要介護認定には有効期間があり、期限が近づくと更新の手続きが必要になります。「更新申請はいつからできるのか」「有効期間は最長何か月まで延びるのか」「うっかり忘れたらどうなるのか」——。この記事では、2021年度の制度改正で最長48か月に延長された更新認定の有効期間や申請できる時期、必要書類、区分変更申請との違いまで、厚生労働省・自治体が公開している情報にもとづいて解説します。
要介護認定の更新認定とは
要介護認定の「更新認定」とは、すでに要介護(要支援)認定を受けている人が、認定の有効期間が満了する前に、引き続き同程度の介護保険サービスを利用できるかどうかについて、あらためて審査を受ける手続きです。この手続きを行うこと自体を「更新申請」と呼び、その結果として決定される認定を「更新認定」と呼びます。要介護認定には有効期間が設けられており、有効期間が切れると介護保険サービスを保険給付の対象として利用できなくなるため、要介護状態が続く限り、定期的にこの更新手続きを行う必要があります。まず、更新認定がほかの申請とどう違うのか、なぜ定期的な見直しが必要なのかを確認します。
更新認定と新規申請・区分変更申請の違い
要介護認定に関わる申請は、大きく分けて「新規申請」「更新認定(更新申請)」「区分変更申請」の3種類があります。新規申請は、これまで要介護認定を受けたことがない人が、初めて介護保険サービスの利用を希望する際に行う申請です。更新認定は、既に認定を受けている人が、有効期間の満了にあわせて定期的に行う申請で、これが今回のテーマです。区分変更申請は、有効期間の途中であっても心身の状態が大きく変化した場合に、随時申請できる制度です(区分変更申請の具体的な条件は要介護度の区分変更申請とはを解説した記事で詳しく説明しています)。3つの申請はいずれも、認定調査・主治医意見書・介護認定審査会による審査という基本的な流れは共通していますが、「いつ、どのようなきっかけで申請するか」が異なります。要介護認定そのものの仕組みや認定調査の内容については要介護認定の申請方法を解説した記事で詳しく解説しています。
- 新規申請:これまで認定を受けたことがない人が、初めて介護保険サービスの利用を希望する際に行う
- 更新認定(更新申請):既に認定を受けている人が、有効期間の満了にあわせて定期的に行う
- 区分変更申請:有効期間の途中でも心身の状態が大きく変化した場合に、随時行える
なぜ定期的な更新が必要なのか
要介護状態は、時間の経過とともに変化することがあります。心身の状態が改善することもあれば、悪化することもあるため、認定を受けた時点の要介護度をそのまま固定してしまうと、実際の介護の手間と保険給付の内容にずれが生じてしまいます。そこで介護保険制度では、要介護認定に有効期間を設け、期間の満了ごとに認定調査・主治医意見書・介護認定審査会による審査をあらためて行うことで、そのときどきの心身の状態に見合った要介護度を維持する仕組みになっています。次の見出しから、この有効期間が実際にどれくらいの長さなのかを具体的に見ていきます。
更新認定の有効期間はどれくらいか
更新認定の有効期間は、原則12か月です。ただし、心身の状態や介護認定審査会の意見にもとづき、市区町村が3か月から48か月の範囲で個別に設定します。この範囲は新規申請・区分変更申請とは異なる点に注意が必要です。
原則12か月、設定できる範囲は3〜48か月
複数の自治体が公表している運用基準によると、新規申請の有効期間は原則6か月(設定可能範囲は3〜12か月)、区分変更申請の有効期間も原則6か月(設定可能範囲は3〜12か月)です。これに対して更新認定の有効期間は原則12か月で、設定できる範囲は3〜48か月と、新規申請・区分変更申請よりも大きく広がっています。この違いを図にすると、次のようになります。
要介護認定の有効期間は、新規申請・区分変更申請が原則6か月であるのに対し、更新認定は原則12か月で、状態が安定していると判断された場合は最長48か月まで設定できます(さいたま市・広島市の公表資料にもとづく)。
2021年度の制度改正で上限が36か月から48か月に延長された背景
更新認定の有効期間の上限は、2021年度(令和3年度)の制度改正以前は36か月でした。広島市が公表している資料によると、令和3年4月1日施行の改正により、更新認定で直前の要介護度と同一の要介護度と判定された場合に限り、有効期間の上限が36か月から48か月に延長されました。それ以外のケース、つまり更新の結果、前回と異なる要介護度になった場合は、従来どおり上限36か月のままです。この条件については、次の見出しで詳しく説明します。
