有料老人ホームとは|介護付き・住宅型・健康型の3種類の違いを解説

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目次

有料老人ホームは、民間事業者が運営する高齢者向けの住まいで、「介護付き」「住宅型」「健康型」の3タイプに分かれます。この記事では、それぞれの特徴と費用の違いに加え、老人福祉法にもとづく届出制度の仕組み、特定施設入居者生活介護の指定基準、入居一時金の保全措置、クーリング・オフ(90日ルール)、サービス付き高齢者向け住宅との違いまで、法令や厚生労働省の資料にもとづいて詳しく解説します。

有料老人ホームとは何か

有料老人ホームとは、老人福祉法にもとづき都道府県等への届出を行ったうえで、食事の提供や介護、家事、健康管理のいずれかのサービスを提供する高齢者向けの施設です。特別養護老人ホームのような公的施設と異なり、民間事業者が運営するため、立地・設備・サービス内容の幅が非常に広いのが特徴です。

有料老人ホームを開設する事業者は、老人福祉法第29条にもとづき、事業開始前に都道府県知事等への届出が義務付けられています。この届出の枠組みの中で、提供するサービス内容によって「介護付き」「住宅型」「健康型」の3タイプに分類されます。

介護付き・住宅型・健康型の3タイプ

3タイプの大きな違いは、介護が必要になったときにどこがサービスを提供するかという点です。介護付きは施設自体が介護サービスを提供し、住宅型は外部の訪問介護等を個別に契約し、健康型はそもそも介護が必要な方を対象としていません。以下でそれぞれ詳しく見ていきます。

健康型有料老人ホームの特徴

健康型有料老人ホームは、家事支援や食事の提供などのサービスが付いた住まいで、身の回りのことを自分でできる健康な高齢者を対象としています。温泉やスポーツジムなど、健康維持のための設備を備えた施設もあります。介護が必要になった場合は退去し、他の施設や自宅に移る必要があるため、あくまで元気なうちの選択肢という位置づけです。厚生労働省の資料によれば、平成25年度時点で健康型は3タイプの中で件数が最も少なく、全体に占める割合はごくわずかにとどまっています。

有料老人ホームの届出制度と行政による監督の仕組み

有料老人ホームは営業許可制ではなく届出制の施設です。ここでは、老人福祉法に定められた届出の仕組みと、都道府県知事等が持つ監督権限、そして全国の届出状況について、法令にもとづいて解説します。

老人福祉法にもとづく届出義務と設置運営標準指導指針

老人福祉法第29条第1項は、有料老人ホームを設置しようとする者に対し、事業開始前に施設の名称や設置予定地、設置者の氏名・住所などを都道府県知事等に届け出るよう義務付けています。この届出は「許可」や「認可」とは性質が異なり、届出をしていない場合でも、入居サービスと介護等サービスを一体的に提供している施設は、老人福祉法上の有料老人ホームとして扱われ、行政の指導監督の対象になります。届出の具体的な運用については、厚生労働省が示す「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」(平成14年老発第718003号)が、各都道府県が自らの指導指針を策定する際の標準モデルとなっており、居室面積について個室で1人あたり13㎡以上とする例が示されています(実際の基準は自治体ごとの指導指針によって異なります)。

都道府県知事による報告徴収・立入検査・改善命令

老人福祉法第29条第13項は、都道府県知事が有料老人ホームの設置者や管理者に対して運営状況等の報告を求め、職員に関係者への質問や施設への立入検査をさせる権限を定めています。検査の結果、入居者の処遇等に問題が認められた場合、同条第15項にもとづき改善に必要な措置を命じることができ、それでも改善されない場合には同条第16項にもとづき事業の制限または停止を命じることができます。これらの命令を行った場合、同条第17項によりその旨が公示されます。また、老人福祉法第29条第7項は、有料老人ホームの設置者に対し、入居者や入居しようとする者への介護等の内容に関する情報開示を義務付けています。さらに同条第11項・第12項では、設置者が運営状況等の「有料老人ホーム情報」を都道府県知事に報告し、知事がこれを公表しなければならないと定められており、入居希望者が施設間で比較検討できるよう情報公開の仕組みが用意されています。

