老人ホームや訪問介護事業所の情報公表システムを見ても、実際の職員対応やサービスの質までは分からず、もっと詳しい情報を探している方もいるのではないでしょうか。福祉サービス第三者評価とは、社会福祉法にもとづき事業者が任意で受ける、専門機関によるサービスの質の評価制度です。介護保険法にもとづく「介護サービス情報公表システム」が基本情報の公表を目的とするのに対し、こちらは利用者調査を含む記述式の評価が特徴です。この記事では制度の仕組み、対象施設、受審率の実態、結果の読み方、老人ホーム選びでの活用法を、厚生労働省・全国社会福祉協議会の資料にもとづいて解説します。
福祉サービス第三者評価とは
老人ホームや訪問介護事業所を探していると、「介護サービス情報公表システム」とは別に「福祉サービス第三者評価」という言葉を見かけることがあります。どちらも公的な仕組みですが、性格が大きく異なります。まずは福祉サービス第三者評価そのものの定義と目的を確認します。
制度の定義と目的
福祉サービス第三者評価事業とは、事業者でも利用者でもない中立的な第三者機関が、専門的・客観的な立場から福祉サービスの質を評価する仕組みです。全国社会福祉協議会によれば、この制度には次の2つの目的があります。
- 事業者自身が評価結果をもとに自らの事業運営上の問題点を把握し、サービスの質の向上に結びつけること
- 評価結果を公表することで、利用者が施設や事業所を選ぶ際の判断材料の一つとして役立ててもらうこと
単に施設を格付けするための制度ではなく、事業者の自己点検と利用者への情報提供という、2つの役割を兼ね備えている点が特徴です。
社会福祉法にもとづく努力義務という位置づけ
福祉サービス第三者評価の根拠となっているのは社会福祉法第78条です。
(第1項)社会福祉事業の経営者は、自らその提供する福祉サービスの質の評価を行うことその他の措置を講ずることにより、常に福祉サービスを受ける者の立場に立って良質かつ適切な福祉サービスを提供するよう努めなければならない。
第2項では、国が評価の公正かつ適切な実施を確保するための措置を講じるよう努める旨が示されています。いずれも「努めなければならない」という努力義務の規定であり、罰則を伴う義務ではありません。この点は、後述する介護サービス情報公表システムの報告義務とは性格が異なります。
国の指針としては、「福祉サービス第三者評価事業に関する指針について」が平成16年5月7日に初めて発出されました。その後、平成26年4月1日付の通知で指針が全部改正され、それまで53項目あった共通評価基準が45項目に整理されるとともに、判断基準がa・b・cの3段階として明文化されました。この改正以降も指針の見直しは重ねられており、介護保険制度が3年ごとに見直されるのと同様、福祉サービス第三者評価の運用ルールも時期によって変わりうる点には注意が必要です。
介護サービス情報公表システムとの違い
老人ホーム探しでまず接することが多いのは、都道府県が運営する介護サービス情報公表システムです。同システムは介護保険法にもとづき、対象事業者に報告が義務づけられている基本情報・運営情報の公表制度で、全国の事業所を横断的に検索できる点が強みですが、サービスの質そのものや職員の対応まで踏み込んだ評価は行っていません。福祉サービス第三者評価は、その先にある「質」の部分を補う制度として理解すると位置づけが分かりやすくなります。
義務/任意・評価主体・評価項目の深さの違い
両制度の最も大きな違いは、報告・受審が義務か任意かという点です。介護サービス情報公表システムは、介護報酬収入が一定額を超える事業所に対して介護保険法第115条の35等にもとづく報告義務が課されています。一方、福祉サービス第三者評価は社会福祉法第78条の努力義務にとどまり、高齢者福祉施設については受審するかどうかは事業者の判断に委ねられています。
評価の主体も異なります。介護サービス情報公表システムは事業者自身が基本情報・運営情報を自己申告し、都道府県が内容を確認する仕組みです。これに対し福祉サービス第三者評価は、都道府県推進組織に認証された専門の評価機関が、専門的な視点からサービス提供体制や組織マネジメントの実態まで評価・判定します。公表される内容の深さも異なり、介護サービス情報公表システムは体制整備の有無など基本情報が中心であるのに対し、福祉サービス第三者評価はサービスの質や組織運営のあり方まで踏み込んで評価します。
利用者調査の有無という決定的な違い
