教育訓練給付制度とは|介護資格の受講費用が戻る条件と申請手続きを解説

教育訓練給付制度は、指定講座の修了後に受講費用の一部が支給される雇用保険の制度です。介護資格での区分、給付率、受給資格、申請の流れを整理します。

目次

教育訓練給付制度は、雇用保険の被保険者(または被保険者であった人)が、厚生労働大臣が指定した講座を受講・修了したときに、支払った受講費用の一部がハローワークから支給される制度です(出典1)。介護職員初任者研修や介護福祉士の養成課程など、介護の資格取得に関わる講座も対象になる場合があります。ただし、給付率は区分によって20%から最大80%まで異なり、「最大80%」は資格取得・就職・賃金上昇の3条件がそろった場合に限られます。初任者研修・実務者研修などが対象かどうかは講座ごとに異なるため、まず教育訓練講座検索システムで確認することが出発点になります。この記事では、3つの区分、受給資格、申請手続き、講座の探し方、他の制度との違いを、厚生労働省などの公的資料にもとづいて整理します。

教育訓練給付制度とは

制度の定義と目的

教育訓練給付制度は、働く人の主体的な能力開発やキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図ることを目的とした雇用保険の給付です(出典1)。受講した本人が費用をいったん自分で支払い、講座を修了したあとで、その一部がハローワークから支給されるのが基本の流れです(出典3)。

対象になるのは、あらかじめ厚生労働大臣が指定した講座に限られます。どの講座が指定されているかは、厚生労働省が公開している教育訓練講座検索システムで調べられます(出典7)。つまり、資格の名前だけで対象かどうかが決まるわけではなく、「その学校・その講座が指定を受けているか」が判断の分かれ目になります。

対象になる人と介護分野での位置づけ

対象者は、在職中の雇用保険の被保険者のほか、離職して一定期間内の人も含まれます。具体的な期間や加入年数の条件は、後述の「受給資格」の章で整理します(出典3)。

介護の分野では、介護福祉士や社会福祉士の養成課程、介護支援専門員(ケアマネジャー)の実務研修などが、厚生労働省の公表資料で例として挙げられています(出典9、出典10)。実務者研修や初任者研修を含め、指定の有無や区分は講座ごとに異なるため、「この資格なら必ず対象」と言い切ることはできません(出典7)。

よくある誤解

よくある誤解の一つは、「申し込めば受講料が全額戻る」という理解です。実際の給付は費用の一部で、上限額も区分ごとに決まっています(出典1)。もう一つは、「どの講座でも使える」という誤解です。指定を受けていない講座は、たとえ資格取得につながるものでも対象外です(出典8)。

また、教育訓練給付は「受講前の確認」がとても大切な制度でもあります。対象外の講座は給付されません。受講を決める前に、講座検索システムとハローワークで確認する習慣をつけることが、この制度を使ううえでの基本姿勢です(出典7)。

3つの区分と給付率・上限額

一般教育訓練給付金

教育訓練給付金は、一般教育訓練、特定一般教育訓練、専門実践教育訓練の3区分に分かれています(出典1)。このうち一般教育訓練給付金は、受講費用の20%が支給され、上限は10万円です(出典1、出典3)。追加給付はなく、令和6年10月からの拡充の対象にも含まれません(出典2)。

たとえば受講費用が30万円の場合、20%は6万円です。受講費用が60万円でも、上限があるため支給は10万円までになります。この計算は、あくまで制度上の考え方を示した例であり、実際の支給額は教育訓練経費として認められる範囲や、領収書の内容によって決まります(出典5)。

特定一般教育訓練給付金

特定一般教育訓練給付金は、費用の40%が支給され、上限は20万円です。支給は講座の修了後に行われます(出典1)。さらに、修了後1年以内に資格取得等をし、雇用保険の被保険者として雇用された場合には、給付率が50%(上限25万円)に引き上げられます(出典1)。

この追加分は、最初から自動的に上乗せされるものではありません。資格取得や就職の事実を示して、追加の申請手続きをする必要があります。追加の申請期限は、資格取得または就職日のうち遅いほうの日から1か月以内とされています(出典4)。期限が短いため、修了が近づいたら手続きの段取りを確認しておくと安心です。

