介護福祉士養成施設とは|修業年限・1,850時間の課程と経過措置を厚労省資料で解説

介護福祉士養成施設は法律にもとづき指定された学校です。種類ごとの修業年限、1,850時間の教育課程、経過措置の見通しを整理します。

目次

介護福祉士養成施設とは、介護福祉士国家資格に必要な知識と技術を学ぶ課程として、法律にもとづき指定された学校のことです。養成施設を卒業しても介護福祉士になるには国家試験の合格が必要で、課程は高校卒業者向けの第1号が2年以上(1,850時間・介護実習450時間)、すでに福祉や保育の学びがある人向けが1年以上、費用の負担を軽くする貸付や給付の制度もあります。この記事では、種類と教育課程、国家試験の実績、経過措置、費用、入学者の動向を厚生労働省などの公的資料で整理します。

介護福祉士養成施設とは

定義と法的根拠

介護福祉士養成施設とは、介護福祉士の資格を得るために必要な知識・技能を教える学校や課程のうち、国(現在は主に都道府県知事)から指定を受けたものを指します。根拠になるのは、社会福祉士及び介護福祉士法(昭和62年法律第30号)です。厚生労働省の福祉人材確保専門委員会の資料では、介護福祉士の資格取得方法として、養成施設・実務経験・福祉系高校・EPA(経済連携協定)の4つのルートが整理されています。

「養成施設」という言葉は、専門学校だけを指すものではありません。厚労省の資料では、専門学校のほか短期大学や大学の課程も養成施設に含まれます。そのため、学校の種類としては「専門学校」「短大」「大学」と呼ばれていても、介護福祉士養成の指定を受けた課程であれば、制度上は養成施設の一つとして扱われます。

指定に関する事務は、2015年(平成27年)4月に都道府県知事へ移譲されました。群馬県の介護人材のページでも、県が養成施設の指定に関する案内を公開しています。なお、大学・短大など文部科学省と共管の学校は、地方厚生局が扱うとされています。入学を考える学校がどの窓口の所管なのかは、学校の募集要項や都道府県の案内で確認できます。

4つの取得ルートの中での位置づけ

介護福祉士になるための4ルートのうち、養成施設ルートは「学校で決められた課程を修めて資格取得に進む」方法です。実務経験ルートが働きながら受験資格を整えるのに対し、養成施設ルートは教育課程そのものが資格の土台になります。福祉系高校ルートは高校段階で指定科目を修了する方法、EPAルートは経済連携協定にもとづく外国人候補者のための方法です。

令和7年4月1日時点で、厚労省の資料に示されている数は、介護福祉士養成施設が325校333課程、福祉系高校が109校110課程です。養成施設は、全国で300校を超える規模で存在していることになります。

資格取得者の内訳も押さえておきます。厚労省資料(第4回福祉人材確保専門委員会 資料2 p.23)には、第30〜37回の試験で養成施設ルートにより資格を得た人のうち、国家試験に合格して取得した人が約8割、後述する経過措置による登録が約2割という数字が示されています。

よくある誤解

養成施設について、次のような誤解が見られます。あらかじめ整理しておきましょう。

  • 「養成施設を卒業すれば自動的に介護福祉士になれる」とは限りません。平成29年度(第30回)の試験から、養成施設の卒業者にも国家試験の合格が必要になりました。卒業後の一定期間は経過措置があり、この点は後の章で詳しく取り上げます。
  • 「養成施設は高校卒業直後の人だけが通う」わけではありません。第2号等・第3号の課程は、大学で社会福祉科目を修めた人や保育士養成施設の卒業者等を対象に、修業年限1年以上で設けられています。
  • 「学費は全国一律」ではありません。公的統計に全国平均の学費は見当たらず、学校ごとに異なります。

これらは、公的資料に書かれた事実と、よくある思い込みを分けて考えるための確認事項です。

養成施設の種類と修業年限

第1号養成施設(高校卒業者等)

第1号養成施設は、高校卒業者等を対象とする課程で、修業年限は2年以上です。専門学校、短期大学、大学の課程があります。介護福祉士養成の最も基本となる形で、総授業時間は1,850時間と定められています。内訳は次の章で取り上げます。

「2年以上」は2年を下限とする表現です。実際の修業年限は学校ごとに異なるため、募集要項で確認できます。

第2号等・第3号養成施設(1年以上の課程)

