小規模多機能型と看護小規模多機能の違い|対象者・費用・事業所数を比較

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護の違いを、対象者・サービス内容・人員基準・費用・全国の事業所数の推移から整理して解説します。

目次

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護(看多機)は、どちらも「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせる地域密着型サービスですが、看多機には「訪問看護」が加わる点が最大の違いです。対象者・人員基準・費用・事業所数の推移を厚生労働省の資料にもとづいて比較し、判断材料を整理します。

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護とは

小規模多機能型居宅介護の定義

小規模多機能型居宅介護は、要介護・要支援者の心身の状況や置かれている環境に応じて、利用者の選択にもとづき、居宅への「訪問」、拠点への「通い」、拠点への短期の「泊まり」を柔軟に組み合わせ、入浴・排せつ・食事等の介護、調理・洗濯等の家事、機能訓練を提供するサービスです。2006年4月の介護保険制度改正で創設された地域密着型サービスの一つで、なじみの職員が同じ拠点で複数のサービスを担当することで、環境変化に弱い高齢者でも生活リズムを維持しやすいことを目的としています。

看護小規模多機能型居宅介護の定義

看護小規模多機能型居宅介護は、介護保険法第8条第23項において「訪問看護及び小規模多機能型居宅介護の組み合わせその他の居宅要介護者について、一体的に提供されることが特に効果的かつ効率的なサービスの組み合わせにより提供されるサービス」と定義されています。2012年に「複合型サービス」として創設され、2015年4月に現在の名称に変更されました。簡単に言うと、看多機は小多機に「訪問看護」を加えたサービスで、通い・訪問・泊まりに看護職員による訪問看護を一体的に組み合わせられる点が特徴です。

地域密着型サービスという共通点

両サービスとも、都道府県ではなく市町村長が指定を行う地域密着型サービスに分類されます。原則として事業所と同一の市区町村に住民票がある人が対象で、利用できる事業所は基本的に自分が住んでいる市区町村内のものに限られます。地域密着型サービス全体の位置づけについては地域密着型サービスの種類を解説した記事も参考にしてください。

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護の関係図 両サービスとも市町村長が指定する地域密着型サービスで、小多機は2006年創設、看多機は2012年に複合型サービスとして創設され2015年に現名称になった。看多機は小多機の通い・訪問・泊まりに訪問看護が加わる。 地域密着型サービス 市町村長が指定/住民票が要件 小規模多機能型 居宅介護 (小多機) 2006年創設 通い・訪問・ 泊まりを組合せ 訪問看護: 含まれない 看護小規模 多機能型居宅介護 (看多機) 2012年創設 2015年に改称 通い・訪問・ 泊まりに加え 訪問看護も 一体的に提供
両サービスとも市町村長が指定する地域密着型サービス。小多機(2006年創設)に訪問看護を加えたのが看多機(2012年創設・2015年に現名称)です。

最大の違いは「訪問看護」の有無

看多機だけに含まれる訪問看護

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護の違いを一言でまとめると、看護職員による「訪問看護」が組み合わせに含まれるかどうかです。小多機は「通い」「訪問(介護)」「泊まり」の3つの組み合わせで構成されるのに対し、看多機はこれに「訪問看護」が加わった4つの機能を一体的に提供します。訪問看護の内容については訪問看護とは何かを解説した記事で詳しく説明しています。

なぜ看多機に訪問看護が組み合わさったのか

看多機は2012年に「複合型サービス」として創設され、2015年4月に現在の名称に変更されました。背景には、在宅で医療的ケアを受けながら生活を続けたいという需要の高まりがあり、それまでの小規模多機能型居宅介護(介護中心)と訪問看護(医療中心)を別々の事業所で契約する必要があった状態を、一つの事業所・一つの契約で一体的に提供できるようにする狙いがありました。制度創設以降、全国の事業所数は一貫して増加しており(後述)、在宅医療のニーズに応える仕組みとして整備が進んでいます。

対象者の違い

小多機は要支援1から利用できる

小規模多機能型居宅介護は、要支援1・要支援2から要介護5まで幅広い要介護度の人が利用できます。要介護度による定員の制限はなく、比較的軽度の段階から在宅生活を支える目的で利用を始めることも可能です。要介護度の判定の仕組みについては要介護認定の仕組みを解説した記事を参照してください。

看多機は要介護1以上で医療ニーズの高い人が中心

看護小規模多機能型居宅介護は要介護1〜5の人が対象で、要支援1・2の人は対象外です。厚生労働省の老人保健事業推進費等補助金事業報告書でも、看多機は退院直後や看取り期など医療ニーズの高い中重度の要介護者の利用が中心となっていることが示されています。主治医との連携を前提とした医療的ケアへの対応が必要な場面での利用が想定されている点が、小多機との対象者の違いとして挙げられます。

