介護福祉士とは何か|国家資格の取得ルートと給与・待遇の目安を解説

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介護福祉士は、介護分野で唯一の国家資格です。資格の有無によって任される業務範囲や給与水準が変わることが多く、介護の仕事でキャリアアップを考える際の重要な目標の一つになります。この記事では、資格の役割、取得ルート、給与の目安までを解説します。

介護福祉士とは何か

介護福祉士は、専門的な知識・技術をもって、身体上または精神上の障害があることにより日常生活に支障がある方の介護を行い、本人やその介護者に対して指導を行うことを業とする国家資格です。社会福祉士及び介護福祉士法にもとづいて定められています。介護業界は人材不足が続いており、無資格・未経験からでも働き始められる求人が多い一方、長く安定して働き、収入を上げていきたい場合には、介護福祉士の取得が最も分かりやすいキャリアの節目になります。すでに介護の仕事に就いている方にとっても、これから介護業界への就職・転職を考えている方にとっても、この資格がどのような位置づけなのかを正確に知っておくことは、キャリアを考えるうえでの土台になります。1987年にこの法律が制定されて以来、介護の専門性を証明する資格として位置づけられており、少子高齢化にともなう介護人材の質の確保という観点からも、国が力を入れて有資格者の育成・確保に取り組んでいる分野です。

介護分野で唯一の国家資格

介護職員初任者研修や実務者研修が「研修修了」であるのに対し、介護福祉士は国家試験に合格して得る「国家資格」である点が大きく異なります。介護の現場で働く上での知識・技術の証明として、事業所からの評価や利用者・家族からの信頼につながりやすい資格です。

できる業務の範囲

食事・入浴・排せつなどの身体介護、生活援助のほか、一定の研修を修了した介護福祉士は、たんの吸引や経管栄養といった「喀痰吸引等」の医療的ケアの一部を行うことも認められています。現場では、他の介護職員への指導やケアの質の管理といった役割を担うことも多くあります。無資格や初任者研修修了者と協力しながら、チームでケアを提供する現場において、専門的な視点でケアの方向性を判断する役割を期待されることが増えていきます。

介護福祉士になるための4つのルート

介護福祉士国家試験の受験資格を得る方法は、大きく4つのルートに分かれます。

実務経験ルート

介護等の実務経験を3年以上積んだ上で、実務者研修(450時間)を修了することで受験資格を得るルートです。働きながら資格取得を目指す方の多くがこのルートを選択しています。実務経験の対象となる施設・事業所には、高齢者分野だけでなく障害者分野や児童分野なども含まれます。実務者研修は通信講座とスクーリングを組み合わせた形式で提供されることが多く、働きながらでも計画的に受講しやすいよう配慮されています。多くの介護事業所では、この実務者研修の受講費用を一部・全額補助する制度を設けていることもあるため、勤務先に確認してみる価値があります。

公益財団法人社会福祉振興・試験センターの案内によると、「実務経験3年以上」は単純に3年間在籍していればよいわけではなく、「従業期間」(在職期間そのもので、産休・育休・病休等を含む)と「従事日数」(雇用契約にもとづき実際に介護等の業務に従事した日数。欠勤や出張、研修等で実際に従事しなかった日は除く)の両方を満たす必要があります。試験実施年度の3月31日までに従業期間1,095日以上を満たすことが要件とされており、複数の施設・事業所での経験を通算することも可能です。また、実務経験の対象は「児童分野」「障害者分野」「高齢者分野」「その他の分野(救護施設、ハンセン病療養所、病院等)」「介護等の便宜を供与する事業(基準該当サービス等)」の5分野に整理されており、いずれも「主たる業務が介護等の業務」であることが条件です。相談員や事務職として働いていた期間は、実務経験の対象に含まれない点に注意が必要です。なお、実務者研修の修了が受験資格の要件に加わったのは平成28年度(第29回)試験からで、それ以前は実務経験3年のみで受験できた時期もありました。

