訪問介護でできないことは、大きく「家族の利便のための家事」「日常生活の援助に当たらない行為」「医行為」の3つに整理できます。国の通知(老計10号など)の例示を参考に、範囲を超える依頼は保険の対象外と判断される場合があります。この記事では、公的資料にもとづき、できること・できないこと、同居家族がいる場合の考え方、頼みたいときの選択肢を解説します。
先に知っておくこと
- 草むしり、ペットの世話、大掃除、家族の分の調理や洗濯は、保険の対象外の例として示されています。
- 体温測定など一部の行為は原則として医行為ではありませんが、条件があります。喀痰吸引等は登録事業所で行う制度です。
- 同居家族がいる場合の生活援助は、自治体により案内が異なります。お住まいの市区町村と担当のケアマネジャーに確認してください。
頼む前に、担当のケアマネジャーへ相談するのが近道です。制度は見直されることがあり、自治体ごとの運用も異なります。本記事は2026年10月1日時点で確認できた公的資料にもとづいています。最新の内容は厚生労働省や各自治体の案内でご確認ください。
訪問介護でできないこと・できることの全体像
老計10号とは何か
訪問介護で何ができて何ができないかを考えるとき、実務の土台になっているのが「訪問介護におけるサービス行為ごとの区分等について」という国の通知です。平成12年3月17日付の厚生省老人福祉計画課長通知で、通称「老計10号」と呼ばれます。厚生労働省の資料では、平成30年の老振発0330第2号で一部が改正された版が公開されています。
この通知は、ケアプランや訪問介護計画を作るときの参考として、サービス行為を「身体介護」「生活援助」などに区分して例示したものです。大切なのは「あくまで例示であり、利用者の状態に応じて取り扱う」とされている点です。つまり、一覧表に載っているかどうかだけで機械的に決まるものではなく、ケアマネジャーや事業所と相談しながら個別に判断される部分があります。
平成30年4月の改正で加わった考え方
平成30年4月1日の改正では、身体介護の中に「利用者のADL・IADL・QOLや意欲の向上のために、利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービス」が位置づけられました。ADLは食事・排泄・入浴などの日常動作、IADLは調理・買い物・金銭管理などの生活上の複雑な動作を指します。
これにより、ヘルパーが全部を代わりに行うだけでなく、利用者本人と一緒に行うことで本人の力を保つ援助も、身体介護として整理されています。「できないこと」を知る前提として、訪問介護は本人の自立を支える方向で組み立てられていることを押さえておくと、このあとの内容が読み解きやすくなります。
「できないこと」が生じる3つの理由
訪問介護で断られる、または保険で使えない行為が生じる理由は、大きく3つに整理できます。
- 直接本人の援助に当たらない(家族の利便のための行為など)
- 日常生活の援助に当たらない(日常生活に支障がないと判断される行為、日常的な家事の範囲を超える行為)
- 医行為に当たる(医師や看護職員などの専門職が行う行為で、介護職には原則できないもの)
このほか、通院の付き添いについては、保険の対象になる範囲に細かな条件があります。以降の章で、それぞれの具体例を公的資料に沿って確認します。
身体介護と生活援助と「できない行為」の関係
ここまでの内容を整理すると、訪問介護の行為は次の3つの層に分かれます。1つ目は、身体介護として整理される行為です。身体に直接触れる介助、本人と共に行う自立支援、専門的配慮が必要な調理などが含まれます。2つ目は、生活援助として整理される行為です。単身世帯や、家族が家事困難な世帯で、本人の代行として行う掃除・洗濯・調理・買い物などです。3つ目は、そのどちらにも当たらない行為で、保険の対象外になります。
同じ「調理」でも、嚥下が困難な方のための流動食は身体介護、一般的な調理は生活援助、特別な手間をかけた行事の調理は対象外、というように、区分が分かれます。名前で判断せず、目的と状態で判断する、という見方が基本になります。
身体介護と生活援助の区分
