介護保険の「1人あたり費用額」とは、厚生労働省の介護給付費等実態統計で、介護サービスの費用額(かかったサービス費用の総額)を受給者数で割った平均値のことです。令和8年6月審査分の月報では、介護サービスで1人あたり206.5千円(約20.7万円)、介護予防で28.2千円(約2.8万円)でした。
この記事では、要介護度別・サービス別(居宅・地域密着型・施設)の月額、年間の費用額、自己負担との関係、区分支給限度基準額との位置づけを、厚労省の統計と公的資料の数値だけで整理します。数値には「審査月」を併記しています。公式統計の値ではなく筆者が計算した値には「試算」「算出値」と明記しました。
先に知っておくこと
- 1人あたり費用額は、保険給付・公費・利用者負担をすべて合わせた「費用額」の平均です。利用者が窓口で払う金額ではありません。
- 令和8年4月審査分では、居宅サービスが128.0千円、地域密着型サービスが184.1千円、施設サービスが332.0千円でした。要介護度が上がるほど、費用額も上がります。
- 食費・居住費などは介護給付の外側にある別枠の負担です。自己負担を考えるときは、費用額の1〜3割に加えて別枠の負担も見る必要があります。
- 介護報酬は令和6年度と令和8年度に改定されており、令和8年8月には食費・居住費の見直しもありました。制度変更がありうるため、数値は時点を確かめてください。
介護保険の1人あたり費用額とは何か
定義と計算の考え方
介護給付費等実態統計は、介護サービスの給付状況(どのサービスがどれくらい使われ、いくらかかっているか)を厚生労働省が毎月・毎年まとめている統計です。このなかの「費用額」は、サービスにかかった費用の総額を指します。1人あたり費用額は、この費用額を受給者数で割って求めます。
たとえば、ある月の費用額が1,012,644百万円(約1兆126億円)で、受給者数が4,903.5千人なら、割り算の結果は約206.5千円です。これが令和8年6月審査分の介護サービスの1人あたり費用額です(厚生労働省「介護給付費等実態統計月報 令和8年6月審査分 結果の概要」)。
統計の表では、単位が「千円」になっていることが多くあります。この記事でも、特に断りがない限り「千円/月/人」で表記し、必要に応じて万円に換算した値を添えます。
費用額に含まれるもの・別枠のもの
費用額は、保険給付額、公費負担額、利用者負担額(公費による本人負担分の負担を含む)の合計で、保険からの給付だけの金額ではありません。福祉用具購入や住宅改修のように、いったん全額を支払ってあとから払い戻しを受ける「償還払い」のサービスは、この費用額には含まれないと整理されています(厚生労働省「介護給付費等実態統計月報 用語の解説」)。
食費・居住費(滞在費)は、介護給付の外側にある別枠の利用者負担として制度の概要資料に図示されています(厚生労働省老健局「介護保険制度の概要」令和7年7月)。本記事ではこれらを「別枠の負担」と呼びます。
なお、費用額は保険給付・公費負担・利用者負担の3つの合計です。費用額を100%とした内訳であり、3つを足して100%を超える(たとえば110%になる)という意味ではありません。
「1人あたり費用額」と自己負担額の違い
もっとも多い誤解は、1人あたり費用額を「利用者が毎月払う金額」と読んでしまうことです。介護保険の給付は原則として費用の9割で、利用者負担は原則1割です。所得によっては利用者負担が2割または3割になり、その場合の給付は8割または7割です。なお、ケアプランを作る居宅介護支援は全額が保険給付で、利用者負担はありません(厚生労働省「介護保険制度の概要」、介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」)。
つまり、1人あたり費用額が206.5千円でも、1割負担の人の自己負担は単純計算でその1割、約20.7千円になります(試算。サービス費の自己負担のみを想定)。続けて、数値を順に見ていきましょう。
全体の数字:令和8年6月審査分の月報
介護予防と介護サービスの1人あたり費用額
