介護予防訪問看護は、要支援1・2の人が自宅で看護師などの訪問を受けられる、介護保険の予防給付のサービスです。利用者負担は原則1割(一定以上の所得があれば2割・3割)で、要支援の人のケアプランは地域包括支援センターが介護予防支援として作成します。この記事では、対象、要介護の訪問看護との違い、費用の見方、利用の流れ、全国の事業所数と利用者数を、厚生労働省や自治体の公開資料にもとづいて整理します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 要支援1・2の人(予防給付) |
| 利用者負担 | 原則1割。一定以上の所得で2割・3割 |
| 月の上限(区分支給限度基準額) | 要支援1=5,032単位、要支援2=10,531単位 |
| ケアプラン | 地域包括支援センターが作成(利用者負担なし) |
| 相談先 | 市区町村の窓口、地域包括支援センター |
金額や要件は令和6年度介護報酬改定後の公開資料にもとづく内容です。介護保険は3年ごとに制度改定があり、報酬や取扱いが変わる可能性があります。
介護予防訪問看護とは
最初に、サービスの定義と、どんな人・どんな場面が対象になるのかを押さえます。
定義とサービスの内容
介護予防訪問看護は、要支援1・2の人が利用できる予防給付のサービスで、看護師などが自宅を訪問し、療養上の世話や診療の補助を行います(世田谷区の案内)。要介護1〜5の人が使う「訪問看護」に対し、予防給付の側には「介護予防」の名が付いています。訪問看護そのものの仕組みは訪問看護とはでまとめています。
対象となる人と、使われる場面の例
対象は、要支援1または要支援2の認定を受けた人です。実際に使えるかどうかは、本人の状態やケアプランで決まります。
よくある誤解
| よくある誤解 | 実際には |
|---|---|
| 要支援では訪問看護は使えない | 要支援1・2でも予防給付として利用できる |
| 訪問看護はすべて介護保険 | 状態などによって、医療保険の訪問看護になる場合がある |
| 総合事業の訪問型サービスと同じもの | 総合事業の訪問型は別の制度で、訪問看護は予防給付に位置づけられる |
要介護の訪問看護との違い
要支援と要介護では、ケアプランを作る窓口が異なります。ここでは、その違いと令和6年4月の変更点を見ます。
ケアプランを作る人の違い
要支援1・2の人のケアプランは、地域包括支援センターが介護予防支援として作成し、利用者負担はありません(かすみがうら市の資料)。要介護1〜5の人は、一般に居宅介護支援事業所のケアマネジャーが作成します。
地域包括支援センターの役割は、地域包括支援センターとはで詳しく説明しています。
令和6年4月の変更
令和6年4月から、居宅介護支援事業所も市町村の指定を受ければ介護予防支援を実施できるようになりました。総合事業分の介護予防ケアマネジメントは、従来どおり地域包括支援センターが担当します。担当の体制は地域によって異なります。
対象と給付の違い
| 項目 | 介護予防訪問看護 | 訪問看護(要介護) |
|---|---|---|
| 対象 | 要支援1・2 | 要介護1〜5 |
| 給付の種類 | 予防給付 | 介護給付 |
報酬の表も予防給付と介護給付で別に定められているため、要介護の金額をそのまま当てはめることはできません。
サービス内容と医療保険との関係
訪問でどんなことをするのか、また医療保険との関係はどうなっているのかを、公開資料で確認できる範囲で説明します。
看護師等が行う内容の一般的な説明
訪問看護では、看護師などが自宅を訪れ、体調や療養状況の確認、療養上の世話、診療の補助を行います(世田谷区の案内)。具体的な内容は一人ひとりの状態によって異なります。
看護師以外の職種による訪問
理学療法士(PT)、作業療法士(OT)、言語聴覚士(ST)などによる訪問看護の取扱いは、令和6年度の報酬改定で見直しの対象になりました(東京都福祉局の資料)。算定の取扱いが定められているため、詳細は事業所やケアマネジメント担当者に確認してください。
医療保険の訪問看護になる場合
訪問看護は、介護保険の対象になる場合と、医療保険の対象になる場合があります。要支援の人でも、本人の状態などによって異なります。具体的な切り替えの条件は、この記事では扱いません。
利用料の目安
利用料は仕組みが少し分かりにくいため、計算の考え方、基本報酬の例、加算の順に見ていきます。
費用の決まり方と負担割合
介護サービスの費用は、サービスごとに定められた「単位」(点数)に、地域ごとの1単位の単価(10〜11.40円)をかけて決まります。利用者負担は原則1割で、一定以上の所得がある人は2割または3割です(厚生労働省の介護サービス情報公表システム、世田谷区)。自分の負担割合は、介護保険負担割合証で確認できます。
基本報酬の円額の例
次の表は、ある町営ステーションの令和6年6月改定後の円額で、1割負担の目安をあわせて示しています。地域区分により金額は異なるため、全国共通の額ではありません。
| 訪問時間 | 円額(10割) | 1割負担の目安 |
|---|---|---|
| 20分未満 | 3,094円 | 約309円 |
| 30分未満 | 4,605円 | 約461円 |
| 30分以上60分未満 | 8,107円 | 約811円 |
| 60分以上90分未満 | 11,129円 | 約1,113円 |
2割負担なら約2倍、3割負担なら約3倍が目安です。端数の処理は請求の仕組みにより異なる場合があります。
費用に上乗せされる主な加算
基本報酬に加えて、事業所の体制や利用の状況に応じた加算が上乗せされます。
| 加算 | 単位または円額 | 備考 |
|---|---|---|
| 看護体制強化加算(介護予防) | 100単位/月 | |
| サービス提供体制強化加算(介護予防)(I) | 6単位/回 | |
