老人ホームに入れる年齢は、施設の種類によって違います。65歳未満(40〜64歳)の方は、特定疾病が原因で要介護認定を受けることが入り口になります。この記事では、公的資料にもとづいて施設の種類別の年齢の考え方を整理します(2026年11月時点)。制度は3年ごとに見直されるため、最終的な条件は市区町村と施設で確認してください。
結論:入居できる年齢は施設の種類ごとに異なる
施設の種類ごとの年齢の考え方
65歳以上であれば、年齢が入居のネックになることはまずなく、問われるのは主に要介護度です。
65歳未満の場合は、施設の種類ごとに年齢の考え方が異なり、自治体や施設ごとの定めも関わります。まず全体像を図で確認します。
図で全体像をつかんだうえで、施設の種類ごとの年齢の考え方を表で見比べます。
| 施設の種類 | 年齢・対象の考え方 |
|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 原則要介護3以上。年齢は自治体の案内で異なる |
| 介護老人保健施設・介護医療院 | 要介護1〜5。厚労省の施設案内に年齢要件の記載はない |
| 有料老人ホーム | 国の指針に年齢の数値なし。施設ごとに設定 |
| サービス付き高齢者向け住宅 | 高齢者住まい法に基づく登録基準で、60歳以上、または要支援・要介護認定を受けている人 等 |
| グループホーム | 認知症の方。要支援2以上(要介護も対象) |
40〜64歳の方は、介護保険の第2号被保険者(40〜64歳の被保険者)として、特定疾病で要介護認定を受けられるかが前提になる場面が多くあります。確認先は、各施設と市区町村の窓口です。
自治体の年齢案内の比較
同じ種類の施設でも、年齢の案内は自治体ごとに表現が異なります。公開されている主な案内を並べます。
| 自治体 | 施設 | 年齢条件 |
|---|---|---|
| 静岡市 | 特養 | 65歳以上(65歳未満で特に必要と認められる者を含む) |
| 仙台市 | 特養・グループホーム | 65歳以上。特定疾病は40歳以上 |
| 山梨県・島根県 | 特養 | 原則65歳以上。特定疾病は40歳以上 |
| 仙台市 | 有料老人ホーム | 特定疾病の40歳以上が入れるのは、特定施設入居者生活介護(介護付き有料老人ホームなどが受ける指定)の施設のみ |
| 神奈川県 | 有料老人ホーム | 制限なし。各施設で設定し、一般的に65歳以上や60歳以上 |
| 大阪府 | 有料老人ホーム | 60歳以上や65歳以上が多い |
| 神奈川県 | サ高住 | 60歳以上、または要支援・要介護認定を受けている人 等 |
| 名古屋市 | サ高住 | 60歳未満でも、認定があれば単身入居可 |
表のとおり、案内は自治体や施設で違います。詳しくは各節で補足しますが、お住まいの市区町村の案内を優先してください。
この記事で扱う範囲
対象は、親や配偶者の入居先を考え始めた方と、65歳未満で介護が必要になった方の家族です。特定の施設を評価したり順位付けしたりする内容ではありません。入居の可否は、本人の状態、施設の定めや空き状況、自治体の運用で決まるため、最終的には市区町村の窓口や地域包括支援センター(高齢者の無料相談窓口)、施設への確認が必要です。
介護保険の第1号・第2号被保険者と特定疾病16種類
65歳以上と40〜64歳の違い
介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40〜64歳の第2号被保険者に分かれます。厚生労働省の「介護保険制度の概要」(令和7年7月)では、第1号被保険者は3,585万人、第2号被保険者は4,188万人です。要介護・要支援の認定者は、第1号が681万人(19.0%)、第2号が13万人(0.3%)とされています。第2号被保険者は、認定を受けられる原因が特定疾病に限られます。
図のとおり、40〜64歳で認定を受けている人は少数で、原因は特定疾病に限られる点が大きな違いです。
つまり40〜64歳の方が介護保険の施設サービスを使うには、特定疾病が原因であることが要件になります。同じ病気でも、40歳未満の方や、特定疾病に当てはまらない原因の方は、介護保険ではなく他の制度の相談が中心になります。
特定疾病16種類
特定疾病は、厚生労働省の資料で次の16疾病とされています。
- がん(がん末期)
- 関節リウマチ
- 筋萎縮性側索硬化症
- 後縦靱帯骨化症
- 骨折を伴う骨粗鬆症
- 初老期における認知症
- 進行性核上性麻痺・大脳皮質基底核変性症・パーキンソン病
- 脊髄小脳変性症
- 脊柱管狭窄症
- 早老症
- 多系統萎縮症
- 糖尿病性神経障害・糖尿病性腎症・糖尿病性網膜症
- 脳血管疾患
- 閉塞性動脈硬化症
- 慢性閉塞性肺疾患
- 両側の膝関節または股関節に著しい変形を伴う変形性関節症
認定の流れと主治医意見書
40〜64歳で要介護認定を申請するときも、市区町村への申請、認定調査、主治医意見書、介護認定審査会の判定という流れは基本的に同じです。特定疾病に当てはまるかどうかの判断には、主治医意見書(主治医が心身の状況を書く書類)の記載が関わります(港区の案内)。申請先や必要書類は市区町村ごとに案内があるため、まず介護保険担当窓口に問い合わせます。