第2号等の養成施設は、大学で社会福祉に関する科目を修めた人や、社会福祉士養成施設の卒業者等を対象とする課程で、修業年限は1年以上です。第3号の養成施設は、保育士養成施設の卒業者等が対象で、こちらも修業年限は1年以上とされています。

すでに福祉や保育の学びがある人に対して、重なる内容を省いた形になっているため、授業時間が短くなります。厚労省資料(第5回福祉人材確保専門委員会 資料2 p.19)では、授業時間数は次のように示されています。

区分対象の例修業年限総授業時間介護実習
第1号高校卒業者等2年以上1,850時間450時間
第2号等大学で社会福祉科目を修めた人、社会福祉士養成施設卒業者等1年以上1,220時間270時間
第3号保育士養成施設卒業者等1年以上1,205時間210時間

自分の最終学歴や取得済みの資格がどの号に当たるかは、学校ごとに異なるため、募集要項や学校への問い合わせで確認できます。

号による違いの読み方

号の違いは、「どの資格・学歴を持っている人が、どれだけの時間を学べば足りるか」の違いと読み替えられます。第1号の1,850時間に対し、第2号等は1,220時間、第3号は1,205時間と、およそ3分の2の水準です。介護実習も450時間から270時間、210時間へと短くなります。

養成施設の号ごとの総授業時間と介護実習時間第1号は総授業時間1,850時間で介護実習450時間、第2号等は1,220時間で介護実習270時間、第3号は1,205時間で介護実習210時間。第2号等・第3号の総授業時間は第1号のおよそ3分の2の水準。号ごとの総授業時間と介護実習総授業時間うち介護実習第1号(2年以上)1,850時間介護実習 450時間第2号等(1年以上)1,220時間介護実習 270時間第3号(1年以上)1,205時間介護実習 210時間第2号等・第3号は第1号のおよそ3分の2
号ごとの総授業時間(青)と、そのうちの介護実習(オレンジ)を比べた図です。数値は本文の表(厚労省資料)によります。

ただし、時間が短いからといって、国家試験の内容が簡単になるわけではありません。国家試験は養成施設の卒業者も含めて共通の試験です。

教育課程と1,850時間の内訳

第1号課程の総時間数と領域

第1号養成施設の教育課程は、総計1,850時間です。厚労省の資料に示された領域ごとの時間数を、表にまとめます。

領域時間数
人間と社会240時間
介護1,260時間
こころとからだのしくみ300時間
医療的ケア50時間(講義50時間以上)

これらを合算すると、240+1,260+300+50で1,850時間になります。領域別の小計は内訳の合算にもとづく数字です。最も大きな比重を占めるのは「介護」の領域で、全体のおよそ3分の2以上を占めます。

第1号養成施設の教育課程1,850時間の領域別内訳介護1,260時間、こころとからだのしくみ300時間、人間と社会240時間、医療的ケア50時間で合計1,850時間。介護の領域が全体のおよそ3分の2以上を占める。第1号課程 1,850時間の内訳1,850時間介護1,260時間こころとからだのしくみ300時間人間と社会240時間医療的ケア50時間「介護」が全体のおよそ3分の2以上
第1号課程の総時間1,850時間を領域ごとに分けた図です。医療的ケアは講義50時間以上と定められています。

「介護」領域の内訳と介護実習450時間

「介護」領域の1,260時間は、さらに次の科目に分かれます。

科目時間数
介護の基本180時間
コミュニケーション技術60時間
生活支援技術300時間
介護過程150時間
介護総合演習120時間
介護実習450時間

合計は180+60+300+150+120+450で1,260時間です。注目したいのは介護実習450時間で、総時間の約4分の1を占めます。実際の介護現場で、利用者への支援を体験しながら学ぶ時間で、1日8時間として単純に計算すると、50日を超える日数に相当します。期間や時期、実習先の形態は学校ごとに異なるため、募集要項や説明会で確認できます。

「こころとからだのしくみ」「医療的ケア」の内訳

「こころとからだのしくみ」の300時間は、こころとからだのしくみが120時間、発達と老化の理解が60時間、認知症の理解が60時間、障害の理解が60時間という配分です。人の心身の仕組みを学び、認知症や障害のある人への理解を深める内容になっています。

「医療的ケア」は、たんの吸引などを含む領域で、講義50時間以上が定められています。具体的な内容は学校のシラバスで確認できます。

教育内容の見直し(平成30年通知)