月報の令和8年6月審査分では、要支援の人が使う介護予防サービスと、要介護の人が使う介護サービスの数値は次のとおりです(厚生労働省「介護給付費等実態統計月報」令和8年6月審査分)。
| 区分 | 受給者数 | 費用額 | 1人あたり費用額 |
|---|---|---|---|
| 介護予防サービス | 1,036.7千人 | 29,278百万円 | 28.2千円 |
| 介護サービス | 4,903.5千人 | 1,012,644百万円 | 206.5千円 |
介護サービスの受給者4,903.5千人は、居宅サービス3,648.6千人、地域密着型サービス956.5千人、施設サービス986.4千人という内訳で示されています。内訳を足した数が総数と一致しない場合があります。受給者の数え方は統計の注記で決まっているため、足し算の結果をそのまま総数とは読まないようにしてください。
要介護度別の受給者数
同じ月(令和8年6月審査分)の要介護度別の受給者数は次のとおりです。
| 要介護度 | 受給者数(千人) |
|---|---|
| 要介護1 | 1,327.1 |
| 要介護2 | 1,190.8 |
| 要介護3 | 936.3 |
| 要介護4 | 897.3 |
| 要介護5 | 551.8 |
要介護1と2を合わせると、介護サービス受給者の半数を超えます(算出値)。平均値は、こうした要介護度の構成によっても動きます。
4月審査分と6月審査分で数値が違う理由
この記事では、4月審査分の数値(208.4千円)と6月審査分の数値(206.5千円)が両方出てきます。同じ「介護サービスの1人あたり費用額」でも値が違うのは、審査月が異なるためです。月ごとに受給者の人数や利用内容が少しずつ変わります。
審査月は、サービスを提供した月の翌月にあたります。たとえば令和8年4月審査分は3月提供分、6月審査分は5月提供分です(厚生労働省「介護給付費等実態統計月報 用語の解説」)。サービスの種類別・要介護度別の細かな表は、4月審査分のe-Stat掲載表から確認できるため、後の章では4月審査分を中心に使います。
全体平均(予防含む)の4月審査分の推移
介護予防を含めた全体の1人あたり費用額を、各年4月審査分で並べると次のとおりです。
| 年 | 1人あたり費用額(千円) |
|---|---|
| 令和4年 | 172.8 |
| 令和5年 | 175.5 |
| 令和6年 | 173.0 |
| 令和7年 | 176.3 |
| 令和8年 | 177.2 |
令和4年から令和8年までの4年間で約4.4千円、約2.5%(算出値)の増加で、大きくは動いていません。年間の総額の動きは「年間でみた費用額」の章で見ます。
要介護度別の1人あたり費用額(令和8年4月審査分)
要支援1・2(介護予防)の費用額
令和8年4月審査分の介護予防サービスの1人あたり費用額は、総数で28.6千円でした。サービスの種類別では、介護予防の居宅サービスが23.3千円、介護予防の地域密着型サービスが94.7千円です。要支援の度合いで見ると、要支援1が22.8千円、要支援2が32.7千円でした(厚生労働省「介護給付費等実態統計の概況」令和7年度、e-Stat月報 令和8年4月審査分)。
要支援2のほうが要支援1より約1万円高くなっています。いずれも要介護の区分より低い水準です。
要介護1〜5の費用額(総数)
要介護1〜5の1人あたり費用額(居宅・地域密着型・施設を合わせた総数)は、次のとおりです。
| 要介護度 | 1人あたり費用額(千円) | 約(万円) |
|---|---|---|
| 要介護1 | 119.4 | 11.9 |
| 要介護2 | 159.0 | 15.9 |
| 要介護3 | 244.9 | 24.5 |
| 要介護4 | 292.0 | 29.2 |
| 要介護5 | 330.4 | 33.0 |
要介護1と要介護5を比べると、330.4÷119.4で約2.8倍です(算出値)。要介護2から3にかけての上がり幅(約85.9千円)がとくに大きくなっています。その理由は、統計からは分かりません。
要介護度×サービス種類のクロス集計
サービスの種類別にも、要介護度ごとの数値が公表されています。
