「居宅療養管理指導」という言葉を、ケアマネジャーや訪問診療の医師から初めて聞いて戸惑った方も多いのではないでしょうか。これは、通院が難しくなった要介護者の自宅を医師・薬剤師・管理栄養士などが訪問し、療養上の管理や指導を行う介護保険サービスです。他の訪問系サービスと違い、利用できる回数が職種ごとに月2〜4回と定められており、しかも区分支給限度基準額の枠外で使えるという特徴があります。この記事では、対象になる人の条件、職種ごとの指導内容と回数上限、費用の目安、利用を始めるまでの流れを、厚生労働省・都道府県の一次情報にもとづいて解説します。
居宅療養管理指導とは何か
居宅療養管理指導とは、要介護状態になっても利用者ができる限り自宅で自立した生活を続けられるよう、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士等が通院が困難な利用者の自宅を訪問し、心身の状況や生活環境を踏まえた療養上の管理・指導を行う介護保険の居宅サービスの一区分です。厚生労働省の資料では、この仕組みは訪問診療や訪問薬剤管理指導といった医療行為そのものとは別に、介護保険の給付として位置づけられていると説明されています。
制度上の位置づけ
介護保険の居宅サービスには、訪問介護・訪問看護・通所介護(デイサービス)などさまざまな種類がありますが、居宅療養管理指導はその中でも「医療専門職が自宅に赴いて行う管理・指導」に特化したサービスです。実施できるのは医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士等(歯科衛生士のほか保健師・看護師・准看護師が行う場合を含む)に限られており、いずれも医師または歯科医師の指示にもとづいて実施されます。
もう一つの大きな特徴は、ケアマネジャーが作成する居宅サービス計画(ケアプラン)の中で「区分支給限度基準額」の管理対象にならない点です。この仕組みについては、後の見出しで詳しく説明します。
訪問診療との違いでよくある誤解
「訪問診療を頼んだら、それが居宅療養管理指導では」と混同されることがありますが、両者は別物です。訪問診療は医療保険から給付される診療行為そのもので、居宅療養管理指導はその際にあわせて行われる、介護保険から給付される別建てのサービスです。両者の詳しい違いは、後半の「訪問診療・訪問看護との違い」で改めて整理します。
家族の立場からすると、請求書や利用明細に「居宅療養管理指導費」という項目が載って初めてこの仕組みの存在に気づくことも少なくありません。医療費(診療報酬)と介護費(介護報酬)が別の請求として発生するため、内訳が分かりにくい場合は、遠慮せずケアマネジャーや事業所の窓口に確認して構いません。
対象になる人
居宅療養管理指導の対象になるのは、要介護1以上の認定を受けており、かつ通院が困難な人です(要支援1・2の人は「介護予防居宅療養管理指導」として、ほぼ同じ内容のサービスを利用できます)。「要介護度が高いこと」自体が条件なのではなく、あくまで「通院が困難かどうか」が判断の軸になっている点に注意が必要です。対象になりそうかどうか迷う場合は、この記事を読み終えるのを待たずに、まず訪問診療の主治医やケアマネジャーに相談してしまってよい話です(詳しい相談先は「利用開始までの流れ」で説明します)。
要介護1以上で通院が困難な人
具体的には、寝たきりや身体機能の低下によって、家族や介助者の付き添いがあっても医療機関への通院が難しい状態にある人が想定されています。認知症による見当識の低下で単独での通院が難しい場合も対象になり得ますが、実際に算定できるかどうかは個別の状況を踏まえて医師等が判断します。
「通院が困難」の判断基準
都道府県・市区町村が実施する事業者向けの集団指導資料では、独歩で、かつ家族や介助者の助けを借りずに通院できる利用者については「通院が容易」とみなされ、居宅療養管理指導を安易に算定してはならないという趣旨の運用上の注意が示されています。つまり「できるのに面倒だから自宅に来てもらう」という使い方は想定されておらず、通院そのものが身体的・環境的に困難であることが前提です。
実際の判断は、要介護度だけでなく、家族の送迎体制が整っているかどうかや、移動時にどの程度の介助が必要かといった個別の状況を踏まえて、主治医やケアマネジャーが総合的に行います。たとえば、車いすが必要でも家族の送迎と施設のスロープがあれば通院できる場合もあれば、同じ要介護度でも自宅が急な坂の上にあり移動そのものが大きな負担になる場合もあります。数値だけで一律に線引きできるものではないため、迷った場合はまず主治医やケアマネジャーに相談することが実務上の出発点になります。
