親や配偶者が施設に入所中、入院が必要になったとき、次の3点が気になる方が多いはずです。
- 入院したら退所になるのか
- ベッドはいつまで確保されるのか
- 入院中も居住費や食費を払うのか
この記事では、特養の基準・告示や公的資料にもとづき、退所の考え方から費用、再入所までを整理します。扱いは施設の種類と契約書で変わるため、まず契約書の入院時の条項を確認することが出発点です。
結論と3行まとめ
入院と退所の関係を3行で
- 退所の考え方:特養の運営基準(厚生省令第39号第19条)は、入院後おおむね3か月以内に退院することが明らかに見込まれるときは、退院後に再び円滑に入所できるようにすることを求めています。「3か月を超えたら自動的に退所」とは条文に書かれていません。
- 費用の考え方:入院中に居室を確保している間は、施設サービス費の外泊時費用(特養は1日246単位、月6日まで・月をまたぐ場合は最大12日までとされています。全老健掲載の介護報酬Q&Aによる)の対象となりうる一方、居住費などは契約で決まります。病院では別途、入院時の食事代などがかかります。
- 確認の考え方:老健・介護医療院・有料老人ホームなどでは3か月の扱いが特養と同じとは限らず、契約書・重要事項説明書で決まります。入院が決まったら、早めに施設と病院の両方へ確認するのが安全です。
この3点が、以降の見出しのすべての土台になります。
ご注意:本記事の金額や単位数は令和8年(2026年)10月時点で確認できた公的資料にもとづきます。介護報酬や補足給付は3年ごとの改定や随時の見直しがあるため、実際の適用は必ず施設・市区町村・加入している医療保険者にご確認ください。
この記事が役立つ方と、書いていないこと
想定しているのは、親や配偶者が介護施設・老人ホームに入所中で、入院しそう、あるいはすでに入院した方です。急な入院は家族の予定を一気に崩します。手続きの順番が分かっていれば、慌てて施設側の説明を聞き逃すことも減ります。
一方で、この記事は個々の施設や病院の運用を評価したり、特定の施設をすすめたりするものではありません。また、退院や治療の可否といった医療そのものの判断は主治医の領域であり、ここでは扱いません。書いてあるのは、制度としてどう決まっているかという点だけです。民間のまとめサイトにある「老健は2週間で退所」といった目安についても、公的な基準の中に根拠を確認できていないため取り上げていません。
入院すると退所になるのか|特養の基準第19条と「3か月」の意味
特養に入所している方が入院した場合、退所になるかどうかを決める最も基本的な根拠が、指定介護老人福祉施設の人員・設備・運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)の第19条です。ここでは条文が何を求め、何を求めていないのかを順に見ます。
基準第19条が求めていること
第19条は「入院期間中の取扱い」を定めています。趣旨は次のとおりです。入所者が病院または診療所に入院する必要が生じた場合で、おおむね3か月以内に退院することが明らかに見込まれるときは、本人や家族の希望などを勘案して必要に応じて適切な便宜を供与します。そのうえで、やむを得ない事情がある場合を除き、退院後に再び円滑にその特養へ入所できるようにしなければなりません。
ポイントは「しなければならない」と書かれているのが、再び円滑に入所できるようにする側の義務だという点です。つまり3か月は、再入所の受け皿を用意する義務が及ぶ見込み期間の目安として置かれています。
制度の細かな読み方は、特養の入所の仕組みと点数制度を解説した記事とあわせて読むと、入所そのものと再入所の関係を整理しやすくなります。
「3か月」は何を指すのか
条文の「おおむね3月以内に退院することが明らかに見込まれるとき」という表現は、入院が始まった時点で、あるいは入院中に、3か月以内の退院が見込まれる状態かどうかを指しています。解釈通知(老企第43号)では、この「明らかに見込まれる」かどうかは、入院先の主治医に確認するなどして判断するとされています。
つまり、入院期間が実際に3か月を超えたかどうかだけで機械的に決まるのではなく、見込みの判断が重要です。入院が長引いて見込みが変わった場合にどう扱うかは、条文そのものには細かく書かれておらず、契約書や重要事項説明書で定める扱いになります。実際に長引きそうなときは、施設の相談員や担当のケアマネジャーに早めに状況を伝え、見込みを一緒に確認していくことが現実的です。