| 要介護度 | 居宅 | 地域密着型 | 施設 |
|---|---|---|---|
| 要介護1 | 80.1 | 114.5 | 291.4 |
| 要介護2 | 105.5 | 153.0 | 309.6 |
| 要介護3 | 154.0 | 223.1 | 314.0 |
| 要介護4 | 191.8 | 264.5 | 337.4 |
| 要介護5 | 235.9 | 297.3 | 360.8 |
居宅サービスは要介護1の80.1千円から要介護5の235.9千円まで約2.9倍(算出値)に広がります。一方で施設サービスは、要介護1が291.4千円、要介護5が360.8千円で、差は約1.2倍にとどまります。施設サービスでは、要介護度による差が居宅サービスほど大きくありません。その理由は、統計からは分かりません。
サービス種類別の1人あたり費用額
居宅・地域密着型・施設の3区分
令和8年4月審査分の介護サービスの1人あたり費用額は、総数で208.4千円でした。種類別に見ると、居宅サービスが128.0千円、地域密着型サービスが184.1千円、施設サービスが332.0千円です。施設サービスは居宅サービスの約2.6倍(算出値)にあたります。
| サービス種類 | 1人あたり費用額(千円) | 約(万円) |
|---|---|---|
| 介護サービス総数 | 208.4 | 20.8 |
| 居宅サービス | 128.0 | 12.8 |
| 地域密着型サービス | 184.1 | 18.4 |
| 施設サービス | 332.0 | 33.2 |
居宅サービスの数値の読み方
居宅サービスは、訪問介護・通所介護(デイサービス)・福祉用具貸与などを、必要に応じて組み合わせて使います。介護保険には要介護度ごとに区分支給限度基準額(1か月に保険で使える上限)があり、居宅サービスはその範囲で利用するのが基本です。
月報の用語解説では、居宅サービスの「給付単位数」は限度額管理の対象となる単位数と説明され、居宅療養管理指導や特定施設入居者生活介護などは含まれないとされています。表を読むときは、どの指標かを確かめてください。
また、施設サービスと金額だけを並べて比べるときは、在宅では家族による介護や、限度額の外で自費で使うサービス、おむつ代などが別にかかる場合があることも見落とさないようにしましょう。これらは費用額の統計には表れません。
地域密着型サービス
地域密着型サービスは、居宅サービス・施設サービスとは別の区分として統計に示されています。令和8年4月審査分の1人あたり費用額は総数で184.1千円で、居宅サービスより高く、施設サービスより低い水準でした。
要介護度別では、要介護1が114.5千円、要介護3が223.1千円、要介護5が297.3千円です。居宅サービスと同様に、要介護度が上がるほど費用額も上がります。
施設サービス
施設サービスは、介護保険施設に入所して受けるサービスです。特別養護老人ホーム(介護老人福祉施設)、介護老人保健施設、介護医療院が該当します。1人あたり費用額は332.0千円(約33.2万円)で、3区分のなかでもっとも高い水準です。
食費・居住費は介護給付の外側にある別枠の負担です。入所者が毎月払う金額の目安は「費用額と自己負担の関係」の章で見ます。
施設別の1人あたり費用額:特養・老健・介護医療院
3施設の費用額を並べて見る
施設サービスは、3つの施設ごとに数値が公表されています(令和8年4月審査分、千円)。
| 要介護度 | 特別養護老人ホーム | 介護老人保健施設 | 介護医療院 |
|---|---|---|---|
| 総数 | 316.5 | 342.6 | 413.8 |
| 要介護1 | 248.9 | 297.0 | 266.3 |
| 要介護2 | 274.9 | 318.0 | 303.3 |
| 要介護3 | 295.9 | 342.0 | 373.8 |
| 要介護4 | 318.8 | 361.9 | 415.0 |
| 要介護5 | 341.4 | 377.9 | 443.1 |
