軽費老人ホーム(ケアハウス)とは|入所条件・費用の内訳と種類の違いを解説

軽費老人ホーム(ケアハウス)は自立生活に不安のある高齢者向けの老人福祉法上の施設です。種類や費用の内訳、特養・有料老人ホームとの違いをまとめました。

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目次

軽費老人ホーム(ケアハウス)は、老人福祉法にもとづき、身体機能の低下などで独立した生活に不安がある高齢者が、比較的低い料金で利用できる施設です。要介護高齢者向けの介護保険施設である特別養護老人ホームとは制度上の位置づけが異なり、古くからのA型・B型という区分から、現在は「ケアハウス」を中心とした基準に整理されています。この記事では、対象条件、居室の基準、費用の仕組み、他の施設との違いを、厚生労働省の省令や自治体の案内にもとづいて解説します。

軽費老人ホーム(ケアハウス)とは何か

軽費老人ホームとは、老人福祉法に定められた老人福祉施設のひとつです。家庭環境や住宅事情などの理由で自宅での生活が困難な高齢者、あるいは身体機能の低下により独立した生活に不安がある高齢者が、無料または低額な料金で入所し、食事の提供などのサービスを受けながら生活する施設として位置づけられています。特別養護老人ホームのように要介護度の高い方の介護そのものを目的とした介護保険施設とは異なり、比較的自立度の高い高齢者が、日常生活上の不安を軽減しながら暮らすための「住まい」としての性格が強い点が特徴です。食事の提供が受けられる、緊急時の相談ができる職員がいるといった支援を受けながら、自分の居室を持って生活できることから、一人暮らしに不安を感じ始めた高齢者や、その家族にとって選択肢のひとつとなっています。

老人福祉法に基づく施設という位置づけ

軽費老人ホームの設備・運営の具体的な基準は、老人福祉法にもとづく「軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準」(平成20年5月9日厚生労働省令第107号)で定められています。この省令は、居室の面積や職員配置、費用の徴収方法など、施設運営の骨格を定めるもので、都道府県・指定都市・中核市がこの基準に沿って条例を制定し、実際の指導監督にあたります。介護保険法にもとづく介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム)とは根拠法令自体が異なり、軽費老人ホームは老人福祉法上の「福祉の措置」や施設利用契約を通じて利用する施設という制度上の系統に属します。

A型・B型・ケアハウス・都市型の違い

軽費老人ホームには、これまでの経緯からいくつかの類型があります。現行の省令の本則が標準として定めているのは「通常型軽費老人ホーム(ケアハウス)」「共同生活室型軽費老人ホーム」「都市型軽費老人ホーム」の3つで、これより前から存在していた「A型」「B型」は、現行の省令では附則(経過措置)としてのみ規定が残されている類型です。それぞれの対象者・特徴を表で整理します。

類型根拠規定対象者特徴
通常型(ケアハウス)本則第2条身体機能の低下により自立した生活を営むことに不安があると認められる方現行基準の標準となる類型。個々の居室で独立した生活を送ることに重きを置く
共同生活室型本則通常型と同様の対象者居室に加え、入居者同士が交流できる共用の生活室を備える
都市型本則大都市部の低所得高齢者など、自治体が定める要件に該当する方居室面積の基準が他の類型より小さく、大都市部での整備に対応
A型(経過措置)附則第3条独立した生活に不安のある高齢者食事の提供を行う類型。新規整備の基準ではなく既存施設の運営根拠
B型(経過措置)附則第11条自炊ができない程度に身体機能が低下した方など入居者自身が自炊を行うことを基本とする類型

この整理がどのような経緯で生まれたかは、後述の「A型・B型からケアハウスへの移り変わり」で詳しく説明します。同じ「軽費老人ホーム」という枠組みの中に成り立ちの異なる複数の類型が併存しているため、パンフレットや自治体の案内を見る際は、対象施設がどの類型にあたるのかをまず確認してください。