養成施設ルート

介護福祉士養成施設(専門学校や大学等)を卒業することで受験資格を得るルートです。養成施設卒業者は、以前は国家試験を受けずに資格が得られる経過措置がありましたが、段階的に国家試験合格が必須化される見直しが進められています。社会福祉振興・試験センターの受験資格ルート案内によると、令和8年度末までに養成施設を卒業する方は、卒業後5年間は国家試験に合格しなくても介護福祉士としての登録が可能な経過措置の対象ですが、令和9年度以降に卒業する方からは、国家試験に合格することが登録の必須条件になります。養成施設に進学を検討する場合は、自分の入学・卒業予定年度がどちらの扱いになるのかを、志望する養成施設や試験センターに確認しておくことが重要です。

福祉系高校ルートと入学年度の関係

福祉系高校で所定の科目を履修して卒業することで受験資格を得るルートです。入学時期によって必要な履修内容の要件が異なります。社会福祉振興・試験センターの案内では、この福祉系高校ルートは入学年度によって「平成21年度以降入学者」「特例高校等(平成20年度以前入学者を含む)」「平成20年度以前入学者」の3つの区分に分かれており、区分ごとに履修が必要な科目・時間数の基準が異なります。自分がどの区分に該当するかは在籍していた高校の教育課程によって決まるため、卒業した高校や試験センターへの確認が必要です。

EPA(経済連携協定)ルート

経済連携協定(EPA)にもとづき来日した外国人の候補者が、日本国内で一定の実務経験を積みながら国家試験合格を目指すルートです。介護人材の国際的な受け入れの枠組みの一つとして位置づけられています。厚生労働省の資料によると、対象国はインドネシア(平成20年度〜)、フィリピン(平成21年度〜)、ベトナム(平成26年度〜)で、それぞれの国の看護師資格や一定の実務経験・教育課程修了などの要件を満たした候補者が対象です。介護福祉士候補者としての在留期間は上限4年とされており、来日後は介護施設等で就労・研修をしながら、4年目に1回目の国家試験を受験します。ここで不合格でも、一定の条件を満たせば1年間の滞在延長が認められ、5年目に再度受験する機会が設けられています。国家試験に合格すれば、引き続き介護福祉士として就労を続けることができます。

実務者研修の内容と実務経験ルートでの位置づけ

実務経験ルートで受験資格を得るために欠かせないのが、実務者研修(450時間)の修了です。ここでは、実務者研修がどのような位置づけの研修なのかを詳しく見ていきます。

実務経験ルートにおける実務者研修の位置づけ

社会福祉振興・試験センターの案内によると、実務経験ルートの受験資格は「実務経験3年以上」と「実務者研修修了」をあわせて満たす必要があり、どちらか一方だけでは受験できません。実務者研修の修了時期そのものについて、試験センターの案内ページには明確な期日の記載はありませんが、実務経験の要件と同様に、試験申込時点で修了見込みであれば受験を申し込めるケースがあります。前述の通り、実務者研修の修了がこのルートの要件に加わったのは平成28年度(第29回)試験からで、比較的新しい制度改正である点も押さえておきたいポイントです。実務者研修450時間の内訳は、厚生労働省の社会保障審議会福祉部会に示された資料によると、大きく4つの領域に分かれています。

領域時間数
人間と社会40時間
介護190時間
こころとからだのしくみ170時間
医療的ケア50時間
合計450時間

「介護」の領域には、介護の基本、コミュニケーション技術、生活支援技術、介護過程(スクーリングを含む)などの科目が含まれます。「医療的ケア」の領域では、喀痰吸引や経管栄養を安全に行うための基礎的知識や実施手順、演習を通じて学びます。研修事業者によって科目の呼び方や時間配分の細部は異なる場合がありますが、この4領域・450時間という枠組みが基本になっています。

実施主体と修了(見込)証明書

実務者研修は、都道府県知事等の指定を受けた研修事業者が実施しています。研修事業者ごとにカリキュラムの提供形式(通信学習とスクーリングの組み合わせ方、通学日数の設定等)が異なるため、具体的な内容や日程は各研修事業者に直接確認する必要があります。国家試験の受験申し込みにあたっては、実務者研修の修了を証明する書類(修了証明書、または修了見込証明書)の様式が定められており、試験センターの案内ページで様式を確認できます。

他研修の修了認定による科目免除

厚生労働省は、実務者研修における「他研修等の修了認定」に関する留意点を通知として示しており、介護職員初任者研修など、すでに修了している他の研修の内容に応じて、実務者研修の一部科目の履修が認定・免除される仕組みが設けられています。免除される範囲は保有している研修の種類によって異なるため、実際にどの科目が免除の対象になるかは、受講を予定している実務者研修の事業者に確認するのが確実です。