特別養護老人ホーム(特養)の年齢と入所条件
原則要介護3以上と特例入所
特養は、平成27年4月以降、新規入所者は原則として要介護3以上とされています。要介護1・2の方は、やむを得ない事情がある場合に特例入所が認められます。国の指針が示す勘案事項は次の4つです。
- 認知症の影響があること
- 知的障害・精神障害などの影響があること
- 家族等による深刻な虐待が疑われること
- 単身世帯や家族の支援が期待できず、地域サービスの供給が不十分であること
入所の可否は入所検討委員会が判断し、市町村が関与する仕組みです(令和5年4月7日一部改正の指針)。
詳しい入所の仕組みは特別養護老人ホームの特例入所を解説した記事でも整理しています。
国の指針に年齢の記載はない
国の指針本文には、年齢についての記載がありません。そのため「40〜64歳は要介護3以上でなければ入れない」といった形で国が定めた明文は、確認できていません。一方、自治体の案内には年齢の記載があります(前掲の比較表を参照)。
このため、40〜64歳の方が特養を検討するときは、国の基準ではなく、お住まいの市区町村と入所を希望する施設への確認が欠かせません。要介護度の扱いも自治体や施設で運用が異なる場合があります。
老健・介護医療院の年齢と対象
要介護1〜5が対象
介護老人保健施設(老健)と介護医療院は、介護保険の施設サービスで、対象は要介護1〜5の方です。要支援の方は対象外です。老健は在宅復帰を目指すリハビリ中心の施設、介護医療院は医療が必要な方の長期療養の施設です。
年齢要件の記載
厚生労働省の施設案内で確認した限り、年齢要件の記載はありません。40〜64歳の方は、特定疾病での認定が前提となります。これは介護保険の仕組み(第2号被保険者)によるものです。実際の受け入れ可否は施設の判断や医療的な状況にもよるため、ケアマネジャーや施設に相談してください。
有料老人ホームの年齢条件
国の指針に年齢の数値は示されていない
有料老人ホームは老人福祉法第29条第1項に定められ、入浴・排せつ・食事の介護、食事の提供、家事の供与、健康管理のいずれかを行う施設です。国の指針に年齢の数値は示されておらず、入居できる年齢は施設ごとに定められます。
自治体の案内
神奈川県と大阪府の案内は、前掲の比較表のとおりです。入居できる年齢は、施設の運営方針や重要事項説明書に書かれているため、契約前に確認します。
特定疾病で40歳以上の場合
特定疾病の40歳以上の方が入れる有料老人ホームは、仙台市の案内では特定施設入居者生活介護の指定施設のみとされています。介護付きなどの類型で指定の有無を確認することが大切です。他の自治体の扱いは異なる場合があります。
自立の方が入れるかどうかの整理は自立で入れる老人ホームを解説した記事も参照してください。
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の年齢条件
60歳以上または要支援・要介護認定
サ高住の入居者要件は、高齢者住まい法に基づく登録基準(国土交通省の資料)で、「60歳以上の者、または要支援・要介護認定を受けている者」などです。60歳未満でも、認定を受けていれば入居の対象になりえます。同居者は、配偶者、60歳以上の親族、要介護・要支援認定を受けた親族とされています(神奈川県の登録基準)。名古屋市の案内は前掲の表のとおりです。
棟数と入居者の年齢構成
入居者の年齢別の割合(国土交通省の資料、令和5年8月末)は、64歳以下が2.1%、65〜74歳が9.1%、75〜84歳が28.2%、85歳以上が60.5%です。
65歳未満の入居は少数ですが、制度上は認定を受けていれば対象になりえます。
選び方の確認点はサ高住の選び方を整理した記事で解説しています。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の対象
認知症の方が対象
グループホームは認知症の方が対象で、要支援1は利用できず、要支援2以上(要介護も対象)です(介護サービス情報公表システム、WAM NET)。認知症の急性期の方は対象外とされています。
年齢と診断書
年齢の案内は前掲の比較表のとおり、仙台市は65歳以上で特定疾病の方は40歳以上です。診断書が必須かどうかを定めた国の文書は確認できていないため、必要書類は市区町村や事業所に確認してください。
若年性認知症の人数と相談窓口
65歳未満で発症する認知症
若年性認知症は、65歳未満で発症する認知症をいいます。2018年の推計(東京都健康長寿医療センター、AMED事業)では、人口10万人あたり50.9人、全国で約3.57万人です。原因疾患はアルツハイマー型が52.6%、血管性が17.1%、前頭側頭型が9.4%でした。
就労・収入・介護保険の状況
同じ調査では、発症時に就労していた人は約6割で、そのうち約7割が退職しています。約6割で世帯収入が減少し、約3割が介護保険を申請していませんでした。家族の暮らしの負担が大きいため、介護保険の申請が遅れないよう相談することが大切です。
相談窓口
