認知症高齢者の日常生活自立度とは|ランクⅠ〜Mの判定基準と認定での使われ方を解説

認知症高齢者の日常生活自立度は、自立・Ⅰ〜Mの8区分で生活の支障や介護の必要度を示す国の基準です。各ランクの意味と使われ方を整理します。

目次

認知症高齢者の日常生活自立度とは、認知症のある方の日常生活の支障の度合いや介護の必要度を、「自立」「Ⅰ」「Ⅱa」「Ⅱb」「Ⅲa」「Ⅲb」「Ⅳ」「M」の区分で表す国の判定基準です。要介護認定の調査票や主治医意見書に記載され、認定審査や介護報酬の加算要件にも使われます。

この記事では、厚生労働省などの公的資料にもとづき、各ランクの判定基準、寝たきり度との違い、認定の中での使われ方、サービスや加算との関係、家族ができる備えを整理します。制度は3年ごとの介護報酬改定などで変わる可能性があるため、最新の内容は市区町村や地域包括支援センターでご確認ください。

結論の3行まとめ

  • 自立度は「自立・Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」の区分で、認知症のある方の日常生活の支障と介護の必要度を表す国の判定基準です。
  • 日常生活の支障の度合いと介護の必要度を示す区分で、要介護認定では調査員と主治医が記載し、審査会が判断します。要支援2と要介護1の振り分けにも関わります。
  • 基準の文言上、aとbは症状が見られる場所(Ⅱ)または時間帯(Ⅲ)で区分されています。Mは専門医療が必要な状態を指します。

いま困っている方は、まず地域包括支援センターへ。ランクの意味を調べている途中でも、介護の相談は全市町村にある地域包括支援センターで受け付けています。窓口の一覧は、後半の「相談できる窓口」にまとめました。

認知症高齢者の日常生活自立度とは|要介護認定に使われる判定基準

定義と位置づけ

認知症高齢者の日常生活自立度は、認知症のある高齢者について、日常生活にどの程度の支障があり、どの程度の介護が必要かを、共通のものさしで表すための基準です。長寿科学振興財団の健康長寿ネットによると、現行の基準は平成18年4月3日付の老発第0403003号「『痴呆性老人の生活自立度判定基準』の活用について」の一部改正で定められたものです。

介護の現場や行政の書類では、「認知症自立度」「認知症高齢者自立度」「ランクⅡa」などと略されることも多く、ケアマネジャーや介護職の会話に出てくる「ランク」はこの区分を指しています。

よくある誤解|病名や要介護度とは別の物差し

ランクについては、混同されやすい点がいくつかあります。

ひとつめは、ランクの位置づけです。自立度のランクは、日常生活の支障の度合いと介護の必要度を示す区分です。

ふたつめは、要介護度との混同です。要介護度(要支援1〜要介護5)とランクは別の区分で、要支援2か要介護1かの振り分けにランクが関わります(後述)。また、寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)とも別の基準で、両者は別々に判定されます。

みっつめは、ランクが何を見ているかです。ランクは認知症に伴う症状・行動や意思疎通の困難さによる生活上の支障を見る基準で、身体の動きや移動の状態は寝たきり度で別に見ます。

誰が、何のために使うのか

ランクは、主に次の場面で使われます。

  • 要介護認定:認定調査員が調査票に、主治医が意見書に記載し、認定審査会が判断する
  • 要支援2と要介護1の振り分け:予防給付(要支援の人向けのサービス)の利用の理解が困難かどうかを見る際に使われる
  • 介護報酬の加算:認知症専門ケア加算などで、利用者のうち一定以上のランクの方の割合が要件になる(事業所側の仕組み)

ランクを記入・判断するのは、認定調査員(調査票に記入)、主治医(意見書に記入)、介護認定審査会(最終的な判断)です。ご家族が自分でランクを判定したり、書き換えたりするものではありません。