実務上、もっとも実感しやすい違いは利用者調査の有無です。福祉サービス第三者評価では、アンケート・聞き取り・場面観察といった手法による利用者調査が評価の必須の構成要素として組み込まれています。実際に施設を利用している人や家族の声・様子が評価に反映される仕組みです。一方、介護サービス情報公表システムには利用者調査の仕組みはなく、事業者からの申告内容が中心です。件数の規模で見ても、介護サービス情報公表システムは全国でおよそ19万か所の事業所情報を扱う網羅型の制度であるのに対し、福祉サービス第三者評価は平成27年度時点で高齢者福祉施設の受審が約1,481件にとどまる、深さを重視した制度という違いがあります。
| 項目 | 福祉サービス第三者評価 | 介護サービス情報公表システム |
|---|---|---|
| 根拠法令 | 社会福祉法第78条(努力義務) | 介護保険法第115条の35等(報告義務) |
| 義務/任意 | 高齢者福祉施設は任意(社会的養護施設は義務) | 一定規模以上の事業所は報告義務 |
| 制度開始 | 平成16年(指針発出) | 平成18年4月(介護保険法にもとづき開始) |
| 評価主体 | 専門家(第三者評価機関)が専門的・客観的に評価・判定 | 事業者自身が基本情報・運営情報を自己申告し都道府県が確認 |
| 内容の深さ | サービスの質・組織マネジメントまで評価 | 基本情報・運営情報(体制整備の有無)が中心 |
| 利用者調査 | あり(アンケート・聞き取り・場面観察) | なし |
| 件数目安(平成27年度時点) | 高齢者福祉施設で約1,481件 | 全国約19万か所の事業所情報 |
評価を行う仕組み
評価を実際に行っているのは誰でしょうか。この制度は、国が直接評価を行うのではなく、全国推進組織と都道府県推進組織という2層の体制で運営されています。誰がどのような役割を担っているのかを押さえておくと、評価結果の信頼性を判断する助けになります。
全国推進組織と都道府県推進組織の役割
全国推進組織にあたるのは全国社会福祉協議会です。平成25年度に、それまでの「評価基準等委員会」を改組するかたちで設置された「福祉サービスの質の向上推進委員会」が、評価に関するガイドラインの策定、評価調査者を養成する指導者研修の実施、制度の普及啓発などを担っています。
実際に評価機関を認証し、地域ごとの評価基準を策定し、評価調査者の養成研修を行い、評価結果を公表しているのは、都道府県・都道府県社会福祉協議会・公益法人などが母体となる都道府県推進組織です。認証された評価機関には社会福祉協議会・社会福祉法人・NPO法人・株式会社など様々な法人形態の団体があり、営利・非営利を問わず幅広い団体が評価の担い手となっている点は、評価の中立性を考えるうえでの一つの手がかりになります。
評価機関の認証と評価調査者の要件
評価機関として活動するには、都道府県推進組織が定める「福祉サービス第三者評価機関認証ガイドライン」にもとづく認証を受ける必要があります。主な要件は次のとおりです。
- 法人格を有していること
- 組織運営管理業務を3年以上経験した者を1名以上配置していること
- 福祉・医療・保健分野の有資格者等で、当該業務を3年以上経験した者を1名以上配置していること
- 実際に評価を行う評価調査者は、都道府県推進組織が実施する養成研修の修了者であること
認証の有効期間は3年間で、更新制が取られています。都道府県推進組織の認証ガイドラインでは、次のいずれかに該当する場合に認証を取り消すことができるとされています。
- 認証要件のいずれか一つを欠いた場合
- 原則として過去3年間、評価実績がない場合
- 定期的な事業報告または都道府県推進組織への協力を行わない場合
- 不正な行為があった場合
事業者や評価機関を名乗るだけでは評価を行えない仕組みになっている点は、制度の信頼性を支える重要な要素です。
評価される項目と判定基準
実際の評価は、どのような項目を、どのような基準で判定しているのでしょうか。平成26年4月の指針改正で整理された共通評価基準の枠組みと、判定の考え方を確認します。
共通評価基準(組織運営・サービス提供体制)
共通評価基準は平成26年4月の改定で53項目から45項目に整理され、「I 福祉サービスの基本方針と組織」「II 組織の運営管理」「III 適切な福祉サービスの実施」という3つの大分類で構成されています。これに加えて、施設種別ごとに、その特性を踏まえた「内容評価基準」が別途定められています。組織のマネジメント体制からサービス提供の現場レベルまで、幅広い観点から評価される構造になっています。
