訪問診療とは|往診との違いと医療保険の自己負担割合・高額療養費を解説

目次

訪問診療とは、通院が困難になった患者のもとへ医師が定期的に訪問して行う診療のことです。厚生労働省の医療施設調査における定義注記では、訪問診療は「在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して定期的に訪問して行われる診療」とされています。似た言葉に「往診」がありますが、両者は計画的か突発的かという点で区別されます。この記事では、訪問診療の定義、往診との違い、医療保険としての自己負担の仕組み、在宅療養支援診療所の役割、令和6年度診療報酬改定の変更点までを、厚生労働省等の公的資料にもとづいて整理します。

訪問診療とは|通院が困難な人への定期的な診療

訪問診療の定義と対象になる人

厚生労働省の医療施設調査における定義注記では、訪問診療は「在宅での療養を行っている患者であって、疾病、傷病のために通院による療養が困難な者に対して定期的に訪問して行われる診療」と説明されています。ポイントは「通院による療養が困難」という要件です。足腰が弱って通院に時間がかかる、寝たきりで移動そのものが難しい、認知症の症状により通院の負担が大きいなど、通院そのものが困難な状態にある人が対象になります。単に「通院が面倒だから」「近くに好みの医療機関がないから」といった理由だけでは、訪問診療の対象要件を満たすとは言えません。

訪問診療を検討し始める時期は人によってさまざまです。骨折や脳卒中の後遺症で歩行が難しくなった、進行性の病気で外出そのものが体力的な負担になってきた、認知症の症状が進み移動中の安全確保が難しくなった、といったきっかけで検討が始まることが多く見られます。「通院がつらくなってきた」と感じ始めた段階で、次に何を検討すればよいのかを知っておくことが、在宅療養への移行をスムーズにする第一歩になります。

よくある誤解:往診と同じではない

「訪問診療」と「往診」は日常会話ではほぼ同じ意味で使われがちですが、制度上は明確に区別される言葉です。次の見出しで詳しく整理しますが、訪問診療はあらかじめ診療計画を立てて定期的に訪問するサービスであるのに対し、往診は患者や家族の求めに応じてそのつど医師が駆けつけるものです。この違いを理解しておくと、在宅医療の相談窓口でどちらのサービスを求めているのかを的確に伝えやすくなります。また、訪問診療を提供している医療機関の多くは往診にも対応しているため、「定期的な診療をお願いしたい」のか「今すぐの対応をお願いしたい」のかを具体的に伝えることで、必要なサービスにたどり着きやすくなります。

往診との違い|計画的か突発的かが分かれ目

往診の定義

往診は、厚生労働省の医療施設調査の定義注記において「患者の求めに応じて患家に赴き行われた診療」とされています。つまり、急に発熱した、容体が急変した、といった患者側からの求めをきっかけに、そのつど医師が自宅や施設に赴いて行う診療が往診です。あらかじめ日時が決まっているわけではなく、突発的・非計画的な性格を持つ点が訪問診療との大きな違いです。往診は、日頃から訪問診療を受けている患者が対象になることもあれば、普段は通院している患者が体調不良時に一時的に往診を求めることもあります。

訪問診療と往診の使い分けのイメージ

訪問診療は、月に何回、何曜日に訪問するという診療計画にもとづいて定期的に行われるのに対し、往診は「今すぐ来てほしい」という求めに応じて臨時に行われます。実際の在宅医療の現場では、定期的な訪問診療を受けている患者が体調を崩した際に、同じ医療機関が往診として対応するというように、両者が組み合わせて提供されることも少なくありません。どちらのサービスも「通院が困難な患者に医師が出向く」という点は共通しますが、計画性の有無という制度上の位置づけの違いを押さえておくことが、サービスを正しく理解する第一歩になります。家族としては、体調が安定している時期の定期的な健康管理は訪問診療、急な体調変化への対応は往診、という役割分担のイメージを持っておくと、いざというときに落ち着いて連絡先を選びやすくなります。

介護保険サービスとの違い|訪問診療は医療保険が適用される

訪問診療に医療保険が適用される仕組み

訪問診療は「介護保険サービス」ではなく「医療保険」が適用される診療行為です。介護保険サービスと聞くと、要介護認定を受けていないと利用できないのではないかと考える人も多いのですが、訪問診療は医療保険の枠組みで提供されるため、要介護認定の有無そのものは訪問診療を受けるための前提条件にはなりません(後述する要介護認定との関係もあわせて確認してください)。医療保険が適用されるため、自己負担割合は年齢や所得区分によって決まる医療保険の仕組みにしたがいます。介護保険サービスと医療保険サービスが並行して提供される場面が多いのが在宅療養の特徴であり、どのサービスがどちらの保険で提供されているのかを整理して把握しておくことが、費用の見通しを立てるうえでも重要になります。

