提供責任者が同行する初回加算、緊急時の対応にかかる加算など、利用者の状態や事業所の体制に応じたさまざまな加算・減算が組み合わされて実際の費用が決まる仕組みになっています。なお、障害福祉サービスの事業所が要件を満たして訪問介護もあわせて提供する「共生型サービス」では、介護の資格に加えて障害福祉分野の研修を修了した職員がサービスを提供した場合に単位数が減算される取り扱いもあります。

訪問介護員(ホームヘルパー)の資格要件

訪問介護は、法令で定められた研修を修了した人だけが担うことができます。厚生労働省の資料では、身体介護・生活援助を行える「訪問介護員等」の範囲が明確に定義されています。

介護職員初任者研修

身体介護を行うために最低限必要とされるのが「介護職員初任者研修」です。厚生労働省の実施要綱では、研修は合計130時間のカリキュラムで構成されており、「職務の理解」(6時間)、「介護における尊厳の保持・自立支援」(9時間)、「介護の基本」(6時間)、「介護・福祉サービスの理解と医療との連携」(9時間)、「介護におけるコミュニケーション技術」(6時間)、「老化の理解」(6時間)、「認知症の理解」(6時間)、「障害の理解」(3時間)、「こころとからだのしくみと生活支援技術」(75時間)、「振り返り」(4時間)の10科目に加え、別途約1時間の筆記試験による修了評価が行われます。実施主体は都道府県または都道府県知事が指定した事業者です。

実務者研修等の上位資格

介護職員初任者研修よりも専門的な内容を学ぶ研修として「実務者研修」があります。厚生労働省の実施要綱では、実務者研修を修了している者は介護職員初任者研修の課程をすべて免除される扱いとされており、より上位の研修として位置づけられています。実務者研修修了者や介護福祉士は、後述するサービス提供責任者の資格要件も満たします。なお、看護師等の医療資格を持つ者についても、都道府県の判断により初任者研修の課程が免除される取り扱いになっています。

旧資格からの移行措置

介護職員初任者研修は、以前の「訪問介護員養成研修(ホームヘルパー1級・2級)」や「介護職員基礎研修」に代わる形で設けられた制度です。厚生労働省の実施要綱では、これらの旧課程をすでに修了している人は、あらためて初任者研修を受け直さなくても、初任者研修の修了要件を満たしているものとして扱われます。長年ホームヘルパーとして働いてきた人が「2級」「1級」といった呼び方をすることがあるのは、こうした制度の変遷によるものです。利用者・家族の立場では資格名の違いを厳密に把握する必要はありませんが、担当ヘルパーがどの研修を修了しているかは、サービス提供責任者に確認すれば教えてもらえます。

生活援助従事者研修

生活援助(掃除・洗濯・調理などの家事支援)のみを行う場合に必要とされるのが「生活援助従事者研修」です。厚生労働省の実施要綱によれば、この研修は「職務の理解」から「振り返り」までの9科目・合計59時間(別途約0.5時間の修了評価)で構成されており、「生活援助中心型のサービスに従事する者の裾野を広げるとともに、担い手の質を確保できるようにするため」に平成30年度から設けられた制度です。この研修の修了者は身体介護を行うことはできず、生活援助中心型のサービスにのみ従事できます。逆に、実務者研修や介護職員初任者研修をすでに修了している人は、履修科目が生活援助従事者研修の内容を包含していると認められるため、生活援助従事者研修をあらためて受講する必要はありません。

訪問介護計画とサービス提供責任者の役割

訪問介護事業所には、利用者ごとの訪問介護計画の作成やヘルパーの管理を担う「サービス提供責任者」の配置が義務付けられています。

サービス提供責任者の役割

厚生労働省の資料では、サービス提供責任者の業務として、訪問介護計画の作成、利用申込みの調整、利用者の状態変化やサービスへの意向の定期的な把握、居宅介護支援事業者(ケアマネジャー)との連携(サービス担当者会議への出席等)、訪問介護員への具体的な援助方法の指示・情報伝達、訪問介護員の業務の実施状況の把握・業務管理、訪問介護員に対する研修・技術指導などが挙げられています。ヘルパーと利用者・家族との間に立ち、サービス内容の調整役を担う立場といえます。体調の変化や生活状況の変化に気づいたときの相談先としても、サービス提供責任者は重要な窓口になります。