国家試験の概要

いずれのルートも、最終的には介護福祉士国家試験に合格する必要があります(一部経過措置を除く)。

筆記試験と実技試験

国家試験は筆記試験を中心に実施され、「人間の尊厳と自立」「介護の基本」「こころとからだのしくみ」など複数科目から出題されます。実務者研修等で実技を修得したとみなされる場合、実技試験が免除される仕組みがあります。

試験の時期と実施団体

試験は例年1月頃に実施され、公益財団法人社会福祉振興・試験センターが実施団体となっています。受験資格の詳細や申込方法は、同センターの公式サイトで公表される最新の受験の手引きで必ず確認してください。合格発表は例年3月頃です。合格基準は、総得点の60%程度を目安に、その年の問題の難易度で補正した点数以上を取り、かつ11の試験科目群すべてで得点があること(0点の科目群がないこと)とされています。試験対策としては、実務者研修のテキストを軸に、模擬試験や過去問題集で出題傾向をつかむ学習方法が一般的です。合格率の詳しい推移は次の章で解説します。

介護福祉士国家試験の合格率の推移

介護福祉士国家試験の合格率は、年度によって変動があります。厚生労働省が公表している資料をもとに、直近の推移を確認しておきましょう。

過去5回の受験者数・合格者数・合格率

厚生労働省が第38回介護福祉士国家試験の合格発表とあわせて公表した「受験者・合格者の推移」の資料によると、直近5回の結果は次のとおりです。

回数(実施年度の目安)受験者数合格者数合格率
第34回83,082人60,099人72.3%
第35回79,151人66,711人84.3%
第36回74,595人61,747人82.8%
第37回75,387人58,992人78.3%
第38回78,469人54,987人70.1%

制度開始からの総計では、受験者数3,025,557人に対し合格者数1,782,141人、合格率58.9%となっています。近年は70%台後半〜80%台前半で推移する年が多いものの、第38回のように70%程度まで下がる年もあり、年度によって幅があることが分かります。最新の受験資格・合格基準の詳細は、必ず試験センターが公表する最新の受験の手引きで確認してください。

パート合格制度と合格率が変動する背景

介護福祉士国家試験には、全パートの総得点で合格基準に届かなかった受験者でも、試験を複数のパート(A・B・Cパート)に分け、各パートの基準点を満たし、かつそのパートを構成する試験科目群すべてで得点があった場合に、そのパートについて合格と扱う仕組みがあります。第38回試験では、この仕組みにより、Aパートで3,935人、Bパートで1,509人、Cパートで6,181人が合格しています。このように、単純な総得点だけでなく複数の合格基準が組み合わさっているため、出題の難易度や科目構成によって、年度ごとの合格率が変動しやすい構造になっています。

介護福祉士の登録手続き

国家試験に合格しただけでは、まだ介護福祉士を名乗ることはできません。介護福祉士として業務を行うには、公益財団法人社会福祉振興・試験センターへの登録が必要です。

登録に必要な書類と申請先

試験センターの案内によると、新規登録の申請には、登録申請書のほか、戸籍の個人事項証明書・戸籍抄本・本籍を記載した住民票のいずれか1通といった身分を証明する書類が必要です。登録申請書に登録免許税分の収入印紙を貼付し、登録手数料の振替払込受付証明書(お客さま用)をあわせて提出します。これらの書類一式を、簡易書留やレターパックプラスなど記録の残る方法で試験センターに郵送する流れです。試験センターの案内では、申請者の状況に応じて追加の書類が必要になる場合もあるとされているため、実務経験ルートで合格した方は、必要書類に不足がないか登録申請前に案内ページを確認しておくと手戻りを防げます。

登録免許税・登録手数料と登録証交付までの期間

新規登録には、国に納める登録免許税(収入印紙9,000円)と、指定登録機関である試験センターへの登録手数料3,320円が必要です。合計12,320円が登録にかかる費用の目安になります。提出書類に不備がなければ、1か月半程度で登録証が発送されます。書類に不備があった場合は、不備が解消してから1か月程度で発送されるため、余裕をもって手続きを進めることが大切です。