居宅療養管理指導(介護保険)との違いと同日算定

混同されやすいサービスに「居宅療養管理指導」があります。独立行政法人福祉医療機構(WAM NET)の解説によると、居宅療養管理指導は医師や歯科医師、薬剤師などが自宅を訪問し、療養上の管理や指導を行う介護保険サービスであり、要介護1以上の認定を受けていることが対象要件になります。訪問診療は「診療行為そのもの」に対する医療保険のサービスであるのに対し、居宅療養管理指導は「療養生活の管理・指導」に対する介護保険のサービスという、制度上は別建ての仕組みです。同じ医師が同じ訪問の中で、診療行為と生活指導の両方を行った場合には、訪問診療(医療保険)と居宅療養管理指導(介護保険)が同日に算定されることもあります。どちらの保険からどのサービスに費用が支払われているのかが分かりにくい部分ですが、この2つが別制度であることを理解しておくと、請求内容や自己負担の内訳を確認しやすくなります。居宅療養管理指導の対象要件や内容については、あわせて居宅療養管理指導とはを解説した記事で詳しく確認できます。

訪問看護・訪問リハビリテーションとの関係

在宅療養を支える仕組みには、このほかに訪問看護や訪問リハビリテーションもあります。これらは看護師やリハビリ専門職が自宅を訪問して行うサービスで、利用する保険の種類(医療保険か介護保険か)は患者の状態や要介護認定の有無によって異なります。訪問診療・往診・訪問看護・訪問リハビリテーション・居宅療養管理指導は、いずれも「自宅で療養する患者を支える」という目的は共通していますが、担う専門職や適用される保険制度が異なるため、それぞれのサービスがどの制度にもとづいて提供されているのかを区別して理解しておくことが大切です。特に、訪問診療の医師が訪問看護ステーションに指示書を出し、看護師が定期的に自宅を訪問するという連携の形は、在宅療養の現場でよく見られる組み合わせです。

訪問診療の自己負担割合|医療保険の所得区分で決まる

年齢・所得区分による負担割合の目安

訪問診療は医療保険が適用されるサービスであるため、自己負担割合は年齢や所得区分に応じて1割から3割の範囲で決まります。一般に、後期高齢者医療制度の対象となる75歳以上の人は原則として1割負担ですが、現役並みの所得がある人は3割負担となり、また一定の所得がある人については2割負担となる区分も設けられています。この2割負担の対象となる具体的な所得の基準額については、記事の作成時点で厚生労働省の一次情報による裏取りが十分に行えていないため、本記事では具体的な金額の記載を控えます。自身がどの所得区分に該当するかは、加入している医療保険(後期高齢者医療制度や国民健康保険など)の窓口で確認することをおすすめします。75歳未満で国民健康保険や被用者保険に加入している場合も、年齢区分(70歳未満・70〜74歳)や所得水準に応じて負担割合が変わる仕組みになっています。

自己負担を考えるうえでの注意点

訪問診療の自己負担には、診療そのものにかかる費用のほか、在宅患者訪問診療料などの各種加算が含まれます。訪問回数や算定される点数によって毎月の負担額は変動するため、実際にどの程度の費用がかかるのかは、契約する医療機関に見積もりや算定内容の説明を確認するとよいでしょう。特に、後述する令和6年度改定で見直された訪問回数に応じた減算ルールや加算の内容は、毎月の請求額に直接影響する部分です。また、後述する高額療養費制度を利用することで、自己負担額が一定の上限を超えないようにする仕組みも用意されています。医療費の負担が家計を圧迫していると感じる場合は、医療機関の事務窓口や医療保険者の相談窓口に早めに相談することをおすすめします。

高額療養費制度との関係|70歳以上の自己負担上限額

高額療養費制度の仕組み

訪問診療にかかる医療費が高額になった場合には、高額療養費制度によって自己負担額に上限が設けられています。厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(平成30年8月診療分からの制度にもとづく資料)によると、1か月(月の初めから終わりまで)にかかった医療費の自己負担額が一定の上限額を超えた場合、その超えた分が払い戻される仕組みです。上限額は年齢と所得区分によって細かく分かれており、70歳以上の人については以下のような区分が設けられています。訪問診療のように毎月継続的に医療費が発生するサービスでは、この上限額を把握しておくことで、長期的な家計の見通しを立てやすくなります。

