介護職員(訪問介護員と介護職員)の離職率は、介護労働実態調査の令和7年度結果で12.4%でした。平成19年度のピーク21.6%からは下がっていますが、事業所の65.8%は人手不足を感じています。この記事では、離職率の定義、全産業との比較で注意すること、離職理由、国の対策、職場や施設の職員体制を見るポイントを、公的な調査にもとづいて整理します。就職・転職を考える方は「働く人が職場を見るポイント」、ご家族は「家族が施設の職員体制を見るポイント」の章からお読みいただいても構いません。
介護職員の離職率とは何か
離職率の定義と算出式
介護職員の離職率としてよく引用されるのは、公益財団法人介護労働安定センターが毎年行っている「介護労働実態調査」の数字です。この調査では、離職率を「1年間の離職者数÷前年10月1日時点の在籍者数×100」で算出します。同じ考え方で、採用率は「1年間の採用者数÷前年10月1日時点の在籍者数×100」と定義されています。
採用率から離職率を引いた値は「増減率」と呼ばれ、令和7年度は2.2%でした。この調査の2職種では、採用率が離職率を上回りました。
| 項目 | 算出の考え方 |
|---|---|
| 離職率 | 1年間の離職者数÷前年10月1日時点の在籍者数×100 |
| 採用率 | 1年間の採用者数÷前年10月1日時点の在籍者数×100 |
| 増減率 | 採用率−離職率 |
調査の対象と、数字の読み方
介護労働実態調査のうち、事業所を対象にした「事業所調査」は平成14年度から毎年実施されています。離職率の対象は「訪問介護員」と「介護職員」の2職種で、ここで報じられる「介護職員の離職率」は、この2職種を合計した数字を指すのが一般的です。看護職員やケアマネジャー(介護支援専門員)などは、別の職種として集計されています。
令和7年度調査の結果は、令和8年7月29日に公表されました。この記事で示す数字は、特に断りがない限りこの令和7年度調査によります。
よくある誤解
離職率と聞くと「介護の仕事そのものを辞めた人の割合」と受け取られがちですが、離職率は事業所からの離職者数にもとづく数字で、介護の仕事そのものを辞めた人の割合とは限りません。定義は調査報告書で確認してください。
また、離職率は事業所ごとに大きく異なります。全体の平均だけを見て、自分が働く、あるいは家族が利用する事業所の状況を判断することはできません。この点は後の章で詳しく扱います。
最新の離職率と推移(令和3〜7年度)
令和3年度から7年度までの推移
介護労働安定センターの調査で、2職種計の離職率と採用率は次のように推移しています。
| 年度 | 離職率 | 採用率 |
|---|---|---|
| 令和3年度 | 14.3% | 15.2% |
| 令和4年度 | 14.4% | 16.2% |
| 令和5年度 | 13.1% | 16.9% |
| 令和6年度 | 12.4% | 14.3% |
| 令和7年度 | 12.4% | 14.6% |
令和7年度の離職率は12.4%で、前年度から横ばいでした。一方、採用率は14.6%と、2年ぶりに上昇しています。
過去のピークとの比較
離職率は、平成19年度の21.6%がピークとされています。その後はおおむね低下傾向にあり、令和7年度の12.4%はピーク時から大きく下がっています。ただ、「離職が少ない業界になった」と評価できる数字ではありません。事業所ごとの差は大きく、人手不足感も高い水準にあります。
事業所ごとの分布
令和7年度の事業所調査では、事業所を離職率の水準で分けた分布も示されています。
| 離職率の区分 | 事業所の割合 |
|---|---|
| 10%未満 | 54.3% |
| 10%以上20%未満 | 21.7% |
| 100%以上 | 0.7% |
表では、20%以上100%未満の区分を省略しています。100%以上は、1年間の離職者数が前年10月1日時点の在籍者数以上であることを示し、職員の入れ替わりが在籍者数を上回る計算です。
離職率が10%未満の事業所が半数を超える一方で、100%以上の事業所も0.7%あります。平均値の12.4%という数字の裏には、ほとんど人が辞めない事業所と、人の入れ替わりが大きい事業所が混在している、というばらつきがあります。
職種別・年齢別・サービス別の違い
訪問介護員と介護職員の違い
令和7年度の離職率を職種別に見ると、訪問介護員が11.6%、介護職員が12.7%でした。訪問介護員は5年ぶりに上昇し、介護職員は3年連続で低下しています。
| 年度 | 訪問介護員 | 介護職員 |
|---|---|---|
| 令和3年度 | 13.6% | 14.6% |