それぞれの場面は、以降の章で順に説明します。

ランク自立・Ⅰ〜Mの判定基準と具体例

ランクの一覧表

厚生労働省の認知症施策資料に示されている判定基準を、表にまとめます。文言は資料の趣旨に沿って要約しています。Ⅱ・Ⅲは基本の区分で、その細分としてa・bがあります。

認知症高齢者の日常生活自立度のランク一覧 自立、Ⅰ、Ⅱ、Ⅲ、Ⅳのランクがあり、Ⅱは場所によって家庭外のⅡaと家庭内でも見られるⅡbに、Ⅲは時間帯によって日中中心のⅢaと夜間中心のⅢbに分かれる。基準の文言上、aとbは症状が見られる場所(Ⅱ)または時間帯(Ⅲ)で区分されている。Mは専門医療が必要な状態を示す区分であることを示す図。 認知症高齢者の日常生活自立度 ⅡとⅢは、場所・時間帯でa/bに分かれる 自立 まったく認知症を有しない Ⅰ 家庭内・社会的にほぼ自立 Ⅱ 見る観点:場所 Ⅱa 家庭外で見られる Ⅱb 家庭内でも見られる Ⅲ 見る観点:時間帯 Ⅲa 日中を中心に Ⅲb 夜間を中心に Ⅳ 頻繁に見られ常に介護が必要 M 著しい精神症状や重篤な 身体疾患で専門医療が必要 Mは専門医療が必要な状態を示す区分
ⅡとⅢは場所・時間帯でa/bに分かれ、Mは専門医療が必要な状態を示す区分です。
認知症高齢者の日常生活自立度の判定基準(厚生労働省の資料にもとづく要約)
ランク区分判定基準
自立基本区分まったく認知症を有しない
Ⅰ基本区分何らかの認知症を有するが、日常生活は家庭内及び社会的にほぼ自立している
Ⅱ基本区分日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる
ⅡaⅡの細分家庭外でⅡの状態が見られる
ⅡbⅡの細分家庭内でもⅡの状態が見られる
Ⅲ基本区分日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さがときどき見られ、介護を必要とする
ⅢaⅢの細分日中を中心としてⅢの状態が見られる
ⅢbⅢの細分夜間を中心としてⅢの状態が見られる
Ⅳ基本区分日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする
M基本区分著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする

Ⅲの「ときどき」という語は厚生労働省の資料に示されているもので、認定調査員向けのテキストなどでは省略して書かれていることもあります。書類や資料によって細かな言い回しが少し異なる場合があります。

自立・Ⅰ・Ⅱ(Ⅱa/Ⅱb)|見守りがあれば自立できる段階

「自立」は、まったく認知症を有しない場合です。調査票や意見書では「自立」に○をつけます。

「Ⅰ」は、何らかの認知症があっても、日常生活は家庭内でも社会的にもほぼ自立している状態です。

「Ⅱ」は、日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが多少見られても、誰かが注意していれば自立できる状態です。厚生労働省の資料では、症状が見られる場所によって2つに分けられています。

  • Ⅱa:家庭外でⅡの状態が見られる。例として、たびたび道に迷う、買い物や事務、金銭管理などそれまでできたことにミスが目立つ、などが挙げられている
  • Ⅱb:家庭内でもⅡの状態が見られる。例として、服薬管理ができない、電話の応対や訪問者との対応など一人で留守番ができない、などが挙げられている

Ⅲ(Ⅲa/Ⅲb)・Ⅳ|介護を必要とする段階

「Ⅲ」は、日常生活に支障を来たすような症状・行動や意思疎通の困難さが「ときどき」見られ、介護を必要とする状態です。症状が見られる時間帯でさらに2つに分かれます。

  • Ⅲa:日中を中心としてⅢの状態が見られる
  • Ⅲb:夜間を中心としてⅢの状態が見られる

例として、厚生労働省の資料には、着替え、食事、排便・排尿が上手にできない(時間がかかる)、やたらに物を口に入れる、物を拾い集める、徘徊、失禁、大声・奇声をあげる、火の不始末、不潔行為、性的異常行為などが挙げられています。

