サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは|登録基準と費用の目安を国交省・厚労省データで解説

目次

一人暮らしの親や配偶者の様子が心配になってきたけれど、施設に入るほどではない——そう感じたときによく候補にあがるのが「サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)」です。サ高住は、国土交通省と厚生労働省が共管する登録制度にもとづく高齢者向けの賃貸住宅で、安否確認と生活相談が必須サービスとして付き、自宅に近い自由度で暮らせます。一方で、設備やサービス内容の差が住宅ごとに大きいのも特徴です。この記事では、登録基準・入居条件・費用の目安・有料老人ホームとの違いを、国土交通省と厚生労働省の一次情報にもとづいて解説します。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)とは何か

サービス付き高齢者向け住宅は、2011年(平成23年)の「高齢者の居住の安定確保に関する法律」(高齢者住まい法)改正により創設された登録制度です(同年4月公布、同年10月施行)。国土交通省と厚生労働省が共管し、都道府県知事(政令市・中核市を含む)が登録を行います。バリアフリー構造を備え、安否確認・生活相談サービスが付いた賃貸住宅を都道府県等が登録し、家賃やサービス内容などの情報を公開することで、高齢者が自分に合った住まいを選べるようにする仕組みです。

制度の目的と登録状況

制度の目的は「高齢者の居住の安定を確保すること」です。単身または夫婦のみの高齢者世帯が増える中、自宅同様の生活の自由度を保ちながら、必要なときに安否確認や生活相談を受けられる住まいを増やすことがねらいとされています。国土交通省の資料によれば、登録は令和6年12月末時点で全国8,323棟・289,013戸にのぼります。より新しい集計(サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムの公表、2025年8月末時点)では8,326件・290,444戸となっており、登録件数はほぼ横ばいですが、登録戸数はわずかに増加しています。制度創設直後の平成23年12月末時点では登録戸数が数千戸にとどまっていたことを踏まえると、10年余りで全国的な住まいの選択肢として定着してきたことが分かります。

一般型サ高住と介護型サ高住の違い

サ高住は制度上ひとつの登録区分ですが、実務では「一般型」と「介護型」に分けて呼ばれることが一般的です。

  • 一般型:自立〜軽度の要介護状態の方を主な対象とし、住宅が提供する必須サービスは安否確認・生活相談のみ。入浴や排せつなどの介護が必要な場合は、入居者が個別に訪問介護事業所などと契約して外部サービスを利用します。
  • 介護型:都道府県から「特定施設入居者生活介護」(要介護者向けの介護サービスを、住宅内で一体的に提供できると認められた介護保険上の指定)を受けた住宅で、介護・看護職員が住宅に配置され、要介護度に応じた介護保険サービスを住宅内で一体的に受けられます。指定を受けていない一般的なサ高住より数は少ないのが実情です。

介護型として指定を受けているかどうかは物件ごとに異なるため、要介護度が進んだ場合の対応力を確認する際は、この区分を必ずチェックする必要があります。

有料老人ホームとの法的な違い

老人福祉法では、食事の提供・入浴や排せつなどの介護・洗濯や掃除などの家事・健康管理のいずれかを提供する住まいは「有料老人ホーム」に該当するとされています。サ高住であっても、これらのサービスを提供していれば本来は有料老人ホームに当たりますが、高齢者住まい法にもとづき登録された住宅は、老人福祉法上の有料老人ホームの届出義務が免除される特例が設けられています。つまりサ高住は、建築・登録の手続き上は高齢者住まい法、サービス実態としては老人福祉法の考え方の両方にまたがる制度だと理解しておくと分かりやすくなります。有料老人ホームとは|介護付き・住宅型・健康型の3種類の違いを解説で紹介している類型との違いも参考にしてください。入所条件や費用面でのより詳しい比較は、後述の「特別養護老人ホーム・有料老人ホームとの違い」でまとめて解説します。

サ高住の登録基準(国が定めるルール)

都道府県がサ高住として登録する際には、国が定めた「ハード」「サービス」「契約内容」の3分野の基準を満たす必要があります。この基準を満たさない住宅は「サービス付き高齢者向け住宅」を名乗ることができません。