| 令和4年度 | 13.3% | 14.9% |
| 令和5年度 | 11.8% | 13.6% |
| 令和6年度 | 11.4% | 12.8% |
| 令和7年度 | 11.6% | 12.7% |
年齢別の離職率
年齢別では、若い層ほど離職率が高い傾向が示されています。令和7年度は、29歳以下が17.3%、30代が12.4%、40代が11.3%、50代が10.9%、60〜64歳が10.4%、65歳以上が9.8%です。年齢別の数字だけで職場環境の良否は判断できません。
他の職種との比較
同じ調査では、介護職員・訪問介護員以外の職種の離職率も示されています。令和7年度は次のとおりです。
| 職種 | 離職率 |
|---|---|
| 看護職員 | 14.6% |
| 介護支援専門員(ケアマネジャー) | 9.5% |
| 理学療法士・作業療法士・言語聴覚士など | 9.0% |
| サービス提供責任者・生活相談員 | 7.8% |
職種によって離職率に差があることが分かりますが、職種ごとに働き方や業務の内容が異なるため、数字の高低をそのまま「働きやすさ」の優劣と読むことはできません。
事業所が感じている「定着の悩み」
事業所調査では、離職率そのものとは別に、事業所自身が「職員の定着率が低くて困っている」と感じているかも尋ねています。「困っている」と答えた事業所は全体で18.7%、「低くない」は73.1%でした。サービス区分別の「困っている」の割合は次のとおりです。
| サービス区分 | 「困っている」の割合 |
|---|---|
| 施設系(入所型) | 27.7% |
| 居住系 | 23.7% |
| 訪問系 | 18.5% |
| 施設系(通所型) | 16.1% |
| 居宅介護支援 | 7.7% |
入所型の施設は27.7%と、全体より高い割合です。事業所の自己評価にもとづく数字で、個々の事業所の状況を示すものではありません。
全産業との比較で注意すること
雇用動向調査の数字
全産業の離職率は、厚生労働省の「雇用動向調査」で公表されています。令和6年(2024年)は産業計14.2%、令和7年(2025年)は13.7%でした。この記事では、介護を含む区分である「医療,福祉」の数字を使います。医療,福祉の離職率は令和6年が13.8%、令和7年が14.3%です。
| 調査年 | 産業計 | 医療,福祉 |
|---|---|---|
| 令和6年(2024年) | 14.2% | 13.8% |
| 令和7年(2025年) | 13.7% | 14.3% |
令和7年の医療,福祉の離職者数は120万0,200人で、全産業の中で最も多い産業でした。医療,福祉の令和7年の離職率を就業形態別に見ると、一般労働者が13.6%、パートタイム労働者が15.9%でした(産業計の数字ではありません)。
介護労働実態調査と雇用動向調査は直接比べられない
介護労働実態調査の12.4%と、雇用動向調査の13.7%や14.3%を並べて「介護は低い」「介護は高い」と言うことはできません。介護労働実態調査(介護労働安定センター)と雇用動向調査(厚生労働省)では、離職率の分母が前年10月1日時点の在籍者数か1月1日現在の常用労働者数か、期間が年度か暦年か、対象が訪問介護員と介護職員か産業全体(介護は「医療,福祉」に含まれる)か、といった点が異なります。
介護労働実態調査の事業所調査報告書でも、他の調査との直接比較はできない旨が注記されています(出典:令和7年度 事業所における介護労働実態調査結果報告書)。
「低い」「高い」と断定しないために
雇用動向調査の中でも、医療,福祉は令和6年が13.8%(産業計14.2%)、令和7年が14.3%(産業計13.7%)と、産業計との位置関係が年によって変わっています。別の調査の数値同士は同列に比べられないため、「介護は全産業より離職率が低い」あるいは「高い」と言い切ることはできません。
数字を引用したり読んだりするときは、「どの調査の」「何年の」「どの範囲の」数字なのかを必ず確認するのが安全です。勤続年数別や事業所規模別の離職率、令和7年の「社会保険・社会福祉・介護事業」の離職率は、最新資料で確認してください。
離職理由|前職を辞めた理由と職場への満足度
この数字の読み方(調査の性格)
離職の理由としてよく引用されるのは、介護労働実態調査の「労働者調査」です。この調査が尋ねているのは「現在、介護の仕事に就いている人が、直前の仕事を辞めた理由」です(複数回答)。介護の仕事を辞めて他の仕事に移った人や、仕事から離れた人の理由を全国で集計したものではありません。以下の数字は、この性格を踏まえて読んでください。