専門実践教育訓練給付金

専門実践教育訓練給付金は、費用の50%が支給され、年間の上限は40万円です。一般・特定一般と異なり、受講中に6か月ごとに支給される点が特徴です(出典1)。修了後1年以内に資格取得等をして雇用保険の被保険者として雇用されると、給付率は70%(年間上限56万円)になります(出典1)。

専門実践教育訓練は、受講期間が長期にわたる講座が中心です。給付は最長3年、総額で192万円までとされています(出典1)。厚生労働省の公表資料では、専門実践の対象に業務独占資格・名称独占資格の養成課程などがあり、介護福祉士や社会福祉士が例として挙げられています(出典9)。

3区分の比較ポイント

3区分を並べて見ると、受講期間が長く費用負担が大きい講座ほど、手厚い給付率と上限額が設定されていることが分かります。一般は20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円、条件を満たすと50%・上限25万円)、専門実践は50%(年間上限40万円、条件を満たすと70%・年間上限56万円)という構成です(出典1)。

教育訓練給付の3区分の給付率と上限額一般は20%で上限10万円、特定一般は40%で上限20万円、専門実践は50%で年間上限40万円。条件を満たすと特定一般は50%、専門実践は70%になる。3区分の基本の給付率と上限一般教育訓練20%上限10万円特定一般教育訓練40%上限20万円専門実践教育訓練50%年間上限40万円条件を満たすと特定一般50%・専門実践70%
基本の給付率は一般20%、特定一般40%、専門実践50%です。上限額も区分ごとに決まっています。

一方で、給付率が高い区分ほど、受講前の手続きや修了後の手続きも増えます。専門実践では、受講前のキャリアコンサルタントとの面談やジョブ・カードの作成が必要になります(出典6)。給付額だけでなく、手続きの負担も含めて、受講を検討する講座の区分を確認しておくとよいでしょう。

給付額の試算の考え方

給付額は、「教育訓練経費」に給付率を掛け、上限額を超えない範囲で決まります(出典1、出典5)。以下は計算の考え方を示す仮の例で、実際の支給額を示すものではありません。

  • 一般:費用20万円の場合、20%で4万円(上限10万円の範囲内)
  • 特定一般:費用40万円の場合、40%で16万円(上限20万円の範囲内)。修了後1年以内に資格取得等と雇用の条件を満たせば50%で上限25万円までとなり、この例では20万円
  • 専門実践:1年間の費用が60万円の場合、50%で30万円(年間上限40万円の範囲内)

入学金や教材費などのうち、どこまでが対象の経費に含まれるかは、領収書と教育訓練経費等確認書の記載で確認されます(出典5)。手元に残る自己負担額を見積もるときは、講座の実施者に対象経費の内訳を確認してください。

「最大80%」が適用される条件

80%に必要な3つの条件

「最大80%」という表現を目にすることがありますが、これは専門実践教育訓練給付金のなかでも限られた場合の数字です。80%になるのは、次の3つがすべてそろったときです(出典1、出典3)。

  • 専門実践教育訓練を修了し、資格取得等をしたこと
  • 修了後1年以内に、雇用保険の被保険者として雇用されたこと
  • 就職後の賃金が、受講前と比べて5%以上上昇していること

この場合の給付は、年間の上限が64万円、最長3年・総額で192万円までです(出典1)。3つのうち一つでも欠ければ、80%にはなりません。

基本は50%、条件で70%・80%に

言い換えると、専門実践の基本の給付率は50%です。資格取得等と就職が加わると70%、そのうえで賃金が5%以上上がったときに80%という段階構造になっています(出典1)。「80%もらえる」と最初から期待して受講計画を立てると、実際の給付とのずれが生じるおそれがあります。

専門実践教育訓練給付金の給付率の段階基本は50%(年間上限40万円)、資格取得等と修了後1年以内の雇用で70%(年間上限56万円)、さらに賃金が5%以上上昇すると80%(年間上限64万円)。専門実践の給付率は段階式50%基本修了時年間上限40万円70%+就職資格取得等と年間上限56万円80%+賃金5%以上上昇年間上限64万円3条件がそろったときだけ80%
基本は50%で、資格取得等と就職で70%、賃金が5%以上上がったときに80%になります。

