介護予防短期入所生活介護は、要支援1・2の人が特別養護老人ホームなどに短期間泊まり、食事・入浴・排せつの支援と機能訓練を受ける介護保険サービスです(「予防ショートステイ」と略して呼ばれることもあります)。この記事では、対象、要介護の短期入所生活介護との違い、費用の計算例、日数のルール、利用の流れを公的資料で整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 要支援1・2の人 |
| 連続利用 | 30日まで |
| 基本報酬 | 1日451〜681単位(令和6年4月改定後。事業所や居室の区分による) |
| 相談先 | 地域包括支援センター |
1割負担・多床室で1泊した場合の目安は、サービス費約450円+食費1,545円+居住費915円で、合計約2,900円です(併設型の従来型多床室、地域区分は「その他」、加算は除く)。
金額や要件は令和8年(2026年)10月24日時点で確認できた内容です。介護報酬は3年ごと、補足給付などは年度途中にも見直されることがあります。利用前にお住まいの市区町村や地域包括支援センターで最新の内容を確認してください。
介護予防短期入所生活介護とは
定義とサービスの内容
特別養護老人ホームなどの施設に短期間入所し、食事・入浴・排せつなどの日常生活の支援と機能訓練を受けるサービスです。厚生労働省の介護サービス情報公表システム、福祉医療機構(WAM NET)、東京都の指導検査基準が、いずれもこの趣旨で説明しています。
目的は、利用者が可能な限り自宅で自立した日常生活を営めるよう、心身機能の維持回復と生活機能の維持向上を図ることです。あわせて、家族の介護負担を軽くする役割もあります。「家族が休むための預け先」であると同時に、「本人の生活機能を保つための数日間」という面も制度上の目的に入っています。
対象となる人
対象は要支援1・2の認定を受けた人です(WAM NET、江東区の案内)。要介護1〜5の人は、別のサービスである「短期入所生活介護」の対象になります。東京都の事業者向け基準では、短期入所が必要となる理由として次のものが挙げられています。
- 疾病
- 冠婚葬祭
- 出張
- 家族の身体的・精神的な負担の軽減
家族が体調を崩したとき、親族の葬儀で家を空けるとき、仕事で数日不在になるときなどが当てはまります。
よくある誤解
- 「要支援だから使えない」:要支援1・2でも予防給付のサービスとして利用できます。
- 「何日でも自由に泊まれる」:連続利用の上限や、認定有効期間に対する日数の目安があります(後述)。
- 「宿泊費もすべて介護保険でまかなわれる」:食費・居住費・日用品費などは利用者の負担が基本です。
要介護の短期入所生活介護との違い
対象者・報酬・利用者数の比較
最も分かりやすい違いは対象です。要支援1・2の人が使うのが介護予防短期入所生活介護、要介護1〜5の人が使うのが短期入所生活介護で、報酬の表も別です。予防側は「指定介護予防サービスに要する費用の額の算定に関する基準」(厚生労働省告示第127号)の別表6に示されています。
| 項目 | 介護予防短期入所生活介護 | 短期入所生活介護 |
|---|---|---|
| 対象 | 要支援1・2 | 要介護1〜5 |
| 報酬の根拠 | 告示127号 別表6 | 要介護側の報酬表 |
| 看護体制加算 | 別表6にはない | 報酬表にある |
| 受給者数(令和8年4月審査分) | 8.7千人 | 293.2千人 |
受給者数は厚生労働省の介護給付費等実態統計によるもので、予防側は要介護側に比べて少ない状況です(月別では令和7年5月〜令和8年4月に8.1〜9.2千人)。要介護側の記事で見た加算は予防側にないものもあるため、個別の加算が算定されるかは事業所と担当者に確認します。要介護側の仕組みは、短期入所生活介護(福祉型ショートステイ)とはで説明しています。
事業所の種類と基準
単独型と併設型、従来型とユニット型
基本報酬の表では、事業所の形態が「単独型」(単独で運営)と「併設型」(特別養護老人ホームなどに併設)に分かれます。居室の形態は、従来型個室・多床室と、少人数のグループ(ユニット)ごとに生活するユニット型個室の区分です。この組み合わせで1日の単位数が変わります。どの区分かは、事業所に尋ねるか介護サービス情報公表システムで確認できます。
設備と人員の基準(東京都の基準)
事業所を確認する際の目安として、東京都の指導検査基準(令和6年4月)の主な項目を挙げます。他の自治体の基準は、それぞれの資料で確認してください。
- 利用定員:20人以上(併設の場合は例外あり)
- 居室:1室4人以下、1人あたり10.65㎡以上