登録事項の変更・登録証の再交付

登録後に氏名や本籍地の都道府県が変わった場合、現住所のみが変わった場合、登録証を紛失・汚損した場合、登録者本人が死亡または失踪宣告を受けた場合には、速やかに試験センターへの届出が必要です。登録事項の変更には手数料1,800円、登録証の再交付には手数料1,200円がかかります。なお、氏名等の変更で新しい登録証が交付されても、登録年月日と登録番号自体は変わりません。

給与・待遇の目安

介護福祉士の資格を持つことで、給与面でのプラスが期待できます。

資格手当や処遇改善加算の影響

多くの事業所では、介護福祉士の資格保有者に対して資格手当を支給しています。また、国の介護職員等処遇改善加算といった制度により、有資格者を含む介護職員の賃金改善が事業所単位で図られており、無資格者と比べて給与水準が高くなる傾向があります。具体的な金額は事業所や地域によって差があるため、求人情報や事業所への確認が必要です。求人票を比較する際は、基本給だけでなく、資格手当・処遇改善加算による手当・夜勤手当などを含めた総支給額で比較することが大切です。同じ「介護福祉士歓迎」の求人でも、法人によって手当の設計は大きく異なります。

公的統計にみる介護福祉士の給与水準

厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」(介護職員等処遇改善加算を取得している事業所が対象)によると、月給・常勤で働く介護福祉士の平均給与額は月額350,070円(令和6年9月時点、基本給に手当・一時金の月額換算分を加えた額)でした。前年の令和5年調査では337,160円だったため、1年間で12,910円増えたことになります。同じ調査で、資格を保有していない介護職員の平均給与額は290,620円だったため、介護福祉士と無資格者の差は月額で59,450円程度という結果です。あくまで処遇改善加算を取得している事業所を対象にした全国推計値であり、実際の金額は勤務先の規模やサービス種類、地域によって変わる点には注意してください。同じ調査をサービス種類別にみると、介護福祉士の平均給与額は介護老人福祉施設(特別養護老人ホーム等)で365,020円、訪問介護事業所で355,790円、介護老人保健施設で354,660円、介護医療院で340,420円、通所介護事業所で304,850円などとなっており、同じ資格でも勤務するサービス種類によって水準に差がある点も分かります。求人を比較する際は、資格の有無だけでなく、どのサービス種類・事業所であるかもあわせて確認するとよいでしょう。

介護職員等処遇改善加算の仕組み

介護福祉士を含む介護職員の給与水準に影響する制度として、国の介護職員等処遇改善加算があります。個人の給与とは別に、制度そのものの仕組みを押さえておきましょう。

加算の区分

厚生労働省の案内によると、介護職員等処遇改善加算には複数の区分(加算Ⅰイ・Ⅰロ・Ⅱイ・Ⅱロ・Ⅲ・Ⅳ等)があり、事業所が満たす要件の数に応じて、どの区分の加算を算定できるかが決まります。加算率はサービスの種類や区分によって異なるため、正確な数値は厚生労働省や各都道府県が公表する最新の資料で確認する必要があります。

主な算定要件

加算を算定するための主な要件として、資格や勤続年数に応じた昇給の仕組みを整備する「キャリアパス要件」、職場環境の改善に関する項目(28項目のうち一定数以上を実施する「職場環境等要件」)、経験・技能のある介護職員(介護福祉士等)を一定割合以上配置する「配置要件」の3種類が挙げられます。キャリアパス要件では、経験・技能のある介護職員のうち1人以上について、賃金改善後の年収を440万円以上とすることなどが目安として示されています。配置要件は、例えば訪問介護では経験・技能のある介護職員のうち介護福祉士が一定割合以上を占めることが求められるなど、サービス種類ごとに具体的な基準が定められています。職場環境等要件については、賃金改善以外の処遇改善に関する取り組みとして厚生労働省が示す28項目の中から、一定数以上を実際に実施しているかどうかが問われます。実施した項目数に応じて要件を満たすかどうかの区分(実施項目数が7項目以上の区分と、13項目以上かつ取り組み内容を職員に周知・可視化している区分)が設けられており、より多くの取り組みを行っている事業所ほど、上位の加算区分を算定しやすい仕組みになっています。