身体介護に含まれる行為
老計10号では、身体介護を次の3つの性格をもつサービスとして整理しています。
- 利用者の身体に直接接触して行う介助
- 利用者と共に行う自立支援・重度化防止のためのサービス
- 心身の障害などにより、特段の専門的配慮をもって行う調理などのサービス
例示されている行為には、排泄介助(トイレ、ポータブルトイレ、おむつ交換)、食事介助、清拭・入浴、身体整容、更衣、体位変換・移乗・移動、起床・就寝介助、通院・外出介助、服薬介助などがあります。特段の専門的配慮をもって行う調理の例としては、嚥下(飲み込み)が困難な方のための流動食などが挙げられています。
見守り的援助も身体介護に含まれる
身体介護には、利用者と一緒に行う「見守り的援助」も含まれます。通知の例には、次のようなものがあります。
- 認知症の方のパッド交換を、見守りや声かけで支える
- 利用者と一緒に掃除、整理整頓、ゴミの分別を行う
- 一緒にシーツ交換や衣類の整理を行う
- 一緒に調理、配膳、後片付けを行う
- 本人が自分で服薬できるよう、そばで見守り、服薬を促す
同じ掃除や調理でも、本人と一緒に行うのか、本人に代わって行うのかで区分が変わります。
生活援助の定義と条件
生活援助は、身体介護以外で、掃除・洗濯・調理などの日常生活の援助を行うものです。通知では、利用者が単身である場合、または家族が障害・疾病などのために家事を行うことが困難な場合に行われる、本人の代行的なサービスとされています。
例示されている行為は次のとおりです。
- 居室・トイレ・卓上などの清掃、ゴミ出し
- 洗濯(干す、取り入れる、収納、アイロンがけ)
- 利用者が不在のベッドでのシーツ交換
- 衣類の整理、被服の補修(ボタン付けなど)
- 一般的な調理、配膳、後片付け
- 日常品の買い物、薬の受け取り
一方、商品販売や農作業など生業の援助的な行為、直接本人の日常生活の援助に属しない行為は、生活援助に含まれないとされています。
利用者負担の基本
介護サービス情報公表システムによると、介護保険サービスの自己負担は原則1割で、一定以上の所得がある方は2割または3割です。また、要介護度ごとに決められた区分支給限度基準額を超えた分は、全額が自己負担になります。限度額の例として、要支援1は月50,320円、要介護5は月362,170円です(令和6年度時点の額の例で、改定で変わることがあります)。
保険の対象外になる行為を頼む場合は、保険のサービスとは別の取扱いになります。対象外の行為を保険のサービスと同時一体的に提供することは認められていないため、後述の混合介護の仕組みで整理する必要があります。
生活援助でできないこと(直接本人の援助に該当しない行為)
老振第76号による整理
生活援助の範囲については、平成12年11月16日付の老振第76号で、「一般的に保険給付の範囲に含まれないと考えられる事例」が示されています。弘前市の資料では、この通知や告示、老企第36号の内容を引用して整理されています。
整理は大きく2つに分かれています。1つは「直接本人の援助」に該当しない行為、もう1つは「日常生活の援助」に該当しない行為です。この章では前者を見ていきます。
主として家族の利便に供する行為
「直接本人の援助」に該当しない行為は、主として家族の利便に供する行為、または家族が行うことが適当な行為とされています。具体例は次のとおりです。
- 利用者以外の人の洗濯、調理、買い物、布団干し
- 主として利用者が使う居室など以外の掃除
- 来客の応接(お茶や食事の手配など)
- 自家用車の洗車・清掃
たとえば、同居する家族の食事も一緒に作ってほしい、家族の洗濯物もまとめて洗ってほしい、という希望は、この考え方により保険では対応できません。
共用部分の掃除はどう考えるか
利用者が使う部屋のほかに、リビングや廊下などの共有部分の掃除をどう扱うかも、よく質問される点です。弘前市の資料では、共有部分の掃除は原則として認められないとされています。ただし、利用者の健康や安全が著しく脅かされる場合には個別に判断する、という整理です。
迷ったときは、掃除の範囲を自己判断せず、担当のケアマネジャーに状況を伝えて、保険者である市区町村の考え方を確認してもらうのが確実です。
