介護保険の災害時の利用者負担減免とは、火災や風水害などで住宅や家財に大きな損害を受け、利用者負担の支払いが難しくなった人について、市町村が認めた場合に、介護サービスの自己負担を軽くする仕組みです。根拠は介護保険法第50条(要介護者)と第60条(要支援者)です。「給付割合」とは、介護サービス費用のうち保険が払う割合のことで、これを市町村が引き上げます。たとえば1割負担の人なら、自己負担が1割未満になり、割合によっては0円になります。
先に結論
- 自己負担が0〜数%になることがありますが、自動ではありません。市町村への申請が必要です。
- まず市町村の介護保険担当課へ電話し、り災証明書の準備を進めましょう。
- 施設の食費・居住費は、減免の対象外です。
- 減免の割合・期間・申請期限は自治体で違います。
この記事で分かること
- 対象となる被災の要件
- 減免の内容と自治体による違い
- 食費・居住費の扱い
- 申請方法・必要書類・期限
- 国の時限的な特例と、千葉市の臨時措置
- 介護保険料の減免・徴収猶予
- 要介護認定の特例と、医療保険の減免との違い
法令・厚生労働省の事務連絡・各市区の要綱などの公的資料をもとに整理しました。内容は2026年11月時点の確認です。制度は災害ごと・自治体ごとに変わりうるため、実際の取扱いは必ずお住まいの市町村にご確認ください。
介護保険の災害時の利用者負担減免とは
法第50条・第60条にもとづく仕組み
介護保険法第50条は、災害その他の厚生労働省令で定める特別の事情があることにより、介護サービスの費用負担が困難であると市町村が認めた要介護被保険者について、保険給付の割合を引き上げる特例を定めています。通常の保険給付は費用の「百分の九十」(自己負担1割の場合)ですが、この特例では「90超〜100以下の範囲で市町村が定める割合」に読み替えます。
2割負担の人(給付割合80/100)、3割負担の人(70/100)についても、同条の第2項・第3項で同じ構造が用意されており、それぞれ「80超〜100以下」「70超〜100以下」の範囲で市町村が割合を定めます。つまり、給付割合が上がった分だけ利用者の自己負担が下がり、100/100になれば自己負担は0円になります。
要支援の人が使う介護予防サービス費などについては、第60条が同じ構造で定めています。要介護の人は第50条、要支援の人は第60条と覚えておくとよいでしょう。
減免を決めるのは市町村
この減免は、国が一律の割合を決めるものではなく、「市町村が認めた場合」に適用されます。厚生労働省の令和6年1月1日付事務連絡には、従前の通知の改正後全文が添付されており、法第50条・第60条による利用者負担の減免は市町村の判断で行うものと位置づけられています。実際には、各市町村が要綱や基準を定めて運用しており、割合・期間・所得要件が自治体によって異なります。
よくある誤解
- 「災害にあえば自動的に自己負担が免除される」わけではありません。被害の程度や収入の状況を市町村が確認し、認めた場合に適用されます。
- 「全国一律の制度」ではありません。割合・期間・必要書類は市町村ごとに異なります。
- 利用者負担の減免(法第50条・第60条)と、介護保険料の減免(法第142条・市町村条例)は別の仕組みです。同じ災害でも、両方が使える場合と片方だけの場合があります。
- 入院・入所時の食費・居住費は、原則として減免の対象外です(後述)。
対象となる被災の要件
特別の事情の4類型(堺市の審査基準の例)
法第50条の「特別の事情」は厚生労働省令(介護保険法施行規則)で定められています。堺市が公開している審査基準では、対象となる事由が次の4つに整理されています(根拠として施行規則第83条・第97条が引用されています)。以下は堺市の例です。
| 類型(堺市の例) | 内容 |
|---|---|
| 1 | 震災・風水害・火災などにより、住宅・家財などに著しい損害を受けた |
| 2 | 主たる生計維持者が死亡した、または重度の障害を負った・長期入院した結果、収入が減少した |
| 3 | 事業の休止・廃止や失業などにより、収入が減少した |
| 4 | 農作物の不作などにより、収入が減少した |
このうち「災害」にあたるのは1つめで、2つめ以降は災害に限らない収入減少の事情です。ただし、災害の影響で生計維持者を失った、事業ができなくなったといったケースも、2・3の類型に当てはまる場合があります。
図の4類型は堺市の例なので、ほかの市町村でどう整理されているかを次に見ます。
類型は自治体の資料で確認を
対象の類型や要件は、自治体により異なるので、お住まいの市町村の要綱・基準を確認し、窓口に相談するのが確実です。
