在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格を取得した外国人が、日本国内で介護または介護の指導にあたる業務に就くための在留資格である。2017年9月に施行され、更新回数に制限がなく、配偶者・子の帯同も認められる点で、技能実習や特定技能とは性格が異なる。本記事では2026年9月時点の制度をもとに、取得要件・在留期間・家族帯同の仕組みを整理する。
在留資格「介護」とは何か
定義と法的根拠
在留資格「介護」は、出入国在留管理庁が所管する在留資格の一つで、「介護福祉士の資格を有し、介護又は介護の指導を行う業務に従事する活動」を認めるものである。出入国管理及び難民認定法(入管法)に基づく在留資格区分の一つに位置づけられており、就労が認められる在留資格の中でも、資格保有者を対象とする専門的・技術的分野の枠組みに含まれる。
創設の経緯(2017年9月施行)
この在留資格は、2016年の入管法改正によって新設され、2017年9月1日に施行された。介護分野における人材確保の必要性が高まる中、介護福祉士の資格を持つ外国人が日本国内で長期的に介護業務に従事できるよう、専門職としての受け入れ枠が整備された経緯がある。制度創設前は、介護福祉士の資格を取得しても、それだけでは介護業務を目的とした在留資格を得ることができなかった。このため、養成施設等を卒業して介護福祉士の資格を得た留学生であっても、卒業後に日本国内で介護の仕事を続けるための在留資格が用意されておらず、帰国を余儀なくされるケースがあった。在留資格「介護」の新設は、こうした状況を解消し、日本国内で介護福祉士として育成された人材が、そのまま日本の介護現場で長く活躍できる環境を整えることを目的としたものである。
他の在留資格との違いの概要
介護分野には、在留資格「介護」のほかに、技能実習「介護」、特定技能「介護」、EPA(経済連携協定)に基づく介護福祉士候補者制度など、複数の受け入れ枠組みが存在する。これらはいずれも介護業務に外国人が従事するための制度だが、在留資格「介護」は介護福祉士の国家資格登録を前提とする点、在留期間の更新に回数制限がない点、家族帯同が認められる点で、他の枠組みと明確に異なる。詳細な比較は後述の「技能実習・特定技能・EPAとの違い」で扱う。
本人や家族にとって重要なのは、在留資格「介護」が単なる「働くための資格」ではなく、介護福祉士という専門職としての身分に基づく在留資格である点である。そのため、就労先を選ぶ際には、業務内容が介護福祉士としての専門性を活かすものであるかどうかが問われる。単純な作業のみに従事する場合や、業務内容が「介護又は介護の指導」から外れる場合には、在留資格該当性そのものが問題となり得るため、就労開始前に業務内容と在留資格の適合性を確認しておくことが望ましい。
取得要件
大前提は介護福祉士の国家資格登録
在留資格「介護」を取得するための大前提は、介護福祉士の国家資格を取得し、資格登録を済ませていることである。介護福祉士は日本の国家資格であり、資格を取得しただけでは在留資格「介護」への切り替えはできず、登録証の交付を受けて正式に介護福祉士として登録される必要がある。国家試験に合格した段階と、登録が完了した段階は法的に異なる状態であるため、在留資格の手続きを進めるにあたっては、まず登録証の交付を受けているかどうかを確認することが最初のステップになる。
主な取得ルート(養成施設・実務経験・福祉系高校)
介護福祉士の資格取得には複数のルートがある。代表的なものは次の3つである。
- ①養成施設ルート:介護福祉士養成施設を卒業するルート
- ②実務経験ルート:介護等の実務経験を積んで国家試験に合格するルート
- ③福祉系高校ルート:福祉系高校で所定の課程を修了するルート
在留資格「介護」は、当初は主に養成施設を卒業して資格を取得した留学生を主な対象としていたが、その後の制度改正により対象ルートが広がった。
