介護職は他業種に比べて有効求人倍率が高く、資格や経験を活かして転職しやすい職種のひとつです。この記事では、求人・転職市場の現状、給与相場、転職先選びで確認すべきポイントを、厚生労働省の統計データにもとづいて解説します。介護職は施設の種類や勤務形態の幅が広く、「介護職」とひとくくりにしても働き方は事業所ごとに大きく異なります。数字だけで判断せず、自分に合った職場の条件を整理してから転職活動を始めることが、後悔のない転職につながります。
介護職の求人・転職市場の現状
介護職は全国的に人手不足が続いており、求職者にとっては選択肢が多い市場が続いています。まずは客観的なデータで市場の現状を把握しておきましょう。
有効求人倍率は他職種より高い水準
厚生労働省が公表する有効求人倍率の統計では、介護関係職種の有効求人倍率は、全職業計の水準を継続して大きく上回っています。特に訪問介護員(ホームヘルパー)は、他の介護職種と比べても高い倍率で推移してきたと報告されています。有効求人倍率が高いということは、それだけ求職者1人あたりの求人数が多く、選べる立場にあるということです。ただし倍率は年度や地域、施設種別によって変動するため、実際に転職活動をする際は、直近の求人動向をハローワークや求人サイトで確認することが望ましいでしょう。有効求人倍率が高い状態は、求職者側が複数の求人を比較しながら自分に合う職場を選びやすい環境にあることを意味します。一方で事業所側から見れば採用競争が厳しく、結果として給与や福利厚生の改善に踏み切る事業所も増えているため、転職を考えるタイミングとしては悪くない状況が続いていると言えます。
なぜ人手不足が続いているのか
高齢化の進行により介護サービスの需要が増え続けている一方、身体的な負担の大きさや、夜勤を含む不規則な勤務、他業種と比べた際の賃金水準などが、担い手の確保を難しくしている要因として指摘されています。国はこうした状況を踏まえ、介護職員処遇改善加算をはじめとする賃金改善策を継続的に実施しており、後述のとおり給与水準は年々改善が図られています。
介護職の有効求人倍率の推移
介護関係職種の有効求人倍率は年によって変動しますが、全職業計との差は近年一貫して大きい状態が続いています。ここでは、より詳しい数値と、地域ごとのデータの確認方法を紹介します。
直近の有効求人倍率と全職業との差
厚生労働省社会・援護局が社会保障審議会福祉部会 福祉人材確保専門委員会に提出した資料によると、令和7年3月時点の有効求人倍率は、職業計の全国平均が1.16倍であるのに対し、介護関係職種は3.97倍となっています。全職業平均の3倍以上という水準は近年おおむね続いており、介護分野が他業種と比べて求職者にとって選択肢の多い状態にあることを裏づけています。この統計は毎月更新される「一般職業紹介状況(職業安定業務統計)」にもとづくもので、景気動向や年度によって数値は変動するため、転職活動の際は直近の数値をあわせて確認することが望ましいでしょう。
都道府県労働局が公表する地域別データ
有効求人倍率は全国一律ではなく、都道府県ごとに水準が異なります。厚生労働省の各都道府県労働局は、管内の職業別有効求人倍率を毎月公表しており、介護関係職種についても地域ごとの求人・求職の状況を確認できます。転職先の地域を検討する際は、全国平均の数値だけで判断せず、実際に働く予定のエリアを管轄する都道府県労働局やハローワークが公表する最新の職業別データにあたることが望ましいでしょう。こうしたデータは、ハローワークインターネットサービスからも都道府県別・職業別に検索できます。
有効求人倍率の調べ方
介護関係職種は、訪問介護員(ホームヘルパー)や施設介護職員など複数の職種を合算した区分として集計されています。詳しい職種別・地域別の求人数や倍率を知りたい場合は、ハローワークインターネットサービスや、厚生労働省が運営する職業情報提供サイト(job tag)の検索機能を使うことで、希望する勤務地・職種に絞って最新の状況を確認することができます。
