介護福祉士等修学資金貸付制度とは|月5万円貸付と5年勤務での返還免除を解説

介護福祉士等修学資金貸付制度の対象者・貸付額の内訳・返還免除の具体的な条件を、厚労省と都道府県社会福祉協議会の公表情報にもとづき解説します。

目次

介護福祉士等修学資金貸付制度は、介護福祉士や社会福祉士を目指して養成施設に通う人を対象に、月5万円以内の修学資金などを無利子で貸し付ける制度です。卒業後に都道府県内で介護・相談援助の仕事に一定期間継続して従事すれば、貸付金の返還が全額または一部免除されます。この記事では、対象者、貸付額の内訳、返還免除の具体的な条件、似た名前の制度との違い、申込方法までを厚生労働省・都道府県社会福祉協議会の公表情報にもとづき解説します。

介護福祉士等修学資金貸付制度とは何か

介護福祉士等修学資金貸付制度は、介護福祉士・社会福祉士の養成施設や福祉系高校などに在学する人に対し、修学に必要な資金を無利子で貸し付ける公的な制度です。厚生労働省が制度の運営方針を示し、実際の貸付事務は都道府県ごとに委託を受けた社会福祉協議会が担っています。

制度の目的と福祉人材確保の背景

この制度は、介護・福祉分野で働く人材を確保することを目的に設けられています。介護福祉士や社会福祉士の資格取得には養成施設への通学が必要ですが、学費や生活費の負担から進学をためらう人も少なくありません。修学資金の貸付と、卒業後に一定期間働くことでの返還免除を組み合わせることで、資格取得への経済的なハードルを下げつつ、介護・福祉現場への就労を後押しする仕組みになっています(出典1、出典2)。背景には、介護・福祉分野での人材不足があります。介護福祉士や社会福祉士は資格取得までに専門課程での学習が必要で、在学期間中は学費に加えて生活費の負担も発生するため、経済的な理由で進学を断念する人が一定数いることが課題とされてきました。この制度は単なる学費支援にとどまらず「卒業後に一定期間、地域の介護・福祉現場で働く」ことを条件に組み込むことで、人材の地域定着策としても機能するよう設計されています。無利子で借りられるうえ、要件を満たせば返還自体が不要になるため、実質的には条件付きの給付に近い性格を持つ制度と理解しておくとよいでしょう(出典1、出典2)。

実施主体は都道府県社会福祉協議会

制度の実施主体は都道府県です。都道府県は、この貸付事業の実務を都道府県社会福祉協議会に委託して運営するのが一般的な形になっています。都道府県が実務を直接担わず社会福祉協議会に委託しているのは、社会福祉協議会が地域の福祉人材育成や生活福祉資金貸付など、他の福祉関連貸付事業も併せて扱っており、審査・貸付・償還管理のノウハウを蓄積している組織だからです。東京都のように、かつては都道府県が直接貸付を行っていたが、現在は都道府県社会福祉協議会(東京都の場合は東京都福祉人材センター)が窓口となっているケースもあります(出典3、出典4)。愛知県や福岡県、千葉県など他の道府県でも、それぞれの県社会福祉協議会が窓口となって貸付を行っています(出典7、出典8、出典9)。申込先や必要書類、選考の詳細は都道府県ごとに定められているため、実際に利用を検討する際は、居住地または進学予定先がある都道府県の社会福祉協議会の案内を確認する必要があります。

対象者となる人

介護福祉士等修学資金貸付制度の対象は、大きく分けて「介護福祉士・社会福祉士養成施設の在学者」「福祉系高校の在学者」「実務者研修施設の在学者」の3つの枠があります。それぞれ対象となる学校の種類や貸付額の枠組みが異なります。この制度が対象を3つの枠に分けているのは、介護・福祉人材を養成するルートが一つではないためです。高校卒業後すぐに専門学校等に進学するルート、福祉系高校で早い段階から専門知識を学ぶルート、すでに介護の現場で働きながら実務者研修を受けて資格取得を目指すルートなど、人によって進み方が異なるため、それぞれの進路に応じた資金支援が用意されています。自分がどの枠に該当するかによって借りられる金額や免除の条件が変わるため、まず自分の在学先・受講先がどの区分に当たるかを確認することが最初のステップになります。

