在宅療養支援診療所(在支診)とは、自宅などで療養する患者さんのために、24時間の連絡・往診・訪問看護・緊急時の入院の体制を整えたうえで、地方厚生局に施設基準を届け出た診療所のことです。診療行為の名前ではなく、医療保険上の「届出区分」を指します。この記事では、施設基準の中身、機能強化型(単独型・連携型)の違い、費用の計算方法(診療報酬の点数×10円×負担割合)、探し方までを、厚生労働省の資料にもとづいて整理します。制度や点数は改定で変わるため、利用前には最新情報の確認が必要です。
在宅療養支援診療所(在支診)とは
親の足腰が弱って通院が難しくなってきたとき、「自宅で診てもらえる医師はいないか」と考える家族は少なくありません。そこで耳にするのが「在宅療養支援診療所」という言葉です。まず、何を指す言葉なのかを正確に押さえましょう。
定義と位置づけ
厚生労働省の資料では、在宅医療は「高齢になっても、病気や障害の有無にかかわらず、住み慣れた地域で自分らしい生活を続けられるよう、入院医療や外来医療、介護、福祉サービスと相互に補完しながら、患者の日常生活を支える医療」と説明されています。地域包括ケアシステムに不可欠な構成要素とされています(令和6年度診療報酬改定の概要【在宅】)。
在支診は、この在宅医療を担う診療所のうち、24時間の連絡体制や往診体制などの基準を満たすとして、診療所が地方厚生局に届け出たものです。届出の際は「様式11」という書式を使い、在宅医療を担当する常勤医師の氏名、24時間の直接連絡体制、往診体制、訪問看護体制、緊急時の入院体制、患者宅に交付する文書、適切な意思決定支援に関する指針などを記載します。
ここで大切なのは、在支診が医療保険上の区分であり、介護保険の事業所指定とは別の制度だという点です。介護保険のサービスを提供する事業所としての指定とは仕組みが異なるため、「在支診だから介護保険サービスも使える」「介護保険の指定があるから在支診だ」という関係にはありません。
どんなときに使うか
訪問診療の対象は、通院が困難な患者さんです。たとえば、足腰が弱って外来に通うのが難しくなった場合や、退院後に自宅で療養を続ける場合などが目安になります。実際に対象になるかどうかは、病状や生活の状況をふまえて医師が判断します。
在支診であることの意味は、夜間の連絡先や往診の体制が、届出で定められている点にあります。ただし、体制の中身は診療所ごとに異なるため、利用前に具体的な運用を確認してください。
よくある誤解
在支診について、次のような誤解がよく見られます。
- 「在支診でなければ訪問診療をしてもらえない」:在支診以外の医療機関でも訪問診療は可能です。令和6年度改定の概要には、在支診・在支病以外の医療機関を対象とした在宅療養移行加算も示されています。
- 「在支診ならどこでも24時間いつでも同じ医師が来る」:24時間対応の体制は求められますが、連携型では連携先と分担する場合があり、担当医が毎回同じとは限りません。
- 「在支診は特別な診療行為の名前」:診療行為名ではなく、施設基準の区分です。
- 「在支診=看取りまで必ず行う」:看取りへの対応状況は診療所ごとに異なります。利用を考える際は、個別に確認が必要です。
在宅医療全体の仕組みは訪問診療の基本を解説した記事でも整理しています。あわせて読むと、在支診の位置づけがつかみやすくなります。
在支診の施設基準(共通要件と24時間体制)
在支診として届け出るには、診療所が一定の基準を満たす必要があります。厚生労働省の施設基準の一覧表(令和8年度改定の概要)や中医協資料、様式11をもとに、共通要件を整理します。
すべての在支診に共通する基準
共通要件として、資料では次の項目が示されています。
- 24時間、患者や家族からの連絡を受ける体制
- 24時間の往診体制
- 24時間の訪問看護体制(他の医療機関や訪問看護ステーションとの連携でも可)
- 緊急時の入院体制(自院、連携先との併用、連携先のみのいずれも可)
- 連携する医療機関等への情報提供
- 適切な意思決定支援に関する指針の策定
- 訪問栄養食事指導が可能な体制の確保(令和6年度改定で追加。診療所は「望ましい」とされる)
- 介護保険施設の協力医療機関として定められていることが望ましい
- BCP(業務継続計画)の策定(令和8年度改定で追加)