とくに賃金上昇の条件は、転職や職場の給与体系、就業時間の変化などの影響を受けます。介護の現場では、勤務形態や手当の構成によって賃金の見え方が変わることもあるため、ご自身のケースでどう扱われるかは、事前にハローワークへ相談して確認するのが確実です。

追加給付の申請期限

70%分の追加給付は、資格取得または就職日のうち遅いほうの日から1か月以内に申請します。80%分は、同じ日から1年以内が申請期限です(出典4)。70%分と80%分で期限が異なる点に注意が必要です。

期限が定められているため、修了証明書の受け取りや就職の時期を、申請期限と照らして管理しておくことが大切です。申請の具体的な方法は、後述の「手続き」の章で整理します(出典4)。

介護関連資格と給付区分の考え方

専門実践に位置づけられる介護の講座

厚生労働省の令和8年4月指定の公表資料では、専門実践の対象に業務独占資格・名称独占資格の養成課程などがあり、介護福祉士や社会福祉士が例として挙げられています(出典9)。同じ資料では、この指定で新規に303講座、給付対象の講座が合計3,488講座と示されています(出典9)。

この数字は分野を問わない全体の講座数であり、介護関連の講座だけの数ではありません。介護福祉士の養成課程であっても、対象になるかどうかは個別の講座の指定状況で決まるため、検索システムで確認が必要です(出典7)。

特定一般に位置づけられる介護の講座

令和8年10月指定の特定一般教育訓練では、新規に151講座、給付対象が合計1,532講座と示されています。公表資料には、特定行為研修、介護支援専門員、大型第一種免許などが例として挙げられています(出典10)。

また、令和6年10月指定の資料では、介護職員初任者研修や介護支援専門員実務研修が特定一般の例として名前が挙がっています(出典11)。これは当時の例示であり、現在の区分は講座ごとに異なるため、個別に確認が必要です。

実務者研修などの区分は講座ごとに確認する

実務者研修が一般・特定一般のどの区分に当たるのかは、ここで一律に示すことはできません。実務者研修を含め、指定の有無や区分は講座ごとに異なると考えておくのが安全で、教育訓練講座検索システムの詳細ページで区分と給付の可否を確認するのが確実です(出典7)。

資格ごとの研修内容そのものについては、当サイトの介護職員初任者研修とはや介護福祉士実務者研修とはで詳しく整理しています。受講費用の見通しを立てる際は、研修の中身と給付の区分を別々に確認してください。

資格取得の道筋と給付の関係

介護福祉士を目指す道筋は一つとは限りません。その詳細は介護福祉士国家試験とはで解説していますが、どの道筋を選ぶかによって、受講する講座の種類も、給付の対象になり得る区分も変わります。

受講の順序を検討するときは、「次に取りたい資格」「その資格に必要な講座」「その講座が指定されているか」の順で確認すると整理しやすくなります。そのうえで、過去に給付を受けた経験があるかどうかが受給資格に影響するため、次の章で条件を確認してください(出典5)。

受給資格(雇用保険の加入期間など)

支給要件期間

教育訓練給付を受けるには、雇用保険の被保険者であった期間(支給要件期間)が一定以上必要です。一般教育訓練と特定一般教育訓練は、原則として3年以上、初めて受ける場合は1年以上です。専門実践教育訓練は、原則として3年以上、初めて受ける場合は2年以上とされています(出典3、出典5、出典6)。

区分ごとの支給要件期間一般・特定一般は原則3年以上、初めての場合は1年以上。専門実践は原則3年以上、初めての場合は2年以上。離職者は離職日の翌日から受講開始まで1年以内。必要な雇用保険の加入期間一般・特定一般原則3年以上初めての場合1年以上専門実践原則3年以上初めての場合2年以上離職者は離職日の翌日から受講開始まで1年以内
支給要件期間は原則3年以上で、初めて受ける場合は区分によって1年以上または2年以上です。

対象は在職中の人だけではなく、離職者も含まれますが、離職してから受講開始までの期間に制限があります。この点は次の項で整理します。

2回目以降の注意点

過去に教育訓練給付を受けたことがある場合、2回目以降の支給要件期間の数え方には注意が必要です。前回の受講開始日より前の被保険者期間は通算されません(出典5)。また、受講開始日の前日から3年以内に教育訓練給付を受けていると、対象外になります(出典5)。

