介護施設の夜間の職員数は、施設の種類ごとに決まり方が違います。特養・老健・介護医療院・グループホームには夜勤人数の基準があり、特定施設は配置比率が中心、住宅型有料やサ高住は国の人員基準が限られます。この記事では、類型別の夜間配置基準、夜勤職員配置加算などの仕組み、家族が重要事項説明書で確認したい点を、厚生労働省などの公的資料をもとに整理します。
介護施設の「夜勤体制」とは何を指すのか
夜勤時間帯は「午後10時から翌午前5時」を含む16時間
介護施設で「夜勤体制」と言うとき、まず押さえたいのは、夜勤の時間帯が施設ごとに決められているという点です。特養の夜勤職員配置加算などの算定について、厚生労働省の加算・減算の適用要件一覧では、夜勤を行う時間帯は午後10時から翌日の午前5時までの時間を含めた連続する16時間とされ、その具体的な時間は施設が設定します。たとえば「夕方5時から翌朝9時」や「午後6時から翌朝10時」といった設定が考えられます。
時間帯の設定に自由度があるといっても、何でも許されるわけではありません。同じ要件一覧には、「午後10時から翌日の午後2時まで」のような極端な設定は認められず、朝食や夕食の介助を含む時間帯に設定するのが基本だと整理されています。つまり、夜勤帯は「実際に夜間の介護が必要な時間」を中心に置いた考え方です。
家族の立場では「夜勤は夜中だけ」と考えがちですが、見学や説明を受けるときは、その施設の夜勤帯が何時から何時までなのかを最初に確認すると、後の人数の説明が理解しやすくなります。夜勤帯が違えば、同じ「夜勤2人」でも手厚さの感じ方が変わるためです。
夜勤職員数は「1日平均」で数える
特養の夜勤職員配置加算などの算定では、夜勤の人数は、ある一晩の実人数ではなく、月の平均で数えます。厚生労働省の要件一覧では、夜勤職員数は「月の延夜勤時間数」を「日数×16時間」で割った、1日あたりの平均値として扱われます。
計算のイメージを示します。30日の月であれば、16時間×30日で480時間が分母です。この月に夜勤に入った職員の夜勤時間を全員分足し合わせた延べ時間が960時間であれば、960÷480で平均2.0人となります。延べ時間が720時間なら平均1.5人です。一晩ごとに人数が前後しても、月全体の平均で見るという考え方です。
この計算を知っておくと、パンフレットや重要事項説明書にある「平均人数」と「最少時の人数」が別の欄に書かれている理由も分かります。平均が2人でも、曜日や日によって最少で1人の夜がある施設もありえるためです。家族が本当に知りたいのは最少時の人数であることが多く、この点は後半の確認の章で扱います。
夜勤と宿直は同じではない
もう一つ混同しやすいのが「夜勤」と「宿直」です。認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の基準では、宿直は夜勤に含めないと整理されています。夜勤は夜間も通常の介護業務にあたる勤務、宿直は夜間に施設に滞在して緊急時などに備える勤務、というのが大まかな区別です。
介護付き有料老人ホームなどの夜間看護体制の加算でも、「夜勤または宿直の看護職員」という言い方が出てきます。人数として数えるときにどちらの勤務形態の職員なのかは、施設ごとの説明で確認すべき事項です。この記事では、類型ごとに国の基準を確認し、そのうえで加算と家族の確認点を整理します。
なお、施設全体の人員配置基準(日中を含む職員の数の考え方)は、別の記事介護施設の人員配置基準とはで解説しています。この記事では夜間に絞って見ていきます。
特別養護老人ホームの夜勤配置基準
従来型は入所者数に応じた段階制
従来型の特別養護老人ホーム(特養)では、夜勤を行う介護職員・看護職員の最低人数が、入所者の数に応じて段階的に決まっています。厚生労働大臣が定める夜勤職員の勤務条件に関する基準では、次のとおりです。
- 入所者25人以下:1人以上
- 26人から60人:2人以上
- 61人から80人:3人以上
- 81人から100人:4人以上
- 101人以上:100人を超えて25人(端数を含む)ごとに1人を加えた数以上