| 確認する場面 | 誰に確認するか | 見るポイント |
|---|---|---|
| 退院の見込み | 入院先の主治医 | おおむね3か月以内に退院できる見通しか |
| 3か月を超えそうな場合の扱い | 施設の相談員・契約書 | 契約で定める退所・契約継続の条件 |
| 再入所の時期 | 施設 | ベッドの確保方法と、退院日が変わったときの連絡方法 |
よくある誤解と、条文から言えること
入院と退所をめぐっては、次のような誤解がよく見られます。
- 「3か月を超えたら必ず退所になる」:条文はそう書いていません。3か月を超えた場合の扱いは、契約書・重要事項説明書で定められます。契約上、退所とするとされていることもあるため、思い込みで判断せず契約を確認します。
- 「入院した瞬間に退所になる」:基準第19条は、見込み次第で再入所できるようにする義務を定めており、入院したこと自体を退所事由とはしていません。
- 「ベッドは何があっても同じ部屋が戻る」:条文は「円滑に再び入所できるようにする」ことを求めますが、同じ居室に必ず戻ると明記しているわけではありません。居室の扱いは施設の運用・契約で確認が必要です。
さらに、解釈通知には「やむを得ない事情」の説明があります。退院が予定より早まり、ベッドの確保が間に合わなかった場合などが該当するとされ、単に当初の退院予定日に満床だっただけでは該当しないとされています。再入所の約束を軽く見ない、という基準の姿勢がうかがえます。
入院中のベッドを短期入所に使うことについて
解釈通知では、入院している間の空きベッドを、短期入所生活介護(ショートステイ)などに利用してよいとされています。ただし、元の入所者が円滑に再入所できるよう、計画的に使うことが求められています。
家族から見ると「自分の親のベッドが他の人に使われている」と感じて不安になることがあります。しかし、これは制度上認められた運用であり、退院日が決まったときに空けられるようにスケジュールを組むのが前提です。気になる場合は「ショートステイに使うことはありますか」「退院が決まったら、いつまでに連絡すれば確実に戻れますか」と施設に尋ねておくと行き違いを減らせます。
なお、費用の面では、この短期入所に使った期間は外泊時費用の対象にならないとされています。詳しくは次の章以降で扱います。
老健・介護医療院・有料老人ホーム等の違い
入所中の施設が特養以外の場合、入院時の扱いは同じとは限りません。施設の種類ごとに根拠となる基準が異なるためです。
介護老人保健施設(老健)の場合
老健の運営基準は厚生省令第40号です。確認できた範囲では、特養の第19条に相当する「入院期間中の取扱い」の規定は見当たりませんでした。一方、解釈通知(老企第44号)には、協力医療機関に入院した入所者を、退院後に速やかに入所させることができるよう努める旨の記載があります。
したがって、老健については「基準上は、特養のような3か月の規定は見当たらず、入院した場合の扱いは契約によるとされる」と整理するのが現時点では妥当です。入院が退所扱いになるかどうか、期間の定めがあるかどうかは、施設ごとの契約書・重要事項説明書で確認してください。インターネット上には「2週間」「3か月」といった数字が見られますが、公的な基準で裏づけを確認できていないため、ここでは採用しません。
ご注意:老健の入院時の扱いは、基準上は特養のような規定が見当たらず、契約で確認が必要です。入所時に受け取った書類を見直し、分からない点は相談員に確認してください。
介護医療院などの場合
介護医療院も、入院・外泊の扱いは基準や契約で決まります。外泊時費用の単位数は、本記事の作成時点で一次資料から十分に確認できていないため、ここでは書きません。入院する際は、施設に「入院した場合の費用の取り扱い」と「退院後の戻り方」を、書面で確認しておくと後で食い違いが起きにくくなります。
有料老人ホーム・サ高住などの場合
有料老人ホームについては、厚生労働省の「有料老人ホーム設置運営標準指導指針」(令和6年5月23日付老発0523第1号による改正)があります。この指針では、入居者が協力医療機関などに入院したあと、病状が軽快して退院できる状態になった場合、再び速やかに入居できるよう努めるとされています。また、急変時の相談・診療体制を常時確保した協力医療機関を定めるよう努めることも示されています。
ただし、入院中の家賃や管理費をどう扱うかについては、指針に細かな規定が見当たりません。契約・重要事項説明書で個別に定めるとされています。契約の仕組み全般は、有料老人ホームの解約を解説した記事でも整理しています。