養成施設ルートは、留学の在留資格で来日し、介護福祉士養成施設に入学して所定の課程を修めることで国家試験の受験資格を得る、あるいは課程修了をもって資格取得につながる流れが一般的であり、在留資格「介護」の取得者の中でも中心的なルートとされてきた。これに対し実務経験ルートは、介護等の業務に一定期間従事しながら実務経験を積み、加えて実務者研修などの研修課程を修了したうえで、介護福祉士国家試験を受験して合格することで資格を得る流れである。このルートは、技能実習や特定技能など就労を目的とする在留資格で日本に在留しながら実務経験を積み、その後介護福祉士資格の取得を目指すケースでも用いられ得る位置づけとなっている。福祉系高校ルートは、日本国内の福祉系高校で所定の課程を修了し、卒業後に国家試験を受験して合格することで資格を取得する流れであり、主に高校段階から介護分野を志す人向けの経路として位置づけられている。いずれのルートも、最終的には介護福祉士国家試験に合格し、資格登録を済ませることが在留資格「介護」取得の前提となる点は共通している。
2020年の対象拡大
2020年には、実務経験ルートや福祉系高校ルートを経て介護福祉士資格を取得した留学生等も、在留資格「介護」の対象に加えられたとされる。これにより、養成施設卒業者に限られていた対象範囲が拡大し、より多様な経路で介護福祉士資格を取得した外国人が在留資格「介護」を取得できるようになった。また、介護福祉士国家試験に合格した留学生については、資格登録証の交付を受けるまでの間、「特定活動」の在留資格で介護等の業務への従事を継続できる取扱いが設けられている(この点は「就労できる業務範囲」の項で改めて説明する)。
対象ルートの拡大は、介護福祉士資格を取得する経路が多様化してきた実態を踏まえたものであり、養成施設卒業者だけでなく、実務経験を積んで資格を取得した人や、福祉系高校を経て資格を取得した人にも、在留資格「介護」への道が開かれたことを意味する。読者が自身や家族の該当ルートを確認する際は、資格取得の経路そのものよりも、最終的に介護福祉士として登録されているかどうかが判断の基準となる点を押さえておくとよい。
在留期間と更新の仕組み
5年・3年・1年・3か月の区分
付与される在留期間は、5年、3年、1年、3月(3か月)のいずれかに区分される。実際にどの期間が付与されるかは、個々の申請内容や状況に応じて出入国在留管理庁が決定する。
付与される在留期間の長さは、就労先での勤務状況や在留歴の長さなどを踏まえて個別に判断されるため、必ずしも最初から5年が付与されるわけではない。初回は比較的短い期間が付与され、更新を重ねる中でより長い期間に切り替わっていくケースもあり得る。読者としては、自身に付与された在留期間がどの区分であるかを在留カードで確認し、次回の更新時期を逆算して準備を進めることが実務上重要になる。特に在留期間が1年や3か月と短く区分されている場合は、更新のタイミングを見落とすと在留の継続に支障が生じかねないため、勤務先の担当者と情報を共有しながら、更新時期を意識したスケジュール管理を行うことが望ましい。
更新回数に制限がない特徴
大きな特徴として、在留資格「介護」は在留期間の更新に回数の制限が設けられていない。期間が満了する前に更新許可申請を行い、許可を受け続ける限り、日本での在留と介護業務への従事を継続することができる。これは、在留期間が通算で上限年数を設けられている技能実習や、特定技能1号のように通算在留期間に上限がある制度とは大きく異なる点であり、在留資格「介護」を取得することで、外国人介護人材が長期的なキャリアを日本国内で築きやすくなる仕組みとなっている。
更新回数に制限がないことは、本人のキャリア形成だけでなく、受け入れ側である介護事業所にとっても、長期的な人材育成の計画を立てやすいという意味を持つ。数年単位でしか在留できない制度と異なり、在留資格「介護」の保有者は、要件を満たし続ける限り勤続年数を重ねていくことができるため、施設内でのリーダー職や指導的な役割を担うキャリアパスを描きやすい点も特徴として挙げられる。
更新許可申請の流れ