教育内容は、平成30年2月の通知にもとづき、2019年度(平成31年度)から順次見直されてきました。厚労省資料では、見直しの観点として、チームマネジメント、地域での生活支援、介護過程、認知症ケア、医療との連携が挙げられています。各校のカリキュラムへの反映は、シラバスや学校説明会で確認できます。

国家試験と合格率

養成施設卒業者にも国家試験が必要

平成29年度(第30回)の国家試験から、養成施設の卒業者も国家試験に合格することが資格取得の条件になりました。それ以前は、卒業すれば資格を得られる仕組みでした。一方で、令和8年度までの卒業者には経過措置があります。経過措置の内容は次の2点です。

  • 卒業後5年間は、国家試験を受けなくても資格を取得し、登録できる
  • 6年目以降は、卒業後5年間にわたり介護業務に継続して従事するか、5年以内に国家試験に合格すれば、資格を維持できる

試験の概要や出題形式など、試験そのものの詳細は介護福祉士国家試験の解説記事で取り上げています。

養成施設ルートの合格率

第37回(令和6年度)の国家試験の結果を、厚労省資料から整理します。

区分受験者合格者合格率
全体75,387人58,992人78.3%
養成施設ルート6,955人4,638人66.7%
実務経験ルート66,310人52,437人79.1%

養成施設ルートの合格率は全体を下回っています。この数字だけを見ると「養成施設の学生は合格しにくい」と読み取れそうですが、次の項目で見るように、受験者の内訳が大きく影響しています。

第38回(令和7年度)は、全体の受験者78,469人、合格者54,987人、合格率70.1%でした(厚生労働省の合格発表)。養成施設ルート別の第38回の数値は、参照した資料には示されていません。

日本人と留学生で大きく異なる合格率

厚労省資料(第4回福祉人材確保専門委員会 資料2 p.17)では、令和6年度の養成施設ルートの合格率が、日本人で91.9%、留学生で35.1%と示されています。留学生のうち、新卒は47.9%、既卒は11.8%です。

養成施設ルートの全体の合格率66.7%は、日本人の高い合格率と、留学生の低い合格率が合わさった数字だといえます。留学生が入学者の半数以上を占める現状(後述)を踏まえると、合格率の平均だけで学校や制度を判断するのは適切ではありません。

令和6年度の介護福祉士国家試験の区分別合格率全体78.3%、養成施設ルート66.7%。養成施設ルートのうち日本人91.9%、留学生35.1%。留学生のうち新卒47.9%、既卒11.8%。令和6年度 国家試験の合格率(第37回・厚労省資料)全体(全ルート)78.3%養成施設ルート66.7%うち日本人91.9%うち留学生35.1%留学生のうち新卒47.9%留学生のうち既卒11.8%
養成施設ルート全体の66.7%は、日本人の91.9%と留学生の35.1%が合わさった数字です。区分ごとの差が大きいことが分かります。

学校ごとの差も大きく、同じ資料(p.18)によると、留学生の新卒の合格率が75%以上の養成施設は約4割(39.7%)である一方、既卒の留学生の合格率が25%未満の養成施設が約76%にのぼります。入学を考える際は、日本人・留学生・新卒・既卒といった区分ごとの実績を見ることが大切です。

第39回試験の日程

第39回介護福祉士国家試験は、令和9年1月31日(日)に実施されます。受験手数料は20,510円で、合格発表は令和9年3月23日の予定です(厚生労働省の公表)。

養成施設で学ぶ人にとっては、卒業の時期と試験の時期の関係が気になるところです。厚労省資料では、入学者のうち卒業時に国家試験を受験する人は約8割(令和5年度は84.2%)とされています。受験の手続きは、社会福祉振興・試験センターの案内で確認できます。

経過措置と令和8年の法改正

現行の経過措置と登録状況

前の章で触れた経過措置は、現行制度では令和8年度までの養成施設卒業者が対象です。厚労省資料によると、令和7年4月15日時点の経過措置による登録者は5,774人で、内訳は外国人5,103人、日本人671人です。経過措置の対象者のうち、外国人が大きな割合を占めています。

同じ時点で、試験合格による資格取得が1,576人、実務5年による取得が1,024人、資格消滅が582人でした。経過措置を使った人のうち、一定数が資格を失っていることも、資料から読み取れる事実です。資格を維持するには、期限内に試験合格か実務の継続が必要になります。