賃金改善への反映方法

加算によって得られた収入は、月額賃金の改善のほか、手当の新設・増額、賞与への反映など、複数の方法で配分することが認められています。どの職種にどの程度配分するかは事業所ごとの裁量に委ねられている部分が大きいため、実際の手取りへの反映のされ方は勤務先によって差があります。求人票や面接の際に、処遇改善加算による賃金改善の具体的な内容を確認しておくと、入職後のギャップを防ぎやすくなります。

介護福祉士のキャリアパス

介護福祉士の資格は、取得して終わりではなく、その後のキャリアの選択肢を広げる土台になります。

サービス提供責任者としての役割

訪問介護事業所には、利用者ごとの訪問スケジュールを調整し、ケアマネジャーとの連絡窓口となる「サービス提供責任者」の配置が必要です。厚生労働省の資料によると、サービス提供責任者になるには、実務者研修修了者、あるいは介護福祉士などの資格が必要とされています。介護福祉士を取得することで、担当ヘルパーを取りまとめる立場や、事業所内での調整役としてのキャリアが選択肢に入ってきます。

介護支援専門員(ケアマネジャー)受験資格との関係

介護福祉士として実務経験を積んだ先のキャリアとして、介護支援専門員(ケアマネジャー)を目指す道もあります。介護支援専門員実務研修受講試験は、介護福祉士など特定の国家資格にもとづく業務における一定期間の実務経験が受験資格の要件の一つとされています。具体的に必要な年数・日数の基準は、試験を実施する都道府県が公表する受験の手引きで定められているため、受験を検討する段階で最新の情報を必ず確認してください。ケアマネジャーの仕事内容や試験の詳細については介護支援専門員(ケアマネジャー)とは何かで解説しています。資格取得のタイミングで、より条件のよい職場への転職を検討する方も少なくありません。

施設サービスでの役割

特別養護老人ホームや介護老人保健施設、有料老人ホームなどの入所施設では、日々の身体介護や生活支援に加え、他の職員への指導・教育的な役割を担うことが多くあります。

訪問・在宅サービスでの役割

訪問介護事業所では、介護福祉士がサービス提供責任者としてケアマネジャーとの連絡調整やヘルパーの管理を担うことがあります。デイサービス等の通所系サービスでも中核的な役割を果たします。働く場所によって求められる役割や1日の業務の流れは大きく異なるため、就職・転職の際は「どの分野で、どんな働き方をしたいか」をイメージした上で求人を探すことが、ミスマッチを防ぐポイントになります。

初任者研修・実務者研修との違い

介護の資格・研修にはいくつかの段階があり、混同されやすいため整理しておきます。

介護職員初任者研修との違い

介護職員初任者研修は、介護の仕事に就く際の入門的な研修で、130時間のカリキュラムを修了することで取得できます。介護福祉士のような国家資格ではなく、あくまで研修修了の証明という位置づけです。厚生労働省の資料によると、実施主体は都道府県または都道府県知事の指定した者で、対象は訪問介護事業に従事しようとする者や、在宅・施設を問わず介護の業務に従事しようとする者とされています。科目は「職務の理解」「介護における尊厳の保持・自立支援」「介護の基本」「介護・福祉サービスの理解と医療との連携」「介護におけるコミュニケーション技術」「老化の理解」「認知症の理解」「障害の理解」「こころとからだのしくみと生活支援技術」「振り返り」の10科目に加えて修了評価があり、講義と演習を一体的に行う形で構成されています。実務者研修(450時間)と比べると科目数・時間数ともに少なく、まず基本的な介護業務を行えるようになることを目的とした研修という位置づけです。

実務者研修との違い

実務者研修は初任者研修よりも上位の研修で、450時間のカリキュラムを通じてより専門的な知識・技術(喀痰吸引等の基礎を含む)を学びます。介護福祉士国家試験の実務経験ルートでは、この実務者研修の修了が受験資格の要件になっています。

資格・研修別にみる給与水準の比較

前述の厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果」では、保有する資格・研修別の平均給与額(月給・常勤、処遇改善加算を取得している事業所)も公表されています。介護福祉士が350,070円だったのに対し、実務者研修修了者は327,660円、介護職員初任者研修修了者は324,830円、資格を保有していない場合は290,620円でした。研修時間の長さ(初任者研修130時間、実務者研修450時間)や国家資格かどうかという制度上の違いだけでなく、統計上の給与水準にも段階的な差がみられる形です。ただし、これは全国推計値であり、勤務先やサービス種類、勤続年数によって個別の金額は変わります。