軽費老人ホームの類型の位置づけ 現行の基準(本則)にある通常型・共同生活室型・都市型と、経過措置(附則)として残るA型・B型の関係を示す図 軽費老人ホーム (老人福祉法の施設) 現行の基準(本則) 通常型(ケアハウス) 共同生活室型 都市型 経過措置(附則) A型(食事あり) B型(自炊が基本) A型・B型は既存施設の運営根拠として存続
軽費老人ホームは、現行基準(本則)の3類型と、経過措置(附則)として残るA型・B型が併存している。

対象となる方の条件

「自分や家族が対象になるのだろうか」と気になる方も多いはずです。軽費老人ホームの対象となる方の条件は、年齢や身体の状況を中心に定められています。あわせて、都市型軽費老人ホームのように所得の要件が加わる類型もあります。

年齢・身体状況の目安

入所の対象は、原則として60歳以上の方です。ただし、配偶者や三親等内の親族などが同居する場合には、例外的に60歳未満でも認められることがあります。身体状況については、独立行政法人福祉医療機構(WAM NET)が次の3つの観点を挙げています。

  • 独立して生活するには不安がある方
  • 自炊ができない程度に身体機能の低下が認められる方
  • 家族による援助を受けることが困難な方

要介護認定を受けていない方から、比較的軽度の要支援・要介護状態の方まで幅広く想定されている施設といえます。介護保険の申請を済ませているかどうかを問わず相談できる施設が多いため、要介護認定の結果を待たずに、まず住まいの選択肢として情報収集を始めることも可能です。

所得要件があるケース(都市型軽費老人ホームの例)

一般の軽費老人ホーム(ケアハウス)には所得の制限が設けられていないのが基本ですが、大都市部の低所得高齢者向けに整備が進められてきた「都市型軽費老人ホーム」では、所得に関する要件が加わる例があります。たとえば中野区が案内する都市型軽費老人ホームの入所要件は、次のように整理されています(あくまで中野区の一例です)。

  • 年齢要件:満60歳以上であること
  • 所得要件:原則として生活保護を受給している、または区民税が非課税であること
  • 居住要件:区内に1年以上居住し住民票があること
  • 身体状況要件:要支援1〜要介護1程度で、自立生活に不安があること
  • その他の要件:金銭管理ができること、感染症がなく医療を自己管理できること、共同生活が可能であること

こうした要件は自治体や施設によって異なるため、あくまで一つの例として理解してください。所得や居住地の要件は、施設が立地する自治体の高齢福祉施策の方針によって細かく設計されている部分でもあるため、同じ都市型軽費老人ホームでも自治体が変われば条件の書きぶりが異なることがあります。検討時は必ず対象施設・自治体の最新案内を確認しましょう。

居室・設備の基準

軽費老人ホームの居室の広さや定員は、類型ごとに基準省令で定められています。同じ「軽費老人ホーム」という名称でも、通常型・共同生活室型・都市型・A型・B型のどれにあたるかによって、居室として確保される広さは大きく異なります。ここでは主な類型の床面積の基準を比較します。

居室の定員と床面積の目安

居室の定員は、すべての類型に共通して原則1人とされています(サービス提供上必要と認められる場合は2人とすることも可能です)。床面積の基準は類型によって幅があり、通常型(ケアハウス)は1人あたり21.6平方メートル以上(このうち、洗面所やトイレなどを除いた居室部分の有効面積が14.85平方メートル以上、2人室の場合は31.9平方メートル以上)、共同生活室型は15.63平方メートル以上(有効面積13.2平方メートル以上)、都市型軽費老人ホームは1人あたり7.43平方メートル以上とされています。附則で経過措置として残るA型は6.6平方メートル以上、B型は16.5平方メートル以上(2人室の場合は24.8平方メートル以上)が基準です。こうした面積の幅は、施設が想定している生活スタイルの違いを反映したものといえます。通常型は個々の居室で独立した生活を送ることに重きが置かれているのに対し、共同生活室型は居室に加えて入居者同士が交流できる共用の生活空間を備えることを前提に、居室そのものの面積基準がやや抑えられています。