サービス内容の違い

小多機の通い・訪問・泊まり

小規模多機能型居宅介護は「通い」を中心に、利用者の状態やその日の希望に応じて随時「訪問」や「泊まり」を組み合わせます。通いサービスでは入浴・食事等の介護や機能訓練を、訪問サービスでは自宅での介護や安否確認を、泊まりサービスでは短期間の宿泊による介護を提供します。いずれもなじみの職員が担当することで、利用者が環境の変化に戸惑いにくいようにする狙いがあります。

看多機は訪問看護が加わる4つの組み合わせ

看護小規模多機能型居宅介護では、小多機と同様の「通い」「訪問(介護)」「泊まり」に加えて、看護職員による「訪問看護」を組み合わせて提供します。同じ拠点の看護職員が訪問看護と訪問介護の両方に関わることができるため、体調の変化があった際にも通いや泊まりへ柔軟に切り替えながら、医療的な観察・処置と生活支援を一体的に受けられる点が特徴です。

登録定員・人員配置基準の違い

登録定員はどちらも29人以下

登録定員は小多機・看多機とも29人以下で、要介護度による制限はありません。それぞれの利用定員の目安は次のとおりです。

  • 小多機の通い利用定員: 登録定員の2分の1〜15人(一定の要件を満たせば最大18人まで)
  • 小多機の泊まり利用定員: 通い利用定員の3分の1〜9人
  • 小多機のサテライト型事業所: 登録定員18人まで
  • 看多機の登録定員: 29人以下(要介護度による制限なし)

人員配置基準の違い(看護職員の配置)

人員配置基準を比べると、看護職員の配置が手厚い点が看多機の特徴です。

  • 小多機: 通いサービス常勤換算3対1以上、訪問サービス常勤換算1以上、看護職員1以上、夜間は夜勤1以上・宿直1以上(要件を満たせば宿直不要)、介護支援専門員(小規模多機能型サービス等計画作成担当者研修修了者)1以上
  • 看多機: 通いサービス常勤換算で利用者3人ごとに1以上、訪問サービスは常勤換算1以上を2人以上確保(うち1人以上は保健師・看護師・准看護師)、介護従業者のうち1人以上は常勤の保健師または看護師、2.5人以上は看護職員、介護支援専門員は専属で配置

この基準の違いにより、看多機は看護職員が手厚く配置されているため、医療的ケアが必要な場面でも対応しやすい体制になっています。

看護職員の配置基準の比較図 小多機は看護職員1名以上の配置でよいのに対し、看多機は2.5名以上の看護職員を配置し、うち1名以上は常勤の保健師または看護師で、訪問看護担当を2名以上確保する必要がある。 看護職員の配置基準 小規模多機能(小多機) 看護職員 1名以上 (夜間は夜勤・宿直で対応) 看護小規模多機能(看多機) 看護職員 2.5名以上 うち常勤の保健師・看護師1名以上 訪問看護担当は2名以上確保 (うち1名以上は看護職)
看多機は看護職員の配置が手厚く、訪問看護担当も2名以上確保する必要があるため、医療的ケアが必要な場面に対応しやすい体制になっています。

費用(基本報酬)の違い

小規模多機能型居宅介護の基本報酬

令和6年度(2024年度)介護報酬改定後の小規模多機能型居宅介護の基本報酬(月額包括報酬、同一建物居住者以外)は、要支援1が3,438単位、要支援2が6,948単位、要介護1が10,423単位、要介護2が15,318単位、要介護3が22,283単位、要介護4が24,593単位、要介護5が27,117単位です。1単位あたりの単価はおおむね10〜11.4円程度で、地域区分によって異なります。同じ要介護度でも看多機とは自己負担額が変わってくるため、次で具体的な差を確認します。

看護小規模多機能型居宅介護の基本報酬

看護小規模多機能型居宅介護の基本報酬(月額包括報酬、同一建物居住者以外)は、要介護1が12,438単位、要介護2が17,403単位、要介護3が24,464単位、要介護4が27,747単位、要介護5が31,386単位です。同じ要介護度で比較すると、看多機は小多機よりも高い単位数が設定されており、訪問看護を含む医療的ケアへの対応が報酬にも反映されていることがうかがえます。