70歳以上:自己負担限度額(外来+入院・世帯単位、月額) 現役並みIII 252,600円+(医療費-842,000円)×1% 現役並みII 167,400円+(医療費-558,000円)×1% 現役並みI 80,100円+(医療費-267,000円)×1% 一般 57,600円 非課税等II 24,600円 非課税等I 15,000円 出典:厚生労働省保険局「高額療養費制度を利用される皆さまへ」(平成30年8月診療分から)

70歳以上の自己負担限度額(外来+入院)の区分

厚生労働省保険局の資料(平成30年8月診療分から適用)によると、70歳以上の自己負担限度額(外来+入院の世帯単位、月額)は所得区分ごとに次のように定められています。現役並み所得者は年収水準に応じてIII(252,600円+(医療費-842,000円)×1%)、II(167,400円+(医療費-558,000円)×1%)、I(80,100円+(医療費-267,000円)×1%)の3区分に分かれ、一般の所得区分は57,600円(外来のみの場合は個人ごと18,000円、年間上限14万4千円)、住民税非課税世帯等IIは24,600円、住民税非課税世帯等I(年金収入80万円以下など)は15,000円です。訪問診療にかかる費用が積み重なって高額になった場合でも、この上限額を超えた分は高額療養費として払い戻されるため、月々の負担が際限なく膨らむわけではありません。実際の適用区分や手続き方法については、加入している医療保険者に確認することが確実です。なお、上記の限度額はあくまで公的医療保険が適用される診療にかかる自己負担が対象であり、保険適用外の費用(介護保険側の自己負担分を含む)は高額療養費制度の対象とは別に考える必要があります。

在宅療養支援診療所(在支診)・在宅療養支援病院(在支病)とは

在支診・在支病の施設基準

在宅医療を専門的に担う医療機関として「在宅療養支援診療所(在支診)」「在宅療養支援病院(在支病)」という制度があります。厚生労働省の資料「在宅医療と連携について」によると、在支診・在支病として届出を行うには、24時間の連絡体制を確保していること、24時間の往診体制を整えていること、24時間の訪問看護の提供体制を確保していること、緊急時の入院を受け入れる体制を有していることなど、複数の施設基準を満たす必要があります。こうした基準を満たした医療機関が届出を行うことで、在支診・在支病として在宅医療の中心的な役割を担うことになります。訪問診療を検討する際に、契約先の医療機関がこうした届出を行っているかどうかを確認することは、緊急時にどこまで対応してもらえるかを見極める手がかりになります。

在支診・在支病の届出数の推移(平成18年〜平成22年)

厚生労働省の同資料によれば、在支診の届出数は平成18年の9,434件から平成22年には12,487件へと増加しています。また在支病についても、平成20年に7件だった届出数が平成22年には331件まで増加しています。これらの数値はいずれも平成22年時点の資料に示されたものであり、最新のデータではない点に注意が必要です。それでも、在宅医療を専門的に担う医療機関の体制整備が制度発足後の数年間で着実に進んだことがうかがえます。

在宅療養支援診療所(在支診)の届出数の推移 平成18年 9,434件 平成19年 10,477件 平成20年 11,450件 平成21年 11,955件 平成22年 12,487件 参考:在宅療養支援病院(在支病)は平成22年7月時点で331件の届出 (在支診とは規模の桁が大きく異なるため、別枠で表示) 出典:厚生労働省「在宅医療と連携について(資料2)」(平成22年時点のデータ)

令和6年度診療報酬改定の主な変更点

訪問回数が多い場合の減算ルール

厚生労働省「令和6年度診療報酬改定 II-8 質の高い在宅医療・訪問看護の確保」によると、令和6年度の診療報酬改定では、在宅患者訪問診療料について、直近3か月の訪問回数が12回以上あり、かつ同一月に5回以上訪問している場合には、5回目以降の訪問について所定点数の50%に減算する仕組みが導入されました。これは、必要以上に訪問回数が多い診療のあり方を見直し、訪問診療の質を確保する狙いによるものです。患者や家族の立場からすると、訪問回数が単純に多ければよいわけではなく、患者の状態に見合った適切な頻度で計画されているかどうかが重要になったと理解しておくとよいでしょう。

