生産性向上推進体制加算とは|見守り機器・ICT導入と加算(I)(II)の違いを解説

見守り機器やICTの導入と効果データの提出を評価する加算です。月100単位の加算(I)と月10単位の(II)の違い、対象サービス、補助金の窓口を整理しました。

目次

生産性向上推進体制加算は、見守り機器やインカム、介護記録ソフトなどのテクノロジーを導入し、業務改善の取り組みと効果データの提出を続ける施設・事業所を評価する加算です。令和6年度介護報酬改定で新設され、加算(I)は月100単位、加算(II)は月10単位で、同時には算定できません。この記事では、対象サービス、二つの区分の違い、提出データ、関連する人員配置の特例、補助金の窓口までを、厚生労働省や自治体の資料にもとづいて整理します。

生産性向上推進体制加算とは

加算の定義と新設の経緯

生産性向上推進体制加算は、令和6年度介護報酬改定で新設された加算です。介護ロボットやICT(情報通信技術)を導入したあと、見守り機器などのテクノロジーを継続して活用し、「生産性向上ガイドライン」に基づく業務改善を進めていることと、その効果を示すデータを提出していることを評価します。

同じ改定では、利用者の安全並びに介護サービスの質の確保、職員の負担軽減について検討する委員会の設置も、省令改正で義務化されました。委員会の設置には3年間の経過措置があります。一方、加算そのものは告示の改正で設けられたものです。つまり「委員会の設置(運営基準)」と「加算の算定(報酬)」は別の枠組みである点を、最初に押さえておくと混乱しません。

対象となるサービス

対象は、短期入所系、居住系、多機能系、施設系のサービスとされています。令和8年5月の請求実績を示した社会保障審議会介護給付費分科会の資料で、算定の状況が確認できたサービスは、特養(介護老人福祉施設)、老健(介護老人保健施設)、特定施設入居者生活介護などです。

訪問系・通所系のサービスは、確認できた資料では算定対象の表に出ていません。対象かどうかは、単位数表と指定権者(事業所の指定を行った都道府県・市区町村)の案内で確認してください。

よくある誤解

よくある誤解の一つは、「機器を買えば算定できる」というものです。要件には、委員会の開催、ガイドラインに基づく改善の継続、データの提出が含まれており、機器の導入は条件の一部にすぎません。

もう一つは、「見守り機器を入れれば職員を減らせる」という理解です。この加算は、効率化で生まれた時間をケアの質の確保と職員の負担軽減に優先して充てる考え方にもとづいています。なお、人員配置の基準そのものを緩める特例は、加算とは別の制度で、後述します。

単位数と算定の状況

加算(I)と加算(II)の単位数

単位数は、加算(I)が1月につき100単位、加算(II)が1月につき10単位です。両者は同時に算定できません。1単位あたりの単価は地域区分やサービスによって異なるため、実際の金額は事業所ごとに変わります。

利用者負担の扱いなど、確認できていない点は記事後半の「確認できていない点のまとめ」に整理しました。

請求実績にみる算定状況

令和8年5月請求分の実績では、加算(I)を算定している事業所は全体の4.7%(3,354事業所)、加算(II)は36.2%(25,911事業所)でした(第263回社会保障審議会介護給付費分科会 資料2、令和8年8月28日)。

加算(I)と加算(II)の算定事業所の割合令和8年5月請求分で、加算(I)は4.7%(3,354事業所)、加算(II)は36.2%(25,911事業所)。加算の算定事業所の割合令和8年5月請求分加算(I)4.7%(3,354事業所)加算(II)36.2%(25,911事業所)出典:第263回介護給付費分科会 資料2
加算(II)の算定は36.2%、加算(I)は4.7%にとどまります(令和8年5月請求分)。

加算(I)の算定割合は、加算(II)より低い水準です。理由は、後述の要件や、算定していない事業所の回答から読み取れる範囲で整理します。

サービス別の算定割合

同じ資料では、加算(I)の算定割合は特定施設入居者生活介護で14.6%、介護予防特定施設入居者生活介護で16.6%でした。加算(II)は介護老人福祉施設(特養)で50.3%、介護老人保健施設(老健)で46.1%です。