「Ⅳ」は、同様の症状・行動や意思疎通の困難さが頻繁に見られ、常に介護を必要とする状態です。例はⅢと同じです。基準の文言上、Ⅲとの違いは、症状が見られる頻度と、介護が「常に」必要とされているかどうかです。

M|専門医療が必要な状態

「M」は、著しい精神症状や問題行動あるいは重篤な身体疾患が見られ、専門医療を必要とする状態です。例として、せん妄、妄想、興奮、自傷・他害などの精神症状や、精神症状に起因する問題行動が継続する状態などが挙げられています。

健康長寿ネットの解説では、ランクⅠ〜Ⅳと判定されていた方が、精神科での治療や重篤な身体疾患の治療を必要とする状態になった場合を指す、とされています。このため、Mは、専門医療が必要な状態を示す区分です。

資料によっては、Mの説明で「問題行動」ではなく「周辺症状」と書かれているものもあります。この記事では厚生労働省の資料の文言を用いています。

ランクの見分け方|基準の文言から読み取れる整理

ここで示すのは、基準の文言から読み取れる整理です。判定の公式な手順ではなく、実際のランクは調査員、主治医、審査会が判断します。

aとbの違い|場所と時間帯の区別

Ⅱのaとbは、症状が見られる場所の区別です。Ⅱaは家庭外で、Ⅱbは家庭内でもⅡの状態が見られる段階とされ、例示にはⅡaに「たびたび道に迷う」、Ⅱbに「服薬管理ができない」などがあります。

Ⅲのaとbは、時間帯の区別です。Ⅲaは日中を中心に、Ⅲbは夜間を中心にⅢの状態が見られる段階で、例示はどちらも同じです。

基準の文言上、aとbは症状が見られる場所(Ⅱ)または時間帯(Ⅲ)で区分されています。

Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの書き分け|頻度と介護の必要度

基準の文言を並べると、症状の頻度はⅡが「多少見られる」、Ⅲが「ときどき見られる」、Ⅳが「頻繁に見られる」と書き分けられています。必要な介護は、Ⅱが「誰かが注意していれば自立できる」、Ⅲが「介護を必要とする」、Ⅳが「常に介護を必要とする」です。

ランクⅡ・Ⅲ・Ⅳの頻度と介護の必要度の違い Ⅱは症状が多少見られ誰かが注意していれば自立できる、Ⅲはときどき見られ介護を必要とする、Ⅳは頻繁に見られ常に介護を必要とする、という書き分けを示す図。週に何回といった数値の基準は示されていない。 Ⅱ・Ⅲ・Ⅳの書き分け 症状の頻度 必要な介護 Ⅱ 多少見られる 注意していれば 自立できる Ⅲ ときどき見られる 介護を 必要とする Ⅳ 頻繁に見られる 常に介護を 必要とする 回数の数値基準は示されていない※頻度の並びは目安のイメージ
数字が大きいほど症状の頻度が高く、必要な介護も「注意」から「常に」へと重くなります。

「ときどき」や「頻繁」が週に何回か、といった数値の基準は示されていません。健康長寿ネットの解説でも、Ⅲの「ときどき」の頻度は症状によって異なる、とされています。

ランクごとの介護の方向性|判断にあたっての留意事項

Ⅰ・Ⅱの場合|在宅生活が基本

健康長寿ネットによると、判定基準には「判断にあたっての留意事項」として、ランクごとの介護の方向性が示されています。

判断にあたっての留意事項(健康長寿ネットの解説の要約)
ランク留意事項に書かれている方向性
Ⅰ在宅生活が基本で、一人暮らしも可能。相談・指導等により症状の改善や進行の阻止を図る
Ⅱ在宅生活が基本だが、一人暮らしは困難な場合もある。日中の在宅サービスを利用する
Ⅲ在宅が基本で、夜間を含む居宅サービスを組み合わせて対応する
Ⅳ家族の介護力など在宅基盤に応じて、在宅サービスの継続か施設サービスかを選ぶ
M専門医療機関の受診を勧める必要がある