- 人員:医師1人以上、生活相談員は100人ごとに1人以上、介護職員または看護職員は3人ごとに1人以上、栄養士・機能訓練指導員は各1人以上
令和5年10月1日時点の介護サービス施設・事業所調査(厚生労働省)では、介護予防短期入所生活介護の事業所は全国で11,345か所でした。
利用できる日数のルール
連続利用は30日まで
介護サービス情報公表システムと前橋市の案内によると、連続して利用できるのは30日までです。告示の注16にも、連続して30日を超えた日以降は算定しないという趣旨の定めがあります(予防側)。
前橋市の案内に基づくと、30日を超えると31日目以降は保険給付の対象外(全額自己負担)です。自費で泊まった日も連続日数としては数えられるため、日数をリセットするには間を空ける必要があり、少なくとも2泊空けるとされています。
認定有効期間の半数が目安
もう一つは、要支援の認定有効期間に対する利用日数の目安で、おおむね認定有効期間の半数とされています。たとえば12か月の認定なら、約半年(およそ180日前後)が目安です。機械的に適用するものではなく、心身の状況や家族の事情から特に必要と認められる場合は超えることもできます。
前橋市では、目安を超えて利用する場合に「長期利用理由書」の提出を求めています。自分の自治体の取り扱いは、担当のケアマネジメント機関に確認するのが確実です。
基本報酬と費用への換算
令和6年4月改定後の単位数
「単位」は介護サービスの値段を表す点数で、単位数に地域ごとの単価をかけると円になります。基本報酬は告示別表6と厚生労働省の改定資料に示されています。令和8年6月1日には処遇改善を中心にした期中改定がありましたが、基本単位は令和6年4月改定後の値のままです。
| 区分(1日) | 要支援1 | 要支援2 |
|---|---|---|
| 単独型 従来型個室・多床室 | 479単位 | 596単位 |
| 併設型 従来型個室・多床室 | 451単位 | 561単位 |
| 単独型 ユニット型個室 | 561単位 | 681単位 |
| 併設型 ユニット型個室 | 529単位 | 656単位 |
改定前は、単独型の従来型が474・589、併設型の従来型が446・555、単独型のユニット型が555・674、併設型のユニット型が523・649でした。WAM NETの解説ページには改定前の値が残っていることがあるため、金額は告示と厚生労働省の改定資料の値で確認します。
1単位の単価(地域区分)
地域区分は、人件費などの地域差を反映するために市区町村ごとに定められた区分で、単価が異なります。令和6〜8年度の単価(人件費割合55%の区分)は次のとおりです。
| 地域区分 | 1単位の単価 |
|---|---|
| 1級地 | 11.10円 |
| 2級地 | 10.88円 |
| 3級地 | 10.83円 |
| 4級地 | 10.66円 |
| 5級地 | 10.55円 |
| 6級地 | 10.33円 |
| 7級地 | 10.17円 |
| その他 | 10円 |
お住まいの地域がどの区分かは、都道府県が公表する地域単価の資料で確認できます(大阪府の資料など)。
単位から円への計算の例
併設型の従来型多床室で1級地(11.10円)なら、要支援1は451単位×11.10円=約5,006円、要支援2は561単位×11.10円=約6,227円で、江東区が掲載している金額と同じです。併設型のユニット型個室を7級地(10.17円)で計算すると、長崎市の冊子では要支援1が5,379円、要支援2が6,671円(円未満切り捨て)と示されています。
これは1日のサービス費用の全体の額で、自己負担は1割負担ならその10分の1です。
加算と減算
主な加算(令和8年6月1日施行版)
告示別表6には、基本報酬に上乗せされる加算が定められています。主なものは次のとおりで、事業所の体制や利用者の状態によって算定されるかが決まります。後ろの費用の計算例には含めていません。
| 加算 | 単位数 |
|---|---|
| 送迎 | 片道184単位 |
| 療養食加算 | 1回8単位(1日3回限度) |
| 個別機能訓練加算 | 56単位/日 |
| 認知症行動・心理症状緊急対応加算 | 200単位/日(利用開始から7日限度) |
| サービス提供体制強化加算 | (Ⅰ)22単位、(Ⅱ)18単位、(Ⅲ)6単位(日) |
| 夜勤職員配置加算 | (Ⅰ)13、(Ⅱ)18、(Ⅲ)15、(Ⅳ)20単位/日 |
このほかにも機能訓練指導員配置、若年性認知症利用者受入、生活機能向上連携、生活相談員配置等、認知症専門ケア、口腔連携強化などの加算があります。処遇改善加算の率は事業所ごとに確認してください。