介護の資格を段階的に取得していく場合、たとえば初任者研修のあとに実務者研修を受けるなど、短い間隔で複数の講座を受講することがあります。その際は、前回の給付からの期間が要件にかかわるため、受講計画を立てる段階で確認してください。

離職している場合の期限

離職している場合は、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内であることが要件です(出典3)。妊娠、出産、育児、疾病、負傷などの理由で、引き続き30日以上受講を開始できない場合は、ハローワークへの申出により、この期間を延長できます(出典3)。延長できる年数の上限は資料によって表記が異なるため、必ず最新の案内で確認してください。

延長の申出をした場合、延長通知書が交付されます。この通知書は、後の支給申請で必要書類になります(出典5)。

専門実践に必要な事前面談

専門実践教育訓練給付金では、受講を開始する前に、訓練対応キャリアコンサルタントによる面談を受け、ジョブ・カードを作成することが必要です(出典6)。ジョブ・カードは、これまでの職歴や今後のキャリアの方向性を整理するための書類で、受給資格の確認の際にハローワークへ提出します。

受講前の面談とジョブ・カード作成は専門実践だけに求められる手続きなので、一般・特定一般の受講との違いとして押さえておきましょう。具体的な面談の受け方は、ハローワークの案内で確認してください。

申請手続きの流れと必要書類

窓口と電子申請

手続きの窓口は、住所地を管轄するハローワークです(出典3)。支給申請や受給資格の確認は、電子申請にも対応しています(出典4)。ただし、支給要件の照会は電話では受け付けていないため、窓口などで確認します(出典3)。

手続きの時期や必要書類は区分によって違うため、受講する講座が決まった段階で、ハローワークに確認してください。

一般・特定一般の申請

一般教育訓練と特定一般教育訓練は、修了日の翌日から原則1か月以内に支給申請をします(出典4)。期限が短いため、修了証明書や領収書の受け取り時期を、あらかじめ講座の実施者に確認しておくと安心です。

特定一般で50%への追加給付を受ける場合は、前述のとおり追加の申請が別に必要です(出典4)。受講を始める前に、早めにハローワークへ確認しておくと安心です。

専門実践の申請

専門実践教育訓練では、受給資格の確認を、受講開始日のおおむね2週間前までに行います。このとき、ジョブ・カードと受給資格確認票を添付します(出典4、出典6)。

支給申請は、受講中は6か月ごとの期間の末日の翌日から1か月以内、修了時は修了日の翌日から1か月以内です(出典4)。70%分・80%分の追加の期限は、前述の「追加給付の申請期限」のとおりです(出典4)。

専門実践教育訓練の手続きの流れ受講前に面談とジョブ・カード作成、受講開始のおおむね2週間前までに受給資格確認、受講中は6か月ごとに支給申請、修了日の翌日から1か月以内に申請、追加給付は70%分が1か月以内、80%分が1年以内。専門実践の手続きの流れ1受講前面談とジョブ・カード作成2開始の約2週間前まで受給資格の確認3受講中6か月ごとに支給申請4修了時修了日の翌日から1か月以内5資格取得・就職後70%分は1か月・80%分は1年
専門実践は受講前から修了後まで手続きが続きます。追加給付の期限は資格取得または就職日のうち遅いほうの日から数えます。

必要書類

一般教育訓練給付金の支給申請に必要な書類は、次のとおりです(出典5)。

  • 教育訓練給付金支給申請書
  • 修了証明書
  • 指定教育訓練実施者が発行した領収書
  • 教育訓練経費等確認書
  • 本人確認書類
  • マイナンバーを確認できる書類
  • 通帳またはキャッシュカード
  • 延長通知書(延長した場合)