Ⅰは、在宅生活が基本で、一人暮らしも可能とされています。相談・指導等により、症状の改善や進行の阻止を図るという方向性です。

Ⅱは、在宅生活が基本ですが、一人暮らしは困難な場合もあるとされています。日中の在宅サービスを利用して、在宅生活の支援と症状の改善、進行の阻止を図る、という方向性です。

Ⅲ・Ⅳの場合|夜間を含む在宅サービスか施設サービスか

はじめにお伝えすると、ランクだけで在宅か施設かが決まるわけではありません。以下は、留意事項に書かれている考え方の紹介です。

留意事項では、Ⅲは「ランクⅡより重度で介護が必要」とされています。「ときどき」の頻度は症状により異なるものの、一時も目を離せない状態ではない、とされ、在宅が基本で、夜間を含む居宅サービスを組み合わせて対応するという方向性が示されています。

Ⅳについては、常に目を離すことができない状態とされ、家族の介護力など在宅基盤に応じて、在宅サービスの継続か施設サービスかを選ぶ、とされています。具体的な選択肢は、担当のケアマネジャーや地域包括支援センターに相談できます。

Mの場合|専門医療機関の受診を勧める必要がある

留意事項では、Mについて「専門医療機関の受診を勧める必要がある」とされています。ランクⅠ〜Ⅳと判定されていた方が、精神科での治療や重篤な身体疾患の治療を必要とする状態になった場合を指します。

状態が急に変わったときは、かかりつけ医や地域包括支援センターに相談してください。この記事は医療上の助言をするものではありません。

障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)との違い

寝たきり度の4段階|J・A・B・C

要介護認定の調査票には、認知症自立度とは別に「障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)」を記載する欄があります。厚生労働省の認定調査票記入の手引きによると、こちらはJ・A・B・Cの4段階で、身体の移動を中心とした「状態」に着目します。能力ではなく状態を見る点が特徴で、補装具や自助具を使っている場合でも判断できます。障害がまったくなければ「自立」に○をつけます。

  • J:何らかの障害等を有するが、日常生活はほぼ自立しており独力で外出する
  • A:屋内での生活は概ね自立しているが、介助なしには外出しない(準寝たきり)
  • B:屋内での生活は何らかの介助を要し、日中もベッド上での生活が主体だが、座位を保つ
  • C:1日中ベッド上で過ごし、排泄、食事、着替えにおいて介助を要する

2つの物差しの違い

両者の違いは、見ているものにあります。寝たきり度は身体の動き、とくに移動に関する状態を見ます。一方、認知症自立度は、認知症に伴う症状・行動や意思疎通の困難さによる日常生活の支障を見ます。

認知症高齢者の自立度と障害高齢者の自立度(寝たきり度)の違い 認知症高齢者の自立度はⅠからⅣとMで認知症による生活の支障を見る。障害高齢者の自立度はJ・A・B・Cで身体の移動を中心とした状態を見る。審査会資料ではJとⅠのように併記される。 2つの自立度は別の物差し 認知症 高齢者の自立度 表し方 Ⅰ〜Ⅳ・M 見ているもの 認知症による 生活の支障 例:Ⅰ 障害高齢者 の自立度 表し方 J・A・B・C 見ているもの 身体の移動 を中心とした状態 例:J 審査会の資料には2つが並べて記載
ローマ数字が認知症の自立度、アルファベットが寝たきり度です。2つは別々に判定されます。

認知症自立度は、調査員が訪問調査時の様子から、基準を参考に○をつけます。2つは別々に判定されます。

審査会資料での併記

宮城県が公開している認定審査会の資料(厚生労働省のテキストに準拠)では、2つの自立度は別々に判定され、審査会の資料に併記される例が示されています。たとえば、障害高齢者自立度がJ2、認知症高齢者自立度がⅠ、というように並べて記載されます。

