サービス担当者会議とは、ケアマネジャー(介護支援専門員)がつくったケアプランの原案について、利用者・家族とサービスの担当者が集まって意見を出し合う会議です。
家族も参加して意見を伝えられ、会議はケアプランが確定する前に開かれます。ケアプランの作成に利用者の費用負担はなく、会議を開くことで別の料金がかかることもありません。
この記事でわかること
- 会議が開かれる場面と、参加する人
- 家族が事前に確認することと、当日に伝えられること
- 会議の代わりに「照会」(集まらず個別に意見を聞く方法)で済む場合
- 会議の記録(第4表)の見方と、減算の仕組み
サービス担当者会議とは
ここでは会議の定義と目的、根拠となる基準、ケアプランが確定するまでの順序を確認します。
定義と目的
サービス担当者会議は、指定居宅介護支援等の運営基準(平成11年厚生省令第38号)第13条第9号に定められた会議です。利用者とその家族の参加を基本として、居宅サービス計画(ケアプラン)の原案に位置づけた居宅サービス等の担当者を招集して行います。
目的は、利用者の状況などの情報を担当者と共有し、原案の内容について担当者から専門的な見地の意見を求めることです。独立行政法人福祉医療機構(WAM NET)のケアマネ業務ガイドでも、ケアプランが利用者の状態に合っているかの確認と、関係者の連携が目的とされています。
ルールの根拠となる基準
会議の根拠は、運営基準(厚生省令第38号)と、その読み方を示す解釈通知(老企第22号)です。居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、アセスメント(課題の把握)、原案の作成、会議、利用者への説明と同意、計画の交付という順で業務を進めます。
原案ができると、まず会議で担当者の意見を求め、そのうえで原案を文書で説明して利用者の同意を得ます(第10号)。同意を得た計画は、利用者と担当者に交付されます(第11号)。家族にとっては、会議が計画の確定前にあるという点が大切です。
よくある誤解
「会議」と聞くと大がかりな場を想像しがちですが、基準が求めるのは、必要な担当者が情報を共有し、意見を述べられる機会をつくることです。
また、会議は利用者・家族に何かを承諾させる場でもありません。意見を述べ、疑問を確認できる場です。計画への同意は、原案の説明を受けたあとに文書で行う手続きです。
家族の見方:ケアマネジャーが一人で決めたプランをそのまま渡される場ではなく、利用者・家族とサービス担当者が同じ情報を持って原案を見直す場です。
会議が必要になる場面
会議は、ケアプランをつくる、または見直す節目で開かれます。場面ごとの扱いを表にまとめたあと、順に説明します。
| 場面 | 会議の扱い | 根拠 |
|---|---|---|
| 新しくケアプランを作る | 原案に位置づけた担当者を集めて開くのが基本 | 運営基準第13条第9号 |
| 要介護認定の更新・区分変更 | 開催して計画変更の必要性を問う(やむを得ない場合は照会) | 運営基準第13条第15号 |
| 計画を変更する | 原則として開催。軽微な変更は省ける場合がある | 運営基準第13条第16号 |
| 福祉用具を位置づける | 開催し、必要な理由を計画に記載 | 解釈通知(老企第22号) |
新しくケアプランを作るとき
初めて居宅介護支援を利用してケアプランを作るときは、原案に位置づけたサービスの担当者を集めて会議を開くのが基本です。ケアプランの作成についてはケアプランの記事で整理しています。
介護サービス情報公表システムでは、ケアプランの作成にあたって利用者負担はないと案内されています。居宅介護支援は全額が保険給付で、会議を開くことで利用者に別の料金がかかることはありません。
要介護認定の更新・区分変更のとき
運営基準第13条第15号は、要介護更新認定(介護保険法第28条第2項)や、要介護状態区分の変更の認定(同法第29条第1項)を受けた場合に、会議の開催により居宅サービス計画の変更の必要性を担当者に問うことを求めています。
やむを得ない理由がある場合は、会議に代えて担当者への照会で足りるとされています。
計画を変更するとき
ケアプランを変更するときも、原則として、アセスメントから原案の作成、会議、説明と同意、交付までの一連の業務を行います(運営基準第13条第16号)。
一方、利用者の希望による軽微な変更は、一連の業務を行う必要性がないとケアマネジャーが判断すれば、会議などを省けます。例として、サービス提供日時の変更などが挙げられています。ただし、その場合も利用者の課題に変化がないか留意することが求められます。
福祉用具を位置づけるとき
解釈通知では、福祉用具貸与や特定福祉用具販売をケアプランに位置づける場合は、会議を開催し、必要な理由を計画に記載することとされています。福祉用具を使い始める場面では、会議の開催が求められます。
家族の見方:更新や区分変更、計画変更の連絡を受けたときは、会議が開かれるのか、照会で済むのかをケアマネジャーに確認できます。
会議の参加者
会議には、利用者と家族、原案に位置づけたサービスの担当者が参加します。主治医の扱いは少し異なるため、分けて説明します。