要介護度別の基本報酬(月額包括単位数、同一建物居住者以外・令和6年度改定後)
要介護度小規模多機能看護小規模多機能差
要介護110,423単位12,438単位約2,015単位
要介護215,318単位17,403単位約2,085単位
要介護322,283単位24,464単位約2,181単位
要介護424,593単位27,747単位約3,154単位
要介護527,117単位31,386単位約4,269単位
単位数(月額包括報酬) 小規模多機能 看護小規模多機能 10,423 12,438 15,318 17,403 22,283 24,464 24,593 27,747 27,117 31,386 要介護1 要介護2 要介護3 要介護4 要介護5
図: 要介護度別の基本報酬(月額包括単位数)の比較。厚生労働省令和6年度介護報酬改定資料にもとづく単位数のイメージ図であり、実際の金額は地域区分の単価により異なります。

要介護度別の報酬差

要介護1では差は約2,015単位、要介護5では差は約4,269単位と、要介護度が上がるほど両者の差が広がる傾向があります。これは、看多機が対応する医療的ケアの必要性が要介護度の上昇とともに高まりやすいことを反映していると考えられます。実際の自己負担額は単位数に地域区分の単価と自己負担割合(原則1〜3割)を掛けて算出されます。仮に1単位10円・自己負担1割で計算すると、要介護3の場合、小多機は月額自己負担の目安が約22,283円、看多機は約24,464円となります(地域区分により実際の単価は異なるため、あくまで目安です)。正確な金額は利用予定の事業所や自治体に確認してください。

全国の事業所数の違いと推移

小多機は微減傾向

厚生労働省「令和5年 介護サービス施設・事業所調査の概況」によると、2023年10月1日時点の小規模多機能型居宅介護の事業所数は5,523事業所で、前年から47事業所(0.8%)減少しています。すでに一定数が全国に整備されており、新規開設よりも既存事業所の運営継続が中心的な局面に入っていることがうかがえます。

看多機は増加が続いている

一方、看護小規模多機能型居宅介護の事業所数は2023年時点で994事業所と、前年から93事業所(10.3%)増加しました。2019年の588事業所から、2020年に711、2021年に817、2022年に901、2023年に994と、5年連続で増加が続いています。在宅での医療的ケアへのニーズの高まりを背景に、整備が進んでいる状況です。

事業所数(看護小規模多機能型居宅介護) 2019年 2020年 2021年 2022年 2023年 588 711 817 901 994
図: 看護小規模多機能型居宅介護の全国事業所数の推移(各年10月1日時点)。厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査の概況」にもとづく。

登録すると他のサービスが使えなくなる注意点

費用や事業所数の違いに加えて、どちらを選ぶ場合も登録前に知っておきたい制度上の制約があります。

登録中の他サービス併用ルール 小多機・看多機に登録すると訪問介護、通所介護(デイサービス)、短期入所生活介護(ショートステイ)は原則併用できない。一方、福祉用具貸与や居宅療養管理指導は一部併用できる。 登録中の併用ルール 併用できないサービス 訪問介護 通所介護(デイサービス) 短期入所生活介護 (ショートステイ) 一部併用できるサービス 福祉用具貸与 居宅療養管理指導 ※取り扱いは要確認
登録すると訪問介護・通所介護・短期入所生活介護は原則併用できません。福祉用具貸与や居宅療養管理指導は一部併用できますが、最新の取り扱いはケアマネジャーに確認しましょう。

併用できないサービス

小多機・看多機とも「登録制」のサービスであり、いずれかに登録すると、原則として訪問介護・通所介護(デイサービス)・短期入所生活介護(ショートステイ)など他の居宅サービスは併用できなくなります。これは、登録先の事業所が包括的にケアを担う仕組みになっているためです。訪問介護とは何かを解説した記事で紹介しているような単独の訪問介護サービスへの切り替えを希望する場合は、登録の解除が必要になります。

一部併用できるサービス

一方で、福祉用具貸与や居宅療養管理指導など、一部のサービスは登録中でも併用が可能とされています。どのサービスが併用可能かは制度改正によって見直される可能性があるため、利用開始前にケアマネジャーや事業所に最新の取り扱いを確認することが重要です。

どちらを検討すべきかの判断材料

医療的ケアの必要性で整理する

小多機と看多機のどちらを検討するかは、日常的に医療的ケアが必要かどうかが一つの目安になります。点滴の管理、痛みや呼吸状態の観察、褥瘡(じょくそう)の処置など、看護職員による専門的な観察・処置が定期的に必要な場合は、訪問看護が組み合わさった看多機が選択肢になります。一方、医療的ケアの必要性が低く、日常生活の介護や見守りが中心の場合は、小多機が選択肢になります。なお要支援1・2の人は制度上、看多機を利用できず小多機のみが対象となる点にも注意してください。実際にどちらが合うかは本人の状態によって異なるため、次で述べるとおりケアマネジャーへの相談が前提になります。