令和8年6月に成立した改正法

令和8年6月19日に、社会福祉法等の改正法が成立し、6月25日に公布されました(令和8年法律第51号)。厚労省が公表した法律案の概要では、次の内容が示されています。

  • 令和13年度までの養成施設卒業者について、経過措置として、卒業後5年間は介護福祉士の資格を有することができる
  • 准介護福祉士の資格は廃止する
  • 施行は原則として令和9年4月1日

経過措置の対象となる卒業年度や准介護福祉士資格の扱いが変わる方向であることが、概要資料から読み取れます。准介護福祉士は、一般に、養成施設の卒業者で国家試験に合格していない人が名乗れる資格として知られています。

卒業年度ごとの扱い

卒業年度ごとの扱いを、資料にもとづいて整理すると次のとおりです。

卒業年度扱い
令和8年度までの卒業者現行の経過措置(卒業後5年間は試験なしで登録可。6年目以降は5年間の介護業務の継続か、5年以内の試験合格で維持)
令和13年度までの卒業者(改正法)経過措置として、卒業後5年間は介護福祉士の資格を有することができる(概要資料)
それ以降の卒業者参照した資料では未確定。厚労省の通知で確認できます

経過措置があっても、試験対策は早めに始めておくほうが安心です。

養成施設卒業者の国家試験と経過措置の流れ平成29年度の第30回試験から養成施設卒業者にも国家試験が必要になった。現行の経過措置は令和8年度までの卒業者が対象で卒業後5年間は登録可能。令和8年6月19日に改正法が成立し6月25日公布、施行は原則令和9年4月1日で准介護福祉士は廃止。令和13年度までの卒業者は卒業後5年間資格を有することができる。養成施設卒業者と国家試験・経過措置平成29年度(第30回試験)養成施設の卒業者にも国家試験の合格が必要に令和8年度までの卒業者現行の経過措置卒業後5年間は試験なしで登録可令和8年6月19日社会福祉法等の改正法が成立(6月25日公布・法律第51号)令和9年4月1日改正法の施行(原則)准介護福祉士の資格は廃止令和13年度までの卒業者経過措置として、卒業後5年間は介護福祉士の資格を有することができる※改正部分は法律案の概要にもとづく。運用は今後の政省令・通知で確認が必要
国家試験の義務化から改正法の施行までを時系列で並べた図です。改正後の細かな運用は最新の通知で確認してください。

断定を避けて確認したい点

上記は法律案の概要資料にもとづく整理です。条文の細かな読み替えや、現行の「6年目以降の扱い」がどう変わるかは、概要資料からは分かりません。法律の公布後に、政省令や通知で具体的な運用が示される可能性があります。

卒業する時期によって適用される扱いが異なる可能性があるため、厚生労働省の最新の通知や、在籍する学校・都道府県の案内で確認できます。

学費と費用負担を軽くする制度

学費は学校ごとに異なる

養成施設の学費について、全国の平均額は、公的統計に示されていません。学費は、学校の種類(専門学校・短大・大学)、修業年限、設置者、入学金や実習費、教材費などの違いにより、学校ごとに異なります。このため、この記事では金額を示しません。

具体的な金額は、検討している学校の募集要項や学生募集の資料で分かります。見るときは、授業料だけでなく、入学金、施設設備費、実習費、教科書・制服の費用、国家試験の受験料などを含めた総額で見ることが大切です。

介護福祉士修学資金貸付

費用負担を軽くする代表的な制度が、介護福祉士修学資金の貸付です。厚労省資料(第4回福祉人材確保専門委員会 資料2 p.26-27)と、愛知県社会福祉協議会の案内によると、主な貸付内容は次のとおりです。

  • 修学資金:月5万円以内
  • 入学準備金:20万円以内
  • 就職準備金:20万円以内
  • 国家試験受験対策費:年4万円以内 など

実施主体は都道府県の社会福祉協議会で、国が費用の9/10を補助します。資格取得後、5年間介護業務に従事すると、返還が全額免除される仕組みです。ただし、要件は都道府県により異なります。