有効求人倍率と賃金水準の関係
有効求人倍率が高い分野では、事業所間の採用競争が生じやすく、求人票の賃金水準にも影響することがあります。求職者側から見れば、複数の求人の給与条件を比較しながら検討材料にできる場面もあるでしょう。ただし、有効求人倍率はハローワークに登録された求人・求職の状況にもとづく統計であり、ハローワークを介さない求人は反映されていない点には留意が必要です。求人サイトや事業所のホームページなど、複数の情報源をあわせて確認することが望ましいでしょう。
介護職の給与相場
転職を検討するうえで、給与相場を客観的な数値で把握しておくことは重要です。
月給制・常勤の平均給与
厚生労働省の介護従事者処遇状況等調査(令和6年度)によると、月給制で常勤の介護職員の平均給与額(基本給・手当・一時金の合計)は33万円台となっています。この調査は介護職員処遇改善加算等の効果を継続的に検証する目的で毎年実施されており、賃金改善策が講じられるたびに平均給与も上昇する傾向にあります。求人票に記載された給与額を確認する際は、この全国平均と比較することで、その求人が相場より高いか低いかの目安をつかむことができます。
勤続年数・資格による違い
同調査では、勤続年数が長くなるほど平均給与が上がる傾向も示されており、勤続20年以上の介護職員は勤続1年未満の職員より大幅に高い給与水準となっています。また、介護福祉士などの資格を保有している職員は、無資格者と比べて資格手当が上乗せされる分、給与水準が高くなる傾向があります。転職先を比較する際は、基本給だけでなく、資格手当・夜勤手当・処遇改善加算による手当を含めた総支給額で比較することが大切です。また、賞与(一時金)の支給実績や昇給のペースも、長く働くうえでの収入見通しに大きく影響します。求人票の「月給◯円〜」という表記だけでなく、年収ベースでどの程度になるのかを面接時に確認しておくと、入職後の見通しが立てやすくなります。
介護職員処遇改善加算の詳しい仕組み
求人票の給与額を比較するうえで欠かせないのが、介護職員処遇改善加算等の仕組みです。制度の全体像を理解しておくと、事業所ごとの給与差の背景が見えやすくなります。
加算の一本化と加算区分
従来、介護職員の賃金改善に関する加算には「介護職員処遇改善加算」「介護職員等特定処遇改善加算」「介護職員等ベースアップ等支援加算」の3つの制度が並立していましたが、令和6年6月からこれらが「介護職員等処遇改善加算」として一本化されました。一本化にともない計画書・実績報告書の様式が統一され、事業所の事務負担が軽減されるとともに、加算率の引き上げが図られています。厚生労働省が公表する資料では、最も高い区分(加算Ⅰ)を取得した場合、介護職員1人当たり月額3万7千円相当の加算を受け取れる水準とされています。加算区分は事業所ごとに異なり、上位区分ほど算定要件が細かくなるため、同じ地域・同じサービス種別の事業所でも取得している区分に差が生じることがあります。
加算はどのように給与に反映されるか
加算を取得するには、①キャリアパス要件(職位・職責・職務内容に応じた任用要件と賃金体系の整備等)、②月額賃金改善要件、③職場環境等要件(賃金改善以外の処遇改善の取り組みを、あらかじめ定められた28項目のうち一定数以上実施すること)という3つの要件を満たす必要があります。事業所は加算額をどのように職員の賃金改善に充てるかを記載した賃金改善計画書を作成し、年度終了後には実績報告書を提出する義務を負います。求人票や面接で「処遇改善加算をどの区分まで取得しているか」を確認することに加え、賃金改善計画の内容を尋ねることで、加算が自分の給与にどう反映されるのかをより具体的にイメージできます。なお加算区分や賃金改善計画の内容は、事業所が指定申請時に都道府県知事等へ届け出る情報であり、要件を満たさなくなった場合は加算区分の見直しが必要になります。