床面積・設備の基準

ハード面の基準は次のとおりです。

  • 床面積は原則25平方メートル以上(居間・食堂・台所などを入居者が共同で利用できる十分な広さがある場合は18平方メートル以上でも可)
  • 各戸に台所・水洗便所・収納設備・洗面設備・浴室を備えること(台所・収納設備・浴室は、共同で利用できる十分な設備を共用部分に設ける場合、各戸への設置を省略可)

厚生労働省の資料(住戸数113,899戸を対象とした集計、平成24年前後のデータ)では、住戸面積が18平方メートル以上20平方メートル未満の住宅が全体の52%を占め、25平方メートル以上30平方メートル未満の住宅は17%にとどまるという実態が示されています。これらはあくまで国が定める最低限の基準です。登録基準の詳細な運用は都道府県ごとに定められるため、検討している地域の登録基準は、千葉県や大阪府の登録基準ページのように、自治体のページでもあわせて確認しておくと安心です。

バリアフリー構造の基準

登録には、次のようなバリアフリー基準を満たすことが求められます。

  • 段差のない床
  • 廊下幅78センチメートル以上
  • 居室の出入口幅75センチメートル以上
  • 浴室は短辺120センチメートル以上かつ面積1.8平方メートル以上
  • 必要箇所への手すりの設置
  • 寝室内への緊急通報装置の設置

これらはいずれも、将来歩行が不安定になったり車椅子や歩行器を使うようになったりしても、転倒しにくく移動しやすい住まいであるための基準です。見学の際は、廊下や居室の実際の広さを歩いて確かめておくとイメージがつかみやすくなります。

必須サービスとしての安否確認・生活相談

登録基準では、資格を持つ職員が、日中(おおむね9時から17時まで)は施設に常駐するか、訪問や電話などの方法で、状況把握(安否確認)サービスと生活相談サービスを1日1回以上提供することが必須とされています。この2つは、すべてのサ高住が例外なく備えるべき最低限のサービスです。

登録後の指導監督と登録取消し

登録はした時点で終わりではありません。都道府県知事は高齢者住まい法にもとづき、登録事業者に対して定期的な報告徴収や立入検査を行う権限を持っています。例えばさいたま市では、入居開始済みの住宅を対象に年1回程度の定期報告を求め、新規登録住宅・登録更新住宅・報告内容に疑義が生じた住宅などを対象に立入検査を実施し、運営状況や設備・利用状況が基準に適合しているかを確認しています。神奈川県でも、毎年10月1日時点の登録事項の状況について登録事業者に定期報告書の提出を義務付け、高齢者住まい法にもとづく立入検査を行っています。

国土交通省の解説によれば、次のいずれかに該当する場合、登録が取り消されることがあります。

  • 登録要件を満たさなくなった場合
  • 登録内容の変更を届け出なかった場合
  • 行政からの改善指示に従わなかった場合

登録が続いているサ高住であっても、基準の維持は事業者の自己申告に委ねられている部分があるため、見学時に自分の目で設備やサービス提供の実態を確かめることが欠かせません。

サ高住で提供されるサービスの内容

必須サービス:状況把握と生活相談

状況把握(安否確認)と生活相談は、すべての登録住宅で例外なく提供される必須サービスです。食事の提供や入浴等の介護は必須ではなく住宅ごとの任意サービスですが、実際にどこまで提供されているかは、厚生労働省の資料(登録数3,531件を対象とした集計、平成24年前後のデータですが傾向をつかむ参考として紹介します)から次のとおり分かります。

サービス内容提供している住宅の割合
状況把握・生活相談(必須)100%
食事の提供95%
健康の維持増進に関する相談等61%
調理などの家事援助52%
入浴等の介護50%

任意で提供される生活支援サービス

上の表のとおり、食事の提供はほとんどの住宅で行われている一方、入浴等の介護や家事援助は半数程度にとどまります。このほか、買い物代行や通院の付き添いなど、住宅独自のメニューを用意しているところもあります。どのサービスが基本料金に含まれ、どこからが別料金(実費・都度払い)になるかは住宅ごとに大きく異なるため、重要事項説明書や契約書で個別に確認する必要があります。

介護サービスの利用方法(外部利用と特定施設)