被害の程度による区分
住宅・家財の損害については、どの程度の被害から対象とするかも自治体で異なります。公開されている要綱・基準から読み取れる例は次のとおりです。
- 川崎市:損失が3割以上であることを要件とし、判定は消防署長などの証明書が原則です。
- 京都市:損害が7割以上、4割以上、2割以上の3区分に分けています。
- 船橋市:損害5割以上と3割以上で減免の内容が分かれます。
- 大阪市:損害5割以上と、3割以上5割未満で分かれます。
被害の程度は、り災証明書の区分や損害の割合などで判断されます。保険金や補償金で補てんされる分を考慮する自治体(川崎市の例)や、故意による災害を対象外とする自治体(同)もあります。
減免の内容と自治体による違い
市区の例を並べて比べる
各市区の要綱・基準で公開されている内容のうち、確認できた範囲を並べます。
数値は各自治体の資料時点のもので、改正されている可能性があります。表は一部の例であり、お住まいの市町村が同じ内容とは限りません。
| 自治体 | 損害の程度と減免内容 | 期間・申請期限 |
|---|---|---|
| 京都市 | 損害7割以上・4割以上・2割以上の3区分 免除(給付割合100/100) |
|
| 川崎市 | 3割以上の損失で認定 災害損失は100/100、所得減少は97/100 | 申請月から6か月間 |
| 船橋市 | 5割以上は100/100 3割以上は97/100(自己負担3%) |
|
| 大阪市 | 世帯の前年合計所得1,000万円以下が条件 5割以上は100/100 3割以上5割未満は負担割合区分ごとに段階的な割合 | 申請月の初日から6か月 |
| 港区 | 減額・免除 |
|
同じ「災害で自己負担が下がる」制度でも、期間は3か月から1年と幅があり、所得要件がある自治体もあります。
期間の違いが分かったところで、表に出てくる「100/100」「97/100」の読み方を確認します。
表の読み方
「給付割合100/100」は、自己負担が0円になることを意味します。「97/100」は、自己負担が費用の3%になるという意味です。もともと1割負担の人にとっては1割から3%に、2割・3割負担の人にとっては、より大きく下がることになります。
川崎市の例では、住宅・家財の災害損失は100/100、収入が減った場合(所得減少)は97/100と、事由によって割合が変わります。船橋市では、損害の程度(5割以上か、3割以上か)で100/100と97/100に分かれます。
所得要件が付く自治体もある
大阪市の減免基準には、世帯の前年の合計所得が1,000万円以下という条件が含まれています。被害が大きくても、所得要件を満たさないと対象にならない自治体がありえます。所得の判定方法や基準額は自治体ごとに異なるため、申請の前に確認が必要です。
対象となるサービス
港区の案内では、減免の対象として、居宅介護(支援)サービス費、施設介護サービス費、福祉用具購入費、住宅改修費が挙げられています。利用者負担の減免は、訪問介護や通所介護などの日々のサービスだけでなく、福祉用具の購入や住宅改修といった費用にも関わる場合があります。どのサービスが対象になるかは、自治体の要綱で決まります。
文京区の例(2018年12月更新)
文京区の公開ページ(2018年12月更新)では、り災証明書で建物の傾斜、壁や屋根の3分の1以上の損壊、床上以上の浸水のいずれかを確認し、住民税課税世帯員がいれば半額、世帯全員が非課税なら全額免除と示しています。このように「半額」「全額免除」で示す自治体もあります。更新から年数が経っているため、最新の取扱いは窓口で確認してください。
食費・居住費は減免の対象外
国の通知での扱い
入院時や施設入所時の食費・居住費は、給付とは別の利用者負担で、災害減免(法第50条・第60条)の対象外です。厚生労働省の令和6年1月12日付事務連絡では、災害時の利用料の猶予・減免の対象外とされ、自己負担分を支払う必要があるとされています。令和6年12月25日付の厚生労働省のリーフレット(石川県掲載版)にも、「入院・入所時の食費・居住費などはお支払いいただく必要があります」と書かれています。
では、被災して別の施設へ移った場合はどうなるのかを見ておきます。
避難先の施設に一時避難した場合
被災した施設の入所者が別の施設に一時避難した場合の利用料についても、居住費、食事の提供に係る利用料、日常生活費は猶予・減免の対象外とされています(令和6年1月12日付)。福祉避難所での食費・居住費の扱いは自治体により異なるので、避難先の市町村の窓口にご確認ください。