たとえば入所者が50人の特養であれば、夜勤の介護職員・看護職員は2人以上、80人であれば3人以上が最低ラインとなります。101人以上の場合は、125人までなら5人、126人から150人なら6人というように、25人増えるごとに1人ずつ増えていきます。
これは最低基準です。実際の配置はこれを上回っている施設もあれば、基準ぎりぎりの施設もあります。また、特養の加算の算定では人数を月平均で数えるため、「基準を満たす」ことと「毎晩その人数がそろう」ことは同じ意味ではありません。
ユニット型は「2ユニットごとに1人以上」
居室と共同生活空間をユニットとして区切るユニット型の特養では、人数の数え方が変わります。指定介護老人福祉施設の運営基準(第47条第2項第2号)は、夜間および深夜については2ユニットごとに1人以上の介護職員または看護職員を夜勤として配置するとしています。
つまり、2ユニットを1人の職員が受け持つ計算が最低基準の基本形です。これは常に守る配置の下限であり、前述の月平均で数える計算とは別の基準です。従来型の「25人以下で1人」と近い水準に見えますが、ユニットごとに居室が分かれているため、職員が見回りで移動する距離や、同時に複数の居室から呼ばれたときの対応の難しさは、建物の構造によって変わります。
家族としては、基準の数字に加えて、その施設の夜勤職員が実際に何ユニットを担当しているか、ユニット間の移動はどの程度かを確認しておくと、夜間の様子をイメージしやすくなります。
基準を満たすことと、夜間の安心感の違い
最低基準は、法令上これを下回ってはならないという下限です。「基準を満たしているから夜間も十分」という意味ではありません。実際には、入所者の要介護度、認知症の方の割合、夜間の排せつ介助やたん吸引などの必要度、建物の形状(廊下の長さや階数)などによって、必要な人数は変わります。
こうした施設ごとの事情をふまえ、基準を上回る人数を配置した施設に対しては、後述する「夜勤職員配置加算」が介護報酬上用意されています。加算を算定している施設は、最低基準より手厚い配置を行っていることが一つの目安になります。ただし、加算の有無だけで施設の優劣を判断できるものではありません。
介護老人保健施設・介護医療院の夜勤配置基準
老健は夜勤の看護・介護職員2人以上が基本
介護老人保健施設(老健)は、在宅復帰を目指してリハビリテーションや医療的ケアを提供する施設です。夜勤の配置は、夜勤を行う看護職員または介護職員が2人以上であることが基本とされています。
特養と比べると医療的な管理の必要な入所者が多いため、看護職員も夜勤の人数に数えられる点が特徴です。ただし、看護職員が夜勤に入る日と介護職員のみの日がどのような割合になっているかは、施設によって異なります。
令和6年度改定で加わった「1.6以上」の特例
令和6年度の介護報酬改定では、ICT機器の活用による業務負担の軽減を背景に、老健の夜勤配置についても見直しがありました。次の条件を満たす場合は、夜勤職員の配置を1.6以上とすることが認められています。この1.6は、月の延夜勤時間から計算する平均の人数で、ある一晩に1.6人いるという意味ではありません。
- 見守りセンサーを全ての居室に設置していること
- 夜勤職員全員がインカム(離れた場所でも職員同士が話せる通信機器)等を使用していること
- 利用者の安全やケアの質の確保、職員の負担軽減について必要な体制が確保されていること
この特例はユニット型の老健には適用されません。また、人数が1.6でよいといっても、常時1人以上の夜勤職員が配置されていることは必須です。「夜間に職員が誰もいない時間帯が生じてもよい」という意味ではありません。
ここまでは一般的な規模の老健の話です。小規模な老健については別の取り扱いがあり、入所者が40人以下の老健で、緊急時の連絡体制が整っている場合には、夜勤職員を1人以上とする取り扱いも示されています。この場合は少ない人数で夜間を運営する形がありうるため、緊急時の連絡先や駆けつけ体制を確認しておくと安心です。
介護医療院は30人ごとに1人以上かつ2人以上