どの項目も、「自分の診療所だけですべてを抱える」ことを前提としていません。訪問看護や緊急入院は、連携先との協力で満たせる設計になっています。
24時間体制の中身と、家族が知っておきたいこと
24時間体制と聞くと「夜中でも必ず担当医が駆けつける」と想像しがちですが、実際には次のような仕組みです。
- 連絡先:診療所が患者宅に文書で交付する、24時間つながる連絡先があります。
- 往診:連絡を受けた医師が必要と判断すれば、できるだけ速やかに患者宅へ向かう体制を整えます。
- 訪問看護:自院の看護師でなくても、連携する訪問看護ステーションが対応する形で基準を満たせます。
- 入院:自宅での対応が難しい場合に備え、入院できる先を確保しておきます。
夜間は普段の担当医と別の医師が対応する場合があります。契約前に「夜間・休日はどの医師が、どのように対応するか」を診療所に確認しておきましょう。
連絡先を外部委託する場合の令和8年度改定ルール
令和8年度改定では、24時間の連絡先を第三者のコールセンター等が担う場合の要件が明確化されました。厚生労働省の概要によると、主な内容は次のとおりです。
- 事前に患者・家族へ説明すること
- 診療所自身も、その連絡を24時間受けられる体制を持つこと
- 事前に氏名の提供がない往診医が行く場合は、往診日以前に常勤医と面談し、診療方針を共有している医師に限ること
つまり、外部の窓口が一次対応をしていても、診療所が責任を持って対応できる体制が必要です。契約時に連絡先の仕組みを聞いておくと、いざというときに慌てずに済みます。
機能強化型在支診(単独型・連携型)とは
在支診の中には、より手厚い体制を持つ「機能強化型」があります。機能強化型には「単独型」と「連携型」の2種類があり、それ以外は「従来型」と呼ばれます。点数や加算に差があるため、費用にも関わる区分です。
機能強化型・単独型の基準
単独型は、診療所単独で次の実績と体制を満たすものです(中医協資料・令和8年度改定概要の施設基準一覧)。
- 在宅医療を担当する常勤医師が3人以上
- 過去1年間の緊急往診が10件以上
- 過去1年間の看取り(または超重症児・準超重症児の医学管理)が4件以上
常勤医師が3人以上必要なため、小規模な診療所が単独で満たすのは容易ではありません。
機能強化型・連携型の基準
連携型は、複数の医療機関が連携して基準を満たすものです。
- 連携内で常勤医師が3人以上
- 緊急往診は連携内で10件以上、かつ各医療機関で4件以上
- 看取りは連携内で4件以上、かつ各医療機関で2件以上
- 月1回以上のカンファレンス(様式11の8(1))を実施
地域の診療所同士が協力することで、1つ1つの診療所は小規模でも機能強化型を目指せる仕組みです。
従来型との違いと、点数への影響
区分の違いは、費用面に表れます。たとえば緊急往診加算は、機能強化型(病床あり)で850点、病床なしで750点、機能強化型以外の在支診・在支病で650点と差があります。在宅時医学総合管理料も、機能強化型のほうが高い点数が設定されています(詳しくは費用の章で説明します)。
ただし、点数が高い区分だから良い診療所だという意味ではありません。自分が必要とする医療に合うかどうかは、体制や対応可能な範囲を確認して判断する必要があります。
| 区分 | 常勤医師 | 緊急往診(過去1年) | 看取り等(過去1年) |
|---|---|---|---|
| 機能強化型・単独型 | 3人以上 | 10件以上 | 4件以上 |
| 機能強化型・連携型 | 連携内で3人以上 | 連携内10件以上、各4件以上 | 連携内4件以上、各2件以上 |
| 従来型 | 上記の実績要件なし | - | - |
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要、令和6年度診療報酬改定 在支診・在支病の施設基準。従来型の「実績要件なし」は、機能強化型の要件が課されないという意味です。
在支病・在宅療養後方支援病院との違い
在宅医療では、診療所だけでなく病院も役割を担います。名前が似ているため混同しやすい「在宅療養支援病院」と「在宅療養後方支援病院」の違いを整理します。
在宅療養支援病院(在支病)
在支病は、診療所の基準に加えて病院向けの条件が付きます。許可病床が200床未満(医療資源の少ない地域では280床未満)であること、または病院を中心とした半径4km以内に診療所が存在しないことが必要です。往診を担当する医師は、当直体制の医師とは別に確保します。