ケアマネジャーへの相談が前提になる

実際にどちらのサービスが適しているかは、主治医の意見や本人の心身の状態、家族の介護状況などを踏まえて、担当のケアマネジャーが利用者・家族とともに検討するのが基本です。地域によっては小多機・看多機のいずれかしか整備されていない場合もあるため、まずは市区町村の地域包括支援センターやケアマネジャーに、利用可能な事業所の有無を含めて相談することをおすすめします。

まとめ

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護の違いを整理すると、次のとおりです。

  • 両者の共通点は「通い」「訪問」「泊まり」を組み合わせる地域密着型サービスであること
  • 最大の違いは訪問看護の有無で、看多機のみ訪問看護が組み合わせに含まれる
  • 小多機は要支援1から利用できるが、看多機は要介護1以上が対象で医療ニーズの高い人が中心
  • 基本報酬は同じ要介護度でも看多機の方が高く設定されている
  • 事業所数は小多機が微減傾向、看多機は2019年以降一貫して増加している
  • 登録すると原則として他の訪問介護・通所介護・短期入所生活介護などは併用できない
  • 医療的ケアの必要性の有無を目安に、担当ケアマネジャーと相談しながら選ぶのが基本

制度の詳細や報酬単価は3年ごとの介護保険制度改定で見直される可能性があります。本記事の内容は執筆時点の公表資料にもとづくため、実際の利用にあたっては最新の情報を市区町村やケアマネジャーに確認してください。当サイトの情報の扱い方については、サイトの立ち位置に関するページもあわせてご確認ください。

よくある質問

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護の一番の違いは何ですか。

訪問看護が組み合わせに含まれるかどうかです。小規模多機能型居宅介護は「通い」「訪問(介護)」「泊まり」の3つの組み合わせですが、看護小規模多機能型居宅介護はこれに看護職員による「訪問看護」が加わります。

看護小規模多機能型居宅介護は要支援の人も利用できますか。

利用できません。看護小規模多機能型居宅介護の対象は要介護1〜5で、要支援1・2は対象外です。要支援の人が利用できるのは小規模多機能型居宅介護のみです。

小規模多機能型居宅介護と看護小規模多機能型居宅介護、費用はどちらが高いですか。

令和6年度介護報酬改定後の基本報酬(月額包括報酬)は、同じ要介護度で比較すると看護小規模多機能型居宅介護の方が高く設定されています。例えば要介護3では小規模多機能が22,283単位、看護小規模多機能が24,464単位です。

登録すると他の訪問介護やデイサービスは使えなくなりますか。

原則として使えなくなります。小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護はいずれも登録制で、登録先の事業所が包括的にサービスを提供する仕組みのため、他の訪問介護・通所介護・短期入所生活介護などは併用できません。福祉用具貸与など一部のサービスは併用可能とされています。

全国の事業所数はどちらが多いですか。

2023年10月1日時点で小規模多機能型居宅介護が5,523事業所、看護小規模多機能型居宅介護が994事業所です。小規模多機能型居宅介護の方が事業所数は多いものの前年比で微減しており、看護小規模多機能型居宅介護は前年比10.3%増と増加が続いています。

近くに看護小規模多機能型居宅介護がない場合はどうすればいいですか。

看護小規模多機能型居宅介護は事業所数が小規模多機能型居宅介護より少なく、地域によっては整備されていない場合があります。その場合は、小規模多機能型居宅介護と訪問看護を別々に契約する方法や、他の在宅サービスとの組み合わせが選択肢になります。まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに、利用可能な事業所の有無を確認してください。

参考・出典

  1. 社会保障審議会介護給付費分科会 第179回資料4(小規模多機能型居宅介護) (厚生労働省)
  2. 指定基準の概要(小規模多機能型居宅介護・看護小規模多機能型居宅介護) (横浜市)
  3. 小規模多機能型居宅介護 基本報酬(令和6年度介護報酬改定資料) (福岡市)
  4. 看護小規模多機能型居宅介護 基本報酬(令和6年度介護報酬改定資料) (福岡市)
  5. 令和5年度老人保健事業推進費等補助金事業報告書 (厚生労働省)
  6. 令和5年 介護サービス施設・事業所調査の概況 (厚生労働省)
  7. 看護小規模多機能型居宅介護(複合型サービス)について (厚生労働省)
  8. 介護サービス情報公表システム 小規模多機能型居宅介護 (厚生労働省)