なお2024年度(令和6年度)の介護報酬改定では、管理栄養士・歯科衛生士等による居宅療養管理指導の対象要件が「通院又は通所が困難な者」から「通院が困難な者」に見直されました。これにより、デイサービス等への通所自体はできても通院が難しいという人も対象に含まれるようになっています。
指導を行う5つの職種と内容
居宅療養管理指導は、担当する専門職によって指導の内容が異なります。厚生労働省の資料や都道府県の実務手引きにもとづくと、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士等の5つの職種が実施でき、このうち医師と歯科医師は同じ枠組みで扱われるため、次の4区分に分けて説明します。
医師・歯科医師
訪問診療や往診を行った日に、計画的・継続的な医学的管理(歯科医師の場合は歯科医学的管理)にもとづき、ケアマネジャーがケアプランを作成するために必要な情報を提供し、利用者や家族に対して介護サービスを利用する上での留意点、介護方法等について指導・助言を行います。診療そのものではなく、その診療結果を介護に生かすための情報提供・助言という位置づけです。
薬剤師
医師または歯科医師の指示にもとづき、薬学的な管理・指導を行い、あわせてケアマネジャーへ服薬状況等の情報提供を行います。病院・診療所に所属する薬剤師と、薬局に所属する薬剤師とでは、算定できる回数や単位数が異なります(次の見出しで詳しく説明します)。2024年度改定では、情報通信機器を用いたオンライン服薬指導についても、算定できる回数の上限が広がりました。
管理栄養士
計画的な医学的管理を行っている医師の指示にもとづき、栄養ケア計画を作成し、栄養管理に関する情報提供や具体的な指導・助言を、1回あたり30分以上かけて行います。低栄養や摂食嚥下機能の低下が心配される高齢者にとって、食事内容を自宅の生活環境に合わせて具体的に見直せる点が特徴です。
歯科衛生士等
訪問歯科診療を行った歯科医師の指示にもとづき、歯科衛生士(または保健師・看護師・准看護師)が、口腔内の清掃や摂食嚥下機能に関する実地指導を、利用者1人につき1対1で20分以上かけて行います。誤嚥性肺炎の予防など、口腔ケアが全身状態に直結する高齢者にとって重要な役割を担っています。
これら4つの職種はいずれも単独で判断して訪問するのではなく、医師または歯科医師の指示があって初めて動く仕組みになっています。複数の職種が同時に関わることも珍しくなく、たとえば訪問診療の医師の指示のもとで薬剤師が服薬管理を行い、あわせて管理栄養士が食事内容を見直す、といった形で役割分担しながら利用者を支えるのが実際の運用です。どの職種にどこまで相談できるかは事業所によって体制が異なるため、利用を検討する段階で確認しておくと具体的なイメージがつかみやすくなります。
利用できる回数の上限
居宅療養管理指導は、他の訪問系サービスのように利用者や家族が回数を自由に決められるわけではなく、職種ごとに1か月あたりの算定回数の上限が定められています。
職種ごとの月間回数
2024年度(令和6年度)の介護報酬改定後の基準では、次のとおりです。
- 医師・歯科医師:月2回が上限
- 薬剤師(病院または診療所に所属):月2回が上限
- 薬剤師(薬局に所属):月4回が上限(末期の悪性腫瘍、中心静脈栄養、麻薬注射剤の投与を受けている利用者は週2回かつ月8回まで拡大)
- 管理栄養士:月2回が上限
- 歯科衛生士等:月4回が上限
図: 職種ごとの月あたり回数上限(2024年度介護報酬改定後)。薬局所属の薬剤師と歯科衛生士等は月4回まで、それ以外は月2回までが基本です(例外は次の見出しで解説します)。
2024年度改定で広がった例外
2024年度改定では、一部の職種について回数上限の例外が新設・拡大されました。管理栄養士については、医師が「一時的に頻回の栄養管理が必要」と特別に指示した場合、指示があった日から30日間に限り通常の月2回に加えて2回まで追加できるようになり、実質的に月4回まで対応できる場合があります。歯科衛生士等については、終末期がんの利用者に対する算定回数の上限が月4回から月6回に緩和されました。また薬剤師によるオンライン服薬指導は、以前は月1回までしか算定できませんでしたが、月4回までに拡大されています。こうした例外が適用されるかどうかは、利用者の状態や医師の指示内容によって異なるため、担当のケアマネジャーや主治医に確認することが必要です。