新規の貸付決定件数は、令和5年度が6,358件(うち留学生2,980件)、令和6年度が6,833件(うち留学生4,022件)でした。単純な計算例として、2年制の課程で月5万円を24か月借りると120万円、これに入学準備金20万円、就職準備金20万円を加えると、上限の単純合計は160万円になります。これは貸付の上限の単純合計であり、学費の目安ではありません。また、要件を満たさず途中でやめると返還が必要になる場合があり、条件は都道府県で異なります。制度の詳細は介護福祉士修学資金の解説記事で取り上げています。

介護福祉士修学資金の上限の単純合計(2年制の例)2年制の課程で修学資金月5万円を24か月借りると120万円、入学準備金20万円と就職準備金20万円を加えた上限の単純合計は160万円。資格取得後5年間介護業務に従事すると返還が全額免除される。実際の貸付額や要件は都道府県ごとに異なる。介護福祉士修学資金の上限(2年制の例)上限の単純合計160万円修学資金(月5万円×24か月)120万円入学準備金20万円就職準備金20万円資格取得後、5年間介護業務に従事すると返還が全額免除※実際の貸付額・要件は都道府県ごとに異なる
本文の計算例を図にしたもので、上限の目安にすぎません。国家試験受験対策費(年4万円以内)などは含めていません。

専門実践教育訓練給付金

雇用保険の被保険者であった人などを対象とする専門実践教育訓練給付金は、厚労省の教育訓練給付金のページによると、受講費用の50%(年間上限40万円)が支給されます。修了後1年以内に資格を取得して就職した場合は70%(上限56万円)、さらに賃金が5%以上上昇した場合は80%(上限64万円)です。これは令和6年10月以降に開講する講座の水準です。

介護福祉士養成課程が給付の対象となる講座として指定されているかは、講座ごとに異なります。利用を考える場合は、対象になるかはハローワークで確認できます。

公共職業訓練と高等職業訓練促進給付金

離職者向けの公共職業訓練には、介護福祉士の養成を行う科があります。三重県の例では、介護福祉士養成科は2年間で定員10名、受講料や教材費等は無料です。ハローワークで求職の申込みをして、受講指示や推薦を受けた人が対象で、新規学卒者は対象外です。国家試験の受験料や登録料は別途必要です。

ひとり親家庭を対象とする高等職業訓練促進給付金も、介護福祉士が対象資格に含まれます。静岡市の案内では、市民税非課税世帯は月10万円(最後の12か月は14万円)、課税世帯は月7万500円(最後の12か月は11万500円)で、支給は上限4年です。なお、これらは自治体の例であり、お住まいの地域によって運用が異なる場合があります。

厚労省統計にみる入学者数の推移

厚労省資料(第4回福祉人材確保専門委員会 資料2 p.21)が示す各年4月1日時点の数値は、次のとおりです。

年度養成施設数入学定員入学者うち留学生充足率留学生割合
令和3年度36115,5697,8622,54250.4%32.3%
令和4年度35615,2037,6792,11750.5%27.6%
令和5年度34514,7587,0532,23047.8%31.6%
令和6年度33014,0697,3863,58952.5%48.6%
令和7年度32513,6287,9704,53258.5%56.9%

令和3年度から令和7年度にかけて、養成施設数は361から325へ、入学定員は15,569人から13,628人へ減りました。一方、入学者は令和5年度の7,053人を底に、令和7年度は7,970人へ増えており、この増加には留学生の増加が大きく関わっています。なお「充足率」は入学定員に対する入学者の割合のことです。平成20年度(施設434、定員25,407人、入学者11,638人)と比べると、施設数も定員も大きく縮小しています。

留学生を除いた入学者の読み方

表の数値から、留学生を除いた入学者を計算してみます。令和3年度は7,862人から2,542人を引いて5,320人、令和7年度は7,970人から4,532人を引いて3,438人です。入学者の総数は増えていても、留学生以外の入学者は減っている計算になります。

令和3年度と令和7年度の養成施設入学者の構成令和3年度は入学者7,862人のうち留学生2,542人、留学生以外5,320人で留学生割合32.3%。令和7年度は入学者7,970人のうち留学生4,532人、留学生以外3,438人で留学生割合56.9%。養成施設の入学者の構成(各年4月1日時点・厚労省資料)5,320人2,542人計7,862人令和3年度留学生割合32.3%3,438人4,532人計7,970人令和7年度留学生割合56.9%留学生以外留学生
入学者の総数はほぼ同じでも、留学生以外の入学者は5,320人から3,438人に減っています(留学生以外の人数は公表値の引き算)。