在留期間の更新を希望する場合は、在留期間が満了する前に、出入国在留管理庁に対して在留資格更新許可申請を行う。申請にあたっては、介護福祉士登録証の写しや、就労先での雇用契約に関する書類など、継続して介護業務に従事することを示す資料の提出が求められる。申請から許可までには一定の審査期間を要するため、余裕をもって手続きを進める必要がある。
就労できる業務範囲
「介護又は介護の指導」の意味
在留資格「介護」で従事できる業務は、「介護又は介護の指導を行う業務」である。介護福祉士としての専門性を活かし、利用者への直接的な介護業務にあたるほか、他の介護スタッフへの指導的な立場での業務も含まれる。従事する業務は、介護福祉士としての知識・技術に基づくものであることが前提となる。
実際の勤務先としては、特別養護老人ホーム、介護老人保健施設、有料老人ホーム、デイサービスなどの通所系事業所、訪問介護事業所など、介護保険制度のもとで運営される様々な種別の施設・事業所が想定される。いずれの施設種別であっても、在留資格「介護」の保有者が従事する業務は、利用者の身体介護や生活援助といった直接的な介護業務、及び他の職員に対する技術指導や助言といった業務が中心となる。厚生労働省は、外国人介護人材に係る人員配置基準上の取扱いについて整理を示しており、在留資格「介護」を有する外国人介護人材も、一定の要件のもとで人員配置基準上の算定対象に含まれるとされる。人員配置基準上の具体的な取扱いは、在留資格の種類や個々の状況によって異なり得るため、施設側は最新の通知内容を確認しながら受け入れ・配置を検討することが望ましい。
日本人の介護福祉士と同様に、シフト制のもとで早番・遅番・夜勤を含む勤務に従事することが一般的であり、資格や経験に応じて、新人職員の指導やチームリーダーとしての役割を任されることもある。在留資格「介護」は業務内容を「介護又は介護の指導」に限定しているため、資格とは関係のない事務作業や、介護保険サービスと無関係な業務にもっぱら従事するような場合には、在留資格該当性の観点から注意が必要になる。
資格取得前の特定活動での就労継続
介護福祉士国家試験に合格した留学生は、試験合格から資格登録証の交付を受けるまでの間、一定の要件のもとで「特定活動」の在留資格により介護等の業務に従事することが認められている。これは、国家試験合格から登録証交付までに一定の期間を要することを踏まえた取扱いであり、資格登録が完了した後に在留資格を「介護」へ変更する流れとなる。特定活動はあくまで登録完了までの経過的な在留資格であり、在留資格「介護」そのものとは異なる点に注意が必要である。
この特定活動での就労継続の取扱いは、国家試験合格から資格登録証交付までに一定の事務手続き期間を要する実情を踏まえたものであり、合格した留学生が就労を中断することなく、これまでの職場で介護業務を継続できるようにする趣旨がある。受け入れ側の施設にとっても、合格者が資格登録の手続き中に離職せざるを得ない事態を避けられる点で、人材の定着につながる取扱いといえる。
家族帯同の可否
配偶者・子の「家族滞在」
在留資格「介護」を持つ外国人の配偶者及び子は、「家族滞在」の在留資格により日本に帯同することが認められている。家族滞在は、就労等を目的として在留する外国人に扶養されている配偶者・子が、その扶養者と共に日本で生活するための在留資格である。
本人にとって家族帯同が認められている意味は小さくない。介護分野の外国人受け入れ制度の中には、家族帯同が認められていない技能実習や特定技能のような枠組みもあるため、在留資格「介護」を取得し家族と共に日本で生活基盤を築けることは、長期的に日本で働き続けるうえでの大きな動機づけになり得る。家族滞在で日本に在留する配偶者・子については、在留資格「介護」の保有者本人とは扶養関係や活動の目的が異なるため、それぞれの在留状況に応じた在留カードの管理や在留期間の確認が必要になる。
扶養要件
