在宅看取りとは、自宅など住み慣れた場所で、本人の望む形で最期の時期を過ごし、医療・介護のチームと家族で支える取組です。令和4年の死亡場所は自宅が約17.4%で、本人の希望との間には開きがあります。
この記事でわかること
- 死亡場所の統計と、本人の希望
- 人生会議など、事前の話し合い
- 支えるチームと、介護保険・医療保険の使い分け
- 費用の制度、臨終のときの流れ、相談先
亡くなる当日の連絡を急いで知りたい方は、「臨終のときの流れ」の章をご覧ください。
制度や金額は改定されることがあります。最新の内容は、市区町村・ケアマネジャー・主治医に問い合わせてください。
在宅看取りとは何か|死亡場所の統計と本人の希望
まず、実際にどこで亡くなる人が多いのか、本人はどこを望んでいるのかを、統計で見ておきます。
在宅看取りの意味と対象範囲
「在宅看取り」という言葉を単独で定義した法令はありません。厚生労働省の資料では、自宅だけでなく介護施設なども含めて、本人の望む場所での看取りを支える取組として扱われています。この記事でも、主に自宅で最期の時期を過ごす場合を中心に、必要に応じて施設での看取りにも触れます。
一般的な説明として、看取りは亡くなる瞬間だけを指す言葉ではなく、最期の時期をどう過ごすかという時間全体を指して使われます。看取りは在宅医療の機能の一つとして位置づけられています(詳しくは後述)。
死亡場所の統計から見る現状
内閣府の資料(令和4年の人口動態統計を転載)によると、死亡者総数は1,569,050人でした。場所別の内訳は次の表のとおりです。割合は人数から計算したものです。
| 場所 | 人数 | 割合 |
|---|---|---|
| 病院 | 1,011,326人 | 約64.5% |
| 診療所 | 21,699人 | 約1.4% |
| 介護医療院・介護老人保健施設 | 61,594人 | 約3.9% |
| 老人ホーム | 172,727人 | 約11.0% |
| 自宅 | 273,265人 | 約17.4% |
| その他 | 28,439人 | 約1.8% |
厚生労働省の意見交換資料にある令和3年の概数でも、医療機関が67%、自宅が17%、介護施設等が14%と、大きな傾向は同じです。令和5年以降の最新の数値は、政府統計の総合窓口(e-Stat)の人口動態調査で確認できます。
本人の希望と、実際とのギャップ
令和4年度の「人生の最終段階における医療・ケアに関する意識調査」(速報値)では、治る見込みがなく、1年以内に死に至ると考えられる場合の最期を迎えたい場所として、自宅が43.8%、医療機関が41.6%でした。実際の死亡場所では自宅が約17.4%ですから、希望と実際の間には開きがあることが分かります。
同じ調査では、最期を考えるうえで重要なこととして「家族等の負担にならないこと」が71.6%、「体や心の苦痛なく過ごせること」が60.2%でした。本人は家族への負担を気にしており、家族は本人の苦痛を心配しています。だからこそ、後述する事前の話し合いと、負担を分け合う仕組みづくりが大切になります。
看取りの前に話し合っておくこと|人生会議とガイドライン
看取りの場所や方法は、元気なうちから話し合っておくほど、家族が迷いにくくなります。ここでは、その話し合いの進め方を整理します。
人生会議(ACP)とは
人生会議とは、厚生労働省によると、もしものときのために、望む医療やケアについて前もって考え、家族等や医療・ケアチームと繰り返し話し合い、共有する取組のことです。「人生会議」は愛称で、公募で決まりました。
前述の意識調査では、こうした話し合いを実際にしている人は29.9%にとどまります。一方で、自分で意思決定できなくなったときに方針を決めてほしい相手として、家族を挙げた人は92.3%でした。本人が何も話していなければ、家族は「本人ならどうしたか」を手がかりなしに考えることになります。
厚労省ガイドラインが示す考え方
厚生労働省の「人生の最終段階における医療・ケアの決定プロセスに関するガイドライン」(平成30年3月改訂)は、次の考え方を示しています。
- 本人の意思決定を基本とし、多専門職種の医療・ケアチームと十分に話し合うこと
- 本人の意思は変わりうるため、繰り返し話し合うこと
- 本人の意思を推定する人を、前もって定めておくこと