総数では、特養が316.5千円、老健が342.6千円、介護医療院が413.8千円です。この数字は、施設の優劣を示すものではありません。次の項目で、総数の差が生まれる背景を見ます。
総数の差は要介護度の構成が影響する
総数の差には、入所者の要介護度の構成が影響します。令和7年度の概況では、特養は要介護4・5の割合が高く、介護医療院は要介護4・5が8割以上を占め、老健は要介護3・4がそれぞれ2割以上とされています(厚生労働省「令和7年度 介護給付費等実態統計の概況」)。
要介護1だけを比べると、特養248.9千円、老健297.0千円、介護医療院266.3千円で、総数の並びとは異なります。総数で施設どうしを比べるときは、要介護度が違う集団の平均であることを踏まえる必要があります。
施設ごとの受給者数(令和7年度)
令和7年度の年間実受給者数は、特養が761.2千人、老健が556.0千人、介護医療院が84.6千人でした。年間の人数と月ごとの受給者数は、数え方が異なる指標です。
施設の選び方は、ケアマネジャーや市区町村の窓口にも相談してください。
年間でみた費用額:令和7年度の年報
令和7年度の費用額累計は約12.2兆円
令和7年度(令和7年4月〜令和8年3月)の費用額累計は、12,220,787百万円(約12.2兆円)で、前年度比2.4%の増加でした。内訳は、介護予防サービスが340,171百万円、介護サービスが11,880,616百万円です(厚生労働省「令和7年度 介護給付費等実態統計の概況」)。
| 区分 | 費用額累計(百万円) |
|---|---|
| 居宅サービス | 5,403,222 |
| 地域密着型サービス | 2,062,787 |
| 施設サービス | 3,851,277 |
| 居宅介護支援 | 563,330 |
居宅サービスが全体のうち最大の部分を占め、施設サービスがそれに続きます。受給者数は、年間累計で69,973.7千人(前年度比+2.0%)、年間実受給者数で6,851.6千人(+1.4%)でした。年間実受給者数の内訳は、介護予防が1,361.2千人、介護サービスが5,779.5千人です。
費用額累計の推移
費用額累計の推移を、同じ統計の年度値で見ます。
| 年度 | 費用額累計(百万円) |
|---|---|
| 平成13年度 | 4,378,286 |
| 平成18年度 | 6,172,401 |
| 平成23年度 | 7,987,518 |
| 平成28年度 | 9,692,444 |
| 令和3年度 | 11,029,131 |
| 令和5年度 | 11,513,921 |
| 令和6年度 | 11,938,109 |
| 令和7年度 | 12,220,787 |
平成13年度の約4.4兆円から令和7年度の約12.2兆円へ、約2.8倍(算出値)に増えました。総額の増加の要因は、この統計の数値だけでは分かりません。令和7年度は年間累計の受給者数も前年度比+2.0%増えています。
他の統計の「総費用」と混同しない
介護保険の費用については、別の統計や資料で、別の金額が出てきます。たとえば、厚生労働省「令和6年度 介護保険事業状況報告(年報)のポイント」では、令和6年度の費用額が12兆952億円とされています。介護給付費等実態統計の令和6年度の値(11兆9,381億円)とは、集計の範囲が異なります。差の内訳は公表資料では示されていません。
また、制度の概要資料には、令和7年度予算ベースの総費用として14.3兆円という数字が出てきます。これは予算の数値であり、実際にかかった費用額の実績とは別物です(厚生労働省「介護保険制度の概要」)。数字を比べるときは、統計の種類・年度・月を必ず確認してください。
費用額と自己負担の関係
負担割合は1割・2割・3割
利用者負担は、原則として費用額の1割です。ただし、所得に応じて2割、3割になります。介護サービス情報公表システムでは、要件が次のように説明されています。
- 2割負担:合計所得金額が160万円以上で、かつ年金収入等が単身で280万円以上(夫婦で346万円以上)
- 3割負担:合計所得金額が220万円以上で、かつ年金収入等が単身で340万円以上(夫婦で463万円以上)