対象となる3つの枠対象は介護福祉士・社会福祉士養成施設の在学者、福祉系高校の在学者、実務者研修施設の在学者の3つの枠に分かれ、免除に必要な従事期間は原則5年、福祉系高校卒業者は3年、実務者研修施設在学者向けは2年である対象となる3つの枠介護福祉士・社会福祉士養成施設の在学者もっとも中心的な対象免除に必要な従事期間は原則5年福祉系高校の在学者介護福祉士国試の受験資格が得られる高校在学者が対象免除に必要な従事期間は3年実務者研修施設の在学者働きながら受講する人向けの別枠制度(貸付20万円以内)免除に必要な従事期間は2年
図:介護福祉士等修学資金貸付制度の対象となる3つの枠。在学先によって免除に必要な従事期間や貸付の枠組みが異なります。

介護福祉士・社会福祉士養成施設の在学者

もっとも中心的な対象は、介護福祉士養成施設または社会福祉士養成施設に在学している人です。専門学校や短期大学、大学の福祉系学科などで、卒業により介護福祉士や社会福祉士の受験資格・登録資格が得られる課程に在籍していることが要件になります。養成施設は昼間課程が中心ですが、夜間課程や2年課程・4年課程など複数の学び方が用意されており、修学資金貸付はいずれの課程で学ぶ場合にも利用できるのが基本です。在学中に一定の成績や出席状況を求める都道府県もあるため、貸付を継続して受けるための条件についても、入学前に確認しておくと安心です。介護福祉士とはどのような資格かを解説した記事もあわせて参考にしてください。

福祉系高校在学者向けの枠

介護福祉士養成施設だけでなく、介護福祉士国家試験の受験資格が得られる福祉系高校に在学する生徒も、この制度の対象に含まれています。福祉系高校卒業者については、後述する返還免除に必要な継続従事期間が3年間とされている点が、養成施設卒業者(原則5年間)と異なります(出典1、出典4)。福祉系高校は高校段階から介護・福祉の専門科目を履修するカリキュラムを持つ学校で、卒業後すぐに介護福祉士国家試験の受験資格を得られるルートの一つです。早期に介護・福祉分野への進路を決めた生徒を後押しする観点から、継続従事期間が短めに設定されていると理解しておくとよいでしょう。

実務者研修施設在学者向けの別枠制度

介護福祉士養成施設・福祉系高校とは別に、実務者研修施設に在学する人を対象とした修学資金貸付制度も用意されています。これは介護福祉士国家試験の受験資格の一つである実務者研修を受講する人向けの制度で、貸付額や免除に必要な従事期間が養成施設向けの制度とは異なります(出典5)。実務者研修は、すでに介護の仕事に従事しながら資格取得を目指す人や、初任者研修修了後にキャリアアップを目指す人が受講することの多い研修です。働きながら学ぶ人にとっては、養成施設のように長期間通学する形とは資金ニーズの規模が異なるため、貸付額・免除期間ともにより短期・小口の設計になっています。詳しくは「実務者研修施設在学者向け制度との違い」の章で説明します。

貸付を受けられる金額の内訳

貸付額は、修学資金・入学準備金・就職準備金・国家試験受験対策費用の4種類に分かれています。それぞれの上限額は次の通りです(都道府県・年度によって取り扱いが異なる場合があります)。

【月額で借りられるもの】 修学資金(月額) 5万円以内/月 【一時金・年度ごとの上限として借りられるもの】 入学準備金(一時金) 20万円以内 就職準備金(一時金) 20万円以内 受験対策費用(年度上限) 4万円以内/年度

図:介護福祉士等修学資金貸付制度における貸付額の内訳(上限の目安)。修学資金は毎月継続して借りられる金額、それ以外は入学・就職時の一時金や年度ごとの上限額であり、単純な多寡の比較はできない点にご注意ください。実際の金額は都道府県・年度により異なる場合があります。

修学資金は月額5万円以内

もっとも中心となるのが修学資金で、月額5万円以内が貸付の目安とされています(出典1、出典4)。在学期間中、月ごとに貸付を受ける形が基本です。月額5万円という金額は、学費そのものというより、教材費や通学交通費、生活費の一部を補う趣旨の金額として設定されていると考えられます。養成施設の学費は学校によって幅がありますが、修学資金だけで学費全額を賄うことを想定した制度ではなく、他の奨学金や家計からの支出と組み合わせて活用する前提の金額であることを理解しておくとよいでしょう。