特定施設入居者生活介護の指定を受けた有料老人ホームでは、外泊中の特定施設入居者生活介護費は算定できない取扱いとされています(老企第40号)。特定施設に関する費用の考え方は、特定入所者介護サービス費と関連する費用を解説した記事や、各サービスの記事とあわせて確認すると整理しやすくなります。
施設類型ごとの確認ポイント早見表
| 施設の種類 | 入院時の主な根拠 | 3か月の規定 | 確認先 |
|---|---|---|---|
| 特養(介護老人福祉施設) | 厚生省令第39号第19条・老企第43号 | おおむね3か月以内の退院が見込まれる場合の再入所義務あり | 施設・契約書 |
| 老健 | 厚生省令第40号・老企第44号 | 基準上は特養のような規定が見当たらない | 施設・契約書 |
| 介護医療院 | 基準・契約 | 本記事では確認できていないため断定しない | 施設・契約書 |
| 有料老人ホーム等 | 設置運営標準指導指針・契約 | 指針は「再び速やかに入居できるよう努める」 | 重要事項説明書 |
この表は、あくまで公的資料から確認できた範囲の整理です。実際の取扱いは、施設・自治体の条例などで上乗せや補足がある場合があります。
入院時・外泊時の費用|単位数・月6日・月またぎ12日
入院中も居室を確保している間は、施設サービス費の中で「外泊時費用」という形で費用が発生することがあります。仕組みが少し分かりにくいので、数字と条件を分けて確認します。
特養の外泊時費用|1日246単位・月6日が限度
施設サービス費の算定基準(告示第21号)では、特養の外泊時費用は、入院または外泊をした場合に、月6日を限度として1日につき246単位とされています。入院を要した場合も、この外泊時費用の対象に含まれます。外泊の初日と最終日は算定できません。
単位数は円に直すときに地域区分などによる単価がかかり、さらに自己負担割合(1割・2割・3割)がかかります。実際の請求額は施設の請求書で確認し、告示の定めにもとづく単位数が基本になると理解しておくとよいでしょう。
なお、外泊時に在宅サービスを利用した場合の費用は、月6日を限度として1日560単位とされています。これは入院とは異なる、自宅での外泊の場面で使う区分です。
老健の外泊時費用と試行的退所
老健では、外泊時費用は月6日限度で1日362単位、試行的退所は月6日限度で1日800単位とされています。試行的退所は、自宅などでの生活を試す場面に使う区分です。入院が理由の場合にどの区分が適用されるかは、施設の判断や契約の内容によって変わりうるため、施設に確認してください。
| 区分 | 単位数(1日) | 日数の限度 |
|---|---|---|
| 特養の外泊時費用 | 246単位 | 月6日 |
| 特養の外泊時の在宅サービス利用 | 560単位 | 月6日 |
| 老健の外泊時費用 | 362単位 | 月6日 |
| 老健の試行的退所 | 800単位 | 月6日 |
ご注意:単位表の原本全体を本記事の作成時点で逐一確認できたわけではありません。実際の算定は告示の定めによります。
月をまたぐ場合と、毎月6日ずつ算定できない理由
全老健掲載の介護報酬Q&A(vol.59)によると、月をまたいで入院した場合は最大12日までとされています。つまり、3か月入院したからといって、毎月6日ずつ算定できるわけではありません。外泊時費用はあくまで「一時的な外泊や短期の入院」を想定した費用で、長期入院の費用を継続的に請求する仕組みではないのです。
日数の数え方には「初日と最終日を除く」という取扱いがあるとされています(老企第40号)。実際の日数は施設で計算されます。
短期入所に使った期間は対象外
Q&A(vol.153)では、入院中のベッドを短期入所生活介護などに使った期間は、外泊時費用の対象外とされています。
請求明細で外泊時費用の日数が思ったより少ないとき、短期入所に使われた日が含まれている可能性があります。分からない場合は「何日分が外泊時費用として算定されているか」を、施設に尋ねてみてください。
居住費・食費の扱いと補足給付(令和8年8月の見直し)
外泊時費用とは別に、居住費(部屋代)と食費の扱いが気になる方は多いでしょう。入院中のこれらの費用は、施設と利用者の契約で決める事項とされています。
入院中の居住費は契約で決まる
平成17年当時のQ&A(問46)では、入院中の居住費は、施設と利用者との契約によって決める事項とされています。居室が確保されている場合は、引き続き居住費の対象としてよいとされています。
