介護予防認知症対応型通所介護は、要支援1・2と認定された認知症の人が、事業所に日帰りで通い、日常生活上の支援や機能訓練を受ける介護保険サービスです。地域密着型介護予防サービスの一つで、原則として事業所がある市区町村の被保険者だけが使えます。利用定員は単独型・併設型で単位ごとに12人以下、共用型ではグループホームなどの共同生活住居ごとに1日3人以下と小規模です。
報酬は、たとえば単独型で7時間以上8時間未満の利用なら要支援1が1日861単位、要支援2が961単位です。1単位を10円とし1割負担なら、861円・961円が目安になります(令和6年6月以降の基本部分。加算・食費などは別)。この記事では、対象者、類型と定員、人員・設備の基準、費用の計算例、利用までの流れ、要介護になったときの扱い、統計までを、厚生労働省や自治体の公表資料にもとづいて整理します。
言葉の補足です。「予防給付」は要支援の人向けの介護保険の給付、「地域密着型」は原則として事業所のある市区町村の人が使うサービス、「総合事業」は市町村が行う介護予防・日常生活支援総合事業を指します。報酬の「単位」は報酬を計算するための単位で、1単位はおおむね10円(地域で異なります)です。一方、定員の「単位」は同時に一体でサービスを行う利用者のまとまり(1グループ)のことで、別の意味です。
通常のデイサービス(通所介護)との違いは、このサービスが認知症の人を対象に少人数で行われる点と、要支援の人の通所介護が総合事業に移っている一方で本サービスは予防給付に残っている点です。診断の有無などで使えるか迷う場合も、まず地域包括支援センターに「本人に合うか」を聞いてみてください。
この記事で分かること
- 定義と、要介護向けの認知症対応型通所介護との違い
- 対象者の考え方と、「急性期を除く」という説明の扱い
- 単独型・併設型・共用型の違いと定員、人員・設備の基準
- 基本報酬の単位数表、地域区分による単価、区分支給限度基準額と計算例
- 地域包括支援センターを起点とした利用の流れと、他の市区町村の事業所を使う場合
- 事業所数・受給者数の統計と、制度改定への備え
なお、介護報酬は3年ごとに改定され、制度も見直されます。本記事の単位数や基準は調査日(2026年11月3日)時点で確認できた公表資料にもとづくもので、法改正や報酬改定で変わる可能性があります。最新の内容は厚生労働省と、お住まいの市区町村で確認してください。
介護予防認知症対応型通所介護とは
最初に、このサービスが法律上どう定義されているか、同じ名前に近い「要介護向け」のサービスとどこが違うのかを整理します。
定義と法律上の位置づけ
介護保険法第8条の2第13項は、介護予防認知症対応型通所介護を、居宅の要支援者であって認知症であるものについて、老人福祉法第5条の2第3項の施設などに通わせ、その施設で日常生活上の支援や機能訓練を行うサービスと定めています(介護保険法、e-Gov法令検索)。つまり、「要支援」「認知症」「通い」の3つが揃ったときに使う、予防給付のサービスです。
厚生労働省の介護給付費分科会資料(第258回 資料1)では、このサービスの目的として、認知症の高齢者が自宅にこもりきりになることで生じる社会的孤立感の解消、心身機能の維持、家族の身体的・精神的な負担の軽減が並べて挙げられています。
サービスの運営基準は、指定地域密着型介護予防サービスの事業の人員、設備及び運営並びに指定地域密着型介護予防サービスに係る介護予防のための効果的な支援の方法に関する基準(平成18年厚生労働省令第36号)に定められています。報酬は平成18年厚生労働省告示第128号が根拠です。条文の細部は改正されることがあるため、実際の運営や契約で問題になる場面では、最新の条文と市区町村の通知を確認してください。
地域密着型介護予防サービスとしての性格
このサービスは地域密着型介護予防サービスに分類されます。
原則として、利用できるのは事業所がある市区町村の被保険者に限られます。隣の市の事業所のほうが自宅に近くても、そのまま使えるとは限りません。例外として、事業所のある市区町村長の同意を得る方法や、住所地特例の対象者が居住地の事業所を使える場合があります。詳しくは「利用開始までの流れ」の章で説明します。