入学準備金・就職準備金は各20万円以内

養成施設への入学時にかかる費用に充てる入学準備金、卒業後の就職に際してかかる費用に充てる就職準備金は、それぞれ20万円以内が目安です(出典4、出典7)。修学資金とは別枠で、入学時・卒業時にまとまった額を借りられる仕組みになっています。入学準備金は、入学金や教材費、実習で使う白衣・器具の購入費など、入学時にまとまって発生する費用に充てることを想定した資金です。一方の就職準備金は、卒業後に介護・福祉の職場に就職する際の引っ越し費用や勤務用の物品購入費などをイメージした資金で、卒業間際から就職直後にかけての一時的な出費を補う役割を持っています。修学資金が「在学中の毎月の家計を助ける」ものであるのに対し、これら準備金は「節目でまとまって出ていくお金を助ける」ものという違いで理解すると分かりやすいでしょう。

介護福祉士国家試験受験対策費用

介護福祉士国家試験の受験対策にかかる費用として、年度あたり4万円以内の貸付枠が設けられています(出典1)。なお千葉県のように、2年分を合算した上限8万円という案内をしている都道府県もあり、金額の設定は自治体によって幅があります(出典9)。受験対策費用を利用する場合は、居住地・在学先の都道府県社会福祉協議会が示す上限額を必ず確認してください。

生活保護世帯等への生活費加算

修学資金には、世帯の状況に応じて生活費相当額が加算される仕組みがあります。

加算の対象となる世帯

生活保護世帯など、一定の要件に該当する世帯の学生については、修学資金に生活費加算が上乗せされる制度が設けられています(出典1)。対象となる世帯の具体的な範囲は都道府県の案内により定められているため、該当するかどうかは申込窓口である都道府県社会福祉協議会に確認するのが確実です。

加算額の考え方

加算額は、生活扶助基準に相当する額を目安に設定されているとされますが、具体的な金額や算定方法は都道府県によって細部が異なります。断定的な金額をここで示すことは避けますが、生活保護世帯等に該当する場合は通常の修学資金に加えて追加の貸付を受けられる可能性がある、という制度の枠組みを押さえておくとよいでしょう。生活費加算が設けられている背景には、経済的に厳しい状況にある世帯の学生ほど、進学そのものを諦めやすいという実情があります。修学資金の月額だけでは在学中の生活費をカバーしきれないケースを想定し、より手厚い支援を行うことで、経済的な事情による進学断念を防ごうとする制度趣旨が反映されていると考えられます。加算の対象になるかどうかや加算額の具体的な算定は世帯の収入状況等によって個別に判断されるため、心当たりがある人はまず都道府県社会福祉協議会の窓口に相談してみることをおすすめします。

返還が免除される仕組み

この制度の大きな特徴は、卒業後に一定期間、対象となる仕事に継続して従事すれば、貸付を受けた資金の返還が全額免除される点です。

原則は卒業後5年間の継続従事

介護福祉士養成施設を卒業した場合、原則として卒業後速やかに介護福祉士の登録を行い、貸付を受けた都道府県内で介護等の業務に5年間継続して従事すると、修学資金・入学準備金・就職準備金・受験対策費用のすべてが返還免除になります(出典1、出典4)。社会福祉士養成施設の卒業者についても同様に、相談援助業務への継続従事が免除の条件です。この「借りて終わり」ではなく「働いて返す」という設計こそが、この制度の中心的な考え方です。単に学費を援助するだけであれば給付型の奨学金でもよいはずですが、あえて貸付という形をとり、地域の介護・福祉現場で一定期間実際に働くことを条件に課すことで、介護人材が不足している地域に資格取得者を定着させる政策的な狙いが込められています。従事する業務内容や勤務先が「介護等の業務」「相談援助業務」に該当するかどうかは、貸付を受けた都道府県社会福祉協議会が個別に確認する運用になっているため、就職先を決める段階で該当するかどうかを事前に相談しておくと、後のトラブルを避けやすくなります。

1,825日以上かつ実働900日以上という具体的基準

「5年間継続して従事した」とみなされるかどうかには、具体的な日数の基準があります。在職期間が1,825日以上(暦の上での5年分)に達していることに加えて、実際に勤務した日数(実働日数)が900日以上であることが求められます(出典1)。育児休業や病気療養などで長期間休んだ期間があっても在職期間としてはカウントされる一方、実働日数が積み上がっていなければ免除の対象にならない、という二重の基準になっている点に注意が必要です。たとえば産休・育休を取得しながら5年間在職を続けた場合、在職期間としては1,825日を満たしていても、実際に出勤して働いた日数が900日に届かなければ、免除の要件を満たさない可能性があります。ライフイベントで長期の休業を挟む見込みがある人は、実働日数の要件についても早めに社会福祉協議会に確認しておくと安心です。