審査会資料では2つの自立度が併記されます。アルファベットが寝たきり度、ローマ数字が認知症の自立度です。見分け方の目安にしてください。

要介護認定の中でのランクの扱い

認定調査員の記載と特記事項

認定調査員は、訪問調査のときの様子をもとに、基準を参考にして認知症自立度に○をつけます。詳しい調査の流れは認定調査票についての解説記事で説明しています。

厚生労働省の手引きによると、平成21年度の認定調査から、認知症自立度にも特記事項欄(調査票の選択肢だけでは伝わらない状況を書き添える欄)が設けられました。調査項目にはない症状、たとえば幻視・幻聴、暴言・暴行、不潔行為、異食行動などは、関連する項目の特記事項、または認知症自立度の特記事項に記載することになっています。「火の不始末」は、調査項目の「ひどい物忘れ」で評価され、特記事項に具体的な状況を書くとされています。

主治医意見書の認知症自立度

主治医意見書の「心身の状態に関する意見」には、障害高齢者の自立度と並んで、認知症の自立度を記入する欄があります。自立からMまでの区分から選びます。意見書全体の役割や書かれる内容は主治医意見書の解説記事で扱っています。

一次判定|要介護認定等基準時間

一次判定は、基本調査の結果をコンピュータで処理し、要介護認定等基準時間(要介護度の判定に用いる、介護の手間を分単位で推計した値)を算出して行います。厚生労働省の資料に示された区分は、次のとおりです。

要介護認定等基準時間と区分
要介護認定等基準時間区分
25分未満非該当
25分以上32分未満要支援1
32分以上50分未満要支援2または要介護1
50分以上70分未満要介護2
70分以上90分未満要介護3
90分以上110分未満要介護4
110分以上要介護5

運動能力が低下していない認知症高齢者には、認知症加算の時間が加わる仕組みがあります。宮城県の審査会資料には、その例として19.0分という数字が示されています。

二次判定|認定審査会が自立度を吟味する

二次判定では、介護認定審査会が、一次判定の結果、特記事項、主治医意見書を総合して判断します。宮城県の審査会資料によると、認定調査員は認知症の医学的な知識を必ずしも持っているわけではなく、主治医も自宅での様子についての情報が限られる場合があることから、審査会は認知症自立度を慎重に吟味することとされています。

審査会の役割や委員の構成は介護認定審査会の解説記事にまとめています。

要支援2と要介護1の振り分けとランク

一次判定で「32分以上50分未満」となった方は、要支援2か要介護1のどちらかになります。宮城県の審査会資料(厚生労働省のテキストに準拠)によると、この振り分けで、認知症自立度が関わってきます。

要支援2と要介護1の振り分けの流れ 一次判定が32分以上50分未満の場合、審査会が判断した自立度がⅡ以上またはMなら予防給付の利用の理解が困難として要介護1。自立またはⅠなら、概ね6か月以内に状態が悪化して再検討が必要かを見て、不要なら要支援2、必要なら要介護1になる。 要支援2か要介護1かの振り分け 一次判定 32分以上50分未満 審査会が判断した自立度は? 予防給付の利用の理解が困難か 自立・Ⅰ Ⅱ以上・M 概ね6か月以内に 状態が悪化し 再検討が必要か 理解が困難 要介護1 不要 必要 要支援2 要介護1
自立度がⅡ以上またはMなら要介護1に、自立・Ⅰなら状態の見込みで振り分けられます。
  • 予防給付(要支援の人向けのサービス)の利用の理解が困難かどうかを見る。審査会が判断した自立度がⅡ以上またはMであれば、理解が困難と判断され、要介護1になる
  • 理解が困難でない場合(自立度が自立またはⅠ)は、概ね6か月以内に状態が悪化して再検討が必要かどうかを見る
  • 再検討が必要でないと見込まれれば要支援2、必要と見込まれれば要介護1になる