類型別・居室1人あたりの床面積(基準省令上の下限) 通常型(ケアハウス) 21.6㎡ B型(経過措置) 16.5㎡ 共同生活室型 15.63㎡ 都市型 7.43㎡ A型(経過措置) 6.6㎡

基準省令が定める居室1人あたりの床面積の下限を類型別に比較したものです。都市型軽費老人ホームは大都市部での整備を想定し、他の類型より狭い面積基準になっています。

共同生活室型・都市型との違い

共同生活室型は、居室に加えて入居者が共同で利用する生活室を備える類型で、居室そのものの面積基準は通常型よりやや小さく設定されています。都市型軽費老人ホームは、大都市部において低所得の高齢者向けに整備しやすくするため、居室面積の基準を7.43平方メートル以上とかなりコンパクトにした類型です。面積が抑えられている分、前述のとおり所得要件や居住要件など、入所できる方の条件が絞られている点も特徴です。同じ「軽費老人ホーム」という名称でも、類型によって想定されている居住環境や対象者像が異なることを押さえておく必要があります。パンフレットの面積表記が居室単体の面積なのか、洗面所やトイレを含む有効面積なのか、見学時に必ず確認してみてください。

利用料金の仕組み

月々の支払いはどのように決まるのでしょうか。軽費老人ホームの利用料金は、複数の費用項目の組み合わせで構成されています。基準省令第16条では、施設が入居者から徴収できる費用の項目が定められています。どの項目にいくらかかっているのかを分解して確認することで、月々の支払額の内訳を把握しやすくなります。

サービス提供費・生活費・居住費の内訳

軽費老人ホームの利用料金は、複数の費用項目の組み合わせで構成されています。基準省令第16条では、施設が入居者から徴収できる費用の項目が次のように定められています。

  • サービス提供費:都道府県知事が定める額を上限とする、いわゆる事務費にあたる部分
  • 生活費:食材料費や共用部分の光熱水費など
  • 居住費:居室部分の家賃相当分(居室の光熱水費は別項目)
  • 居室の光熱水費:入居者本人の居室にかかる電気・水道・ガス代
  • 特別サービス費:入居者の希望に応じて提供される特別なサービスにかかる費用
  • その他の日常生活費:上記に含まれない日用品費など

特別養護老人ホームのように介護保険から給付が行われる仕組みとは異なり、こうした費用の多くを入居者自身が施設に対して支払う仕組みになっている点が、軽費老人ホームの費用構造の特徴です。入居時の一時金や敷金の有無も施設ごとに差があるため、契約前に重要事項説明書などで、基本の費用に何が含まれ、追加で費用がかかるのはどのようなサービスなのかを一つずつ確認しましょう。

所得に応じて決まる事務費

サービス提供費(いわゆる事務費にあたる部分)は、都道府県知事が定める費用徴収基準にもとづき、入居者本人の所得に応じて金額が決まる仕組みになっています。具体的な金額は自治体ごとの基準額表によって定められるため、一律の金額を示すことはできませんが、「所得が低い方ほど負担が軽くなる」という考え方にもとづいた仕組みである点は共通しています。実際の負担額を知るには、入所を検討する施設や、施設が所在する自治体の窓口に確認する必要があります。所得に応じて負担が変わるこの仕組みには、無料または低額な料金で高齢者の住まいを確保するという、老人福祉法の福祉的な性格が表れています。

費用の一例(都市型軽費老人ホームのケース)

費用のイメージをつかむための一例として、中野区が案内する都市型軽費老人ホームの費用構成を紹介します。同区の案内では、サービス提供費用が月額10,000円程度から、居住費が43,000円程度から、生活費が45,000円程度から、居室の光熱水費が10,000円程度とされ、これらを合計すると月額はおよそ108,000円と案内されています。ただし、これは低所得者向けの特例的な類型である都市型軽費老人ホームの一例であり、一般の軽費老人ホーム・ケアハウス全体の相場として一般化できるものではありません。所得や施設、地域によって金額は変わるため、あくまで費用構成のイメージをつかむための参考情報として捉えてください。施設の種類による費用の傾向をより詳しく比較したい場合は、介護付き・住宅型など類型ごとに費用差が大きい有料老人ホームの解説記事もあわせて参考にしてください。