サービス提供責任者の資格要件

指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号)第5条第4項では、サービス提供責任者は「介護福祉士その他厚生労働大臣が定める者」でなければならないと定められています。具体的には、介護福祉士、実務者研修修了者、旧介護職員基礎研修修了者、旧訪問介護員1級課程修了者などが該当し、介護職員初任者研修の修了だけではサービス提供責任者にはなれません。配置人数は、訪問介護員等のうち利用者の数40人に対して1人以上が原則です。担当のサービス提供責任者がどの資格を持っているかは、契約時に交付される重要事項説明書やパンフレット等に記載されているのが一般的なので、気になる場合は事業所に確認するとよいでしょう。

訪問介護計画の作成

同基準第24条では、サービス提供責任者は利用者の日常生活全般の状況及び希望を踏まえて訪問介護計画を作成しなければならず、既にケアマネジャーが作成した居宅サービス計画がある場合は、その内容に沿って作成することが義務付けられています。作成した訪問介護計画は、内容について利用者または家族に説明して同意を得たうえで、利用者に交付することも定められています。ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画(ケアプラン)は複数のサービスを組み合わせた全体の計画、訪問介護計画は訪問介護に特化した具体的な実施計画という関係にあり、利用者の状態や希望が変わった際には、居宅サービス計画の見直しにあわせて訪問介護計画も更新されます。

配置基準の詳細

厚生労働省の資料によれば、サービス提供責任者は、事業所に所属する訪問介護員等のうち、利用者の数40人に対して1人以上を配置するのが原則です。ただし、常勤のサービス提供責任者を3人以上配置し、そのうち1人以上がサービス提供責任者の業務に主として従事しているなど、一定の要件をすべて満たす事業所については、利用者50人につき1人という、より緩やかな配置基準が認められています。事業所を選ぶ際に、サービス提供責任者が何人体制で、どのくらいの利用者を担当しているかを確認しておくと、対応のきめ細かさを見極める材料になります。

サービス提供時間の管理

訪問介護は時間区分ごとに単価が定められているため、決められた時間内でできることには限りがあります。「あれもこれも」と依頼したい内容が多い場合は、サービス提供責任者やケアマネジャーと相談しながら、優先順位を整理していくことが大切です。

利用料金の目安

訪問介護の利用料金は、身体介護・生活援助それぞれの提供時間に応じて単価が定められています。

自己負担割合と1回あたりの料金

自己負担割合が1割の方の場合、身体介護は20分未満で1,000円台前半、生活援助は20分以上45分未満で1,000円弱程度が目安です(地域や事業所により単価は多少異なります)。自己負担割合は所得に応じて1〜3割に分かれており、詳しくは介護保険の自己負担割合を解説した記事をご覧ください。

支給限度額との関係

要介護度ごとに1か月あたりの支給限度額が定められており、その範囲内であれば自己負担割合でサービスを利用できます。訪問介護を頻回に利用する場合は、他のサービス(デイサービスや福祉用具貸与等)とあわせて限度額内に収まるよう、ケアマネジャーがケアプランを調整します。限度額を超えた分は全額自己負担となる点に注意が必要です。

利用の流れ

訪問介護を利用するまでの一般的な流れを整理します。

ケアプランへの組み込み

要介護認定を受けた後、ケアマネジャーと相談しながら、訪問介護をどの程度・どの内容で利用するかをケアプランに組み込みます。本人・家族の希望と、支給限度額のバランスを見ながら調整するのが一般的な流れです。

事業所選びのポイント

訪問介護事業所は地域に複数あることが多く、ケアマネジャーが候補を紹介してくれます。対応可能な時間帯、担当ヘルパーの変更のしやすさ、緊急時の対応体制などを確認しておくと、長く安心して利用できます。担当ヘルパーとの相性は利用継続のしやすさに直結するため、「相性が合わないと感じたら変更を相談できるか」をあらかじめ確認しておくと、いざというときに我慢し続けずに済みます。事業所によっては、複数のヘルパーがローテーションで訪問する体制を取っているところもあります。

同居家族がいる場合の生活援助制限の詳しい運用ルール

生活援助は、同居家族がいる場合には原則として利用できません。ただし厚生労働省は、個々の事情を踏まえずに一律機械的に判断しないよう自治体に通知しており、一定の条件を満たせば利用が認められることがあります。

原則としての利用制限

生活援助は、利用者本人の日常生活の維持に必要な範囲のサービスであるため、同居する家族が家事を担える状態にある場合は、原則として保険給付の対象になりません。これは、介護保険が「本人ができないことを補う」制度であり、家族の家事を肩代わりすることまでは想定していないという考え方にもとづいています。厚生労働省は、同居家族の有無だけを基準に一律・機械的に判断することのないよう都道府県に通知していますが、あくまで「原則不可、例外的に可」という位置づけである点に注意が必要です。