一般型サ高住では、要介護状態になった場合、訪問介護・訪問看護・通所介護(デイサービス)などの介護保険サービスを、入居者自身が外部の事業所と個別に契約して利用します。利用できる支給限度額や自己負担の考え方は在宅で介護保険サービスを使う場合と同じです。要介護認定とは|申請方法・認定調査・区分ごとの目安をわかりやすく解説もあわせて確認しておくと、入居後にどの程度のサービスを組み合わせられるかが把握しやすくなります。一方、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護型サ高住では、住宅の職員から介護サービスを一体的に受けられます。

定期巡回・随時対応型訪問介護看護との組み合わせ

こうした仕組みが整っている住宅を選べば、要介護度が上がっても住み替えずに済む可能性が高まります。厚生労働省の資料では、一般型サ高住に「定期巡回・随時対応型訪問介護看護」(24時間対応の訪問介護・看護サービス)を組み合わせ、住み慣れた地域で暮らし続けられるようにする取り組みが、地域包括ケアの一つのモデルとして紹介されています。診療所や訪問看護ステーション、ヘルパーステーション、デイサービスセンターなどをサ高住に併設し、住宅の入居者だけでなく周辺地域の高齢者にもサービスを提供する事例もあります。こうした併設施設の有無は、将来的に介護度が上がった場合の生活継続のしやすさに直結するため、見学時に確認しておく価値があります。

入居できる人の条件

年齢と要介護度の条件

入居者本人の要件は、60歳以上であること、または60歳未満でも要支援・要介護認定を受けていることです。自立している方から要介護度の高い方まで幅広く入居対象になりますが、住宅によって受け入れ可能な要介護度の上限(特に医療的ケアが必要な場合の対応可否)は異なります。見学・相談の段階で、その住宅が実際にどの程度の要介護度まで対応できるかを具体的に確認することが重要です。なお、60歳未満で要支援・要介護の認定を受けていない人は原則として単独では入居対象になりません。若年性認知症など特別な事情がある場合は、住宅や自治体の窓口に個別の取り扱いを相談する必要があります。

単身・夫婦以外の同居が認められるケース

制度は本来、高齢の単身世帯・夫婦のみの世帯の住まいを増やすことを目的としているため、同居が認められるのは配偶者、60歳以上の親族、要支援・要介護認定を受けている親族など一定の範囲に限られます。同居を希望する家族がいる場合は、入居契約前に対象住宅へ個別に確認しておく必要があります。

サ高住の契約方式と入居一時金

建物賃貸借契約が原則

サ高住の契約は、一般の賃貸住宅と同じ「建物賃貸借契約」を結ぶのが原則です。有料老人ホームで見られる、居室とサービスの利用権をセットで契約する「利用権方式」を採用する例もありますが、賃貸借契約に比べると少数です。

契約方式権利の性質入居者死亡時の扱い
普通建物賃貸借契約借地借家法上の借家人としての保護を受けられる相続人が賃借権を引き継げる場合がある
終身建物賃貸借契約建物賃貸借契約の一種で、存続期間が入居者一代限り入居者の死亡により契約が終了し、相続されない
利用権方式居室利用とサービス利用が一体化した権利入居者本人に一身専属し、相続・譲渡は不可

契約方式によって退去時の返還ルールや、権利を家族が引き継げるかどうかが変わるため、契約書の種類を最初に確認しておく必要があります。

前払金の保全措置と短期解約の考え方

契約に関する基準も定められており、敷金・家賃・サービス対価以外の金銭(権利金など、入居時に払い切りで戻らないお金)を徴収しないことが求められています。前払家賃などを受け取る場合は、返還のルールや保全措置を契約に定めることも必要です。保全措置とは、万一運営会社が倒産するなどして住宅の運営が続けられなくなった場合に備え、銀行保証や信託といった方法であらかじめ前払金を確保しておき、入居者に確実に返還できるようにしておく仕組みです。あわせて、入居後まもない時期に契約が終了した場合、日割り家賃等を除いた前払金を返還する規定を設けている住宅も多く見られます(有料老人ホームで一般的な「短期解約特例」に準じた運用です)。ただし返還の範囲や保全の方法は住宅によって異なるため、契約前に重要事項説明書と契約書の該当条項を必ず確認してください。