取得を目指す際の注意点

資格取得を検討する際に押さえておきたいポイントです。

取得までの費用と期間

実務経験ルートの場合、実務経験3年に加えて実務者研修(450時間)の受講が必要で、研修費用は数万円〜十数万円程度が目安です(事業所によっては費用補助制度がある場合があります)。国家試験の受験料も別途必要になるため、事前に必要な費用と期間を確認しておきましょう。合格後には、前述の登録免許税・登録手数料(合計12,320円)も必要になります。

更新は不要だが自己研鑽が求められる

介護福祉士の資格自体に更新制度はなく、一度取得すれば失効することはありません。ただし、制度改正や介護技術は日々更新されるため、事業所内外の研修等を通じた継続的な自己研鑽が求められます。

まとめ

  • 介護福祉士は介護分野で唯一の国家資格で、日常生活の介護と、本人・家族への指導を行う
  • 受験資格は実務経験ルート・養成施設ルート・福祉系高校ルート・EPAルートの4つに分かれ、実務経験ルートは従業期間1,095日以上と実務者研修(450時間)の修了が条件
  • 国家試験の合格率は年度によって変動があり、直近5回(第34回〜第38回)は70.1〜84.3%の範囲で推移している
  • 合格後は試験センターへの登録が必要で、登録免許税・登録手数料として合計12,320円がかかり、登録証の発送までは1か月半程度が目安
  • 資格取得により資格手当や処遇改善加算等で給与水準が上がる傾向があり、サービス提供責任者やケアマネジャーなどキャリアアップの選択肢も広がる

よくある質問

介護福祉士になるにはどうすればいいですか?

実務経験ルート(実務経験3年以上+実務者研修450時間)、養成施設ルート、福祉系高校ルート、EPAルートのいずれかで受験資格を得た上で、介護福祉士国家試験に合格する必要があります。

介護福祉士と介護職員初任者研修の違いは何ですか?

介護職員初任者研修は130時間の入門的な研修修了の証明であるのに対し、介護福祉士は国家試験に合格して得る国家資格です。任される業務範囲や信頼性の面で違いがあります。

介護福祉士国家試験の合格率はどのくらいですか?

厚生労働省の資料によると、直近5回(第34回〜第38回)の合格率は70.1〜84.3%の範囲で推移しています。年度によって出題内容や難易度が異なるため、幅があります。

介護福祉士の登録にはどのくらい費用がかかりますか?

新規登録には、登録免許税(収入印紙9,000円)と登録手数料3,320円をあわせた合計12,320円が必要です。書類に不備がなければ、1か月半程度で登録証が発送されます。

介護福祉士の資格に更新は必要ですか?

更新制度はなく、一度取得すれば資格が失効することはありません。ただし制度改正や介護技術の変化に対応するため、継続的な自己研鑽が求められます。

介護福祉士は医療的ケアを行えますか?

喀痰吸引等に関する研修を修了した介護福祉士は、たんの吸引や経管栄養といった一定の医療的ケアを行うことが認められています。

参考・出典

  1. 介護福祉士国家試験 受験資格(資格取得ルート図) (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  2. 介護福祉士国家試験 受験資格:実務経験の範囲 (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  3. 介護福祉士国家試験 受験資格:実務経験+実務者研修 (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  4. 介護福祉士国家試験 受験資格:従業期間計算表 (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  5. 介護福祉士国家試験 受験資格:実務者研修 (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  6. 第38回介護福祉士国家試験合格発表について (厚生労働省)
  7. 介護福祉士国家試験 受験者・合格者の推移 (厚生労働省)
  8. 介護福祉士 新規登録の申請手続き (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  9. 介護福祉士資格登録に関するQ&A (公益財団法人社会福祉振興・試験センター)
  10. 令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果 (厚生労働省)
  11. 介護職員の処遇改善:TOP・制度概要 (厚生労働省)
  12. 各介護サービスについて(訪問介護等) (厚生労働省)
  13. 介護福祉士の養成カリキュラム等について(社会保障審議会福祉部会福祉人材確保専門委員会資料) (厚生労働省)
  14. 経済連携協定に基づく受入れの枠組 (厚生労働省)