負担割合ごとの利用者の割合は、令和5年11月の社会保障審議会介護保険部会の資料に、1割が91.8%、2割が4.6%、3割が3.6%と示されています(算出年月は資料からは読み取れませんでした)。多くの利用者は1割負担です。自分の負担割合は、市区町村から届く介護保険負担割合証で確認できます。詳しくは介護保険の自己負担割合の判定基準を解説した記事をご覧ください。
費用額から自己負担を試算する
1人あたり費用額に負担割合をかけると、自己負担の目安が試算できます。ただし、これは公式統計の数値ではなく、筆者の試算です。実際の自己負担は、利用するサービスの内容や、高額介護サービス費などによって変わります。
| 区分 | 1人あたり費用額(千円) | 1割負担の試算(千円) |
|---|---|---|
| 居宅サービス(総数) | 128.0 | 約12.8 |
| 居宅サービス(要介護5) | 235.9 | 約23.6 |
| 施設サービス(総数) | 332.0 | 約33.2 |
2割負担なら試算額は2倍、3割負担なら3倍です。この試算は、サービス費の自己負担のみを想定したもので、食費・居住費など別枠の負担は含めていません。あくまで、費用額の規模感をつかむための参考にしてください。
食費・居住費などの別枠の負担
施設に入所すると、サービス費の自己負担に加えて、食費、居住費、日常生活費がかかります。介護サービス情報公表システムでは、特別養護老人ホームの要介護5の例として、月額の目安が示されています。これは同システムの掲載時点の目安で、令和8年8月の食費・居住費の見直し後の金額とは限りません。
| 項目 | 多床室 | 備考 |
|---|---|---|
| サービス費(1割負担) | 約26,130円 | |
| 居住費 | 約27,450円 | |
| 食費 | 約46,350円 | |
| 日常生活費 | 約10,000円 | |
| 合計 | 約109,930円 | ユニット型個室の合計は約146,980円 |
多床室は定員が複数人の居室、ユニット型個室は少人数の生活単位ごとに個室を設ける形態を指します。
費用額の統計上は施設サービスが約33.2万円でも、1割負担の入所者が毎月払う金額は、上記のように別の内訳で決まります。所得が低い人は、食費・居住費の負担を軽くする補足給付(負担限度額の仕組み)の対象になる場合があります。
月額の上限:高額介護サービス費
1か月に払った利用者負担が上限額を超えると、超えた分が払い戻される仕組みが高額介護サービス費です。世帯の月額上限は、介護サービス情報公表システム「サービスにかかる利用料」で次のように示されています。
- 課税所得380万円未満:44,400円
- 課税所得380万円〜690万円未満:93,000円
- 課税所得690万円以上:140,100円
- 住民税非課税の世帯:24,600円
- 生活保護を受けている人など:15,000円(個人)
詳しい対象や申請方法は高額介護サービス費を解説した記事で整理しています。
区分支給限度基準額と費用額の位置づけ
要介護度別の区分支給限度基準額(現行)
居宅サービスには、要介護度ごとに1か月に使える保険給付の上限が決まっています。これが区分支給限度基準額です。1単位を10円として換算した金額は、次のとおりです。
| 要介護度 | 単位数 | 金額(円) |
|---|---|---|
| 要支援1 | 5,032 | 50,320 |
| 要支援2 | 10,531 | 105,310 |
| 要介護1 | 16,765 | 167,650 |
| 要介護2 | 19,705 | 197,050 |
| 要介護3 | 27,048 | 270,480 |
| 要介護4 | 30,938 | 309,380 |
| 要介護5 | 36,217 | 362,170 |
限度額は使い切る目標ではなく、保険で使える上限です。超えた分は、全額が自己負担になります。限度額の詳しい仕組みは区分支給限度基準額を解説した記事に整理しています。
平均利用率(算出値)