よくある誤解の整理
- 「家族の分も同時に作ってもらえる」わけではありません。利用者本人分と同居家族分の調理を同時一体的に行うことは、後述の国の通知でも認めないとされています。
- 家族が「忙しい」「苦手」という理由だけでは生活援助が認められない例とされています。
- 掃除は、主として利用者が使う居室・トイレ等が対象です。家族も使う共有部分は原則認められず、利用者の健康・安全が著しく脅かされる場合は個別に判断されます。
日常生活の援助に該当しない行為(草むしり・ペット・大掃除など)
日常生活に支障が生じないと判断される行為
老振第76号では、本人の日常生活に支障が生じないと判断される行為も、保険給付の範囲に含まれないと考えられる事例として示されています。例は次のとおりです。
- 草むしり
- 花木の水やり
- 犬の散歩などのペットの世話
ペットは家族の一員として暮らしを支えているという側面がありますが、保険のサービスとしては対象になりません。
日常的な家事の範囲を超える行為
もう1つは、日常的な家事の範囲を超える行為です。次の行為が例示されています。
- 家具や電気器具などの移動、修繕、模様替え
- 大掃除、窓ガラスの清掃、床のワックスがけ
- 室内外の家屋の修理、ペンキ塗り
- 植木の剪定などの園芸
- 正月、節句などのために特別な手間をかけて行う調理
日々の暮らしに必要な範囲を超えるかどうかが基準です。年末の大掃除や、行事のごちそうづくりなどは、普段の家事とは性格が異なるものとして整理されています。
線引きが難しいケースの考え方
日常的な清掃と大掃除の境目、通常の調理と特別な手間をかけた調理の境目などは、実際には判断に迷う場面があります。老計10号は例示であり、利用者の状態に応じた取扱いが前提です。そのため、判断に迷うときは、次の順に確認すると整理しやすくなります。
- その行為は、利用者本人の日常生活に必要か
- 日常的な家事の範囲か、特別な手間のかかるものか
- ケアプランに位置づけられているか
ケアプランにない内容を、その場の依頼でヘルパーに頼むことは、後述する不適切事例にもつながるため注意が必要です。
医療行為と介護職ができる範囲
医行為とは何か
医師法第17条などの解釈をめぐり、医療機関以外の介護現場などで、原則として医行為に当たらない行為が国の通知で整理されています。平成17年7月26日付の医政発第0726005号です。厚生労働省は、この内容を「原則として医行為ではない行為について」というページでも紹介しています。
ここで押さえたいのは、「原則として」という点です。病状が不安定で専門的な管理が必要な場合などは、通常は医行為でない行為でも、医行為に当たることがあるとされています。また、測定値に基づく医学的判断は医行為にあたり、異常な値が出たときは医療職に報告することが前提です。
原則として医行為ではない行為の例
通知で、原則として医行為ではないとされている主な行為は次のとおりです。
- 腋下や外耳道での体温測定
- 自動血圧計での血圧測定
- パルスオキシメータの装着(新生児以外で入院治療の必要がない方)
- 軽微な切り傷、擦り傷、やけどなどで、専門的な判断が必要ない場合の処置
- 医薬品の使用の介助(軟膏の塗布(褥瘡=床ずれの処置を除く)、湿布の貼付、点眼、内服、坐薬、鼻腔粘膜への噴霧)
医薬品の使用の介助は、医師や看護職員の確認や指示などが前提とされています。自己判断で薬の種類や量を決めてよいという意味ではありません。
条件付きで医行為ではないとされる行為
通知の注には、条件が付いた行為が整理されています。
- 爪切り:爪そのものに異常がなく、爪の周囲の皮膚に化膿や炎症がなく、糖尿病などで専門的な管理が必要でない場合
- 口腔ケア:重度の歯周病などがない場合の、日常的な刷掃・清拭
- 耳垢の除去:耳垢塞栓の除去を除く
- ストーマ(人工肛門など):パウチにたまった排泄物を捨てること(肌に接着したパウチの取り替えを除く)
- 自己導尿(自分で管を入れて尿を出す方法)の補助:カテーテルの準備、体位の保持
- 浣腸:市販のディスポーザブルのグリセリン浣腸器を用いること