在宅療養後方支援病院
後方支援病院は、許可病床200床以上の病院で、在宅医療を提供する医療機関と連携し、入院を希望する患者の緊急入院に応じる役割を持ちます。24時間の連絡体制があり、連携医療機関の求めに応じて入院希望患者の診察が24時間可能であること(病床の確保を含む)が基準で、連携先とは3か月に1回以上診療情報を交換します(中医協資料)。
3つの違いを比較
| 項目 | 在支診 | 在支病 | 在宅療養後方支援病院 |
|---|---|---|---|
| 種別 | 診療所 | 病院 | 病院 |
| 病床 | 有床・無床どちらもある | 許可病床200床未満(地域により280床未満)等 | 許可病床200床以上 |
| 主な役割 | 24時間の連絡・往診・訪問看護手配 | 診療所に準じた在宅医療 | 連携先の患者の緊急入院の受け入れ |
出典:厚生労働省 令和8年度診療報酬改定の概要、中医協資料(平成28年4月)。
家族の立場では、普段の訪問診療は在支診が担い、入院が必要なときに後方支援病院が受け入れる、という分担を理解しておくと全体像が見えやすくなります。
往診・訪問診療・看取りで何をしてくれるのか
在支診が行う医療は、大きく「訪問診療」「往診」「看取り」に分けられます。言葉の違いは費用の計算にも関わるので、ここで整理しておきます。
訪問診療と往診の違い
厚生労働省の資料では、両者は次のように区別されています。
- 訪問診療:通院が困難な患者に対し、定期的に訪問して行う診療。
- 往診:患者や家族の求めを受けて、医師が必要と認めた場合に、できる限り速やかに患者宅に赴いて行う診療。
「定期的ないし計画的」に行う場合は、往診料を算定できません。たとえば、毎週決まった曜日に伺うのは訪問診療、急な発熱で呼んだときに来てもらうのは往診です。月単位で計画的に医学管理を行うことを評価する点数が、在宅時医学総合管理料です。
在宅で受けられる医療の範囲
在支診は、定期的な診察、薬の処方、療養上の指導、緊急時の対応などを担います。訪問看護ステーションなどと連携し、看護師による医療処置や療養の支援が組み合わされます。令和6年度改定では、在宅医療情報連携加算(ICTによる情報共有)が新設されるなど、多職種で情報をやり取りする仕組みが強化されました。
ただし、どこまでの処置が自宅で可能かは、病状や診療所の体制で異なります。具体的な医療行為については、診療所に直接確認してください。
看取りへの対応
看取りに関する診療報酬としては、在宅ターミナルケア加算や看取り加算があります。令和6年度改定の概要では、看取り加算は3,000点、在宅ターミナルケア加算は3,500〜6,500点(いずれも退院時共同指導を実施したうえで往診し、在宅で看取った場合等)とされています。
自宅での看取りの流れや、家族が準備しておきたいことは在宅看取りの記事で解説しています。なお、看取りを引き受けるかどうかは診療所によって異なるため、早めに方針を話し合っておくことが大切です。
在宅療養支援診療所の費用の仕組み
費用の基本は「診療報酬の点数×10円×窓口負担割合(1〜3割)」です。1点は10円で計算されます。以下の点数は令和6年度診療報酬改定時点のものです。改定後の点数は厚生労働省の告示で確認してください。
計算の基本と主な点数
主な点数は次のとおりです(令和6年度改定の概要)。
- 在宅患者訪問診療料(Ⅰ)1(1日につき):同一建物居住者以外888点、同一建物居住者213点
- 往診料:720点(加算が別に付く)
- 緊急往診加算:区分により650〜850点(前述)
夜間・休日・深夜の往診には、次の加算が付きます。夜間は午後6時〜午前8時、深夜は午後10時〜午前6時です。
| 加算 | 点数(診療所の区分による) |
|---|---|
| 夜間・休日往診加算 | 1,700/1,500/1,300点 |
| 深夜往診加算 | 2,700/2,500/2,300点 |
出典:厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要【在宅】。
たとえば訪問診療料888点なら8,880円で、1割負担なら888円、3割負担なら2,664円です(この例は訪問診療料のみで計算しており、実際には他の点数が加わります)。
在宅時医学総合管理料(在医総管)の点数表