東日本大震災での例外
例外として、東日本大震災では食費・居住費等の減免が行われた時期があります。平成24年2月9日の事務連絡では、これらの減免は平成24年2月29日までとされていました。これは東日本大震災に限った時限措置で、現在の災害に自動的に適用されるものではありません。
申請方法・必要書類・期限
申請の窓口と流れ
申請先は、被保険者の保険者である市町村の介護保険担当課です。堺市では各区役所の地域福祉課、船橋市では介護保険課給付係、港区では介護保険課介護給付係が窓口と案内されています。堺市の公開票では標準処理期間は10日とされています。
港区は、申請前に介護保険課介護給付係へ相談するよう求めています。
流れのうち、手元に用意する書類と期限を順に確認します。
必要書類の例
公開資料で確認できる書類の例は次のとおりです。
- 減免の申請書(京都市・港区)
- り災証明書(京都市・港区)。川崎市は消防署長等の証明書が原則
- 支出額が分かるもの(港区)
このほかの書類は自治体により異なるので、窓口にご確認ください。
申請期限と減免が始まる時期
申請期限や減免の始期の考え方は、自治体によって異なります。
- 申請期限:期限として確認できているのは船橋市(事由の発生から3か月以内に申請)です。港区の「原則3か月以内」は減免を受けられる期間であり、申請期限ではありません。
- 始期:京都市は書類を受理した月の翌月分から(やむを得ない事情がある場合を除く)、大阪市は申請月の初日から、川崎市は申請月から、と自治体で異なります。
利用者負担の減免は、川崎市・京都市の例のように申請(受理)月が起点になる自治体があります。一方、保険料は、やむを得ない理由があれば納付済みの分もさかのぼって減免できるとされています(令和6年1月17日付、後述)。罹災後は生活の立て直しで手一杯になりがちですが、減免を考えているなら、早めに窓口へ連絡しておくことが大切です。
手元に残しておくとよいもの(一般的な備え)
以下は公開資料に記載のある書類ではなく、一般的な備えです。サービス利用票や領収書、被害の状況を撮影した写真などを手元に残しておくと、窓口で聞かれたときに慌てずに済みます。必要な記録は自治体により異なるので、窓口で確認してください。
国の特例は災害ごとに時限で行われる
恒常制度と時限の特例の違い
ここまでの法第50条・第60条にもとづく減免は、災害の有無にかかわらず市町村が運用できる恒常的な仕組みです。一方、大規模災害の際には、国が災害ごとに事務連絡を出し、一定の地域で利用者負担の免除などを時限的に行う場合があります。国は、市町村の減免額が一定以上になると特別調整交付金(国が市町村の財政負担を支える交付金)を交付する財政支援を行っています。交付率などの数字は市町村への国の補助の基準で、利用者の負担額そのものではありません。
東日本大震災の例
平成24年2月9日の事務連絡では、東日本大震災の警戒区域等の被保険者の利用者負担免除に対する国の財政支援が、地域ごとに期限を区切って行われました(警戒区域等は平成25年2月28日まで、それ以外は平成24年9月30日まで)。これらはすでに終了した措置です。
令和6年能登半島地震の例
令和6年能登半島地震では、令和6年1月12日付の事務連絡で特例が示されました。対象は、災害救助法が適用された市町村のうち、窓口負担の猶予の意向を表明した市町村の被保険者で、次のいずれかを申し立てた人でした。
- 住家の全壊・全半焼・床上浸水、またはこれに準ずる被災
- 主たる生計維持者の死亡、重篤な傷病、行方不明
- 主たる生計維持者の業務の廃止・休止、失職で、現在収入がない
当初は令和6年4月末までのサービス分が対象でした。被保険者証がなくても、氏名・生年月日・住所・負担割合の確認ができればサービスを受けられるとされ、免除した場合、事業者は利用料を含む10割を審査支払機関に請求する扱いでした。
令和6年12月25日付の延長と免除証明書
令和6年12月25日付の厚生労働省の資料(石川県掲載版)のポイントは次のとおりです。
- 新潟・富山・石川・福井の4県を対象に、令和7年1月1日から6月30日までのサービス分を免除
- 令和7年1月1日以降は、保険者が発行する免除証明書がなければ窓口で免除できない(令和6年12月末までは口頭申告で可)
- 市町村の負担相当分は特別調整交付金で支援される(市町村への国の補助の基準で、利用者の負担額そのものではない)
医療保険の窓口負担と介護保険の利用料が一体で案内され、免除証明書を窓口に提示する扱いでした。
能登の特例の期限と今後の確認先