家族滞在の在留資格を取得するためには、扶養者である在留資格「介護」の保有者に、家族を扶養するだけの一定の収入や資産があることが要件となる。これは、家族滞在で来日する配偶者・子の生活が扶養者の収入等によって安定的に支えられることを確認するための要件と考えられ、扶養能力の有無は勤務先や雇用形態、勤続年数などを踏まえて個別の状況に応じて審査される。家族の帯同を検討する場合は、収入面の要件を満たしているかをあらかじめ確認しておく必要がある。
家族帯同を検討する際は、扶養者本人の収入・資産の状況を裏付ける資料(源泉徴収票、課税証明書、雇用契約書など)を準備しておくことが実務上のポイントになる。要件を満たすかどうかが不明な場合は、事前に扶養者の勤務先の収入状況を確認し、必要に応じて出入国在留管理庁の窓口や行政書士などの専門家に相談することも一つの方法である。
技能実習・特定技能・EPAとの違い
| 制度 | 在留期間の上限 | 家族帯同 | 転職の自由度 |
|---|---|---|---|
| 在留資格「介護」 | 更新回数の制限なし | 可(家族滞在) | 介護又は介護の指導の範囲内で可能 |
| 技能実習「介護」 | 通算で上限あり | 原則不可 | 原則不可 |
| 特定技能「介護」 | 1号は通算で上限あり | 不可 | 同一分野内で可能 |
| EPA介護福祉士候補者 | 候補者期間に上限あり(資格取得後は「介護」へ移行可) | 資格取得前は不可、取得後は可 | 資格取得前は不可 |
在留期間・更新の比較
介護分野の外国人受け入れ制度には、在留資格「介護」のほかに、技能実習「介護」、特定技能「介護」、EPA介護福祉士候補者制度がある。技能実習や特定技能1号は在留期間に通算での上限が設けられているのに対し、在留資格「介護」は更新回数の制限がなく、要件を満たし続ける限り長期的に在留を継続できる点が異なる。
家族帯同の可否の比較
家族帯同の可否も制度間で大きく異なる。技能実習「介護」は原則として家族帯同が認められておらず、2024年6月末時点の技能実習「介護」の在留者数は14,751人となっている。特定技能「介護」も家族帯同は認められていない(2024年2月末時点で31,453人)。EPA介護福祉士候補者は、資格取得前の候補者としての在留期間中は家族帯同・転職ともに認められないが、介護福祉士試験に合格し在留資格「介護」へ変更した後は、家族帯同が可能になり、更新回数の制限もなくなる。これに対し、在留資格「介護」は取得時点から配偶者・子の家族滞在による帯同が認められている。
転職の自由度の比較
転職の自由度についても違いがある。特定技能「介護」は、同一の特定技能「介護」分野内であれば転職が可能とされている。在留資格「介護」は、介護福祉士としての資格に基づく在留資格であるため、介護又は介護の指導を行う業務であれば、勤務先を変更すること自体は妨げられないが、変更後の就労先や業務内容によっては、在留資格該当性の確認や届出等の手続きが必要になる場合がある。EPA介護福祉士候補者は、資格取得前は転職が認められていない点も踏まえ、制度ごとの違いを理解しておくことが重要である。
これらの違いを踏まえると、介護分野で長期的に日本でのキャリアを築きたい外国人にとって、介護福祉士資格を取得し在留資格「介護」へ移行することは、在留の安定性や家族との生活基盤の確保という観点で一つの選択肢となり得る。一方で、技能実習や特定技能から在留資格「介護」への移行には、介護福祉士国家試験の合格という要件があるため、資格取得に向けた学習や実務経験の積み重ねが前提となる点も踏まえておく必要がある。介護分野で働く外国人本人やその家族、また受け入れを検討する介護事業所にとっては、現在どの在留資格で在留しているか、将来的にどの制度への移行を目指すのかによって、必要な準備や手続きの内容が大きく変わってくる。自身が置かれている状況を整理したうえで、それぞれの制度の要件を照らし合わせて検討することが重要である。
対象者数の推移
制度創設時からの増加