- 話し合った内容は文書にまとめておくこと
平成30年の改訂では、名称に「ケア」が加わりました。医療だけでなく介護も含めた話し合いであり、介護従事者もチームに含まれることが明確になっています。
本人の意思を確認できなくなったとき
病状が進み、本人が意思を伝えられなくなることもあります。ガイドラインでは、次の順で考えると整理されています。
- 家族等が本人の意思を推定できる場合は、その推定意思を尊重する
- 推定できない場合は、本人にとっての最善の方針を、家族等と医療・ケアチームが話し合って決める
- 家族等がいない場合や、家族等が判断を医療・ケアチームに委ねる場合は、本人にとっての最善の方針をとる
話し合いがまとまらない場合は、医療・ケアチーム以外の複数の専門家を加えた話し合いの場を設けることも示されています。なお、このガイドラインは、積極的安楽死を対象としていません。
急変時にどう動くかを決めておく
在宅では、夜間や休日に容態が変わる場面もありえます。急変時の対応について、あらかじめ本人・家族と医療・ケアチームが話し合っておく取組が、厚生労働省の資料で紹介されています。心肺蘇生を望まない旨の伝え方や、消防の対応方針は地域によって異なる可能性があります。
救急車を呼ぶかどうかは、本人の意向・病状・事前の取り決めで異なります。かかりつけ医や訪問看護ステーションの緊急連絡先と、急変時の対応を、事前に確認・相談しておくことが基本になります。
在宅看取りを支える体制|医療と介護のチーム
在宅で最期の時期を過ごすには、自宅での医療と介護を支える体制が前提になります。誰が何を担うのかを先に知っておくと、相談しやすくなります。
かかりつけ医・訪問看護・ケアマネジャー・介護職の役割
在宅の看取りは、複数の専門職がチームを組んで支えるのが一般的です。主な役割は次のとおりです(一般的な説明で、名称や分担は地域や事業所によって異なります)。
- かかりつけ医(訪問診療・往診を行う医師):病状の診察、治療方針、薬の調整、死亡診断など医療面を担う
- 訪問看護師:自宅を訪問し、症状の観察、痛みなどの緩和、医療処置、家族への助言を行う
- ケアマネジャー(介護支援専門員):ケアプランを作り、介護保険サービスの調整をする
- 訪問介護員(ホームヘルパー)などの介護職:食事・排せつ・入浴・清潔の保持など、日々の生活を支える
- 福祉用具の事業者:介護ベッドなどの貸与を行う
介護支援専門員などには、医療・ケアチームの一員として、本人の意向を把握し共有する役割が期待されています(厚生労働省の意見交換資料)。介護職も、日々の様子を医療・ケアチームに伝える立場としてチームに含まれます。
在宅医療の4つの機能と看取り
在宅医療は、退院支援、日常の療養支援、急変時の対応、看取りの4つの機能で整理されています。在宅医療・介護連携推進事業も、平成26年に地域支援事業に位置づけられ、この4つの場面を意識して進められています。令和4年度の調査では、看取りの取組を実施している市区町村は58.8%でした。地域によって整備の進み具合が異なることが読み取れます。
24時間の連絡・往診体制を持つ医療機関
在宅療養支援診療所(24時間の連絡・往診に対応する診療所)は、24時間の連絡体制、往診の体制、訪問看護の体制を備えていることが必要とされています。在宅療養支援診療所・在宅療養支援病院のうち、看取りを行っている医療機関は75.8%です(厚生労働省資料)。ただし、看取りまで対応するかどうかは医療機関ごとに異なります。かかりつけ医に、看取りまで対応してもらえるかを尋ねておくと備えやすくなります。
使える介護保険サービスと看取りに関わる加算
看取り期は、介護サービスの使い方や費用の見通しが気になる時期です。使えるサービスと、看取りに関わる加算を整理します。
在宅で使える主な介護保険サービス
在宅で使える主な介護保険サービスには、次のものがあります。要介護度や必要に応じ、ケアマネジャーが組み合わせをケアプランにまとめます。
- 訪問介護:ヘルパーが自宅で身体介護や生活援助を行う
- 訪問看護:看護師が自宅で療養上の世話や診療の補助を行う
- 福祉用具貸与:介護ベッドなどを借りる
- 小規模多機能型居宅介護:通い・訪問・泊まりを組み合わせて使う
