介護保険料とは|40歳からの徴収方法と全国平均額をわかりやすく解説

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目次

介護保険料は、40歳になったすべての方に納付義務が生じる社会保険料です。年齢によって第1号被保険者と第2号被保険者に分かれ、徴収方法も金額の決まり方も異なります。介護保険制度は3年ごとに見直されるため、保険料の基準額や所得段階も改定のたびに変わります。この記事では、第2号・第1号それぞれの仕組み、全国平均額の推移、所得段階別の内訳、特別徴収の時期、引っ越し時の扱いまで、厚生労働省の公表資料にもとづいて詳しく解説します。サービス利用時の自己負担割合との違いなど、混同しやすいポイントもあわせて整理しています。

介護保険料とは何か

介護保険料とは、介護保険制度を支えるために、40歳以上のすべての方が納める社会保険料です。介護保険は、この保険料と公費(税金)を財源として運営されており、実際に要介護認定を受けてサービスを利用する際の1〜3割負担を除いた部分は、この財源から給付されています。

40歳になると加入義務が生じる

介護保険は40歳になった月(正確には40歳の誕生日の前日が属する月)から加入義務が生じ、以降は原則として生涯にわたって保険料を納め続けます。手続きは自動的に行われるため、本人が窓口で加入手続きをする必要はありません。

第1号被保険者と第2号被保険者の違い

介護保険の被保険者は、65歳以上の「第1号被保険者」と、40歳から64歳までの「第2号被保険者」に分かれます。両者は保険料の決まり方・徴収方法だけでなく、介護保険サービスを利用できる条件も異なります。第2号被保険者は、末期がんや脳血管疾患など介護保険が定める特定疾病が原因の場合に限りサービスを利用できます。具体的には、末期のがん、関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、後縦靭帯骨化症、骨折を伴う骨粗鬆症、初老期における認知症、進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症およびパーキンソン病、脊髄小脳変性症、脊柱管狭窄症、早老症(ウェルナー症候群等)、多系統萎縮症、糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症および糖尿病性網膜症、脳血管疾患、閉塞性動脈硬化症、慢性閉塞性肺疾患、両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症の16種類が対象です。交通事故によるけがなど、これら以外が原因の場合は、40〜64歳の間は介護保険サービスを利用できません。

第2号被保険者(40〜64歳)の保険料

40歳から64歳までの方は、加入している医療保険にあわせて保険料を納めます。

医療保険料とあわせて徴収される

会社員等で健康保険に加入している場合は、健康保険料と一体で給与や賞与から天引きされます。自営業等で国民健康保険に加入している場合は、40歳になると国民健康保険料に介護保険料分が自動的に上乗せされます。いずれの場合も、個別に納付書が届くわけではなく、普段の保険料に組み込まれる形になります。

保険料の決まり方

健康保険加入者の場合、介護保険料は給与等をもとにした標準報酬月額および賞与にもとづく標準賞与額に、加入している医療保険者ごとの介護保険料率を掛けて計算されます。多くの場合、会社と本人が半分ずつ負担する労使折半の仕組みになっています。

加入する医療保険によって算定方法が異なる

第2号被保険者の介護保険料は、加入している医療保険の種類によって計算の仕組みが異なります。健康保険組合や協会けんぽなどの被用者保険に加入している場合は、標準報酬月額および標準賞与額に、保険者ごとに定められた介護保険料率を掛けて算定され、原則として事業主と本人が半分ずつ負担する労使折半です。介護保険料率は健康保険組合ごとに独自に設定されているため、同じ給与水準でも加入先によって金額が変わります。また、2017年度(平成29年度)の制度改正により、被用者保険者間で負担する介護納付金は、加入者数に応じた「加入者割」から、報酬水準に応じた「総報酬割」へと段階的に移行しました。これにより、報酬水準の高い健康保険組合等ほど、介護納付金の負担額が相対的に重くなる仕組みになっています。一方、自営業者等が加入する国民健康保険では、世帯単位で「所得割額」(世帯の所得に応じた金額)と「均等割額」(40〜64歳の加入者数に応じた金額)を組み合わせて算定するのが一般的で、多くの市区町村では医療分・後期高齢者支援金分とは別に「介護納付金分」として計算されます。たとえば東京都世田谷区の令和6年度の例では、介護納付金分の所得割率は2.43%、均等割額は加入者1人あたり年額17,800円、世帯の限度額は17万円です。保険料率や均等割額は市区町村ごとに毎年見直されるため、実際の金額は住んでいる自治体で確認する必要があります。第2号被保険者から集められた保険料は、社会保険診療報酬支払基金でいったん全国プールされたのち、各市区町村に交付金として配分される仕組みになっています。