老計10号でも、身体整容として手足の爪切りや耳そうじが日常的な行為として例示されています。爪に異常がある、糖尿病で足の管理が必要といった場合は、条件から外れるため、医療職への相談が必要になります。
喀痰吸引・経管栄養は登録事業所で
喀痰吸引と経管栄養(胃ろう、腸ろう、経鼻)は、介護福祉士や認定特定行為業務従事者が、登録を受けた事業所で行う制度が設けられています。厚生労働省の喀痰吸引等制度のページで案内されています。
また、老振発0328第9号では、看護師などが訪問介護員として雇用される場合でも、訪問介護員としては診療の補助を行わないとされています。ただし、登録を受けた事業所で行う吸引等は除かれます。
頼む前に確認しておきたい点
通知は「原則として」医行為ではないとしており、病状が不安定な場合や専門的な管理が必要な場合は扱いが変わりえます。通知が前提としているのは、医薬品の使用の介助には医師・看護職員の確認等が必要なこと、爪切りなどには条件があること、測定値に異常があれば医療職へ報告することです。そのうえで、家族としてケアマネジャーや主治医に次の点を聞いておくと安心です(以下は通知の前提を踏まえた、確認しておくと安心な一般的な点です)。
- 薬の塗布や湿布などについて、主治医や看護職員の確認を受けているか、ケアマネジャーに聞く
- 爪・皮膚・口の中に異常や炎症がある場合は、頼む前に主治医へ相談する
- 測定値に異常があったとき、誰にどう報告されるか、ケアマネジャーや事業所に聞いておく
測定値に基づく医学的判断は医行為であり、介護職が行うものではありません。
医療的な処置が必要なときの考え方
褥瘡(床ずれ)の処置のように、上に挙げた範囲に入らない医療的な処置が必要な場合や、病状が不安定で専門的な管理が必要な場合は、医行為に当たることがあります。自己判断でヘルパーに頼まず、主治医や担当のケアマネジャーに相談してください。どのような方法で対応できるかは、本人の状態や医師の判断によって異なります。
同居家族がいる場合の生活援助
算定の基準になる告示と通知
同居家族がいる場合の生活援助は、特に相談が多い論点です。告示(平成12年厚生省告示第19号別表注3)では、同居家族の障害や疾病などの理由で家事が困難な場合に、生活援助中心型を算定できるとされています。老企第36号では、障害や疾病がなくても、同様のやむを得ない事情で家事が困難な場合が含まれるとされています。
この場合は、ケアプランに生活援助中心型を算定する理由を記載することが求められます。
認められうる例と認められない例
弘前市の資料では、次のように整理されています。
認められうる例
- 家族が就労などで、日中長時間不在にしている
- 家族による介護の拒否や放棄がある
- 介護疲れや共倒れのおそれがある
認められない例
- 「家事をしたことがない」「忙しい」「苦手」という理由
- 家族が在宅する時間帯(夜間や休日)に対応できる内容
- 老夫婦の世帯というだけの理由
同居とは、同一の家屋、二世帯住宅、同一敷地内を指すとされています。
自治体による案内の違い
平成19年12月20日付の老健局事務連絡では、同居家族がいることを理由に一律に機械的に生活援助を不可としてはならないとされています。そのうえで、自治体ごとに具体例の示し方が異なります。
- 船橋市:同居の家族も高齢で家事が困難な場合や、同居の家族が未成年の場合を例示
- 調布市:家族との関係が良くない、家事に慣れていない、といった理由は該当しないとしている
- 御所市:原則として利用できないが、適切なケアマネジメントにより利用できる場合があるとしている
このように、同じ「同居家族がいる世帯」でも、判断の説明の仕方は自治体で異なります。お住まいの市区町村の案内と、担当のケアマネジャーへの確認が欠かせません。同居の状況が複雑な場合は、地域包括支援センターの解説記事で相談窓口の役割も確認できます。
身体介護の訪問時に家事を混ぜない
西宮市の不適切事例集には、同居家族がいて算定できないトイレや風呂の掃除を、身体介護中心のプランに混ぜて実施した例や、日中独居だからという理由で生活援助を設定した例が挙げられています。算定できない家事を、算定できる別のサービスの中に含めて提供することは、適切とはされていません。