令和8年4月審査分のe-Stat掲載表(居宅サービスの給付単位数・受給者数)から、受給者1人あたりの給付単位数を限度単位で割った値を算出すると、次のようになります。これは筆者の算出値で、公式の「利用率」として公表された値かどうかは、公表資料からは分かりません。
| 要介護度 | 算出した利用率 |
|---|---|
| 要支援1 | 27.7% |
| 要支援2 | 21.6% |
| 要介護1 | 43.6% |
| 要介護2 | 52.2% |
| 要介護3 | 59.2% |
| 要介護4 | 64.3% |
| 要介護5 | 69.0% |
要介護1〜5の平均で見ると、限度額の4〜7割を使っている計算です。要介護度が上がるにつれて利用率も上がります。これは平均であり、個々の利用者の利用量とは異なります。
過去に公表された利用率と限度額超過者の割合
公式資料として、限度額の利用状況が示された例があります。厚生労働省の介護給付費分科会資料では、平成29年4月審査分の平均利用率が要介護1で44.6%、要介護5で65.3%、限度額を超えた人の割合が2.3%でした。平成30年4月審査分では、利用率が要介護1で44.4%、要介護5で65.6%、超過者の割合が2.5%でした(要介護度別は、要介護1が1.7%、2が3.6%、3が2.9%、4が3.8%、5が4.9%)。
当時の限度額は、現行と異なります(要支援1が50,030円、要介護5が360,650円)。数値を比べるときは時点を必ず確認してください。令和以降の限度額超過者の割合は、本記事で参照した公表資料には示されていません。
制度変更で数値が変わる点:報酬改定と負担の見直し
令和6年度・令和8年度の報酬改定
介護報酬は改定されることがあり、令和6年度と令和8年度に改定が行われました。令和6年度の改定率は+1.59%(処遇改善が+0.98%、その他が+0.61%)で、外枠の対応を含めると+2.04%相当とされています。令和8年度の改定率は+2.03%で、内訳は処遇改善が+1.95%(令和8年6月施行)、食費の基準費用額の引き上げが+0.09%(令和8年8月施行)です(厚生労働省「令和8年度予算に関する大臣折衝事項」など)。
令和9年度の報酬改定は、物価・賃金の上昇への対応と、給付の効率化・適正化の方針が示されています。報酬改定が行われると、同じサービスでも費用額が変わるため、過去の1人あたり費用額をそのまま将来に当てはめることはできません。
令和7年8月の室料負担と令和8年8月の食費・居住費
令和7年8月から、一部の多床室で室料の負担が始まりました(月額8千円相当)。第1〜3段階の人は、補足給付により負担を増やさない扱いです。令和8年8月1日からは、食費の基準費用額が1日1,545円に引き上げられました(100円の引き上げ)。第3段階①の食費は680円、第3段階②は1,420円です。居住費も、一部を除いて100円の引き上げです。補足給付の対象になる基準(年金収入+合計所得)は、80.9万円から82.65万円に変わりました(厚生労働省「介護保険最新情報 Vol.1506」)。
これらは、費用額の統計とは別の「別枠の負担」の見直しです。令和8年8月以降の水準は、令和8年4月・6月審査分の統計には反映されていません。
社会福祉法等の改正(令和9年4月施行予定)
社会福祉法等の一部を改正する法律(令和8年法律第51号)が公布されており、原則として令和9年4月1日に施行されます。有料老人ホームの登録制の導入や、介護支援専門員(ケアマネジャー)の資格更新制の廃止などが含まれています(厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の概要」)。
制度は今後も見直されることがあります。この記事の数値は2026年10月時点で確認できた公表資料にもとづいています。最新の情報は、厚生労働省や市区町村の公式ページで確認してください。
統計の数値を読むときの注意点
月報と年報は別物
月報は、ある1か月の審査分の数値です。年報は、1年度分をまとめた数値で、費用額は「累計」、受給者は「年間累計受給者数」「年間実受給者数」などの指標で示されます。1人あたり費用額も、月報の月額と、年報を人数で割った年額は、別の数字として扱ってください。