つまり、入院していても部屋を空けておいてもらう間は、居住費の支払いが続く契約になっている場合があります。逆に、食費についても、入院中の請求の有無や日割りの扱いは契約書で確認が必要です。現在も同じ取扱いかどうかについては、お住まいの自治体や施設に確認するようお願いします。
補足給付(特定入所者介護サービス費)の対象期間
低所得の方の負担を軽くする補足給付(特定入所者介護サービス費)は、外泊時費用が算定できる期間、つまり月6日間に限り支給されるとされています(平成17年当時のQ&A問46による)。現行の取扱いは施設・市区町村に確認してください。外泊時費用を算定しない期間については、補足給付の対象にならないとされているため、居住費の負担が変わる可能性があります。施設に確認してください。
補足給付の内容は、特定入所者介護サービス費を解説した記事に詳しくまとめています。
令和8年8月からの見直し|基準費用額と負担限度額
令和8年8月施行の見直しでは、補足給付に関する数値が改められました(介護保険最新情報Vol.1506・令和8年5月29日)。主な数値は次のとおりです。
| 項目 | 金額 |
|---|---|
| 食費の基準費用額 | 1日1,545円 |
| 居住費の基準費用額(特養の多床室) | 1日915円 |
| 居住費の基準費用額(従来型個室) | 1日1,231円 |
| 居住費の基準費用額(ユニット型個室) | 1日2,066円 |
| 第3段階②の負担限度額(食費) | 1日1,420円 |
| 第3段階②の負担限度額(特養の多床室) | 1日530円 |
| 第3段階②の負担限度額(従来型個室) | 1日980円 |
基準費用額は、補足給付を受けない場合に基本となる金額の水準です。30日分に単純計算すると次のとおりです。
| 項目 | 日額 | 30日分 |
|---|---|---|
| 食費 | 1,545円 | 46,350円 |
| 居住費(従来型個室) | 1,231円 | 36,930円 |
| 居住費(ユニット型個室) | 2,066円 | 61,980円 |
ご注意:上記は見直し後の公表値の一部です。段階の判定や預貯金要件などの詳細は、厚生労働省の資料や市区町村の窓口で必ず確認してください。
段階の判定基準と預貯金要件
補足給付は、所得段階に加えて預貯金などの資産要件があります。令和8年8月からの見直しで、第2段階の判定基準が80.9万円から82.65万円に改められました。預貯金の要件は次のとおりです。
| 段階 | 預貯金の要件 |
|---|---|
| 第1段階 | 1,000万円以下(夫婦は2,000万円以下) |
| 第2段階 | 650万円以下(夫婦は1,000万円を加える) |
| 第3段階① | 550万円以下(夫婦は1,000万円を加える) |
| 第3段階② | 500万円以下(夫婦は1,000万円を加える) |
入院が長引くと医療費や介護費の負担が重くなるため、補足給付の段階が変わる可能性がないか、家計の状況を見直すきっかけにもなります。段階の確認や申請は市区町村の介護保険担当窓口です。厚生労働省の居住費に関するリーフレットなども参考になります。
病院側の費用|入院時食事療養費・高額療養費・医療費控除
入院すると、施設ではなく病院の費用がかかります。介護保険の自己負担とは別に、医療保険の費用が発生する点を整理します。
入院時食事療養費(令和8年6月から1食550円)
入院中の食事は、医療保険の入院時食事療養費の対象です。協会けんぽの案内では、令和8年6月1日から、一般の方の自己負担は1食550円(それまで510円)とされています。住民税非課税世帯の場合は1食270円と案内されています。
一般の方の場合の単純計算では、1日3食で1,650円、月30日入院なら49,500円です。住民税非課税世帯などは区分により異なります。入院中の施設の食費の扱いは契約によるため、施設にも確認してください。
65歳以上の生活療養と高額療養費の対象外
65歳以上の方が療養病床などに入院する場合は、食費に加えて居住費にあたる費用が生活療養として自己負担になることがあります。協会けんぽの案内では、低所得者Ⅰの場合、食費が1食160円、居住費が1日430円とされています。