要介護向けの認知症対応型通所介護との違い
名前がよく似た「認知症対応型通所介護」は、要介護1〜5の人が使う介護給付のサービスです。違いは、使える人の要介護度(要支援か要介護か)と、報酬の単位数、ケアプランを作る窓口です。
たとえば報酬の面では、単独型で7時間以上8時間未満の場合、要支援1が861単位であるのに対し、要介護1は961単位、要介護5は1,427単位です(令和6年6月以降の算定基準)。要介護向けの制度や費用の全体像は、認知症対応型通所介護とはで整理しているので、あわせて参照してください。
よくある誤解
一つ目の誤解は、「認知症の診断があれば要支援でなくても使える」というものです。このサービスは介護保険の予防給付なので、要支援1または2の認定が前提です。認知症の症状があっても、要介護と認定されている人は、要介護向けのサービスを使う区分になります。
二つ目は、「通所介護(一般的なデイサービス)と同じものだ」という理解です。要支援の人の一般的な通所介護は、後述する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に移っていて、市町村の事業として行われます。これに対して本サービスは予防給付に残っています。同じ「通い」でも制度上の位置づけが別です。
対象者の考え方
次に、誰がこのサービスを使えるのかを整理します。要支援認定の有無と、認知症があることが前提になりますが、公表資料の書き方には注意すべき点があります。
要支援1・2の認定を受けていること
対象になるのは、要支援1または要支援2の認定を受けた人です。認定の申請から結果通知までの流れは、介護予防サービスとはで触れています。
要支援1と2では、後述する報酬の単位数と、1か月に使えるサービスの上限(区分支給限度基準額)が異なります。認定の区分が変わると、同じ事業所に同じ時間通っていても、自己負担や上限との関係が変わる点を覚えておいてください。
「認知症であること」の考え方
介護保険法の定義には「認知症であるもの」と書かれています。診断書の提出が必要か、認知症の程度をどこまで確認されるかは、今回確認した公表資料では一律の取り扱いまで確認できませんでした。窓口では「診断書は必要ですか」「診断を受けていなくても相談できますか」と尋ねてみてください。
「軽度の物忘れがあるが診断は受けていない」といった場合に使えるかどうかは、この記事だけでは断定できません。まず地域包括支援センターに「このサービスが本人に合うか」を聞き、主治医や市区町村の介護保険担当窓口にも相談してください。この記事は一般的な制度の整理であり、個々の人の症状や診断について判断するものではありません。
「急性期を除く」という説明の扱い
厚生労働省の分科会資料(第258回 資料1 p.20)には、対象者として「認知症(急性を除く)の高齢者」という記載があります。WAM NETの解説でも、認知症が急速に進行中の人は対象外と説明されています。一方で、介護保険法の定義条文そのものには「急性期を除く」という文言はありません。
資料では「急性を除く」と説明されています。本人の状態が該当するかどうかは、主治医・地域包括支援センター・市町村に確認してください。
家族の負担軽減という側面
分科会資料が挙げる目的には、社会的孤立感の解消、心身機能の維持、家族の負担軽減が並んでいます。このうち家族の負担軽減は、利用を考える家族にとって大きな関心事です。家族の負担が大きい場合は、ほかのサービスや相談先とあわせて検討する方法もあります。
介護者の負担が大きい、あるいは認知症の症状が進んで要介護度が上がりそうだという場合は、早めに地域包括支援センターへ相談してください。要介護になったときの扱いは後の章で説明します。
3つの類型と利用定員
このサービスには、事業所の置かれ方によって単独型・併設型・共用型の3類型があります。類型によって定員や報酬が大きく異なるため、事業所の資料を見るときはまず類型を確認すると整理しやすくなります。