直前の仕事が介護関係だった人の離職理由
直前の仕事も介護関係だった人(6,163人)が、前の職場を辞めた理由は次のとおりです(令和7年度・複数回答)。
| 理由 | 割合 |
|---|---|
| 職場の人間関係に問題があったため | 27.3% |
| 事業理念や運営のあり方に不満があったため | 21.0% |
| 他に良い仕事・職場があったため | 17.2% |
| 収入が少なかったため | 15.7% |
| 結婚・妊娠・出産・育児のため | 14.0% |
| 将来の見込みが立たなかったため | 12.4% |
| 新しい資格を取ったため | 10.7% |
| 人員整理・事業不振等のため | 7.5% |
| 相談できる人がいなかったため | 7.2% |
| 家族の介護・看護のため | 4.1% |
| 病気・高齢のため | 4.0% |
| カスタマー・ハラスメントのため | 3.3% |
最も多かったのは職場の人間関係で27.3%、次いで事業理念や運営のあり方への不満が21.0%でした。収入が少なかったという理由(15.7%)を上回っています。
人間関係・運営への不満の中身
人間関係と答えた人に、さらにその内容を尋ねた結果(人間関係と答えた人を100%)は、「上司・先輩の指導や言動がきつい、パワハラ」が45.8%、「意思疎通がうまくいかない」が38.0%、「上司の指示が不明確、リーダーシップがない」が37.4%でした。
事業理念や運営のあり方への不満の内訳(同じく該当者を100%)は、「質の向上の手法・方向性が自分と異なる」が34.2%、「取り組みに職員体制や処遇が追いついていない」が33.9%、「質向上の姿勢がない」が33.3%です。
上司・先輩の言動に関する不満が多いことから、職場のハラスメント対策も離職と無関係ではないと考えられます。この点は介護現場のハラスメント対策を解説した記事でまとめています。
直前の仕事が介護以外だった人
直前の仕事が介護以外だった人(7,857人)の場合、辞めた理由で多かったのは「結婚・妊娠・出産・育児」が20.1%、「将来の見込みが立たなかった」が16.6%、「職場の人間関係」が15.3%でした。介護から介護へ移る人は人間関係が最多で、他業種から介護へ入った人はライフイベントが最多、という違いが見られます。
現在の悩みと満足度
現在の仕事での悩み・不安・不満(複数回答)では、「人手が足りない」が52.3%と半数を超え、「仕事内容のわりに賃金が低い」が38.1%、「昇給がない・少ない」が29.9%、「身体的負担が大きい」が23.9%でした。
労働条件や職場環境への満足度を示すD.I.は、プラスなら満足が多く、マイナスなら不満が多いことを表します。プラスが大きいのは「職場の人間関係」の+38.2と「仕事の内容」の+34.2で、マイナスは「人員配置体制」の▲18.5、「休憩室等の付帯設備」の▲12.5、「賃金水準」の▲12.3です。人間関係は、離職理由の最多であると同時に、満足度ではプラスが大きい項目でもあります。
働きがいを感じる人の割合は、訪問介護員が68.3%、介護職員が56.8%でした。
ここまでをまとめると、前の職場を辞めた理由には、賃金だけでなく人間関係や運営への不満が上位に挙がっています。
人手不足感と有効求人倍率
事業所が感じている従業員の不足感
事業所調査で、従業員の不足感を「大いに不足」「不足」「やや不足」のいずれかと答えた事業所は、令和7年度で65.8%でした(内訳は大いに不足11.1%、不足20.9%、やや不足33.8%)。前年度は65.2%、令和3年度は63.0%、令和4年度は66.3%、令和5年度は64.7%で、6割台半ばの水準が続いています。
職種別に不足を感じている事業所の割合は、訪問介護員が82.9%、介護職員が69.8%、看護職員が44.8%、サービス提供責任者が30.7%でした。また、「人数・質ともに確保できていない」と答えた事業所は30.6%で、施設系(入所型)が42.0%、居住系が38.6%と高くなっています。
有効求人倍率
厚生労働省の資料(福祉人材確保専門委員会、令和7年5月9日)によると、令和7年3月の有効求人倍率は、介護関係職種で3.97倍、職業計で1.16倍でした。仕事を探す人1人に対して、介護の求人が約4件あるという水準です。
地域差も大きく、都道府県別では東京都が7.65倍、奈良県が5.25倍、岩手県が2.14倍でした。
必要とされる職員数
第9期介護保険事業計画にもとづく推計では、必要な介護職員数は令和8年度に約240万人、令和22年度に約272万人とされています。これに対して、介護職員数は令和5年度が212.6万人で、令和4年度の215.4万人から減少しました。