認定の有効期間や更新の仕組みは要介護認定の更新についての解説記事で説明しています。

加算やサービスでの使われ方

認知症専門ケア加算(訪問系サービス)|事業所側の仕組み

自立度は、介護事業所が受け取る介護報酬の加算の要件にも使われます。これは事業所側の仕組みで、利用者やご家族が手続きをするものではありません。代表的なのが認知症専門ケア加算です。厚生労働省の介護保険最新情報Vol.1255(令和6年4月18日、老発0418第1号)に添付された届出書の様式によると、訪問系サービス(訪問介護、訪問入浴介護、定期巡回・随時対応型訪問介護看護、夜間対応型訪問介護)の加算では、利用者の総数のうち一定割合以上がランクⅡ以上(加算(Ⅰ)は50%以上、加算(Ⅱ)は(Ⅰ)の要件に加え、Ⅲ以上が20%以上)であることなどが要件とされています。

このほかに、認知症介護実践リーダー研修(認知症介護について学ぶ研修)の修了者の配置などの要件があります。施設系などのサービスでも同様の加算がありますが、サービス種別ごとに要件が異なります。要件の詳細は改定で変わることがあるため、この記事では述べません。

加算要件の自立度は誰の判定を使うのか

加算の要件に使うランクは、誰の判定によるのでしょうか。令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4、令和3年3月29日、介護保険最新情報Vol.953)に回答があります。

  • 加算要件の自立度は、医師の判定結果又は主治医意見書を用いる
  • 複数の判定がある場合は、最も新しいものを用いる
  • 医師の判定がない場合は、認定調査票(基本調査)の記載を用いる

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)との関係

入居の要件として、自立度のランクが明記されているわけではありません。診断や要介護度などが要件とされています。

グループホームは、介護保険法第8条第20項に定められたサービスで、対象は認知症(急性を除く)の高齢者です。WAM NETによると、要支援2は対象で、要支援1は対象外です。社会保障審議会介護給付費分科会第257回(令和8年5月25日)の資料3によると、令和7年4月審査分で、事業所数は14,233、受給者数は22.0万人です。受給者の要介護度別の割合は、要介護1が22.6%、要介護2が25.4%、要介護3が24.7%、要介護4が16.4%、要介護5が10.3%で、要支援2は0.5%、平均要介護度は2.64とされています。

統計から見る認知症自立度ランクⅡ以上の人数

平成22年9月末時点で280万人

厚生労働省の資料によると、平成22年(2010年)9月末の時点で、要介護認定を受けている方のうち、認知症自立度がランクⅡ以上の方は280万人と推計されています。これは要介護認定のデータからの推計で、認定を申請していない方は含まれていません。

平成22年は十数年前にあたり、人口の年齢構成も変わっているため、現在の人数とは異なる可能性があります。

これは平成22年という古いデータです。令和の全国値は、この記事の執筆時点で一次資料を確認できていません。最新の統計は厚生労働省の公表資料でご確認ください。

居場所別の内訳

同じ資料に示されている居場所別の内訳(単位:万人)を、図にしました。居宅が140万人で最も多く、介護老人福祉施設41万人、医療機関38万人、介護老人保健施設等36万人、グループホーム14万人、特定施設10万人と続きます。

認知症自立度ランクⅡ以上の方の居場所別内訳 平成22年9月末時点の推計で、ランクⅡ以上の方は居宅140万人、介護老人福祉施設41万人、医療機関38万人、介護老人保健施設等36万人、グループホーム14万人、特定施設10万人。合計280万人のうち居宅が約半数。数値は四捨五入のため合計が一致しない場合がある。 ランクⅡ以上の方の居場所 平成22年9月末の推計(単位:万人) 居宅 140万人 介護老人福祉施設 41万人 医療機関 38万人 介護老人保健施設等 36万人 グループホーム 14万人 特定施設 10万人 合計280万人のうち居宅が約半数 ※四捨五入のため合計が一致しない場合あり
平成22年の推計では、ランクⅡ以上の方の約半数が居宅で暮らしています。