単独型
単独型は、特別養護老人ホームや病院など、併設型の節で挙げる施設に併設されていない事業所が運営する形です。単位ごとの利用定員は12人以下と定められています(平成18年厚生労働省令第36号 第5条第4項)。
定員の「単位」とは、同時に一体としてサービスを行う利用者のまとまりのことです。1つの事業所が複数の単位を運営する場合もあります。事業所の規模を比較するときは、事業所全体の人数ではなく、単位ごとの定員を見る必要があります。
併設型
併設型は、特別養護老人ホーム、養護老人ホーム、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、社会福祉施設、特定施設などに併設されている事業所が運営する形です。単独型と同じく、単位ごとの利用定員は12人以下です。
報酬は単独型より低く設定されていて、たとえば7時間以上8時間未満の要支援1では、単独型861単位に対し、併設型は773単位です。
共用型
共用型は、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)、地域密着型特定施設、地域密着型介護老人福祉施設(地域密着型特養)の食堂や共同生活室を利用して、その入居者と一緒にサービスを行う形です。グループホームなどの食堂や共同生活室を利用するため、面積の要件はありません。人員も、本体施設の基準を満たす人員で足りるとされています。
共用型の事業者には、介護保険サービスの提供について一定の経験が求められます。
類型ごとの定員の違い
共用型の定員は、本体施設の種類によって次のように異なります。単独型・併設型との違いも含めて表にまとめます。
| 類型 | 利用定員の考え方 |
|---|---|
| 単独型 | 単位ごとに12人以下 |
| 併設型 | 単位ごとに12人以下 |
| 共用型(グループホーム) | 共同生活住居ごとに1日3人以下 |
| 共用型(地域密着型特定施設・地域密着型特養、ユニット型を除く) | 施設ごとに1日3人以下 |
| 共用型(ユニット型地域密着型特養) | ユニットごとに、入居者と利用者の合計が12人以下 |
共用型の1日3人以下という枠は、単独型・併設型の12人より小さく、よりこぢんまりとした環境で過ごす形になります。見学や体験で雰囲気を確かめることが大切です。どの類型が適しているかは、本人の状態や生活環境、通いやすさで変わるので、一概にどれがよいとは言えません。
人員・設備の基準
事業所が指定を受けるために満たさなければならない基準を、単独型・併設型を中心に整理します。基準は平成18年厚生労働省令第36号(第4〜10条)に定められています。ここでは概要を示し、細かい配置の考え方は、事業所を所管する市区町村に確認してください。
配置される職種
単独型・併設型では、次の職種を置く必要があります。
- 生活相談員:提供時間に応じて専従で1人以上
- 看護職員または介護職員:単位ごとに専従で1人以上、サービス提供時間を通じて常時1人以上が従事
- 機能訓練指導員:1人以上
さらに、生活相談員、看護職員、介護職員のうち1人以上は常勤であることが求められます。実際の配置は事業所の運営規程や重要事項説明書に書かれているので、見学の際に確認するとよいでしょう。
管理者の要件
事業所には管理者を置きます。管理者は常勤の専従で、所定の研修を修了した人であることが求められます。管理に支障がなければ、同じ事業所内の他の職務や、同一敷地内の他の事業所の管理者などを兼務することも認められています。
設備の基準
単独型・併設型の事業所には、食堂、機能訓練室、静養室、相談室、事務室、消火設備その他の非常災害に必要な設備を設けます。食堂と機能訓練室を合わせた面積は、利用定員1人あたり3平方メートルに利用定員を掛けた広さ以上であることが必要です。たとえば定員12人なら、36平方メートル以上になります。
静養室は、体調が悪くなった人が休むための場所で、相談室はプライバシーに配慮して相談ができる空間です。
共用型の基準