在医総管は月単位の点数で、診療所の区分、訪問回数、同じ建物で診療を受ける人数によって変わります。以下は、単一建物診療患者が1人の場合の点数です。
| 訪問頻度・対象 | 機能強化型(病床あり) | 機能強化型(病床なし) | 従来型在支診 |
|---|---|---|---|
| 月2回以上(難病等) | 5,385点 | 4,985点 | 4,585点 |
| 月2回以上 | 4,485点 | 4,085点 | 3,685点 |
| 月1回 | 2,745点 | 2,505点 | 2,285点 |
出典:厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要【在宅】。単位は点(1点=10円)。
月額の目安(1ケース):令和6年度改定時点で、従来型在支診から月2回以上の訪問を受け、単一建物1人の場合、在医総管は3,685点(36,850円)です。自己負担は1割で約3,685円、2割で約7,370円、3割で約11,055円になります。機能強化型(病床あり)の4,485点なら44,850円で、1割負担で約4,485円です。
この金額は在医総管だけの計算です。訪問診療料、往診料や加算、薬代、介護保険の居宅療養管理指導などは別にかかります。
同じ建物で複数人が診療を受ける場合は、点数が下がります。
| 人数(同一建物) | 点数(従来型・月2回以上) |
|---|---|
| 10〜19人 | 985点 |
| 20〜49人 | 875点 |
| 50人以上 | 745点 |
出典:厚生労働省 令和6年度診療報酬改定の概要【在宅】。
在支診以外の医療機関では、月2回以上・1人の場合に2,735点と低く設定されています。
令和8年度改定では、患者の構成によって算定する区分が変わる場合があるとされています。詳しくは診療所に確認してください。
令和8年度改定後の加算の変更
令和8年6月施行の改定で、在宅緩和ケア充実診療所・病院加算は廃止され、「在宅医療充実体制加算」に名称が変わりました。概要で示されている主な点数は次のとおりです。
- 在医総管への加算:単一建物1人800点、2〜9人400点、10〜19人200点、20〜49人170点、その他150点
- 緊急往診、夜間・休日・深夜往診の加算:200点
- ターミナルケア加算:2,000点
- 在宅がん医療総合診療料:300点
上の点数表は令和6年度改定時点の点数です。改定後の点数は、厚生労働省の告示や診療所の説明で確認してください。
高額療養費制度で自己負担を抑える
訪問診療や往診の自己負担がどこまで対象になるか、合算できるかは、加入している医療保険者(健康保険組合、国民健康保険、後期高齢者医療広域連合など)に確認してください。医療費の自己負担には、月ごとの上限額があります。令和8年8月〜令和9年7月の70歳以上の区分は、厚生労働省の資料では次のとおりです。
| 所得区分(70歳以上) | 外来(個人)の月額上限 | 世帯の月額上限 |
|---|---|---|
| 約370万円未満 | 22,000円(年間上限216,000円) | 61,500円 |
| 住民税非課税 | 11,000円(年間上限96,000円) | 25,700円 |
| 年金収入80万円以下など一定所得以下 | 8,000円 | 15,700円 |
出典:厚生労働省 高額療養費制度の見直しについて(令和8年8月診療分から)。
窓口負担は、70〜74歳が2割、75歳以上が1割(一定所得以上は2割・3割)です。令和8年8月から年間上限が新設され、令和9年8月からは所得区分がさらに細分化されます。
制度の詳細は高額療養費制度の記事で解説しています。
居宅療養管理指導の自己負担も別にかかる
医療保険の自己負担とは別に、介護保険の居宅療養管理指導(医師)の自己負担が加わります。社会保障審議会・介護給付費分科会の資料(令和8年6月29日)によると、算定は訪問診療または往診を行った日に限られ、月2回が限度です。
| 人数 | (Ⅰ) | (Ⅱ)(在医総管等を算定する場合) |
|---|---|---|
| 単一建物1人 | 515単位 | 299単位 |
| 2〜9人 | 487単位 | 287単位 |
| 10人以上 | 446単位 | 260単位 |
出典:社会保障審議会介護給付費分科会 第259回 資料5。円に直した金額は、ケアマネジャーに確認してください。
