介護施設の居室面積基準とは|特養・有料・サ高住の最低面積を比較して解説

特養10.65㎡、老健8㎡、有料老人ホーム13㎡、サ高住25㎡など、施設別の居室面積基準を法令と指針の違いや費用との関係とあわせて整理しました。

目次

介護施設の居室面積は、施設の種類ごとに根拠が異なります。特別養護老人ホーム(特養)は入所者1人あたり10.65㎡以上、介護老人保健施設(老健)と介護医療院は8㎡以上(ユニット型は10.65㎡以上)が法令上の最低基準です。有料老人ホームは指導指針で1人13㎡以上という指針上の目安、サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)は登録基準で原則25㎡以上です。

ただし、これらは「法令の基準」と「行政の指針」が混在しており、面積の測り方も同じとは限りません。見学や契約書の読み方で損をしないために、この記事では厚生労働省や自治体の一次情報にもとづいて種類別の面積を整理し、費用との関係や、見学・重要事項説明書で確認したいポイントまで解説します。数値は記事執筆時点のもので、制度改定で変わることがあります。

居室面積基準とは|法令の基準と行政の指針の違い

まず、居室面積基準の意味と、根拠の違いを押さえます。そのうえで、種類別の数字を一覧にします。

居室面積基準の定義と、なぜ施設ごとに違うのか

居室面積基準とは、介護施設で入居者が生活する部屋(居室・療養室・住戸)について、最低限そろえるべき床面積を定めたものです。施設の種類は法律上の位置づけが異なるため、それぞれ別の省令や指針で面積が決められています。

たとえば特養、老健、介護医療院、認知症グループホーム、軽費老人ホームは、厚生労働省令(国の基準)に居室の面積が書かれています。一方、有料老人ホームの居室の広さは厚生労働省の「設置運営標準指導指針」が示す目安です。サ高住は登録基準が住戸面積を定めています。

施設ごとの暮らし方(相部屋が前提か、個室の住まいか)や成り立ちが異なるため、数字を単純に並べるだけでは違いが見えにくい点に注意が必要です。

「法令の基準」と「指導指針」の違い

省令で定められた基準は、施設を開設・運営するための条件(指定基準)として扱われます。これに対し、有料老人ホームの指導指針は、都道府県などが事業者を指導する際の標準的な考え方で、法令そのものではありません。厚生労働省の指針でも、居室面積の13㎡以上は指導の目安として記載されています。

また、自治体が独自の基準を設けている場合があります。同じ種類の施設でも、所在地によって求められる水準が異なることがあるため、検討している地域の自治体の担当窓口で確認すると確実です。

種類別の居室面積の早見表

本文で詳しく説明する各施設の面積基準を、まず一覧で整理します(いずれも入居者または住戸単位の最低ラインで、施設の実際の広さを示すものではありません)。

施設の種類面積の目安根拠の性格
特別養護老人ホーム(従来型・多床室含む)1人あたり10.65㎡以上(約6.4畳)省令(法令の基準)
特別養護老人ホーム(ユニット型)居室10.65㎡以上(2人部屋は21.3㎡以上)省令(法令の基準)
介護老人保健施設・介護医療院(従来型)療養室1人あたり8㎡以上(約4.8畳)省令(法令の基準)
介護老人保健施設・介護医療院(ユニット型)10.65㎡以上(2人部屋は21.3㎡以上)省令(法令の基準)
有料老人ホーム個室で1人13㎡以上(約7.9畳)厚生労働省の指導指針
サービス付き高齢者向け住宅原則25㎡以上(約15畳)(条件付きで18㎡以上)登録基準
認知症グループホーム居室7.43㎡以上(約4.5畳)省令(法令の基準)
軽費老人ホーム居室21.6㎡以上など(区画により異なる)省令(法令の基準)

畳の目安は1畳を約1.65㎡として換算したものです。なお、特養などで旧基準の時期に開設された施設には経過措置があり、現在の数字より小さい居室が残っている場合があります(詳しくは後述)。