減算の種類
基準を満たさない場合に所定単位数から差し引かれる減算は、次の3種で、いずれも所定単位数の100分の1です。
- 身体拘束廃止未実施
- 高齢者虐待防止措置未実施
- 業務継続計画(BCP)未策定
自己負担の考え方
負担割合(1〜3割)
サービス費の自己負担は、所得に応じて1〜3割です。厚生労働省の審議会資料では、2割負担の判定基準の一つとして、単身世帯で年金収入等とその他の合計所得金額の合計が280万円以上という基準が示されています。実際の負担割合は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口で確認できます。
食費・居住費(令和8年8月1日から)
食費と居住費は、「基準費用額」(国が定める1日あたりの標準的な額)が決められており、利用者の負担が基本です。所得に応じて、次の補足給付で軽くなります。令和8年8月1日から、厚生労働省の介護保険最新情報(Vol.1481、Vol.1506)にもとづく基準費用額は次のとおりです。
| 項目 | 基準費用額(1日) |
|---|---|
| 食費 | 1,545円(令和8年7月までは1,445円) |
| 居住費 多床室(特養等) | 915円 |
| 居住費 従来型個室(特養等) | 1,231円 |
| 居住費 ユニット型個室的多床室 | 1,728円 |
| 居住費 ユニット型個室 | 2,066円 |
補足給付(負担限度額)
補足給付は、低所得の人の食費・居住費の負担を軽くする仕組みです。対象は住民税非課税世帯などで、詳しい要件は市区町村の案内で確認できます。利用するには、市区町村に「負担限度額認定証」の申請が必要です。ショートステイの負担限度額(1日)は次のとおりです。
| 段階 | 所得の目安(年金収入+合計所得) | 食費 | 居住費 多床室 | 居住費 従来型個室 | 居住費 ユニット型 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1段階 | 住民税非課税世帯等(窓口で確認) | 300円 | ※1 | ※1 | ※1 |
| 第2段階 | 82.65万円以下 | 600円 | ※1 | ※1 | ※1 |
| 第3段階① | 120万円以下 | 1,030円 | - | - | - |
| 第3段階② | 120万円超 | 1,360円 | 530円 | 980円 | 1,470円 |
※1 第1・第2段階の居住費は、令和8年8月の改定前から変更がありません。具体額は市区町村の資料で確認してください。「-」は、本記事で確認した資料に値がない欄です。
申請と認定証の仕組みは、介護保険負担限度額認定証とはで詳しく説明しています。
費用の計算例
3日間利用(併設型・従来型多床室)
1割負担の人の費用を計算します。条件は、要支援1、併設型の従来型多床室、地域区分は「その他」(1単位10円)、利用3日間で、加算・日用品費・理美容代は含めません。サービス費は451単位×3日=1,353単位で13,530円、1割負担なら1,353円が自己負担です。
| 項目 | 補足給付なし | 第3段階② |
|---|---|---|
| サービス費(1割) | 1,353円 | 1,353円 |
| 食費(3日) | 1,545円×3=4,635円 | 1,360円×3=4,080円 |
| 居住費・多床室(3日) | 915円×3=2,745円 | 530円×3=1,590円 |
| 合計 | 8,733円 | 7,023円 |
実際には、事業所が個別に設定する日用品費や理美容代が加わります(江東区、WAM NET)。食費の設定も事業所ごとに確認が必要です。
5日間利用(併設型・ユニット型個室)
条件を変えた例です。要支援2、併設型のユニット型個室、1級地(1単位11.10円)、利用5日間、補足給付なし、加算や日用品費は含めません。サービス費は656単位×5日=3,280単位で、3,280単位×11.10円=36,408円です。1割負担なら約3,641円、2割負担なら約7,282円が自己負担です(端数の処理は実際の請求と異なる場合があります)。
| 項目 | 金額(1割負担の場合) |
|---|---|
| サービス費(1割) | 約3,641円 |
| 食費(5日) | 1,545円×5=7,725円 |
| 居住費・ユニット型個室(5日) | 2,066円×5=10,330円 |
| 合計 | 約21,696円 |
1つ目の例と比べると、居住費の差が合計に大きく影響します。居室の種類で基本報酬と居住費の両方が変わります。
支給限度額との関係