通院等乗降介助・院内介助で算定できないこと
通院等乗降介助の算定の考え方
結論から言うと、通院等乗降介助は「車の乗り降りの介助」が中心で、運賃や院内での付き添いは別扱いです。ここでは岡山市の資料に整理された、保険の対象にする際の考え方を紹介します(運用は自治体で異なりうるため、お住まいの市区町村にも確認してください)。
- 身体介護中心型としては扱えない
- 移送そのものは対象外で、運賃は運輸局に届け出た料金を保険外で請求する
- 保険の対象になるのは片道ごと
- 乗降時に車両内から見守るだけの場合は対象にならない
- 居宅サービス計画に必要な理由を位置づける
- 居室内での声かけなどや院内での移動は、別に身体介護として保険の対象にはならない
- 医療機関から医療機関への移送は対象にならない(居宅が起点または終点で、同一の事業所が移送する場合を除く)
- 道路運送法上の許可・登録と、体制の届出が必要
制度の詳しい内容は、通院等乗降介助の解説記事でも説明しています。
院内介助が認められる条件
和歌山市のケアマネ支援マニュアルでは、院内介助が認められるための3つの要件が示されています。
- 適切なケアマネジメントが行われていること
- 院内のスタッフによる対応が難しいこと
- 利用者の心身の状態が介助を必要とすること
診察室や透析室など、医療機関の関係者の管理下にある場所での介助は対象になりません。また、待ち時間、点滴の時間、リハビリの時間も保険の対象になりません。これは和歌山市のマニュアルでの整理で、運用は自治体で異なりうるため、確認が必要です。要支援の方は、原則として通院の介助の必要性は考えにくいとされています。
院内介助だけを算定した不適切な例
西宮市の不適切事例集では、タクシーで通院できる利用者に対し、病院で迎えて院内介助だけを身体介護として算定した例が不適切とされています。家族が付き添えない日に、診察の待ち時間も一緒にいてほしい、という希望はよく聞かれますが、待ち時間は保険では算定されません。待ち時間を含む付き添いを頼みたい場合は、保険外のサービスの活用が選択肢になります。
できないことを頼みたいときの選択肢
混合介護(保険外サービスとの組み合わせ)
平成30年9月28日付の厚生労働省の通知(介護保険最新情報Vol.678)では、介護保険サービスと保険外サービスを組み合わせて提供する場合の取扱いが整理されています。訪問介護と組み合わせることができる保険外サービスの例として、次のものが挙げられています。
- 草むしり、ペットの世話
- 外出支援のあとの、趣味・娯楽施設への同行
- 通院手続きのあとの院内介助のうち、介護報酬の対象とならない部分
- 同居家族向けの部屋の掃除や買い物
ただし、利用者本人分と同居家族分の料理を同時に調理するなど、訪問介護と保険外サービスを同時一体的に提供することは認めないとされています。
保険外サービスを提供する事業者の要件
通知では、保険外サービスを組み合わせて提供する事業者に、次のような対応が求められています。
- 文書で説明し、利用者の同意を得る
- 契約の前後に、担当のケアマネジャーに報告する
- 料金を別にし、会計を区分する
- 保険のサービスとは別のサービスだと認識できるよう工夫する
保険外サービスの料金や内容は事業者ごとに異なります。契約する前に、書面で内容と料金を確認してください。
自治体の事業の例(松戸市の軽度生活援助)
自治体が独自に行う事業もあります。ここでは一例として、松戸市の軽度生活援助事業(ミニ援助券)を挙げます。確認時点の市の案内では、次のとおりです。
- 対象:75歳以上のひとり暮らし、75歳以上のみの世帯、40歳以上で要介護・要支援認定を受けたひとり暮らし、65歳以上で事業対象者のひとり暮らし
- 内容:掃除、簡単な調理、洗濯、買い物、ごみ出し、庭の草むしりなど
- 利用券:1枚300円、月1回の利用
- 庭の草むしり(7〜9月):2名体制で1時間につき2枚(600円)
- 窓口:市の介護保険課
これは確認時点の松戸市の例であり、対象者、内容、料金、窓口は自治体ごとに異なります。同様の事業の有無は、お住まいの市区町村で確認してください。