実際の申請前にハローワークで最新の必要書類を確認してください。領収書は支給申請で必ず必要になる書類なので、受け取ったら大切に保管しておきましょう。

対象講座の探し方と指定の仕組み

教育訓練講座検索システムの使い方

教育訓練講座検索システムでは、学校名、講座名、分野、資格名などから講座を検索できます(出典7)。気になる講座が見つかったら、詳細ページで次の項目を確認します。

  • 給付の区分(一般・特定一般・専門実践のどれか)
  • 指定の有効期間
  • 自分の受講開始日がその期間に入っているか

重要なのは、給付の対象になるのは、指定の期間中に受講を開始した場合だけだという点です(出典7)。募集案内に「給付対象」と書かれていても、自分の受講開始日が指定の期間に収まっているかは、別に確認する必要があります。

指定の有効期間と更新

講座の指定は、年2回、4月と10月に行われます(出典8)。指定の有効期間は3年間で、自動更新ではありません(出典8)。そのため、以前は対象だった講座が、期間満了により対象外になることがあります。

教育訓練講座の指定の仕組み講座の指定は年2回、4月と10月に行われ、有効期間は3年間で自動更新ではない。指定期間中に受講を開始した場合だけが給付の対象。講座の指定の仕組み4月10月指定は年2回有効期間は3年間自動更新ではない指定期間中の受講開始だけが対象
指定は4月と10月の年2回で、有効期間は3年間です。受講開始日が指定期間内かを確認します。

令和8年4月指定、令和8年10月指定のように、指定のたびに新規の講座が追加され、給付の対象となる講座の総数も更新されます(出典9、出典10)。受講を考えるタイミングで、最新の情報を確認してください。

指定取り消しの例

指定された講座でも、取り消される場合があります。たとえば、令和7年11月11日付で指定が取り消された例があり、同日以降に受講を開始した場合は、給付の対象外になるとされています(出典7)。

こうした情報は、検索システム上で公表されます。申込みの前だけでなく、申込み後、受講開始の直前にも、もう一度確認しておくと安心です。

不適正な勧誘への注意

検索システムでは、教育訓練給付に関する不適正な勧誘への注意が呼びかけられています(出典7)。給付の対象かどうかが不確かなまま契約を急がされるような場合には、契約前に、講座検索システムとハローワークで指定状況を確認してください。

関連する給付(教育訓練支援給付金・教育訓練休暇給付金)

教育訓練支援給付金

教育訓練支援給付金は、受講開始時に45歳未満であることが条件のひとつです。専門実践教育訓練(通信制・夜間制を除く)を、失業状態で初めて受講する人が対象です(出典6)。

支給額は基本手当日額の60%で、令和7年3月31日以前に受講を開始した分は80%とされています。受講開始が令和9年3月31日までという期限もあります(出典6)。

教育訓練休暇給付金

教育訓練休暇給付金は、令和7年10月1日に創設された制度です。目安は、雇用保険の一般被保険者が、就業規則などにもとづいて連続30日以上の無給の教育訓練休暇を取ることです。事業主との合意も必要で、支給率などの細目はここでは触れません(出典12、出典13)。

併用を考えるときの基本姿勢

教育訓練給付金は「受講費用の一部を後から支給する」制度、教育訓練支援給付金は「失業中の生活費を支える」制度、教育訓練休暇給付金は「休暇中の所得を支える」制度、という整理ができます(出典1、出典6、出典12)。併せて使えるかどうかは個別の状況によるため、在職中か離職中か、年齢、講座の区分を確かめたうえで、ハローワークで確認してください。

他の制度との違い(貸付・ハロートレーニング)

実務者研修受講資金貸付との違い

実務者研修受講資金貸付は、各県で貸付上限が20万円前後に設定されており、返還免除の条件は県ごとに異なります。お住まいの都道府県の社会福祉協議会で確認してください(出典16)。教育訓練給付制度は雇用保険の給付で窓口はハローワークですが、この貸付は都道府県社会福祉協議会などが実施する別の制度です。

上限は、静岡県が20万円(出典16)、千葉県・広島県・福島県が20万円以内(出典17、出典18、出典20)、愛知県が上限20万円(出典19)と示されています。

返還免除の条件は県ごとに異なる

一定の条件を満たすと返還が免除される場合があり、その条件は県ごとに異なります。静岡県は、修了後1年以内に国家試験に合格して登録し、2年間県内で従事することが条件です(出典16)。千葉県は、登録後2年間、県内の施設等で従事することが条件です(出典17)。