a・b・cの3段階判定と記述式コメント
各評価項目の判定は、点数や星の数ではなく、a・b・cという3段階の記号で示されます。厚生労働省・全国社会福祉協議会の資料による定義は下表のとおりです。
| 判定 | 意味 |
|---|---|
| a | よりよい水準 |
| b | 多くの施設の状態であり、aに向けた取組みの余地がある状態 |
| c | bへの取組みを期待する状態 |
重要なのは、この判定が単純な点数化・順位付けのための仕組みではなく、評価機関がその判定に至った理由を記述式のコメントとして残す点です。「なぜbなのか」「aに近づけるためにはどのような取組みが考えられるか」といった具体的な内容がコメントに書かれるため、事業者にとっては改善の方向性を知る材料になり、利用者にとっては施設の姿勢を具体的に知る材料になります。
利用者調査の方法(アンケート・聞き取り・場面観察)
事業評価(訪問調査)とあわせて、利用者調査もこの制度の必須の構成要素として実施されます。手法はアンケート調査、利用者本人や家族への聞き取り調査、実際のサービス提供場面を観察する場面観察調査などが組み合わせて用いられます。認知症の状態などによって本人へのアンケートが難しい場合は、聞き取りや場面観察を中心に据えるなど、対象者の状況に応じて手法が調整される点も特徴です。この利用者調査の結果は、評価結果の確認方法の章で紹介するWAM NETや自治体の公表サイトで、事業評価の結果とあわせて確認できます。
対象サービスと受審が任意である高齢者施設
この制度は、あらゆる福祉サービスに一律に義務づけられているわけではありません。分野によって扱いが異なる点を整理します。
特養・有料老人ホーム等は任意
次に挙げる高齢者福祉施設・サービスは、いずれも福祉サービス第三者評価の受審が任意です。
- 特別養護老人ホーム
- 有料老人ホーム
- 養護老人ホーム
- 軽費老人ホーム
- 通所介護
- 訪問介護
- 小規模多機能型居宅介護
- 認知症対応型共同生活介護(グループホーム)
社会福祉法第78条が努力義務にとどまっていることに加え、高齢者福祉施設を第三者評価の対象とする制度運用自体が全国一律ではなく、自治体によって取組みの度合いに差があるのが実情です。後述するように東京都は独自の推進制度を持っていますが、「全国どこでも有料老人ホームは必ず第三者評価の対象になる」とは言い切れません。
社会的養護関係施設は義務化されている点との対比
一方で、次に挙げる社会的養護関係施設については、平成24年度から3か年度に1回以上の受審と結果の公表が義務化されています。
- 児童養護施設
- 乳児院
- 情緒障害児短期治療施設
- 児童自立支援施設
- 母子生活支援施設
入所者が自ら施設を選ぶことが難しい、あるいは施設を変更しにくいという社会的養護関係施設の特性を踏まえた措置とされています。同じ福祉サービス第三者評価という枠組みの中でも、分野によって「義務」と「任意」が混在している点は、制度を理解するうえで押さえておきたいポイントです。
高齢者福祉施設の受審率の実態
受審が任意である以上、実際にどの程度の施設が第三者評価を受けているのかは、老人ホーム選びを考えるうえで重要な前提になります。ここでは厚生労働省・全国社会福祉協議会が公表している平成27年度時点のデータを確認します。なお、以下の数値は平成27年度時点の統計であり、その後の受審促進策等により状況が変化している可能性がある点にご留意ください。
サービス種別ごとの受審率データ
全国の主な高齢者福祉サービスにおける第三者評価の受審件数は、平成23年度の1,229件から平成27年度には1,481件へと漸増しています。ただし、サービス種別ごとの受審率を見ると、特別養護老人ホームは6.41%、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)は3.67%とやや高い一方、訪問介護は0.29%にとどまるなど、サービス種別によって差が大きいのが実態です。内訳は下表のとおりです。
| サービス種別 | 受審件数 | 施設・事業所数 | 受審率 |
|---|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 484件 | 7,551施設 | 6.41% |
| 養護老人ホーム | 36件 | 957施設 | 3.76% |