利用者と家族
運営基準は、利用者とその家族の参加を基本としています。
ただし、解釈通知は、利用者や家族の参加が望ましくない場合(家庭内暴力など)は、必ずしも参加を求めないとしています。参加の可否や方法に事情がある場合は、事前にケアマネジャーへ相談してください。
サービスの担当者
招集の対象は、ケアプランの原案に位置づけた居宅サービス等の担当者、つまり原案に位置づけたサービスの事業所の担当者です。
主治医の位置づけ
主治医は、会議に来ない場合もあり、その際は書面などで意見を聞くことがあります。これはWAM NETのケアマネ業務ガイドの整理で、運営基準の条文では主治医は「担当者」として明記されていません。
医療系のサービス(訪問看護、訪問リハビリテーションなど)を位置づけるには、主治医などの指示の確認が必要です。ケアマネジャーは、利用者の同意を得て主治医に意見を求めます。どの形で意見を聞くかは、ケアマネジャーに尋ねてみてください。
担当者が出席できないとき
担当者が出席できないときは、その事業所の管理者に出席を依頼する、事前にケアマネジャーが直接聞き取る、といった方法がWAM NETのガイドに示されています。解釈通知は、日程調整をしたのに担当者の事由で参加が得られなかった場合を、やむを得ない理由の例に挙げています。
全員がそろわない日程になることもありますが、担当者への照会などで意見を求める方法もあります。
家族の見方:誰が会議に来るかは、原案に入れたサービスで決まります。顔ぶれは事前にケアマネジャーへ聞けます。
準備から記録までの流れ
会議は当日だけで完結せず、前後の準備や手続きとつながっています。開催前、当日、会議の後の順に見ます。
開催前の準備
会議の前には論点を整理し、FAXなどで担当者の意見を事前に求める進め方がWAM NETのガイドに示されています。解釈通知も、会議の前に原案を担当者へ提供し、個別サービス計画案(各事業所が作る自分のサービスの計画案)の提出を求める方法が有効としています。
日程は、利用者・家族とサービス担当者の都合を調整して決めます。家族は、候補日の希望をケアマネジャーに伝えられます。
当日の進行
当日の進行は、WAM NETのケアマネ業務ガイドの整理では次の順です。
- 開会
- 原案の確認
- 目標
- サービスの内容
- 緊急時の対応
- まとめ
会議の後
会議の後は、検討結果を踏まえて原案が整えられ、利用者に文書で説明して同意を得ます。同意を得た計画は、利用者と担当者に交付され、解釈通知は、交付した担当者に個別サービス計画の提出を求めるとしています。
会議後に利用者・家族へ内容を確認する場面にも、WAM NETのガイドは触れています。家族は、決まった内容が自分たちの理解と合っているかを、この段階で確かめられます。
家族の準備と当日の関わり方
会議は、家族が意見を伝えられる機会です。事前の確認、当日の伝え方、会議後の確認に分けて整理します。
事前にケアマネジャーへ確認すること
家族は事前に、会議の目的と論点(どこをどう変更するのか、その背景)をケアマネジャーに確認しておくとよいとされています(WAM NETのガイド)。確認しておきたいことを挙げます。
- 今回の会議で何を決めるのか
- 誰が参加するのか
- オンライン参加か、会場での参加か
- 照会で済む可能性はあるか
当日、家族が伝えられること
家族は、日々の様子で気づいた点を、会議の場で伝えられます。意見は受け止められます。
会議の後に確認する
会議の後は、内容をケアマネジャーに確認できます。計画の原案は文書で説明され、同意するかどうかを判断する場面があります。納得できない点は、同意の前に伝えてください。ケアマネジャーの役割はケアマネジャーの記事で整理しています。
照会との違い
会議を開かず、担当者に個別に意見を聞く「照会」で済む場合があります。会議との違いと、照会でも必要な手続きを整理します。
「担当者への照会」とは
運営基準第13条第9号のただし書は、末期の悪性腫瘍の患者で、主治の医師等の意見を勘案して必要と認める場合、そのほかやむを得ない理由がある場合には、会議に代えて担当者への照会等で意見を求めることができるとしています。照会は、集まらずに、担当者の意見を個別に聞く方法です。
やむを得ない理由の例
条文のただし書に加えて、解釈通知では、やむを得ない理由の例として次の2つが示されています。
- 日程調整をしたが、サービス担当者の事由により参加が得られなかった場合
- 計画の変更で、利用者の状態に大きな変化が見られないなどの軽微な変更の場合(計画を変更するときの扱いは前の章のとおり)
照会でも情報交換と記録は必要
照会の場合も、担当者と緊密に情報交換を行い、利用者の状況や原案の内容を共有できるようにすることが求められます。会議の要点か照会の内容は記録して2年間保存し、照会の結果、変更が不要になった場合も、記録と保存は同じです。
家族の見方:「会議が開かれない=手続きの省略」と受け止めず、照会で済む場合があることを知っておくと、連絡を受けたときに落ち着いて対応できます。
テレビ電話装置等を使った開催
会議はテレビ電話装置等を使っても開けますが、利用には同意が必要です。
条文上の位置づけ
