こんにちは、介護福祉士の木蓮です。
今日は入居者のFさんのお話しをしたいと思います。Fさんは当時80代後半の男性でした。小柄な方で、いつもニコニコと穏やか。その上とても頭が良く、俳句や短歌を作っては、みんなの前で披露してくれました。一見何の問題がないかの様なFさんでしたが、入居者様同士の口論がとても大嫌いで、そのような場面に出くわすと、決まって「俺、つまんないから、もう家に帰る。」と言い、ホームの外へ出て行こうとされます。なんとか別の話題を持って行ったりして、Fさんを止めていましたが、3月のある日、それは起こりました。
10時のお茶の時間に女性入居者様同士が些細な事で口論になり、スタッフが止めに入ってもなかなか口論が治まらず、それを見ていたFさんは気分を害し、スッと外へ出て行ってしまったのです。「Fさん、ホームへ帰りましょう。」と、私が腕をつかむと、「離せ!俺は家に帰るんだ!あんな所、つまらん!」と立腹し、私の手を払いのけました。3月でも外は寒く、Fさんはセーター1枚で外へ飛び出してきていました。私は何とか携帯電話とジャンパーだけは手にして出てきていたので、そっと自分のジャンパーをFさんの肩にかけました。Fさんは何も言いませんでした。
ヘタに無理やり「帰りましょう。」と、言っても更に立腹させ、最悪の場合は転倒させてしまう可能性もあります。私はFさんの3歩右後ろについて歩き、車に気をつけて、そっと見守りをしていました。お互いに黙々と30分は歩き続けたと思います。あれだけ威勢の良かったFさんの足取りも段々重くなり、ついに「疲れた…。」と、立ち止まってしまいました。もう大丈夫だろうと思い、Fさんの腕をそっと組み、「大丈夫ですか?」と尋ねました。Fさんは、もう自分が外へ出て行った理由を忘れていました。「いや、俺、腹が減ったよ…。」と言いました。「…今日のお昼はラーメンが出るみたいですよ。…帰りましょうか?」と、声を掛けると「そうだな。俺、ラーメン食いたい。」と、笑顔が見られました。
そこでホームに電話をかけ、スタッフに車で迎えに来てもらいました。Fさんはラーメンをお腹いっぱい食べて、それから夕方までグッスリ休んでいました。よほど疲れていたのでしょう。Fさん、お疲れ様でした。

次回は「介護者が俳優に変身する??」というお話です。お楽しみに。
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