共用型は、グループホームや地域密着型特定施設などの設備を利用するため、本体施設の基準を満たす人員で足りるとされ、面積の要件もありません。ただし、1日3人以下(ユニット型地域密着型特養では入居者と利用者の合計が12人以下)という定員の上限は守る必要があります。
基準は改正されることがあるため、最新の内容は市区町村や厚生労働省の資料で確認してください。
提供されるサービスの内容
通所の1日がどのように組み立てられるのか、公表資料から確認できる範囲でまとめます。具体的なプログラムは事業所ごとに異なります。
日常生活上の支援
WAM NETの解説では、食事や排せつなどの介助、健康チェックが、このサービスの基本的な内容として挙げられています。法律の定義でも、日常生活上の支援が含まれます。送迎を行わない場合は、後述するとおり報酬が減算されます。
機能訓練
機能訓練は、心身の機能を維持するための運動や活動です。機能訓練指導員が中心となり、個別の目標に沿って行われる場合は、個別機能訓練加算の対象になります。
機能訓練の内容は事業所ごとに異なります。利用前の見学で、1日のスケジュールの例を見せてもらうと、イメージしやすくなります。
加算で見えるサービスの付加的な内容
令和6年6月施行のサービスコード表(WAM NET)には、次のような加算が定められています。事業所がどの加算を算定しているかで、サービスの付加的な中身が分かります。
| 加算 | 単位数 |
|---|---|
| 個別機能訓練加算(Ⅰ) | 27単位/日 |
| 個別機能訓練加算(Ⅱ) | 20単位/月 |
| 入浴介助加算(Ⅰ) | 40単位/日 |
| 入浴介助加算(Ⅱ) | 55単位/日 |
| 口腔機能向上加算(Ⅰ) | 150単位(月2回まで) |
| 口腔機能向上加算(Ⅱ) | 160単位(月2回まで) |
| 栄養アセスメント加算 | 50単位/月 |
| 栄養改善加算 | 200単位/回 |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅰ) | 20単位 |
| 口腔・栄養スクリーニング加算(Ⅱ) | 5単位 |
| 若年性認知症利用者受入加算 | 60単位/日 |
加算ごとに算定の要件があります。加算の有無や内容は、事業所の重要事項説明書や料金表で確認できます。
若年性認知症の人の受け入れ
若年性認知症利用者受入加算は、1日60単位です。受け入れの可否や対応は事業所ごとに異なります。個別の相談は、事業所や地域包括支援センターにしてください。
費用の仕組み
月額の目安として、単独型・要支援1・7時間以上8時間未満・月4回・1単位10円の地域・1割負担なら、861単位×4回=3,444単位で、自己負担は約3,444円です(令和6年6月以降の単位数。加算や食費などは別)。
費用は、介護報酬の「単位数」に、地域ごとの「1単位の単価」を掛けて計算します。そのうち利用者が負担するのは原則1割です。この章では、単位数表と単価、加算・減算を整理します。
基本報酬の単位数表
令和6年6月以降の基本単位は、類型とサービス提供時間、要支援度で決まり、いずれも1日あたりの単位数です(サービスコード表、WAM NET)。次の表は、要支援1/要支援2の順に示しています。
| 提供時間 | 単独型(要支援1/要支援2) | 併設型(要支援1/要支援2) | 共用型(要支援1/要支援2) |
|---|---|---|---|
| 3時間以上4時間未満 | 475/526 | 429/476 | 248/262 |
| 4時間以上5時間未満 | 497/551 | 449/498 | 260/274 |
| 5時間以上6時間未満 | 741/828 | 667/743 | 413/436 |
| 6時間以上7時間未満 | 760/851 | 684/762 | 424/447 |
| 7時間以上8時間未満 | 861/961 | 773/864 | 484/513 |
| 8時間以上9時間未満 | 888/991 | 798/891 | 500/529 |
