第8回『認知症の方の過去の記憶は、なかなか忘れないものです』

こんにちは!介護福祉士の木蓮です。
突然ですが、まず、はじめに。ご存知の方も多いかと思いますが、私の勤める「グループホーム」という場所では、大きな施設の様に調理員さんがいません。掃除や洗濯のスタッフもいません。介護の他に、家事も全てスタッフが行います。(もちろん、入居者様が安全面に配慮しながら、スタッフと一緒に行う事は可能です)私もホームに入るまで、少しの間、一人暮らしをしていたので、多少は料理をしていました。しかし、よくよく考えてみると、カレーや豚汁など、毎日同じ物を作っていました。それでも気楽に考え、ホームに就職しました。
しかし、すぐに考えがとても甘かった事に気づかされました。当然ですが、人数が多い上に、作る時間が限られているのです。「木蓮さんの大根の切り方じゃ、日が暮れちゃうよ!」と年輩のスタッフから何度も言われました。そして、自分でも信じられない位に味が不味く、私が食事当番の日は、露骨に嫌な顔をされる入居者様も多数いました…。

そんなある日の夕食に、南瓜の煮つけを作る事になりました。家から用意した料理本を片手に、ようやく硬い南瓜を切り、これから味付けをしようとした時でした。
「木蓮ちゃん、料理はね、本を見ても覚えないよ。味付けも目分量で覚えていくものだよ。」と、女性入居者のIさんが台所に入って来ました。そして、鍋の前に立ち、調味料をどんどん入れていこうとしました。Iさんの認知度は中程度でしたが、日に日に物忘れも多くなってきていたので、このまま任せたら不味いかなと感じました。
それでもIさんの目はキラキラと輝いていて、まるで母親だった時代に戻った様でした。それを見ていると、なんだか「止めない方がいいのかな…。」と思い、様子を見守る事にしました。すると、意外な展開になり、ホクホクと栗のように甘くて、美味しい南瓜の煮つけが出来たのです。
「これ、すごく美味しいです!」お世辞ではなく、心から思いました。Iさんもニコニコ嬉しそうに笑っていました。

認知症の人は、現在の事はすぐ忘れても、過去の記憶はなかなか忘れないと言われますが、この体験が、まさにそうだったのかなと思います。Iさんを一瞬でも疑った自分が少し恥ずかしくなりました。

さて、次回は「腰をなるべく傷めない移乗の仕方」についてお話ししたいと思います。お楽しみに!
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