頻回訪問加算の見直し

同資料によると、頻回訪問加算についても見直しが行われ、初回は月800点、2回目以降は月300点という点数設定に変更されました。頻繁な訪問が必要な患者に対する評価の仕組みが整理された形です。頻回訪問加算は、状態が不安定で通常より多くの訪問診療を必要とする患者を支えるための加算であり、点数の見直しは在宅療養を支える医療機関の体制を維持するための調整の一環と位置づけられています。

在宅医療情報連携加算などICT連携の新設

また、令和6年度改定では、在宅医療に関わる複数の医療機関・介護事業者がICT(情報通信技術)を活用して患者情報を共有する取り組みを評価する「在宅医療情報連携加算」(100点)が新設されました。訪問診療を担う医師と、訪問看護師やケアマネジャーなどの関係職種が患者情報を円滑に共有できる体制を整えることが、今後の在宅医療の質を左右する要素として位置づけられています。家族の立場からは、担当医師・訪問看護師・ケアマネジャーの間で情報共有がどの程度行われているかを、契約前や利用開始後に確認しておくと、緊急時の対応や日々の体調変化の把握がスムーズになりやすいと考えられます。こうした改定の内容は今後も見直される可能性があるため、契約している医療機関から最新の算定内容について定期的に説明を受けることも大切です。

訪問診療を利用するまでの流れ

かかりつけ医・地域の医療機関への相談

訪問診療の利用を検討する場合、まずはかかりつけ医や地域の医療機関に相談するのが基本的な流れです。すでにかかりつけ医がいる場合は、通院が難しくなってきた旨を伝えることで、その医療機関が訪問診療に対応しているか、あるいは訪問診療を行っている別の医療機関を紹介してもらえるかを確認できます。かかりつけ医がいない場合は、地域の医師会や在宅医療の相談窓口に問い合わせる方法もあります。相談の際には、現在の通院頻度や困っている症状、家族の介護体制などを具体的に伝えると、必要な訪問頻度や医療機関の選択肢を検討しやすくなります。訪問看護についてより詳しく知りたい場合は、訪問看護とはどのようなサービスかを解説した記事もあわせて参考にしてください。

ケアマネジャーとの連携

すでに介護保険サービスを利用しており、ケアマネジャー(介護支援専門員)が担当についている場合は、ケアマネジャーに相談することも有効です。ケアマネジャーは訪問診療を行う医療機関の情報を把握していることが多く、訪問看護や訪問リハビリテーションなど他の在宅サービスとの調整役も担います。訪問診療は医療保険のサービスであるためケアプランには直接組み込まれませんが、在宅療養全体のスケジュールを組むうえでケアマネジャーとの情報共有は欠かせません。医師の訪問診療の予定と、訪問看護・訪問リハビリテーション・デイサービスなど介護保険サービスの利用日を調整することで、患者の負担を分散させながら在宅療養を続けやすくする工夫も可能です。訪問リハビリテーションについては訪問リハビリテーションとはを解説した記事、生活指導を目的とした訪問については居宅療養管理指導とはを解説した記事で詳しく説明しています。

要介護認定の有無は利用条件になるか

訪問診療は医療保険にもとづくサービスであるため、要介護認定を受けているかどうかは訪問診療そのものを利用するための条件にはなりません。要介護認定を受けていない人であっても、通院が困難な状態にあれば訪問診療を利用できます。ただし、前述した居宅療養管理指導のように、訪問診療とあわせて利用を検討する介護保険サービスの中には要介護認定が前提となるものもあるため、在宅療養全体を見据えて何が必要かを整理しておくとよいでしょう。要介護認定の申請自体は市区町村の窓口で行いますが、認定の結果を待つ間も訪問診療自体は医療保険にもとづき利用を開始できる点は、家族にとって把握しておく価値のある情報です。

訪問診療を利用するときの注意点

緊急時の対応体制を事前に確認する

在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院として届出を行っている医療機関は、施設基準として24時間の連絡体制・往診体制が義務づけられています。一方で、在支診・在支病の届出を行っていない一般の診療所が訪問診療を提供している場合、24時間体制での対応が制度上保証されているとは限りません。夜間や休日に容体が急変した際にどのような対応をしてもらえるのかは、契約前に必ず確認しておきたいポイントです。具体的には、夜間・休日の連絡先が用意されているか、連絡した際に医師本人または連携する医師が対応するのか、必要に応じて入院先の病院と連携する体制があるかといった点を、契約時に書面や口頭で確認しておくと安心につながります。