| サービス提供体制強化加算(介護予防)(II) | 3単位/回 | |
| 初回加算(I) | 3,574円 | 退院日に初回訪問した場合。(II)は3,063円。併用不可。円額は上記の町営ステーションの例 |
| 緊急時の加算・特別管理加算・退院時共同指導加算 | 令和6年度に改定あり | 詳細は事業所に確認。特別管理加算は主治医の指示書に特別な管理が必要な状態の記載が必要で、算定は1人の利用者につき1事業所のみ |
初回加算は令和6年度に(I)(II)の区分が新設されました。どの加算が算定されるかは、見積もりの内訳で確かめられます。
区分支給限度基準額との関係
訪問看護の利用料は、ほかの予防給付と合わせた月ごとの上限の対象になり、上限を超えると超過分は全額自己負担になります。上限の目安を先に確認しておきましょう。
要支援の限度額
介護保険では、要介護度ごとに1か月に使えるサービスの上限が決まっています。要支援1は5,032単位、要支援2は10,531単位で、1単位の単価は地域により10円から11.40円です。限度額を超えた分は全額自己負担になります(目黒区、世田谷区の案内)。
| 区分 | 月の上限の目安 | 単位数 |
|---|---|---|
| 要支援1 | 約5万円(50,320円) | 5,032単位 |
| 要支援2 | 約10.5万円(105,310円) | 10,531単位 |
円額は、介護サービス情報公表システムが1単位10円で換算した目安です。
ほかのサービスと合算される
この限度額は、訪問看護だけでなく、ほかの予防給付のサービスと合わせた上限です。仕組みは区分支給限度基準額とはで説明しています。月の合計単位数が収まるかは、ケアプランの段階で担当者と確認します。
利用の流れ
実際に使い始めるまでの手順を、状況別に整理します。
相談から認定の確認まで
すでに要支援1・2の認定がある人は、市町村の窓口(多くは地域包括支援センター)に相談して進めます。認定がまだの人は、必要に応じて要介護認定の申請も含め、市区町村の窓口で相談します(厚生労働省の介護サービス情報公表システム)。
ケアプランの作成
介護予防ケアマネジメントでケアプランを作成します。訪問看護を位置づけるかどうかは、本人の状態や希望、ほかのサービスとのバランスを踏まえて話し合って決めます。
事業所との契約
ケアプランができたら、訪問看護の事業所と契約し、訪問の曜日や時間を調整します。主治医の指示書の要否や届出など具体的な取扱いは、市区町村や事業所に確認してください。
事業所数・利用者数の統計
全国でどのくらいの事業所があり、どのくらいの人が使っているのかを、公的統計で確認します。
訪問看護ステーションの数
厚生労働省の令和6(2024)年介護サービス施設・事業所調査(調査日は令和6年10月1日)によると、介護予防訪問看護ステーションは17,487か所で、前年の15,948か所から1,539か所(9.7%)増えました。訪問看護ステーション全体は18,042か所(前年16,423か所、9.9%増)、介護予防支援事業所は7,475か所(前年5,361か所、39.4%増)です。
利用者数(受給者数)
介護給付費等実態統計の概況では、介護予防訪問看護の受給者数は次のとおりです。
| 審査月 | 受給者数 |
|---|---|
| 令和6年5月審査分 | 約117.4千人 |
| 令和7年4月審査分 | 約130.0千人 |
令和6年5月から令和7年4月の間に、約12.6千人増えています。近くの事業所は、地域包括支援センター等で確認できます。
総合事業との違い
「介護予防」の名が付く制度は複数あるため、総合事業の訪問型サービスとの違いを整理します。
予防給付と総合事業は別の制度
総合事業の訪問型サービスは、市町村が行う別の制度です。介護予防訪問看護は予防給付に位置づけられます(世田谷区の案内)。
相談の入口は同じ
どちらを使うかは、窓口で相談しながら決めます。総合事業分の介護予防ケアマネジメントは、従来どおり地域包括支援センターが担当します。通所や生活支援を含む介護予防サービス全般は介護予防サービスとはも参考になります。
よくある失敗と確認先
費用や制度の思い違いは、後から負担が増える原因になります。起こりやすい失敗と、その確認先をまとめます。
要介護の金額を当てはめてしまう
報酬の表は予防給付と介護給付で別です。要介護の訪問看護の金額を、そのまま要支援の見積もりと比べないようにします。
限度額を超える月を見落とす
月の上限は、ほかの予防給付のサービスと合算されます。超えた分は全額自己負担になるため、ケアプランの段階で月の合計単位数を確認します。
制度は3年ごとに改定される
介護報酬は3年ごとに改定されます。令和6年度改定では初回加算の区分新設などがありました。今後、報酬や取扱いが変わる可能性があります。
確認先のまとめ
- 主治医:本人の状態、医療保険か介護保険かの見立て
- 地域包括支援センター・ケアマネジメント担当者:ケアプラン、限度額、主治医の指示書や届出の取扱い
- 訪問看護の事業所:訪問時間の区分、加算、緊急時の対応、見積もりの内訳
- 市区町村の介護保険担当窓口:負担割合、最新の制度の内容
まとめ
最後に、この記事の要点を整理します。
- 介護予防訪問看護は、要支援1・2の人が使える予防給付のサービスで、看護師などが自宅を訪問する
- 利用者負担は原則1割(一定以上の所得で2割・3割)
- 月の利用は区分支給限度基準額(要支援1は5,032単位、要支援2は10,531単位)の範囲で、ほかのサービスと合算される
- 状態などによって医療保険の訪問看護になる場合があるため、主治医とケアマネジメント担当者に確認する
- 制度は3年ごとに改定されるため、最新の内容は市区町村や地域包括支援センターで確認する
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