全国の届出施設数・定員数の推移

厚生労働省の資料によると、有料老人ホームの届出施設数は、統計が確認できる平成元年度の155件・定員15,742人から、介護保険制度が始まった平成12年度には879件・定員36,855人、平成25年度には8,499件・定員349,975人まで増加しています(いずれも同資料時点の数値)。同じ資料の平成25年度時点の調査では、施設タイプの内訳は介護付きが3,308件(39%)、住宅型が5,100件(61%)、健康型が16件(0%)でした。同資料は急増の要因として、平成12年度の介護保険制度創設により民間事業者が運営しやすい環境が整ったことと、平成18年度の老人福祉法改正により有料老人ホームの定義から定員10人以上という要件が廃止され、対象サービスも「食事の提供」から「食事、介護、家事、健康管理のいずれか」へ拡大されたことの2点を挙げています。

あわせて、届出を行っていないいわゆる「未届有料老人ホーム」も一定数存在することが報告されています。同資料によると未届率は、平成21年が7.4%(施設数合計5,253件中389件)、平成22年が4.2%(5,966件中248件)、平成23年が3.7%(6,985件中259件)、平成24年が4.9%(8,266件中403件)、平成25年が9.3%(9,827件中911件)と推移しており、届出の有無にかかわらず、要件を満たす施設は行政の指導監督の対象になります。

介護付き有料老人ホーム

介護付き有料老人ホームは、都道府県知事等から「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。

特定施設入居者生活介護の指定

この指定を受けた施設では、入浴・排せつ・食事等の介護や機能訓練、療養上の世話などが、施設のスタッフによって一体的に提供されます。介護保険の給付対象となるため、外部のサービスを個別に手配する必要がありません。要介護度が重くなっても、原則として同じ施設で介護を受け続けられる点が特徴です。

人員配置の基準

特定施設入居者生活介護の人員配置基準では、看護・介護職員の合計が、要介護者3人に対して1人以上(3対1)を満たすことが求められています。実際の配置がこれより手厚い施設もあり、見学時に確認するとよいポイントです。

介護付き有料老人ホームの「特定施設入居者生活介護」指定基準

介護付き有料老人ホームが受ける「特定施設入居者生活介護」の指定には、介護保険法にもとづく人員基準・設備基準が定められています。ここでは、指定基準の内容を「一般型」と「外部サービス利用型」に分けて解説します。

一般型の人員基準

「指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準」(平成11年厚生省令第37号)第175条・第176条により、一般型の特定施設入居者生活介護では、専ら生活相談業務に従事する常勤の生活相談員を1人以上、看護職員を常時1人以上、介護職員を入居者3人(またはその端数を増すごと)に1人以上配置することが求められています。加えて、機能訓練指導員を1人以上、入居者ごとの「特定施設サービス計画」を作成する常勤の介護支援専門員(計画作成担当者)を1人以上配置することが基準として定められています。

設備基準

同基準の第177条第1項では、居室の床面積について入居者1人あたり8㎡以上とすることを最低基準とし、あわせて浴室・便所・食堂・機能訓練室などの共用設備を設けることが定められています。この8㎡という数値は介護保険の指定基準としての最低ラインであり、前述した老人福祉法側の指導指針が示す居室面積の目安(個室で13㎡以上等)とは、根拠となる法令が異なる点に注意が必要です。

外部サービス利用型特定施設入居者生活介護との違い

特定施設入居者生活介護には、施設の職員が直接介護を提供する「一般型」のほか、計画作成や安否確認等は施設が担い、実際の介護サービスの提供は外部の訪問介護事業所等に委託する「外部サービス利用型」があります。同基準の第192条の4から第192条の6では、外部サービス利用型について、計画作成担当者を常勤でなくとも配置できる、機能訓練指導員の配置を不要とするなど、一般型より人員基準が簡素化されている一方、居室の床面積基準(1人あたり8㎡以上)は一般型と同じ水準が求められています。外部サービス利用型を採用する施設は、入浴・排せつ・食事等の介護サービスそのものの提供を、あらかじめ委託契約を結んだ外部の指定居宅サービス事業者に委ねる仕組みであり、計画作成や安否確認など施設が直接担う業務と、外部委託される業務とが明確に区分されている点が一般型との大きな違いです。

住宅型有料老人ホーム

住宅型有料老人ホームは、生活支援サービスは提供するものの、介護保険の特定施設入居者生活介護の指定は受けていない施設です。

介護サービスは外部から個別に契約

介護が必要になった場合は、入居者自身(またはケアマネジャー)が訪問介護やデイサービスなどの外部の介護保険サービスを個別に契約して利用します。区分支給限度基準額の範囲内で、必要なサービスを選んで組み合わせる形になります。