食事療養費や生活療養費の自己負担は、高額療養費の対象外とされています。高額療養費は令和8年8月に見直しがありますが、区分別の上限額は資料間で数値が一致しないため、ここでは記載しません。上限額は、加入している保険者(協会けんぽ・健康保険組合・市区町村の国民健康保険・後期高齢者医療広域連合)に確認してください。
医療費控除と、施設の費用との関係
国税庁のタックスアンサーNo.1125によると、特養の介護費・食費・居住費の自己負担額は、その2分の1が医療費控除の対象とされています。老健や介護医療院の場合は、全額が対象となります。
医療費控除は、領収書や明細書を整理して確定申告で申請します。入院と施設入所が重なる年は、医療費の領収書と施設の請求書が混在しやすくなるため、月ごとに分けて保管しておくと後で楽です。具体的な控除額の判断は、税務署や税理士にご確認ください。
入院中にかかる費用の全体像
| 費用の種類 | 請求元 | 主な根拠 |
|---|---|---|
| 外泊時費用 | 施設 | 告示第21号 |
| 居住費 | 施設 | 契約・Q&A |
| 食費(施設) | 施設 | 契約 |
| 入院時の食事代 | 病院 | 医療保険(食事療養費) |
| 入院の診療費 | 病院 | 医療保険(高額療養費の対象) |
この表のように、施設と病院で請求元が分かれます。家族の側で「いつの分をどこに払うのか」を整理しておくと、請求書が届いたときに混乱しにくくなります。
協力医療機関と再入所|令和6年度改定のポイント
施設が入院先を確保し、退院後に戻れるようにするうえで重要なのが、協力医療機関との関係です。令和6年度の介護報酬改定で、この連携が強化されました。
協力医療機関に求められる要件
老健などの基準では、協力医療機関について次の要件が示されています。
- 入所者の病状が急変した場合などに、医師や看護職員が相談対応する体制を常時確保していること
- 診療の求めがあった場合に、診療を行う体制を常時確保していること
- 入院を要すると認められた入所者を、原則として受け入れる体制を確保していること
- 新興感染症の発生時に、第二種協定指定医療機関との間で取り決めを行うよう努めること
これらは、入院が必要になったときに「受け入れ先が見つからない」という事態を減らすための要件です。詳しい仕組みは、介護施設の協力医療機関を解説した記事にまとめています。
協力医療機関連携加算と経過措置
船橋市の案内(老健などの例)では、協力医療機関連携加算は上位の区分で月100単位とされ、協定書などの届出が必要です。また、連携の義務化は令和9年3月31日までは経過措置があり、それまでは努力義務とされています。
加算の細かな単位数は区分や施設類型で異なるため、ここでは確認できた数値のみを示しました。加算がある施設では、協力医療機関と定期的に情報共有する体制がとられています。
再入所のときに確認したいこと
退院が決まったら、再入所の手続きを確認します。特養では基準第19条の趣旨にもとづき、円滑な再入所が求められますが、実際には次の点を確認しておくと行き違いを減らせます。
- 退院予定日と、施設への連絡のタイミング
- 入院中の状態変化に合わせたケアプランの見直し
- 医療的ケア(たんの吸引・経管栄養・褥瘡のケアなど)が増えた場合に、施設で対応できるか
- 病院から施設へ渡される情報(看護サマリーなど)の内容
医療的ケアが増えると、元の施設で受け入れられない場合もあり得ます。その場合の選択肢は、施設の相談員やケアマネジャー、病院の地域連携室(医療ソーシャルワーカー)と一緒に整理します。
入院が決まったときの家族の動き|施設に確認することチェックリスト
ここまでの制度を踏まえて、実際に入院が決まったときの動きを順に並べます。慌ただしい中でも、確認の抜けを減らせます。
入院が決まった当日から退院までの流れ
- 施設の相談員へ連絡:入院先・入院予定日・見込みの期間を共有します。
- 契約書・重要事項説明書を取り出す:入院中の取扱いの条項を確認します。
- 病院の医療ソーシャルワーカーに相談:退院後の行き先の見通しを聞きます。
- 費用の請求先を整理する:施設と病院に分けて管理します。
- 退院が見えてきたら施設に連絡:再入所の日程を調整します。
この順番は一つの例です。入院が急な場合は、まず病院での手続き(入院申込書・同意書など)が先になることもあります。
施設に確認することチェックリスト
- 入院した場合、契約はそのまま続くのか、一定期間で終了するのか
- 特養の場合、「おおむね3か月」を超えたときの扱いは契約書にどう書かれているか
- 入院中の居住費・管理費・食費は何日分、いくら請求されるのか