サ高住の費用の目安

月額費用の内訳

サ高住の月額費用は、家賃、共益費、状況把握・生活相談などのサービス費、食事を利用する場合の食費で構成されるのが基本です。厚生労働省の調査(支払額の最低金額ベース、n=2,065、平成24年度時点の調査ですが価格帯の傾向をつかむ参考として紹介します)では、次のような分布が示されています。

月額支払額(最低金額)割合
10万円未満16.2%
10万〜12.5万円未満24.1%
12.5万〜15万円未満24.8%
15万〜17.5万円未満13.8%
17.5万円以上10.3%
食事提供なし・不明10.9%

10万円台に回答が集中する一方、17.5万円以上とする住宅も1割程度あり、価格帯は住宅によって大きく分散していることが分かります。なお、月額費用には水道光熱費や日用品費、医療費、外部の介護保険サービスの自己負担分は通常含まれていないため、実際の生活費はここに紹介した金額より上乗せになるのが一般的です。

より新しい目安としては、整備費の国庫補助を受けている住宅について、家賃の上限額が所在市区町村に応じて月額11.2万円〜25.6万円の範囲で設定されています(令和7年度の補助要件)。ただし、これは補助を受けた住宅の家賃上限であり、すべてのサ高住に一律に当てはまる金額ではない点に注意してください。

一般型と介護型で異なる費用水準

一般型は、家賃・共益費・見守り等のサービス費が中心となるため、比較的抑えた月額に収まりやすい一方、介護サービスは利用した分だけ別途費用がかかります。これに対して介護型は、住宅内で介護サービスを受けられる分、月額費用に介護サービス費が組み込まれ、一般型より総額が高くなる傾向があります。老人ホームの費用相場|特養・有料・サ高住の月額費用を比較して解説では、特別養護老人ホーム・有料老人ホームとあわせた費用比較を紹介していますので、施設選びの前に目を通しておくと予算感をつかみやすくなります。

供給を支える補助金・税制優遇の仕組み

こうした公的な資金支援があることで、サ高住は家賃水準や運営事業者の顔ぶれに幅が出ています。国土交通省は「サービス付き高齢者向け住宅整備事業」として、整備費に対する補助を行っています(令和7年度予算ベース)。

区分補助率上限額
新築(床面積30㎡以上等)10分の1135万円/戸
新築(床面積25㎡以上)10分の1120万円/戸
新築(床面積25㎡未満)10分の170万円/戸
改修3分の1195万円/戸

このほか、IoT機器の導入や車椅子使用者向けの便所・浴室改修など、小規模な改修(既設改修)については、工事内容に応じて10万円〜150万円/戸程度のより小さな上限額が別途設定されています。補助を受けた住宅は、高齢者住まい法にもとづくサ高住として10年以上登録を継続することや、家賃を近傍同種の住宅と均衡の取れた水準にすることなどが条件になっています。あわせて、次のような公的な資金調達手段も整備されています。

  • 独立行政法人福祉医療機構(WAM)による事業者向け融資
  • 住宅金融支援機構による「サービス付き高齢者向け賃貸住宅融資」
  • 入居一時金の資金使途にも利用できる「リ・バース60」(リバースモーゲージ型住宅ローン)

事業者の参入を促す仕組みが用意されている結果、株式会社を中心に多様な事業者が運営に参入しています(厚生労働省の資料では、登録事業者の55.1%を株式会社が占めるとされています)。

なお、新築時の固定資産税・不動産取得税を軽減する「サービス付き高齢者向け住宅供給促進税制」も設けられていましたが、この特例は令和7年3月31日までに新築等をした住宅が対象とされていました。適用期限が到来しているため、新しく検討する物件がこの税制の対象になるかどうかは前提にせず、事業者や自治体の税務担当窓口に最新の状況を確認してください。

入居者データで見る実態(要介護度・年齢・入居動機)

厚生労働省は平成24年8月時点でサ高住の入居者実態を調査しています。これ以降、同様の全国調査は公表されていないため、入居者像の傾向をつかむ参考として紹介します。

要介護度と年齢の分布

要介護度等割合
自立12.8%
要支援1・216.2%
要介護1・238.4%
要介護3〜528.3%
不明4.3%

平均要介護度は1.8でした。要介護4・5の入居者も一定数存在しており、制度上は同じ「サービス付き高齢者向け住宅」であっても、住宅によって受け入れている要介護度の幅は大きく異なることがうかがえます。年齢は80代が最も多く、平均年齢は82.6歳でした。