要介護度が上がった場合の注意点

外部サービスの利用量が増えると、区分支給限度基準額を超えて全額自己負担になる部分が生じることがあります。要介護度が重くなった場合に、その施設で希望する水準のケアを受け続けられるかどうかは、契約前に確認しておきたい重要なポイントです。

住宅型有料老人ホームでの外部サービス利用の仕組み

住宅型有料老人ホームは特定施設の指定を受けていないため、介護が必要になった場合は、施設の外にある介護保険サービスを個別に契約して利用する形になります。ここでは、そのしくみを具体的に見ていきます。

ケアプラン(居宅サービス計画)の作成とケアマネジャーの役割

介護保険法第8条第24項では、居宅要介護者からの依頼を受けて、心身の状況や希望等を踏まえ、利用する指定居宅サービス等の種類・内容等を定めた「居宅サービス計画(ケアプラン)」を作成することが、居宅介護支援の業務として定められています。住宅型有料老人ホームの入居者は、この居宅介護支援事業者に所属する介護支援専門員(ケアマネジャー)と契約し、訪問介護・訪問看護・通所介護(デイサービス)などの外部サービスを組み合わせたケアプランを作成してもらったうえで、各サービス事業者と個別に契約を結ぶことになります。

区分支給限度基準額と自己負担が生じる仕組み

介護保険の居宅サービスには、要介護状態区分(要介護1〜5等)ごとに、保険給付の対象となる利用限度額(区分支給限度基準額)が定められています。住宅型有料老人ホームの入居者が組み合わせて利用する訪問介護等のサービス費用も、この限度額の範囲内であれば所得に応じた1〜3割の自己負担で利用できますが、限度額を超えた分は保険給付の対象外となり全額自己負担になります。要介護度が重くなり必要なサービス量が増えるほど、限度額を超過しやすくなる点に注意が必要です。

混合介護・上乗せサービスとの契約関係

住宅型有料老人ホームの多くは、施設独自の生活支援サービス(見守り、生活相談、緊急時対応等)を提供しており、これらは介護保険の給付対象外の「上乗せサービス」として、施設との契約にもとづき別途利用料を支払う形が一般的です。介護保険サービスとこうした保険外サービスをあわせて利用することは、混合介護と呼ばれることがあります。どのサービスが介護保険の対象で、どれが施設独自の契約にもとづく自己負担なのかは、契約前に重要事項説明書等で確認しておくことが大切です。また、有料老人ホーム設置運営標準指導指針の第8条(7)では、入居者の介護サービスの利用にあたり、設置者やこれと関係のある事業者など特定の事業者からのサービス提供に限定または誘導せず、入居者が希望する介護サービスの利用を妨げないことが定められています。同指針第2条(5)でも、特定の事業者のサービスを利用させるような入居契約の締結等によって、入居者が希望する医療・介護サービスの利用を設置者が妨げてはならない旨が示されており、この点は重要事項説明書にも記載・説明すべき事項とされています(同指針第12条(4)三ホ)。

費用の目安

有料老人ホームの費用は、入居一時金と月額費用の2つで構成されるのが一般的です。

入居一時金の仕組み

入居一時金は、施設を利用する権利(終身利用権)の対価として支払う費用で、金額は施設によって数十万円から数千万円まで大きな幅があります。一時金には償却期間が設定されているのが一般的で、一定期間内に退去した場合は未償却分が返還されます。入居一時金が不要な施設もあり、その場合は月額費用がやや高めに設定される傾向があります。なお、有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、契約時に受領する前払金のうち内金として受領できる額は前払金全体の20%以内とし、残りの金額は入居(引渡し)日前の合理的な期日以降に受領することとされています。

月額費用の内訳

月額費用は、居住費(家賃相当額)・管理費・食費・介護サービス費(自己負担分)などで構成されます。施設タイプ・立地・居室のグレードによって費用の傾向は大きく異なり、詳しい比較は老人ホームの費用相場の記事にまとめています。