サービス別の算定割合(令和8年5月請求分)
サービス加算(I)加算(II)
特定施設入居者生活介護14.6%―
介護予防特定施設入居者生活介護16.6%―
介護老人福祉施設(特養)―50.3%
介護老人保健施設(老健)―46.1%

「―」は今回確認した範囲に数値がないという意味で、算定がないことを示すものではありません。(I)と(II)で区分が違う数字のため、この表からサービス間の優劣は読み取れません。特定施設については特定施設入居者生活介護の解説記事、特養については特別養護老人ホームの解説記事もあわせて参考にしてください。

加算(I)と加算(II)の違い

加算(II)の要件

加算(II)の要件は、次の三つです。

  1. 利用者の安全並びに介護サービスの質の確保、職員の負担軽減に資する方策を検討する委員会を3か月に1回以上開催し、安全対策を講じたうえで、生産性向上ガイドラインに基づく改善活動を継続的に行うこと。
  2. 見守り機器等のテクノロジーを1つ以上導入していること。
  3. 1年以内ごとに1回、業務改善の効果を示すデータをオンラインで提出すること(提出項目はア〜ウ:ア利用者のQOL、イ総業務時間と超過勤務時間の変化、ウ年次有給休暇の取得状況)。

加算(I)の要件

加算(I)は、加算(II)の要件を満たしたうえで、加算(II)で提出したデータにより成果が確認されていることが条件です。加えて、テクノロジーを複数導入していること(厚生労働省の分科会資料では、後述するア〜ウの3種類すべてと整理されています)、職員間の役割分担に取り組んでいること、1年以内ごとに1回のデータ提出が求められます。役割分担の例が介護助手(介護職員の補助的な業務を担う人)の活用です。提出項目はア〜オの5項目で、(II)のア〜ウに加えて、エ心理的負担、オ5日間のタイムスタディ調査(職員の業務ごとにかかった時間を記録して調べる調査)があります。

なお、従来から生産性向上に取り組んでいる施設は、加算(II)を経ずに最初から加算(I)を算定することも可能とされています。

二つの区分の比較

二つの区分は、単位数、テクノロジーの導入数、データ提出項目、職員間の役割分担の4点で違います。

加算(I)と加算(II)の要件の比較加算(I)は月100単位、テクノロジー3種類すべて、データ5項目、役割分担の取り組みが必要。加算(II)は月10単位、テクノロジー1つ以上、データ3項目。加算(I)加算(II)単位数月100単位月10単位テクノロジー3種類すべて1つ以上データ項目ア〜オの5項目ア〜ウの3項目役割分担取り組みが必要(I)の要件(I)と(II)は同時に算定できません
(I)はテクノロジー3種類すべての導入と5項目のデータ提出が必要で、(II)より要件が重くなります。

加算(I)の「テクノロジーの複数導入」は、厚生労働省の分科会資料では、後述する三種類(見守り機器、職員間連絡のICT、介護記録ソフト等)すべてと整理されています。

加算(II)から加算(I)への流れ

広島県の資料では、加算(II)から加算(I)へ進む際の確認事項として、導入後3か月以上継続していること、利用者満足度に悪化がないこと、総業務時間・超過勤務が短縮していること、年次有給休暇の取得が維持または増加していること、そしてデータを指定権者に提出することが挙げられています。

加算(II)から加算(I)へ進む際の確認事項導入後3か月以上継続、利用者満足度に悪化がない、総業務時間・超過勤務の短縮、年次有給休暇の維持または増加を確認し、データを指定権者に提出する(広島県の資料)。加算(II)を算定5つの確認事項導入後3か月以上継続利用者満足度に悪化がない総業務時間が短縮超過勤務が短縮年次有給休暇が維持・増加データを指定権者に提出加算(I)へ
広島県の資料が挙げる確認事項です。細部は自治体ごとに異なる場合があります。