他の県は各県のページで確認してください(出典18、出典19、出典20)。教育訓練給付との関係も自治体の案内によって異なる場合があるため、併用を考える際は窓口で確認してください。

ハロートレーニングとの違い

ハロートレーニングは、公共職業訓練と求職者支援訓練の総称です(出典14)。公共職業訓練は主に雇用保険を受給している求職者を対象とし、訓練期間はおおむね3か月から2年です。求職者支援訓練は主に雇用保険を受給できない求職者向けです(出典14)。

大きな違いは、受講料の扱いです。ハロートレーニングは受講料が無料で、テキスト代などは自己負担です(出典14)。教育訓練給付は費用を一度支払い、後から一部が戻る仕組みです。どちらが使えるかは、雇用保険の加入状況や求職の状況によって決まります。

求職者支援制度の給付

求職者支援制度では、一定の要件を満たすと、職業訓練受講手当が月10万円、通所手当が月額上限42,500円、寄宿手当が月10,700円支給されます(出典15)。収入要件として、本人の収入が月8万円以下、世帯の収入が月30万円以下、世帯の金融資産が300万円以下などの条件があります(出典15)。

この制度は、主に雇用保険を受給できない求職者を対象とした訓練を支える仕組みです。在職中に資格取得をしたい人や、雇用保険の受給資格がある人は、別の制度が当てはまる場合があります。

注意点とよくある失敗

受講を決める前の確認項目

ここまでの内容を、受講の契約や入金の前に確かめたい項目として整理します。

  • 受講予定の講座が教育訓練講座検索システムに掲載され、区分(一般・特定一般・専門実践)が分かるか(出典7)
  • 自分の受講開始日が、その講座の指定の有効期間に入っているか(出典7、出典8)
  • 雇用保険の支給要件期間を満たしているか。2回目以降の場合は前回の受講開始日や給付の時期との関係はどうか(出典3、出典5)
  • 離職している場合、離職日の翌日から受講開始日までが1年以内か(出典3)
  • 専門実践の場合、キャリアコンサルタントの面談とジョブ・カード作成の予定を組めるか(出典6)
  • 修了後の申請の期限(修了日の翌日から原則1か月以内など)に間に合う段取りか(出典4)

この確認を一度済ませておけば、受講開始後に対象外と分かる事態をかなり避けられます。不明な点は、受講の契約前にハローワークへ尋ねてください。

制度変更の可能性

給付率、上限額、指定講座、手続きの期限は、制度の見直しによって変わる可能性があります。令和6年10月には拡充があり、令和7年10月には教育訓練休暇給付金が創設されるなど、近年も見直しが続いています(出典2、出典12)。

この記事の内容は、2026年10月時点の公的資料を前提としています。申請を考えるときは、必ず厚生労働省・ハローワーク・教育訓練講座検索システムの最新情報を確認してください。

期限の見落とし

手続きには1か月以内という短い期限が多くあります(出典4)。期限を過ぎると給付を受けられなくなるおそれがあるため、修了が近づいたら、必要書類をそろえる日程を逆算しておきましょう。

指定外・受給資格外の受講

指定を受けていない講座や、指定期間外に開始した受講は、給付の対象外です(出典7)。また、支給要件期間を満たしていない場合や、前回の給付から3年以内に受講を開始した場合も対象外です(出典5)。

受講の契約や入金の前に、講座の指定と、自分の受給資格の両方を確認してください。確認する順序は、講座検索システムで講座の指定を調べ、ハローワークで受給資格を確認するのが基本です。

迷ったときの相談先

迷ったときは、住所地を管轄するハローワークに相談してください(出典3)。講座の指定状況は教育訓練講座検索システム、貸付制度は各都道府県社会福祉協議会、各県の案内ページで確認できます(出典7、出典16)。

まとめ

この記事の要点

  • 教育訓練給付制度は、指定講座を修了したときに費用の一部が支給される雇用保険の制度で、一般(20%・上限10万円)、特定一般(40%・上限20万円)、専門実践(50%・年間上限40万円)の3区分がある
  • 「最大80%」は専門実践で、資格取得、修了後1年以内の雇用、賃金5%以上の上昇の3条件がそろった場合に限られ、基本は50%である
  • 支給要件期間(原則3年以上、初回は区分により1年または2年以上)と、離職後1年以内などの条件を確認する
  • 申請は住所地のハローワークで、多くの手続きに1か月以内などの期限がある
  • 講座は指定制で有効期間があり、給付率・上限・指定講座も変わりうるため、必ず最新の公的情報で確認する