返還免除に必要な2つの基準在職期間1,825日以上と実働日数900日以上の両方を満たすと返還が全額免除になる免除の条件(両方を満たす)在職期間1,825日以上(暦の上で5年分)+実働日数900日以上(実際に勤務した日数)返還が全額免除(都道府県内の介護等の業務に従事)
図:返還免除に必要な2つの基準。在職期間1,825日以上(暦の上で5年分)と実働日数900日以上の両方を満たすことが条件です。

過疎地域勤務・中高年離職者は3年間に短縮

一定の要件に該当する場合、継続従事すべき期間が5年間から3年間に短縮される特例があります。具体的には、都道府県が指定する過疎地域等の区域にある事業所で勤務する場合や、中高年齢で離職して養成施設に入学した人が対象とされています(出典1、出典4)。また、福祉系高校を卒業した場合の継続従事期間も3年間とされています。地域の介護人材不足の解消や、離職者の再就職支援という制度の狙いが、この短縮特例に表れています。都市部に比べて介護人材の確保がより難しいとされる過疎地域では、資格取得者が定着しにくいという課題があり、通常より短い期間で返還免除に至る特例を設けることで、就労先として過疎地域の事業所を選びやすくする狙いがあると考えられます。また、いったん社会人としてのキャリアを経てから介護福祉士を目指す中高年離職者についても、若年層より現場経験や生活基盤があることを踏まえ、短めの従事期間で制度を利用しやすくする配慮がなされていると理解できます。

一部免除される場合

継続従事の期間を満たせなかった場合でも、全額返還が求められるとは限りません。

貸付期間相当の勤務での按分免除

都道府県によっては、原則の5年間(または短縮特例の3年間)を満たせなかった場合でも、実際に勤務した期間に応じて貸付金の一部が免除される規定を設けています。愛知県の例では、貸付を受けた期間に相当する分だけ勤務した場合に、その勤務期間の割合に応じて返還が一部免除される仕組みが案内されています(出典7)。これはあくまで愛知県における一例であり、一部免除の考え方や計算方法は都道府県ごとに定めが異なるほか、そもそも一部免除の仕組み自体を設けていない都道府県がある可能性も否定できません。途中で離職を検討する場合は、貸付を受けた都道府県社会福祉協議会に、按分免除の規定があるかどうかも含めて事前に確認することが重要です。結婚や転居、体調面の事情などやむを得ない理由で継続従事を続けられなくなった場合でも、愛知県のようにそれまでの勤務実績が一定程度考慮される都道府県もありますが、これを他の都道府県にそのまま当てはめられるとは限りません。無断で離職した場合や、そもそも介護・福祉の業務に一度も従事しなかった場合は、一部免除の対象外となり全額返還を求められることもあるため、離職を考える段階で早めに窓口へ相談する姿勢が大切です。

実務者研修施設在学者向け制度との違い

介護福祉士養成施設向けの制度とは別に、実務者研修施設の在学者を対象とした修学資金貸付制度があります。名称は似ていますが、対象要件・貸付額・免除に必要な年数が異なる別枠の制度です。介護福祉士実務者研修とはどのような研修かを解説した記事もあわせてご覧ください。

対象要件・貸付額・免除年数の違い

実務者研修施設在学者向けの修学資金貸付は、実務者研修の受講費用に充てることを想定した制度で、貸付額の上限は20万円以内とされています(出典5)。返還免除に必要な継続従事期間は、養成施設卒業者の原則5年間に対して、実務者研修施設在学者向けの制度では2年間継続して従事することが免除の条件とされている点が大きく異なります(出典5)。実務者研修は働きながら受講する人も多いため、貸付額や免除年数の設計が、より短期間・少額の資金ニーズに合わせた形になっていると理解しておくとよいでしょう。養成施設向けの制度が「これから専門課程で数年学ぶ学生」を想定しているのに対し、実務者研修施設在学者向けの制度は「すでに介護の現場で一定の経験があり、研修受講費用だけを必要としている人」を想定しているため、貸付額が20万円以内という一時金に近い形にとどまり、免除に必要な従事期間も2年間と短めに設定されていると考えられます。すでに介護職として働きながら実務者研修の受講を検討している人にとっては、こちらの別枠制度の方が実情に合っている場合が多いでしょう。