施設の種類別の居室面積の最低ライングループホーム7.43㎡、老健・介護医療院(従来型)8㎡、特養10.65㎡、有料老人ホーム指針13㎡、サ高住原則25㎡。居室面積の最低ライン(最低ライン/以上)認知症グループホーム居室7.43㎡老健・介護医療院(従来型)1人8㎡特養(従来型)1人10.65㎡有料老人ホーム(指針)1人13㎡サ高住(1住戸・原則)25㎡※根拠は省令・指針・登録基準で異なる
施設の種類ごとの最低ラインを並べた図です。根拠(法令・指針・登録基準)が異なるため、数字だけで単純に比較しないよう注意してください。

特別養護老人ホーム(特養)の居室面積|従来型・多床室・ユニット型

特養は省令で居室の面積が定められています。従来型・多床室・ユニット型それぞれの数字を見ていきます。

従来型の居室は1人あたり10.65㎡以上

特養の設備基準は、厚生省令第46号(特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準)第11条に定められています。居室は、定員1人が原則で、入所者へのサービス提供上必要な場合は2人とすることができます。入所者1人あたりの床面積は10.65㎡以上とされています。

あわせて、居室は地階に設けないこと、寝台またはこれにかわる設備と、ブザーなど職員を呼ぶ設備を備えること、床面積の14分の1以上の面積を直接外気に面して開放できるようにすること、といった条件が書かれています。廊下の幅は1.8m以上(中廊下は2.7m以上)です。

多床室と個室の面積の考え方

特養の「多床室」は、1つの居室に複数人が入る形式です。省令上の居室の定員は原則1人(必要時2人)です。多床室の定員は施設により異なりますが、いずれの場合も、入所者1人あたりの面積としては10.65㎡以上が基準となります。

従来型個室と多床室は、居室定員の違いはあっても、面積の最低ラインは「1人あたり10.65㎡以上」で共通しています。違いが大きく出るのは、後ほど説明する居住費(部屋代にあたる費用)です。

ユニット型の面積と共同生活室

ユニット型特養は、同第35条第4項で、居室を10.65㎡以上とし、2人部屋の場合は21.3㎡以上と定められています。少人数のグループ(ユニット)ごとに共同生活室を設け、その面積は「2㎡に、そのユニットの入居定員を乗じた面積」以上を標準とするとされています。

ユニット型特養の居室と共同生活室の面積基準居室は10.65㎡以上、2人部屋は21.3㎡以上。共同生活室は2㎡に入居定員を乗じた面積以上が標準。ユニット型特養の面積基準居室(1人)10.65㎡以上居室(2人部屋)21.3㎡以上ユニットごとの共同生活室(標準)2㎡ × 入居定員以上の面積
ユニット型特養は、居室の面積に加えて、ユニットごとの共同生活室の広さも基準に含まれます。

ユニット型と従来型の暮らし方の違いについては、ユニット型個室と従来型個室の違いを解説した記事で整理しています。

旧基準で建てられた施設の経過措置

平成12年(2000年)4月より前から存在する施設には経過措置があり、現在の基準と異なる面積が認められている場合があります。福岡市の施設基準規則では、収納設備などを除いて4.95㎡とする経過規定が例示されています。これは旧基準時代の施設に限った経過措置で、確認は施設・市区町村へお願いします。

古い建物では、現行の最低ラインより小さい居室が残っている可能性があります。ただし、その細部は自治体の規則や施設ごとの事情で異なるため、気になる場合は施設や所在自治体に確認してください。

介護老人保健施設(老健)・介護医療院の療養室の面積

老健と介護医療院も省令で療養室の面積が決まっています。特養との違いとあわせて確認します。

老健の療養室は1人あたり8㎡以上

老健は、厚生省令第40号(介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準)第3条で、療養室の床面積を入所者1人あたり8㎡以上(約4.8畳)と定めています。特養の10.65㎡よりも基準の数字は小さくなっています。

ユニット型の老健は、居室10.65㎡以上(2人部屋は21.3㎡以上)が基準です。

介護医療院の療養室も1人あたり8㎡以上

介護医療院は、平成30年厚生労働省令第5号第5条で、療養室の入所者1人あたりの床面積を8㎡以上と定めています。ユニット型は、居室10.65㎡以上、2人部屋は21.3㎡以上です。

介護医療院では、「多床室」と「ユニット型個室」といった居室タイプによって、後述の室料負担や居住費が変わる点が重要です。

特養との面積差が意味すること

面積の最低ラインは、特養が10.65㎡、老健・介護医療院(従来型)が8㎡と、約2.65㎡の差があります。ただし、これは「最低基準の差」にとどまります。実際の部屋の広さは建物や設計によって異なり、基準ぎりぎりの施設も、より広くつくられた施設もあります。