手順の細部は自治体ごとに案内が異なる場合があります。移行を検討するときは、指定権者の案内を確認してください。

導入するテクノロジーの種類

三つの種類

対象となるテクノロジーは三種類です。アは見守り機器、イはインカム等の職員間の連絡を円滑にするICT、ウは介護記録ソフトやスマートフォン等で、入力から記録・保存・活用までを一体的に支援するものです。

加算(II)ではこのうち1つ以上、加算(I)ではア〜ウのすべてを導入します。見守り機器は全居室への設置、インカム等は全介護職員の使用が前提とされています。

導入するテクノロジーの三つの種類ア見守り機器、イインカム等のICT、ウ介護記録ソフト等。加算(II)は1つ以上、加算(I)はすべて導入する。対象となるテクノロジーア見守り機器全居室への設置が前提イインカム等のICT職員間の連絡を円滑にウ介護記録ソフト等入力から記録・活用まで加算(II):1つ以上加算(I):ア〜ウのすべて
加算(I)では三種類すべてを導入し、見守り機器は全居室、インカム等は全介護職員の使用が前提です。

見守り機器と利用者の意向

見守り機器の使用にあたっては、事前に利用者の意向を確認することが求められます。意向に応じて、使用を停止することも認められています。

機器を導入すること自体が目的化しないよう、ご本人の生活を尊重するという点を、委員会で共有しておくことが考えられます。

利用者・ご家族へ:見守り機器の意向確認と同意

見守り機器を使うときは、事前に利用者の意向を確認することが求められており、意向に応じて使用を停止することも認められています。見守り機器の使用に不安や抵抗があるときは、施設に伝えて相談できます。

効果データのための利用者調査も、利用者・家族の同意が前提です。意向により調査の対象外とすることも可能とされています。

見守り機器の導入費用の目安

見守り支援機器1台あたりの導入費用は、中央値で約15万円、平均で約25.4万円とされています(第263回分科会資料2)。全居室に設置するとなると、施設の規模によっては総額が大きくなります。

この負担感は、算定しない理由にも表れています。加算(II)を算定していて加算(I)を算定しない事業所の61.6%が「見守り機器を利用者全員分導入することが難しい」と回答しています。

効果データの提出

提出する5つの項目

提出項目は五つです。加算(I)はア〜オ、加算(II)はア〜ウを提出します。

効果データの提出項目
項目内容加算(I)加算(II)
ア利用者のQOL(WHO-5:心の健康状態を5つの質問で尋ねる指標)提出提出
イ総業務時間と超過勤務時間の変化提出提出
ウ年次有給休暇の取得状況提出提出
エ心理的負担(SRS-18:心理的ストレス反応を測る尺度)提出―
オタイムスタディ調査(5日間)提出―

利用者に対する調査は5名程度で、利用者・家族の同意が必要です。意向により調査の対象外とすることも可能です。

提出の方法と頻度

提出は1年以内ごとに1回で、「生産性向上推進体制加算に関する取組の実績報告書」(別紙1)によりオンラインで行います。様式は老高発0927第2号(令和6年9月27日)に示されています。

提出時期や入力方法の細かな運用は、指定権者からの案内で確認してください。

項目の簡素化をめぐる議論

令和8年2月26日の規制改革推進会議の中間答申は、タイムスタディ項目の簡素化等を求めています。ただし、これは議論の段階であり、見直しの内容や時期は確定していません。

現時点の算定にあたっては、現行の通知にしたがってデータを準備する必要があります。

委員会の運営と取り組みの進め方

委員会の構成と開催

委員会は3か月に1回以上開催します。広島県の資料では、管理者だけでなく、ケアを担う職員やユニットリーダー等も参画することが示されています。

議題は、利用者の安全、サービスの質の確保、職員の負担軽減の三つの観点から、導入した機器の運用や課題を検討することです。

検討する内容

導入後は、離床の状況や睡眠の状態などから、利用者の状態が維持されているかを確認します。あわせて、ヒヤリ・ハットの分析、機器の定期点検、職員への研修も取り組みとして示されています。