介護医療院は、長期的な医療と介護を必要とする方のための施設です。夜勤の配置は、入所者30人またはその端数ごとに1人以上で、かつ全体で2人以上と整理されています。
たとえば入所者が45人であれば、30人(1人)と端数15人(1人)で計算上2人以上、入所者が20人でも「2人以上」の下限があるため2人が必要となります。医療依存度の高い方が多い施設であるため、夜間の看護職員の数や、医師との連絡体制がどうなっているかも併せて確認したい点です。
介護付き有料老人ホーム(特定施設)の夜間体制
3対1の配置と「常に1人以上」の確保
介護付き有料老人ホームは、都道府県などから「特定施設入居者生活介護」の指定を受けた施設です。人員基準は、指定居宅サービス等の基準(第175条)に定められています。看護職員と介護職員の合計は、要介護者3人(端数を含む)ごとに常勤換算で1人以上(職員1人あたり入居者3人、「3対1」)が基準です。常勤換算とは、職員の勤務時間を常勤職員の勤務時間で割って人数に直す数え方です。さらに常に1人以上の介護職員を確保することが求められます。
この基準は一日全体の人員数を定めたもので、「夜勤の人数」を直接定めた条文は、今回確認した範囲では見当たりませんでした。国の基準は常時1人以上の確保と全体の配置比率で、夜間の具体的な人数は国の基準になく施設ごとに異なります。各施設の重要事項説明書で確認します。
「3対1だから夜間も○人いる」と決まっているわけではない点は、見落としやすい部分です。
令和6年度に新設された「3対0.9」の特例
令和6年度の改定では、テクノロジーの活用を条件に、特定施設の配置を緩める特例が設けられました。要介護者3人に対して0.9人(「3対0.9」)という配置でもよい、というものです。
この特例を使うには、見守り機器等を複数活用することに加え、3か月以上の試行期間を設けて、次のような点をデータで確認し、悪化していないことを示す必要があります。
- 入居者への直接ケアの時間が増えていること
- 利用者の満足度に問題がないこと
- 職員の超過勤務時間が短縮されていること
- 職員の心理的負担が悪化していないこと
制度の趣旨は、機器を入れること自体ではなく、ケアの質を保ちつつ職員の負担を減らせているかを確かめたうえで配置を見直す、というものです。家族が説明を受ける際は、この特例を利用している施設かどうか、利用している場合はどのような機器を、どの程度使っているのかを尋ねてもよいでしょう。
契約上の配置比率と実際の配置比率
重要事項説明書の標準様式では、特定施設の「契約上の配置比率」として、1.5対1、2対1、2.5対1、3対1以上といった区分を記載する欄があります。数字が小さいほど入居者1人あたりの職員が多い意味になります。
あわせて、実際の配置比率を記載する欄もあります。契約上は3対1でも、実際にはそれより手厚く配置している施設もあります。逆に、実際の比率が契約上の比率を下回っていないかを見ておくことも大切です。これらは日中を含む全体の比率で、夜間の人数は別の欄で確認します。
住宅型有料老人ホーム・サービス付き高齢者向け住宅の夜間体制
住宅型は国の人員基準がない
住宅型有料老人ホームは、生活支援や見守りを提供する住まいで、介護が必要な場合は外部の訪問介護などの在宅サービスを利用する形が一般的です。介護付き有料老人ホームのような国の人員基準は設けられていません。
その代わり、国の有料老人ホーム設置運営標準指導指針では、入居者の実態に即して、夜間の介護や緊急時に対応できる数の職員を配置するよう求めています。具体的な人数が決まっているわけではなく、「入居者の状態に応じて」という考え方です。このため、住宅型は施設によって夜間の人数の差が特に大きくなりえます。
サ高住は夜間の常駐が原則必須ではない
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)の登録基準では、ここでは愛知県の例を見ると、日中に敷地内または近接地で入居者の状況把握と生活相談のサービスを行うことが求められます。一方で、夜間の常駐は原則として要件になっていません。同県の登録基準の例では、夜間は居室に設置された通報装置で対応する形も認められています。