公表値を引き算しただけの計算ですが、短期間で学生構成が変わったことが分かります。留学生割合は令和5年度の31.6%から令和7年度の56.9%へと、2年で約25ポイント上昇しました。学校ごとに留学生の比率は異なりうるため、前の章で見た日本人・留学生別の合格実績とあわせて見ることが目安になります。

介養協の集計と需要推計

介養協(日本介護福祉士養成施設協会)は、会員校の回答を集計した数値を公表しています。令和8年度は、課程数266、入学定員10,572人、入学者7,780人(うち留学生4,712人、約60.6%)、充足率73.6%でした(令和8年9月29日公表)。厚労省の数値(各年4月1日時点)とは大きく異なりますが、主に集計対象や時点が異なるためと考えられます(資料に理由の明記はありません)。引用するときは、どの機関のどの対象の数字かを併記する必要があります。

需要の面では、厚労省の第9期介護保険事業計画にもとづく推計で、介護職員の必要数は2026年度に約240万人、2040年度に約272万人とされています(第4回福祉人材確保専門委員会 資料2 p.11)。

他のルートとの違い

実務経験ルートとの違い

実務経験ルートは、介護等の業務に3年以上従事し、さらに実務者研修(6か月以上)を修了して国家試験を受ける方法です(社会福祉振興・試験センターの受験資格ページ)。働きながら資格を目指せる点が、養成施設ルートと異なります。実務者研修の詳細は実務者研修の解説記事で取り上げています。

福祉系高校ルート・EPAルートとの違い

福祉系高校ルートは、指定を受けた福祉系高校を修了すると受験資格が得られる方法です。令和7年4月1日時点で109校110課程あります。EPAルートは、経済連携協定にもとづく外国人の候補者が、3年以上の実務経験を経て受験する方法です。それぞれの対象者が異なるため、自分がどのルートに該当するかを最初に確認します。

4ルートの比較表

ルート主な条件学び方の特徴
養成施設指定養成施設の課程を修了(第1号は2年以上)学校で学ぶ
実務経験実務3年以上+実務者研修(6か月以上)働きながら学ぶ
福祉系高校指定校の修了高校で学ぶ
EPA候補者で3年以上の実務経験協定にもとづく就労・研修

タイプ別の選択肢の例

どのルートが適しているかは、年齢、現在の職業、学べる時間、費用の準備状況などによって異なります。どれが優れているということではなく、条件に合う方法を選ぶ視点が大切です。選択肢の例は次のとおりです。

  • 高校生:養成施設や福祉系高校
  • 働き続けたい社会人:実務経験+実務者研修
  • 仕事を休んで学べる人:養成施設や離職者向けの公共職業訓練

養成施設の探し方と入学前の確認ポイント

指定養成施設の一覧を探す

養成施設の一覧は、都道府県が公開しています。例として、群馬県は指定養成施設のページを設けています。通学を希望する地域の都道府県のウェブサイトで探せます。

入学前に確認したい項目

入学前の確認項目は次のとおりです。

  • 第何号の養成施設か(自分の学歴・資格に合う課程か)
  • 修学資金の貸付対象の学校か
  • 国家試験の合格実績(厚労省は養成施設別の合格率を毎年公表しています)
  • 留学生の場合は、入学に必要な日本語の要件
  • 授業料以外にかかる費用の総額
  • 介護実習の時期・期間・実習先の形態

合格実績の見方

合格率を見るときは、「全体の数字」だけでなく、日本人・留学生、新卒・既卒の区分を見ることが大切です。前の章で見たように、区分によって数字は大きく異なります。受験者数が少ない学校では、1人の違いで合格率が大きく動くことにも注意が必要です。

注意点とよくある失敗

制度は変わりうる

介護保険や資格制度は、法改正や通知の変更により、内容が変わることがあります。この記事は2026年11月8日時点で確認できた公的資料にもとづいており、特に令和8年に成立した改正法については、今後の政省令や通知で運用が示される部分があります。進学や転職の判断をする前に、厚生労働省や都道府県、学校の最新の案内で確認できます。