どの施設類型が本人に合うかは、要介護度、医療ニーズ、入所の目的(長期の生活か、在宅復帰までの期間か)などで判断するのが一般的です。面積だけで施設の種類を選ぶことは避け、実際の居室を見学して確かめましょう。

有料老人ホームの居室面積|13㎡の指針と既存建物の特例

有料老人ホームの面積は、法令ではなく国の指導指針にもとづく目安です。廊下幅や特例も含めて整理します。

指導指針は「個室・1人13㎡以上」

厚生労働省の「有料老人ホームの設置運営標準指導指針」では、一般居室(通常の居室)、介護居室(介護を受ける方の居室)、一時介護室(一時的な介護のための居室)は個室とし、入居者1人あたりの床面積を13㎡以上とすることが示されています。冒頭でも触れたとおり、これは法令ではなく指導指針で、自治体が独自の基準を設けている場合もあります。

なお、サ高住として登録されている有料老人ホームは、指針の一部規定を適用せず、登録基準によるとされています。

介護居室区域の廊下幅も指針に記載

指針には、居室だけでなく介護居室区域(介護居室のある区域)の廊下幅も示されています。中廊下(居室が廊下の両側に並ぶ廊下)の幅も含め、条件ごとの数字は次のとおりです。

条件廊下幅中廊下
全居室が個室で、1室あたり18㎡以上かつ居室内に便所と洗面設備がある1.4m以上1.8m以上
それ以外1.8m以上2.7m以上

車いすで移動する入居者がすれ違えるかどうかは、日々の暮らしやすさに直結するため、見学の際は居室の広さと廊下のゆとりを併せて見ると参考になります。

既存建物の転用・小規模施設の特例

既存の建物を転用する場合や、定員9人以下の場合には特例があります。全室個室であることを前提に、指針に満たない事項を重要事項説明書などに記載して入居希望者へ説明したうえで、代替措置を講じるか改善計画を立てることとされています。都道府県知事が認めた場合も同様に扱えます。

つまり、13㎡未満の居室があっても直ちに不適切というわけではありませんが、その旨が書面で説明されているかどうかは確認すべきです。重要事項説明書の見方は有料老人ホームの重要事項説明書を解説した記事をご覧ください。

サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の住戸面積|25㎡と18㎡の算定

サ高住は登録基準で住戸面積が決まっています。25㎡が原則で、条件を満たせば18㎡以上でも登録できます。

専用部分は原則25㎡以上

サ高住の登録基準では、各住戸の専用部分の床面積は原則25㎡以上とされています。各戸に台所、水洗便所、収納設備、洗面設備、浴室を備えることが基本で、共用部分に十分な設備があり、各戸に備えなくても居住環境が確保される場合は、一部を共用で代替できます。

ほかにバリアフリー構造であることや、安否確認(状況把握)と生活相談のサービスを提供することも登録の要件です。

居間・食堂などが十分なら18㎡以上でも可

居間、食堂、台所、その他の住宅の部分が高齢者が共同して利用するために十分な面積を有する場合は、住戸の専用部分は18㎡以上でも登録できます。つまり、18㎡という数字は「個室が小さくてもよい」という意味ではなく、共同スペースが十分にあることが前提の特例的な扱いです。

18㎡以上25㎡未満の住戸がある場合の算定式

大阪府が令和3年4月に改正した基準の解説では、18㎡以上25㎡未満の住戸がある場合、次の式を満たす必要があるとしています。

共同利用部分の合計面積 ≧(25㎡ − 当該住戸の床面積)× 当該住戸の戸数

サ高住で18㎡以上25㎡未満の住戸がある場合の算定式共同利用部分の合計面積は(25㎡−住戸の床面積)×戸数以上。20㎡が10戸なら50㎡以上。18㎡以上25㎡未満の住戸がある場合共同利用部分の合計面積 ≧(25㎡ − 住戸の床面積)× その住戸の戸数例:20㎡の住戸が10戸(25−20)× 10 = 50㎡以上数える:居間・談話室・食堂・台所・浴室・水洗便所など数えない:ホール・ロビー・廊下・階段・エレベーター・事業者用の厨房や事務室
大阪府の基準解説にある算定式と計算例です。運用は地域で異なる場合があるため、登録先の資料で確認してください。