費用の目安(単位数と自己負担)
介護保険サービスの費用は「単位数×1単位あたりの単価」で計算され、そのうち利用者は所得に応じて1〜3割を自己負担します。訪問介護など多くのサービスは、人件費の地域差を反映するため1単位あたりの単価が地域(地域区分)によって10.00〜11.40円程度の幅で変わりますが、居宅療養管理指導はこの地域区分による変動が無く、全国一律で1単位=10.00円として計算される数少ないサービスの一つです。居宅療養管理指導の基本単位数は、2024年度(令和6年度)の介護報酬改定で職種ごとに見直されました。
単一建物居住者による違い
居宅療養管理指導の単位数は、「単一建物居住者」の人数によって3段階に分かれています。単一建物居住者とは、マンションや有料老人ホーム、サービス付き高齢者向け住宅、グループホームなど同一の建物に居住しており、同じ月に同じ事業所から居宅療養管理指導を受ける利用者のことです(同じ日に同じ建物の複数の利用者をまとめて訪問できる場合を想定した区分です)。同じ建物をまとめて訪問できる場合は効率的に対応できるため、人数が多いほど1人あたりの単位数は低く設定されています。
図: 医師が算定する居宅療養管理指導費(Ⅰ)の基本単位数(2024年度改定後)。マンション・有料老人ホームなど同一建物に住む利用者が同じ月に同じ事業所から受ける場合、人数が多いほど1人あたりの単位数は下がります。
職種ごとの基本単位数(2024年度改定後)を整理すると、次のとおりです。
| 職種・区分 | 単一建物居住者1人 | 2〜9人 | 10人以上 |
|---|---|---|---|
| 医師(居宅療養管理指導費Ⅰ) | 515単位 | 487単位 | 446単位 |
| 医師(居宅療養管理指導費Ⅱ・在宅時医学総合管理料等を算定する月) | 299単位 | 287単位 | 260単位 |
| 歯科医師 | 517単位 | 487単位 | 441単位 |
| 薬剤師(病院・診療所所属、月2回上限) | 566単位 | 417単位 | 380単位 |
| 薬剤師(薬局所属、月4回上限) | 518単位 | 379単位 | 342単位 |
| 管理栄養士(当該事業所所属) | 545単位 | 487単位 | 444単位 |
| 管理栄養士(他の事業所所属) | 525単位 | 467単位 | 424単位 |
| 歯科衛生士等(月4回上限) | 362単位 | 326単位 | 295単位 |
医師の「居宅療養管理指導費Ⅱ」は、医師が診療報酬(医療保険)の在宅時医学総合管理料や特定施設入居時等医学総合管理料を算定している月に適用される、単価の低い区分です。同じ月に医療保険側の管理料と介護保険側の居宅療養管理指導費の両方を満額算定すると二重給付になってしまうため、このように単価を調整する仕組みになっています。
自己負担額の具体例
自己負担割合が1割の利用者を例に試算します。医師による居宅療養管理指導(単一建物居住者1人、515単位)を利用した場合、前述のとおり居宅療養管理指導は1単位=10.00円で計算されるため、1回あたりの自己負担額は515円です。月2回利用すると、自己負担額は月1,030円になります。所得が一定以上ある場合は自己負担割合が2割または3割になるため、負担額はその分増えます。これに加えて、事業所が定める交通費の実費負担が発生する場合があります。2024年度改定では薬剤師について、医療用麻薬持続注射療法加算(1回250単位)や在宅中心静脈栄養法加算(1回150単位)が新設されており、該当するケースでは自己負担額がその分上乗せされます。負担割合は介護保険の自己負担割合によって変わるため、正確な見積もりは担当のケアマネジャーや事業所に確認してください。
区分支給限度基準額との関係
訪問介護や通所介護など、多くの居宅サービスには「区分支給限度基準額」という、要介護度ごとに決められた1か月あたりの利用上限額があります(デイサービスや訪問介護を組み合わせて使える金額の上限、とイメージすると分かりやすいものです)。この上限を超えて利用した分は全額自己負担になります。ところが、居宅療養管理指導はこの区分支給限度基準額の対象外というのが大きな特徴です。
枠外で使える理由