自己負担は原則1〜3割です。居宅療養管理指導は、医療保険とは別の介護保険サービスで、別に自己負担が加わります。
在支診の探し方と利用までの流れ
在支診を利用したいと思ったとき、どこに相談すればよいのでしょうか。主な窓口と、利用開始までの一般的な流れを整理します。
相談できる窓口
- ケアマネジャー:介護保険サービスを利用している場合、相談先の一つです。主治医とケアマネジャーの連携は、厚生労働省の概要でも連携図で示されています。
- 地域包括支援センター:全国に5,487か所(ブランチを含めると7,374か所、令和7年4月末現在、厚生労働省)あります。
- 医療情報ネット(ナビイ):厚生労働省が運営する医療機関の検索サイトです。令和7年4月施行のかかりつけ医機能報告制度の情報も掲載されています。
- 市区町村の窓口:自治体によっては在宅医療の相談窓口があります。お住まいの市区町村のサイトで確認してください。
ナビイでは医療機関を探せます。在宅医療で絞り込める項目があるかは、検索画面で確認してください。
利用開始までの一般的な流れ
- 通院が難しくなった状況を、ケアマネジャーや地域包括支援センターに相談する
- 候補となる診療所に連絡し、訪問可能な地域か、新規の受け入れが可能かを確認する
- 診療所と面談し、病状や希望(看取りまで希望するか等)を伝える
- 診療所から、診療方針や24時間の連絡先、費用の説明を受ける
- 同意のうえ契約し、訪問診療を開始する
手順は診療所によって異なります。退院後すぐに診療を始められるよう、早めの相談が大切です。
候補を比べるときは、次のように場面を分けて考えると整理しやすくなります。
- 退院が決まっている場合:入院先の医療ソーシャルワーカーや退院調整の担当者に、退院前に相談できます。退院後の最初の訪問日も確認しておきます。
- すでに介護保険サービスを使っている場合:ケアマネジャーが、主治医や訪問看護との連絡の窓口になります。
- まだ要介護認定を受けていない場合:介護保険サービスの利用には要介護認定の申請が必要です。訪問診療の利用条件は診療所や自治体の窓口で確認し、あわせて地域包括支援センターに認定の申請を相談します。
診療所に確認しておきたいこと
- 訪問可能な地域と、往診にかかる時間の目安
- 24時間の連絡先の仕組みと、夜間・休日の担当
- 届出区分(機能強化型か従来型か)と、費用の目安
- 看取りへの対応方針
- 緊急時の入院先
- 連携する訪問看護ステーション、薬局の有無
在支診の数と地域差(令和6年時点)
在支診は全国に一定数ありますが、地域によって偏りがあります。数字は、厚生労働省医政局地域医療計画課の資料(令和7年11月19日)などによります。ここで示す届出数は令和6年時点のもので、最新の数は地方厚生局の公表資料で確認してください。
届出数の現状
資料では「在支診は横ばい、在支病は増加傾向」とされ、機能強化型では連携型の増加が目立つと示されています。令和6年8月1日時点の届出数は次のとおりです。
| 区分 | 診療所 | 病院 |
|---|---|---|
| 機能強化型・単独型 | 275 | 310 |
| 機能強化型・連携型 | 4,161 | 530 |
| 従来型 | 10,858 | 1,287 |
出典:医政局地域医療計画課資料(令和7年11月19日)、中医協総-2(令和7年8月27日)引用、保険局医療課調べ。
別の集計では、令和6年3月31日時点の在支診は14,725施設で、集計の時点や元が異なるため数字は単純に比べないでください。
地域差と、在支診のない自治体
在支診・在支病のどちらもない市区町村は379自治体で、その多くが人口5万人未満です。居住地によっては、近くに在支診がないこともあります。そうした地域では、在支診以外の医療機関による訪問診療や、隣接地域の診療所との組み合わせなど、別の選択肢を地域包括支援センターに相談することになります。
また、診療所の医師が80歳で引退し承継がない場合、2040年には診療所のない市町村が約170増えるという推計も示されています。これは推計であり、確定した将来ではありません。
届出をしない理由