よくある失敗

入学前の確認が不足していると、次のような失敗が起きがちです。

  • 卒業後の経過措置の扱いを確認せず、試験対策が遅れる
  • 修学資金や給付金の申請期限・要件を見落とす
  • 授業料以外の費用を見込まずに資金計画を立てる

いずれも、事前に公的な案内と学校の資料を照らし合わせることで防ぎやすくなります。

まとめ

  • 介護福祉士養成施設は、社会福祉士及び介護福祉士法にもとづき指定された学校で、第1号(2年以上・1,850時間・実習450時間)、第2号等(1年以上・1,220時間)、第3号(1年以上・1,205時間)の区分がある
  • 養成施設の卒業者も国家試験合格が必要で、令和6年度の養成施設ルートの合格率は66.7%(日本人91.9%、留学生35.1%)だった
  • 令和8年6月に社会福祉法等の改正法が成立し、経過措置の見直しと准介護福祉士の廃止が示されているが、細部は最新の通知で確認が必要
  • 学費は学校ごとに異なり公的な平均額はない。修学資金、教育訓練給付、公共職業訓練などの制度を組み合わせて検討できる
  • 厚労省と介養協では入学者統計の集計対象が異なる。数値は出典と対象を併記して読む
  • 次の行動:都道府県のサイトで指定養成施設を探し、説明会で第何号の養成施設か、修学資金の対象かを聞く

このサイトでは、特定の養成施設や学校をおすすめすることはせず、公的機関が公表している情報にもとづいて中立的に制度を解説しています。運営方針の詳細はこのサイトの立ち位置をご覧ください。

よくある質問

養成施設を卒業すれば国家試験なしで介護福祉士になれますか?

平成29年度(第30回)の試験から国家試験の合格が必要になりました。ただし令和8年度までの卒業者には経過措置があり、卒業後5年間は試験なしで登録できます。令和8年の改正法による見直しもあるため、最新の通知で確認してください。

養成施設の修業年限は何年ですか?

第1号(高校卒業者等)は2年以上、第2号等(大学で社会福祉科目を修めた人、社会福祉士養成施設卒業者等)と第3号(保育士養成施設卒業者等)は1年以上です。総授業時間は順に1,850時間、1,220時間、1,205時間です。

養成施設の学費はいくらですか?

公的統計に全国平均は示されておらず、学校ごとに異なります。募集要項で授業料のほか入学金・実習費・教材費を含めた総額を確認してください。修学資金は月5万円以内などの貸付があり、資格取得後5年の従事で返還免除の仕組みがあります。

養成施設ルートの国家試験合格率はどのくらいですか?

第37回(令和6年度)の養成施設ルートは受験6,955人、合格4,638人で66.7%でした。日本人91.9%、留学生35.1%と区分で大きく異なります。第38回の養成施設ルート別の数値は、この記事では確認できていません。

養成施設は働きながら通えますか?

養成施設は学校の課程を修める方法で、第1号は総授業時間1,850時間・介護実習450時間と定められています。働きながら通えるかは、学校の時間割や課程によって異なるため、募集要項や説明会で確認できます。仕事を続けながら資格を目指す方法としては、実務経験ルートもあります。

養成施設と実務経験ルートはどちらがよいですか?

優劣はなく、条件によって選ぶ方法です。実務経験ルートは介護等の業務3年以上と実務者研修(6か月以上)を経て受験し、養成施設ルートは指定された課程を修めて資格取得に進みます。年齢、仕事の状況、学べる時間、費用の準備などをふまえ、都道府県や学校、社会福祉振興・試験センターの案内で確認できます。

参考・出典

  1. 厚生労働省 福祉人材確保専門委員会(第5回)資料2 (厚生労働省)
  2. 厚生労働省 福祉人材確保専門委員会(第4回)資料2 (厚生労働省)
  3. 入学者数と留学生(令和8年度) (日本介護福祉士養成施設協会)
  4. 社会福祉法等の一部を改正する法律案の概要 (厚生労働省)
  5. 第38回介護福祉士国家試験の合格発表 (厚生労働省)
  6. 受験資格ルート(介護福祉士国家試験) (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  7. 介護福祉士養成施設の指定について (群馬県)
  8. 第39回介護福祉士国家試験の施行 (厚生労働省)
  9. 介護福祉士養成科(津高等技術学校) (三重県・三重労働局)
  10. 介護福祉士修学資金貸付(追加募集) (愛知県社会福祉協議会)
  11. 教育訓練給付制度 (厚生労働省)
  12. 高等職業訓練促進給付金(ひとり親家庭) (静岡市)