認知症高齢者の日常生活自立度

同調査では、認知症高齢者の日常生活自立度について、自立度を把握している入居者のうち「自立」「ランクI(見守りがあれば自立した生活ができる状態)」を合わせて4割程度を占めていました。一方で、住宅側が入居者の認知症の程度を把握できていない、または調査に回答していなかったケースも4割程度あり、把握の体制は住宅によって差があることがうかがえます。認知症の状態把握や対応体制は住宅によって差があるため、家族が認知症の進行を心配している場合は、見学時に日常生活自立度の把握方法や対応実績を具体的に質問しておくことが望まれます。徘徊や昼夜逆転など専門的な見守りが必要になった場合は、サ高住ではなく認知症高齢者グループホームなど、より専門性の高い施設への住み替えを検討する家族も少なくありません。

入居を決めた主な理由

入居動機は次のような結果でした(複数回答)。

  • 独り暮らしが不安になったため:78.5%
  • 介護が必要になったため:73.4%
  • 食事の提供があるため:42.7%
  • 介護が必要になった時に備えて:24.8%

「備えて」を理由に挙げた人は少数派で、実際に介護や見守りの必要性に迫られてから住み替えるケースが多い実態が読み取れます。早めの住み替えを検討している場合は、この点も踏まえて時期を判断するとよいでしょう。

特別養護老人ホーム・有料老人ホームとの違い

入所条件の違い

サ高住・特別養護老人ホーム・有料老人ホームの主な入居条件を整理すると、次のとおりです。

種類主な入居条件住まいとしての性格
サ高住60歳以上、または要支援・要介護認定者賃貸住宅(登録制度)
特別養護老人ホーム原則要介護3以上介護保険施設(入所)
有料老人ホーム施設ごとに設定(自立〜要介護まで幅広い)老人福祉法上の届出施設

特別養護老人ホームは原則として要介護3以上でなければ申し込めない施設ですが、サ高住は自立段階から入居できる点が大きく異なります。

費用の違い

サ高住は月額家賃制の賃貸住宅であるため、有料老人ホームで一般的な数百万円規模の入居一時金が発生しない住宅が多く、初期費用を抑えやすい傾向があります。一方で、要介護度が高くなった場合の介護サービス費は個別契約・個別負担となるため、想定より費用がかさむケースもあります。介護保険サービスを利用する際の自己負担割合は所得に応じて1〜3割となり、在宅で訪問介護等を利用する場合と基本的な考え方は変わりません。有料老人ホームの費用構造との違いは、前述の「一般型と介護型で異なる費用水準」もあわせて確認してください。

住まいとしての自由度の違い

施設系のサービスと比べたとき、サ高住ならではの特徴は生活の自由度にあります。建物賃貸借契約が原則であるため、外出・外泊のルールや生活リズムについて、比較的自由度が高いのが特徴です。反面、必須サービスが安否確認・生活相談にとどまる一般型では、介護度が上がったときに住宅だけで生活を完結できない場合がある点は、施設との違いとして押さえておく必要があります。

サ高住入居と介護保険の住所地特例

今住んでいる市区町村以外のサ高住への入居を検討している場合、見落とされがちですが重要な確認事項があります。それが、介護保険の「住所地特例」の対象になるかどうかです。対象になるかどうかで、転居後の介護保険料を納める先や、地域包括支援センターなどの相談窓口が変わってきます。

住所地特例とは何か

介護保険は原則として、住民票のある市区町村の被保険者になり、その市区町村に保険料を納めます。しかし、施設が多く立地する市区町村に高齢者が集中して転入すると、その市区町村の給付費負担だけが増えてしまいます。そこで「住所地特例」という仕組みが設けられており、対象施設に入所・入居する場合は、転居前の市区町村が引き続き保険者となり、保険料の徴収や保険給付を行います(介護保険法第13条)。