区分支給限度基準額は、ケアマネジャーが居宅サービス計画(ケアプラン)を組み立てる際に「使いすぎ」を防ぐための仕組みですが、居宅療養管理指導は医師・歯科医師の医学的判断にもとづいて必要性が決まるサービスであるため、他の生活援助系サービスと同じ枠に含めると、必要な医療的管理が制限されてしまうおそれがあります。そのため制度上、区分支給限度基準額の外枠として扱われており、訪問介護やデイサービスをどれだけ利用していても、その利用状況とは関係なく居宅療養管理指導を受けられます。
ケアプランとの関わり
区分支給限度基準額の対象外とはいえ、居宅療養管理指導が独立して行われるわけではありません。ケアプラン(居宅サービス計画)を作成しているケアマネジャーがいる場合、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士等はサービス担当者会議への参加などを通じてケアプラン作成に必要な情報を提供することが算定の要件になっています。情報提供が行われなければ算定できない仕組みになっており、居宅療養管理指導も含めて利用者を支える体制全体がケアマネジャーを通じて共有される設計になっています。
なお、居宅サービス計画を作成していない利用者(居宅療養管理指導以外の介護サービスを利用していないなど)の場合は、この情報提供の要件が異なる扱いになることがあります。区分支給限度基準額の枠外だからといって、訪問介護やデイサービスなど他のサービスの利用計画と無関係に決められるわけではなく、全体としての生活を支える計画の一部として位置づけられている点を理解しておくと、ケアマネジャーとのやり取りもスムーズになります。
利用開始までの流れ
居宅療養管理指導は、利用者や家族が単独で申し込む一般的な訪問系サービスとは異なり、医師・歯科医師の判断が起点になる点が特徴です。
申し込み方法
多くの場合、まず訪問診療や訪問歯科診療を依頼している医師・歯科医師に、居宅療養管理指導の必要性を相談するところから始まります。医師が必要と判断すれば、その指示にもとづいて薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士等が訪問する体制が組まれます。まだ要介護認定を受けておらず、通院が困難になってきたと感じる場合は、まず市区町村の窓口や地域包括支援センターに相談し、要介護認定の申請から進める必要があります。
ケアマネジャーとの連携
すでに他の介護サービスを利用していて担当のケアマネジャーがいる場合は、ケアマネジャーに相談することで、主治医との連携をスムーズに進められることがあります。ケアマネジャーは居宅療養管理指導で得られた情報をケアプランに反映し、訪問介護や訪問看護など他のサービスとの役割分担を整理する役割を担います。担当のケアマネジャーがいない場合は、地域包括支援センターに相談すると紹介を受けられます。
実際に訪問が始まるまでの期間は、対象の職種や地域の事業所の状況によって幅があります。すでに訪問診療を利用している場合は、その主治医の指示ですぐに薬剤師や管理栄養士の訪問が組まれることもありますが、新たに事業所を探す必要がある場合は、調整に数週間程度かかることもあります。急いでいる場合はその旨をケアマネジャーに伝え、対応可能な事業所を優先的に探してもらうとよいでしょう。
訪問診療・訪問看護との違い
居宅療養管理指導は、名前が似ている他のサービスと混同されやすいため、それぞれの違いを整理しておきます。
訪問診療との違い
訪問診療は、医師が計画的に定期訪問して行う診療行為そのものであり、医療保険から給付されます。居宅療養管理指導は、その訪問診療にあわせて行われる「療養上の管理・指導とケアプランへの情報提供」という介護保険上の給付です。医師が居宅療養管理指導費を算定できるのは、実際に訪問診療または往診を行った日に限られます。また、医師が診療報酬の在宅時医学総合管理料等を算定する月は、居宅療養管理指導費のうち単価の低い区分(居宅療養管理指導費Ⅱ)が適用される仕組みになっており、医療保険と介護保険の給付が二重にならないよう調整されています。
訪問看護との違い
訪問看護は、看護師等が自宅を訪問して療養上の世話や診療の補助を行うサービスで、医療保険または介護保険から給付され、居宅療養管理指導とは別のサービス区分として扱われます。居宅療養管理指導のうち歯科衛生士等が行う口腔ケアの実地指導は、保健師・看護師・准看護師が担うこともありますが、これは歯科医師の指示にもとづく口腔機能に関する指導であり、訪問看護が行う医療的なケア全般とは目的も算定の枠組みも異なります。両方のサービスを組み合わせて利用することも可能です。
令和6年度介護報酬改定での変更点