介護職員再就職準備金貸付事業との違い

名称が似ている制度に「介護職員再就職準備金貸付事業」がありますが、こちらは修学資金貸付制度とは対象者も仕組みも異なる別の制度です。介護職員再就職準備金貸付制度とは何かを解説した記事で詳しく説明していますので、あわせて確認してください。

対象は離職した現職経験者

介護福祉士等修学資金貸付制度が養成施設等に在学する学生を対象とするのに対し、介護職員再就職準備金貸付事業は、介護の仕事から一度離職した人が、再び都道府県内の介護事業所に就職しようとする際に利用する制度です(出典6)。学生ではなく、すでに介護の実務経験がある離職者を対象としている点が根本的に異なります。

免除までの年数の違い

返還免除に必要な期間や貸付の体系も、修学資金貸付制度とは別に定められています。修学資金貸付制度が卒業後5年間(短縮特例で3年間)の継続従事を原則とするのに対し、再就職準備金貸付事業は再就職後の一定期間の継続勤務を条件とする、独立した制度設計になっています(出典6)。両制度は対象者が重ならない設計になっているため、進学を検討している人は修学資金貸付制度を、介護の仕事に一度離れてから戻ろうとしている人は再就職準備金貸付事業を、それぞれ確認するのが基本的な使い分けです。

申込方法と注意点

実際に貸付を申し込む際の窓口や、利用にあたっての注意点を確認しておきましょう。

申込窓口は都道府県社会福祉協議会

申込先は、養成施設等が所在する都道府県、または申込者の住所地の都道府県社会福祉協議会です(出典3、出典4、出典7、出典8、出典9)。募集時期や必要書類、選考の有無は都道府県ごとに異なるため、進学先や居住地の社会福祉協議会の公式案内を確認したうえで、早めに問い合わせることをおすすめします。

一般的な公的貸付制度の流れとして、申込は個人が直接社会福祉協議会の窓口に持ち込むのではなく、在学する養成施設等を経由して行う形が多く見られます。まず在学先の養成施設や実務者研修施設の窓口で制度の案内を受け、申込書や在学証明書、住民票、収入状況が分かる書類などを準備したうえで、施設を通じて都道府県社会福祉協議会に申請書類一式を提出するという流れが一般的です。提出後は社会福祉協議会側で申込内容の審査が行われ、要件を満たしていることが確認できれば貸付決定の通知が届き、以降は月々の修学資金が指定の口座に振り込まれる、という段取りになるのが典型的なイメージです。年度の途中から申込を受け付けているか、年に一度の募集時期に限られるかも都道府県によって異なるため、進学が決まった時点でできるだけ早く在学先の窓口に相談を始めることが、貸付開始のタイミングを逃さないための実務上のポイントになります。

申込から貸付開始までの流れ在学先の窓口で案内を受け、申込書類を準備し、施設を通じて都道府県社会福祉協議会に提出、審査を経て貸付が決定し、月々の修学資金が振り込まれる1在学先の窓口で案内を受ける2申込書類を準備する3施設経由で都道府県社協に提出4社会福祉協議会が審査する5貸付決定月々の修学資金が振り込まれる
図:申込から貸付開始までの一般的な流れ。在学先の窓口を経由して都道府県社会福祉協議会に申請し、審査後に貸付が決定します。

他制度との重複利用はできない

介護福祉士等修学資金貸付制度は、他の同種の奨学金・貸付制度と重複して利用できない場合があります。すでに他の修学資金や奨学金を利用している場合は、併用の可否について事前に社会福祉協議会に確認する必要があります。

最新の金額・要件は年度により変わりうる

この記事で紹介した貸付額の上限や継続従事の年数は、厚生労働省および複数の都道府県社会福祉協議会が公表している情報にもとづくものですが、貸付額・要件は都道府県・年度により異なる場合があります。実際に申し込む際は、必ず貸付を受ける都道府県社会福祉協議会の公式サイトで最新の情報を確認してください。