第1号被保険者(65歳以上)の保険料

65歳になると、それまでの医療保険料と一体だった徴収方法から切り替わります。

原則として年金から天引き(特別徴収)

65歳以上の方は、市区町村が個別に保険料を決定・徴収します。年額18万円以上の公的年金を受給している場合は、原則として年金から自動的に天引きされる「特別徴収」という方法が取られます。年金額がこれに満たない場合は、市区町村から送られる納付書や口座振替で納める「普通徴収」になります。市区町村は毎年6〜7月頃に前年の所得をもとに保険料額を確定させ、被保険者へ保険料額決定通知書を送付します。特別徴収・普通徴収それぞれの具体的な時期については、後の章で詳しく解説します。

全国平均は月額6,225円(第9期)

厚生労働省の発表によると、第9期(2024〜2026年度)における第1号保険料の基準額は、全国平均で月額6,225円です。前期の第8期(2021〜2023年度、月額6,014円)と比べて3.5%の増加となっており、介護サービスの利用者数や単価の増加とともに、基準額は改定のたびに見直されています。

保険料に地域差がある理由

介護保険料は全国一律ではなく、住んでいる市区町村によって金額が異なります。

市区町村ごとに基準額が決まる仕組み

介護保険は市区町村が運営主体(保険者)となっており、それぞれの地域の高齢化率やサービス利用の見込み量にもとづいて、3年ごとに保険料の基準額が設定されます。高齢者が多く介護サービスの利用が多い地域ほど、必要な財源も増えるため、保険料が高くなる傾向があります。また、特別養護老人ホーム等の施設サービスは在宅サービスより給付費が高くなりやすいため、施設サービスの整備が進んでいる市区町村ほど保険料が高くなる傾向も見られます。実際に、第9期における全国1,573保険者の基準額を比べると、最も高いのは大阪府大阪市の月額9,249円、最も低いのは東京都小笠原村の月額3,374円で、その差は約2.7倍に達します。また、第8期からの改定状況を見ると、基準額を引き上げた保険者が712(45.3%)、据え置いた保険者が585(37.2%)、引き下げた保険者が276(17.5%)となっており、地域によって上昇・下落の方向性も分かれています。

所得に応じた段階別の保険料

第1号被保険者の保険料は、基準額を軸に、本人・世帯の所得水準に応じて段階的に増減する仕組みになっています。第9期からは、より所得の高い層への負担を求める観点から、従来の9段階から13段階に細分化されました。同じ市区町村内でも、所得によって実際に納める金額は異なります。段階ごとの具体的な倍率は、次の章で詳しく解説します。

第9期における所得段階別保険料の詳しい内訳

第9期(2024〜2026年度)の第1号保険料は、基準額を1.0倍として、本人・世帯の市町村民税課税状況と所得水準に応じて13段階に区分されています。第8期までの9段階から、より所得の高い層に負担を求め、低所得層の負担を抑える方向で細分化されました。

基準額に対する13段階の倍率

厚生労働省が示す全国標準の段階区分と、基準額に対する乗率(公費による軽減後の最終的な乗率)は次のとおりです。

  • 第1段階(生活保護受給者、老齢福祉年金受給者、世帯全員が市町村民税非課税かつ本人の年金収入等80万円以下):基準額×0.285
  • 第2段階(世帯全員が市町村民税非課税かつ本人の年金収入等80万円超120万円以下):基準額×0.485
  • 第3段階(世帯全員が市町村民税非課税かつ本人の年金収入等120万円超):基準額×0.685
  • 第4段階(世帯に課税者がいるが本人は非課税、年金収入等80万円以下):基準額×0.9
  • 第5段階(世帯に課税者がいるが本人は非課税、年金収入等80万円超。基準額そのもの):基準額×1.0
  • 第6段階(本人が市町村民税課税、合計所得金額120万円未満):基準額×1.2
  • 第7段階(合計所得金額120万円以上210万円未満):基準額×1.3
  • 第8段階(210万円以上320万円未満):基準額×1.5
  • 第9段階(320万円以上420万円未満):基準額×1.7
  • 第10段階(420万円以上520万円未満):基準額×1.9
  • 第11段階(520万円以上620万円未満):基準額×2.1
  • 第12段階(620万円以上720万円未満):基準額×2.3
  • 第13段階(720万円以上):基準額×2.4