サ高住が住所地特例の対象になるかどうかの判断

住所地特例の対象施設には、介護保険施設(特別養護老人ホーム・介護老人保健施設など)のほか、「特定施設」に該当する有料老人ホーム・軽費老人ホームが含まれます。サ高住のうち、特定施設入居者生活介護の指定を受けている介護型は、この「特定施設」に該当するため住所地特例の対象になります。一方、指定を受けていない賃貸借方式の一般型サ高住は、厚生労働省の資料により住所地特例の対象外と明記されています。なお、ここでの「一般型・介護型」という区分は、前述の「食事や介護サービスを提供すれば老人福祉法上の有料老人ホームに該当する」という基準とは別の判断軸です。住所地特例の対象になるかどうかは、有料老人ホームに該当するかどうかではなく、介護保険法にもとづく「特定施設入居者生活介護の指定を受けているかどうか」で決まる点に注意してください。

対象外の場合に注意すべきこと

一般型サ高住に転居して住民票を移した場合、原則として転居先の市区町村が新たな介護保険の保険者になります。転居前の市区町村と比べて保険料の水準やサービス基盤が異なることもあるため、他の市区町村にあるサ高住への入居を検討する際は、住所地特例の対象になるかどうか、転居後の保険者がどこになるかを、入居予定の住宅と転居先市区町村の窓口の双方に事前確認しておくことをおすすめします。

サ高住の探し方と登録情報の確認方法

サービス付き高齢者向け住宅情報提供システムの使い方

全国のサ高住は、国土交通省が運営する「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」にすべて登録情報が公開されています。所在地・家賃・サービス内容・登録基準の充足状況などを住宅ごとに確認でき、都道府県等への登録が事実として存在するかどうかもここで確認できます。検討中の住宅がある場合は、まずこのシステムで登録内容を確認したうえで、直接問い合わせる方法が確実です。パンフレットや民間の紹介サイトに掲載されている情報だけで判断せず、公的な登録情報と照らし合わせることが、思わぬ認識違いを防ぐことにつながります。

見学時に確認すべきポイント

見学の際は、次のポイントを具体的に質問しておくと安心です。

  • 必須サービス以外に、食事・家事援助・健康相談などどこまでを基本料金でカバーしているか
  • 介護が必要になった際、外部の訪問介護等をどの事業所と契約する想定か(併設事業所の有無)
  • 一般型か、特定施設入居者生活介護の指定を受けた介護型かどうか
  • 看取りへの対応状況(実施実績があるか、対応可能な体制か)
  • 前払金の有無、返還ルール、保全措置の方法
  • 他の市区町村から転居する場合、介護保険の住所地特例が適用されるかどうか

サ高住に入居する際の注意点

要介護度が重くなったときの継続可否

一般型サ高住は介護サービスの提供が必須ではないため、要介護度が進んで医療的ケアや常時の見守りが必要になった場合、その住宅では生活を継続できず住み替えが必要になることがあります。入居前に、住宅がどの程度の要介護度まで受け入れ実績があるか、退去を求められる具体的な条件(契約解除事由)を必ず確認してください。

看取り対応の有無を事前に確認する

看取りへの対応は住宅によって差があります。厚生労働省の調査(平成24年時点、傾向値として紹介します)では、次のような回答結果でした。

  • 実施している:25.3%
  • 実績はないが対応可能:32.7%
  • 実施していない:30.8%
  • 無回答:11.2%

「実施している」と「実績はないが対応可能」を合わせると約6割の住宅が何らかの形で看取りに対応するとしていますが、「実施していない」も3割程度あり、看取りへの姿勢は住宅ごとに差が大きいことがうかがえます。実際の体制は訪問診療・訪問看護など外部の医療資源との連携状況によって大きく変わります。最期までその住宅で暮らせるかどうかは、契約前に必ず個別に確認すべき事項です。

退去・契約解除に関するルール

契約解除についても登録基準上のルールがあり、長期入院を理由に事業者側から一方的に契約を解除することは認められていません。一方で、家賃の滞納や、他の入居者への迷惑行為など契約書に定められた解除事由に該当する場合は、契約が終了することがあります。退去時の原状回復費用の負担範囲や、前払金の精算方法についても、契約前に書面で確認しておくことがトラブル防止につながります。