有効期間の上限48か月が適用される条件
更新認定の有効期間の上限が48か月まで延長されるのは、すべての更新認定に一律に適用されるわけではありません。ここでは、48か月が適用される条件と、逆に短く設定されることがあるケース、そして自治体差について確認します。条件を先にまとめると、次のようになります。
- 前回と同じ要介護度と判定された場合 → 上限48か月
- 前回と異なる要介護度と判定された場合 → 上限36か月
- 要介護1など状態が不安定な場合 → 6か月以内に短縮されることもある
前回と同じ要介護度と判定された場合に限られる
広島市の資料が示すとおり、有効期間の上限48か月が適用されるのは、更新認定の審査の結果、前回の認定と同じ要介護度と判定された場合に限られます。更新の結果、要介護度が変わった場合(重くなった場合も、軽くなった場合も)は、上限は48か月ではなく従来どおり36か月までとなります。つまり48か月という数字は「状態が安定していると判断された人」に対して設定される上限であり、更新認定を受けるすべての人に自動的に適用されるものではない、という点をまず押さえておく必要があります。
状態が不安定な要介護1などは短い期間に設定されることがある
一方で、心身の状態が不安定で、短期間のうちに状態が変化する可能性がある場合には、有効期間があえて短く設定されることもあります。たとえば要介護1については、状態が不安定なケースがあることから、6か月以内の期間に制限される場合があります。有効期間は、介護認定審査会が個々の心身の状態を踏まえて意見を付すことで、市区町村が個別に決定する仕組みになっています。実際に自分の有効期間が何か月に設定されるかは、認定結果とあわせて通知される「介護保険被保険者証」等で確認できます。
自治体によって48か月運用の開始時期が異なる場合がある点に注意
注意したいのは、制度上は令和3年度から上限48か月への引き上げが可能になったものの、実際に48か月運用を開始した時期は自治体によって差がある点です。たとえば名取市では、制度上は令和3年度から48か月化が可能だったにもかかわらず、市独自の運用として令和6年度まで上限36か月で運用を続け、令和7年度審査分から48か月運用に切り替えたことを公表しています。このように、お住まいの市区町村によって48か月への切り替え時期が異なる場合があるため、実際に自分の更新認定の有効期間がどう設定されるかについては、更新認定の結果通知や、お住まいの市区町村の窓口で確認しておくと安心です。
更新申請はいつからできるか
更新申請には、申請できる時期の決まりがあります。早すぎても遅すぎても手続きがうまく進まないため、正しいタイミングを押さえておくことが重要です。
有効期間満了日の60日前から申請可能
更新認定の申請ができる時期は、有効期間の満了日の60日前から満了日までの間です。この「満了日の60日前から」という基準は、江東区・越谷市・所沢市・神奈川県など、複数の自治体で共通して案内されています。満了日をまたいでしまうとサービス利用に空白期間が生じるリスクがあるため、60日前という比較的早いタイミングから申請が受け付けられる仕組みになっています。申請から結果が出るまでにも一定の期間がかかるため、この時期になったら早めに手続きを進めることが重要です。この流れを図にすると、次のようになります。
更新申請は有効期間満了日の60日前から可能です。多くの自治体では満了のおおむね1か月ほど前に更新案内を郵送していますが(時期は自治体による)、給付実績によっては届かないこともあるため、案内を待たずに満了日を自分で把握しておくことが大切です(江東区・所沢市・春日市の公表資料にもとづく。日数は目安)。
自治体からの更新案内が届くタイミングの目安
多くの市区町村では、有効期間満了のおおむね1か月ほど前を目安に(時期は自治体による)、対象者へ「更新申請書」を郵送する運用を取っています。ただし、春日市が案内しているとおり、更新期間の終了直前になって新たにサービス利用を始めた人など、それまでの給付実績が少ない場合には、こうした更新勧奨の通知が届かないことがあるとされています。案内が届くことを前提にせず、有効期間満了日を自分自身やケアマネジャーが把握し、案内の有無にかかわらず60日前を目安に自主的に申請を検討することが望ましいといえます。
更新認定の申請方法・必要書類
