訪問介護の早朝・夜間・深夜加算とは、サービス開始時刻が早朝(午前6時〜8時)または夜間(午後6時〜10時)にあたる訪問に基本単位の25%を、深夜(午後10時〜午前6時)にあたる訪問に50%を上乗せして算定する仕組みです。身体介護30分以上1時間未満の例で、1割負担なら1回あたりの自己負担は早朝・夜間で約100円、深夜で約200円増える計算です(1単位を約10〜11円として計算)。
この記事では、割増の根拠、時間帯の区分、身体介護・生活援助の基本単位、自己負担の計算例、区分支給限度基準額との関係を整理します。夜間対応型訪問介護や緊急時訪問介護加算との違いも扱います。金額は筆者による計算例で、実際の請求額は事業所の算定内容や地域区分で変わります。
先に知っておくこと
- 割増は早朝・夜間が基本単位の25%、深夜が50%です(1回の訪問につき)。
- 1単位の単価は地域で約10〜11.4円です。身体介護30分以上1時間未満(387単位)で、1割負担なら1回あたり早朝・夜間は約100円、深夜は約200円の増加になります。
- どの時間帯にあたるかは、計画上のサービス開始時刻で判断されます。
- 割増された分も、区分支給限度基準額(要介護度ごとに決まっている1か月の保険の利用上限額)の計算に含まれると考えられます。ケアマネジャーに確認してください。
- 制度は3年ごとの報酬改定などで見直されることがあります。本記事は2026年10月時点で確認できた公的資料にもとづいています。
早朝・夜間・深夜加算とは何か
加算の定義と根拠
訪問介護の報酬は、身体介護や生活援助の所要時間ごとに基本単位が決まっています。早朝・夜間・深夜加算は、この基本単位に上乗せされる割増です。厚生労働省が公表している訪問介護費の適用要件一覧と、介護報酬の算定構造表で、夜間・早朝は25/100、深夜は50/100の加算と示されています(出典欄を参照)。
「25/100」は基本単位の25%を意味します。たとえば基本単位が100単位なら、夜間・早朝は125単位、深夜は150単位になる計算です。
誰にとって関係があるのか
次のような方が関係します。
- 朝の起床介助を早い時刻に頼む方
- 家族が帰宅する前の夕方以降に、排泄や食事の介助を頼む方
- 夜中の見守りや体位交換が必要な方
- 介護が始まったばかりで、ケアプランの時間帯を決めている段階の方
特別な事業所だけが算定するわけではない
この割増は、事業所が自治体へ届け出て初めて使える種類の加算ではなく、該当する時間帯にサービスを実施すれば算定する取り扱いと整理されています。そのため、夜間や早朝にも対応している訪問介護事業所であれば、時間帯の要件に合う訪問に割増が付くのが通常です。ただし、事業所ごとに対応できる時間帯は異なります。契約前に、希望の時間帯に訪問できるかを確認してください。
訪問介護そのものの説明は別記事で
訪問介護の種類(身体介護・生活援助・通院等乗降介助)や基本的な利用の流れは、訪問介護とは何かを解説した記事で説明しています。この記事では、時間帯による割増に絞って解説します。
時間帯の区分と判断の基準
早朝・夜間・深夜の時間帯と割増率
時間帯と割増率は次のとおりです。
| 区分 | 時間帯 | 割増率 |
|---|---|---|
| 早朝 | 午前6時〜午前8時 | 基本単位の25% |
| 昼間(割増なし) | 午前8時〜午後6時 | なし |
| 夜間 | 午後6時〜午後10時 | 基本単位の25% |
| 深夜 | 午後10時〜翌午前6時 | 基本単位の50% |
割増は1回の訪問につき算定します。昼間の時間帯(午前8時〜午後6時)は、この割増の対象ではありません。
図の色の帯のうち、どこにあたるかを決める基準が次の「開始時刻」です。
基準は「計画上のサービス開始時刻」
どの区分にあたるかを決めるのは、実際に玄関のチャイムを鳴らした時刻ではなく、居宅サービス計画または訪問介護計画に書かれたサービス開始時刻とされています。開始時刻の区分で判断されるため、たとえば計画上の開始が午後5時50分であれば、訪問が夜間の時間帯に入り込んでも、昼間として扱われると考えられます(個別の扱いは事業所に確認してください)。
このため、計画の時刻が割増の有無を左右します。希望の時間帯が決まったら、ケアマネジャーに「計画上の開始時刻は何時になるか」を確認するとよいでしょう。
請求の内訳を確認するには
毎月届くサービス提供票・別表や請求内訳を見て、訪問の開始時刻と割増の有無を、事業所やケアマネジャーに確認しましょう。
長時間の訪問で対象時間帯がわずかな場合
算定の基準は開始時刻ですが、長時間の訪問で、早朝・夜間・深夜の時間帯にかかる部分がごくわずかな場合は、割増を算定できない例外があるとされています。線引きの具体的な割合は確認できていません(下の「資料では確認できなかった点」を参照)。
時間帯をまたぐ場合の按分はどうなりますか?