- 定期巡回・随時対応型訪問介護看護:24時間365日の対応を含む
- 短期入所(ショートステイ):短期間、施設に泊まる
訪問看護の仕組みや利用の流れは、別記事の訪問看護とはでも解説しています。
看取り期に関わる加算(令和6年度改定)
介護報酬には、看取り期の対応を評価する加算があります。介護報酬は3年ごとに改定され、直近は令和6年度(令和6年4月)でした。加算とは、看取り期の対応に上乗せされる報酬のことです。詳細は事業所に確認してください。ここでは、令和6年度改定の内容のうち、在宅の看取りに関わるものを整理します。
| 名称 | 単位数 | 内容 |
|---|---|---|
| 訪問看護ターミナルケア加算 | 死亡月に2,500単位(改定前は2,000単位) | 算定要件は変わらず、医療保険の内容と同様であることが引き上げの理由とされています |
| 遠隔死亡診断補助加算(新設) | 1回150単位 | 看護師がICTを使って医師の死亡診断を補助した場合の加算。対象は厚生労働大臣が定める地域に住む利用者 |
| 居宅介護支援のターミナルケアマネジメント加算 | 月400単位(名護市の集団指導資料による) | 対象が末期の悪性腫瘍に限られず、「医師が一般に認められている医学的知見に基づき回復の見込みがないと診断した者」に広がり、人生の最終段階の意向把握が求められる |
ターミナルケアの考え方については、ICT死亡診断のガイドラインで、死亡日および死亡前14日以内に2回以上の訪問看護を行うことと整理されています。加算を算定できるかどうかは個別の状況によります。担当のケアマネジャーや訪問看護ステーションに確認してください。
なお、令和3年度の改定では、特別養護老人ホームの看取り介護加算や介護老人保健施設のターミナルケア加算の算定日数が、死亡日以前30日から45日に見直されました。これは施設側の加算で、在宅とは別の制度です。
単位数や要件は今後の改定で変わる可能性があります。最新の内容は厚生労働省の資料や市区町村でご確認ください。
医療保険の訪問看護・在宅医療との使い分け
訪問看護は、介護保険と医療保険のどちらでも受けられます。病名や状況で使う保険が変わるため、違いを押さえておくと役立ちます。
介護保険が優先されるのが原則
訪問看護は、介護保険と医療保険のどちらでも受けられます。原則は、介護保険の給付が医療保険に優先します。介護保険の要介護・要支援の認定を受けている人は、まず介護保険で訪問看護を利用します。
医療保険で訪問看護を受けられる場合
例外として、末期の悪性腫瘍や、厚生労働大臣が定める疾病等(難病など)に当てはまる場合、また急性増悪などで主治医が訪問看護の指示を出した場合は、医療保険の訪問看護になります。この場合、週4日以上の訪問も可能です。
どちらの保険が適用されるかは、病名や主治医の指示、時期によって変わります。自己判断はせず、主治医・訪問看護ステーション・ケアマネジャーに確認してください。
訪問診療・往診と診療報酬
医師が自宅で行う診療には、計画的に訪問する訪問診療と、急な要請で出向く往診があります。訪問診療は、通院が難しい人が定期的に自宅で診療を受けられる仕組みです。
診療報酬(医療機関が受け取る医療の公定価格)にも、看取りを評価する項目があります。令和6年度改定では、在宅ターミナルケア加算が、退院時共同指導を行った上で訪問診療・往診した場合にも算定できるようになりました。具体的な点数は、この記事では扱いません。
令和8年度の診療報酬改定では、在宅医療に関する加算の名称変更・見直しが行われています。施行日や点数は、最新の厚生労働省の資料を参照してください。
本人が65歳未満のとき|第2号被保険者と特定疾病
親が65歳以上なら、読み飛ばして構いません。あなた自身や配偶者が40〜64歳の場合の話です。
看取りが必要になるのは、高齢の人だけとは限りません。本人が65歳未満の場合は、介護保険の使い方に条件があります。
40〜64歳は特定疾病が条件
介護保険の第2号被保険者は、40歳から64歳までの医療保険に加入している人です。介護保険のサービスを利用できるのは、加齢に伴って生じる病気として定められた特定疾病(加齢に伴う病気として国が定めた16種類)が原因の場合に限られます。65歳以上の人は、原因を問わず要介護・要支援の状態になればサービスを利用できます。