これは全国標準の段階設定であり、市区町村によっては独自にさらに段階を細分化している場合もあります。自分がどの段階に該当するかは、市区町村から送付される保険料額決定通知書で確認できます。

公費による低所得者軽減措置

第1段階から第3段階までの低所得層については、標準的な乗率よりもさらに軽減した乗率が適用されており、その差額分は公費(国・都道府県・市区町村の税金)でまかなわれています。令和6年度予算では、この低所得者軽減のために国費595億円が充てられています。たとえば第1段階は、公費による軽減がなければ基準額×0.455となるところを、軽減後は×0.285まで引き下げられています。低所得の方ほど保険料負担が重くならないよう配慮した仕組みになっている点が特徴です。なお、この軽減措置の基準となる年金収入額の目安(80万円)は、老齢基礎年金の満額支給額の変動にあわせて見直されることがあります。

段階ごとの保険料額を計算する例

実際の年間保険料額は、「基準額×該当する段階の乗率」で概算できます。第9期の全国平均基準額(月額6,225円)をもとに計算すると、たとえば基準額どおりの第5段階では月額約6,225円、負担が軽減される第1段階では月額約1,774円(6,225円×0.285)、所得が比較的高い第9段階(合計所得金額320万円以上420万円未満)では月額約10,583円(6,225円×1.7)、逆に負担が最も重くなる第13段階では月額約14,940円(6,225円×2.4)となります。ただし、これはあくまで全国平均を用いた概算であり、実際の金額は住んでいる市区町村が定める基準額によって異なります。正確な金額は、毎年送付される保険料額決定通知書で確認してください。

介護保険料の推移(第1期〜第9期)

介護保険が始まった2000年度から、第1号保険料の全国平均額(月額・加重平均)は、改定のたびに上昇を続けています。

制度開始からの上昇の推移

  • 第1期(2000〜2002年度):2,911円
  • 第2期(2003〜2005年度):3,293円(+13.1%)
  • 第3期(2006〜2008年度):4,090円(+24.2%)
  • 第4期(2009〜2011年度):4,160円(+1.7%)
  • 第5期(2012〜2014年度):4,972円(+19.5%)
  • 第6期(2015〜2017年度):5,514円(+10.9%)
  • 第7期(2018〜2020年度):5,869円(+6.4%)
  • 第8期(2021〜2023年度):6,014円(+2.5%)
  • 第9期(2024〜2026年度):6,225円(+3.5%)

制度開始時と比べると、第9期の基準額は約2.1倍に達しています。

上昇が続く背景

保険料の上昇には、主に2つの要因が関係しています。1つは65歳以上人口の増加です。第1号被保険者数は2000年4月末の2,165万人から2024年4月末には3,591万人へと約1.7倍に増え、あわせて要介護・要支援認定者数も218万人から710万人へと約3.3倍に増加しました。もう1つは介護サービスの利用拡大です。在宅サービスの利用者数は約4.4倍、施設サービスの利用者数は約2.0倍に増えており、給付費・地域支援事業費全体も制度開始年度(2000年度)の3.2兆円から、直近では11兆円規模にまで拡大しています。85歳以上の人口は2035年頃まで一貫して増加する見込みであり、給付費・保険料は今後も上昇が続くと見込まれています。保険料は給付費の一定割合を賄う仕組みのため、給付費が増えるほど基準額も上昇する構造になっています。介護サービス事業者に支払われる介護報酬の改定率も保険料に影響する要素の1つで、令和6年度改定は+1.59%(うち介護職員の処遇改善分+0.98%)でした。次期の第10期(2027年度〜)に向けても、社会保障審議会介護保険部会で制度のあり方が継続的に議論されています。