午後9時30分から午後10時30分までの訪問のように夜間と深夜をまたぐ場合の扱いは、確認できた資料に記載が見当たりませんでした。まず開始時刻の区分で整理することになりますが、個別の扱いは事業所とケアマネジャーに確認してください。
基本単位と割増後の単位数
身体介護中心型の基本単位
令和6年4月以降の基本単位は次のとおりです(高崎市の令和7年度集団指導資料による)。1時間以上は567単位に、30分を増すごとに82単位が加算されます。
| 身体介護の区分 | 基本単位 |
|---|---|
| 20分未満 | 163単位 |
| 20分以上30分未満 | 244単位 |
| 30分以上1時間未満 | 387単位 |
| 1時間以上 | 567単位(30分ごとに82単位加算) |
生活援助中心型・通院等乗降介助の基本単位
| 区分 | 基本単位 |
|---|---|
| 生活援助 20分以上45分未満 | 179単位 |
| 生活援助 45分以上 | 220単位 |
| 通院等乗降介助(1回) | 97単位 |
令和6年4月の改定で基本単位が見直されました。旧単位と新単位は次のとおりです(藤沢市掲載の新旧対照表による)。古い資料の数字を使って計算しないよう、作成時期を確認してください。
| 区分 | 令和6年3月まで | 令和6年4月以降 |
|---|---|---|
| 身体介護 20分未満 | 167単位 | 163単位 |
| 身体介護 20分以上30分未満 | 250単位 | 244単位 |
| 身体介護 30分以上1時間未満 | 396単位 | 387単位 |
| 身体介護 1時間以上 | 579単位 | 567単位 |
| 生活援助 20分以上45分未満 | 183単位 | 179単位 |
| 生活援助 45分以上 | 225単位 | 220単位 |
| 通院等乗降介助(1回) | 99単位 | 97単位 |
割増後の単位数の計算例
次の表は、上の基本単位に25%または50%を掛けて、筆者が計算した例です。小数点以下は四捨五入しています。端数処理によって、事業所の請求と1単位ずれる場合があります。
同じ計算を区分ごとに並べると次のとおりです。
| 区分 | 基本単位 | 早朝・夜間(25%増) | 深夜(50%増) |
|---|---|---|---|
| 身体介護 20分以上30分未満 | 244 | 約305 | 約366 |
| 身体介護 30分以上1時間未満 | 387 | 約484 | 約581 |
| 生活援助 20分以上45分未満 | 179 | 約224 | 約269 |
| 生活援助 45分以上 | 220 | 約275 | 約330 |
他の加算との関係
2人のヘルパーで同時に介護する場合は、基本単位に×200/100と示されています。この2人介護と夜間・深夜の割増を同時に使う場合の計算式は確認できていません。該当しそうな場合は、事業所に算定内容を確認してください。
自己負担額の計算例
1単位の単価は地域で異なる
1単位あたりの単価は地域区分で異なり、訪問介護では約10〜11.4円です。お住まいの市町村がどの地域区分かは、市町村の介護保険担当窓口や事業所で確認できます。
| 地域区分(級地) | 1単位の単価 |
|---|---|
| 1級地 | 11.40円 |
| 2級地 | 11.12円 |
| 3級地 | 11.05円 |
| 4級地 | 10.84円 |
| 5級地 | 10.70円 |
| 6級地 | 10.42円 |
| 7級地 | 10.21円 |
| その他 | 10.00円 |
自己負担の割合は1〜3割
利用者負担は原則1割で、所得に応じて2割または3割になります(介護サービス情報公表システムの解説による)。どの割合になるかは、お手元の介護保険負担割合証で確認できます。
身体介護30分以上1時間未満の計算例
身体介護の「30分以上1時間未満」(387単位)を、その他の地域(1単位10円)で受けた場合の1回あたりの自己負担を、筆者が計算した例です。
負担割合ごとに並べると、1回あたりの自己負担の目安は次のとおりです(その他の地域・1単位10円)。
| 負担割合 | 昼間(387単位) | 早朝・夜間(約484単位) | 深夜(約581単位) |