特別養護老人ホームとの費用・入居条件の違い

特養は公的施設で原則要介護3以上が対象、費用を抑えやすい一方、入所には条件と順番待ちがあります。有料老人ホームは要介護度にかかわらず入居しやすく、費用は特養より高くなる傾向がある一方、比較的すぐに入居できる施設が多いという違いがあります。

入居一時金(前払金)の保全措置

入居一時金(前払金)は高額になることがあるため、老人福祉法では、施設の倒産等に備えた保全措置が設置者に義務付けられています。ここでは、その法的根拠と実際の保全方法を解説します。

保全措置が義務付けられる法的根拠と対象範囲

老人福祉法第29条第9項は、終身にわたって受領すべき家賃等の全部または一部を前払金として一括受領する有料老人ホームの設置者に対し、前払金の算定根拠を書面で明示するとともに、返還債務を負うことになった場合に備えて厚生労働省令の定めるところにより必要な保全措置を講じることを義務付けています。この保全措置の義務は平成18年4月1日以降に届出をした施設が対象で、それより前に届出済みの施設には法的な義務付けはありません。保全措置の具体的な内容は、「厚生労働大臣が定める有料老人ホームの設置者等が講ずべき措置」(平成18年厚生労働省告示第266号)にもとづき、銀行の債務保証等の方法によることとされています。契約前に、重要事項説明書でどの保全措置の方法が採用されているかを確認しておくことが、入居者自身の権利を守るうえで大切です。

保全の方法

保全措置の具体的な方法には、銀行等による連帯保証、保険会社による保証保険、信託会社等との信託契約、業界団体である公益社団法人全国有料老人ホーム協会の入居者生活保証制度などがあります。厚生労働省の調査(平成25年10月31日時点)では、平成18年4月1日以降に設置され前払金を徴収している1,201施設のうち、銀行等による連帯保証が424件、全国有料老人ホーム協会の制度が333件、信託会社等との信託契約が288件、保険会社の保証保険が9件、親会社による連帯保証が6件である一方、保全措置を講じていない施設が141件確認されており、行政による指導の対象とされています(いずれも同調査時点の数値)。

権利金等の受領禁止

老人福祉法第29条第8項は、家賃・敷金、および介護等の日常生活上必要な便宜の対価として受領する費用を除き、権利金その他の金品を受領してはならないと定めています。前払金は家賃等の対価として算定根拠を明示したうえで受領するものであり、対価の内容が不明確な「権利金」名目での金銭受領は法律で禁止されています。

クーリング・オフ制度(90日ルール)の仕組み

有料老人ホームには、契約後の短期間であれば入居一時金の大部分が返還される、いわゆる「90日ルール」と呼ばれる仕組みがあります。ここでは、その法的根拠と実務上の運用を解説します。

90日ルールの法的根拠と対象となる契約

老人福祉法第29条第10項は、前払金を受領する有料老人ホームの設置者に対し、入居した日から厚生労働省令で定める一定の期間を経過する日までの間に契約が解除された場合、または入居者が死亡して契約が終了した場合に、前払金から一定の方法で算定される額を控除した金額を返還する契約を締結することを義務付けています。この「厚生労働省令で定める一定の期間」が実務上90日とされており、「90日ルール」と呼ばれています。厚生労働省の資料でも、有料老人ホーム設置運営標準指導指針にもとづき、90日以内の契約解除の場合には既に受領した一時金の全額を返還することとされている旨が示されています。この90日ルールは、もともと業界の指導指針にもとづく運用にとどまっていましたが、平成22年12月の消費者委員会による建議を受けて老人福祉法が改正され、前払金の返還契約の締結が法律上の義務として明確化された経緯があります。

返還される金額の計算方法

90日以内に契約が解除された場合、前払金は全額返還が原則ですが、厚生労働省の資料によれば、契約解除日までに実際に施設を利用した期間分の利用料や、原状回復のための費用については、適切な範囲で設定したうえで受領することは差し支えないとされており、その内容は契約書等に明示することが求められています。つまり「全額返還」といっても、実際の利用実費相当分は差し引かれるのが一般的な運用です。また、90日を超えて契約が終了した場合でも、あらかじめ設定された「想定居住期間」の範囲内であれば、契約終了時点から想定居住期間の満了までの期間に応じた金額を前払金の中から返還する仕組みが一般的に設けられています。想定居住期間を超えて契約が終了した場合は、前払金の返還がないのが通常です。これが、入居一時金に設定される「償却期間」という考え方の基礎になっています。