現行の運営基準には、会議にテレビ電話装置等を活用してよいとする規定があります(令和3年度改正)。
利用者・家族の同意が必要
ただし、利用者または家族が参加する場合は、活用について利用者等の同意が必要です。画面越しの参加に不安がある場合は、同意しないという選択もあります。事前にケアマネジャーに、希望を伝えてください。
家族の見方:オンラインで行うかどうかは、ケアマネジャーの都合だけで決まるものではなく、利用者側の同意が前提です。
記録の書き方と保存
会議の内容は書面に残り、家族も確認できます。記録の様式と保存期間を見ます。
第4表「サービス担当者会議の要点」
会議の内容は、居宅サービス計画書の第4表「サービス担当者会議の要点」に記録されます(居宅サービス計画書標準様式及び記載要領、老企第29号別紙1)。主な項目は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 開催日・場所・時間・回数 | いつ、どこで、何回目の会議か |
| 会議出席者 | 所属・氏名。本人・家族は続柄も |
| 検討した項目・検討内容 | 何について、どんな意見が出たか |
| 結論 | 会議で確認した内容 |
| 残された課題 | 次回の開催時期など |
会議を開かずに照会で済ませた場合や、出席できない担当者がいる場合は、その照会内容や、所属・氏名と理由も記載します。
保存期間は2年間
記録の保存は、運営基準第29条第2項により、サービス提供の完結の日から2年間です。サービス担当者会議等の記録も含まれます。議事録は、開催日時、出席者、検討内容、合意事項が分かるよう整備されている必要があると、安城市の資料にあります。
家族が確認できること
第4表は会議の要点の記録です。決まった内容や、残された課題が、自分たちの理解と合っているかを、ケアマネジャーに確かめられます。分からない点は、ケアマネジャーに説明を求められます。
開催されないときの運営基準減算の仕組み
会議が行われないと事業所の報酬が減る仕組みがありますが、家族の負担が増える話ではありません。
運営基準減算とは
居宅介護支援事業所が、会議の開催など、運営基準で定められた手順を行っていないときに、事業所の報酬が減る仕組みが「運営基準減算」です。算定基準(厚生省告示)の注に、所定単位数の100分の50に減算し、2月以上継続している場合は算定しないと定められています。
安城市の資料によれば、新規作成、要介護更新認定、区分変更認定の場面で、会議等を行っていない場合(やむを得ない理由を除く)が対象です。
家族の負担は変わらない
これは、事業所が受け取る報酬の話です。居宅介護支援は利用者負担がなく全額が保険給付のため、減算によって利用者の自己負担が増える仕組みではありません。
退院時・施設・介護予防での会議
入院中のカンファレンスや、施設・要支援の場合は、ここまで説明した居宅の会議と担い手が異なります。
退院時のカンファレンスとの違い
入院中の担当医などとのカンファレンスは、病院側が、退院後の在宅療養に必要な説明をする会議で、ケアマネジャーが主催するサービス担当者会議とは別のものです。退院後のケアプランを作る場合は、通常の新規作成や変更と同じく、会議が必要かどうかを確認します。
施設・介護予防の場合
特別養護老人ホームの場合は、施設の計画担当の介護支援専門員、要支援なら地域包括支援センター等が、同様の会議を開きます。記録の保存はいずれも2年間です。
| 対象 | 会議を開く人 | 記録の保存 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム(指定介護老人福祉施設) | 施設の計画担当介護支援専門員 | 完結の日から2年間 |
| 要支援の方の介護予防支援 | 地域包括支援センター等の担当職員 | 2年間 |
施設のサービス計画の全体像は施設サービス計画の記事で整理しています。
まとめ
サービス担当者会議は、利用者・家族の参加を基本に、ケアプランの原案に位置づけたサービスの担当者が情報を共有し、専門的な意見を述べる会議です。新規作成、要介護更新認定、区分変更認定、計画の変更などで開かれ、福祉用具を位置づけるときも開催が求められます。
- やむを得ない理由がある場合は、担当者への照会で足りますが、情報交換と記録の保存(2年間)は必要です。
- テレビ電話装置等の活用には、利用者・家族の同意が要ります。
- 減算は事業所の報酬の仕組みで、家族の負担は変わりません。
- 家族は、事前に会議の目的と論点を確認し、当日は気づいた点を伝え、会議の後は第4表で決まった内容を確認できます。
ケアマネジャーから案内が来たら気になる点をメモにまとめ、連絡が無いときは開催の予定をケアマネジャーに聞いてみましょう。
この記事について
制度は改定されることがあり、会議の運用や報酬のルールも今後見直される可能性があります。本記事は執筆時点(2026年10月)の公的情報にもとづくもので、最新の内容は厚生労働省や自治体の公表情報で確認してください。このサイトの記事は特定の事業者を評価・推薦するものではなく、公的情報を並列に整理する立場で作成しています(詳しくはこのサイトの立ち位置をご覧ください)。