第10期に向けて検討されている見直し

2027年度から始まる第10期に向けては、第1号保険料の負担のあり方や、利用者負担が2割となる所得範囲の見直しなどが論点として挙げられており、第10期計画期間の開始までに結論を得る方針で議論が進められています。また、多床室(相部屋)の室料負担については、一部の施設で2025年8月から新たに月額8,000円相当の負担が導入されました。介護保険は法改正や告示の見直しにより、保険料や自己負担の基準が変わることがあるため、最新の情報は厚生労働省や居住する市区町村の公表資料で確認することが大切です。

特別徴収と普通徴収の仕組みと時期

65歳以上の第1号被保険者の保険料は、「特別徴収」と「普通徴収」のいずれかの方法で徴収されます。どちらになるかは、受給している年金の種類と金額によって決まります。

仮徴収と本徴収の違い

年金は年6回、偶数月(4月・6月・8月・10月・12月・2月)に支給されます。特別徴収では、このうち4月・6月・8月分は「仮徴収」、10月・12月・2月分は「本徴収」として天引きされます。仮徴収は、前年の所得が確定する6月頃まで正式な保険料額が決まらないため、前年度の保険料額等をもとに算定した暫定額を徴収するものです。本徴収では、その年度の正式な保険料額(年額)から仮徴収分の合計を差し引いた残りの額を、10月・12月・2月の3回に分けて徴収します。たとえば年額74,700円(月額6,225円×12か月相当)の保険料の場合、仮徴収期間(4〜9月)は前年度の特別徴収額をもとにした金額が、本徴収期間(10月〜翌3月)は年額から仮徴収分を差し引いた残額が、それぞれ年金支給のたびに分割して徴収されるイメージです。

普通徴収になるケース

次のような場合は、年金天引きではなく、市区町村から送られる納付書や口座振替で納める「普通徴収」になります。

  • 受給している年金が年額18万円未満の場合
  • 年度の途中で65歳になった場合や、他の市区町村から転入した場合(特別徴収の対象者として抽出されるまでの一定期間)
  • 介護保険料と国民健康保険料・後期高齢者医療保険料などの合算額が、特別徴収対象となる年金額の2分の1を超える場合

特別徴収の対象になるかどうかは、市区町村が年金保険者から送られる年金受給者の情報をもとに、年に数回のタイミングで判定しています。

普通徴収の期間中に滞納すると督促の対象になるため、口座振替の利用など、納め忘れを防ぐ工夫をしておくことが望ましいといえます。

65歳になった年度・転入した年度の流れ

年度の途中で65歳になった場合や、他の市区町村から転入した場合は、最初から年金天引きにはならず、いったん普通徴収でスタートします。市区町村が年金保険者から対象者情報の提供を受けて特別徴収の対象者を判定し、原則として一定の準備期間を経たうえで、翌年度以降に特別徴収へ切り替わる仕組みです。切り替えの時期になると、市区町村から特別徴収が始まる旨の通知が送付されます。

引っ越し・転出時の保険料の扱い

介護保険は市区町村ごとに運営されているため、住所を移すと、原則として保険料の納め先も変わります。

原則は転入先の市区町村が保険者になる

自宅を引っ越して他の市区町村に住所を移した場合、原則として転入先の市区町村が新たな保険者となり、その市区町村の基準額・段階にもとづいて保険料が再計算されます。要介護認定を受けている場合は、転出前の市区町村から「受給資格証明書」の交付を受け、転入先の市区町村に14日以内に提出することで、認定の効力を引き継ぐことができます。この手続きを忘れると、認定がいったん失効し、あらためて申請が必要になる場合があるため注意が必要です。あわせて、介護保険被保険者証や負担割合証も転入先の市区町村で新たに交付されるため、窓口での再交付手続きが必要です。

住所地特例という例外

ただし、特別養護老人ホーム・介護老人保健施設・介護医療院・養護老人ホーム・軽費老人ホーム(ケアハウス)・有料老人ホームなど、介護保険法で定められた施設に入所するために住所を移した場合は、「住所地特例」という例外が適用されます。この場合、施設のある市区町村ではなく、施設に入る前に住んでいた市区町村が引き続き保険者となり、保険料もその市区町村に納め続けます。これは、施設が多く立地する市区町村に保険料負担が集中してしまうことを防ぐための仕組みです。なお、住所地特例の対象になった方でも、施設が所在する市区町村が運営する地域密着型サービス(小規模多機能型居宅介護など)については、特例的に利用できる場合があります。住所地特例の対象施設に該当するかどうかは施設の種類によって決まっているため、入所前に転出元の市区町村の窓口で確認しておくとよいでしょう。