| 軽費老人ホーム | 31件 | 2,264施設 | 1.37% |
| 訪問介護 | 100件 | 34,823事業所 | 0.29% |
| 通所介護 | 251件 | 43,406事業所 | 0.58% |
| 小規模多機能型居宅介護 | 103件 | 4,969事業所 | 2.07% |
| 認知症対応型共同生活介護(グループホーム) | 476件 | 12,983事業所 | 3.67% |
この受審率の差を視覚化すると、下図のとおりです。
図:サービス種別ごとの福祉サービス第三者評価受審率(厚生労働省・全国社会福祉協議会資料〔平成27年度〕にもとづく)
東京都の受審数が突出している背景
ここで数字の集計軸を整理しておきます。前項の「1,481件」は平成27年度単年度・全国合計の受審件数でした。これに対し、都道府県別に見ると東京都の受審数が全国の中でも突出しており、制度開始からの累計受審数(東京都のみ)は1,151件にのぼります。単年度・全国の数字と、累計・東京都のみの数字は集計軸が異なるため、混同しないようご注意ください。背景には、東京都が独自の推進機構や受審費用の補助制度を整備し、他の自治体より積極的に受審を後押ししてきたことがあります(詳しくは東京都の独自制度の章で解説します)。厚生労働省は、平成28年3月7日に開催された全国介護保険・高齢者保健福祉担当課長会議において、特別養護老人ホーム・養護老人ホーム・軽費老人ホーム・通所介護・訪問介護等における第三者評価の受審率について「前年度以上の受審率」を目標として掲げ、受審促進に取り組む方針を示しています。裏を返せば、それだけ全国的な受審率はまだ十分とはいえない水準にあるということでもあります。
評価結果の確認方法
実際に第三者評価を受けている施設であれば、その結果を無料で閲覧できます。主な確認方法は2つあります。
WAM NETでの検索方法
全国の評価結果を横断的に検索できるのが、独立行政法人福祉医療機構が運営する「WAM NET」の「福祉サービス評価情報」検索ページです。事業所名、サービス種別、事業所番号、所在地などの条件から、全国の評価結果を検索できます。検討している施設が第三者評価を受けているかどうか分からない場合は、まずこのページで施設名を検索してみるとよいでしょう。評価結果のページには、共通評価基準・内容評価項目のa・b・c判定に加え、評価機関による判定理由のコメントや、利用者調査の結果概要が掲載されています。
とうきょう福祉ナビゲーション等、自治体独自の公表サイト
WAM NETに加えて、都道府県推進組織が独自の公表サイトを運営している場合もあります。代表例が東京都の「とうきょう福祉ナビゲーション」で、東京都福祉サービス評価推進機構が運営しています。大阪府や福岡県など、他の都道府県推進組織も独自のウェブサイトで評価結果や第三者評価に関する案内を公表しています。検討している施設が所在する都道府県の推進組織のサイトもあわせて確認すると、より詳しい情報が見つかる場合があります。
東京都の独自制度
これまで見てきたとおり、東京都は福祉サービス第三者評価において全国的にも受審数が突出しており、独自の推進体制と支援策を整備しています。ここでは東京都の仕組みを具体例として紹介します。
東京都福祉サービス評価推進機構の仕組み
東京都では、公益財団法人東京都福祉保健財団内に設置された「東京都福祉サービス評価推進機構」が、評価機関の認証、評価者研修、共通評価項目の策定、評価結果の公表までを一貫して担っています。対象には特定施設入居者生活介護(有料老人ホーム・ケアハウス)も含まれており、事業者に対して少なくとも3年に1回以上の受審が推奨されています(ただし義務ではありません)。評価は、アンケート・聞き取り・場面観察の3方式による「利用者調査」と、評価機関による訪問調査を中心とした「事業評価」の2本立てで構成され、結果は前述の「とうきょう福祉ナビゲーション」で公表されています。
受審費用の補助制度の例
第三者評価の受審費用は全国一律ではなく、評価機関ごとに、サービス種別・利用者数・職員数・利用者調査の方法などに応じて個別に設定され、事業者と評価機関の間の契約で決まります。この費用負担が受審のハードルになりうることから、独自に補助制度を設けている自治体もあります。一例として、東京都葛飾区の補助内容は下表のとおりです。
| 対象サービス | 助成率 | 限度額 |
|---|---|---|
| 特別養護老人ホーム | 全額(10分の10) | 60万円 |