提供時間が長いほど単位数は増えますが、5時間を境に大きく上がることが分かります。たとえば単独型の要支援1では、4〜5時間未満が497単位、5〜6時間未満が741単位です。報酬の設計の考え方は、告示や審議会資料で確認してください。
同じ時間でも、共用型は単独型の半分前後の単位数になっています。
1単位の単価と地域区分
単位数は全国共通の告示で定められ、1単位の単価は地域区分で異なります。10円が基本で、全サービス共通の地域区分では最大11.40円ですが、認知症対応型通所介護の人件費割合55%の区分では、第262回介護給付費分科会資料3に次の単価(最大11.10円)が示されています。
| 地域区分 | 1単位の単価 |
|---|---|
| 1級地 | 11.10円 |
| 2級地 | 10.88円 |
| 3級地 | 10.83円 |
| 4級地 | 10.66円 |
| 5級地 | 10.55円 |
| 6級地 | 10.33円 |
| 7級地 | 10.17円 |
| その他 | 10円 |
ここで示したのは、要介護向けを含む「認知症対応型通所介護」の区分で示された単価です。介護予防認知症対応型通所介護が同じ区分で扱われるかどうかは、今回確認した資料に明記がありませんでした。実際の単価は、お住まいの市区町村や事業所の料金表で確認し、不明なら「この事業所の1単位の単価はいくらですか」と尋ねてください。
減算と時間区分の特例
基本単位には、次のような調整があります。
- 2時間以上3時間未満の利用:4時間以上5時間未満の単位数の63/100(単独型・要支援1なら497単位の約63%で、約313単位)
- 同一建物に居住する利用者:1日につき94単位を減算
- 送迎を行わない場合:片道につき47単位を減算
端数の処理方法などの細則は、告示で確認してください。
介護職員等処遇改善加算
介護職員等の賃金改善のための介護職員等処遇改善加算は、事業所が算定する区分により加算率が異なります。厚生労働省の分科会資料(p.23〜25)では、加算率は区分に応じて次のように示されています。
| 区分 | 加算率 |
|---|---|
| 処遇改善加算(Ⅰ) | 18.1% |
| 処遇改善加算(Ⅱ) | 17.4% |
| 処遇改善加算(Ⅲ) | 15.0% |
| 処遇改善加算(Ⅳ) | 12.2% |
この加算は、事業所の職員の処遇を改善するために設けられたもので、利用者の自己負担額にも反映されます。加算率は改定の際に見直されることがあるため、実際の率は事業所の料金表で確認してください。
利用者負担の割合
利用者負担は、原則として費用の1割です。一定以上の所得がある人は2割または3割になります(介護サービス情報公表システム)。どの割合になるかは、お手元の負担割合証や市区町村の窓口で確認してください。所得の基準額は制度改正で変わることがあるため、この記事には数値を書きません。
食費は、介護保険の対象外で、別に負担します。金額は事業所ごとに設定されるため、ここでは示しません。そのほかの実費の有無や内訳も、事業所の料金表で確認が必要です。
費用の計算例と区分支給限度基準額
ここからは、具体的な数字を使って費用のイメージをつかみます。計算はあくまで例であり、実際の請求額は加算・減算、地域区分、端数処理などで変わります。
1日あたりの計算例
単独型で、要支援1の人が7時間以上8時間未満利用する場合、基本単位は861単位です。1単位が10円の地域なら費用は8,610円で、1割負担の自己負担は約861円になります。要支援2なら961単位、9,610円で、1割負担は約961円です。
参考までに、仮に1単位が11.10円の区分(認知症対応型通所介護の区分の1級地)だった場合の試算では、同じ要支援1・861単位で費用は約9,557円、1割負担は約956円です。これに、実際に算定される加算や減算、食費などが加わります。
| 条件(単独型・7時間以上8時間未満) | 単位数 | 10円地域の費用 | 1割負担の目安 |
|---|---|---|---|
| 要支援1 | 861 | 8,610円 | 約861円 |
| 要支援2 | 961 | 9,610円 | 約961円 |