保険料を滞納するとどうなるか

介護保険料の未納には、通常の税金の滞納とは異なるペナルティが設けられています。

給付制限のペナルティ

保険料を滞納すると、滞納期間の長さに応じて、介護保険法にもとづく段階的な給付制限が課されます。目安として、滞納が1年以上続くと、サービス利用時にいったん費用の全額を自己負担し、あとから保険給付分の払い戻しを受ける「支払方法の変更」(介護保険法第66条、いわゆる償還払い化)が行われます。さらに滞納が続くと、この払い戻し(保険給付)そのものが一時的に差し止められる場合があります(同法第67条)。それでも滞納が解消されない場合は、時効により納付できなくなった保険料期間に応じて、自己負担割合が3割に引き上げられたり、高額介護サービス費等の対象外になったりする「給付額の減額等」(同法第69条)が課されます。これらの給付制限は、市区町村が個別に保険料を徴収する第1号被保険者を対象としたもので、医療保険料と一体で徴収される第2号被保険者は、通常はこうした滞納が生じにくい仕組みになっています。

支払いが難しい場合はまず相談する

収入の減少などで保険料の納付が難しい場合は、滞納したまま放置せず、早めに市区町村の介護保険担当窓口に相談することが重要です。多くの市区町村では、災害により大きな損害を受けた場合や、世帯の生計を支える方が失業・倒産・長期入院した場合など、収入が著しく減少した際の保険料減免制度を設けています。所得状況に応じた減免制度が用意されている場合があるため、まずは窓口で相談することが望ましいといえます。一時的に納付が難しい場合は、分割納付(複数回に分けての支払い)に応じてもらえることもあります。

介護保険料と自己負担割合の違い

介護保険料と、サービスを利用したときの自己負担割合は、どちらも「介護保険に関するお金」ですが、性質がまったく異なるものです。混同されやすいため、ここで整理しておきます。

保険料は「制度を支えるための負担」

介護保険料は、要介護状態になっているかどうかにかかわらず、40歳以上のすべての方が、制度を維持するために継続的に納める負担です。サービスを一度も利用していなくても、納付義務は生じます。金額は年齢区分(第1号・第2号)や所得段階に応じて決まり、原則として年に一度、市区町村(第1号)または医療保険者(第2号)から通知されます。転居や退職などで加入する制度が変わっても、40歳以上である限り、いずれかの形で保険料を納め続けることになります。

自己負担割合はサービスを使うときの負担

自己負担割合は、実際に介護サービスを利用した際に、費用の一部を利用者が支払う割合のことです。原則は1割ですが、本人の所得水準に応じて2割・3割になる場合があります。サービスを利用していない月は、自己負担は発生しません。つまり、保険料は「加入していること自体にかかる費用」、自己負担割合は「実際にサービスを使った分にかかる費用」という違いがあります。

どちらも所得水準に応じて重くなる仕組み

保険料と自己負担割合には共通点もあります。それは、どちらも所得水準が高いほど負担が重くなるように設計されている点です。保険料は所得段階(第1号被保険者は13段階)に応じて基準額の0.285倍から2.4倍まで変動し、自己負担割合も所得に応じて1割・2割・3割と変わります。ただし、両者の判定基準となる所得の計算方法や基準額はそれぞれ別に定められているため、保険料の段階が低いからといって自己負担割合も必ず低くなるとは限らない点に注意が必要です。

保険料は何に使われるか

集められた介護保険料は、公費(国・都道府県・市区町村の税金)とあわせて、要介護認定を受けた方が施設サービスなどを1〜3割の自己負担で利用できるようにするための財源として使われます。40歳以上の方全体で支え合う仕組みになっている点が、介護保険制度の基本的な考え方です。令和7年度予算では、介護給付費は13.2兆円、利用者負担等を含めた総費用ベースでは14.3兆円の規模に達しています。

公費(税金)と保険料で50%ずつ支える

介護保険の財源は、公費(税金)50%と保険料50%で構成されています。公費の内訳は、国が25%(このうち5%は市区町村間の財政力の差を調整する調整交付金)、都道府県が12.5%、市区町村が12.5%です。施設サービスの給付分については、国20%・都道府県17.5%と負担割合が異なります。調整交付金は、第1号被保険者に占める75歳以上の高齢者の割合や所得段階別の分布状況などに応じて市区町村ごとに配分が調整される仕組みで、後期高齢者や低所得者の割合が高い市区町村ほど保険料が不利に高くならないよう配慮されています。