令和6年12月25日付の資料では、能登半島地震の利用料免除は令和7年6月30日までのサービス分とされました。その後の延長の有無は、国・市町村の最新の案内で確認してください。今後災害が起きたときに同様の特例が出るかどうか、対象地域・期間・条件がどうなるかも、その都度、国の通知と市町村の対応を確認する必要があります。過去の災害の取扱いが、次の災害にそのまま当てはまるとは限りません。
国の時限的な特例の例を見たところで、最近の事例として千葉市の臨時措置を取り上げます。
千葉市の臨時措置(令和8年8月豪雨)
措置の内容
これは令和8年8月の千葉豪雨に対する千葉市の臨時の措置で、恒常制度ではありません。すべての災害や他の市町村に当てはまる内容ではなく、「り災証明書が不要」「申請不要」といった手続きの簡略化もこの措置の内容です。他の地域・災害では、り災証明書の提出や申請が必要になる場合があります。
千葉市は、令和8年8月の千葉豪雨の被災者を対象にした臨時措置を、市のウェブサイトで公開しています(2026年10月5日更新)。
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 利用者負担 | 全壊〜半壊が対象。自己負担は3%。期間は災害発生月または申請月から1年。り災証明書の添付は不要 |
| 保険料 | 2分の1を1年間減免。申請は不要で、り災の状況を確認できた人から順次手続き |
第1号保険料の減免・徴収猶予
法第142条と市町村条例
介護保険料については、第142条が、市町村が条例で定めるところにより、特別の理由がある人に対して保険料を減免し、または徴収を猶予(支払いを待ってもらうこと)できると定めています。第1号被保険者(65歳以上)の保険料は、市町村が条例に基づいて減免するものです。保険料の仕組み全般は、介護保険料の減免を解説した記事でも説明しています。
財政支援の基準(能登半島地震の例)
令和6年1月17日付の事務連絡では、特別調整交付金の対象となる減免の基準が示されました。対象は、災害救助法が適用された市町村が法第142条にもとづく条例で行った減免です。
| 事由 | 減免の目安 |
|---|---|
| 住宅の全壊 | 全部 |
| 半壊・大規模半壊 | 2分の1 |
| 床上浸水 | 2分の1を超えない範囲で市町村が決定 |
| 長期避難世帯 | 全壊とみなす |
| 生計維持者の死亡・障害者となった・重篤な傷病・行方不明 | 全部 |
| 事業収入等が前年の10分の3以上減る見込み | 前年合計所得210万円以下は全部、210万円超は10分の8(失業・廃業で当面収入が見込めない場合は全部) |
事業収入等以外の所得が400万円を超える人は除かれます。対象は令和5・6年度分で、災害救助法適用日から令和7年3月31日までに納期限があるものとされました。これは財政支援の基準であり、実際の減免内容は市町村の条例で決まります。
申請の扱い
同じ事務連絡では、減免が明らかな場合は、減免の意思確認をもって申請とみなす運用もありうるとされています。また、すでに納めた保険料でも、やむを得ない理由があれば、さかのぼって減免できるとされています。実際に使えるかどうかは、市町村の取扱いによります。
40〜64歳(第2号被保険者)の保険料
40〜64歳の第2号被保険者の介護保険料は、加入している医療保険(健康保険や国民健康保険など)の保険料と合わせて扱われます。減免の取扱いは医療保険者により異なるので、加入する医療保険者へご確認ください。参考までに、令和6年1月2日付の事務連絡では、被災した任意継続被保険者の健康保険料について、納期限の延長・納付猶予を求めています。
被災時の要介護認定の特例
減免を受けても、サービスを使い続けるには要介護認定が有効であることが前提です。被災時には、認定の手続き自体にも特例が出ることがあるため、減免と合わせて確認が要ります。
避難先でのサービス利用
令和6年1月19日付の事務連絡では、能登半島地震の際の特例として、避難先の市町村が認定事務を代行できるとされました。すでに要介護認定を受けている人は、市町村を越えて避難しても、避難前の要介護度でサービスを使えます。
被保険者証がなくても申請できる
- 被保険者証がなくても、氏名・住所・生年月日の申立てがあれば申請を受理できる
- 認定は原則30日以内。30日以内にできない場合は電話などで伝えれば足りる
- 更新申請ができない場合は、従前の要介護度でサービスを続け、後で更新申請ができる
有効期間の延長と暫定ケアプラン
- 特定非常災害の指定に伴い、災害救助法適用区域の被保険者の認定有効期間は、市町村が定める期間まで最大12か月延長できる(老発0116第3号)