効率化で生まれた時間は、ケアの質の確保と職員の負担軽減に優先して使うという考え方が示されています。

生産性向上ガイドラインと施策資料

業務改善の進め方は、厚生労働省が示す生産性向上ガイドライン(令和6年度改訂版など)が手がかりになります。厚生労働省の「介護分野における生産性向上施策の概要」のページから、関連資料にたどり着けます。

導入後の確認内容や委員会の進め方は、前の節で挙げた広島県の資料にも示されています。

取り組みによる効果のデータ

夜間の見守りの実証結果

夜間の見守りの実証では、直接介護と巡回・移動の合計時間が、職員1人1日(600分換算)あたり、老健で68.6分、特養(ユニット型)で102.3分、認知症グループホームで59.9分減少しました。事業所の平均では約23分(9%)の減少です。全床に導入した場合、職員1人あたりの対応可能人数は38%増えたとされます。

夜間の見守り実証での業務時間の減少直接介護と巡回・移動の合計時間が、職員1人1日あたり特養(ユニット型)102.3分、老健68.6分、認知症グループホーム59.9分減少。事業所平均では約23分(9%)の減少。夜間の見守り実証での減少時間職員1人1日(600分換算)あたり特養(ユニット型)102.3分老健68.6分認知症グループホーム59.9分事業所平均で約23分(9%)減少直接介護と巡回・移動の合計時間
直接介護と巡回・移動の合計時間の減少幅は、特養(ユニット型)が102.3分で最も大きくなりました。

夜間の定期巡回については、機器導入後に「利用者の状況を踏まえた訪室に見直した」が40.4%、「頻度を減らした」が35.8%でした。

職員の負担と勤務状況

加算を算定している施設では、「職員の精神的・身体的負担が軽減した」と答えた割合が61.2%、「夜間の利用者の状況を把握しやすくなった」が47.7%でした。

次の表は、加算を算定した施設の令和6年度の報告と、別の一般調査の値を並べたものです。調査の条件が異なるため、加算の効果や因果を示すものではありません。

残業時間と年次有給休暇の比較(令和6年度の報告)
区分月平均の残業時間年次有給休暇の取得
加算(I)算定施設3.96時間10.26日
加算(II)算定施設4.78時間9.56日
介護労働実態調査(参考値)6.80時間7.80日

算定していない事業所の理由

算定していない事業所の理由は、「新規導入・維持管理の費用が負担」が37.6%、「単位数と比較して取組の負担が大きい」が37.3%でした。また、居住系・入所・泊まり系のサービスにおける委員会の設置率は75.0%です。

算定するかどうかは、単位数のほか、機器の費用、補助金、職員の負担軽減も含めて検討する材料になります。

関連する人員配置の特例

この節で扱う人員配置の特例は、生産性向上推進体制加算とは別の制度です。加算は単位数が上乗せされる報酬、特例は配置基準を緩める仕組みで、要件も別に示されています。

特定施設の人員配置特例

特定施設入居者生活介護と地域密着型特定施設入居者生活介護では、省令改正により人員配置の特例が設けられました。通常は利用者3人(要支援は10人)に対して介護・看護職員1人以上(3対1、要支援は10対1)ですが、条件を満たせば利用者3人に対して0.9人以上(3対0.9)とできます。

条件は、委員会で安全対策を検討していること、見守り機器等を複数活用していること、職員の役割分担に取り組んでいること、ケアの質の確保と職員の負担軽減がデータで確認できることです。特定施設入居者生活介護の基準もあわせて確認してください。

届出前の試行と確認項目

申請の前に、3か月以上の試行が必要です。試行中は通常の基準で運営します。確認する4項目は、直接介護時間の割合の増加、利用者満足度(WHO-5等)の悪化がないこと、超過勤務の短縮、心理的負担(SRS-18等)の悪化がないことです。

届出済みの施設は、令和8年1月中旬時点で27施設でした。届出をしない理由は「見守り機器等を複数活用することが難しい」が39.0%です。

老健の夜間配置とグループホームの加算

老健と短期入所療養介護(老健)では、見守りセンサーを全利用者に導入し、夜勤職員全員がインカム等を使用するなどの要件により、夜間の配置を1.6人以上に緩和できる仕組みがあります(利用者40人以下等の条件あり)。