介護保険制度は3年ごとに大きな見直しが行われており、直近では2024年度(令和6年度)に介護報酬改定が実施されました。対象者や回数上限の変更点はここまでの見出しで個別に触れましたが、あらためて改定前後の変化として整理すると次のとおりです。
薬剤師関連の変更
- 医療用麻薬持続注射療法加算(1回250単位)、在宅中心静脈栄養法加算(1回150単位)が新設された
- オンライン服薬指導の算定回数が、月1回までだった上限から月4回までに拡大された
管理栄養士・歯科衛生士等の対象拡大
- 管理栄養士・歯科衛生士等の対象要件が「通院又は通所が困難な者」から「通院が困難な者」に見直された(詳しくは前述の「対象になる人」を参照)
- 管理栄養士の特別指示による回数追加、歯科衛生士等の終末期がん患者への月6回への緩和が新設された(詳しくは前述の「利用できる回数の上限」を参照)
- 基本単位数が全区分・全職種で見直された
これらは2024年度時点の基準であり、介護保険制度は今後も改定が続く見込みです。数年前の情報や家族・知人の体験談だけを頼りにすると、実際の費用や回数の基準とずれてしまうことがあるため、最新の基準は担当のケアマネジャーや事業所に確認してください。
注意点・よくある失敗
居宅療養管理指導を利用する際に、事前に知っておきたい注意点を整理します。
よくある失敗例
「通院できるのに自宅の方が楽だから」という理由だけでは、居宅療養管理指導の対象として認められない場合があります。通院が形式的には可能な状態であるにもかかわらず算定されているケースは、運営指導(実地指導)で問題視される対象になり得ます。利用を希望する場合は、なぜ通院が困難なのかを主治医やケアマネジャーと具体的に共有しておくことが大切です。
逆に、実際には通院が困難な状態にあるにもかかわらず、居宅療養管理指導という仕組み自体を知らず、通院を無理に続けてしまっているケースもあります。本人や家族が「通院が大変になってきた」と感じ始めた段階で、一度この制度の対象にならないか主治医やケアマネジャーに相談してみる価値はあります。
また、区分支給限度基準額の対象外であることから「回数に制限がない」と誤解されがちですが、実際には職種ごとに月2回・月4回といった上限が明確に決まっています。上限を超えて訪問を希望する場合、超過分は保険給付の対象外となり全額自己負担になる可能性があるため、事前に事業所に確認することが必要です。
利用時の注意点
居宅療養管理指導は医師・歯科医師の指示にもとづくサービスであるため、利用者や家族の希望だけで開始や継続を決めることはできません。体調の変化などで指導の頻度を増やしたい場合は、まず主治医に相談する必要があります。また、事業所によって対応できる職種(薬剤師のみ、管理栄養士のみ等)が異なるため、希望する内容に対応できるかどうかを事前に確認しておくと、利用開始までがスムーズです。
入院や入所によって生活の場が変わった場合は、居宅療養管理指導の算定要件を満たさなくなることがあります。たとえば介護老人保健施設や介護医療院などの施設に入所した場合は、施設側の医療体制でケアが行われるため、在宅を前提とした居宅療養管理指導とは別の枠組みに切り替わります。生活の場が変わるタイミングでは、担当のケアマネジャーに利用中のサービスの見直しを相談しておくと、切り替えの手続きがスムーズになります。
まとめ
- 居宅療養管理指導は、通院が困難な要介護1以上の人を対象に、医師・歯科医師・薬剤師・管理栄養士・歯科衛生士等が自宅を訪問して療養上の管理・指導を行う介護保険サービスである
- 利用できる回数は職種ごとに上限があり、医師・歯科医師・病院所属の薬剤師・管理栄養士は月2回、薬局所属の薬剤師・歯科衛生士等は月4回が基本(2024年度改定で一部例外あり)
- 費用は同一建物に住む利用者の人数によって単位数が変わり、1割負担であれば1回あたりおおむね数百円が目安になる
- 区分支給限度基準額の対象外であり、訪問介護やデイサービスの利用状況にかかわらず利用できるが、ケアプラン作成のための情報提供が算定要件になっている
- 利用を始めるには、まず訪問診療・訪問歯科診療の主治医やケアマネジャーに相談することが出発点になる
このサイトでは、記事ごとの情報の正確性を厚生労働省・自治体の一次情報にもとづいて確認していますが、介護保険制度は改定が続くため、実際の申請・利用にあたっては最新情報を担当のケアマネジャーや自治体窓口に確認してください。このサイトの情報の扱い方についてはこのサイトの立ち位置もあわせてご覧ください。