加算率の改定サイクル
介護報酬は原則として3年に一度改定されており、処遇改善加算の加算率や算定要件も改定のたびに見直されます。直近では令和6年6月の一本化にあわせて加算率が引き上げられ、2024年度に2.5%、2025年度に2.0%の賃金改善(ベースアップ)につなげることが目標とされました。次回以降の改定でも要件が変わる可能性があるため、転職を検討する際は求人票の情報だけでなく、最新の制度内容もあわせて確認することが望ましいでしょう。
転職を考えるタイミング・理由
介護職からの転職、あるいは介護職への転職を考えるきっかけは人それぞれですが、いくつかの典型的なパターンがあります。
よくある転職理由
給与への不満、人間関係、身体的な負担、夜勤を含む勤務体系が生活と合わない、といった理由がよく挙げられます。一方で、より専門性の高い施設で働きたい、資格を取得したのでキャリアアップしたい、といった前向きな理由での転職も少なくありません。理由を明確にしておくことで、次の転職先で同じ不満を繰り返さないための軸が定まります。
転職前に整理しておきたいこと
「今の職場の何が嫌なのか」だけでなく、「次の職場に何を求めるのか」を具体的に書き出しておくと、求人選びの軸がぶれにくくなります。給与、勤務地、勤務形態(日勤のみか夜勤ありか)、施設の種類(特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、訪問介護事業所など)、人間関係やチームの雰囲気など、優先順位をつけておくことが望ましいでしょう。
転職先選びで確認すべきポイント
求人票の給与額や勤務時間だけを見て決めると、入職後にギャップを感じることがあります。
求人票だけでは分からない労働環境
夜勤の回数や1回あたりの拘束時間、有給休暇の取得しやすさ、残業の実態、人員配置に余裕があるかどうかは、求人票だけでは分からないことが多い項目です。可能であれば面接時に具体的な質問をする、あるいは職場見学を申し出るなどして、実際の働き方をイメージできる情報を集めることが望ましいでしょう。
処遇改善加算の取得状況
介護職員処遇改善加算等は、事業所が申請・取得することで職員の賃金改善に充てられる仕組みです。すべての事業所が上位区分の加算を取得しているわけではないため、求人票や面接で「処遇改善加算をどの区分まで取得しているか」を確認すると、その事業所の給与改善への取り組み姿勢を推し量る材料になります。加算区分は事業所の指定申請の際に都道府県等へ届け出る情報であり、取得区分が高いほど、賃金改善に充てられる原資が手厚いことを意味します。面接で聞きにくい場合は、求人票の備考欄や事業所のホームページに記載がないか、事前に確認しておくとよいでしょう。
夜勤専従・パートなど働き方の種類
介護職は正社員の常勤だけでなく、勤務形態の選択肢が比較的広い職種です。制度上の違いを理解しておくと、求人票の条件を正しく比較できます。
夜勤専従の勤務と深夜割増賃金
介護施設では、日勤を組まず夜勤のみに従事する「夜勤専従」という働き方があります。労働基準法上、夜勤専従そのものの回数に法律上の上限はありませんが、週の法定労働時間(40時間)の範囲に収める必要があるため、月10日前後の勤務になる事業所が多いとされています。午後10時から午前5時までの労働には深夜割増賃金が適用され、通常の賃金に25%以上を上乗せして支払うことが法律で義務づけられています。また、育児や家族の介護を行っている労働者は、一定の要件を満たせば深夜業の制限を申し出ることができます。夜勤専従の求人は、日勤を含む常勤求人と比べて基本給の設定方法や手当の内訳が異なることが多いため、月あたりの想定収入を求人票でよく確認することが重要です。
パート・有期雇用労働者の均等・均衡待遇