| 要支援1(仮に11.10円の場合の試算) | 861 | 約9,557円 | 約956円 |
区分支給限度基準額
介護保険では、要介護度ごとに、1か月に使えるサービスの上限(区分支給限度基準額)が決まっています。要支援1は5,032単位(50,320円)、要支援2は10,531単位(105,310円)です(介護サービス情報公表システム、目黒区の公表)。限度額の範囲内なら1〜3割負担で、超えた分は全額自己負担になります。このサービスの費用も、この枠の中に含まれます。
他のサービスとの兼ね合いは、介護予防ケアマネジメントを担う地域包括支援センターに相談できます。
月の利用回数と限度額の関係
単独型・7時間以上8時間未満で、週1回(月4回とする)利用した場合を考えます。要支援1は861単位×4回で3,444単位、限度額5,032単位のおよそ68%です。要支援2は961単位×4回で3,844単位、限度額10,531単位のおよそ37%になります。
月8回の場合は、要支援2が961単位×8回で7,688単位(限度額の約73%)に収まります。一方、要支援1は861単位×8回で6,888単位となり、限度額5,032単位を1,856単位超えます。超えた分を10円で換算すると、約18,560円が全額自己負担になる計算です。もっとも、要支援1の人がこの回数を計画に盛り込むかどうかは、本人の状態に応じてケアマネジメントで決まるため、あくまで限度額との関係を示す例にすぎません。
| 月の利用回数 | 要支援1(861単位/回) | 要支援2(961単位/回) |
|---|---|---|
| 月4回 | 3,444単位(限度額の約68%) | 3,844単位(限度額の約37%) |
| 月8回 | 6,888単位(限度額5,032単位を超える) | 7,688単位(限度額の約73%) |
介護保険の対象外の費用
食費は介護保険の対象外で、別途請求されます。そのほかの実費が何にかかるかは、事業所の重要事項説明書に記載があり、利用前に説明を受けます。内訳が分からないときは、契約の前に質問して構いません。
費用の全体像を把握するには、1回あたりの介護保険の自己負担に、食費などの実費と、利用回数をかけ合わせて考えます。月の合計がどのくらいになるかは、地域包括支援センターの担当者に試算を相談できます。
利用開始までの流れ
実際に利用を始めるまでのステップを整理します。要支援の人のケアマネジメントは、要介護の人とは窓口が異なる点が重要です。
地域包括支援センターへの相談
要支援の人の介護予防ケアマネジメントは、地域包括支援センターが担当します(介護予防支援)。要介護の人の居宅介護支援を行う居宅介護支援事業所とは窓口が異なります。まだ認定を受けていない場合は、まず市区町村の窓口で要介護認定の申請をします。要支援と認定されたら、地域包括支援センターで介護予防サービス・支援計画(ケアプラン)を作ってもらいます。
通所のサービスが必要かどうかは、センターと相談しながら検討します。
事業所の見学と契約
ケアプランに通所の位置づけがされたら、事業所を探して見学します。見学では、1日の流れ、職員の配置、利用者の人数、送迎の範囲、食事や入浴の対応、費用などを確認します。事業所の基本情報は、介護サービス情報公表システムでも調べられます。当サイトは特定の事業所を評価・推奨せず、判断材料となる制度の情報を並列に整理する立場です。
利用を決めたら、事業所から重要事項説明書で説明を受け、契約を結びます。その後、事業所は、ケアプランに沿って介護予防認知症対応型通所介護計画を作成し、サービスの提供を始めます。
市町村限定と他の市区町村の事業所を使う場合
地域密着型であるこのサービスは、原則として事業所のある市区町村の被保険者だけが利用できます。他の市区町村の被保険者が使うには、事業所がある市区町村長の同意が必要です(介護保険法第78条の2第4項第4号、第115条の12第2項第4号)。
住所地特例の対象者については、平成27年4月から、居住地(施設所在地)の指定を受けた介護予防認知症対応型通所介護を使えるようになりました(社会保障審議会介護保険部会の参考資料、世田谷区の通知)。運用は自治体で異なるため、事前に市区町村へ確認してください。