共同利用部分に数えるのは、居間、談話室、食堂、台所、浴室、水洗便所などです。ホール、ロビー、廊下、階段、エレベーター、事業者用の厨房や事務室は含まれません。たとえば20㎡の住戸が10戸ある場合、(25−20)×10=50㎡以上の共同利用部分が必要という計算になります。

この算定は地域の運用に左右されることもあるため、登録先の都道府県・政令市などの資料で確認してください。

グループホーム・軽費老人ホーム・養護老人ホームの居室面積

この3種類は、居室の最低ラインや決め方が他の施設と異なります。数字と、確認先の目安を順に見ます。

認知症グループホームは居室7.43㎡以上

認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は、平成18年厚生労働省令第34号第93条第4項で、居室の床面積を7.43㎡以上と定めています(約4.5畳、1畳を約1.65㎡として換算)。

少人数で共同生活を送る形態のため、居室の最低ラインは他の施設より小さく、居間・食堂などの共用空間と合わせて暮らす前提の基準です。

軽費老人ホームは居室21.6㎡以上が基本

軽費老人ホームは、平成20年厚生労働省令第107号第10条で、居室の床面積を21.6㎡以上としています。ただし、洗面所、便所、収納設備、簡易調理設備の面積を除いた有効面積の基準もあり、区分によって次のように分かれます。

区分居室の床面積有効面積
基本21.6㎡以上14.85㎡以上
共同生活室を備える、おおむね10室程度の区画15.63㎡以上13.2㎡以上

旧A型(6.6㎡)や旧B型(16.5㎡)の施設には経過措置があり、自治体の条例に従うとされています。軽費老人ホームの仕組みは地域によって運用が異なるため、検討中の自治体の情報も参照してください。

養護老人ホームの例|京都府の規則

養護老人ホームの居室面積の一例として、京都府の規則では入所者1人あたり10.65㎡以上とされています。この数字は自治体ごとに異なります。確認先は市区町村の高齢福祉担当窓口です。

居室面積と費用の関係|居住費の基準費用額と令和7年8月の室料負担

居室のタイプは居住費にも関わります。基準費用額と、令和7年8月に始まった室料負担を整理します。

居住費の基準費用額(日額)

介護保険施設の居住費(滞在費)には、国が示す基準費用額があります。厚生労働省の解説ページによる日額の目安は次のとおりです(いずれも本記事執筆時点の掲載値で、改定により変わる可能性があります)。

居室のタイプ基準費用額(日額)
ユニット型個室2,066円
ユニット型個室的多床室1,728円
従来型個室(特養)1,231円
従来型個室(老健・介護医療院)1,728円
多床室(特養)915円
多床室(老健・介護医療院)室料を徴収する場合697円
多床室(老健・介護医療院)室料を徴収しない場合437円

居住費は、個室ほど高く、多床室ほど低くなる傾向があります。所得に応じた負担限度額が設けられており、低所得の方は基準費用額より低い金額で利用できる制度(補足給付)もあります。最新の金額は必ず厚生労働省や市区町村の窓口で確認してください。

居室タイプ別の居住費の基準費用額(日額)ユニット型個室2,066円、ユニット型個室的多床室1,728円、従来型個室(老健・介護医療院)1,728円、従来型個室(特養)1,231円、多床室(特養)915円、多床室(老健・介護医療院)室料徴収697円、徴収しない場合437円。居住費の基準費用額(日額)ユニット型個室2,066円ユニット型個室的多床室1,728円従来型個室(老健・医療院)1,728円従来型個室(特養)1,231円多床室(特養)915円多床室(老健等)室料徴収697円多床室(老健等)室料なし437円
個室ほど高く、多床室ほど低い傾向があります。記事執筆時点の掲載値で、改定で変わる可能性があります。