重要事項説明書への記載状況

90日ルールは老人福祉法本体ではなく指導指針等にもとづく運用であるため、実際にこの条項を重要事項説明書に記載していない施設も存在します。厚生労働省の資料が引用する消費者委員会の調査(平成22年12月)では、一時金徴収型または選択型の有料老人ホーム1,196施設のうち、90日ルールに該当する条項の記載がない施設が370施設(30.9%)にのぼったことが報告されています。契約前に、重要事項説明書で契約解除時の返還ルールが明記されているかを確認することが重要です。

独立行政法人国民生活センターの調べでは、有料老人ホームに関する消費者相談件数は平成17年度の255件から、平成22年度634件、平成23年度560件へと増加傾向にありました。相談内容を分類した平成21年度の調査(消費者委員会調べ)では、相談428件のうち「08.契約・解約」に関するものが340件と、全体の79.4%を占めており、契約解除や返還金をめぐるトラブルが相談の中心的なテーマであったことがうかがえます。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)との違いの詳しい比較

有料老人ホームとしばしば比較される住まいに、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)があります。ここでは、根拠法や登録基準、契約形態の違いを具体的に見ていきます。

根拠法と登録基準の違い

有料老人ホームは老人福祉法にもとづく届出施設であるのに対し、サ高住は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」にもとづき都道府県知事の登録を受けた住宅です。同法第7条第1項では、登録の基準として、各住戸の床面積が国土交通省令・厚生労働省令で定める規模以上であること、構造・設備が高齢者の入居に支障がないものとして定める基準に適合すること、そして状況把握サービスおよび生活相談サービスを提供するものであることが定められています。さらに同法第7条第1項第8号では、家賃等の前払金を受領する事業者に対し、返還債務を負うことになった場合に備えて国土交通省令・厚生労働省令の定めるところにより必要な保全措置を講じることも登録基準として求めており、この点は老人福祉法にもとづく有料老人ホームの前払金保全措置の仕組みと共通しています。

契約形態とサービス内容の違い

項目有料老人ホームサービス付き高齢者向け住宅
根拠法老人福祉法(届出)高齢者の居住の安定確保に関する法律(登録)
必須サービス食事・介護・家事・健康管理のいずれか状況把握サービス・生活相談サービス
契約形態利用権方式が中心賃貸借契約が中心
介護保険サービス介護付きは特定施設として一体的に提供外部の訪問介護等を個別に契約するのが基本

有料老人ホームの多くは、居室等を利用する権利を得る「利用権方式」の契約であるのに対し、サ高住は入居者と事業者が賃貸借契約を結ぶ「住宅」としての性格が強い点が異なります。サ高住が提供を義務付けられているのは状況把握サービスと生活相談サービスに限られ、介護が必要になった場合は、住宅型有料老人ホームと同様に外部の訪問介護等を個別に契約して利用するのが基本です。

介護が必要になった場合の対応の違い

介護付き有料老人ホームは特定施設入居者生活介護の指定を受けているため、要介護度が重くなっても施設のスタッフによる介護サービスを一体的に受け続けられます。一方、サ高住は住宅としての位置づけが基本であるため、要介護度が重くなった場合に、外部サービスの組み合わせでは対応が難しくなり、退去や住み替えが必要になるケースもあります。近年は特定施設の指定を受けたサ高住も増えており、こうした住宅は「介護付きサービス付き高齢者向け住宅」などと呼ばれることがありますが、その場合も介護保険法上は介護付き有料老人ホームと同じ特定施設入居者生活介護の指定基準(人員基準・設備基準)が適用されます。

選ぶ際の注意点

契約前に確認しておきたい点を整理します。

重要事項説明書の確認

運営法人の概要、職員体制、サービス内容、利用料金、退去要件などが記載された重要事項説明書の交付・説明が法令で義務付けられています。選び方の詳細は老人ホームの選び方の記事で解説しています。

運営事業者の安定性

終身にわたって利用する施設であるため、運営事業者の経営が安定しているかどうかも長期的な安心材料になります。入居一時金の保全措置の有無や、その方法(銀行保証・信託等)も、契約前に確認しておくとよいでしょう。