- 令和6年1月1日付の特例では、新規の認定申請前のサービスにも、市町村の判断で特例居宅介護サービス費等を支給できる
- 認定審査会を開催できない場合は、暫定ケアプランでサービスを提供できる
これらも能登半島地震時の個別の措置で、すべての災害で同じ取扱いになるとは限りません。
医療保険の一部負担金減免との違い
介護サービスを使う人は通院も多く、医療機関の窓口で払う自己負担(一部負担金)にも別の減免の仕組みがあります。窓口も判断する主体も違うため、減免と合わせて確認が要ります。
医療保険は保険者が判断
健康保険では、健康保険法第75条の2・第110条の2にもとづき、保険者の判断で一部負担金等の徴収猶予・減免が行われます(令和6年1月2日付の厚生労働省保険局保険課事務連絡)。国民健康保険など他の医療保険の扱いは、加入する医療保険者によって異なるので、窓口にご確認ください。
介護保険との違い
| 項目 | 介護保険の利用者負担減免 | 医療保険の一部負担金減免 |
|---|---|---|
| 根拠 | 介護保険法第50条・第60条 | 健康保険法第75条の2・第110条の2など(健康保険の場合) |
| 決める主体 | 市町村 | 加入している医療保険者 |
| 減免の方法 | 給付割合を引き上げる(市町村が割合を定める) | 窓口負担の徴収猶予・減免(保険者の判断) |
| 保険料 | 法第142条と市町村条例(第1号) | 保険者ごと |
大規模災害の特例(能登半島地震の令和6年12月25日付資料)では、医療保険の窓口負担と介護保険の利用料が一体で案内され、免除証明書を窓口で提示する形になりました。被災したときは、市町村の介護保険担当課と加入している医療保険者の双方に確認しておくと安心です。
被災後に確認したいこと
家族が確認すること
- 市町村の介護保険担当課に、利用者負担の減免の制度があるか、対象になりそうかを問い合わせる
- り災証明書の発行手続きと、減免の申請期限(事由発生から何か月以内か)
- 食費・居住費は減免の対象外であることを前提に、施設等の費用の見通しを立てる
- 保険料の減免・徴収猶予が使えるか(第1号被保険者の場合)
- 40〜64歳の家族は、加入している医療保険者に保険料や窓口負担の扱いを確認する
経済的な負担については、高額介護サービス費との関係も気になるところです。次の「分からないこと」で窓口での聞き方を挙げています。
分からないこと・窓口で聞くこと
公開資料だけでは一律に言えず、自治体や医療保険者によって異なる点があります。窓口では、たとえば次のように聞くと確認できます。
- 「法第50条・第60条の減免を受けた場合、高額介護サービス費はどう計算されますか」
- 「40〜64歳の家族の第2号保険料に、災害の減免はありますか」
- 「福祉避難所や避難先の施設での食費・居住費は、どう扱われますか」
費用全体を見るときの注意
施設に入所している場合の費用は、サービス費の自己負担のほか、食費・居住費などから成ります。この仕組みは特定入所者介護サービス費を解説した記事でも説明しています。災害時の減免の対象は、サービス費の自己負担部分が中心であり、食費・居住費は別の問題として整理する必要があります。
制度は変わりうる
介護保険制度は、法改正のほか、災害のたびに出る国の事務連絡や、市町村の要綱・条例の改正で、取扱いが変わる可能性があります。この記事は2026年11月時点で確認できた公的資料にもとづくもので、今後の法改正や運用変更により内容が変わる可能性があります。申請を考える際は、必ず市町村など公的機関の最新の案内をご確認ください。
まとめ
- 災害時の利用者負担減免は、介護保険法第50条(要介護)・第60条(要支援)にもとづき、市町村が認めた場合に給付割合を引き上げて自己負担を下げる仕組み。自動ではなく申請が必要
- 減免の割合・期間・所得要件・申請期限は自治体ごとに異なり、100/100(自己負担0円)から、97/100やそれ以下の段階的な割合までさまざま
- 入院・入所時の食費・居住費は、原則として減免の対象外
- 国の特例(東日本大震災・能登半島地震など)は災害ごとの時限措置。能登の特例は令和6年12月25日付の資料で令和7年6月30日までのサービス分とされ、その後の延長は最新の案内で確認。千葉市の令和8年豪雨の措置も臨時のもの
- 第1号保険料は法第142条と市町村条例で減免・徴収猶予ができ、利用者負担の減免とは別の仕組み
- 被災したら、まず市町村の介護保険担当課と、加入している医療保険者に問い合わせる
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