令和7年8月からの室料負担

介護保険最新情報Vol.1397によると、令和7年8月1日から、一部の多床室で室料相当額を利用者が負担することになりました。月額で約8千円が目安とされています。

  • 対象施設:老健の「その他型」「療養型」と、介護医療院の「Ⅱ型」の多床室で、療養室が1人あたり8㎡以上ある場合です。老健は前年度実績で「その他型」「療養型」を算定した月が7か月以上であることも条件です。「その他型」「療養型」「Ⅱ型」は老健・介護医療院の報酬上の区分名で、該当するかは施設に確認してください。
  • 負担の仕組み:介護報酬側で室料相当額の控除(1日あたり26単位)が行われ、居住費の基準費用額が1日あたり260円引き上げられます。
  • 対象外・例外:特養の多床室は対象外です。外泊時は適用されません。利用者負担第1〜3段階の方は補足給付があり、負担は増えません。第1〜3段階は低所得区分で、詳しくは市区町村の窓口へ確認してください。

鹿児島市、福岡市、栃木県なども、この室料負担についての案内ページを公開しています。

面積と費用を見るときの考え方

費用は居室の広さだけでなく、居室タイプ(個室か多床室か)、施設の種類、所得段階、サービス内容などで決まります。広い部屋が必ず高いとも、狭い部屋が必ず安いとも言い切れません。

費用全般の目安は老人ホームの費用相場を解説した記事も参考になります。月額の内訳を確認し、居住費・食費・介護サービス費が何に対して発生するのかを分けて見ると、比較しやすくなります。

面積の数字を比べるときの注意点

面積の数字を比べるときに、つまずきやすい点をまとめます。

測り方が同じとは限らない

居室面積の表記方法は、施設・制度ごとに異なる場合があります。壁の内側で測る方法(内法)と、壁の中心線で測る方法(壁芯)があり、同じ数字でも実際に使える広さに差が出ることがあります。

同じ測り方にそろえて比べ、分からなければ施設に確認しましょう。パンフレットや重要事項説明書の表記や、収納・トイレ・洗面を含むかも確かめてください。

指針と法令を混同しない

13㎡は指導指針の目安、特養の10.65㎡は省令の基準で、性質が異なります(前述のとおり)。数字を並べるときは根拠もあわせて確認しましょう。

自治体による違いと制度改定

自治体が条例や規則で独自の基準を定めている場合があり、福岡市や京都府の規則のように、地域ごとに経過措置や基準が書かれています。また、居住費の基準費用額や室料負担のように、費用面は制度改定で変わることがあります。

検討時点の最新情報は、厚生労働省、各都道府県・市区町村の公式ページで確認してください。

見学・重要事項説明書で確認したいポイント

基準の数字を知ったうえで、実際の見学や書類では何を確かめればよいかを整理します。

見学時に実際に見たい点

面積の数字は、見学で実際の暮らしに置き換えて確かめるのが近道です。次のような点を見ておくと、数字だけでは分からない使い勝手が見えてきます。

  • ベッドや車いす、家具を置いたときの動線にゆとりがあるか
  • トイレ・洗面・収納の位置と、面積に含まれているか
  • 窓の位置と採光、外気に面しているか
  • 廊下の幅と、車いすですれ違えるか
  • 共用スペース(食堂、談話室)の広さと過ごしやすさ

重要事項説明書の「居室の状況」欄

有料老人ホームの重要事項説明書(標準様式)には、居室の状況欄があり、全室個室か相部屋があるか、タイプごとのトイレ・浴室の有無、面積、戸数、区分を記載する形式です。共用施設の欄もあります。

介護サービス情報公表システムでも内容を閲覧できます。記載のとおりか、複数の施設で同じ項目を横並びで確認すると、違いが分かりやすくなります。

聞いておきたい質問例

見学や面談のときは、次のような質問をメモしておくと安心です。

  • この面積は壁芯と内法のどちらで表記していますか
  • 指針・基準に満たない居室があれば、その説明と代替措置は何ですか
  • 居室タイプ別の居住費・月額費用はいくらですか
  • 将来、介護度が上がったときに居室や費用は変わりますか
居室面積について見学・重要事項説明書で確認したい点壁芯か内法か、トイレ・洗面・収納を含むか、基準に満たない居室の説明と代替措置、居室タイプ別の費用、廊下幅、共用スペース。見学・書類で確認したい点面積は壁芯か内法かトイレ・洗面・収納を含むか基準に満たない居室の説明・代替措置居室タイプ別の居住費・月額費用廊下幅と車いすのすれ違い共用スペースの広さ
数字だけでなく、測り方や含まれる設備、費用まで合わせて確認すると比較しやすくなります。