区分支給限度基準額
介護保険では、要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限(区分支給限度基準額)があり、限度額の範囲内なら保険給付の対象です。要支援1は5,032単位、要支援2は10,531単位です(広島市の案内)。この上限は、訪問や通所などほかの予防サービスと合わせて使います。
限度額から見た日数の上限の考え方(単純計算)
併設型・従来型多床室の基本報酬だけで単純に計算した考え方です。加算やほかのサービスは含めておらず、目安であって、実際に使える日数ではありません。
| 要支援度 | 1日の単位数 | 限度額に収まる日数の単純計算 |
|---|---|---|
| 要支援1(5,032単位) | 451単位 | 11日で4,961単位、12日で5,412単位(超過) |
| 要支援2(10,531単位) | 561単位 | 18日で10,098単位、19日で10,659単位(超過) |
同じ月に訪問介護や通所系のサービスを使えば、その単位数も限度額に含まれます。限度額を超えた分は全額自己負担になるため、日数はケアマネジメントの担当者と月の合計単位数で確認します。
利用の流れ
相談とアセスメント
要支援1・2のケアマネジメントは、地域包括支援センター(指定介護予防支援事業所)が担います。居宅介護支援事業所への委託も可能です。まず地域包括支援センターに「数日泊まれるサービスを使いたい」と相談します。窓口の役割は地域包括支援センターとはにまとめています。相談のあと、担当者が心身の状態、生活の様子、家族の事情、使いたい時期や日数を聞き取るアセスメントを行います。
計画書の作成から契約まで
- 地域包括支援センター等に相談する
- アセスメントを受ける
- 「介護予防サービス・支援計画書」が作成される
- サービス担当者会議で内容を共有する
- 事業所と契約し、利用日を予約する
横浜市では、事業所の一覧を見たうえで、各事業所へ直接申し込む形が案内されています。空き状況は事業所ごとに異なるため、日程が決まっているなら早めの相談が調整しやすくなります。
持ち物と事前確認
持ち物には、公的に定められた全国共通のリストを確認できませんでした。契約時に事業所へ次の項目を確認してください。
- 持ち物(事業所ごとに異なります)
- 見積もり(日用品費や理美容代の扱いを含む)
- 緊急時の連絡方法
- 服薬の扱い
利用前の注意点
目的を担当者と共有する
予防短期入所は、本人の生活機能の維持向上を目的としたサービスです。泊まる期間中にどのような支援を受けたいのか、自宅に戻ったあと何を続けたいのかを、計画書の段階で担当者と共有しておくと、利用後の振り返りがしやすくなります。
見積もりと事業所の確認
見積もりでは、基本報酬、加算、食費・居住費、日用品費の内訳を分け、どの居室の区分での金額かを説明してもらいます。加算の有無は事業所の優劣ではなく、夜勤の人員体制や機能訓練の体制など、サービスと体制の組み合わせを見るための情報です。
事業所の人員体制や加算は、介護サービス情報公表システムで調べられます。この記事は特定の事業所を評価・順位付けしません。複数の事業所を同じ項目で見比べて判断してください。
制度改定への備え
基本報酬は令和6年4月改定後の値、補足給付の額は令和8年8月1日改定後の値で、令和8年10月24日時点の内容です。最新の単位数や負担額は、厚生労働省の「令和8年度介護報酬改定について」のページや、市区町村の窓口で確認してください。
ほかのサービスとの関係
訪問や通所を組み合わせる場合は、限度額の範囲で調整します。要支援から要介護に区分が変わると報酬の区分も変わるため、次回の利用前に担当者へ確認してください。
まとめ
- 対象は要支援1・2の人で、目的は生活機能の維持向上と家族の負担軽減
- 基本報酬は令和6年4月改定後で1日451〜681単位。1割負担・多床室の1泊は、サービス費約450円+食費1,545円+居住費915円で約2,900円が目安(加算除く)
- 食費・居住費は基準費用額が定められ、所得に応じて補足給付(負担限度額)で軽くなる
- 連続利用は30日まで。認定有効期間のおおむね半数が目安で、特に必要と認められる場合は超えられる
- 制度は改定があるため、最新の内容は自治体で確認する
次にやること
- 地域包括支援センターに連絡し、利用したい時期と日数を相談する
- 介護保険担当窓口などで、自分の負担割合(1〜3割)を確認する
- 低所得に当てはまりそうなら、負担限度額認定証の申請を相談する
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