まとめ

0年 2年 実務者研修 施設在学者向け 3年 過疎地域勤務・ 中高年離職者等 5年(原則) 介護福祉士等 養成施設卒業者

図:返還免除に必要な継続従事年数の比較。原則5年間のところ、要件により3年間・2年間に短縮される仕組みです。

  • 介護福祉士等修学資金貸付制度は、養成施設等の在学者に月5万円以内の修学資金等を無利子で貸し付ける制度で、都道府県社会福祉協議会が窓口となっている。
  • 貸付額は修学資金(月額5万円以内)、入学準備金・就職準備金(各20万円以内)、受験対策費用(年度4万円以内)に分かれる。
  • 卒業後速やかに資格登録し、貸付を受けた都道府県内で原則5年間継続して介護・相談援助業務に従事すれば返還が全額免除される。過疎地域勤務・中高年離職者・福祉系高校卒業者は3年間に短縮される。
  • 免除に至らない場合でも、勤務期間に応じた一部免除の規定を設ける都道府県がある。
  • 実務者研修施設在学者向けの別枠制度や、離職者向けの介護職員再就職準備金貸付事業とは対象・貸付額・免除年数が異なるため、自分の状況に合う制度を都道府県社会福祉協議会で確認することが重要。

この記事は制度の一般的な仕組みを公表情報にもとづき整理したものであり、個別の貸付可否や金額を保証するものではありません。介護・福祉の各種制度を横断的に扱う編集方針についてはこのサイトの立ち位置もあわせてご確認ください。

よくある質問

介護福祉士等修学資金貸付制度とはどのような制度ですか。

介護福祉士・社会福祉士養成施設や福祉系高校、実務者研修施設に在学する人を対象に、月5万円以内の修学資金などを無利子で貸し付ける制度です。都道府県から委託を受けた都道府県社会福祉協議会が窓口となって運営しており、卒業後に一定期間介護・福祉の現場で働けば返還が免除される、いわば「借りて働いて返す」仕組みになっています。

修学資金はいくら借りられますか。

修学資金は月額5万円以内が目安です。このほか入学時の入学準備金・卒業後の就職準備金が各20万円以内、介護福祉士国家試験の受験対策費用が年度4万円以内の枠で貸付を受けられます。金額は都道府県・年度により異なる場合があるため、申込前に居住地または進学先の社会福祉協議会で最新の上限額を確認するのが確実です。

返還が免除されるのはどのような場合ですか。

卒業後速やかに資格登録し、貸付を受けた都道府県内で介護・相談援助業務に原則5年間継続して従事すると、返還が全額免除されます。具体的には在職期間1,825日以上かつ実働日数900日以上が基準で、休業期間が長いと実働日数が積み上がらず要件を満たせないことがあります。過疎地域勤務や中高年離職者、福祉系高校卒業者は継続従事期間が3年間に短縮されます。

5年間続けられなかった場合、貸付金は全額返還する必要がありますか。

都道府県によっては、継続従事した期間の割合に応じて貸付金の一部が免除される按分の規定を設けている場合があります。結婚や体調面の事情などやむを得ない理由で離職する場合でも、それまでの勤務実績が考慮されることがあるため、全額返還になるとは限りません。離職を検討する際は、無断で辞めてしまう前に貸付を受けた都道府県社会福祉協議会へ早めに相談することが重要です。

介護職員再就職準備金貸付事業との違いは何ですか。

介護福祉士等修学資金貸付制度は養成施設等に在学する学生を対象とするのに対し、介護職員再就職準備金貸付事業は介護の仕事から一度離職した人が、再び都道府県内の事業所に就職しようとする際に利用する別の制度です。対象者(学生か離職経験者か)も、免除に必要な年数も別々に定められています。

実務者研修施設在学者向けの制度とはどう違いますか。

実務者研修施設在学者向けの修学資金貸付は貸付額20万円以内の一時金に近い形で、返還免除に必要な継続従事期間は2年間とされています。すでに介護の現場で働きながら実務者研修を受講する人を想定した制度で、養成施設卒業者向けの制度(原則5年間)とは対象者像も貸付額の規模も異なる別枠の制度です。

参考・出典

  1. 介護福祉士等修学資金貸付制度の運営について (厚生労働省)
  2. 福祉・介護人材確保に関する施策紹介 (厚生労働省)
  3. 資格取得に関する各種支援、修学資金貸付制度 (東京都福祉局)
  4. 介護福祉士・社会福祉士養成施設在学者向け修学資金貸付事業 (東京都社会福祉協議会)
  5. 実務者研修施設在学者向け修学資金貸付事業 (東京都社会福祉協議会)
  6. 離職介護人材再就職準備金貸付事業 (東京都社会福祉協議会)
  7. 介護福祉士等修学資金貸付事業の概要 (愛知県社会福祉協議会)
  8. 介護福祉士等修学資金貸付 (福岡県社会福祉協議会)
  9. 介護福祉士修学資金・社会福祉士修学資金とは? (千葉県福祉人材センター)