パートタイム・有期雇用労働法により、正社員と職務内容・配置転換の範囲が同じパート・有期雇用労働者は、雇用形態を理由に待遇を差別することが禁止されています(均等待遇)。職務内容等に違いがある場合でも、基本給・賞与・手当・福利厚生などについて不合理な待遇差を設けることは禁止されており(均衡待遇)、労働者は事業主に待遇差の理由の説明を求めることができます。休憩時間(労働時間が6時間を超える場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上)についても、雇用形態にかかわらず法律で一律に定められています。
2026年10月からのルール見直し
パートタイム・有期雇用労働法の運用ルールは2026年10月にも見直される予定です。雇い入れ時に「待遇差についての説明を求めることができる旨」の明示が新たに義務化されるほか、継続的な勤務が見込まれるパート労働者への家族手当・住宅手当・夏季冬季休暇の取り扱いについて、同一労働同一賃金ガイドラインの考え方が明確化されます。パートや有期雇用で介護職に転職する場合は、こうした制度改正の内容もあわせて押さえておくとよいでしょう。
資格・経験別のキャリアパス
介護職は資格の有無や経験年数によって、目指せるキャリアパスが異なります。
無資格・未経験からのスタート
介護職員初任者研修などの資格がなくても採用している事業所は多く、入職後に研修制度を通じて知識・技術を身につけていくキャリアの始め方が一般的です。まずは介護の仕事に慣れながら、働きつつ初任者研修や実務者研修を取得していくルートが広く利用されています。事業所によっては研修費用の一部・全額を補助する制度を設けているところもあるため、未経験からの転職を考える場合は、研修支援の有無も求人選びの判断材料になります。
資格を活かしたキャリアアップ
介護福祉士を取得すると、資格手当による収入アップに加え、サービス提供責任者やユニットリーダーなど、チームを牽引する役割を任される機会が増えます。さらに実務経験を積んでケアマネジャー(介護支援専門員)を目指すなど、長期的なキャリアの選択肢も広がります。資格取得ルートの詳細は介護福祉士の記事で解説しています。
未経験から介護職に転職する場合の資格取得ルート
介護の実務経験がない人がどのように資格を取得しながらキャリアを始めるか、代表的なルートと費用負担を軽くする公的な制度を紹介します。
介護職員初任者研修の内容と受講期間
介護職員初任者研修は、介護の基本的な知識・技術を身につけるための入門的な研修で、各都道府県が指定した研修事業者が実施しています。カリキュラムは10科目・130時間で構成されており、通学と自宅学習を組み合わせて数週間から数か月かけて修了するのが一般的です。修了すると、訪問介護を含む幅広い介護サービスに単独で従事できるようになります。無資格のまま介護施設で働き始め、勤務と並行して初任者研修を受講していく働き方も広く行われています。研修は都道府県ごとに複数の事業者が実施しており、通信・在宅学習を組み合わせた講座など、働きながら受講しやすいカリキュラムを用意している事業者もあります。
教育訓練給付制度・求職者支援制度による費用軽減
研修費用の負担を軽減できる公的な制度もあります。雇用保険の被保険者期間が一定以上ある人が対象の教育訓練給付制度では、厚生労働大臣が指定する講座を修了すると、一般教育訓練は受講料の20%、専門実践教育訓練は最大70%(年間上限56万円)が給付されます。介護職員初任者研修や実務者研修の講座も対象になっているものがあります。雇用保険の受給資格がない離職者等を対象とした求職者支援制度では、介護分野を含む2〜6か月程度の職業訓練を無料で受講でき、本人の月収や世帯の月収、金融資産等が一定額以下という要件を満たす場合は、月10万円の職業訓練受講手当も支給されます。対象講座かどうかは、厚生労働省の教育訓練給付制度の検索システムで事前に確認できます。教育訓練給付制度には一般教育訓練・専門実践教育訓練のほかに、速やかな再就職・早期のキャリア形成に資する講座を対象とした「特定一般教育訓練」の区分もあり、この場合は受講料の40%が給付されます。いずれもハローワークで相談・申込ができます。