まとめ|居室面積は「根拠」と「測り方」まで確認を

ここまでの内容を、ポイントごとに振り返ります。

この記事のポイント

  • 特養は1人10.65㎡以上、老健・介護医療院(従来型)は8㎡以上、ユニット型は10.65㎡以上が省令の基準
  • 有料老人ホームの13㎡以上は指導指針の目安で、既存建物などの特例がある
  • サ高住は原則25㎡以上、共同スペースが十分なら18㎡以上も可
  • 居住費や室料負担は居室タイプで変わり、改定で金額が変わる可能性がある
  • 数字は、根拠(法令か指針か)と測り方をそろえて比較する
  • 気になる施設の重要事項説明書をもらい、居室面積と測り方の欄を確認する

ここに挙げた内容は一次情報にもとづく目安であり、制度や基準は今後の改定で変わることがあります。個別の施設の判断は、見学や自治体・地域包括支援センターへの相談を通じて確かめてください。

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よくある質問

特養の居室は何㎡以上ですか?

特別養護老人ホームの居室は、省令で入所者1人あたり10.65㎡以上と定められています。ユニット型も居室10.65㎡以上で、2人部屋は21.3㎡以上です。旧基準で建てられた施設には経過措置があり、現行より小さい居室が残る場合もあります。

有料老人ホームの13㎡は法律で決まっていますか?

13㎡以上は法令ではなく、厚生労働省の有料老人ホーム設置運営標準指導指針に示された目安です。自治体が独自の基準を設けている場合があります。既存建物の転用や定員9人以下では特例があり、未達事項は重要事項説明書で説明することとされています。

サ高住の18㎡と25㎡の違いは何ですか?

サ高住の住戸は専用部分が原則25㎡以上です。居間・食堂・台所などの共同利用部分が十分に広い場合は18㎡以上でも登録できます。18〜25㎡未満の住戸がある場合は、共同利用部分の合計が(25㎡−住戸面積)×戸数以上必要という算定式があります。

老健の多床室で令和7年8月から負担が増えたのは本当ですか?

老健の「その他型」「療養型」と介護医療院「Ⅱ型」の多床室で、療養室が1人8㎡以上の場合に、令和7年8月から室料相当額(月額約8千円)の負担が生じています。利用者負担第1〜3段階は補足給付で負担増はなく、特養の多床室は対象外です。

居室面積は壁芯と内法のどちらで比べればよいですか?

どちらが正しいとは言えません。同じ測り方にそろえて比べ、不明なら施設に質問するのが確実です。施設・制度ごとに表記方法が異なる場合があるため、パンフレットや重要事項説明書の表記と、トイレや収納を含むかを確認し、書面で確かめましょう。

参考・出典

  1. 特別養護老人ホームの設備運営基準(第11条) (e-Gov法令検索)
  2. 介護老人保健施設の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(第3条) (e-Gov法令検索)
  3. 介護医療院の人員、施設及び設備並びに運営に関する基準(第5条) (e-Gov法令検索)
  4. 指定地域密着型サービスの事業の人員、設備及び運営に関する基準(認知症対応型共同生活介護・第93条) (e-Gov法令検索)
  5. 軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(第10条) (e-Gov法令検索)
  6. 有料老人ホームの設置運営標準指導指針(老発0718003号) (厚生労働省)
  7. サービス付き高齢者向け住宅の登録基準等(介護サービス情報公表システム) (厚生労働省)
  8. サービス付き高齢者向け住宅制度(住宅局) (国土交通省)
  9. サービス付き高齢者向け住宅の登録基準の改正について(令和3年4月) (大阪府)
  10. 介護保険最新情報Vol.1397(室料負担に関する通知) (厚生労働省)
  11. 介護保険の費用の解説(居住費・食費の基準費用額) (厚生労働省)
  12. 有料老人ホームの重要事項説明書(標準様式) (厚生労働省)
  13. 室料相当額の控除について(介護保険施設) (鹿児島市)
  14. 介護保険施設の室料負担について (福岡市)
  15. 介護保険施設の室料負担(令和7年8月から) (栃木県)
  16. 福岡市特別養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める規則 (福岡市)
  17. 福岡市軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める規則 (福岡市)
  18. 京都府軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める規則 (京都府)
  19. 京都府養護老人ホームの設備及び運営に関する基準を定める規則 (京都府)