がん(末期)が対象に含まれる
特定疾病の1番目は「がん(末期)」です。医師が一般に認められている医学的知見に基づき、回復の見込みがない状態に至ったと判断したものが対象です。そのため、40〜64歳でも、末期がんの場合には介護保険のサービスを申請できる場合があります。
16種類には、ほかにも関節リウマチ、筋萎縮性側索硬化症、初老期における認知症、脳血管疾患、慢性閉塞性肺疾患などが含まれます。全16疾病の一覧と最新の取り扱いは、厚生労働省の資料や市区町村の窓口で調べられます。
認定までの時間に注意
要介護認定の結果は、原則として申請から30日以内に通知されます。看取り期は病状の変化が早いこともあるため、退院や在宅療養への切り替えを検討する段階で、早めに申請しておくことが大切です。申請の方法や、認定前の暫定利用の可否は市区町村によって異なることがあるため、窓口で確認してください。
要介護認定では、市町村が主治医に意見書(主治医意見書)を依頼します。かかりつけ医がいない場合などは、申請時に窓口へ相談してください。
費用の考え方と負担を軽くする制度
在宅の看取りでは、費用への不安が大きくなりがちです。制度ごとの負担の上限を知っておくと、見通しを立てやすくなります。
介護保険の自己負担と支給限度額
介護保険のサービスを利用したときの自己負担は、費用の1割です。一定以上の所得がある人は2割または3割になります。居宅サービスには、要介護度ごとに月ごとの支給限度額(区分支給限度額。保険で使えるサービス量の上限)が定められています。
| 要介護度 | 支給限度額 |
|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 |
| 要支援2 | 105,310円 |
| 要介護1 | 167,650円 |
| 要介護2 | 197,050円 |
| 要介護3 | 270,480円 |
| 要介護4 | 309,380円 |
| 要介護5 | 362,170円 |
この限度額を超えた分は、全額が自己負担になります。看取り期は訪問看護や訪問介護の回数が増えることがあります。ケアマネジャーと相談し、限度額の範囲に収まるかどうかを確認しておくと安心です。
在宅看取りにかかる費用の総額の目安は示せません。費用は、病状、利用するサービス、医療保険か介護保険か、所得区分などによって大きく変わるため、ここでは金額を断定せず、制度ごとの上限を示します。
高額介護サービス費
同じ月に払った介護サービスの利用者負担が上限額を超えると、超えた分が払い戻される制度が高額介護サービス費です。令和3年8月からの世帯の上限額は、次のとおりです。
| 所得区分 | 世帯の上限 | 個人の上限 |
|---|---|---|
| 課税所得690万円以上 | 140,100円 | — |
| 課税所得380万円以上690万円未満 | 93,000円 | — |
| 市町村民税課税〜課税所得380万円未満 | 44,400円 | — |
| 世帯全員が市町村民税非課税 | 24,600円 | — |
| 前年の公的年金等収入額とその他の合計所得金額の合計が80万円以下 | 24,600円 | 15,000円 |
| 生活保護受給者等 | 15,000円 | — |
詳しい仕組みは高額介護サービス費とはを参照してください。
高額療養費と合算制度
医療保険には、1か月の医療費の自己負担に上限を設ける高額療養費制度があります。厚生労働省の案内によると、令和8年8月から年間の上限額が新設されました。令和9年8月からは、所得区分がさらに細分化される予定です。限度額は改正が続いているため、最新の厚生労働省のページで確認してください。
また、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間に支払った医療と介護の自己負担を合算し、その額が高額になった場合に負担を軽くする高額医療・高額介護合算療養費の制度もあります。対象となるかや金額は、加入している医療保険の窓口で確認できます。
臨終のときの流れ|連絡先・死亡診断書・24時間ルール
いざというときに慌てないよう、亡くなる前後の流れを先に知っておくことが大切です。
まず誰に連絡するか