在留資格「介護」の対象者数は、制度が創設された2017年には18人であったが、その後増加を続け、2022年12月末には6,284人、2023年6月末には8,093人、2023年12月末には9,328人に達している。制度創設から短期間で対象者数が大きく伸びていることがわかる。
他制度との人数比較
技能実習「介護」・特定技能「介護」との人数比較は前述の「技能実習・特定技能・EPAとの違い」で示したとおりであり、集計時点は異なるものの、介護分野の各在留資格・在留制度でいずれも受け入れが拡大している状況がうかがえる。
在留資格「介護」自体の増加ペースを振り返ると、制度創設からの数年で対象者数は大きく伸び、その後も2022年12月末から2023年12月末までの1年間で3千人超増加するなど、拡大の傾向が続いている。これは、介護福祉士養成施設等を卒業して在留資格「介護」へ移行する留学生が積み重なってきたことに加え、対象ルートの拡大によって実務経験ルートや福祉系高校ルートを経て資格を取得した人材も加わってきたことを反映しているとみられる。介護福祉士資格の取得という要件があるぶん、技能実習や特定技能ほど急激な伸びではないものの、着実に人数を積み上げてきた点が在留資格「介護」の特徴といえる。
今後の推移については、介護分野全体での人材確保の動向や制度運用の状況によって変わり得るため、特定の将来数値を見通すことは難しいが、これまでの統計からは、在留資格「介護」が介護分野における外国人材の長期的な受け皿の一つとして機能してきたことがうかがえる。
申請手続きの流れ
在留資格認定証明書交付申請(海外から)
海外に在住する介護福祉士資格保有者を日本に招く場合は、受け入れ機関等が出入国在留管理庁に対して在留資格認定証明書交付申請を行う。交付された証明書を用いて、本国の日本大使館・領事館で査証(ビザ)の発給を受け、入国後に在留資格「介護」が付与される流れとなる。
この申請では、一般的に、介護福祉士資格の登録証の写し、雇用契約書や採用予定先の事業所に関する資料、申請人の履歴を示す資料などの提出が求められる。審査に要する期間は個々の案件の内容によって異なり、書類の不備や追加確認が生じた場合にはさらに時間を要することもあるため、余裕をもったスケジュールで準備を進めることが望ましい。
在留資格変更許可申請(国内切替)
すでに日本国内に在留している外国人が、留学や特定活動など他の在留資格から在留資格「介護」へ切り替える場合は、出入国在留管理庁に対して在留資格変更許可申請を行う。介護福祉士資格の登録証の写しなど、要件を満たしていることを示す資料の提出が必要となる。
変更許可申請にあたっては、資格登録証のほか、就労予定先との雇用契約に関する資料、これまでの在留状況を示す資料などをあわせて提出することが一般的である。申請から結果が出るまでの審査期間についても、個別の事情によって数週間から数か月程度を要することがあるとされており、現在の在留期間の満了時期との兼ね合いも踏まえて、余裕をもって申請時期を検討する必要がある。
在留資格更新許可申請
在留期間が満了する前には、在留を継続するために在留資格更新許可申請を行う。申請内容が審査され、許可されると新たな在留期間が付与される。この更新を繰り返すことで、在留資格「介護」の保有者は回数の制限なく日本での在留・就労を継続できる。
更新許可申請は、在留期間の満了日が近づく一定の時期から行うことができるとされており、申請書のほか、介護福祉士登録証の写し、在職証明書や給与明細等の就労状況を示す資料などをあわせて提出することが一般的である。審査には一定の期間を要することがあるため、満了直前ではなく、余裕を持って早めに申請することが望ましいとされている。申請から許可までの具体的な期間は個々の案件により異なるため、不明な点は出入国在留管理庁の窓口に確認することが望ましい。更新手続きは本人が行うことが基本だが、勤務先の事業所が在職証明書等の必要書類を速やかに準備することで、本人の手続き負担を軽減できる面もある。
資格取得を支える修学資金制度
介護福祉士修学資金貸付制度の概要