制度改定によって内容が変わりうること

診療報酬は原則として2年に一度改定されており、訪問診療に関する点数や算定要件も改定のたびに見直されています。前述の令和6年度改定のように、訪問回数に応じた減算ルールや各種加算の新設・見直しが行われることもあるため、実際に利用する際の費用や算定内容については、その時点の最新の制度にもとづいて医療機関から説明を受けることが大切です。介護保険についても3年ごとに制度改定が行われており、訪問診療とあわせて利用する介護保険サービスの内容や自己負担の仕組みが変わる可能性がある点もあわせて念頭に置いておくとよいでしょう。制度の詳細は年々更新されるため、家族だけで情報を抱え込まず、医療機関の相談窓口やケアマネジャー、市区町村の窓口など複数の相談先を組み合わせて最新の情報を確認する姿勢が、在宅療養を無理なく続けるうえでの支えになります。

まとめ|訪問診療は「通院困難」を前提にした計画的な医療サービス

  • 訪問診療は、通院による療養が困難な患者に対して医師が定期的・計画的に訪問して行う診療である
  • 往診は患者の求めに応じて突発的に行われる点で訪問診療と区別される
  • 訪問診療は医療保険が適用されるサービスであり、居宅療養管理指導などの介護保険サービスとは制度上別建てである
  • 自己負担割合は年齢・所得区分に応じて決まり、高額になった場合は高額療養費制度で自己負担に上限が設けられる
  • 在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院は24時間体制などの施設基準を満たした医療機関であり、令和6年度改定では訪問回数に応じた減算ルールなどが導入された

訪問診療を検討する家族にとって重要なのは、「通院が困難」という状態をどう見極めるか、そして「計画的な訪問診療」と「突発的な往診」のどちらを求めているのかを整理して医療機関に伝えることです。医療保険が適用される仕組みであるため、要介護認定の有無にかかわらず利用を検討できる一方で、自己負担の割合や高額療養費制度の仕組みを理解しておくことで、家計への影響を事前に見通しやすくなります。また、在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院として届出を行っているかどうかは、緊急時の対応力を判断する重要な材料になります。訪問診療を含む在宅医療の制度は、診療報酬改定のたびに内容が見直されます。本記事の内容は執筆時点の公的資料にもとづくものであり、実際の利用にあたっては医療機関や医療保険者に最新の情報を確認してください。当サイトの記事の位置づけについてはこのサイトの立ち位置もあわせてご覧ください。

よくある質問

訪問診療は誰でも受けられますか。

訪問診療は、疾病や傷病のために通院による療養が困難な人を対象にしたサービスです。単に通院が面倒、近くに好みの医療機関がないといった理由だけでは対象とならず、通院が困難な状態にあることが前提になります。

訪問診療は24時間対応してもらえますか。

在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院として届出を行っている医療機関は、施設基準として24時間の連絡体制・往診体制が義務づけられています。一方、届出を行っていない一般の診療所では24時間体制が保証されない場合があるため、契約前に確認が必要です。

訪問診療と往診はどちらを呼べばよいですか。

あらかじめ定期的な診療を受けたい場合は訪問診療、急な体調変化にそのつど対応してほしい場合は往診を利用します。すでに訪問診療を受けている患者が急変した際は、同じ医療機関が往診として対応することもあります。

訪問診療を受けるのに要介護認定は必要ですか。

訪問診療は医療保険にもとづくサービスであるため、要介護認定を受けているかどうかは訪問診療そのものの利用条件にはなりません。ただし、あわせて利用する介護保険サービスには要介護認定が前提となるものもあります。

訪問診療の自己負担はどのくらいかかりますか。

訪問診療は医療保険が適用されるため、自己負担割合は年齢・所得区分に応じて1割から3割の範囲で決まります。負担が高額になった場合は、高額療養費制度により月々の自己負担額に上限が設けられています。

訪問診療と居宅療養管理指導は同じものですか。

異なる制度です。訪問診療は診療行為そのものに対する医療保険のサービスであり、居宅療養管理指導は医師等が生活上の管理・指導を行う介護保険のサービス(要介護1以上が対象)です。同日に両方が算定されることもあります。

参考・出典

  1. 令和6年度診療報酬改定 II-8 質の高い在宅医療・訪問看護の確保 (厚生労働省)
  2. 在宅医療と連携について(資料2) (厚生労働省)
  3. 高額療養費制度を利用される皆さまへ (厚生労働省保険局)
  4. 居宅療養管理指導 (独立行政法人福祉医療機構(WAM NET))