認知症グループホームの夜間支援体制加算は、(I)が1日50単位、(II)が1日25単位で、夜勤職員が最低基準を0.9人以上上回る場合も算定できます。見守り機器の導入割合10%と委員会の設置が条件です。詳細な要件は、単位数表と指定権者で確認してください。

導入の費用負担と補助金・相談窓口

介護テクノロジー導入支援事業

介護テクノロジー導入支援事業は、都道府県が実施しています。たとえば長野県の令和7年度介護テクノロジー定着支援事業では、補助率が3/4で、上限は介護ロボット等で1事業所500万円、ICTソフトは職員数に応じて100〜250万円、パッケージ型は1,000万円、事業所全体では最大1,000万円とされています。

これは一例です。金額や補助率、対象は都道府県ごとに異なるため、必ず所在地の都道府県の窓口で確認してください。

自治体の申請要件の例

和歌山県では、導入、パッケージ型、業務改善支援の3区分が設けられており、業務改善計画を県の相談センターへ提出することが必須とされています。

このように、補助を受けるには計画の提出や相談が前提になる場合があります。実施時期や条件は、都道府県の窓口で確認してください。

介護生産性向上総合相談センター

介護生産性向上総合相談センターは、都道府県が設置するワンストップの窓口です。相談のほか、研修会、有識者の派遣、機器の展示や試用貸出などが行われます。令和8年度に全都道府県に設置されました。事前予約が望ましいとされています。

介護生産性向上総合相談センターの支援内容都道府県が設置するワンストップ窓口で、相談、研修会、有識者の派遣、機器の展示や試用貸出を行う。令和8年度に全都道府県に設置。事前予約が望ましい。介護生産性向上総合相談センター都道府県が設置するワンストップ窓口相談研修会有識者の派遣機器の展示試用貸出令和8年度に全都道府県に設置事前予約が望ましい
購入前に機器を試せる試用貸出もあり、相談センターは令和8年度に全都道府県に設置されました。

機器の展示や試用貸出は、購入前に実物を確認する機会として利用できます。

介護職員等処遇改善加算との関係

処遇改善加算の職場環境等要件には「生産性向上」の区分があります。区分の詳細は、次の「確認できていない点のまとめ」に挙げたとおり、この記事では扱いません。

処遇改善加算の仕組みについては介護職員等処遇改善加算の解説記事をご覧ください。

確認できていない点のまとめ

この記事の作成にあたり、次の点は確認できた資料の範囲で判断できませんでした。

  • 訪問系・通所系が算定の対象かどうか(告示上の扱い)
  • 利用者負担の具体的な扱いと、区分支給限度基準額への算入の有無
  • 算定の届出の手続き
  • 夜勤職員配置加算との併算定の制限(直接の制限は確認できていません)
  • LIFEとの連動
  • 処遇改善加算の職場環境等要件「生産性向上」区分の詳細

いずれも、単位数表と指定権者の最新の案内で確認してください。確認できていない事項を、自己判断で算定の前提にしないでください。

加算と人員配置特例の使い分け

生産性向上推進体制加算は、報酬として単位数が上乗せされる仕組みです。人員配置の特例は、配置基準そのものを緩和する仕組みです。目的が異なるため、自施設がどちらを検討するのかを分けて確認してください。

どちらも、委員会の設置とデータにもとづく確認が土台にある点は共通しています。

注意点と今後の見通し

取り組みで注意したい点

委員会は3か月に1回以上の開催が要件で、データにもとづく振り返りも続ける必要があります。機器を導入して終わりにならないよう、運営の体制を決めておく必要があります。

また、見守り機器の使用には利用者の意向確認が、利用者調査には利用者・家族の同意が求められます。

今後の議論(確定していません)

令和8年8月28日の第263回分科会では、「介護現場の生産性向上等の推進」が議題となりました。論点は、夜間の見守り機器の活用の方策、加算が評価する先進的な取り組みのあり方、訪問・通所系サービスの生産性向上の評価などです。