必要な人数が増えていく推計であるため、離職率が下がっても、人手不足感が続くとも考えられます。
国の対策|処遇改善・生産性向上・ハラスメント・入門的研修
人材確保の3本柱
厚生労働省は「介護人材確保に向けた取組」として、「参入促進」「資質の向上」「労働環境・処遇の改善」の3つの柱で施策を整理しています。参入促進には、介護に関する入門的研修、多様な働き方の推進、11月11日の「介護の日」などの広報が含まれます。労働環境の面では、認証評価制度なども挙げられています。事業所がこれらにどう取り組んでいるかは、職場選びや見学で質問する材料になります。
処遇改善(令和8年6月の臨時改定)
令和8年6月の臨時改定では、介護従事者に対して月1.0万円(3.3%)の賃上げ措置が行われました。さらに、生産性向上や協働化に取り組む事業者の介護職員には月0.7万円(2.4%)が上乗せされます。月1.0万円と0.7万円に、定期昇給分0.2万円を含めて、最大で月1.9万円(6.3%)です。訪問看護、訪問リハビリテーション、居宅介護支援も、新たに対象に加わりました。
令和8年度には特例的な要件が設けられており、誓約をすれば算定を認める配慮もあります。令和9年度以降の扱いは、最新資料で確認してください。仕組みの詳細は介護職員の処遇改善加算を解説した記事をご覧ください。処遇改善の取得状況や配分の考え方は、面接で聞いておくとよい項目です。
生産性向上とテクノロジーの導入
令和6年度には、業務の効率化に取り組む事業所を評価する「生産性向上推進体制加算」が新設されました(単位数は本記事では扱いません)。国の調査研究事業では、介護テクノロジーを何らかの形で導入している割合は、特別養護老人ホーム(特養)が約90.5%、介護老人保健施設が約85.3%でした。見守り支援機器の導入率(居住系・入所・泊まり系)は47.2%で、令和4年の30.0%から上昇しています。
ICT等を導入した効果として、「昼間の業務負担の軽減」を挙げた事業所は53.8%、「夜間の業務負担の軽減」は47.2%でした。見守り機器やICTをどう使っているかは、見学で尋ねる材料になります。
ハラスメント対策
ハラスメントについては、令和3年度の介護報酬改定で、全ての介護サービス事業者に対してハラスメント防止のための措置が義務づけられました。利用者や家族からのカスタマーハラスメント(カスハラ)への対策は、厚労省が取組を推奨している段階です。相談窓口や対応の流れは、就職前に確認しておきたい点として、「働く人が職場を見るポイント」の章の質問例に挙げています。
事業所が「効果があった」とする取組
事業所調査では、取り組んだ施策のうち「効果があった」と答えた割合も示されています。職場への定着に効果があった取組では、「有給休暇などを取得しやすい職場づくり」が57.9%、「人間関係が良好な職場づくり」が54.6%でした。採用に効果があった取組では「賃金水準の向上」が38.4%です。
令和6年度調査のトピックとして、サービス提供責任者が訪問介護員への相談・指導を行っている事業所ほど、訪問介護員の離職率が低い傾向が示されました。同行訪問を十分に実施している割合は、新規利用者で54.9%、新任職員で51.0%です。休暇の取りやすさや新任職員への指導の仕組みは、見学で質問する材料になります。
働く人が職場を見るポイント
介護サービス情報公表システムで分かること
介護の仕事に就職・転職を考えるときは、厚生労働省の「介護サービス情報公表システム」(https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/)で事業所の情報を確認できます。この仕組みでは、事業所が前年度1年間の採用者数と退職者数を、常勤・非常勤別に報告します(同一法人内の異動は含めません)。また、従業者の経験年数が「1年未満」「1〜3年未満」「3〜5年未満」「5〜10年未満」「10年以上」に分けて載ります。
一方で、「離職率」そのものを示す項目はありません。事業所の情報は、事業所が報告し、都道府県が公表する仕組みです。事業所の比較は、システム上で最大30件まで行えます。
数字を「評価」ではなく「質問の材料」にする
退職者数や経験年数だけで、良い職場かどうかは判断できません。新規に開設した事業所や、事業拡大で職員を増やした事業所では、採用者数が多く、経験年数の短い職員の割合が高くなります。数字は、面接や見学での質問につなげて使います。
面接・見学で確認したい質問の例
離職理由や職場への満足度の調査結果を踏まえると、次のような点を確認すると、職場のイメージをつかみやすくなります。