自治体によって運用の細かい差がありうるため、一つの県の例が全国で同じとは限りません。検討している住宅が所在する自治体の基準を確認するのが確実です。
夜間の見守りが必要な方の場合は、「夜間も職員がいるか」「通報装置を押してからどのくらいで駆けつけるか」「夜間の介護は外部サービスか、併設事業所か」を、具体的に尋ねて確認しておくと安心です。
類型ごとの違いを整理する
ここまでの内容を、夜間の人員に関する国の決まりという観点で整理します。
| 類型 | 夜間の人員の決まり | 補足 |
|---|---|---|
| 特養 | 従来型は入所者数に応じて夜勤人数が決まる(26〜60人で2人以上など) | ユニット型は2ユニットごとに1人以上 |
| 老健 | 夜勤の看護・介護職員2人以上が基本 | 条件を満たせば1.6以上の特例、40人以下の取り扱いあり |
| 介護医療院 | 30人または端数ごとに1人以上、かつ全体で2人以上 | 医療依存度の高い方が多い施設 |
| 介護付き有料(特定施設) | 全体の配置比率(3対1以上)と常時1人以上の介護職員の確保 | 夜間の具体的な人数は国の基準になく施設ごとに異なる |
| 住宅型有料 | 国の人員基準なし。指針で夜間対応できる職員数の配置を求める | 施設による差が大きい |
| サ高住 | 日中の相談・見守りが要件。夜間の常駐は原則不要 | 愛知県の例。自治体ごとに確認 |
| グループホーム | 共同生活住居ごとに夜勤1人以上(宿直は含めない) | 3ユニットは条件を満たせば夜勤2人以上 |
住まいの種類を比較する全体像は、介護付きと住宅型の有料老人ホームの違いの記事も参照してください。
グループホーム(認知症対応型共同生活介護)の夜間体制
共同生活住居ごとに夜勤1人以上
認知症対応型共同生活介護、いわゆるグループホームは、認知症の方が少人数で共同生活を送る地域密着型サービスです。地域密着型サービスの基準では、共同生活住居(ユニット)ごとに、夜勤の介護従業者を1人以上配置することが求められます。宿直は、夜勤の人数に含めません。
夜間は、1つの共同生活住居を原則1人の職員が受け持つ形になります。小規模で家庭的な環境である反面、夜間に1人の職員が対応できる範囲には限りがあるため、緊急時の連絡体制や応援の仕組みの確認が重要になります。
3ユニットでの夜勤2人体制の例外
3つのユニットを持つグループホームでは、1ユニットずつ1人ずつだと3人必要になる計算です。基準上は、3ユニットが同一の階で隣接しているなど、安全対策が取られている場合には、夜勤の配置を2人以上とすることが認められています。
この例外は、見守りやすい構造を前提にしたもので、3つのユニットを夜勤2人で担当できる形です。家族としては、実際にその施設が何ユニットで、夜間の人数が何人なのかを具体的に聞いておくとよいでしょう。
現在議論中の見直し案
グループホームの夜間体制については、令和8年10月9日に開催された第269回社会保障審議会介護給付費分科会で、3ユニットの夜間2人体制を見守り機器等の活用を要件に拡大する案が示されました。これは議論中の段階であり、決定された内容ではありません。
夜間体制に関わる加算の仕組み
この章の単位数(介護報酬の計算に使う点数の単位)を覚える必要はありません。施設が加算を算定しているか、どの区分かを聞く手がかりとして読んでください。
夜勤職員配置加算(特養)の単位数
特養には、最低基準を上回る夜勤職員を配置している場合に算定できる「夜勤職員配置加算」があります。区分と1日あたりの単位数は次のとおりです。
| 区分 | イ(1日) | ロ(1日) | 要件の違い |
|---|---|---|---|
| (Ⅰ)従来型 | 22単位(定員30〜50人) | 13単位(51人以上) | 夜勤職員を最低基準より1人以上上回って配置 |
| (Ⅱ)ユニット型 | 27単位 | 18単位 | ユニット型で同様に上回って配置 |
| (Ⅲ)従来型 | 28単位 | 16単位 | (Ⅰ)の基準に加え、看護職員または喀痰吸引等を実施できる介護職員を夜勤時間帯を通じて配置 |