介護福祉士資格の取得を目指す学生を支援する制度として、厚生労働省が所管し、都道府県社会福祉協議会が実施主体となる「介護福祉士修学資金貸付制度」がある。この制度では、学費や入学準備金等について貸付を受けることができる。
返還免除の要件(都道府県ごとに異なる旨)
この制度では、卒業後に一定期間、介護関係の業務に従事することで、貸付を受けた資金の返還が免除される仕組みが設けられている。免除に必要な従事期間は都道府県により異なり、5年程度とする例が多いとされるが、貸付額や具体的な要件、対象となる業務の範囲などは実施主体である都道府県ごとに異なるため、利用を検討する場合は、居住地または就学予定地の都道府県社会福祉協議会に個別に確認する必要がある。
この制度は、介護福祉士養成施設等への進学を検討する外国人本人にとっても、資格取得に伴う経済的な負担を軽減する選択肢の一つになり得る。ただし、貸付を受けるための要件や、対象となる養成施設の範囲、返還免除のために求められる従事期間・業務内容などは都道府県ごとに定められているため、進学先や就労予定地を決める段階で、あらかじめ該当する都道府県社会福祉協議会の窓口に問い合わせ、募集時期や必要書類を確認しておくことが実務上重要である。
注意点・よくある誤解
特定活動の位置づけの誤解
介護福祉士国家試験に合格した留学生が資格登録証の交付を待つ間に用いる「特定活動」は、在留資格「介護」そのものではない。特定活動はあくまで登録完了までの経過的な措置であり、資格登録が完了した時点で、あらためて在留資格「介護」への変更手続きが必要になる。特定活動での就労継続をもって、自動的に在留資格「介護」に移行したと誤解しないよう注意が必要である。
他の在留資格からの切り替え時の注意
技能実習やEPA介護福祉士候補者として在留していた外国人が、介護福祉士資格を取得して在留資格「介護」へ切り替える場合、切り替え前の在留資格で認められていた活動内容と、在留資格「介護」で認められる活動内容は異なるため、切り替えの手続きを適切に行う必要がある。また、在留資格変更許可申請には一定の審査期間を要するため、資格取得後すぐに切り替えが完了するとは限らない点にも留意したい。
受け入れ機関・雇用主の側にも留意すべき点がある。外国人介護人材を雇用する事業所は、一般的な入管手続きの範囲で、雇用する外国人の在留資格や在留期間を適切に確認し、管理する責務を負う。在留資格「介護」の保有者を雇用する場合も、在留カードの記載内容を確認し、在留期間の満了時期を把握したうえで、本人が余裕をもって更新許可申請の手続きを行えるよう配慮することが望ましい。また、就労予定先の変更や事業所の名称・所在地の変更等があった場合には、必要に応じて届出等の手続きが求められることがあるため、人事労務担当者は日頃から入管手続きに関する情報を確認しておくことが望ましい。厚生労働省が示す人員配置基準上の取扱いのように、在留資格の種類によって人員配置上の算定方法が異なる場合もあるため、施設運営の観点からも、雇用する外国人介護人材の在留資格を正確に把握しておくことが重要である。
なお、本記事の内容は2026年9月時点の制度に基づくものであり、今後の法改正等により要件や手続きが変更される可能性がある。最新の情報は、出入国在留管理庁など所管機関の公表内容を確認することが望ましい。
まとめ
在留資格「介護」について、要点を整理する。
- 在留資格「介護」は、介護福祉士の国家資格登録を大前提とし、2017年9月施行の制度である。
- 在留期間は5年・3年・1年・3か月の区分で、更新回数に制限がなく、長期的な在留・就労が可能である。
- 配偶者・子は「家族滞在」の在留資格で帯同でき、扶養者に一定の収入・資産があることが要件となる。
- 技能実習・特定技能・EPA介護福祉士候補者制度とは、在留期間の上限・家族帯同の可否・転職の自由度の点で異なる。
- 取得要件や手続きの詳細は個別の状況によって異なるため、出入国在留管理庁等の一次情報を確認しながら進めることが重要である。
- 制度の運用は今後変更される可能性があるため、申請や更新の前には必ず最新の公表情報を確認したい。