呼吸が止まったときや、様子がおかしいと感じたときは、あらかじめ決めておいた連絡先(かかりつけ医・訪問看護ステーションなど)に連絡するのが基本です。救急車を呼ぶかどうかは、本人の意向・病状・事前の取り決めで異なります。前もって本人・家族・かかりつけ医らで話し合い、連絡の順番を決めておきましょう。取組例として、連絡先を紙に書いて見えるところに貼る方法もあります。具体的な手順は医療機関や事業所によって異なるため、事前に確認してください。
死亡診断書と「24時間ルール」
医師は、自ら診察しないで死亡診断書を交付することができません(医師法20条)。ただし、死後に診察し、生前に診療していた傷病に関連する死亡と判定できる場合は、死亡に立ち会っていなくても交付できます。
また、診療中の患者が、診察後24時間以内にその傷病で死亡した場合は、改めて診察をしなくても死亡診断書を交付できます(医師法20条ただし書。平成24年8月31日医政医発0831第1号)。この通知は、在宅の看取りで医師の立会いがないと死亡診断書を交付できないという誤解が、適切な看取りを妨げないよう周知するものです。
診察から24時間を超えた場合や、生前の傷病との関連が判定できない場合は、死体の検案(医師が死因などを調べる手続き)が必要になります。「24時間を超えたから、必ず警察が来る」という意味ではありません。医師の判断によって手続きが変わるため、まず医師の指示を確認してください。
警察が関わりうる場合
医師は、死体に異状があると認めたときは、24時間以内に所轄の警察署に届け出る必要があります(医師法21条)。ICT死亡診断のガイドラインの事例では、自殺の可能性、頭部外傷などの外傷の可能性、高齢者虐待の可能性を否定できない場合が挙げられています。突然死(発症後24時間以内の病死)は、ICTによる死亡診断の対象外です。
病気の経過が明確で、事前に医師と看取りの方針を共有できている場合と、そうでない場合とでは、当日の手続きが異なります。だからこそ、日頃から医師との情報共有が重要になります。
ICT(情報通信技術)を使った死亡診断
医師が速やかに対面で死後診察できず、12時間以上かかる見込みの場合に、看護師が医師と連携し、ICTを使って医師の死亡診断を行う仕組みがあります。ICT死亡診断のガイドライン(平成29年9月策定、令和6年6月一部改訂)では、次の要件をすべて満たす必要があります。
- 医師の直接対面診療から早晩死亡することが予測され、生前の直接対面診療は死亡前14日以内であること
- 終末期の対応を事前に取り決め、患者・家族の同意があり、積極的治療・延命措置を行わないことを確認していること
- 医師が速やかに対面で死後診察することが困難で、12時間以上を要する見込みであること
- 所定の研修を受けた看護師が、死の三徴候の確認を含めて医師に報告すること
- 医師がICTで状況を把握し、死亡の事実確認と異状がないことを判断すること
後日、医師が死後診察を行い、遺族が経過などの医学的な説明を受ける機会も大切にされています。この仕組みを使えるかどうかは地域や事業所によって異なるため、かかりつけ医や訪問看護ステーションに確認してください。
家族の負担を減らす|休息と相談先
看取りを支える家族は、心身の負担を抱えやすい立場です。休息の取り方と相談先を確認します。
家族は負担を感じやすい
支援する側への調査(厚生労働省の意見交換資料)では、「家族等へのサポート体制ができていない」と感じている割合が、医師で43.8%、看護師で41.4%、介護支援専門員で35.0%でした。支援する側から見ても、家族への支えが十分でないと感じている現状があります。家族が「自分だけで頑張らなければ」と抱え込まないことが、まず大切です。
ショートステイなどで休息をとる
短期入所生活介護(ショートステイ)は、利用者本人の生活を支えるとともに、家族の介護負担を軽くすることも目的とされています。家族の病気、冠婚葬祭、出張、心身の負担軽減などの理由で使え、連続して利用できる日数は30日までです。看取り期に使えるかは、病状や施設の体制によって変わるため、ケアマネジャーに相談してください。家族が休息をとることは、介護を続けるための大切な工夫です。
仕事との両立