数字の読み方の注意

  • 平成22年のデータであり、現在の状況とは異なる可能性がある
  • 要介護認定を受けた方のデータからの推計であり、認定未申請の方は含まれない
  • 図の6つの数値を足すと279万人となり、280万人と一致しない(資料の数値の端数処理による差とみられる)

数値を引用するときは、年次や対象を併記する習慣をつけておくと、誤解を避けられます。

家族ができる備えと、判定に疑問があるとき

日頃の様子を具体的に伝える

ランクは、調査員が訪問時に観察した状態や、医師が意見書に記載した内容にもとづきます。短い時間の調査では、普段の生活がすべて見えるとは限りません。ご家族として、次のような点をメモしておくと、調査や診察の場で日頃の様子を具体的に伝える助けになります。

  • どのような場面で困りごとが起きているか(外出時、服薬、金銭管理、留守番、入浴、食事など)
  • 症状が目立つ時間帯(日中が中心か、夜間が中心か)
  • 頻度(毎日か、週に数回か、ときどきか)
  • 家族がどのような声かけや見守りをしているか

実際より重く伝える必要はありません。事実を、ありのままに具体的に伝えることが大切です。

状態が変わったときは区分変更も検討

認定の有効期間の途中でも、状態が大きく変わった場合は、区分変更申請を検討できます。有効期間や更新の決まりは要介護認定の更新についての解説記事で解説しています。手続きの進め方は、地域包括支援センターやケアマネジャーに相談できます。

納得できないとき|審査請求

認定の結果に不服がある場合は、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができます。健康長寿ネットによると、決定を知った日から3か月以内に、文書又は口頭で行います。ランクの記載だけでなく認定結果全体についての手続きです。具体的な手続きは、お住まいの市区町村・都道府県の案内で確認してください。

相談できる窓口

ランクや認定の結果、認知症の介護についてのお悩みは、次のような窓口に相談できます。電話番号や受付時間は変更されることがあります。利用前に、厚生労働省の「認知症に関する相談について」のページなど公式の情報で確認してください。

認知症に関する主な相談窓口
窓口内容・連絡先
地域包括支援センター全市町村に設置されている総合相談窓口
認知症の人と家族の会の電話相談0120-294-456(月〜金曜日10:00〜15:00、祝日を除く)
若年性認知症コールセンター0800-100-2707(月〜土曜日10:00〜15:00、年末年始・祝日を除く)
認知症疾患医療センター専門的な診断や相談に対応する医療機関

注意点と制度変更の可能性

ランクは観察された状態にもとづく

ランクは、その時点で観察された状態にもとづく区分です。日常生活の支障の度合いと介護の必要度を示す区分です。ランクの数字は、ご本人への関わりを考える際の入り口のひとつとして位置づけられます。

書類の表記の違いに注意

本文でも触れたとおり、書類や資料によって、Ⅲの「ときどき」の有無や、Mの「問題行動」「周辺症状」など、言い回しの違いがあります。気になるときは、担当者に確認してください。

制度変更の可能性

介護保険制度は、3年ごとに介護報酬の改定が行われるなど、見直しが定期的にあります。この記事に書いた加算の要件や基準は、執筆時点で確認できた公的資料にもとづくもので、今後変わる可能性があります。主治医意見書の記入の手引きなども、改正されることがあります。

お住まいの市区町村や、担当のケアマネジャー、地域包括支援センターで、最新の内容を確認してください。この記事は、特定の事業者・施設を評価・推奨するものではありません。編集方針はこのサイトの立ち位置をご覧ください。