| (Ⅳ)ユニット型 | 33単位 | 21単位 | (Ⅱ)の基準に加え、同様の配置 |
喀痰吸引等とは、たんの吸引などの医療的ケアのことです。
(Ⅰ)(Ⅱ)の基本は、最低基準を1人以上上回って夜勤職員を配置することです。たとえば従来型で入所者50人(最低基準2人)の施設が、月平均で3人以上を配置していれば、この要件に当たります。単位数は施設に支払われる介護報酬であり、入居者の自己負担の計算にも関わりますが、金額の詳細は各施設の重要事項説明書や利用料の説明で確認してください。
見守り機器で夜勤の人数要件が緩和される仕組み
見守り機器やICTを活用する場合、(Ⅰ)(Ⅱ)の人数要件に特例があります。(Ⅲ)(Ⅳ)も(Ⅰ)(Ⅱ)を前提に、これに準じて扱われます。
- 見守り機器を入所者の10分の1以上設置し、委員会を設ける場合:最低基準を0.9人以上上回ればよい
- 見守り機器を夜勤時間帯を通じて入所者数以上設置し、夜勤職員全員が情報通信機器(インカム等)を使用し、安全体制等を確保したうえで委員会を設ける場合:0.6人以上上回ればよい
委員会では、個別の訪室が必要な入所者へのケア、職員の負担軽減、緊急時の体制、機器の点検と職員への研修という4点を確認します。運用上は、届出前に3か月の試行を行い、届出後は3か月に1回以上委員会を開く取り扱いが示されています。
生産性向上推進体制加算(ICT導入に関連する加算)
見守り機器やICTの導入に関連する別の加算として、令和6年度の改定で新設された生産性向上推進体制加算(Ⅰ月100単位、Ⅱ月10単位)があります。
夜間の看護体制と医療連携
夜間看護体制加算(特定施設)
介護付き有料老人ホームなどの特定施設では、夜間の看護体制を評価する「夜間看護体制加算」があります。令和6年度の改定で、従来の10単位から次の2区分に見直されました。
- 加算(Ⅰ):1日18単位。常勤の看護師1名以上と看護責任者の配置、夜勤または宿直の看護職員1名以上、重度化した場合の対応指針の入居者への説明と同意が必要
- 加算(Ⅱ):1日9単位。看護職員または病院等との連携により、24時間の連絡体制が確保されていること
札幌市の資料で示された令和4年度老健事業の調査では、夜間看護体制がある事業所のうち、常に夜勤または宿直の看護職員が対応しているのは約14%で、残りはオンコール(自宅などで待機し、呼び出しに応じる体制)などで対応しているとされています。「夜間看護体制あり」と書かれていても、夜間に看護職員が施設にいるとは限らないという結果です。
グループホームの夜間支援体制加算
グループホームには「夜間支援体制加算」があります。加算(Ⅰ)は共同生活住居が1つの事業所で1日50単位、加算(Ⅱ)は住居が2つ以上の事業所で1日25単位です。
令和6年度の改定で要件が加わり、最低基準を0.9人以上上回る夜勤の配置、見守り機器の導入(入居者の10%)、委員会の開催などが求められるようになりました。宿直による場合は、事業所内で宿直することが必要です。
協力医療機関との連携と配置医師の緊急時対応
夜間の急変に備えるうえで、協力医療機関との連携は重要です。令和6年度の改定により、特養・老健・介護医療院では、協力医療機関について次の3つの要件が義務化されました。
- 入所者の急変時に医師や看護職員が相談できる体制を常時確保していること
- 診療の求めがあった場合に診療を行う体制を確保していること
- 入院が必要な場合に原則として入院を受け入れる体制を確保していること
特定施設とグループホームでは、1つ目と2つ目が努力義務です。また、年に1回以上、協力医療機関と急変時の対応を確認することが求められています。経過措置は令和9年3月31日までで、令和9年4月1日以降は原則として義務化されます。
特養の配置医師が緊急で駆けつけた場合の配置医師緊急時対応加算もあります(早朝・夜間650単位、深夜1,300単位)。協力医療機関の詳細は協力医療機関とはの記事で解説しています。
入居を検討する家族が確認したいこと
重要事項説明書の「職員体制」欄を読む