実際に更新申請を行う際の窓口や必要書類、代理申請の仕組みを確認しておきましょう。
申請窓口と必要書類
更新認定の申請窓口は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口です。多くの自治体では、地域包括支援センターでも申請を受け付けています。必要書類は、基本の書類と、該当者のみ追加で必要になる書類に分けて整理すると次のとおりです。
- 基本の書類:更新申請書、介護保険被保険者証
- 該当者のみ追加で必要な書類:40〜64歳の第2号被保険者(特定の病気により要介護認定を受けている場合)は、医療保険の資格を確認できる書類(医療保険被保険者証や資格確認書等)の写し。代理人が申請する場合は、代理人の本人確認書類
必要書類の名称や様式は自治体によって表現が異なることがあるため、事前にお住まいの市区町村のホームページや窓口で確認しておくと安心です。
家族や地域包括支援センター・ケアマネジャー事業所による代理申請
更新申請は、本人が窓口に行けない場合、家族や親族などが代理で行うことができます。代理申請の主体として認められているのは、主に次のとおりです。
- 家族・親族
- 成年後見人
- 地域包括支援センター(高齢者の総合相談窓口)
- 居宅介護支援事業者(ケアマネジャーが所属する事業所)
- 介護老人福祉施設・介護老人保健施設・介護医療院などの介護保険施設
神戸市が公表している「申請代行とは」という案内では、申請代行について次のように説明されています。
被保険者の意思を踏まえて申請書の入手、記入(本人自署部分を除く)、提出等を被保険者に代わり行うもの
この申請代行は介護保険法上に位置づけられた行為として、事業者に協力が義務付けられているとされています。実際には、担当のケアマネジャーが更新時期にあわせて申請の手続きを代行してくれるケースも多く、更新時期が近づいたら早めにケアマネジャーへ相談しておくと手続きがスムーズです。
更新認定の審査の流れと結果が出るまでの期間
更新申請を行ったあと、どのような流れで審査が進み、いつ頃結果が届くのかを確認します。
認定調査・主治医意見書・介護認定審査会による審査
審査の流れは、新規申請や区分変更申請と同様です。まず市区町村の認定調査員(または委託を受けた事業者の調査員)による訪問調査が行われ、心身の状態や日常生活の状況が確認されます。あわせて、主治医が心身の状態について意見をまとめた「主治医意見書」が作成されます。これらの情報をもとにコンピュータによる一次判定が行われたうえで、保健・医療・福祉の学識経験者で構成される介護認定審査会が、一次判定結果や特記事項、主治医意見書の内容を総合的に検討し、二次判定として要介護度を決定します。
結果通知までの目安(申請から約30日)
結果が通知されるまでの期間について、品川区など複数の自治体は、原則として申請から30日以内に結果を通知するとしています。ただし、これはあくまで目安であり、申請が集中する時期や、訪問調査・主治医意見書の作成に時間がかかる場合には、通知が遅れることもあります。結果が出るまでの期間が読みにくいこともあるため、後の見出しで説明する「暫定ケアプラン」などの対応方法もあわせて知っておくと安心です。
更新の結果、要介護度が変わることもある
更新認定は、あくまで「あらためて審査を受ける」手続きであるため、前回とは異なる要介護度になることもあります。ここでは区分変更申請との違いと、要介護度が変わった場合の有効期間の扱いを整理します。
区分変更申請との違い(随時申請できる制度との使い分け)
審査は新規申請のときと同様に一次判定・二次判定のプロセスを経るため、前回の認定と異なる要介護度になることがあります。心身の状態が更新のタイミングで改善していれば要介護度が軽くなることもありますし、悪化していれば重くなることもあります。一方、更新を待たずに、有効期間の途中で心身の状態が大きく変化した場合には、区分変更申請という制度を使って随時、要介護度の見直しを申請することもできます。更新認定は「満了日にあわせた定期的な見直し」、区分変更申請は「状態の変化に応じた随時の見直し」という位置づけの違いがあり、申請できるタイミングと要件が異なります。区分変更申請の具体的な条件や申請方法については要介護度の区分変更申請とはを解説した記事で詳しく説明しています。
要介護度が変わった場合は有効期間の上限が36か月に戻る