- 月またぎの場合も含め、外泊時費用は何日分算定されるのか
- 入院中のベッドを短期入所に使う方針があるか
- 退院が決まったとき、何日前までに連絡すればよいか
- 再入所のとき、元の居室に戻れるのか
- 医療的ケアが増えた場合に受け入れが可能か
- 補足給付の対象者は、入院中の負担限度額認定証の扱いはどうなるか
このチェックリストをスマートフォンのメモに写しておき、施設との電話や面談の際に一つずつ確認すると便利です。
家族が記録しておくとよいこと
入院から再入所までは、書類・請求・電話のやり取りが重なります。次の記録を残しておくと、後から請求内容を確認するときに助けになります。
- 入院日・退院日・病院名
- 施設とのやり取りの日時と担当者名
- 請求書・領収書(施設分と病院分を分けて保管)
- 医師からの説明のメモ(退院の見込みなど)
契約書・重要事項説明書で見る点
入院と退所の扱いは、最終的には契約書・重要事項説明書で決まります。ここでは、読むべき箇所の見つけ方を整理します。
契約書で見る条項
契約書には、契約の終了事由(退所事由)が書かれています。入院が一定期間を超えた場合の扱いは契約書で定められるため、この条項を探します。「入院期間が3か月を超えた場合」「退院の見込みが立たない場合」といった表現を探します。
| 確認する条項 | 見るポイント |
|---|---|
| 契約の終了事由 | 入院期間・病状による終了条件 |
| 入院中の費用 | 居住費・管理費・食費の扱い |
| 居室の取扱い | 空けておくのか、他の利用に充てるのか |
| 再入所 | 手続き・順番・優先の有無 |
重要事項説明書で見る項目
重要事項説明書には、料金表や協力医療機関の名称、緊急時の対応方法などが書かれています。入院中の外泊時費用や居住費の計算方法が載っていることがあります。分かりにくい点は、入所時に説明を受けた担当者に聞き直して構いません。
書類を見ても判断が難しい場合は、市区町村の介護保険担当窓口や、地域包括支援センターに相談する方法もあります。
契約内容の変更や不明点は書面で
口頭での確認だけでは、後から「聞いていない」「言った」の行き違いが起きやすくなります。重要な取り決め、たとえば入院中の費用や再入所の約束については、可能であれば書面(メールを含む)で残しておくと後から確認しやすくなります。施設側にとっても、確認事項が明確になります。
注意点と、制度が改定されうること
最後に、この記事の内容を読むうえでの注意点をまとめます。
介護保険は改定される
介護保険制度は原則3年ごとに介護報酬が改定され、補足給付の基準や医療保険の自己負担額も見直されます。本記事で示した外泊時費用の単位数、補足給付の金額、入院時食事療養費の額は、令和8年10月時点で確認できた公的資料にもとづくもので、将来変更される可能性があります。最新の内容は、厚生労働省、市区町村、加入している医療保険者の案内で確認してください。
個別の状況は専門家へ
退院の見込み、治療の可否、施設で受けられるケアの範囲は、主治医や施設の判断によります。本記事は一般的な制度の整理であり、個別の判断や医療的な助言を行うものではありません。
まとめと相談先
入所中の入院は誰にとっても急な出来事です。要点を整理します。
この記事のまとめ
- まず、契約書・重要事項説明書の入院時の条項を確認する。特養の基準第19条は、おおむね3か月以内の退院が明らかに見込まれる場合に円滑な再入所を求めており、3か月超で自動的に退所とは書かれていません。
- 老健・介護医療院・有料老人ホームでは、扱いが契約・指針によって異なるため、契約書や重要事項説明書での確認が必要です。
- 特養の外泊時費用は月6日まで1日246単位、月をまたぐ場合は最大12日までで、短期入所に使った期間は対象外です。
- 居住費・食費は契約で決まり、補足給付の対象は外泊時費用の算定期間に限られるとされています。病院の食事代は高額療養費の対象外です。
- 金額や制度は改定されうるため、施設・市区町村・医療保険者へ最新の内容を確認してください。
相談先
- 施設の相談員・担当ケアマネジャー:契約内容、再入所の日程
- 病院の医療ソーシャルワーカー(地域連携室):退院後の見通し
- 市区町村の介護保険担当窓口・地域包括支援センター:補足給付、負担限度額認定
- 加入している医療保険者:高額療養費、食事療養費
- 税務署:医療費控除
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