有料老人ホームでは、契約前に重要事項説明書が交付されます。厚生労働省の標準様式の「職員体制」欄には、夜勤を行う看護・介護職員の人数が、夜勤帯として設定した時間、平均人数、最少時の人数という形で記載されます。
このほか、特定施設の契約上の配置比率と実際の配置比率、夜間看護体制加算の有無、協力医療機関の名称・診療科・協力の内容、医療支援に関する欄があります。数字を読むときは、平均人数だけでなく最少時の人数に目を向けると、実際の夜間の姿に近づけます。
具体的な4つの確認項目
説明を受けるとき、次の4点を確認すると夜間体制を具体的に把握できます。
- 夜勤帯の時間設定と最少時の人数:何時から何時までが夜勤帯か、最も少ない夜は何人か
- 夜勤か宿直か:夜間の職員は通常の介護業務に就く夜勤か、待機が中心の宿直か
- 夜間看護体制の中身:看護職員が夜勤・宿直でいるのか、オンコール(呼び出し)対応か
- 協力医療機関の対応内容:夜間の相談、診療、入院受け入れがどこまで可能か
質問は、評価をするためではなく、事実を確かめるために行うものです。回答があいまいな場合は、書面で示してもらうよう依頼する方法もあります。
見学時に確認しやすい場面
可能であれば、夕方から夜間の様子を知る機会を持てるか相談できます。夕食時の人数、夜間の見回りの頻度、ナースコールの鳴ったときの流れなどは、日中の見学では分かりにくい部分です。
また、現在の入居者の要介護度や認知症の方の割合も、夜間に必要な人手に関わります。同じ人数でも、入居者の状態によって負担は変わるため、人数と状態の両方を聞いて判断材料にします。
複数の施設を比較するときは、同じ質問を同じ順番で行い、メモを残すと、後で整理しやすくなります。
夜間体制を調べるときの注意点と制度改定
制度は改定されることがある
介護保険の制度は、3年ごとの介護報酬改定をはじめとして、見直しが行われます。この記事で紹介した人員基準や加算の単位数、協力医療機関の義務化の期限も、今後の改定や議論によって変わる可能性があります。協力医療機関の経過措置が令和9年3月31日までとされているのもその一例です。
入居を検討する際は、最新の基準や単位数を厚生労働省や自治体の資料で確認すると安心です。グループホームの見直し案も議論中の段階で、今後変わる可能性があります。
人数の数字を読むときの落とし穴
夜間の人数を比べるとき、読み違えやすい点が三つあります。第一に、平均人数と最少時の人数は別のものです。第二に、看護職員が夜勤にいるのか、オンコール対応なのかで実質は異なります。第三に、加算の有無は配置の手厚さの一つの目安ですが、それだけで施設の質を判断することはできません。
人数が多ければ安心とは限らず、入居者の状態に合っているかが大切です。夜間のケアが多く必要な方なのか、見守りが中心の方なのかによって、確認したい点は変わります。
分からないときの相談先
制度や施設の説明で分からないことがあれば、担当のケアマネジャーや、お住まいの地域の地域包括支援センター、市区町村の介護保険担当窓口に相談できます。有料老人ホームについては、所管の都道府県や市の担当課も情報を持っています。
このサイトの編集方針はこのサイトの立ち位置に記載しています。特定の施設を評価・推奨せず、公的な情報をもとに並列に扱うことを基本としています。
まとめ
- 特養の夜勤職員配置加算などの算定では、夜勤の時間帯は22時〜翌5時を含む連続16時間で施設が設定し、人数は月の1日平均で数える
- 特養・老健・介護医療院・グループホームには夜勤人数の基準があり、特定施設は全体の配置比率と常時1人以上の確保、住宅型・サ高住は国の人員基準が限定的。特定施設などの夜間の具体的人数は施設ごとに異なる
- 特養の夜勤職員配置加算は基準を上回る配置を評価する仕組みで、(Ⅲ)(Ⅳ)は看護職員等の配置を要件とする区分。見守り機器による0.9・0.6は人数要件の特例。特定施設の夜間看護体制加算は看護体制を評価する
- 重要事項説明書で、夜勤帯の時間・最少時の人数・夜勤か宿直か・夜間看護がオンコールか・協力医療機関の対応を確認する
- 制度は改定されることがあるため、最新情報は厚生労働省や自治体の資料で確認する