相談先と苦情の窓口
どこに相談すればよいか分からないときは、認定前なら地域包括支援センター、認定済みなら担当のケアマネジャーに相談するのが基本です。要支援の方や事業対象者の場合は、市区町村の窓口か地域包括支援センターも相談先になります。
事業所の対応に疑問があるときは、国保連・市町村などが窓口とされています(制度の概要。参照した厚生労働省の資料は2004年のもので、現在の窓口は市区町村の案内で確認してください)。
- サービスを提供した事業者や居宅介護支援事業者
- 市町村
- 国民健康保険団体連合会(国保連)
よくある失敗と不適切事例
西宮市の不適切事例集から
西宮市は、平成29年3月に介護サービスにおける不適切事例集を公表しています。訪問介護に関係する事例には、次のものがあります。
- 同居家族がいる場合の生活援助を算定した
- 院内介助のみを算定した
- 介護予防訪問介護を、一律45分で提供した
- 生活援助を75分で一律に打ち切り、超過分を自費にした
- 保険者との事前協議なく、別居の親族がヘルパーとして提供した
- 家族の要望で、ケアプランと異なるサービスを、ケアマネジャーへ連絡せずに提供した
- 居宅サービス計画上の身体介護を、生活援助に変更した
利用者・家族の側で気をつけたいこと
不適切事例は事業所側の問題ですが、家族の何気ない依頼が引き金になることもあります。次の点に気をつけると、行き違いを減らせます。
- ヘルパーに、その場で直接、追加の依頼をしない。内容を変えたいときは担当のケアマネジャーに伝える
- 家族の分の家事や、庭、ペットのことは、保険外サービスや自治体の事業で対応できないか、先に相談する
- 「いつもやってもらっているから」と思わず、できないことは、できないこととして受け止める
算定理由がない場合の扱い
生活援助中心型の算定理由をケアプランに記載していない場合、返還を求められうることが、介護保険最新情報vol.151のQ&Aで示されています。利用者にとっては、後からサービスが取り消されるリスクにつながりかねません。生活援助を使う場合は、算定理由がケアプランに書かれているか、担当のケアマネジャーに確認しておくと安心です。ケアプランの基本は、ケアプランの解説記事で説明しています。
頼みたいことが決まったときの確認の流れ
担当のケアマネジャーに状況を伝える
ヘルパーに頼みたいことが出てきたら、まず担当のケアマネジャーに、何に困っているのか、いつ、誰が、どれくらいの頻度で必要なのかを具体的に伝えます。保険の対象になるかどうかは、老計10号などの例示と、利用者の状態、家族の状況をあわせて判断されます。
対象外のときの選択肢を比べる
保険の対象外と分かった場合は、次の選択肢を検討します。
- 保険外サービスと組み合わせる(混合介護)
- 市区町村の独自事業を使う
- 家族や親族、地域の力を借りる
どの方法が合うかは、費用、頻度、本人の状態によって異なります。
変更や追加はケアプランに反映する
内容が決まったら、ケアプランや訪問介護計画に反映してもらい、保険内と保険外の範囲を書面で確認します。口頭だけで済ませないことが、後のトラブルを防ぐ基本です。
まとめ
この記事のまとめ
- 範囲は老計10号の例示を軸に、状態に応じて判断され、家族の利便のための行為などは対象外です。
- 草むしり、ペットの世話、大掃除などは対象外の例とされています。
- 医行為は原則介護職にできず、条件付きで医行為でない行為もあります。
- 同居家族がいる場合は一律不可ではなく、自治体の案内で扱いが異なります。
- 対象外のことは、混合介護や自治体の事業、ケアマネジャーへの相談で対応を検討します。
次にすること
- 頼みたい作業、希望する日時・頻度、家族の状況を書き出し、担当のケアマネジャーに伝える(例:「週2回、平日午前に、本人の居室の掃除とゴミ出しを頼みたい。家族は日中仕事で不在」)
- 対象外のものは、保険外サービスや市区町村の事業を、お住まいの地域で調べる
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