都道府県には、若年性認知症支援コーディネーターなどの相談窓口が設けられています。まず市区町村や地域包括支援センター(高齢者の無料相談窓口)に相談し、必要に応じて専門の窓口に相談する方法があります。全国向けのコールセンターは次のとおりです。
- 若年性認知症コールセンター:0800-100-2707
- 受付:月〜土曜 10:00〜15:00(年末年始・祝日を除く)
介護保険優先の原則と障害福祉との関係・費用
介護保険優先の原則
結論から言うと、特定疾病に当たる方は介護保険のサービスが先に検討されます。特定疾病に当たらない場合は、障害福祉サービスなどが相談先になるため、市区町村の障害福祉担当や基幹相談支援センターに相談します。
障害福祉サービスと介護保険に相当するサービスがある場合は、原則として介護保険が優先されます。特養は介護保険独自の施設で、障害者支援施設は介護保険の適用除外とされています。この節の関係を図で整理します。
図の関係のとおり、実際の利用は自治体が個別に判断するため、市区町村の窓口で確認してください。
第2号被保険者の自己負担
第2号被保険者でも、自己負担は多くの場合1割で、所得によって2〜3割になります。条件は次の表のとおりです。
| 負担割合 | 合計所得金額 | 年金収入等(単身) | 年金収入等(夫婦) |
|---|---|---|---|
| 1割 | 原則(下記の2割・3割に当たらない場合) | ||
| 2割 | 160万円以上 | 280万円以上 | 346万円以上 |
| 3割 | 220万円以上 | 340万円以上 | 463万円以上 |
施設では、これに加えて居住費・食費・日常生活費は別途自己負担です。
制度改定の動き
介護保険制度は3年ごとに見直しがあり、負担割合などは今後変わる可能性があります。最新の内容は厚生労働省や市区町村の案内で確認してください。
入居先を探す手順と確認点
施設の数と定員の目安
施設の種類ごとの規模の目安を表にまとめます。数が多いほど選択肢が広がる一方、年齢や要介護度の条件は施設ごとに違います。
| 種類 | 施設数 | 定員 | 時点 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 8,621施設 | 604,469人(利用率94.5%) | 令和6年10月 |
| 介護老人保健施設 | 4,214施設 | 365,939人 | 令和6年10月 |
| 介護医療院 | 917施設 | 52,837人 | 令和6年10月 |
| グループホーム | 14,341事業所 | ― | 令和6年10月 |
| サ高住 | 8,257棟 | 285,267戸 | 令和5年12月末 |
手順の目安
- 市区町村の介護保険担当窓口や地域包括支援センター(高齢者の無料相談窓口)に相談し、要介護認定の申請をする
- 主治医に、特定疾病に該当するかを含む主治医意見書の準備を相談する(40〜64歳の場合)
- 認定結果をふまえ、ケアマネジャーと施設の種類を絞る
- 候補の施設に年齢・要介護度・診断書の要否を確認する
- 見学し、契約書と重要事項説明書の内容を確認する
施設に聞いておきたい点
年齢の条件のほか、医療的な対応の範囲、要介護度が上がったときの対応、退去の条件、費用の内訳を確認します。自治体によって案内が違うため、聞いた内容は書面で残しておくと安心です。この流れを図にまとめます。
図の流れのとおり、最初の一歩は市区町村の窓口への相談です。
注意点・よくある誤解
「要介護3未満は特養に入れない」わけではない
特養は原則要介護3以上ですが、要介護1・2の方でも、認知症の影響や単身で家族の支援が期待できない事情などがあれば、特例入所が認められる場合があります。入所の可否は入所検討委員会が判断します。
サ高住・グループホームは認定の有無だけで決まらない
サ高住は60歳以上であれば認定がなくても対象になりえますが、施設ごとの条件や提供サービスは異なります。グループホームは認定を受けていても、認知症の方であることが前提です。どちらも要介護認定の有無だけでは入居の可否が決まりません。
古い数字の読み方に注意
入所者の年齢別の割合では、平成13年9月の調査で特養の64歳以下が1.2%とされています。年次が古いため、現在の割合を示すものではありません。数字を見るときは調査年を確認してください。
まとめ
- 入居できる年齢は施設の種類で異なり、有料老人ホームは国の指針に年齢の数値が示されておらず、施設ごとに定められる
- 40〜64歳は第2号被保険者で、特定疾病16種類が原因の場合に要介護認定を受けられる
- 特養は国の指針に年齢の記載がなく、自治体や施設の運用が異なるため、市区町村に確認する
- サ高住は登録基準で60歳以上、または要支援・要介護認定を受けている人が対象で、グループホームは認知症の方が対象
- 制度は3年ごとに見直されるため、最新の条件は自治体や施設で確認する
- まず市区町村の介護保険窓口か地域包括支援センターに電話し、認定申請の可否と年齢条件を聞く
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