まとめ

  • サ高住は国土交通省・厚生労働省が共管する登録制度にもとづく高齢者向け賃貸住宅で、安否確認と生活相談が必須サービス
  • 「一般型」は外部の介護保険サービスを個別利用、「介護型」は特定施設入居者生活介護の指定を受け住宅内で介護を一体提供
  • 登録基準は床面積・バリアフリー構造・必須サービスの3分野にわたり、登録後も都道府県の監督があり、基準を満たさなくなれば登録取消しもありうる
  • 特別養護老人ホームは原則要介護3以上が入所条件だが、サ高住は自立段階から入居でき初期費用を抑えやすい一方、介護費は個別負担になる
  • 費用は家賃・共益費・サービス費が中心で住宅ごとの価格差が大きく、要介護度が重くなった場合の継続可否や看取り対応、他市区町村への転居時の住所地特例の扱いは住宅・地域により差があるため入居前に必ず個別確認する

このサイトでは、特定の住宅・施設を評価したりランキング形式で紹介したりすることは行っていません。中立的な立場での情報提供という運営方針についてはこのサイトについてをご覧ください。

よくある質問

サービス付き高齢者向け住宅と有料老人ホームの違いは何ですか。

サ高住は高齢者住まい法にもとづく登録制度で、契約は建物賃貸借が原則です。食事・介護・家事・健康管理のいずれかを提供する場合は本来老人福祉法の有料老人ホームに該当しますが、サ高住として登録されていれば有料老人ホームの届出義務は免除されます。

サ高住には要介護度が高くても入居できますか。

入居者要件は60歳以上、または要支援・要介護認定を受けていることで、要介護度による一律の上限はありません。ただし、必須サービスは安否確認と生活相談のみのため、住宅ごとに実際に対応できる要介護度の範囲は異なります。見学時に個別に確認することが必要です。

サ高住の入居一時金や前払金は返ってきますか。

登録基準では、前払金を受け取る場合に返還のルールや保全措置を契約に定めることが求められています。保全措置とは、運営会社が倒産するなどした場合でも、銀行保証や信託によって前払金を確実に返還できるようにしておく仕組みです。返還の範囲や条件は住宅ごとに異なるため契約書での確認が必要です。

サ高住の月額費用はいくらくらいが目安ですか。

国土交通省の調査では、家賃・共益費・サービス費などの合計が月額10万〜15万円程度に回答が集中していますが、17.5万円以上の住宅も1割程度あり幅があります。介護サービスを利用する場合はこれに自己負担分が加わります。

一般型と介護型は何が違い、どのような状態の人に向いていますか。

一般型は自立〜軽度の要介護の方が外部の介護サービスを個別に利用する形態で、介護型は特定施設入居者生活介護の指定を受け住宅内で介護を一体的に受けられます。将来の要介護度の見通しや、介護サービスの利用方法によって、どちらの形態が生活に合うかが変わります。

サ高住にはどのようなデメリット・注意点がありますか。

一般型は介護サービスの提供が必須ではないため、要介護度が進むと住み替えが必要になる場合があります。看取りへの対応や、他の市区町村への転居時の介護保険の扱い(住所地特例の対象外になりうる点)も住宅により差があるため、入居前の個別確認が欠かせません。

参考・出典

  1. 住宅:サービス付き高齢者向け住宅 (国土交通省)
  2. 制度について|サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム (国土交通省)
  3. サービス付き高齢者向け住宅の登録が取り消される場合|よくあるご質問 (国土交通省)
  4. 高齢者住宅ジャーナル:サービス付き高齢者向け住宅の最新動向(2025年8月) (国土交通省)
  5. サービス付き高齢者向け住宅の登録制度の概要(令和7年度資料) (国土交通省)
  6. 令和8年度サービス付き高齢者向け住宅整備事業の募集を開始 (国土交通省)
  7. サービス付き高齢者向け住宅の登録基準 (千葉県)
  8. サービス付き高齢者向け住宅の登録基準 (大阪府)
  9. 高齢者向け住まい (厚生労働省(介護サービス情報公表システム))
  10. サービス付き高齢者向け住宅の現状 (厚生労働省)
  11. サービス付き高齢者向け住宅の定期報告・立入検査について (さいたま市)
  12. サービス付き高齢者向け住宅の報告・検査 (神奈川県)
  13. 融資の対象となる有料老人ホーム (独立行政法人福祉医療機構(WAM))