| 認知症グループホーム | 全額(10分の10) | 1ユニット45万円〜3ユニット55万円 |
| その他の多くのサービス | 2分の1 | 15万円〜40万円 |
※葛飾区の例。こうした補助の有無や内容は区市町村ごとに制度・補助率が異なるため、他の自治体で同様の補助があるとは限らない点に注意してください。
老人ホーム選びでの活用方法
福祉サービス第三者評価を、実際の老人ホーム選びにどう活かせばよいのでしょうか。ここでは具体的な活用方法を整理します。
重要事項説明書・介護サービス情報公表システムと組み合わせる
効果的な確認の流れとして、次の3ステップが考えられます。
- 介護サービス情報公表システムで施設の基本情報や運営体制を確認する
- 重要事項説明書で第三者評価の受審実績が記載されているかを確認する(受審している場合、実績が記載されていることがあります)
- 受審している施設であれば、WAM NETや自治体の公表サイトで実際の評価結果――利用者調査の結果や判定理由のコメント――を読み込む
この流れで確認することで、基本情報だけでは分からないサービスの質に関する具体的な手がかりを得ることができます。
判定理由コメントを見学時の質問材料にする
評価結果の中でも特に参考になるのが、a・b・cの判定そのものよりも、その判定に至った理由を記した記述式のコメントです。例えば「職員の入れ替わりへの対応」や「利用者からの意見の取り入れ方」について具体的な記述があれば、それは実際に施設を見学する際に聞いてみたい質問の材料になります。「評価結果に書かれていた〇〇という取組みについて、現在はどのように行っていますか」といった形で具体的に尋ねることで、見学だけでは分かりにくい運営の実態に近づくことができます。老人ホームの選び方全般については、こちらの記事もあわせて参考にしてください。
注意点・限界
福祉サービス第三者評価は有用な判断材料の一つですが、使い方を誤ると誤解につながりかねない点もあります。最後に2つの注意点を確認します。
点数化・順位付けではないため単純比較はできない
繰り返しになりますが、福祉サービス第三者評価の判定はa・b・cという記述式の評価であり、点数化・順位付けを行う制度ではありません。したがって「A評価だからおすすめ」といった単純比較はできません。ある項目でbの判定であっても、それが直ちに「劣っている」ことを意味するわけではなく、あくまで「多くの施設に見られる状態で、さらなる取組みの余地がある状態」を示すものです。評価結果を読む際は、判定記号そのものよりも、そこに書かれている具体的なコメントの内容に注目することが大切です。
受審していない施設が大多数という現状
先ほど触れたとおり、高齢者福祉施設全体で見ると受審率はまだ低く、例えば特別養護老人ホームでも6.41%程度にとどまっており、受審していない施設が多数派であるのが実態です。福祉サービス第三者評価は受審が任意の制度であるため、受審していないことが、その施設のサービスの質が低いことを直接意味するわけではありません。費用や人員の負担、制度そのものの認知度の問題など、受審していない理由はさまざまに考えられます。評価結果が見つからない施設については、第三者評価以外の情報――介護サービス情報公表システムの運営情報や、見学時の職員の対応、重要事項説明書の内容など――も含めて、総合的に確認することが必要です。
まとめ
- 福祉サービス第三者評価は、社会福祉法第78条にもとづき事業者が任意で受ける、専門機関によるサービスの質の評価制度です
- 義務的な介護サービス情報公表システムとの決定的な違いは、アンケート・聞き取り・場面観察による利用者調査が含まれる点です
- 評価はa・b・cの3段階判定と記述式のコメントで示され、点数化・順位付けではないため単純比較はできません
- 高齢者福祉施設の受審率は特養で6.41%程度とまだ低く、受審結果はWAM NETや自治体の公表サイトで確認できます
- 介護サービス情報公表システム・重要事項説明書と組み合わせて活用し、判定理由のコメントを見学時の質問材料にすることができます
福祉サービス・介護保険にかかわる制度は、法改正や運用見直しにより内容が変わることがあります。実際に施設を検討する際は、WAM NETや所在地の都道府県推進組織のサイトで最新の評価結果を確認してください。このサイトは特定の施設・事業者の評価や推奨は行わず、公的データにもとづく中立的な情報提供に努めています。運営方針の詳細はこのサイトの立ち位置をご覧ください。