実務者研修へのステップアップ
初任者研修修了後、さらに専門性を高めたい場合は、実務者研修(450時間)にステップアップする道があります。実務者研修を修了すると、喀痰吸引等の医療的ケアに関する研修の一部を省略できるほか、介護福祉士国家試験の受験資格の一部としても位置づけられています。実務者研修についても、教育訓練給付制度をはじめとする公的な助成制度の対象になっている講座があります。
資格取得から就業までの流れ
初任者研修や求職者支援制度の職業訓練は、随時ではなく開講時期があらかじめ決まっていることが多いため、受講を希望する場合は早めにハローワークや研修事業者に日程を確認することが望ましいでしょう。修了後は研修事業者や都道府県から修了証明書が交付され、この証明書は就職先への提出書類としても使用します。証明書は再発行に時間がかかることがあるため、大切に保管しておくことも忘れないようにしましょう。
ハローワーク・福祉人材センターの公的支援
介護分野への転職・復職を後押しする公的な相談窓口や制度も整備されています。
福祉人材コーナー・人材確保対策コーナー
主要なハローワークには、介護・医療・保育分野に特化した「福祉人材コーナー」や「人材確保対策コーナー」が設置されています。専属の職員が担当制できめ細かな職業相談・職業紹介を行うほか、職場見学会や就職面接会などのイベントも実施されています。各都道府県には福祉人材センターも設置されており、介護分野に特化した無料職業紹介や研修、相談援助を行っています。全国的に人材不足が指摘される分野への就職を希望する求職者に対しては、担当者制による一貫した相談支援も行われています。
離職した介護人材の届出制度と貸付制度
介護福祉士の資格を持ちながら介護の仕事から離れている人は、社会福祉法にもとづき、都道府県福祉人材センターへの届出が努力義務とされています(平成29年4月施行)。実務者研修や介護職員初任者研修の修了者も届出の対象です。届出をすると、センターから研修や求人に関する情報提供を受けられ、復職を後押しする仕組みになっています。また、介護福祉士等の養成施設や実務者研修施設に在学する人を対象に、月額5万円以内等の修学資金や、20万円以内の就職準備金・受講資金を貸し付け、修了後に一定期間介護業務に従事すると返還が免除される制度もあります。貸付の実務は都道府県ごとに福祉人材センター(多くは都道府県社会福祉協議会が運営)が担っており、対象要件や貸付額は都道府県によって異なるため、利用を検討する場合は居住地や就業予定地の福祉人材センターに確認するとよいでしょう。
医療・介護・保育分野に特化した求人検索
厚生労働省は、医療・介護・保育分野の人材確保を目的とした特設サイトを運営しており、ハローワークの求人情報を分野別に検索できるようにしています。一般の求人サイトとあわせて活用することで、公的な機関を通じて確認された求人情報を幅広く比較検討できます。ハローワークの求人はハローワークインターネットサービスからも検索でき、来所しなくても自宅のパソコンやスマートフォンから求人内容を確認できます。
転職活動の進め方
実際に転職活動を始める際の一般的な流れを整理します。
情報収集の方法
ハローワークの求人、介護事業所のホームページ、地域の福祉人材センター、民間の求人サイトなど、情報収集の手段は複数あります。同じ法人・施設の求人でも、募集時期によって条件が変わることがあるため、複数の情報源を確認して比較することが望ましいでしょう。在職中に転職活動をする場合は、勤務シフトの都合で見学や面接の日程調整が難しいこともあるため、早めにスケジュールの見通しを立てておくと動きやすくなります。
面接で聞かれやすいこと