確認の手順をもう一度

最初に、教育訓練講座検索システムで受講予定の講座の指定と区分を確認し、次にハローワークで受給資格と申請の期限を確認するのが、基本の順序です(出典3、出典7)。

このサイトでは、運営方針として、特定の講座や事業者を評価・推奨しない立場をとっています。詳しくは運営方針をご覧ください。

よくある質問

教育訓練給付制度とは何ですか?

雇用保険の被保険者または被保険者であった人が、厚生労働大臣の指定する講座を修了すると、受講費用の一部がハローワークから支給される制度です。一般は20%(上限10万円)、特定一般は40%(上限20万円)、専門実践は50%(年間上限40万円)が基本です。制度は変更される可能性があります。

教育訓練給付の「最大80%」はどんな場合に受けられますか?

専門実践教育訓練で、資格取得等をし、修了後1年以内に雇用保険の被保険者として雇用され、賃金が受講前より5%以上上昇した、という3条件がそろった場合です。年間上限は64万円、最長3年・総額192万円までで、基本の給付率は50%です。

介護職員初任者研修や実務者研修は教育訓練給付の対象ですか?

対象になる講座もありますが、すべてではありません。厚生労働省の令和6年10月指定の資料では、初任者研修が特定一般の例として挙がりましたが、これは当時の例示で、現在の区分は講座ごとに異なります。実務者研修を含め、指定の有無や区分も講座ごとに異なるため、教育訓練講座検索システムで受講予定の講座を確認してください。

教育訓練給付を受けるには雇用保険に何年加入している必要がありますか?

一般・特定一般は原則3年以上(初めて受ける場合は1年以上)、専門実践は原則3年以上(初めて受ける場合は2年以上)の支給要件期間が必要です。離職している場合は、離職日の翌日から受講開始日まで1年以内が要件です。

申請はどこで、いつまでにすればよいですか?

住所地を管轄するハローワークで手続きします。一般・特定一般は修了日の翌日から原則1か月以内に支給申請を行います。専門実践は受講開始日のおおむね2週間前までに受給資格の確認が必要です。期限は区分ごとに異なるため、事前にハローワークで確認してください。

ハロートレーニングとは何が違いますか?

ハロートレーニングは受講料が無料の公的な職業訓練で、テキスト代などは自己負担です。教育訓練給付は、受講費用をいったん支払い、修了後に一部が支給される仕組みです。対象者や使える条件も異なるため、ハローワークで状況に合う制度を確認してください。

参考・出典

  1. 教育訓練給付制度 (厚生労働省)
  2. 教育訓練給付制度(令和6年10月からの拡充) (厚生労働省)
  3. 教育訓練給付金 (ハローワークインターネットサービス)
  4. 教育訓練給付金の支給申請手続 (厚生労働省)
  5. 一般教育訓練給付金に関するQ&A (厚生労働省)
  6. 専門実践教育訓練給付金に関するQ&A (厚生労働省)
  7. 教育訓練講座検索システム (厚生労働省)
  8. 教育訓練給付制度の講座の指定について (厚生労働省)
  9. 専門実践教育訓練 令和8年4月指定講座 (厚生労働省)
  10. 特定一般教育訓練 令和8年10月指定講座 (厚生労働省)
  11. 特定一般教育訓練 令和6年10月指定講座 (厚生労働省)
  12. 教育訓練休暇給付金 (厚生労働省)
  13. 教育訓練休暇給付金の創設 (山口労働局)
  14. ハロートレーニング(離職者向け) (厚生労働省)
  15. 求職者支援制度 (厚生労働省)
  16. 実務者研修受講資金貸付 (静岡県)
  17. 実務者研修受講資金貸付(就学資金) (千葉県)
  18. 実務者研修受講資金貸付(就学資金) (広島県)
  19. 介護人材確保の補助金・貸付 (愛知県)
  20. 実務者研修受講資金貸付(就学資金) (福島県)