やむを得ない事情の具体例

自治体の運用資料によると、利用が認められうる「やむを得ない事情」としては、同居家族が障がいや疾病等のために家事を行うことができない場合、日中独居となる時間帯にサービスを利用しないと本人の心身の状態に影響が生じる場合、家族関係にきわめて深刻な問題があり援助が期待できない場合などが挙げられています。一方で、「関係があまり良くない」「家事に慣れていない」といった理由だけでは対象として認められないとされています。

アセスメントと相談の流れ

生活援助の利用が必要かどうかは、ケアマネジャーが利用者・家族の生活状況を具体的にアセスメントし、その内容を記録したうえで判断されます。同居家族がいるからといって自己判断であきらめず、家族の就労状況や健康状態、介護への関わり方など家庭の状況を具体的にケアマネジャーへ伝え、必要性を丁寧に説明することが、適切な支給判断につながります。

自治体ごとの運用の違いに注意する

同居家族がいる場合の生活援助の可否は、最終的には保険者である市区町村が個別に判断します。厚生労働省の通知を踏まえたうえで、判断の目安をより具体的なチェックリストや様式にまとめて公表している自治体もあれば、ケアマネジャーからの相談ごとに個別判断している自治体もあり、運用の細部には差があります。引っ越しなどで保険者が変わる場合は、それまで認められていた生活援助が同じ条件で継続利用できるとは限らないため、転居の際は早めにケアマネジャーへ相談しておくとよいでしょう。

困ったときの相談先

同居家族がいることを理由に生活援助を断られた、あるいは判断に納得できないという場合は、担当のケアマネジャーにあらためて事情を説明するほか、ケアマネジャーが所属する居宅介護支援事業所や、市区町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センターに相談する方法もあります。地域包括支援センターは、高齢者の総合的な相談窓口として市区町村が設置している機関で、ケアマネジャーとは別の立場から状況を整理してもらえることがあります。

生活援助の回数が多い場合のケアプラン点検の仕組み

生活援助を頻回に利用するケアプランについては、市区町村への届出とケアプラン点検の仕組みが設けられています。

市町村への届出が必要になる回数基準

厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護(平成30年厚生労働省告示第218号)では、生活援助中心型の訪問介護を1か月に一定回数以上位置づける場合に、市区町村への届出が必要になる基準回数が要介護度ごとに定められています。基準回数(1か月あたり)は、要介護1で27回、要介護2で34回、要介護3で43回、要介護4で38回、要介護5で31回です。この基準は要介護1〜5の認定を受けた方が対象で、要支援1・2の方が利用する介護予防・日常生活支援総合事業のサービスには、この告示の基準回数はそのまま適用されません。

届出からケアプラン点検までの流れ

基準回数以上の生活援助を位置づけたケアプランを作成する場合、ケアマネジャーはその必要性をケアプランに記載したうえで、市区町村に届け出ることが求められます。届け出られたケアプランは、地域ケア会議などの場で多職種によって検討され、必要に応じてケアマネジャーに対してケアプランの是正が促されることがあります。この届出の対象は、あくまで生活援助中心型の訪問介護であり、身体介護中心型のサービスや身体介護に引き続いて行う生活援助の回数は、この基準回数には含まれません。

制度導入の背景と目的

この仕組みは、2018年度(平成30年度)の介護報酬改定にあわせて、同年10月から導入されました。厚生労働省は、この仕組みについて、生活援助の利用そのものを制限することを目的としたものではなく、多職種の視点でケアプランの内容を確認し、より適切なサービス利用につなげることを目的としていると説明しています。届出をしたからといって、その時点で自動的にサービスの利用が止まったり減らされたりするわけではなく、あくまでケアプランの内容を確認するための仕組みである点を理解しておくと安心です。

訪問介護と他の在宅サービスとの違い

在宅介護サービスにはいくつかの種類があり、目的によって使い分けます。

訪問看護との違い

訪問看護は、看護師等が医療的な処置(点滴、褥瘡の処置、健康状態の管理など)を目的に訪問するサービスで、医師の指示書にもとづいて提供されます。訪問介護が生活面の介助を中心とするのに対し、訪問看護は医療的なケアが中心という違いがあります。両方を組み合わせて利用するケースも多くあります。