都市型軽費老人ホームの月額費用の一例(合計約108,000円) サービス提供費用 10,000円〜 居住費 43,000円〜 生活費 45,000円〜 光熱水費 約10,000円 合計 約108,000円/月

中野区が案内する都市型軽費老人ホームの費用の一例です。低所得者向けの特例的な類型の例であり、一般の軽費老人ホーム・ケアハウス全体の相場を示すものではありません。

A型・B型からケアハウスへの移り変わり

軽費老人ホームの制度は、平成20年の基準省令の全面改正を境に大きく整理されました。この経緯を知っておくと、A型・B型とケアハウスという呼び方の違いが理解しやすくなります。

平成20年の基準省令改正で何が変わったか

平成20年5月9日の厚生労働省令第107号による基準の全面改正(同年6月1日施行)により、軽費老人ホームの基準省令は、本則で「通常型軽費老人ホーム(ケアハウス)」を標準とする構成に変わりました。この改正により、新たに施設を整備する際に基準となるのは、ケアハウス(通常型・共同生活室型・都市型)の枠組みが中心となり、それまでのA型・B型という区分は、本則ではなく附則の経過措置としてのみ規定される形に整理されています。独立行政法人福祉医療機構(WAM NET)が紹介する取組事例でも、平成20年から一部の施設がケアハウス(特定施設入居者生活介護の指定を受けた施設)へ転換できるようになったことが説明されています。特定施設入居者生活介護とは、介護保険から給付を受けて、施設のスタッフから入浴・食事などの介護サービスを施設内で受けられる仕組みです。制度の基準がケアハウス中心の枠組みに整理された、というのがこの改正の骨子です。

既存のA型・B型は今も利用できるのか

平成20年の改正以前から運営されてきたA型・B型の施設は、経過措置の規定にもとづいて、現在も運営が認められています。附則第3条(A型)・附則第11条(B型)には、それぞれの類型の設備・運営基準や規模要件(いずれも50人以上、B型は併設の場合20人以上)が引き続き定められており、既存施設がすぐに利用できなくなるわけではありません。ただし、新規に施設を整備する場合の基準は、ケアハウス(通常型・共同生活室型・都市型)が中心になっているため、地域によってはA型・B型の新規施設を見かける機会が少なくなっている可能性があります。実際にどの類型の施設が地域にあるかは、自治体の窓口や施設の案内で確認するのが確実です。名称の面でも、事業者のパンフレットなどで「ケアハウス」とだけ表記されている場合と、「軽費老人ホーム(A型)」のように旧来の類型名を明記している場合があります。資料のどちらの基準にもとづく施設なのか、一度立ち止まって確認してみてください。

特別養護老人ホーム・有料老人ホーム・サ高住との違い

「特養」「有料老人ホーム」「サ高住」とは何が違うのでしょうか。軽費老人ホームは、これらの施設と混同されることがありますが、根拠法令や対象者、費用の仕組みが異なります。

対象者・介護の必要度の違い

特別養護老人ホームは、要介護高齢者向けの介護保険施設で、常時の介護を必要とする方を対象に、入浴・排せつ・食事などの介護、機能訓練、健康管理などを提供する生活の場です。これに対して軽費老人ホーム(ケアハウス)は、独立した生活に不安があるものの、常時の介護までは必要としない、比較的自立度の高い高齢者を主な対象としています。同じ「高齢者向けの住まい」であっても、根拠となる法律や想定している介護の必要度が異なるため、どの制度に属する施設なのかを整理してから比較検討することが出発点になります。主な違いを表にまとめます。