仕事を続けながら看取りを支える場合は、介護休業・介護休暇などの制度があります。日数や取得の条件は制度改正で変わることがあるため、この記事では数字を示しません。内容は、勤務先の担当窓口、都道府県労働局、ハローワークで確認できます。
在宅看取りが難しいときの選択肢
在宅での看取りが難しい場合もあります。そのときの考え方と選択肢を整理します。
無理に在宅にこだわらなくてよい
在宅での看取りは、あくまで選択肢の一つです。本人の病状、介護する家族の人数や健康状態、住まいの環境、近くに往診してくれる医療機関があるかなどによって、難しい場合があります。「在宅で看取れなかった」ことが失敗になるわけではありません。前述のとおり、本人が重視する点を満たせる環境を選ぶ、という考え方もあります。
施設・入院との比較の視点
在宅のほかに、病院での入院、施設での看取りがあります。どれが良いという評価はできません。比べるときは、次の視点で整理すると考えやすくなります。
- 本人の希望:どこで、どのように過ごしたいか
- 医療的ケア:必要な処置や、夜間の対応を誰が担うか
- 家族の負担:介護できる人数、健康状態、仕事との両立
- 費用:利用する制度ごとの自己負担と上限
施設での看取りには、特別養護老人ホームの看取り介護加算などがあります。ただし、看取りまで対応するかどうかは施設ごとに異なります。特定の施設について、ここで可否をお伝えすることはできません。見学や相談の際に、看取りの対応方針を直接確認してください。
状況が変わったら見直してよい
本人の意思は変わりうる、とガイドラインにも書かれています。最初は在宅を希望していても、状況が変われば、入院や施設への切り替えを考えることも自然です。切り替えの可能性も、最初の話し合いの中で触れておくと、いざというとき慌てずに済みます。
相談先と最初の一歩
何から始めればよいか分からないときの、相談先と最初の手順をまとめます。
まずは地域包括支援センターへ
どこに相談すればよいか分からないときは、地域包括支援センターが入口になります。地域包括支援センターは、市町村に1つ以上置かれ、市町村または市町村から委託を受けた法人が運営しています。相談は無料で、保健師、社会福祉士、主任ケアマネジャーなどが配置されています。相談するときは、病名、いま困っていること、本人の希望を伝えると話が進みやすくなります。詳しくは地域包括支援センターとはをご覧ください。
在宅医療と介護の連携については、各市区町村が相談窓口を設けている場合があります。ただし、窓口の名称は自治体によって異なります。お住まいの市区町村の介護保険担当課や、地域包括支援センターに、「在宅での看取りについて相談したい」と伝えてみてください。
最初の一歩の進め方
- 本人の気持ちを聞く:どこで、どのように過ごしたいかを、無理のない範囲で話し合う
- 要介護認定を申請する:まだ認定を受けていない場合は、市区町村の窓口へ
- ケアマネジャーを決める:要介護1〜5の場合、ケアプランの作成をケアマネジャーに依頼する
- かかりつけ医に相談する:在宅での看取りに対応してもらえるかを確認する
- 緊急時の連絡先と連絡の順番を決める(前述)
事業所を調べるには
地域包括支援センターや介護サービス事業所を調べるには、厚生労働省の介護サービス情報公表システムが使えます。当サイトは、特定の事業所を評価したり、順位づけしたりしません。掲載情報を並べて示す立場です。詳しい編集方針は、このサイトの立ち位置をご覧ください。
まとめ
- 在宅看取りは、自宅など本人の望む場所で最期の時期を過ごす取組。死亡場所の自宅は約17.4%、希望は43.8%で開きがある
- 人生会議で、本人の意向や急変時の対応を前もって繰り返し話し合い、文書にまとめておく
- かかりつけ医・訪問看護・ケアマネジャー・介護職のチームで支える。介護保険が優先だが、末期の悪性腫瘍などは医療保険の訪問看護になる
- 費用は、支給限度額や高額介護サービス費、高額療養費などの制度ごとに上限がある。制度は改定されるため最新情報を確かめる
- 在宅にこだわらず、状況に応じて見直してよい。一人で抱えず、まずは地域包括支援センターへ相談する
本記事は一般的な制度の解説であり、個別の医療・介護の判断を示すものではありません。制度・金額は改定されることがあります。具体的な対応は、主治医、ケアマネジャー、市区町村の窓口に問い合わせてください。