同意の取り扱いは、自治体によって運用が異なります。たとえば旭川市の要綱は、同意の例外となる要件を定めています。したがって「他の市区町村の事業所は使えない」とも「必ず使える」とも言えません。使いたい事業所が他の市区町村にある場合は、自分が住む市区町村とその事業所のある市区町村の双方に事前に確認することが欠かせません。
利用開始前に確認したいこと
- 事業所の類型(単独型・併設型・共用型)と、単位ごとの定員
- サービス提供時間と、要支援度に応じた単位数
- 送迎の有無・範囲、送迎なしの場合の減算の有無
- 算定している加算と、食費・日常生活費の内訳
- 急な体調変化があったときの連携先
- 要介護になった場合の対応(同じ事業所を続けられるか)
これらは重要事項説明書で確認できる事項なので、契約前に書面で確認してください。疑問があれば、地域包括支援センターに相談してください。
要介護になったら・総合事業や類似サービスとの違い
状態の変化や、似た名前のサービスとの違いを整理します。制度の境界を知っておくと、相談のときに話がスムーズです。
要介護と認定されたとき
更新や区分変更の申請で要介護1以上と認定されると、介護予防認知症対応型通所介護は使えなくなり、要介護向けの認知症対応型通所介護の枠組みに移ります。報酬も変わり、たとえば単独型・7時間以上8時間未満では、要支援1の861単位から要介護1の961単位、要介護5の1,427単位となります。
同じ事業所を続けられるかどうかは、自治体や事業所によって異なります。「要介護になった場合も、この事業所に通い続けられますか」と、事前に事業所と市区町村に聞いておくとよいでしょう。要介護向けの内容は認知症対応型通所介護の解説記事にまとめています。
総合事業の通所型サービスとの違い
法改正により、要支援の人の訪問介護と通所介護は、予防給付から市町村が実施する介護予防・日常生活支援総合事業(総合事業)に移行しました(厚生労働省の総合事業の概要資料)。そのため、要支援の人が使う一般的なデイサービスは、市町村の事業として運営されています。
これに対し、介護予防認知症対応型通所介護は予防給付(地域密着型介護予防サービス)として残り、単位数は全国共通の告示で定められています。総合事業の詳細は、お住まいの市町村によって異なる点に注意が必要です。
似たサービスとの違い
名前の似たサービスとの違いを、整理しておきます。
- 介護予防通所リハビリテーション:リハビリテーションを行う予防給付の通所サービスです。
- 介護予防認知症対応型共同生活介護:認知症の人が少人数で共同生活を送る住まいのサービスです。通いではなく、居住を伴います。詳しくは認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の解説記事で扱っています。
- 総合事業の通所型サービス:市町村事業として運営される通いのサービスです。
どのサービスが本人に合うかは、状態や希望、地域の事業所の状況によって異なります。ケアプランを作る地域包括支援センターに、複数の選択肢を並べて説明してもらうとよいでしょう。
統計で見る事業所数と受給者数
公的統計から、このサービスの規模を確認します。数値の定義は統計ごとに異なるため、出典と定義を分けて読む必要があります。
事業所数
厚生労働省の令和6年介護サービス施設・事業所調査(令和6年10月1日現在)では、介護予防認知症対応型通所介護の指定を受けている事業所数(調査時点)は3,117か所でした。前年の3,239か所から122か所、3.8%の減少です。要介護向けの認知症対応型通所介護は3,370か所で、前年の3,505か所から135か所、3.9%減っています。
| サービス | 令和6年 | 前年 | 増減 |
|---|---|---|---|
| 介護予防認知症対応型通所介護 | 3,117 | 3,239 | 122減(3.8%減) |
| 認知症対応型通所介護 | 3,370 | 3,505 | 135減(3.9%減) |