|---|---|---|---|
| 1割 | 約387円 | 約484円 | 約581円 |
| 2割 | 約774円 | 約968円 | 約1,162円 |
| 3割 | 約1,161円 | 約1,452円 | 約1,743円 |
1級地(1単位11.40円)で1割負担の場合は、昼間が約441円、早朝・夜間が約552円、深夜が約662円です。いずれも1回あたりの目安で、10円未満の端数の扱いなどにより、実際の請求とずれることがあります。
目安:身体介護30分以上1時間未満を月20回受けた場合(1級地・1割負担)、割増による自己負担の増加は、早朝・夜間で約2,220円(1回あたり約111円)、深夜で約4,420円(1回あたり約221円)です。
区分支給限度基準額との関係
在宅サービスには、要介護度ごとに1か月に保険で使える上限の区分支給限度基準額があります。介護サービス情報公表システムに掲載されている上限額は次のとおりです。
| 要介護度 | 1か月の限度額(円) |
|---|---|
| 要支援1 | 50,320円 |
| 要支援2 | 105,310円 |
| 要介護1 | 167,650円 |
| 要介護2 | 197,050円 |
| 要介護3 | 270,480円 |
| 要介護4 | 309,380円 |
| 要介護5 | 362,170円 |
割増後の単位数は、この限度額の計算に含まれると考えられます。限度額を超えた分は全額が自己負担になります。
算定構造表には、限度額の管理から外れる項目として、特別地域加算・中山間地域加算・処遇改善加算などの一覧があります。早朝・夜間・深夜加算はこの一覧に含まれていないため、限度額に含まれると読めますが、直接これを述べた文章は確認できていません。限度額に収まるかどうかは、ケアプランを作るケアマネジャーに確認してください。限度額の仕組みそのものは、区分支給限度基準額を解説した記事で詳しく説明しています。
制度改定との関係
令和6年度の介護報酬改定では訪問介護の基本単位が見直されましたが、割増率(早朝・夜間25%、深夜50%)と時間帯は変わっていません。令和8年6月の臨時改定(処遇改善の見直しが中心)でも、割増率と時間帯は変わらず示されています。令和8年6月29日の第259回介護給付費分科会の資料では、本加算の見直しを直接議論した記載は確認できませんでした。
3年ごとの見直しと古い資料への注意
介護報酬は原則3年ごとに見直されるため、今後変わる可能性があります。ネット上の古い資料には改定前の単位数が載っていることもあるので、最新の案内をケアマネジャーや市町村に確認してください。
関連する仕組みとの違い
夜間対応型訪問介護との違い
名前が似ている「夜間対応型訪問介護」は、通常の訪問介護とは別の、地域密着型サービスです。介護サービス情報公表システムでは、夜間対応型訪問介護の営業時間に、午後10時〜午前6時を含むものと説明されています。通常の訪問介護で夜間や深夜に訪問する場合に付く割増とは別の仕組みです。夜間対応型訪問介護の対象者や料金は、夜間対応型訪問介護とは何かを解説した記事で説明しています。
訪問看護にも同様の加算がある
算定構造表では、訪問看護にも夜間・早朝25/100、深夜50/100の加算が示されています。訪問介護と訪問看護を同じ時間帯に使うと、それぞれに割増が付く可能性があります。費用の見通しは、ケアマネジャーに両方を合わせて確認してください。
緊急時訪問介護加算との違い
緊急時訪問介護加算は、1回につき100単位の加算です。計画外の緊急要請などが条件とされ(県通知の整理による)、時間帯とは関係がありません。利用者の希望だけで計画上の時間を変えても、対象にならないと整理されています。
三つの違いは、決まる基準が時間帯か、緊急の要請か、サービスの種類かという点です。
2時間ルールとの違い
前回の訪問から概ね2時間未満の間隔で次の訪問がある場合に所要時間を合算する「2時間ルール」は、時間帯の割増とは別の仕組みです。詳しくは訪問介護の2時間ルールを解説した記事をご覧ください。両方を併せた扱いは今回の資料では確認できていないため、事業所・ケアマネジャーに確認してください。
事業所・ケアマネジャーに確認するポイント
重要事項説明書で確認すること