- 上司や先輩からの指導は、どのような方法で行われているか(新任職員への同行や相談の機会はあるか)
- 職員同士の意思疎通のために、会議や申し送りをどのように行っているか
- 夜勤や休憩、有給休暇の取得状況はどうか
- 賃金の決まり方、昇給の仕組み、処遇改善に関する加算の取得状況と配分の考え方
- ハラスメントの相談窓口や、起きたときの対応の流れ
- ICTや見守り機器などの導入状況と、その使い方
- 直近1年間の採用・退職の状況と、その背景
質問は、答えの良し悪しを採点するためではなく、自分が大切にしたい条件と合うかどうかを確かめるために使います。
家族が施設の職員体制を見るポイント
特養の最低基準(3:1)
離職や定着の状況は、施設の職員体制とも関わる話題です。ここでは、家族が入所先を探すときの見方を整理します。
親や家族の入所先を探すとき、職員の体制は気になる点の一つです。特別養護老人ホームの人員配置は、国の基準(特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準)で定められています。介護職員と看護職員の総数は、常勤換算で、入所者3人またはその端数ごとに1以上(いわゆる3:1)と決められています。
| 入所者数 | 看護職員の最低人数 |
|---|---|
| 30人以下 | 1以上 |
| 31〜50人 | 2以上 |
| 51〜130人 | 3以上 |
表は、このうち看護職員の最低人数を示したものです。たとえば入所者が60人なら、介護職員と看護職員の合計で20人以上(常勤換算)が必要で、うち看護職員は3人以上です。看護職員のうち1人以上は常勤でなければなりません。
最低基準と実際の配置は別
3:1という数字は、事業所が守るべき「最低基準」です。実際の配置人数は事業所によって異なり、基準より手厚くしている事業所もあります。基準を満たしていることと、日々の介護の質や職員の余裕は別の話です。
実際の職員数や経験年数は、介護サービス情報公表システムで確認できます。施設の種類ごとの基本は特別養護老人ホームを解説した記事で整理しています。
見学のときに聞いてみたいこと
公表システムで見た数字を手元に、見学では次のような点を尋ねてみるとよいでしょう。
- 日中と夜間で、1人の職員が担当する入所者は何人くらいか
- 介護職員の経験年数の構成や、直近1年の入退職の状況
- 職員が入れ替わった場合の、引き継ぎや担当の決め方
- 看護職員の配置と、医療が必要になったときの対応
- 職員の研修や、ハラスメントを含む相談体制
答えの内容を点数化して比べるのではなく、家族が大切にしたい点と合うかを確かめるための質問としてお使いください。複数の施設を同じ項目で見比べると、違いに気づきやすくなります。
制度が変わりうる点と情報の確認先
介護保険事業計画の改定
介護保険制度は3年ごとに見直されます。現在は第9期(令和6〜8年度)で、次の第10期は令和9〜11年度です。令和8年6月29日の介護保険部会には、第10期の基本指針の案が示され、人材確保や生産性向上の記載を充実させる方向が盛り込まれています。これは案の段階で、今後内容が変わる可能性があります。
調査の数字は毎年変わる
介護労働実態調査は毎年夏に公表されます。この記事の離職率や離職理由の数字は令和7年度調査のもので、次回の調査では変わる可能性があります。処遇改善の金額や要件、加算の扱いも改定によって変わります。
最新情報の確認先
実際に就職・転職や施設選びをするときは、介護労働安定センター、厚生労働省、介護サービス情報公表システム、お住まいの市区町村の介護保険担当課など、公的機関の最新の情報を確認してください。個別の事情に関する判断は、各窓口や専門家にご相談ください。
まとめ
- 介護職員(訪問介護員と介護職員の2職種)の離職率は、令和7年度調査で12.4%(前年度と同じ)。ピークの平成19年度21.6%から低下傾向にあるが、事業所ごとの差は大きい。
- 全産業との比較は、調査の分母や期間が異なるため直接はできない。「介護は低い」「高い」と断定せず、調査名と年を確認する。
- 前職を辞めた理由で最も多いのは職場の人間関係27.3%。人員配置体制や賃金は満足度がマイナスの項目で、事業所の約65.8%が人手不足を感じている。
- 国は処遇改善(最大月1.9万円。月1.0万円+0.7万円+定期昇給分0.2万円)、生産性向上、ハラスメント対策などを進めているが、今後の制度は変わりうる。
- 職場選びや施設選びでは、公表システムの採用者数・退職者数・経験年数を質問の材料として使う。
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