第7回『認知症高齢者と、元引きこもりの青年の友情物語』

こんにちは!介護福祉士の木蓮です。今日は、最近よく思い出す話しを書いてみようと思います。

以前、ホームにTさんという男性入居者様がいました。根は優しい方でしたが、とても口が悪く、ちょっと強面風な方でした。女性入居者様には「ババア」と呼び、女性スタッフをからかって笑う事もよくありました。しかし、その笑顔は、どこか寂し気で、コーヒータイムと喫煙、食事の時間以外は部屋にこもりがちでした。

そんなある日、新しい男性スタッフが入りました。E君という20台前半の男性でした。E君は高校を卒業後、就職活動に失敗し続け、3年以上の間、家に引きこもる生活を送っていました。就職も今回が初めてで、仕事がなかなか覚えられません。また性格も、とても内向的なため、スタッフとの連携も上手く行かず、失敗の連続でした。でも一生懸命、頑張っていました。
ある日、E君は、コーヒーを入れる時に、砂糖と塩を間違って入れてしまいました。そこで、少し口の達者な女性入居者様から、キツイお叱りを受けてしまいした。
「ちょっと!これじゃ、飲めないじゃない!」
E君は涙目になりながら、か細い声で、
「…すみません。今、作り直します。」と謝り続けました。
それをTさんは横で静かに見ていましたが、ついに重い口を開きました。
「おい!ババア!さっきから、うるせぇんだよ!この若造だって失敗しながら、毎日一生懸命頑張ってるんだろ!アンタは今まで間違った事がないのか!?」
かなり激昂していて、さすがに、いつも口達者な女性入居者様も黙ってしまいました。

この日以来、TさんとE君の間には世代を超えた友情のような、素敵な関係が出来ました。お互いに、初めて心を許せる相手が出来て嬉しそうでした。しかし、そんな素敵な関係も長く続きませんでした。Tさんのご家族が県外に転勤になり、Tさんも別のホームへ移ってしまったのです。E君も、とてもショックを受けていました。そして次の年の春にホームを退職しました。社会福祉士になりたいと考え、その道を目指す事にしたそうです。

あれから、もう何年も経ってしまいました。時々、Tさんも、E君も今はどうしているのかな…と思い出す時があります。二人とも元気で過ごしていて欲しいですね。

さて、次回は、「私、木蓮の料理の先生は認知症の入居者様だった」というお話です。どうぞお楽しみに!
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