令和6年度改定結果検証調査では、届出をしない理由として「満たすことが難しい基準があるため」が58.8%で最多でした。基準を満たすことが難しいと答えた診療所のうち、84.0%が「24時間連絡を受ける体制の確保」または「24時間の往診体制」を挙げています。24時間体制の確保が課題として挙げられている形です。連携型の仕組みは、この負担を分け合うための方法でもあります。
令和6年度・令和8年度の診療報酬改定のポイント
在宅医療の診療報酬は、定期的に改定されます。直近の2回の改定で、在支診に関わる主な変更点をまとめます。
令和6年度改定(令和6年6月施行)
- 在宅医療情報連携加算(100点)の新設:ICTを活用した情報共有を評価
- 在宅がん患者緊急時医療情報連携指導料(200点)の新設
- 往診時医療情報連携加算(200点)、介護保険施設等連携往診加算(200点)の新設
- 在宅療養移行加算の評価見直し
- 在支診・在支病の要件に、訪問栄養食事指導の体制整備を追加
- 在医総管で、単一建物10人以上の区分を細分化
令和8年度改定(令和8年6月施行)
- 在宅緩和ケア充実診療所・病院加算を在宅医療充実体制加算に名称変更し、内容を見直し
- 連携型機能強化型在支診の細分化(平時から訪問診療を行う医師が時間外往診体制を確保している施設のみが、機能強化型としての加算の対象)
- 第三者による連絡体制の要件の明確化
- BCP策定の要件追加
- 看取り数等の年1回の報告要件の削除
- 医師と薬剤師の同時訪問の評価
改定を踏まえた家族の心構え
改定により、同じ診療所でも加算の有無や点数が変わることがあります。診療報酬・介護報酬は定期的に見直されるため、制度は変わりうるものと考えてください。最新の内容は、厚生労働省の「令和8年度診療報酬改定について」のページで確認できます。
注意点とよくある失敗
在支診を利用するときに、家族が戸惑いやすい点を挙げます。
「24時間対応」の受け止め方
在支診であっても、単独で24時間対応しているとは限りません。連携型では連携先と分担します。夜間の対応者は先に確認しておくと、いざというときの戸惑いを減らせます。
費用を確認しないまま始めてしまう
診療所の届出区分、訪問回数、同一建物の人数、加算の有無で、月の負担額は変わります。さらに介護保険の居宅療養管理指導の自己負担も加わります。契約前に月額の目安を聞き、高額療養費の対象になるかを医療保険者に確認しましょう。
相談が遅くなる
通院できなくなってから慌てて探すと、新規受け入れの可否や訪問エリアの制約で希望に合う診療所が見つかりにくいことがあります。在支診のない自治体もあるため、体調が安定しているうちに地域包括支援センターへ相談しておくと選択肢を持てます。
本人の意向を確認しておく
在支診は「適切な意思決定支援に関する指針」を持つことが基準です。どこで療養し、最期をどう迎えたいかを、本人の元気なうちから家族で話し合っておくと、診療所とも方針を共有しやすくなります。なお、病状に関する判断は医師の診察にもとづくもので、この記事は医療的な助言を行うものではありません。
制度変更がありうること
この記事の点数や基準は、記事執筆時点の厚生労働省の資料にもとづいています。診療報酬・介護報酬・高額療養費は改定で変わるため、利用前に最新の情報をご確認ください。
まとめ
この記事のポイント
- 在支診は、24時間の連絡・往診・訪問看護・緊急時入院の体制を整えて届け出た診療所で、医療保険上の区分です。介護保険の指定とは別の制度です。
- 機能強化型には単独型(常勤医3人以上等)と連携型があり、点数に差があります。24時間対応は連携先との分担の場合もあります。
- 費用は「点数×10円×負担割合」です。在医総管は、令和6年度改定時点の点数で、従来型・月2回以上・1人なら3,685点(1割負担で約3,685円)など、区分で変わります。改定後の点数は厚生労働省の告示で確認してください。
- 探すときは、ケアマネジャー、地域包括支援センター、医療情報ネット(ナビイ)に相談できます。令和6年8月時点で診療所の届出は約1万5千件ですが、在支診・在支病のない自治体が379あります。
- 令和8年度改定で加算や要件が変わりました。最新の内容は厚生労働省の資料で確認してください。
最初の一歩は、まずケアマネジャーか地域包括支援センターに相談し、この記事の「診療所に確認しておきたいこと」を持って候補の診療所に聞くことです。
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