特養・軽費老人ホーム・サ高住の対象者の違い 特別養護老人ホーム、軽費老人ホーム(ケアハウス)、サービス付き高齢者向け住宅の対象者と根拠法令を比較する図 特別養護老人ホーム 常時の介護が必要な要介護高齢者 根拠:介護保険法 軽費老人ホーム(ケアハウス) 常時の介護は不要な自立度の高い方 根拠:老人福祉法 サービス付き高齢者向け住宅 60歳以上の方などが対象 根拠:高齢者住まい法
同じ「高齢者向けの住まい」でも、根拠法令と想定する介護の必要度が異なる。
施設種別根拠法令主な対象者費用の仕組み契約形態
特別養護老人ホーム介護保険法常時の介護を必要とする要介護高齢者介護サービス費の多くを介護保険から給付、利用者は所得に応じた自己負担施設との契約(入所判定あり)
軽費老人ホーム(ケアハウス)老人福祉法独立した生活に不安があるが、常時の介護は必要としない高齢者サービス提供費・生活費・居住費などを利用者自身が施設に支払う施設との直接契約が基本(自治体が入所判定に関与する例あり)
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)高齢者住まい法(高齢者の居住の安定確保に関する法律)60歳以上の方、または要支援・要介護認定を受けた60歳未満の方家賃・サービス費を利用者が負担する住宅契約が基本賃貸借契約が中心
介護付き有料老人ホーム老人福祉法(特定施設入居者生活介護の指定)自立から要介護まで幅広く、施設内で介護を受けたい方特定施設入居者生活介護として介護保険から給付、利用者は所得に応じた自己負担施設との利用権契約または賃貸借契約

費用・契約形態の違い

費用構造の違いをもう少し詳しく見ていきます。特別養護老人ホームは介護保険施設であるため、介護サービスにかかる費用の多くは介護保険から給付され、利用者の自己負担は所得に応じて定められています。一方、軽費老人ホームは老人福祉法上の施設で、サービス提供費・生活費・居住費といった費用の多くを利用者自身が施設に支払う仕組みです。契約の面でも、軽費老人ホームは施設と利用者の直接契約が基本ですが、自治体が入所の適否判定に関与する運用がとられている例もあり、完全な自由契約というよりは公的な関与を伴う面がある点が、民間の有料老人ホームとの違いといえます。月々の支払額の大小だけで比較すると、提供されるサービスの範囲や、介護が必要になった場合の対応力といった条件面の違いを見落としてしまうことがあるため、費用と提供されるサービスの内容をあわせて確認しましょう。

入所までの流れと申込方法

どこに相談すれば良いのか迷う方も多いでしょう。軽費老人ホームへの入所を検討する際は、まず市区町村の窓口や地域包括支援センターへの相談から始めるのが一般的です。

相談窓口と申請の流れ

軽費老人ホームへの入所を検討する際は、まず市区町村の窓口や地域包括支援センターへの相談から始めるのが一般的です。中野区の都市型軽費老人ホームの案内を例にすると、手続きはおおむね次のような流れで進みます。

  1. 地域包括支援センターまたは区市町村の福祉担当窓口に相談する
  2. 申請書類を作成し、提出する
  3. 自治体が定める指針にもとづいて入所の適否・優先度が判定される
  4. 順番が来るまで待機する
  5. 施設の見学・面接を行う
  6. 施設と契約を結ぶ

一般の軽費老人ホーム(A型・B型を含む)でも、市区町村の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターへの相談を起点とする点は共通していますが、具体的な手続きの名称や書式は自治体によって異なります。まずは居住地の自治体窓口に、対象となる施設の有無や申込方法を確認することが最初のステップです。

入所までの流れ 相談から契約までの6つのステップを順に示す図。地域包括支援センターへの相談、申請、判定、待機、見学・面接、契約の順で進む 1 地域包括支援センターに相談 2 申請書類を提出する 3 自治体が入所を判定 4 順番が来るまで待機 5 施設の見学・面接 6 施設と契約を結ぶ
相談から契約までは、相談・申請・判定・待機・見学・契約の順で進むのが一般的な流れ。