デイサービスとの違い

デイサービス(通所介護)は、利用者が施設に通い、日中を過ごしながら入浴や食事、機能訓練などを受けるサービスです。訪問介護が自宅にヘルパーが来る形式であるのに対し、デイサービスは利用者が外出して施設に通う点が異なります。家族の介護負担軽減(レスパイト)の効果も期待できるサービスです。訪問介護は「住み慣れた自宅で生活を続けたい」というニーズに応える一方、デイサービスは「日中の孤立を防ぎ、他者との交流機会を作る」という側面が強く、実際には両方を組み合わせて利用する在宅介護のケースが多く見られます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護との違い

在宅で24時間の支援体制を確保する目的で創設されたサービスに「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」があります。厚生労働省の資料によれば、このサービスは訪問介護と訪問看護の両方を一体的または密接に連携しながら提供し、日中・夜間を通じて定期的な巡回訪問と、利用者からの通報による随時の訪問を組み合わせる仕組みとして、平成24年(2012年)4月に創設されました。訪問介護が個別に組んだ訪問予定にもとづいてサービスを提供するのに対し、定期巡回・随時対応型訪問介護看護は1日に複数回、短時間の訪問を随時行える点や、事業所と同じ市区町村に住民票がある人が対象となる地域密着型サービスである点が異なります。厚生労働省の基準では、定期巡回サービスを行う訪問介護員等は介護福祉士、実務者研修修了者、介護職員初任者研修修了者などとされており、資格要件そのものは通常の訪問介護と共通する部分が多くあります。頻回の見守りや夜間の随時対応が必要になってきた場合は、担当のケアマネジャーに、訪問介護のままで対応するか、定期巡回・随時対応型訪問介護看護への切り替えを検討するか相談するとよいでしょう。

まとめ

  • 訪問介護は、ホームヘルパーが自宅で行う「身体介護」と「生活援助」の2つに大きく分かれる
  • 身体介護は食事・入浴・排せつ等の介助、生活援助は掃除・洗濯・調理等の家事支援が中心で、時間区分や担当できる資格も異なる
  • 利用料金は自己負担1割の場合、身体介護・生活援助ともに1回数百円〜1,000円台が目安
  • 要介護度ごとの支給限度額の範囲内でケアプランに組み込んで利用し、サービス提供責任者が訪問介護計画を作成する
  • 同居家族がいる場合の生活援助には利用制限があり、生活援助の回数が多いケアプランは市区町村への届出が必要になることがある

よくある質問

訪問介護と訪問看護の違いは何ですか?

訪問介護は生活面の介助(身体介護・生活援助)が中心のサービスです。訪問看護は看護師等が医師の指示にもとづいて点滴や褥瘡処置などの医療的ケアを行うサービスで、目的とスタッフの職種が異なります。

生活援助では大掃除や庭の手入れも頼めますか?

原則としてできません。生活援助は利用者本人の日常生活維持に必要な範囲に限られ、大掃除、庭の草むしり、ペットの世話などは対象外です。

訪問介護の利用料金はいくらですか?

自己負担割合1割の場合、身体介護は20分未満で1,000円台前半、生活援助は20分以上45分未満で1,000円弱程度が目安です。要介護度ごとの支給限度額の範囲内であればこの負担割合で利用できます。

同居家族がいると生活援助は使えませんか?

原則として利用が制限されますが、家族が障害・疾病等で家事が困難な場合など、やむを得ない事情があれば市区町村の判断で利用が認められることがあります。ケアマネジャーに相談してください。

要支援でも訪問介護は利用できますか?

要支援1・2の方は、訪問介護そのものではなく、市区町村が運営する介護予防・日常生活支援総合事業の中で類似のサービスを利用する形になります。

生活援助の回数が多いとケアプランはどうなりますか?

厚生労働省が定めた基準回数(要介護1で27回等、1か月あたり)以上の生活援助を位置づける場合、ケアマネジャーはその必要性をケアプランに記載し、市区町村に届け出る必要があります。届け出られたケアプランは地域ケア会議などで多職種による検討が行われます。

参考・出典

  1. 各介護サービスについて(訪問介護等) (厚生労働省)
  2. 介護保険制度の概要 (厚生労働省)
  3. 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第37号) (厚生労働省)
  4. 厚生労働大臣が定める回数及び訪問介護(平成30年厚生労働省告示第218号) (厚生労働省)
  5. 同居家族等がいる場合における訪問介護サービス等の生活援助の取扱いについて (厚生労働省)
  6. 介護員養成研修事業の実施について(老振発0328第9号) (厚生労働省)
  7. 定期巡回・随時対応型訪問介護看護の概要(社会保障審議会介護給付費分科会資料) (厚生労働省)