前の見出しで触れたとおり、更新認定の有効期間の上限48か月が適用されるのは、更新の結果が前回と同じ要介護度だった場合に限られます。更新の結果、要介護度が変わった場合は、有効期間の上限は従来どおり36か月に戻ります。つまり「要介護度が変わらず安定している」という審査結果そのものが、次回までの有効期間を長く設定できる条件になっているということです。
更新申請を忘れた・遅れた場合どうなるか
更新申請は、期限内に行わないと実際にサービス利用の負担に影響が出ます。ここでは忘れた・遅れた場合のリスクを確認します。
有効期間が切れるとサービス利用が全額自己負担になるリスク
更新申請を忘れて有効期間が切れてしまうと、その期間中に介護保険サービスを利用しても、保険給付の対象にならず全額自己負担になってしまいます。八王子市が公表している「認定切れにならないために」という案内では、次のように明記されています。
認定の有効期間が終わってしまうと、サービスを利用しても保険の適用にならず、全額自己負担となってしまいます。要介護認定の有効期間は、自動的には更新されません。
更新の手続きは、自分自身、または家族・ケアマネジャーが主体的に行う必要があります。
有効期間切れ後は新規申請の扱いになる
有効期間が切れてしまった場合、その後にあらためて認定を受けるには、更新申請ではなく「新規申請」として扱われます。新規申請の有効期間は前述のとおり原則6か月(3〜12か月の範囲)であり、更新認定よりも短い期間が設定されるのが一般的です。有効期間切れを避けるためにも、満了日の60日前という申請可能な時期になったら、早めに手続きを進めることが重要です。
結果が有効期間満了までに届かない場合の対応
期限内に申請していても、結果の通知が有効期間の満了日に間に合わないことがあります。ここでは、そうした場合の実務上の対応方法を確認します。
暫定ケアプランでサービス利用を継続する方法と注意点
更新申請の期限内に手続きをしていても、混雑状況などによって、有効期間の満了日までに審査結果の通知が届かないことがあります。こうした場合の実務上の対応として、地域包括支援センターや居宅介護支援事業所(ケアマネジャー)と相談のうえ、審査結果が出る前の段階で暫定的な要介護度を見込んで「暫定ケアプラン」を作成し、サービス利用を継続する方法があります。暫定ケアプランの考え方や作成の流れについてはケアプランとはを解説した記事で詳しく説明しています。ただし、実際に出た認定結果が、暫定ケアプランで見込んでいた要介護度よりも軽かった場合(非該当になった場合を含みます。「非該当」とは介護保険サービスの給付対象外と判定されることです)には、見込みとの差額分が全額自己負担になるリスクがある点には注意が必要です。
早めに窓口・ケアマネジャーへ相談する
なお、有効期間満了までに結果が届かない場合の詳しい取り扱いは、市区町村によって運用が異なる部分があります。申請の効力自体は申請日にさかのぼって認められる仕組みですが、実際の対応方法や暫定ケアプランの運用ルールの細部は自治体ごとに違いがあるため、更新の案内が届いたら早めに窓口やケアマネジャーに相談し、自分のケースでどのような対応が取られるのかを確認しておくと安心です。
まとめ
- 更新認定の有効期間は原則12か月で、設定できる範囲は3〜48か月です
- 2021年度(令和3年度)の制度改正により、前回と同じ要介護度と判定された場合に限り、有効期間の上限が36か月から48か月に延長されました
- 更新申請は、有効期間満了日の60日前から申請できます
- 有効期間が切れるとサービス利用が全額自己負担になり、切れた後の申請は新規申請として扱われます
- 有効期間満了までに結果が届かない場合は暫定ケアプランで対応できることがありますが、詳細は自治体・ケアマネジャーに早めに確認することが大切です
今日からできる行動としては、次の手順を踏むとよいでしょう。
- 介護保険被保険者証で、自分の有効期間の満了日を確認する
- 満了日の60日前になったら、市区町村の窓口または担当ケアマネジャーに更新申請の相談をする
- 必要書類をそろえて申請し、結果が届くまでの間も有効期間の満了日を意識しておく
介護保険制度は3年ごとの改定などにより内容が変わることがあります。実際に更新申請を検討する際は、最新の情報を居住地の市区町村窓口や担当ケアマネジャーに確認してください。このサイトは特定の施設・事業者の評価や推奨は行わず、公的データにもとづく中立的な情報提供に努めています。運営方針の詳細はこのサイトの立ち位置をご覧ください。