介護の仕事を選んだ理由、これまでの経験で工夫してきたこと、チームで働くうえで大切にしていることなどは、多くの面接で聞かれる質問です。逆に、自分から夜勤の回数や人員体制、処遇改善加算の状況について質問することも、入職後のミスマッチを防ぐうえで有効です。
転職時に確認したい労働条件通知書のポイント
内定を受けたあとの最終確認として欠かせないのが、労働条件通知書の内容です。求人票と実際の契約内容が一致しているかを、書面で確認しましょう。
法定の明示事項
事業所は労働契約を結ぶ際、労働条件通知書(雇用契約書を兼ねる場合もあります)によって、労働契約の期間、就業場所と業務内容、始業・終業時刻や休憩・休日、賃金の決定方法と支払時期、退職に関する事項などを書面で明示することが労働基準法で義務づけられています。求人票の記載内容と実際の労働条件通知書の内容が異なるケースもあるため、入職前に必ず書面で確認することが大切です。労働条件通知書は書面での交付が原則ですが、労働者が希望すれば電子メールやSNSのメッセージ機能等での明示も認められています。
2024年4月の改正で追加された項目
2024年4月以降に締結・更新される労働契約からは、明示事項がさらに追加されました。すべての労働契約について、将来の配置転換等によって変わりうる「就業場所・業務の変更の範囲」の明示が必要になったほか、有期労働契約については、契約更新の上限の有無とその内容、無期転換申込権が発生するタイミングでの無期転換を申し込むことができる旨と転換後の労働条件の明示も義務化されています。有期雇用やパートで転職する場合は、契約更新の見通しや無期転換の条件についても、通知書でよく確認しておくとよいでしょう。
内定後に確認しておきたい書類
労働条件通知書のほかにも、就業規則や賃金規程の内容を確認しておくと、入職後の見通しが立てやすくなります。労働基準法では、常時10人以上の労働者を使用する事業所に就業規則の作成・届出が義務づけられており、労働者はその内容を知る権利があります。入職前の面談などの機会に、就業規則や賃金規程を閲覧できるか尋ねてみるのもよいでしょう。
無期転換ルールとの関係
有期労働契約が同一の事業所で通算5年を超えて更新された場合、労働者からの申し込みにより期間の定めのない労働契約(無期労働契約)に転換できる「無期転換ルール」があります。2024年4月からは、無期転換を申し込むことができるタイミングごとに、その旨と転換後の労働条件を書面で明示することが事業所に義務づけられています。有期雇用から始めて長く働く可能性がある場合は、この無期転換の仕組みも理解しておくと安心です。
転職時の注意点
転職活動を進めるうえで気をつけておきたい点です。
焦って決めないために
有効求人倍率が高い=売り手市場であることは、裏を返せば焦らず比較検討できる立場にあるということでもあります。1つの求人だけで即決せず、複数の求人・複数の施設を比較したうえで判断することが望ましいでしょう。
離職理由の伝え方
面接で前職の退職理由を聞かれた際は、不満をそのまま述べるのではなく、「次の職場で実現したいこと」に変換して伝えると、前向きな印象になります。人手不足が続く業界だからこそ、円満退職を心がけ、必要であれば引き継ぎ期間を十分に取ることも、次のキャリアを気持ちよくスタートさせるために大切です。
まとめ
- 介護関係職種の有効求人倍率は全職業平均を大きく上回る水準が続いている
- 月給制・常勤の介護職員の平均給与は厚労省調査で33万円台。勤続年数や資格の有無で差がある
- 転職先選びでは、求人票だけでなく夜勤回数・人員体制・処遇改善加算の取得状況を確認する
- 無資格・未経験からでも始められ、資格取得を通じてキャリアアップできる業界
- 介護職員等処遇改善加算は令和6年6月に一本化され、区分や賃金改善計画の内容は求人票・面接で確認できる
- 夜勤専従・パートなど働き方の種類によって、深夜割増賃金や均等・均衡待遇など適用されるルールが異なる
- 売り手市場だからこそ焦らず複数の求人を比較し、円満な退職を心がけることが望ましい