入所判定と契約までの期間の目安

上記のうち、申請後の判定・待機・見学・契約にかかる期間は、地域や施設の空き状況によって差があります。ケアハウスは施設と利用者の直接契約が基本である一方、自治体が入所の判定に関与する運用がとられている地域もあるため、契約に至るまでの期間の目安は自治体や施設ごとに異なります。相談時に、おおよその見通しをあわせて聞いておくとよいでしょう。見学の際は、居室の広さや設備だけでなく、食事の提供体制、職員が常駐している時間帯、緊急時の連絡体制も具体的に質問してみましょう。

退去要件と注意しておきたいポイント

軽費老人ホームに入所したあとも、身体状況の変化によって暮らし方の見直しが必要になる場合があります。

要介護度が上がった場合の対応

軽費老人ホームは、常時の介護までは必要としない自立度の高い高齢者を主な対象とした施設であるため、入所後に要介護度が進み、常時の介護が必要な状態になった場合の対応は、施設によって異なります。特定施設入居者生活介護の指定を受けている施設であれば、施設内で一定の介護サービスを利用しながら継続して生活できる場合がありますが、指定を受けていない施設では、要介護度が進んだ段階で他の介護保険施設への住み替えが課題になる可能性があります。こうした点は入所前の段階で、施設がどのような体制を取っているかを確認しておくことが大切です。体調や身体状況が変化した場合に施設がどこまで対応できるのか、対応できない場合はどのような選択肢があるのか。「もし要介護度が進んだらどうするか」を、契約前の家族会議の議題にしておくと安心です。

施設によって異なる運用ルール

退去に関するルールや、要介護度が上がった際の具体的な対応方針は、法令で細かく画一的に定められているわけではなく、施設ごとの契約内容や運営方針によって異なります。同じ「軽費老人ホーム」という名称でも、A型・B型・ケアハウス・都市型といった類型の違いに加え、運営する社会福祉法人や自治体の方針によって運用に差が生じる点は、入所を検討する際に見落とされやすい部分です。契約前には、重要事項説明書などで退去に関する条項を確認しておくことをおすすめします。特に、要介護度が進んだ場合に施設側から契約の見直しや退去を求められる可能性があるのか、その場合にどの程度の予告期間や引っ越し先探しの支援があるのかといった点は、日常生活を送っているだけでは気づきにくい部分です。退去や契約見直しの条件は、口頭ではなく必ず書面で確認しましょう。

よくある誤解・注意点

軽費老人ホームという名称や制度をめぐっては、混同されやすい点がいくつかあります。

「軽費」の意味と生活保護との違い

「軽費」という名称から、生活保護を受けている方専用の施設だと誤解されることがありますが、軽費老人ホーム自体は生活保護の受給を入所の必須条件とはしていません。「軽費」とは、無料または低額な料金で利用できることを意味しており、対象は幅広い所得層の高齢者です。一方で、前述の都市型軽費老人ホームのように、大都市部で低所得者向けに整備された類型では、生活保護の受給や住民税非課税といった所得の要件が加わる例があります。同じ「軽費老人ホーム」でも類型によって所得要件の有無が異なる点は、誤解しやすいポイントです。「軽費=生活保護を受けなければならない」という思い込みを外し、類型ごとの条件を一つずつ確認していくことが、選択肢を狭めないコツです。

空き状況・待機の実態

軽費老人ホームの全国的な施設数・定員数は、政府統計である社会福祉施設等調査で確認できます。実際の空き状況は地域や施設によって大きく異なり、都市部では待機が発生している施設がある一方、地域によっては比較的入所しやすい施設もあります。具体的な空き状況は、検討している施設や自治体の窓口に直接問い合わせて確認するのが確実です。地域の高齢福祉担当窓口や地域包括支援センターでは、管内にどのような類型の軽費老人ホームがあり、現在の受け入れ状況がどうなっているかを把握していることが多いため、インターネットの情報だけに頼らず、直接相談してみることをおすすめします。