受給者数
令和6年度の介護給付費等実態統計では、介護予防認知症対応型通所介護の年間累計受給者数は8.8千人で、前年度の9.4千人から5.4%減りました。年間の実受給者数は1.5千人です。一方、要介護向けの認知症対応型通所介護は、年間累計564.6千人、年間実受給者数70.5千人です。
| サービス | 年間累計受給者数 | 年間実受給者数 |
|---|---|---|
| 介護予防認知症対応型通所介護 | 8.8千人(前年度9.4千人、5.4%減) | 1.5千人 |
| 認知症対応型通所介護 | 564.6千人 | 70.5千人 |
年間累計受給者数ベースでは、予防は要介護向けの約1.6%です。
請求事業所数との違い
参考として、令和7年4月審査分の請求事業所数は、予防が406か所、非予防(要介護向け)が2,716か所です。これは請求があった事業所の数で、指定を受けている事業所数とは定義が異なるため、3,117か所などとは比べられません。統計を読むときは、調査時点、対象(事業所か受給者か)、集計の単位を確認してください。
利用時の注意点と制度改定への備え
最後に、利用を考える際の注意点と、制度が変わるときの確認方法をまとめます。
注意点
- 市区町村の違い:地域密着型のため、他の市区町村の事業所を使えるかどうかは、自治体の運用で異なります。
- 単位数は改定で変わる:この記事の数字は令和6年6月以降の単位数をもとにしています。
- 限度額の管理:他のサービスと合わせて限度額を超えないよう、ケアプランで管理します。
- 認知症の状態の変化:症状の変化があるときは、医療機関と地域包括支援センターに相談してください。
特に、費用は単位数だけで決まらず、地域区分、加算、減算、食費で変わります。事業所から示された見積りや料金表で、総額を確認してください。
制度改定と最新情報の確認
介護報酬は3年ごとに改定されます。令和8年6月施行の告示改正もありますが、本記事ではその内容までは確認できていません。また、厚生労働省は令和8年6月の分科会で、通所系サービスの論点の整理を進めています。単位数や地域区分、加算の要件は、今後の改定で変わりうる点に注意してください。
最新の内容は、厚生労働省の報酬告示や分科会資料、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で確認できます。この記事は、調査日時点の公表資料にもとづく一般的な情報の整理であり、個別の利用可否や金額を保証するものではありません。
相談先
制度や利用について迷ったら、次の窓口が利用できます。
- お住まいの地域を担当する地域包括支援センター
- 市区町村の介護保険担当窓口
- 主治医(認知症の症状や状態に関すること)
当サイトは、特定の事業所の優劣を示したり、利用を勧めたりしない方針で情報を整理しています。編集方針はこのサイトの立ち位置で説明しています。
まとめ
この記事の要点を整理します。
この記事のポイント
- 介護予防認知症対応型通所介護は、要支援1・2で認知症の人が通う、予防給付の地域密着型サービスです。原則として事業所のある市区町村の被保険者が対象です。
- 定員は単独型・併設型が単位ごとに12人以下、共用型はグループホームなどの共同生活住居ごとに1日3人以下です。
- 単独型・7時間以上8時間未満の基本単位は、要支援1が861単位、要支援2が961単位です。1割負担、10円地域で約861円・961円が目安です。
- 区分支給限度基準額は、要支援1が5,032単位、要支援2が10,531単位で、このサービスもその枠内です。
- 単位数は改定で変わります。最新の情報は、厚生労働省と市区町村で確認してください。
- 要介護になると、要介護向けの認知症対応型通所介護の枠組みに移ります。
次にやること
- 要支援の認定を受けているか確認し、担当の地域包括支援センターに相談する
- 候補の事業所の重要事項説明書で、類型・定員・費用・送迎を確認する
- 他の市区町村の事業所を検討する場合は、両方の市区町村に同意の取り扱いを確認する