デジタル行財政改革の取りまとめ(令和8年7月7日)は、2027年度の改定で居宅系等も含めて適切な評価を議論するとしています。いずれも議論の段階で、施行時期は未確定です。

制度改定への備え

介護保険の報酬は3年ごとに改定があり、加算の要件や単位数も変わることがあります。この記事の内容は、記載した資料の時点の情報です。

算定の可否や要件は、必ず最新の単位数表・通知、指定権者の案内で確認してください。

まとめ

  • 生産性向上推進体制加算は、令和6年度改定で新設された、見守り機器等の活用と効果データ提出を評価する加算です。
  • 単位数は加算(I)が月100単位、加算(II)が月10単位で、同時には算定できません。
  • 加算(II)は委員会・テクノロジー1つ以上・データ3項目の提出、加算(I)はテクノロジー3種類すべての導入と役割分担、データ5項目の提出が必要です。
  • 人員配置の特例は、加算とは別の制度です。
  • 導入費用には都道府県の補助事業や介護生産性向上総合相談センターが使えますが、内容は自治体ごとに異なります。
  • 相談センターか指定権者に連絡し、まず委員会と見守り機器1種類の検討から始める流れが考えられます。
  • 制度は改定されうるため、最新の単位数表と指定権者の案内で確認してください。

この記事の編集方針はこのサイトの立ち位置をご覧ください。特定の事業者を評価・推奨するものではなく、公的資料にもとづく情報の整理です。

よくある質問

生産性向上推進体制加算とは何ですか。

見守り機器やインカム、介護記録ソフトなどを導入し、生産性向上ガイドラインに基づく業務改善と効果データの提出を続ける施設・事業所を評価する加算です。令和6年度介護報酬改定で新設され、加算(I)は月100単位、加算(II)は月10単位です。

加算(I)と加算(II)は何が違いますか。

単位数は(I)が月100単位、(II)が月10単位で、同時には算定できません。(II)はテクノロジー1つ以上とデータ3項目の提出、(I)はテクノロジー3種類すべての導入、職員間の役割分担、データ5項目の提出が必要です。従来から取り組む施設は最初から(I)も可能です。

どのサービスが対象ですか。

短期入所系、居住系、多機能系、施設系のサービスが対象とされています。請求実績の表で確認できたのは特養、老健、特定施設などです。訪問・通所は、確認できた資料では算定対象の表に出ていません。対象かどうかは、単位数表と指定権者で確認してください。

提出するデータには何がありますか。

利用者のQOL(WHO-5)、総業務時間と超過勤務時間の変化、年次有給休暇の取得状況が基本で、加算(I)はさらに心理的負担(SRS-18)と5日間のタイムスタディ調査が必要です。提出は1年以内ごとに1回、オンラインで行います。

見守り機器の導入に補助金はありますか。

都道府県が介護テクノロジー導入支援事業を実施しています。長野県の令和7年度の例では補助率3/4で、事業所全体で最大1,000万円です。金額や条件は都道府県ごとに異なるため、所在地の窓口で確認してください。

利用者負担や算定の届出はどうなりますか。

利用者負担の扱いや算定の届出の手続きは、確認できた資料の範囲では判断できませんでした。単位数表と指定権者の案内で確認してください。

参考・出典

  1. 第263回社会保障審議会介護給付費分科会 資料2(令和8年8月28日) (厚生労働省)
  2. 生産性向上推進体制加算について (広島県)
  3. 老高発0329第1号 (厚生労働省)
  4. 老高発0927第2号(令和6年9月27日) (厚生労働省)
  5. 生産性向上推進体制加算に関する厚生労働省のお知らせ (厚生労働省)
  6. 令和7年度介護テクノロジー定着支援事業 (長野県)
  7. 介護テクノロジー導入支援(業務改善支援等) (和歌山県)
  8. 介護生産性向上総合相談センター (厚生労働省)
  9. 介護分野における生産性向上施策の概要 (厚生労働省)