たとえば、令和7年度の年報の「費用額累計」を「年間実受給者数」で割れば、1人あたりの年額のような数字が出ます。しかし、費用額には居宅介護支援なども含まれ、受給者の数え方も指標によって異なります。この記事ではそうした割り算を公式値としては扱いません。
受給者の数え方
介護給付費等実態統計では、受給者の数え方に注記があります。たとえば、介護予防サービスの受給者には、要支援から要介護へ変更になった人が含まれる場合があります。詳しい数え方は、統計の注記で確認してください。
このため、区分ごとの受給者数を足し合わせても、全体の受給者数に一致しないことがあります。1人あたり費用額を自分で計算し直すときは、統計の注記を確認し、同じ指標どうしで計算してください。
平均値が示すもの・示さないもの
1人あたり費用額は、全国の受給者の平均です。実際の利用額は、本人の要介護度やサービスの組み合わせによって人ごとに異なります。平均値は目安であり、自分の家庭に当てはまる金額とは限りません。
家計や相談に活かすための使い方
介護費用の目安をつかむときの手順
1人あたり費用額を、家計の見通しに使うときは、次の順に整理すると混乱しにくくなります。
- まず、本人の要介護度と、使いたいサービスの種類(居宅・地域密着型・施設)を決めます。
- 次に、この記事の表から、同じ区分の費用額の目安を確認します。
- 負担割合(1〜3割)をかけて、サービス費の自己負担を試算します。
- 施設の場合は、食費・居住費・日常生活費などの別枠の負担を加えます。
- 最後に、高額介護サービス費の上限や、補足給付の対象になるかを確認します。
この手順で出る数字は目安です。実際の金額は、ケアプランと事業所の重要事項説明書で必ず確認してください。
居宅サービスで限度額を意識するとき
居宅サービスを複数使う場合は、区分支給限度基準額を超えないかが大切になります。要介護1〜5の平均では限度額の4〜7割の利用率ですが、これは平均であり、サービスを多く使う人では限度額に近づくこともあります。
限度額を超えた分は全額自己負担です。ケアプランを作るときは、ケアマネジャーに、毎月の単位数の合計と限度額に対する余裕を確認すると安心です。
相談先
費用の見通しや負担割合、高額介護サービス費の対象などについて分からない点がある場合は、お住まいの市区町村の介護保険担当窓口、地域包括支援センター、担当のケアマネジャーに相談できます。窓口では、本人の所得区分や負担割合に応じた具体的な金額を確認できます。
統計の最新値は、厚生労働省の「介護給付費等実態統計」のページで公開されています。数値を確認するときは、審査月と年度を確かめてください。
まとめ
この記事のまとめ
- 1人あたり費用額は、費用額(保険給付・公費・利用者負担の合計)を受給者数で割った平均で、窓口で払う自己負担額ではありません。
- 令和8年6月審査分は介護サービス206.5千円、介護予防28.2千円。令和8年4月審査分では居宅128.0千円、地域密着型184.1千円、施設332.0千円で、要介護度が上がるほど高くなります。
- 令和7年度の費用額累計は約12.2兆円(前年度比+2.4%)で、平成13年度の約2.8倍(算出値)です。
- 1割負担の自己負担は、費用額の1割が目安(試算)です。施設の食費・居住費は介護給付の外側にある別枠の負担です。
- 報酬改定や令和8年8月の食費・居住費の見直しなど、制度は変わります。最新の情報は厚生労働省や市区町村で確認してください。
次にすること
- 本人の要介護度と、市区町村から届く負担割合証の負担割合(1〜3割)を手元で確認する。
- お住まいの地域包括支援センターまたは担当のケアマネジャーに、利用したいサービスと自己負担の見込みを相談する。
- 施設を考える場合は、食費・居住費など別枠の負担を含めた月額を、重要事項説明書などで確認する。
- 所得が低い場合は、市区町村の介護保険担当窓口で、高額介護サービス費や補足給付の対象になるかを確認する。
制度は見直されることがあります。本サイトは特定の事業所や施設を評価・推奨せず、制度を並列に整理する立場をとっています。詳しくはこのサイトの立ち位置をご覧ください。