まとめ|自立度は介護の相談を始めるための共通の言葉

認知症高齢者の日常生活自立度について、この記事で整理した要点は次のとおりです。

  • 自立度は「自立・Ⅰ・Ⅱa・Ⅱb・Ⅲa・Ⅲb・Ⅳ・M」で、認知症のある方の日常生活の支障と介護の必要度を表す国の判定基準で、日常生活の支障の度合いと介護の必要度を示す区分です
  • 基準の文言上、aとbは症状が見られる場所(Ⅱ)または時間帯(Ⅲ)で区分されています。Mは専門医療が必要な状態を指します
  • 認定では調査員と主治医がそれぞれ記載し、審査会が総合して判断します。要支援2と要介護1の振り分けにも関わります
  • 寝たきり度(J・A・B・C)は身体の移動に着目する別の基準で、審査会資料には併記されます
  • 日頃の様子を具体的に伝え、状態が変わったときは区分変更を検討し、迷ったら地域包括支援センターに相談してください

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よくある質問

認知症高齢者の日常生活自立度とは何ですか。

認知症のある方の日常生活の支障や介護の必要度を、自立、Ⅰ、Ⅱa、Ⅱb、Ⅲa、Ⅲb、Ⅳ、Mの区分で表す国の判定基準です。要介護認定の調査票と主治医意見書に記載され、認定や介護報酬の加算の要件に使われます。日常生活の支障の度合いと介護の必要度を示す区分です。

ランクⅡaとⅡbの違いは何ですか。

症状が見られる場所の違いです。Ⅱaは家庭外で、たびたび道に迷う、買い物や金銭管理にミスが目立つといった状態が見られます。Ⅱbは家庭内でも、服薬管理ができない、一人で留守番ができないといった状態が見られる段階です(厚生労働省の資料)。基準の文言上、aとbは症状が見られる場所(Ⅱ)または時間帯(Ⅲ)で区分されています。

認知症自立度と寝たきり度(障害高齢者の日常生活自立度)はどう違いますか。

認知症自立度は症状・行動や意思疎通の困難さによる生活の支障を見る基準で、寝たきり度はJ・A・B・Cの4段階で身体の移動を中心とした状態を見る基準です。2つは別々に判定され、審査会資料には併記されます。

自分や家族のランクはどこで分かりますか。

ランクは、認定調査員が記入する認定調査票と、主治医が記入する主治医意見書に記載されます。内容を知りたいときは、主治医、担当のケアマネジャー、地域包括支援センターなどに相談してください。

ランクや認定結果に納得できないときはどうすればよいですか。

認定結果に不服がある場合は、都道府県の介護保険審査会に審査請求ができ、決定を知った日から3か月以内に文書又は口頭で行います。有効期間の途中で状態が大きく変わった場合は、区分変更申請を検討できます。手続きは市区町村・都道府県の案内で確認してください。

認知症について家族が相談できる窓口はありますか。

全市町村にある地域包括支援センターのほか、認知症の人と家族の会の電話相談、若年性認知症コールセンター、認知症疾患医療センターなどがあります。電話番号や受付時間は変わることがあるため、厚生労働省の「認知症に関する相談について」のページなど公式の情報で確認してください。

参考・出典

  1. 認知症施策(認知症高齢者の日常生活自立度) (厚生労働省)
  2. 認知症高齢者の日常生活自立度 (長寿科学振興財団 健康長寿ネット)
  3. 認定調査票記入の手引き(抜粋) (厚生労働省)
  4. 要介護認定「認定審査会」資料 (宮城県)
  5. 介護保険最新情報Vol.1255 認知症専門ケア加算に係る届出書 (厚生労働省)
  6. 留意事項通知新旧対照表 (厚生労働省)
  7. 令和3年度介護報酬改定に関するQ&A(Vol.4) (WAM NET)
  8. 社会保障審議会介護給付費分科会 第257回 資料3(認知症対応型共同生活介護) (厚生労働省)
  9. 認知症に関する相談について (厚生労働省)
  10. 要介護認定の不服申立て (長寿科学振興財団 健康長寿ネット)