第1号保険料と第2号保険料の負担割合

保険料50%のうち、第1号被保険者と第2号被保険者の負担割合は、両者の人口比に応じて3年ごとに見直されます。第9期(2024〜2026年度)は、第1号保険料が23%、第2号保険料が27%です。第2号被保険者の人数のほうが多いため、第2号の負担割合がやや大きくなっています。この負担割合は人口比に応じて見直されるため、65歳以上人口の増加とともに第1号の割合は緩やかに上昇する傾向にあり、第6期(2015〜2017年度)の22%から、第9期には23%へと増えています。この割合は、次の第10期(2027年度〜)に向けてあらためて見直される予定です。

まとめ

  • 介護保険料は40歳になったすべての方に納付義務が生じる社会保険料で、第9期の第1号保険料の全国平均は月額6,225円(制度開始時の約2.1倍)
  • 40〜64歳の第2号被保険者は加入する医療保険(健康保険組合・協会けんぽ・国民健康保険)ごとに算定方法が異なり、65歳以上の第1号被保険者は所得に応じて13段階に区分される
  • 65歳以上の方は原則として年金からの特別徴収(仮徴収・本徴収)で納め、年金額が少ない場合などは納付書等による普通徴収になる
  • 施設入所のために住所を移す場合は「住所地特例」により、転出前の市区町村が保険者であり続ける
  • 保険料は制度を支えるための負担であり、サービス利用時の自己負担割合(1〜3割)とは別のものである

よくある質問

介護保険料はいつから払うのですか?

40歳になった月(40歳の誕生日の前日が属する月)から納付義務が生じます。手続きは自動的に行われ、本人が窓口で加入手続きをする必要はありません。

介護保険料の全国平均はいくらですか?

第9期(2024〜2026年度)の第1号保険料(65歳以上)の基準額は、全国平均で月額6,225円です。制度が始まった第1期(2,911円)と比べると約2.1倍に上昇しています。

介護保険料はどうやって納めますか?

40〜64歳の方は医療保険料とあわせて徴収されます。65歳以上の方は、年額18万円以上の年金受給者は年金から天引き(特別徴収)、それ未満の方は納付書や口座振替(普通徴収)で納めます。

介護保険料を滞納するとどうなりますか?

長期間滞納すると、実際に介護サービスを利用する際の自己負担割合が引き上げられるなどのペナルティが課される場合があります。支払いが難しい場合は早めに市区町村に相談することが大切です。

なぜ住んでいる市区町村によって保険料が違うのですか?

介護保険は市区町村が運営主体となっており、地域の高齢化率やサービス利用の見込み量にもとづいて3年ごとに基準額が設定されるためです。第9期では最高額と最低額の市区町村で約2.7倍の差があります。

介護保険料と、介護サービスを利用するときの自己負担割合は同じものですか?

異なるものです。介護保険料はサービスの利用有無にかかわらず40歳以上の方が制度を支えるために納める負担で、自己負担割合は実際にサービスを利用した際に費用の1〜3割を支払う仕組みです。

参考・出典

  1. 介護保険制度について(40歳になられた方(第2号被保険者)向け) (厚生労働省)
  2. 介護保険料等における基準額の調整について(社会保障審議会介護保険部会(第116回)資料5、令和6年12月23日) (厚生労働省)
  3. 令和6~8年度の介護保険の第1号保険料 全国平均で月6,225円(令和6年5月14日公表) (厚生労働省)
  4. 第9期計画期間における介護保険の第1号保険料について(集計結果) (厚生労働省)
  5. 介護保険制度の概要(令和7年7月) (厚生労働省老健局)
  6. 保険料(税)の特別徴収~図解資料~ (厚生労働省)
  7. 特定疾病に関する参考資料(第2号被保険者の特定疾病) (厚生労働省)
  8. 介護保険の住所地特例制度 (柏市)
  9. 保険料の計算方法(国民健康保険) (世田谷区)
  10. 介護保険料を滞納すると給付制限を受けます (厚木市)