契約の前には、重要事項説明書で利用料などの説明を受けられます。早朝・夜間・深夜の割増の有無も、あわせて確認しましょう。
図の4点は、次のように聞き分けると進めやすくなります。
- 事業所に聞く:計画上の開始時刻がどの時間帯にあたるか、その訪問に割増が付くか
- ケアマネジャーに聞く:割増を含めた自己負担額(1回・月あたり)、月の合計が区分支給限度基準額に収まるか
ケアマネジャーへの伝え方の例
次のように伝えると、相談しやすくなります。
- 「朝6時台の起床介助を希望している。割増が付くか、月の自己負担はいくらになるか知りたい」
- 「夕方の訪問は必要な時間帯を優先したい。そのうえで、開始時刻によって費用がどう変わるかも知りたい」
- 「夜間の見守りを頼みたい。訪問介護の割増で足りるのか、夜間対応型や定期巡回との比較もしたい」
夜間に何度も訪問が必要な場合
夜間に何度も訪問が必要な方の場合、通常の訪問介護の割増で対応するのか、別のサービスを使うのかで、費用と安心感が変わります。夜間対応型訪問介護や、定期巡回・随時対応型訪問介護看護との比較も含めて、ケアマネジャーに相談してください。
資料では確認できなかった点
今回確認できた公的資料では、次の点の明記が見つかりませんでした。該当しそうな場合は、括弧内の相談先に確認してください。
- 時間帯をまたぐ訪問(例:21:30〜22:30)の按分(事業所)
- 長時間の訪問で、対象時間帯が「ごくわずか」とされる具体的な割合(事業所・ケアマネジャー)
- 緊急時訪問介護加算と割増を併せて算定できるか(事業所・ケアマネジャー)
- 2人介護(×200/100)と割増を同時に使う場合の計算式(事業所)
- 2時間ルールと割増を併せた扱い(事業所・ケアマネジャー)
- 夜間の頻回訪問の算定の扱い(ケアマネジャー)
- 割増後の単位数の端数処理(事業所)
疑問があるときの相談先
疑問が残る場合は、市町村の介護保険担当窓口にも相談できます。
よくある誤解と注意点
誤解されやすい点
- 「実際に訪問した時刻で決まる」わけではなく、計画上の開始時刻が基準です。
- 「事業所が届出をした場合だけの加算」ではありません。
- 「長時間の訪問なら必ず割増」ではなく、対象時間帯がごくわずかな場合は算定できない例外があります。
- 緊急で夜間に来てもらっても、時間帯の割増と緊急時加算が当然両方付くわけではありません(併算は要確認)。
- 「割増分は限度額と別枠」とは限らず、区分支給限度基準額に含まれると考えられます。
利用者の希望で時間を変えたとき
利用者や家族の希望で訪問時間をずらした場合、緊急時訪問介護加算の対象にはなりません。一方、開始時刻の区分で判断されるため、ずらした結果の開始時刻が早朝・夜間・深夜にあたれば、割増の対象になると考えられます。計画の変更はケアマネジャー経由で行い、訪問介護計画にも反映してもらいましょう。
請求書が分からないとき
請求書の内訳が分からないときは、サービス提供票・別表や請求内訳と見比べて、訪問の開始時刻と加算の記載を確認します。それでも不明な点は、遠慮せずにケアマネジャーか事業所に尋ねましょう。
まとめ
この記事のまとめ
- 早朝(6〜8時)・夜間(18〜22時)は基本単位の25%、深夜(22〜6時)は50%が上乗せされます。1回の訪問につき算定します。
- 時間帯の判断は、居宅サービス計画・訪問介護計画上のサービス開始時刻が基準です。届出は不要です。
- 身体介護30分以上1時間未満(387単位)なら、その他地域・1割負担で昼間約387円、早朝・夜間約484円、深夜約581円が目安です(筆者計算の例)。
- 割増後の単位数は区分支給限度基準額に含まれると考えられます。超過分は全額自己負担になるため、ケアマネジャーに確認してください。
- 制度は3年ごとの報酬改定などで見直されることがあります。最新の取り扱いを確認してください。
次にすること
- 希望する訪問の時間帯を書き出し、担当のケアマネジャーに計画上の開始時刻を確認する
- 重要事項説明書で、割増の有無と自己負担額(月あたり)を確認する
制度は見直されることがあります。本サイトは特定の事業所や施設を評価・推奨せず、制度を並列に整理する立場をとっています。詳しくはこのサイトの立ち位置をご覧ください。