まとめ

軽費老人ホーム(ケアハウス)について、ポイントを整理します。

  • 軽費老人ホームは老人福祉法にもとづく施設で、自立した生活に不安がある高齢者を対象とし、要介護高齢者向けの介護保険施設である特別養護老人ホームとは制度上の系統が異なる
  • 類型には通常型(ケアハウス)・共同生活室型・都市型があり、経過措置としてA型・B型も存在する。居室の床面積基準は類型ごとに7.43〜21.6平方メートルと幅がある
  • 費用はサービス提供費・生活費・居住費などの内訳で構成され、事務費にあたる部分は所得に応じて決まる仕組みになっている
  • 都市型軽費老人ホームには所得や居住などの要件が加わる例があり、一般の軽費老人ホームと同一視できない点に注意が必要
  • 入所後に要介護度が上がった場合の対応や、退去に関するルールは施設ごとに異なるため、契約前の確認が欠かせない

まずは地域包括支援センターや市区町村の高齢福祉担当窓口に相談し、対象となる施設の有無と申込方法を確認することから始めましょう。

掲載内容は執筆時点(2026年9月)の制度にもとづくものであり、介護保険制度は3年ごとに見直されるなど、法改正や自治体の運用変更により内容が変わる場合があります。

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よくある質問

軽費老人ホーム(ケアハウス)とはどのような施設ですか?

老人福祉法にもとづく施設で、身体機能の低下などにより自立した生活に不安がある高齢者が、比較的低額な料金で入所し、食事の提供などの支援を受けながら独立した居室で生活する施設です。

何歳から入所できますか?

原則として60歳以上が対象です。配偶者や三親等内の親族が同居する場合には、例外的に60歳未満でも認められることがあります。実際の条件は施設や自治体によって異なります。

入居時にまとまった費用(入居金・敷金等)は必要ですか?

費用体系は施設ごとに異なり、入居時の一時金の有無も施設によって差があります。具体的な金額や返還の条件は施設ごとに定められているため、契約前に重要事項説明書などで必ず確認してください。

費用はどのくらいかかりますか?

サービス提供費・生活費・居住費などの内訳で構成され、事務費にあたる部分は所得に応じて決まります。都市型軽費老人ホームの一例では月額合計約108,000円という自治体の案内がありますが、金額は所得や施設によって異なります。

特別養護老人ホームとの違いは何ですか?

特養は要介護高齢者向けの介護保険施設で、入浴・排せつなどの介護サービスを提供します。軽費老人ホームは老人福祉法上の施設で、常時の介護までは必要としない自立度の高い高齢者を主な対象としています。

要介護度が上がった場合も住み続けられますか?

施設が特定施設入居者生活介護の指定を受けているかどうかなど、施設ごとの体制によって対応が異なります。要介護度が進んだ場合の転換や退去の可能性について、入所前に施設の方針を確認しておくことが大切です。

参考・出典

  1. 軽費老人ホームの設備及び運営に関する基準(平成20年厚生労働省令第107号) (厚生労働省)
  2. 軽費老人ホームの設備及び運営について(昭和47年社老第17号) (厚生労働省)
  3. 軽費老人ホーム(高齢・介護ハンドブック) (独立行政法人福祉医療機構(WAM NET))
  4. 軽費老人ホームからケアハウスへの転換(取組事例) (独立行政法人福祉医療機構(WAM NET))
  5. 軽費老人ホーム (栃木県)
  6. 都市型軽費老人ホームへ入所を希望する方へ (中野区)
  7. 軽費老人ホーム(ケアハウス) (東京都福祉局)
  8. 都市型軽費老人ホーム (東京都福祉局)
  9. 軽費老人ホーム(A型及びB型)運営費補助 (東京都福祉局)
  10. 軽費老人ホームサービスの提供に要する費用補助 (東京都福祉局)
  11. 社会福祉施設等調査 (e-Stat(政府統計の総合窓口))