他の市区町村の施設に入居する場合の住所地特例

介護保険は原則として住民票のある市区町村(保険者)から保険給付を受ける制度ですが、介護保険法第13条は、有料老人ホームなどの「住所地特例対象施設」に入所・入居するために他の市区町村へ住所を移した被保険者について、施設所在地の市区町村ではなく、入所前に住んでいた市区町村が引き続き保険者となる特例を定めています。同条第2項では、複数の対象施設に続けて入所する場合についても、最初に入所した施設に移る前の住所地の市区町村を保険者とする措置が定められています。これにより、施設が多く所在する市区町村に保険給付の財政負担が偏ることを防ぎ、遠方の施設に入居する場合でも、それまでの保険者から安定して給付を受けられる仕組みになっています。

まとめ

  • 有料老人ホームは老人福祉法にもとづく届出施設で、介護付き・住宅型・健康型の3タイプがある
  • 介護付きは特定施設入居者生活介護の指定基準(人員・設備基準)を満たし、要介護度が重くなっても住み続けやすい
  • 住宅型は外部の介護保険サービスを個別に契約する形式で、区分支給限度基準額を超えると自己負担が生じる
  • 入居一時金には保全措置と、契約から一定期間内であれば返還を受けられるクーリング・オフ(90日ルール)の仕組みがある
  • サ高住とは根拠法・契約形態が異なるため、契約前に重要事項説明書で指定基準・保全措置・返還ルールを確認することが大切

この記事で取り上げた基準や統計は、いずれも老人福祉法・介護保険法・関連省令および厚生労働省の資料にもとづく内容ですが、介護保険制度は原則として3年ごとに見直しが行われるほか、老人福祉法や関連する基準省令が改正されることもあります。届出施設数や未届率などの統計データも、それぞれ調査時点のものです。契約や制度理解にあたっては、都道府県・市区町村の窓口や施設の重要事項説明書で、最新の情報を確認することが大切です。

よくある質問

介護付き有料老人ホームと住宅型有料老人ホームの違いは何ですか?

介護付きは特定施設入居者生活介護の指定を受け、施設のスタッフが介護サービスを一体的に提供します。住宅型は外部の訪問介護等を個別に契約する形式で、サービスの提供主体が異なります。

健康型有料老人ホームには要介護の方も入居できますか?

健康型は身の回りのことを自分でできる健康な高齢者が対象です。介護が必要になった場合は、他の施設や自宅への住み替えが必要になります。

入居一時金は退去したら返ってきますか?

入居一時金には償却期間が設定されているのが一般的で、一定期間内に退去した場合は未償却分が返還されます。また、老人福祉法にもとづき、入居後一定期間(実務上90日)以内の契約解除であれば、実費相当分を除いた額が返還される仕組みもあります。契約前に返還ルールを確認することが大切です。

クーリング・オフ(90日ルール)とはどのような制度ですか?

有料老人ホームへの入居後、厚生労働省令で定める一定の期間(実務上90日)以内に契約が解除された場合、前払金から実際の利用期間分の利用料等を控除した額を返還する契約を締結することが老人福祉法第29条第10項で義務付けられています。この仕組みは一般に「90日ルール」と呼ばれています。

有料老人ホームとサ高住の違いは何ですか?

サ高住は「高齢者の居住の安定確保に関する法律」にもとづく登録住宅で、状況把握サービスと生活相談サービスの提供が必須です。有料老人ホームは老人福祉法にもとづく届出施設で、契約形態も利用権方式が中心という違いがあります。

有料老人ホームの人員配置基準はどうなっていますか?

介護付き有料老人ホーム(特定施設入居者生活介護の一般型)では、生活相談員・看護職員をそれぞれ配置したうえで、看護・介護職員の合計が要介護者3人に対して1人以上(3対1)を満たすことが基準として定められています。

参考・出典

  1. 介護サービス情報公表システムの解説 (厚生労働省)
  2. 介護保険制度の概要 (厚生労働省)
  3. 老人福祉法(第29条) (デジタル庁(e-Gov法令検索))
  4. 有料老人ホームの設置運営標準指導指針について (厚生労働省)
  5. 有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅に関する資料 (厚生労働省)
  6. 指定居宅サービス等の事業の人員、設備及び運営に関する基準 (デジタル庁(e-Gov法令検索))
  7. 介護保険法(第8条・第13条ほか) (デジタル庁(e-Gov法令検索))
  8. 高齢者の居住の安定確保に関する法律(第7条) (デジタル庁(e-Gov法令検索))